JP4710399B2 - インバータの保護装置 - Google Patents

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本発明はインバータの保護装置に関する。
従来、インバータの動作中に、IGBT等の半導体チップが熱によって破壊するのを防ぐため、チップ近傍やチップ上に温度センサを作り込む手法が知られている。そして、従来のインバータの保護技術としては、動作中にインバータ制御装置がこの温度センサによりチップ温度を監視し、限界温度に達したことを検知すると、出力電流の制限やキャリア周波数の低減、あるいは完全な停止といった保護動作により、温度の上昇を防ぐことでチップの破損を回避するというものがあった(特許文献1を参照されたい。)。
特開2001-169401号公報(段落0007-0008、図1)
半導体チップの温度Tj[℃]は、チップに電流を流すことやスイッチングすることによって発生する損失P[W]、チップから、チップ冷却用の冷媒までの熱抵抗Rth[℃/W]、冷媒の温度Tw[℃]で決まり、以下の式で表される。
Tj=P×Rth+Tw
半導体チップから冷媒までの間には、ハンダ、基板、絶縁材、ヒートシンクなど複数の材料が存在しているため、それぞれの厚みや接触面積等のバラツキにより、熱抵抗Rthにはバラツキが生じる。したがって、半導体チップの温度Tjにもバラツキが生じることになり、同一の製品でも個体によって保護動作に入る条件が異なるため、このインバータを、例えばハイブリッドカーや電気自動車に搭載した場合、同一の車種であっても動力性能に個体差が生じてしまうという問題があった。即ち、同一製品であっても個体差によって熱抵抗が低く冷却効果が高いインバータの場合には、より熱抵抗が高く冷却効果の低いインバータよりも良い出力性能を発揮することになり、同一規格のインバータであっても均一な性能を提供することができなかった。そこで、本発明は、インバータの回路を保護するとともに、同一規格のインバータが均一な性能を発揮し得るようなインバータの保護装置の提供を目的とする。
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明によるインバータの保護装置は、
前記インバータを構成する少なくとも1つの半導体チップの素子温度Tjをモニタする素子温度センサと、
所定の基準品の熱抵抗である基準品熱抵抗(バラツキ最悪品の半導体チップの熱抵抗であり、当該製品のなかで最も高い熱抵抗を持つ製品の数値とすることが好適である。)と、予め求めてある前記少なくとも1つの半導体チップの熱抵抗である現物熱抵抗(即ち、現物の熱抵抗であり、当該現物の検査時に取得された数値)とに基づいて、前記素子温度センサによって計測された前記素子温度Tjを補正する温度補正手段(回路)と、
前記温度補正手段で補正された値に基づき所定の閾値を参照して前記インバータの動作制限の要否を判定する動作制限判定手段(回路)と、
を具える。
また、第2の発明によるインバータの保護装置は、
前記温度補正手段が、
前記基準品熱抵抗と前記現物熱抵抗の比に基づき前記素子温度Tjを補正する、
ことを特徴とする。
また、第3の発明によるインバータの保護装置は、
前記インバータを冷却する冷媒の冷媒温度Twをモニタする冷媒温度センサをさらに具え、
前記温度補正手段が、
前記素子温度Tjと前記冷媒温度Twとの温度差である現物温度差ΔTj−wを計測し、この現物温度差ΔTj−w(現物の数値)と前記所定の基準品における温度差である基準品温度差(予め求めてあるバラツキ最悪品の数値ΔTj−wを用いることが好適である。)の比に基づいて前記素子温度Tjを補正する、
ことを特徴とする。
また、第4の発明によるインバータの保護装置は、
前記インバータを(好適には出荷検査時に所定の冷媒温度などの所定の条件で)動作させたときに、前記素子温度センサで計測された前記少なくとも1つの半導体チップの素子温度と、前記冷媒温度センサで計測された冷媒温度との差分を予め求め、この求めた差分と、前記所定の基準品における基準品上限差分(前記インバータで使われる半導体チップの検査規格の上限差分ΔTj−w(max)であり検査規格上の最悪品の数値)の比を補正係数Kとして予め格納する記憶手段(好適には不揮発性メモリ)をも具え、
