JP4710203B2 - 含フッ素ポリマーの回収装置および回収方法 - Google Patents

含フッ素ポリマーの回収装置および回収方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素ポリマー溶液から溶媒を蒸発させて含フッ素ポリマーを回収する含フッ素ポリマー回収装置および含フッ素ポリマー回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリマー回収操作の多くは蒸発を伴う揮発成分の留去が一般的であるため、蒸発を伴う揮発成分の留去によるポリマーを単離、回収する方法および装置は極めて多く知られている。これらの方法や装置の多くは、当該ポリマーの品質を損ねることの無いように蒸発操作時の温度、圧力、または不活性ガス等の流量など、条件の最適化がその都度なされているが、その多くは回分式、または半連続式である。
また、汎用的なポリマーについては要求特性上、極度なクリーン化を必要としない場合が多く、工業的に使用されている装置の材質および構造は設置環境からのパーティクル等のコンタミや、装置そのものに由来する金属コンタミ等の影響を大きく受けやすいため、極度なクリーン化への対応は極めて困難であった。
【0003】
従来の工業的なポリマー回収装置としては、特開昭63−309537号公報、または特開平08−118357号公報に記載された装置が知られている。
前者は連続式のポリマー回収装置であり、ポリマー溶液を薄膜状に延伸させてフッ素樹脂含浸ベルト上で蒸発、乾燥、フレーク化する一連のベルト式真空回収操作を行なうことが可能な装置である。この装置では内部に機械的駆動部を多く有しているため装置内の雰囲気のクリーン化が困難であるばかりでなく、ベルト表面から回収ポリマーへのフッ素樹脂の転写が起こるため、高純度化が要求される電子関連分野で使用される材料には極めて不向きである。さらには、加熱源と被乾燥体との間に伝熱性能を著しく低下させるフッ素樹脂含浸ベルトを有しており、目的とする残存揮発成分量に到達するまでに長時間を必要とするため、ポリマーの熱的安定性を損ねるといった問題を有していた。
一方、後者は熱供給方式および伝熱性能が格段に改善されたことにより、速やかな蒸発、乾燥操作が可能となり、瞬時に目的とする残存揮発成分量になったポリマーを得ることができるが、薄膜を形成させるために回転するブレード等が擦動部を有することから前者同様、装置内部に金属コンタミ等が発生したり、ポリマーへの異物が混入するといった問題を有している。さらには、わずかな滞留部に留まったポリマーが長時間加熱されることで熱的に劣化し、ゲル化を起こしたポリマーが回収ポリマー中に混入するなど品質上の問題も有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、含フッ素ポリマー溶液から含フッ素ポリマーを回収する回収装置およびその回収方法において、熱的に安定な蒸発条件下で目標の残存揮発成分量に至るまでの操作を回分的または連続的に行い、揮発成分蒸発後の容器から受器に直接またはその他の方法で流下させることにより、バルク状含フッ素ポリマーを高純度で回収する装置およびその回収方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、含フッ素ポリマー溶液からの含フッ素ポリマー回収方法であって、含フッ素ポリマー溶液が相分離する最低の温度以上かつ揮発成分の沸点以上でしかも該揮発成分の分解点以下の温度で加熱して揮発成分を蒸発させて除去し、揮発成分蒸発後のバルク状含フッ素ポリマーを溶融して受器に流下させる含フッ素ポリマー回収方法(以下、回収方法ともいう)を提供する。
また、本発明は含フッ素ポリマー溶液からの含フッ素ポリマー回収装置であって、含フッ素ポリマー溶液を保持し加熱しうる容器と、該容器を含フッ素ポリマー溶液が相分離する最低の温度以上かつ揮発成分の沸点以上でしかも該揮発成分の分解点以下の温度に加熱する加熱手段と、該容器から蒸発する揮発成分を系外に除去する手段と、揮発成分を蒸発させて得られるバルク状含フッ素ポリマーを溶融する加熱手段と、溶融により流下するバルク状含フッ素ポリマーを収容する受器とを備える含フッ素ポリマー回収装置(以下、回収装置ともいう)を提供する。
