JP4644172B2 - 廃タイヤの熱分解処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、廃タイヤの熱分解処理方法に関し、詳しくは、廃タイヤの熱分解処理で得られる油の引火点を制御する方法に関する。
近年、廃タイヤを含む廃ゴムや、廃プラスチックに代表される高分子含有の廃棄物をリサイクルする技術は、資源の有効活用の観点で注目されている。高分子含有の廃棄物を熱分解する際に、発生する高温ガスを冷却して凝縮し液状の油分を得て、これを燃料等として用いることができる。しかし、凝縮した油分には、低沸点成分が含まれるため、引火点が高くなり、取り扱いが難しいという問題がある。
特許文献1では、廃プラスチックを溶融すると、低沸点成分が含有されて、引火点が0℃以下になることがあり、輸送・保管が難しくなるという問題に対して次のような構成を提案している。ガス状廃プラスチック熱分解物を凝縮してオイル回収槽に供給し、オイル回収槽では回収ゾーンから隔壁で区切られたストリッピングゾーンに連通部を経て熱分解物が供給され、ストリッピングゾーンでは窒素ガスが供給されて熱分解物のうち低沸点成分が除去される。そして、ストリッピングゾーンから生成オイルが排出され、低沸点成分を含有する窒素ガスは排管によって低沸点成分凝縮槽に供給され、冷却されて分離された窒素はストリッピングゾーンに循環して再度供給され、低沸点成分は熱分解釜の燃料として用いられる。
特許文献2では、廃プラスチックと重質油を加熱処理してアスファルトを製造する方法が提案され、加熱槽に廃プラスチックと重質油が供給され、液化されたものが抽出され、アスファルトになる。加熱槽からのガスは、凝縮器に供給され、冷却されて油分が回収され、低沸点成分のガスはガス処理設備に供給される。加熱槽内に窒素ガスを吹き込んで、ストリッピングして、低沸点成分を排除して、凝縮器に供給してもよいと提案されている。
特許文献3の構成では、熱分解槽に高分子を供給し、発生したガスを冷却凝縮器で凝縮し、気液分離槽に液体を供給する。気液分離槽からの液体成分の一部を冷却器で冷却して冷却凝縮器に供給することで、管壁の汚れが除去されると提案されている。また、特許文献3の図2の例では、気液分離槽の第1室aに凝縮成分を供給し、第1室aの底部から重量のある成分を排出する。低比重成分は、第1室aの上から第2室bに移動して、ガス分散されながら、液状成分は底部から排出され、低比重成分はガスとともに上部から排出される。第2室bからの排出液の一部を冷却器で冷却して、気液分離槽の上部から飛散する。また、第2室bでは、ガス分散手段によって、ストリッピングがなされ、低沸点成分の蒸散が行われると提案されている。
また、熱分解で発生する高温ガスには、炭素等の固形分が含まれ、これが配管等に詰まることがあるという問題がある。これに対して、特許文献4の廃棄物を熱分解処理する方法では、冷却洗浄塔に高分子の熱分解物を供給し、冷却洗浄塔下部の循環油槽の液状物をシックナに供給し、シックナで精製した液状分を冷却して、冷却洗浄塔の上部から散布し、これによって、油状蒸気が循環油槽に凝縮される。シックナからの泥しょうは、遠心分離して炭素分を取り除いて浄化し、サージタンクに貯留し、サージタンクから循環油槽に液体を循環させる。循環油槽とサージタンクの液面を一定に保つことで、循環油の炭素濃度を許容限度に保つことができる。そして、余剰の循環油はサージタンクから低カーボンの重質油として排出される。
特許3500487号公報 特開2000−169856号公報 特許3608583号公報 特開昭53−25973号公報
上述した特許文献1の構成では、ストリッピングガスがオイル回収槽に供給され、ストリッピングガスに含まれる低沸点成分を凝縮槽で凝縮し分離してから、ストリッピングガスを再利用してオイル回収槽に再度供給する。ストリッピングガスに含まれる低沸点成分は冷却しても完全に凝縮して分離することができるわけではないため、オイル回収槽には低沸点成分が残ってしまうという問題がある。