前記温度補正手段が、
前記現物温度差ΔTj−w(前記冷媒温度センサで計測された冷媒温度Twと、前記素子温度センサで計測された素子温度Tjとの差分ΔTj−w=Tj−Tw)と、記憶手段に格納されている前記補正係数Kとを用いて、前記素子温度Tjを補正する(即ち、補正チップ温度Tj’=K・ΔTj−w+Twを求め、この補正値に基づき動作制限の要否を判定する)、
ことを特徴とする。
また、第5の発明によるインバータの保護装置は、
前記温度補正手段が、
(インバータの動作中、所定の条件が成立したときに)、前記基準品熱抵抗(即ち既知の熱抵抗最悪値)と、(当該基準条件での)前記所定の基準品における基準品損失推定値とに基づき、前記所定の基準品の素子温度(最悪素子温度)と前記冷媒温度との差分ΔTj−w’を算出し、前記現物温度差ΔTj−wとこの差分ΔTj−w’の比を第2補正係数K’=ΔTj−w’/ΔTj−wとし、この第2補正係数K’が(出荷検査時に取得した)前記補正係数Kより小さい場合、前記第2補正係数K’を新たな補正係数Kとして使用する、
ことを特徴とする。
また、第6の発明によるインバータの保護装置は、
前記第2補正係数K’を算出するごとに前記記憶手段に格納し、
前記温度補正手段が、
前記記憶手段に格納された複数の前記第2補正係数K’に所定の統計的処理(例えば平均値を取るなどの何らかのフィルタ演算処理を施したデータ)を施して得たものを前記第2補正係数K’として使用する、
ことを特徴とする。
また、第7の発明によるインバータの保護装置は、
前記動作制限判定手段が、
第2補正係数K’が1以下となった場合、以後は前記補正係数Kを使わずに、前記素子温度センサで計測された素子温度Tjに基づき、前記インバータの動作制限の要否を判定する、
ことを特徴とする。
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現され得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
第1の発明によれば、半導体チップから冷媒までの熱抵抗のバラツキに関係なく、動作制限(即ち回路保護動作)に入る条件が規格上の最悪品と同一になるため、個体による性能差がなくなり、同一規格のインバータが均一な性能を発揮し得ることが可能となり、例えば電気自動車に適用した場合には同一車種のドライバーに共通の操作感覚を与えることができるようになる。また、第2の発明の構成によれば、熱抵抗の比という簡易な係数を用いて第1の発明を容易かつ確実に実現することが可能となる。
また、第3の発明によれば、冷媒温度センサで計測した冷媒温度から温度差ΔTj−wを計算し、このΔTj−wの最悪品と現物の比に基づいて素子温度Tjを補正することができるため、より適切かつ正確に動作制限の要否を判定することが可能となる。また、第4の発明の構成によれば、補正係数Kを予め求めておき記憶させておくことことで第3の発明を容易かつ確実に実現することが可能となる。
また、第5の発明によれば、劣化等により熱抵抗が大きくなっても、最悪と想定しているものの値より小さいうちは性能が低下しない。
また、第6の発明によれば、第2補正係数K’を算出するごとに不揮発性メモリに記憶し、複数回のデータに対してフィルタ演算処理を行って使用することによって、より正確に補正値を修正することができる。
また、第7の発明によれば、第2補正係数K’が1以下となった場合、以後は補正係数Kを使わずに、素子温度検出値Tjに基づいて動作制限の要否を判定するため、劣化等により熱抵抗が大きくなって最悪値を超える場合でも回路を確実に保護できることが可能となる。
以降、諸図面を参照しつつ、本発明の実施態様を詳細に説明する。
実施例1