【0006】
本発明の回収方法としては、揮発成分蒸発後の容器を上下反転させて受器に流下させること(以下、バッチ式ともいう)によるバルク状含フッ素ポリマー回収方法、または、揮発成分蒸発後の容器を容器から受器に連続的に流下させること(以下、連続式ともいう)によるバルク状含フッ素ポリマー回収方法が好ましい。以下、図2および図3を用いて、上記バッチ式および連続式の回収方法および回収装置を説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を好適な態様を示した図面を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。特に、表示する数字は実験室的な規模の一例を示したもので、もとよりこれらに限定されない。バッチ式の回収装置の一例を図2に示す。この回収装置の例では、含フッ素ポリマー溶液10を保持し加熱しうる容器11を備えている。容器11の形状はボトル状、円筒状等であり、具体的には、平底フラスコ、ナス型フラスコ、丸底フラスコが挙げられるが、蒸発操作前の含フッ素ポリマー溶液10が収容可能でポリマー溶液を収容して容器外から加熱できる形状および容積であれば、これに限定するものではない。また、容器11を回転して内容物を搬出するために容器11を把持する把持具とそれに連結された固定軸を有し、この固定軸とともに容器11を回転させるために回転させる装置が備えられていてもよい。
【0008】
この回収装置の例では、上記容器11を、含フッ素ポリマー溶液が相分離する最低の温度以上かつ揮発成分の沸点以上でしかも該揮発成分の分解点以下の温度で加熱するための加熱手段12を備える。加熱手段12として、電気ヒーター、スチーム、電磁誘導等を有する温度調節機能付オーブンが挙げられる。流下速度安定の理由から電気ヒーターを有する温度調節機能付オーブンが好ましい。したがって、上記容器11は温度調節機能付オーブン内で加熱されるのが好ましく、さらに減圧装置が付いているオーブンが好ましい。
また、この回収装置の例では、上記容器11から蒸発する揮発成分を系外に除去する手段を有する。該除去手段は、不活性ガスの充填および流通等のガス供給手段、真空ポンプを用いる減圧手段でもよく、容器を収納し加熱手段を備えたハウジング上部の出口であってもよい。
また、揮発成分を蒸発させて得られるバルク状含フッ素ポリマー13を溶融する加熱手段を備えることが好ましく、前述の容器11の加熱手段12で兼用してもよい。
【0009】
溶融により流下するバルク状含フッ素ポリマー13を収納する受器14は、揮発成分蒸発後のバルク状含フッ素ポリマー13を容器11から回収するための器であり、受器14の形状が円筒状であることが、器からの離型性という理由から好ましい。受器14の材質は金属、石英、ガラス、またはフッ素樹脂であることが好ましく、フッ素樹脂製であることがより好ましく、PFA樹脂製であることがさらに好ましい。
【0010】
次に連続式の回収装置の一例を図3に示す。この回収装置の例では、含フッ素ポリマー溶液20を保持する貯留槽26を備えており、貯留槽26は加熱操作前の含フッ素ポリマー溶液20を貯留している。
貯留槽26中の含フッ素ポリマー溶液20は定量ポンプ25または定量コック等で供給量を調節され、溶液が蒸発部上部に滴下されるように連続的に滴下部21a中へ供給される。滴下部21aは含フッ素ポリマー溶液20が供給される上方開口30と揮発分を除去されたバルク状含フッ素ポリマー23が排出される下方開口31を有し、さらに揮発成分を滴下部21a外に排出する排出部32を有する。含フッ素ポリマー溶液20は蒸発部21bに流下する間に加熱され揮発分の一部が除去される。
揮発分の一部が除去された含フッ素ポリマー溶液20は、滴下部21aの下方開口31より流下して、蒸発部21bに移行する。蒸発部21bは全体が傾斜を有する流路から形成されていて、上方に揮発成分の排出口33を備え、下方に揮発分を除去されたバルク状含フッ素ポリマー23を回収する流下口34を有する。