また、特許文献2の構成では、加熱槽にストリッピングガスが供給されるため、ストリッピングガスと加熱槽内の廃プラスチックや重質油から発生するガスが、ともに凝縮器に供給される。そのため、ストリッピングガスを単独で回収することが難しい。
特許文献3の構成では、ガス分散手段によって蒸散した非凝縮ガスは、気液分離装置内で上昇するにつれて、再び冷却されて凝縮し、装置内を循環してしまうため、装置内の低沸点成分を除去しにくいという問題がある。
特許文献4の構成では、循環油から炭素分を取り除くことができるが、低沸点成分を取り除くことができないため、生成油の引火点が低くなるという問題がある。また、循環油槽にストリッピングガスを送り込むと、低沸点成分を含んだガスが上昇して、低沸点成分が冷却管で冷却されて、再度、循環油槽に凝縮する可能性があり、また、ストリッピングガスが廃棄物から発生する低沸点成分を直接吸収し、循環油槽の液状物から低沸点成分を吸収しにくい。
本発明の目的としては、上述した問題点を解決することであり、廃タイヤを熱分解した場合に得られる第三石油類に相当する引火点を有する油を安定的に製造するとともに、油の粘度を低く抑えることである。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 廃タイヤの熱分解で発生するガスを冷却装置冷媒により冷却することにより、前記ガスに含まれる油を導入管を介して、前記冷却装置の油溜め部に回収する工程と、前記冷却装置の油溜め部の油の一部を冷却し前記冷却装置内に前記冷媒として循環させ前記ガスと接触させる工程と、前記冷却装置の前記油溜め部の油の一部を取り出して、固体粒子除去装置に供給することにより固体粒子不純物を除去して油を清浄化する工程と、前記清浄化した油を貯留装置で貯留する工程と、前記貯留装置内の油の一部を前記冷却装置の前記油溜め部に循環させる工程と、を有し、前記貯留装置から前記冷却装置に循環される油の流量を制御することにより、前記冷却装置の前記油溜め部の油の液面レベルを前記導入管の導入口よりも高い位置に制御、前記貯留装置内の油に不活性ガスを吹き込み、前記不活性ガスの体積流量を前記固体粒子除去装置へ供給する油の体積流量に対して20倍以上とし、かつ、前記固体粒子除去装置へ供給する油の体積流量を前記冷却装置内で回収する油の体積流量に対して3〜16倍とすることを特徴とする廃タイヤの熱分解処理方法。

)上記(1)において、前記貯留装置内の油の温度を100℃以上とすることを特徴とする。
)上記(1)又は(2)において、前記貯留装置から排気されるガスを凝縮して油と排ガスに分離し、前記排ガスを前記高分子廃棄物の熱分解の燃料として使用することを特徴とする。
)上記(1)から()のいずれかにおいて、前記冷却装置内の油の温度を120〜150℃とすることを特徴とする。
本発明によれば、廃タイヤを熱分解した場合に得られる第三石油類に相当する引火点を有する油を安定的に製造する方法を提供するとともに、油の粘度を低く抑えることができる。
以下、本発明の一実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態の処理フローを示す図である。
図1に示す例では、高分子廃棄物1がロータリーキルン2に供給されて熱分解され、熱分解で発生する高温ガス11が1段目の冷却装置3に供給される。高分子廃棄物1としては例えば廃タイヤを含む廃ゴムや廃プラスチック等であり、その他種々の材料を適宜選択することができる。廃タイヤは処理中に油が変質しやすく、本実施の形態の方法が特に有効である。また、ロータリーキルン2としては、外気の侵入を遮断した外熱方式ロータリーキルンを用いることで、回収する熱分解ガスの発熱量を高位に維持することができる。また、ロータリーキルン以外にも、バッチ式の乾留炉等を適宜選択することができる。