図1に本発明の実施例1による3相インバータの構成を示す。インバータ101は、スイッチング素子であるIGBT102〜107のオン/オフを制御することにより、バッテリ128からの直流電力を3相交流電力に変換し、3相交流モータ129を駆動する構成となっている。IGBT102〜107のチップ上には、素子温度センサとしてダイオード108〜113が搭載されており、ダイオードの順方向電圧が負の温度特性を持つことを利用して、素子温度検出回路121によりチップの温度を検出する。なお、図面が煩雑とならないように便宜上、ダイオード109のみを素子温度検出回路121に結線してあるが、他のダイオードへの結線を省略してあるが他のダイオードも全て回路121に接続されている。また、IGBT102〜107は、制御装置122から駆動回路120を介して駆動される。制御装置122には、モータの制御に関する演算を行い、IGBT102〜107のオン/オフを指示するマイコン123、電源遮断時にもデータを保持する不揮発性メモリとしてEEPROM124、インバータ101の冷却水の温度をサーミスタ126により検出する水温検出回路125が設けられている。なお、図1ではIGBT103以外に対する駆動回路は省略されている。素子温度センサや素子温度検出回路については、全IGBTに対して設ける方法や、特定のチップのみに設ける方法、チップ上ではなくチップ近傍にサーミスタを設ける方法など、多くの方法が考えられるが、いずれの構成においても本発明を適用することができ後述する作用は同様である。マイコン123は、素子温度検出回路121や水温検出回路125で計測した数値に基づき素子温度を補正する温度補正手段(プログラムモジュール)123aと、温度補正手段で補正された値に基づき前記インバータの動作制限の要否を判定する動作制限判定手段(プログラムモジュール)123bとを具える。
図2にIGBTチップの実装構造の一例を示す。上から順に、IGBTチップ201、ハンダ202、銅箔203、絶縁基板204、放熱板205、グリス206、水冷ジャケット207の順に積み重ねられている。水冷ジャケット207に設けられた水路に冷媒として冷却水208を流すことで、IGBTチップ201に生じる熱を冷却水208で抜熱する構造となっている。このような素子と冷媒(冷却水)との間に存在する幾つかの物質や界面の影響によって素子からの熱の抜け方に個体差が生じることとなる。また、水温センサとしてのサーミスタ209は水冷ジャケット207に埋め込まれているが、IGBT 201の発熱の直接的な影響を受けずに冷却水208の温度が検出できるように比較的離れた位置に設けている。
実施例1の作用
図3、図4に実施例の動作を説明するため素子温度の推移を示す。ここでは、素子温度センサおよび素子温度検出回路を全IGBTチップに対して設け、制御装置122のマイコン123が最も高い温度を素子温度として認識するものとした。図3は、インバータ101の出荷検査の一検査項目において、ステップ状の出力電流を指令した場合のIGBTチップの温度上昇を示している。この検査は、所定の水温Tw(ref)にて実施するものとし、図3はこの水温Tw(ref)を基準として図示している。時間tOにて電流の出力を開始することによって、IGBTチップ201の素子温度Tjは上昇を始める。IGBTチップ201での損失をP、IGBTチップ201から冷却水208までの熱抵抗をRth、とすると、素子温度Tjは下記(式1)で表される温度Tj.satで飽和する。
Tj.sat=P×Rth+Tw(ref) (式1)
ここで熱抵抗Rthは、図2に示したIGBTチップ201から冷却水208までに存在する材料の物性、厚さ、接触面積等によって決まる。各材料の厚さや接触面積にはバラツキがあるため、熱抵抗Rthは、インバータ101の個体によってバラツキを持つことになる。図3の破線で示した曲線は、このバラツキ最悪品の熱抵抗Rth(max)の場合の素子温度の様子を示しており、このときの飽和温度は下記(式2)で表される温度Tj.sat(max)となる。
Tj.sat(max)=P×Rth(max)+Tw(ref) (式2)