【0011】
上記滴下部21aおよび蒸発部21bは温度調節可能な加熱装置の中に配置される。加熱条件は溶媒と含フッ素ポリマーとが相分離する温度の最低温度以上かつ揮発成分の沸点以上でしかも該成分の分解点以下の温度とし、加熱手段22として電気ヒーター、スチーム、電磁誘導等を有する温度調節機能付オーブンが挙げられ、蒸発の安定化という理由から電気ヒーターを有する温度調節機能付オーブンが好ましい。また、加熱手段22の上部には、含フッ素ポリマー溶液20を定量ポンプ25にて連続的に滴下部21a中へ供給するための開口部を有している。該開口部と定量ポンプ25との間は図示しない管により連結されている。さらに、オーブンには減圧装置が備えられているのが好ましい。
【0012】
上記滴下部21aおよび蒸発部21bから蒸発する揮発成分を系外に除去する手段として、不活性ガスの充填および流通等のガス供給手段、真空ポンプを用いる減圧手段を用いてもよく、系上部の出口のみでもよい。
また、揮発成分の蒸発は、蒸発部21bの傾斜平面上で徐々に行われ、バルク状含フッ素ポリマー23は流下していく状態とされるのが好ましいが、バルク状含フッ素ポリマー23が固化してしまい流下しない時は補助的に加熱することが好ましく、加熱手段を蒸発部21bに付加的に設けてもよい。
【0013】
溶融により流下するバルク状含フッ素ポリマー23を収納する受器24は、蒸発部21bの流下口34より流下する揮発成分蒸発後のバルク状含フッ素ポリマー23を回収するための器であり、該受器の形状は、バッチ式で説明したものと同様である。
【0014】
具体的な、バッチ式の操作例を以下に示す。
含フッ素ポリマー溶液10は、溶剤可溶な含フッ素ポリマーを5〜50質量%、好ましくは5〜15質量%の濃度となるように溶媒に溶解させたものである。
バッチ式の回収方法としては、まず、含フッ素ポリマー溶液10が入った容器11(丸底フラスコ;全容量:1.5リットル、口径:15mm)を加熱手段12(減圧オーブン;高さ:1500mm、横: 800mm、奥行:800mm)の中に静置する。
次に、揮発成分の蒸発操作を加熱手段12内を常圧下、160〜180℃に保温し、一定時間不活性ガス流通下で行い、揮発成分を蒸発させ、85〜90質量%の濃度まで含フッ素ポリマー溶液10を濃縮する。
その後、不活性ガスの流通を止め、加熱手段12内を250〜270℃により保温し、圧力を1. 5×105 〜1. 0×10-2Paとして、残存揮発成分量が1質量%以下の濃度になるまで、含フッ素ポリマー溶液10を濃縮する。
残存揮発成分量が1質量%以下まで濃縮された後、バルク状含フッ素ポリマー13が入った容器11を上下反転させた状態で固定し、その下部には円筒状の形状を有する受器14(全容量:0. 2リットル、口径:20mm)を設置する。
設置後、加熱手段12内の温度を250〜270℃へ昇温させ、圧力を1〜0. 01Paの減圧下において、5〜25時間静置する。冷却後、バルク状含フッ素ポリマー13を受器14に流下させて回収する。バッチ式の回収方法は、上記方法により含フッ素ポリマーを回収する方法である。
ここで、加熱手段12内の温度および圧力について、用いる揮発成分の沸点に応じて選定可能であり、また装置も本発明の構成を満たしていれば、図2に示した装置に限定されない。
【0015】
次に、具体的な、連続式の操作例を以下に示す。
連続式の回収装置は、滴下部21a(容量:4リットル、径:180mm)、蒸発部21b(容量:6リットル、径:50〜90mm)、および円筒状の形状を有する受器24(全容量:0. 2リットル、口径:20mm)を加熱手段22の中に図3に例示するように配置される。
連続式の回収方法について、予め加熱手段22内を250〜270℃に加熱し、内圧力を1〜0. 01Paの減圧下とする。含フッ素ポリマー溶液10と同じ含フッ素ポリマー溶液20を定量ポンプ25にて、30〜50g/分の速度で連続的に粗脱溶媒工程を行うための滴下部21aの上部より供給する。