冷却装置3では、上部から高温ガス11が供給され、高温ガス11に含まれる油が冷却されて凝縮し下部の油溜め部3aに回収される。そして、油溜め部3aの油12の一部が熱交換器4に供給され、油12の温度が高温ガス11より低くなるように熱交換される。そして、熱交換器4から排出される冷却用油13が冷却装置3の上部から高温ガス11の供給口の付近に向けて噴霧される。これによって、高温ガス11が冷却用油13によって効率よく冷却されながら凝縮される。
冷却装置3の油溜め部3aの底部から油12の一部を固体粒子除去装置5に供給し清浄化する。固体粒子除去装置5では油に含まれる固体分が除去され、スス成分等の不純物が低下し、また、油の経路の配管等に油の固体分が詰まることを防止する。固体粒子除去装置5としては遠心分離機等を適宜採用することができる。
固体粒子除去装置5で固体分を除去し清浄化した油14を貯留装置としての貯留タンク6に供給する。貯留タンク6に貯留された油は、一定量貯留された後に、製造油タンク7に移送され、製造油として貯留される。また、貯留タンク6内に貯留された油の一部を冷却装置3内の油溜め部3aに循環させる。これによって、後述するように、冷却装置3及び貯留タンク6内の油の液面レベルを制御することができる。
上述した一連の工程では、冷却装置3内の油の液面レベルを制御する。冷却装置3内で油溜め部3aに回収される油の流量と、油溜め部3aから固体粒子除去装置5に供給される油の流量とによって、冷却装置3内の油の液面レベルは変化する。液面レベルが低下するときは、貯留タンク6から油溜め部3aに循環される油15の流量を増加させ、液面レベルが上昇するときは、貯留タンク6からの油溜め部3aに循環される油の流量15を減少させることで、冷却装置3内の油の液面レベルを制御することができる。液面レベルは例えば貯留タンク6にセンサーを設けて測定することができる。
高分子廃棄物の処理速度に応じて、高温ガス11から回収される油12の流量は変化する。この流量は、貯留タンク6の液面レベルと冷却装置3の液面レベルを一定に制御することで、製造油タンク7に供給される油の流量に等しくなる。このように、高温ガス11から回収される油と同量の油が製造油タンク7に供給される。
貯留タンク6内の油には不活性ガス16が底部から吹き込まれ、油に含まれる低沸点成分が不活性ガス16に揮発して、ストリッピングされる。そして、不活性ガス16とこれに随伴する低沸点成分は貯留タンク6の上部から排気される。不活性ガスとしては、工業的に窒素ガスを用いることが好ましく、他にも水蒸気や炭酸ガス等適宜選択することができる。
冷却装置3で回収された油12の引火点は低く70℃未満であるため、貯留タンク6内の油に不活性ガス16を吹き込んで低沸点成分を除去し貯留タンク6内の油の引火点を上昇させるように制御する。貯留タンク6内の油の引火点は70℃以上になるように制御するとよい。70℃以上であれば、第三石油類としての特性を維持することができる。
これに対し、不活性ガスを冷却装置3内の油溜め部3aに吹き込む場合では、不活性ガスは油溜め部3aを通過してから上部の高温ガス11が満たされている空間にさらされるため、油溜め部3aの低沸点成分の他に、高温ガス11からの低沸点成分まで随伴することになり、油溜め部3aの油の低沸点成分の除去量が低下することがある。また、冷却装置3内で冷却用油13を噴霧する際に、同様に冷却装置3の上部から不活性ガスを吹き込む場合では、不活性ガスは高温ガス11から低沸点成分を受け取り、その後に油溜め部3aの油に吹き込まれるため、油溜め部3aの油の低沸点成分の除去量が低下することがある。このように、冷却装置3側で不活性ガスを用いると、油溜め部3aの油の低沸点成分の濃度を低下させにくく、油の引火点が上昇しにくい。