この最大飽和温度Tj.sat(max)は、設計の過程で予め分かっているものである。ここでは出荷検査における検査規格の上限値とし、これ以上の素子温度となる個体は検査不合格となり、出荷できないものとする。
電流の出力開始後、素子温度が充分に飽和している時間t1において、マイコン123は水温Tw(ref)と飽和温度Tj.satから、その差分
ΔTj−w.sat=Tj.sat−Tw(ref)
を計算する。ここで、予め分かっているTj.sat(max)と水温Tw(ref)の差分
ΔTj−w.sat=Tj.sat(max)−Tw(ref)
から、素子温度補正係数
K=ΔTj−w.sat(max)/ΔTj−w.sat
を計算し、EEPROM124に記憶する。(式1)・(式2)より、この計算で求めた素子温度補正係数KはRth(max)/Rthに等しく、現物の熱抵抗と、バラツキ最悪品(基準品)の熱抵抗の比を表していることになる。
図4は、検査に合格し、製品として出荷されたインバータ101が、例えばHEVや電気自動車等に2次製品に搭載された場合の、任意の条件における素子温度の遷移を示している。水温Twは気温や自動車の運転条件により変化することになるが、ここではその変化する水温Twを基準として、素子温度Tjとの差分△Tj−w=Tj−Twの遷移を記している。インバータ101の動作中、マイコン123は常時あるいは所定の周期で、素子温度センサ108〜113により素子温度Tj、水温センサ126により水温Twを取得し、その差
△Tj−w=Tj−Tw
を計算する。さらに、出荷検査時にEEPROM124に記憶した素子温度補正係数Kを用いて、補正温度
Tj’=K×ΔTj−w+Tw
を計算し、この補正温度Tj’に基づいて動作制限の要否を判定する。この計算によりいずれの個体も、補正温度Tj’はバラツキ最悪品と同等の素子温度を示すことになる。図4の時刻t2において、この補正温度Tj’が予め設定されている制限温度に達すると、マイコン123は、出力電流の制限やキャリア周波数の低減など、IGBTの損失を低減する手段を講じることにより、補正温度Tj’を制限温度以下に抑え、IGBTチップの破壊を防止する。
実施例2(第5、第6の発明に相当)
長期間の使用による劣化等が原因で熱抵抗が大きくなった場合、素子温度Tjは大きくなる。実施例1では、出荷時に記憶した補正係数Kに基づいて素子温度を補正しているため、熱抵抗の増大に伴って補正温度Tj’も大きくなり、従来よりも軽い負荷条件で制限温度に達するため、インバータの性能を十分に発揮する前に保護手段が作動して性能が低下するようになる。しかしながら、劣化により熱抵抗が大きくなっても、劣化前のバラツキ最悪品以下の熱抵抗であれば、本来は性能を低下させる必要はない。つまり、実施例1の様に出荷時に記憶した補正係数Kを用いて素子温度を補正すると、過剰な保護動作が行われしまう。以下に、この様な保護手段の過剰な作動を防止した動作を示す。マイコン123は、所定の条件が成立すると既知の熱抵抗最大値Rth(max)と、その条件における損失推定値Ppから、推定最大素子温度上昇ΔTj−w.p(max)を
ΔTj−w.p(max)=Pp×Rth(max)
により算出する。続いて、動作中の実測によるΔTj−wとの比を素子温度逐次補正係数
K’=ΔTj−w.p(max)/ΔTj−w
として計算する。このK’が第1実施例で示した素子温度補正係数Kよりも小さい場合、熱抵抗Rthが大きくなっていることを示すため、劣化が生じていると判断し、素子温度逐次補正係数K’を新たな素子温度補正係数Kとして使用する。ここで損失推定値Ppは、予め出力電流、電源電圧、回転数等、各種動作パラメータに対するマップや、各バラーメタの関数としてマイコン123に内蔵されたROMに用意しておくことが考えられる。