含フッ素ポリマー溶液20は、滴下部21aに供給された後、滴下部21a内において、揮発成分が揮発方向Xに蒸発する。一方、含フッ素ポリマー溶液20の残存揮発成分は含フッ素ポリマー溶液20の進行方向Yに流下することで、精密脱溶媒工程を行う蒸発部21bに移行される。蒸発部21b内において、含フッ素ポリマー溶液20の残存揮発成分中の揮発成分は揮発方向Zに蒸発する。バルク状含フッ素ポリマー23は進行方向Wに移動し、蒸発部21bの下部に位置する円筒状の形状を有する受器24により回収される。
ここで、加熱手段22内の温度および圧力について、用いる揮発成分の沸点に応じて選定可能であり、また装置も本発明の構成を満たしていれば、図3に示した装置に限定されない。
【0016】
本発明において、含フッ素ポリマーとしては、溶剤に可溶なパーフルオロポリマーであることが好ましく、含フッ素脂肪族環構造を主鎖に有するパーフルオロポリマーがより好ましい。具体例としては、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテル(以下、PBVEという)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジメチルジオキソラン共重合体が挙げられる。ポリマーの光学物性、機械物性、および成形加工性等の点でPBVEが好ましい。
【0017】
前記含フッ素ポリマーを溶解する溶剤として、フッ素系不活性液体(商品名:フロリナート、スリーエム社製)が挙げられる。具体的には、パーフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン)(商品名:FC−77、住友スリーエム社製、沸点:97℃)、パーフルオロ−n−オクタン(商品名:PF−5080、住友スリーエム社製、沸点:102℃)、パーフルオロ−n−ヘキサン(商品名:FC−72、住友スリーエム社製、沸点:56℃)が挙げられ、これらの各溶剤は単独で使用することができるほか、2種以上も併用できる。
含フッ素ポリマーを上記溶媒に溶解させる際の該溶媒に対するポリマーの濃度は、0. 01〜80質量%の溶液であることが好ましく、より好ましくは、5〜50質量%である。
また、上記溶剤のうち、PBVEを溶解する溶媒としては、パーフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン)とパーフルオロ−n−オクタンとの混合溶媒が、PBVEに対する溶解性が非常に高く、またPBVEに含有されるコンタミに対しては溶解性が低い、すなわちコンタミを濾過で除去しやすいことから好ましい。
上記した溶媒は、含フッ素ポリマーを溶解させる好ましい例であり、本発明で、含フッ素ポリマーを溶液として溶解する溶媒に特に制限はなく、ある温度下において溶解可能な溶媒であれば使用可能である。
【0018】
本発明で用いる含フッ素ポリマー溶液は、本発明の回収方法で処理される前に、充填塔による吸着工程を経て、高度に吸着精製されていることが好ましい。吸着精製材料の種類としては活性炭、活性白土、合成吸着剤、シリカゲルが挙げられ、酸吸着能およびアルカリ吸着能に応じて選定可能である。また、含フッ素ポリマーがパーフルオロポリマーの時は、合成吸着剤(合成アルミナマグネシア)(商品名:キョーワード2000、協和化学工業社製)を充填剤に用いることが、フッ酸および着色物質の除去が可能であることから好ましい。
精製条件として、精製処理温度は、−10〜100℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。精製材料の添加量は、処理する含フッ素ポリマー溶液の0.1〜15質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。また、精製装置の形状としてはカラム式、溶液分散/濾過式、多段流通式などが適用可能である。
【0019】