また、貯留タンク6に供給される油中には油の粘度を高める物質が存在すること、及び、この油中に存在する油の粘度を高める物質は、不活性ガス16を吹き込んだ際に不活性ガス16側へ除去される低沸点成分中に含まれていることを見出した。そこで、貯留タンク6に不活性ガス16を吹き込むことで、粘度を高める物質を除去することができ、その結果、油の粘度を低く抑えることができる。
不活性ガス16を貯留タンク6内の油に吹き込む体積流量を油を固体粒子除去装置5に供給する体積流量に対して20倍以上とする。これによって、貯留タンク6内の油の低沸点成分を不活性ガス16に効率よく随伴させて除去することができ、循環油の引火点を上昇させ70℃以上とすることができる。
貯留タンク6内の油は循環しているため流動しており、この循環油の流量によって不活性ガスが低沸点成分を除去する効率が変化する。この循環油の流量は固体粒子除去装置5に供給される体積流量に連動するため、この体積流量を基準として不活性ガスの吹き込み量を特定している。
不活性ガスへ揮発する低沸点成分の量が一定していることと、油の引火点と油中の低沸点成分の含有量とは概ね比例関係があることを実験によって知見した。このことから、不活性ガスの体積流量を循環油の体積流量の20倍以上とすれば、油中の低沸点成分が一定量以上除去され、循環油の引火点をさせて70℃以上とすることができることを見出した。
また、貯留タンク6内の油の温度を100℃以上とすることが好ましい。これによって、貯留タンク6内の油に含まれる水分が蒸発し、水分を排ガスとともに排気でき、最終的な製造油への水分の混入を防ぐことができる。
貯留タンク6から排気される排ガス17は、冷却部8で冷却されて凝縮され、油とガスに分離される。しかし、不活性ガス16に随伴した低沸点成分は完全には凝縮しないことを知見した。これより、この冷却部8では貯留タンク6からの排ガス17中の低沸点成分が完全に凝縮しないため、冷却処理後の排ガス19には低沸点成分が含まれる。そのため、この排ガス19は、発熱性があり、燃料として価値があるため、ロータリーキルン2の燃料として使用することで、冷却部8で排ガス17から凝縮回収されない低沸点成分を有効利用することができる。
冷却部8で分離され回収された油は、低沸点成分を多く含むため、軽質油として利用される。この回収された油は、軽質油/水分離装置9に供給され、水分が分離され、軽質油18として供給される。軽質油/水分離装置9で分離される水分を、冷却部8の上部から直接噴霧することで、貯留タンク6からの排ガス17を効率的に冷却し凝縮することができる。
また、油を固体粒子除去装置5に供給する体積流量を、高温ガス11から油を回収する体積流量に対して3〜16倍とする。これによって、固体粒子除去装置5での固体分の除去と、貯留タンク6から冷却装置3に循環する油量とを調整して、貯留タンク6内の油の引火点を70℃以上に安定して制御することができる。
すなわち、この範囲では、高温ガス11から油溜め部3aに回収される油量よりも、油溜め部3aから固体粒子除去装置5に供給される油量が多くなり、油溜め部3aには、液面レベルを制御するように貯留タンク6から油が循環される。このときに、3倍未満の流量では、固体粒子除去装置5で固体粒子の除去量が低下し、油の清浄性が低下することがある。16倍を超える流量では、貯留タンク6内で不活性ガス16に随伴されて低沸点成分が除去された油が、再び冷却装置3に循環する流量が増加し、冷却装置3内で再び低沸点成分と接触して、低沸点成分の再吸収が起こり、貯留タンク6に供給される油14の低沸点成分の濃度が低下しにくく、油の引火点が上昇しにくいという問題が発生する。