図5に実際に素子温度補正係数Kを変更した場合の素子温度推移を示す。Tj(劣化前)に比べ、Tj(劣化後)は高い値を示しているため、補正後のTj’(劣化後)もTj’(劣化前)に比べ大きな値となっている。ここでは補正係数K=1.3で動作していると仮定している。時刻t3において、素子温度逐次補正係数K’を計算する条件が成立したものとすると、マイコン123は前述の計算により、推定最大素子温度上昇ΔTj−w.p(max)を計算する。この値は、劣化前の熱抵抗最大値Rth(max)を使って計算するため、劣化前のK×ΔTj−wに値に近い値となる。ΔTj−wは劣化により大きくなっているため、素子温度逐次補正係数K’は従来のKよりも小さな値となる。ここでは1.2という値が得られたものと仮定するが、これは従来の素子温度補正係数K=1.3よりも小さいため、ここで素子温度補正係数Kを1.2に置き換える。
この結果、補正温度Tj’は劣化前の状態とほぼ同じとなり、制限温度に達する条件も変わらず性能は低下しない。仮に時刻t3で素子温度補正係数Kを1.3のまま変要しなかった場合、図5では、時刻t3の後に補正温度Tj’が制限温度に達し、従来制限がかかる時刻t4を待たずに保護動作に入ってしまうことになる。
なお、素子温度逐次補正係数K’を計算する条件としては、劣化の度合いが明確に分かるように、比較的温度上昇の大きい条件として、所定の出力電流以上が所定時間以上継続した場合、より詳細に言えば、素子温度が所定の温度以上であり、素子温度の水温との差が所定の温度差以上あり、温度差の変化が少ない状態が所定の時間継続した場合などが考えられる。ただし、実際には劣化の進行は極めてゆっくりしたものであり、出荷検査における特定の一条件で取得した初期の素子温度補正係数Kに対し、これとは異なる条件で求める素子温度逐次補正係数K’を1回の計算だけで採用すると、誤差が大きくなり適切な補正係数の変更ができない可能性がある。
図6に、劣化が始まった後の素子温度逐次補正係数K’の時間的な変化を示す。横軸の時間スケールは、例えば数日、数ヶ月等、比較的長期に渡るものとする。黒点は各タイミングでの素子温度逐次補正係数K’の計算結果を示し、実線は、過去10回の平均値を表している。出荷検査で補正係数を取得した条件とは異なる条件で素子温度逐次補正係数K’を計算するため、この図のように各タイミングでの逐次補正係数K’はバラツキが大きくなる可能性がある。そこで、実線で示したように過去の複数回のデータに対して平均値を計算することにより、本来の劣化の進行速度に近い変化を得ることができ、より適切に補正係数Kを修正することができる。平均値計算に使用する過去のデータ数は、チップの実装における耐久性を考慮して適切な数に設定すればよく、平均値に限らず、1次フィルタ処理を加えるなど、他のフィルタ演算を採用してもよい。また、過去のデータはEEPROM124に記憶しておくことで、システムの電源遮断中でも保持でき、数日、数ヶ月あるいはそれ以上の長期間に渡るデータを基に計算することができる。
実施例3(第7の発明に相当)
実施例2において、劣化が激しくなると素子温度検出値Tj(劣化後)がTj’(劣化前)を超えることが想定できる。この場合、素子温度逐次補正係数K’は1以下となるため、実施例2をそのまま適用すると、補正温度Tj’は素子温度の実測値Tjよりも小さくなってしまい、本来動作制限により保護をかける必要があるにもかかわらず、保護せずに素子を破損してしまう可能性がある。これを避けるため、素子温度逐次補正係数K’が1以下となった場合には、補正係数を使用せずに素子温度の実測値Tjをそのまま使用し、制限の要否を判定する方が良い。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
本発明の実施例1による3相インバータの構成を示す図である。 IGBTチップの実装構造の一例を示す図である。 実施例の動作を説明するため素子温度の推移を示す図である。 実施例の動作を説明するため素子温度の推移を示す図である。 実際に素子温度補正係数Kを変更した場合の素子温度推移を示す図である。 劣化が始まった後の素子温度逐次補正係数K’の時間的な変化を示す図である。
符号の説明
101 インバータ
102〜107 IGBT(スイッチング素子)