また、本発明で用いる含フッ素ポリマー溶液は、本発明の回収方法で処理される前に濾過処理を経ているものが好ましい。溶液を濾過する際の濾材はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブランフィルターが好ましく、その孔径は(公称孔径で)0.5μm以下が好ましく、0.05〜0.1μmのフィルターがより好ましい。
また、本発明で用いる含フッ素ポリマー溶液は、該濾材により少なくとも1段、好ましくは2段以上の濾過処理を行なうことにより溶液中の微細な異物を除去することが、ポリマーの品質を光学的に高くできて好ましい。
【0020】
本発明における揮発成分とは、上記溶媒、および含フッ素ポリマーに含まれる残存モノマー等の揮発性不純物である。
【0021】
本発明の含フッ素ポリマーの回収方法において、揮発成分を蒸発させる際の温度は、含フッ素ポリマー溶液が相分離する最低の温度以上かつ揮発成分の沸点以上でしかも揮発成分の分解点以下であることが好ましい。
ここで、含フッ素ポリマー溶液の相分離現象について、図1に示す該相分離現象を表す相図を用いて説明する。図1は相図であり、縦軸は温度、横軸はポリマー濃度(質量%)を表し、D1 〜D3 は均一領域であり、Cは相分離領域である。相分離する最低の温度以下の領域であるD2 においては、含フッ素ポリマー溶液は任意の濃度において均一な溶液である。しかし、ある温度以上においては、ある濃度の溶液は均一な溶液としては存在できない。例えば以下に相分離する温度Eにおいてのポリマー溶液の挙動について説明する。溶液濃度がA点(温度Eにおける相分離時の希薄溶液側濃度を示す点)より薄い濃度である領域(D1 )、および、B点(温度Eにおける相分離時の濃縮溶液側濃度を示す点)より濃い濃度である領域(D2 )においては溶液は均一な溶液である。しかしA点とB点の間の濃度であった溶液を温度Eまで加熱したとすると、溶液は相分離してA点の濃度の希薄溶液とB点の濃度の濃縮溶液に相分離する。
実際の溶液を観察したとすると、加熱された溶液中から、濃縮された液滴が出現し比重差により落ちていく様子が見られる。すなわち溶液は不均一となる。溶液が均一な状態であると、溶液は沸騰のきっかけを失い突沸を起こしやすい。特に溶液が高度に精製され沸騰の核となる不純物を含まない場合には非常に突沸が起こりやすい。しかし相分離により溶液が不均一であると、不均一な場所(先の例では液滴が出現した場所)は相分離に伴う対流が起こる、分離した希薄溶液は周囲の溶液よりポリマー濃度が薄いため沸点が低下するなどの問題により沸騰のきっかけとなりやすい。すなわち溶液が相分離する場所には突沸が起こりにくい。したがって、この相分離現象を利用することにより安定かつ短時間で溶媒等の揮発成分の蒸発が可能となる。
【0022】
次に、分解点とは、単一組成の物質を加熱したとき、ある一定の温度あるいは温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度である。揮発成分を蒸発させる際の温度範囲が、上記した揮発成分および含フッ素ポリマーの相分離現象が生起する温度以上かつ揮発成分の沸点以上でしかも揮発成分の分解点以下であることが好ましい。分解点以下であることは、分解に伴う不純物、有毒物質の発生が制御される点から好ましい。
【0023】
揮発成分を蒸発させる際の温度が、含フッ素ポリマー溶液が相分離する最低の温度以上かつ揮発成分の沸点以上でしかも揮発成分の分解点以下であると、沸騰が安定に起きるため突沸がなく、揮発成分の蒸発が速い。好ましくは含フッ素ポリマーがPBVEであり、溶剤がパーフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン)である。含フッ素ポリマー溶液が相分離する最低の温度は145℃であり、揮発成分を蒸発させる温度は145℃以上が好ましい。
また、パーフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン)1800gに、PBVEを200g含むポリマー溶液では、実験室レベルにおいて、6時間で10質量%から64質量%にまで濃縮される。
【0024】