冷却装置3で高温ガス11を冷却するときに、室温まで冷却すると、回収される油12の引火点が0℃以下になり、引火の危険性が高く、工業規模で取り扱いしにくくなる。そのため、冷却装置3内の油の温度は、120〜150℃とすることが好ましい。この範囲内であれば、冷却装置3内の油12の引火点が50〜70℃になる。また、冷却装置3内の油12の引火点が上昇することで、貯留タンク6での不活性ガス16の使用量を減らすことが可能になる。なお、冷却装置3内の油の温度が120℃以下であると油12の引火点が下がり、引火点を上昇せしめる処理の負担が大きくなる。150℃を超えると、油溜め部3aで低沸点成分が多く揮発するため、回収される油の引火点が高くなるが、高粘度で炭素分が多い成分が残って、油自体が高粘度で炭素分が多くなることがあり、また、油12を保持する装置のシール部分の素材を高価にする必要があり設備費や修理費が高くなることがある。
冷却装置3には、高温ガス11を下部の油溜め部3aに導く配管3bが設けられ、この配管3bは冷却装置3の中部付近から下部に向かって内壁から連結してロート状にすぼまり、油を下部の中心部分に導く。配管3bの先端が油溜め部3aの油に浸漬するように冷却装置3内の油の液面レベルが制御される。これは、上述したように貯留タンク6から冷却装置3に油を循環させることで制御することができる。
このように、高温ガス11の流れる配管3bの先端が常に油溜め部3aの油の中に浸漬することにより、高温ガス11中の微細な固体粒子、いわゆるスス成分を油側へ除去し、固体粒子除去装置5から系外へ排出することができる。配管3aの先端が油溜め部3aの油に浸漬していない場合には、次工程の2段目の冷却装置10の内部に固体粒子が付着し、閉塞トラブルや冷却能力低下が発生する危険性がある。
冷却装置3の配管3bの下側の空間からガス成分を2段目の冷却装置10に供給する。配管3bの下側では、高温ガス11から回収された油のうち、低沸点成分が揮発してガス状になっている。このガス成分を2段目の冷却装置10に供給して、冷却し凝縮すると、低沸点成分を主として含む軽質油が得られる。また、分離されるガスは、熱分解ガス20として排出される。
2段目の冷却装置10で回収された軽質油は、軽質油/水分離装置9に供給され、水分が分離された後、軽質油18が排出される。この軽質油/水分離装置9は、上述したように、貯留タンク6からの排ガス17から分離される軽質油をともに処理し、工業的には分離された水分を冷却部8に供給して再利用することが望ましい。
上述した本実施の形態によれば、貯留タンク6内の油に不活性ガス16を吹き込むため、貯留タンク6内の油から低沸点成分が分離され引火点を上昇させることができる。
また、貯留タンクに不活性ガスを供給するため、貯留タンクから廃棄されるガスは、不活性ガスとこれに随伴する低沸点成分になる。そのため、不活性ガス16からの低沸点成分の分離が簡単になり、さらに分離後の不活性ガスには低沸点成分が残存するため、このガスを高分子廃棄物の熱分解で用いる燃料として再利用することができる。
また、貯留タンク6内に不活性ガス16を吹き込むことで、不活性ガス16中へ低沸点成分が除去されるが、その際に油の粘度を高める物質も除去されるため、回収される油の粘度を低位に制御することができる。
上述した図1に示す系において、外熱式ロータリーキルンを用いて、廃タイヤを4ton/hrの処理速度で熱分解処理を行った。外熱部の温度は700℃、熱分解ガスを冷却凝縮して油を回収する1段目の冷却装置3内の油の温度を表1に示すように適宜変更した。ただし、2段目の冷却装置10の温度を外気温と同じレベルまで低下させた。また、貯留タンク6内の油温度、固体粒子除去装置5への油供給流量、冷却装置3内で凝縮回収される油の製造量、及び貯留タンク6への窒素ガス吹き込み量を表1に示すように変更した。
Figure 0004644172