128 バッテリ
129 3相交流モータ
108〜113 ダイオード(素子温度センサ)
121 素子温度検出回路
122 制御装置
120 駆動回路
123 マイコン
124 EEPROM(不揮発性メモリ)
126 サーミスタ
125 水温検出回路
123a 温度補正手段(プログラムモジュール)
123b 動作制限判定手段(プログラムモジュール)
201 IGBTチップ
202 ハンダ
203 銅箔
204 絶縁基板
205 放熱板
206 グリス
207 水冷ジャケット
208 冷却水
209 サーミスタ

Claims (7)

  1. インバータの保護装置であって、
    前記インバータを構成する少なくとも1つの半導体チップの素子温度Tjをモニタする素子温度センサと、
    所定の基準品の熱抵抗である基準品熱抵抗と、予め求めてある前記少なくとも1つの半導体チップの熱抵抗である現物熱抵抗とに基づいて、前記素子温度センサによって計測された前記素子温度Tjを補正する温度補正手段と、
    前記温度補正手段で補正された値に基づき前記インバータの動作制限の要否を判定する動作制限判定手段と、
    を具えるインバータの保護装置。
  2. 請求項1に記載のインバータの保護装置であって、
    前記温度補正手段が、
    前記基準品熱抵抗と前記現物熱抵抗の比に基づき前記素子温度Tjを補正する、
    ことを特徴とするインバータの保護装置。
  3. 請求項1または2に記載のインバータの保護装置であって、
    前記インバータを冷却する冷媒の冷媒温度Twをモニタする冷媒温度センサをさらに具え、
    前記温度補正手段が、
    前記素子温度Tjと前記冷媒温度Twとの温度差である現物温度差ΔTj−wを計測し、この現物温度差ΔTj−wと前記所定の基準品における温度差である基準品温度差の比に基づいて前記素子温度Tjを補正する、
    ことを特徴とするインバータの保護装置。
  4. 請求項3に記載のインバータの保護装置であって、
    前記インバータを動作させたときに、前記素子温度センサで計測された前記少なくとも1つの半導体チップの素子温度と、前記冷媒温度センサで計測された冷媒温度との差分を予め求め、この求めた差分と前記所定の基準品における基準品上限差分の比を補正係数Kとして予め格納する記憶手段をも具え、
    前記温度補正手段が、
    前記現物温度差ΔTj−wと、記憶手段に格納されている前記補正係数Kとを用いて、前記素子温度Tjを補正する、
    ことを特徴とするインバータの保護装置。
  5. 請求項4に記載のインバータの保護装置であって、
    前記温度補正手段が、
    前記基準品熱抵抗と、前記所定の基準品における基準品損失推定値とに基づき、前記所定の基準品の素子温度と前記冷媒温度との差分ΔTj−w’を算出し、前記現物温度差ΔTj−wとこの差分ΔTj−w’の比を第2補正係数K’=ΔTj−w’/ΔTj−wとし、この第2補正係数K’が前記補正係数Kより小さい場合、前記第2補正係数K’を新たな補正係数Kとして使用する、
    ことを特徴とするインバータの保護装置。
  6. 請求項5に記載のインバータの保護装置であって、
    前記第2補正係数K’を算出するごとに前記記憶手段に格納し、
    前記温度補正手段が、
    前記記憶手段に格納された複数の前記第2補正係数K’に所定の統計的処理を施して得たものを前記第2補正係数K’として使用する、
    ことを特徴とするインバータの保護装置。
  7. 請求項5または6に記載のインバータの保護装置であって、
    前記動作制限判定手段が、
    第2補正係数K’が1以下となった場合、以後は前記補正係数Kを使わずに、前記素子温度センサで計測された素子温度Tjに基づき、前記インバータの動作制限の要否を判定する、
    ことを特徴とするインバータの保護装置。

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