本発明の含フッ素ポリマーの回収方法において、揮発成分を蒸発させる際の圧力は、用いる揮発成分の沸点に応じて選定可能であるが、具体的には1. 5×105 〜1. 0×10-2Paの範囲が好ましく、より好ましくは1〜0. 01Paの範囲で選定可能である。
【0025】
また、揮発成分の蒸発操作の初期においては、常圧において、一定時間不活性ガス流通下で蒸発させることも好ましい。常圧下、ガス流通下における加熱蒸発操作では、突沸を制御しやすく安定な蒸発が実施でき好ましい。さらに、その後の蒸発操作において、減圧下で一定時間蒸発させた後、残存揮発成分量を1質量%以下にすることが好ましく、より好ましくは0. 1質量%以下である。1質量%以下であれば、光学樹脂として利用する際の加熱工程時の発泡を防ぐことができる。
【0026】
本発明の含フッ素ポリマーの回収装置において、含フッ素ポリマー溶液を保持し加熱しうる容器の材質は金属、石英、またはガラスであることが好ましい。連続的な使用を行なうには耐食性能を有する金属が好ましく、また、SiO2 純度99%以上の石英製で内面がフッ酸によるエッチングが施された状態にある容器も好ましい。フッ酸でエッチングされていると回収される含フッ素ポリマー中にSiの含有量をごく少量に抑えられる。
【0027】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。本発明はこれら実施例に限定されない。
(実施例1)
パーフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン)(商品名:フロリナートFC−77、住友スリーエム社製)1800gにPBVE200gを溶解して濃度が10質量%の含フッ素ポリマー溶液(以後、溶液Aと略す)を調整した。調整後に、0.1μmのPTFE製メンブランフィルターを2回通し精密濾過を行なった。溶液Aを純度99.9%以上の石英で構成されるボトル状容器(容量:2L)に入れ、溶媒の蒸発を行うため180℃に保温された減圧オーブンに入れ、0.1L/分の窒素ガスを流通させた。6時間後の該溶液の含フッ素ポリマー濃度は95質量%であった。
その後、窒素ガスの流通を止め、オーブン内を3Paの減圧とし、同時に250℃へと昇温させ20時間静置した。この時の溶液Aの濃度は99.99質量%まで上昇した。溶媒の蒸発が終了したボトル状容器を反転させた状態で減圧オーブン内に固定し、その下部にφ20mmのPFA製円筒状受器を設置し、オーブン内の温度を270℃へ昇温させ、圧力を2Paの減圧として20時間静置した。冷却後、回収されたロッド状PBVEは重量298g、長さ498mmの無色透明体であった。暗所で赤色レーザー光を用いて、得られたPBVEの異物の有無を観察したが、異物は見られずレーザー光の散乱光も見られなかった。
【0028】
(実施例2)
パーフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン)(商品名:フロリナートFC−77、住友スリーエム社製)5400gにPBVE600gを溶解して濃度が10質量%の含フッ素ポリマー溶液(以後、溶液Bと略す)を調整した。調整後に合成吸着剤(合成アルミナマグネシア)(商品名:キョーワード2000、協和化学工業社製)300gを充填したカラムを通じて0.1μmのPTFE製メンブランフィルターで精密濾過を行なった。
さらに、予め230℃に予熱された減圧オーブンに純度99.9%以上の石英で構成されるボトル状多段容器を固定し、その下部にφ20mmのPFA製円筒状受器を設置した。減圧オーブン内圧力を2Paの減圧としたところで溶液Bを定量ポンプにて67g/分の速度で連続的に供給した。1.5時間後に溶液Bの供給を止め、冷却後に回収されたロッド状含フッ素ポリマーは重量304g、長さ507mmの無色透明体であった。
【0029】
(比較例1)
実施例1と同様に調整、精密濾過した溶液を、石英製ボトル状容器に入れた。この溶液入り容器を95℃に保温された減圧オーブンに入れ、0. 1L/分の窒素ガスを流通させた。6時間後に該溶液は発泡しないままであり、濃度は72質量%であった。その後、減圧オーブンを減圧にしたところ、突沸が起こり、含フッ素ポリマーのほとんどが容器からあふれ出し、回収できなかった。