表1に示す処理によって製品として回収される油、すなわち、貯留タンク6から回収される油の引火点、50℃動粘度、残留炭素をそれぞれ評価し、表2にまとめた。引火点はJIS K 2265−6法、50℃動粘度は JIS K 2283法、残留炭素は JIS K 2270−5法にしたがって評価した。
Figure 0004644172
表2に示すように、本発明を適用した実施例1〜5では、最良品質の油を得ることができた。実施例6では、冷却装置3内の油溜め部3aの油温度が高いため、回収される油の動粘度が高く残留炭素がある程度多いが、貯留タンク6に窒素ガスを吹き込んでいるため高引火点であった。実施例7では、冷却装置3内で回収される油に対し貯留タンク6への窒素ガス吹き込み量が低いため、回収される油の引火点がある程度低かったが、貯留タンク6に窒素ガスを吹き込んでいるため動粘度が低く残留炭素が少なかった。実施例8では、冷却装置3内の油溜め部の油温度が110(℃)と低いため、回収される油の引火点がある程度低かったが、貯留タンク6に窒素ガスを吹き込んでいるため動粘度が低く残留炭素が少なかった。比較例1では、貯留タンク6に窒素ガスを吹き込まなかったため、回収される油の引火点は低く、動粘度が高く残留炭素が多かった。比較例2では、貯留タンク6に窒素ガスを吹き込まないとともに、冷却装置3内の油溜め部3aの油温度を高くしため、回収される油の引火点は高くなったが、動粘度が極めて高く、残留炭素が多かった。
図1は、本発明の実施形態を示すフロー図である。
符号の説明
1 高分子廃棄物
2 ロータリーキルン
3 1段目の冷却装置
3a 油溜め部
3b 配管
4 熱交換器
5 固体粒子除去装置
6 貯留タンク
7 製造油タンク
8 冷却部
9 軽質油/水分離装置
10 2段目の冷却装置
11 高温ガス
12 油
13 冷却用油
14 清浄化後の油
15 冷却装置への循環油
16 不活性ガス
17 排ガス
18 軽質油
19 冷却処理後の排ガス
20 熱分解ガス

Claims (4)

  1. 廃タイヤの熱分解で発生するガスを冷却装置冷媒により冷却することにより、前記ガスに含まれる油を導入管を介して、前記冷却装置の油溜め部に回収する工程と、
    前記冷却装置の油溜め部の油の一部を冷却し前記冷却装置内に前記冷媒として循環させ前記ガスと接触させる工程と、
    前記冷却装置の前記油溜め部の油の一部を取り出して、固体粒子除去装置に供給することにより固体粒子不純物を除去して油を清浄化する工程と、
    前記清浄化した油を貯留装置で貯留する工程と、
    前記貯留装置内の油の一部を前記冷却装置の前記油溜め部に循環させる工程と、を有し、
    前記貯留装置から前記冷却装置に循環される油の流量を制御することにより、前記冷却装置の前記油溜め部の油の液面レベルを前記導入管の導入口よりも高い位置に制御
    前記貯留装置内の油に不活性ガスを吹き込み、前記不活性ガスの体積流量を前記固体粒子除去装置へ供給する油の体積流量に対して20倍以上とし、かつ、前記固体粒子除去装置へ供給する油の体積流量を前記冷却装置内で回収する油の体積流量に対して3〜16倍とすることを特徴とする廃タイヤの熱分解処理方法。
  2. 前記貯留装置内の油の温度を100℃以上とすることを特徴とする請求項に記載された廃タイヤの熱分解処理方法。
  3. 前記貯留装置から排気されるガスを凝縮して油と排ガスに分離し、前記排ガスを前記高分子廃棄物の熱分解の燃料として使用することを特徴とする請求項1又は2に記載された廃タイヤの熱分解処理方法。
  4. 前記冷却装置内の油の温度を120〜150℃とすることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載された廃タイヤの熱分解処理方法。
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