【0030】
【発明の効果】
本発明の含フッ素ポリマーの回収装置および回収方法により、高純度かつ高精製度な含フッ素ポリマーを回分、または連続的に回収することが可能となり、電子材料、光学材料等の精製および回収方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 含フッ素ポリマー溶液の相分離現象を表す相図である。
【図2】 バッチ式のポリマー回収装置を説明する模式図である。
【図3】 連続式のポリマー回収装置を説明する模式図である。
【符号の説明】
A:温度Eにおける相分離時の希薄溶液側濃度を示す点
B:温度Eにおける相分離時の濃縮溶液側濃度を示す点
C:相分離領域
1 、D2 、D3 :均一領域
E:相分離する温度
10、20:含フッ素ポリマー溶液
11:容器
12、22:加熱手段
13、23:バルク状含フッ素ポリマー
14、24:受器
21a:流下部
21b:蒸発部
25:定量ポンプ
26:貯留槽
30:上方開口
31:下方開口
32、33:排出口
34:流下口
X、Z:揮発方向
Y:ポリマー溶液の進行方向
W:バルク状含フッ素ポリマーの進行方向

Claims (10)

  1. 含フッ素ポリマー溶液からの含フッ素ポリマー回収方法であって、含フッ素ポリマー溶液が相分離する最低の温度以上かつ揮発成分の沸点以上でしかも該揮発成分の分解点以下の温度で加熱して揮発成分を蒸発させて除去し、揮発成分蒸発後のバルク状含フッ素ポリマーを溶融して受器に流下させる含フッ素ポリマー回収方法。
  2. 前記含フッ素ポリマーが、パーフルオロポリマーである請求項1に記載の含フッ素ポリマー回収方法。
  3. 前記揮発成分を蒸発させる際の圧力が1. 5×105 〜1. 0×10-2Paである請求項1または2に記載の含フッ素ポリマー回収方法。
  4. 前記揮発成分を、常圧において不活性ガス流通下で蒸発させ、その後減圧下で蒸発させて、含フッ素ポリマー中の残存揮発成分量を1質量%以下にする請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素ポリマー回収方法。
  5. 前記含フッ素ポリマー溶液を容器内で加熱して揮発成分を蒸発させ得られたバルク状含フッ素ポリマーの入った容器を上下反転させ、バルク状含フッ素ポリマーを溶融して受器に流下させる請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素ポリマー回収方法。
  6. 前記含フッ素ポリマー溶液を滴下しつつ加熱し揮発成分を除去し、揮発成分蒸発後のバルク状含フッ素ポリマーを傾斜平面上に堆積させ、バルク状含フッ素ポリマーを溶融して傾斜平面上を流下させバルク状含フッ素ポリマーを連続して回収する請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素ポリマー回収方法。
  7. 含フッ素ポリマー溶液からの含フッ素ポリマー回収装置であって、含フッ素ポリマー溶液を保持し加熱しうる容器と、該容器を含フッ素ポリマー溶液が相分離する最低の温度以上かつ揮発成分の沸点以上でしかも該揮発成分の分解点以下の温度に加熱する加熱手段と、該容器から蒸発する揮発成分を系外に除去する手段と、揮発成分を蒸発させて得られるバルク状含フッ素ポリマーを溶融する加熱手段と、溶融により流下するバルク状含フッ素ポリマーを収容する受器とを備える含フッ素ポリマー回収装置。
  8. 前記容器の材質が金属、石英、またはガラスである請求項7に記載の含フッ素ポリマー回収装置。
  9. 前記容器が石英製であり、かつ内面がフッ酸でエッチングされている請求項7に記載の含フッ素ポリマー回収装置。
  10. 前記受器の形状が円筒状であり、かつ材質が、金属、石英、ガラス、またはフッ素樹脂である請求項7〜9のいずれかに記載の含フッ素ポリマー回収装置。
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