JP4709357B2 - 可搬式足浴槽 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、足の生理的機能改善等を目的とした炭酸水の足浴槽(フット・バス)に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭酸水は、退行性病変、末梢循環障害などの治療に効果があるとされている。そして従来より、炭酸水の足浴槽などを用いた治療が行われている。
【0003】
一方、この炭酸水を人工的に製造する方法としては、例えば、浴槽内に炭酸ガスを気泡の形で送り込む方法(気泡法)、炭酸塩と酸とを反応させる化学的方法(薬剤法)、タンク内に温水と炭酸ガスとを一定期間加圧封入する方法(圧注入法)等がある。
【0004】
さらに、中空糸膜等を用いた膜型炭酸ガス溶解器内に水を流しながら炭酸ガスを供給して炭酸水を製造する装置がある。この膜型炭酸ガス溶解器を用いる方法は、他の方法と比較して、得られる炭酸水の炭酸ガス濃度、製造効率など、種々の点で優れている。具体的には、例えば、特開平2−279158号公報、国際公開第98/34579号パンフレットには、中空糸膜を備えた炭酸ガス溶解器内に原水を一回通過させることにより炭酸水を製造する、いわゆるワンパス型の装置が記載されている。また例えば、特開平8−215270号公報、同8−215271号公報には、循環ポンプにより浴槽中の温水を炭酸ガス溶解器を介して循環させる、いわゆる循環型の装置が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の足浴槽においては、予め製造した炭酸水を足浴槽に満たすか、あるいは温水を満たしてから他の装置を用いて浴槽内の温水を炭酸水にする必要があるので、使用時の操作が煩雑である。特に、可搬式の足浴槽の場合は、場所を選ばず簡単に足浴治療が可能という利点が、この炭酸水製造操作によって制限されてしまうことにもなる。
【0006】
すなわち本発明の目的は、使用時の操作が簡単で、しかも可搬式の足浴槽の利点を十分に生かした足浴槽を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、膜型炭酸ガス溶解器を備え、該膜型炭酸ガス溶解器内に原水を流しながら炭酸ガスを供給して、原水中に炭酸ガスを溶解させることにより炭酸水を製造する炭酸水製造装置、及び、貯水槽を具備し、
前記膜型炭酸ガス溶解器は、前記原水を外部から該膜型炭酸ガス溶解器内に供給する原水供給口、および、該膜型炭酸ガス溶解器内に供給する為の原水を貯えることができる前記貯水槽に、切替弁を介して連通し、
前記炭酸水製造装置により製造された炭酸水は浴槽部内に供給される
可搬式足浴槽である。
なお、本発明において「可搬式」とは、一定の場所に固定されず、必要に応じて搬送・移動させることが可能なものをいう。その搬送方法は特に限定されない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図1に示す形態は参考形態であり、図3に示す形態は本発明の実施形態である。
【0009】
図1は、本発明の足浴槽の一実施形態を示す模式図である。この足浴槽は、浴槽部1の後方側に炭酸水製造装置100が内蔵されている。また、その後方上側には取手2が設けられ、本体の下側にはキャスター3が設けられており、この取手2とキャスター3により、簡単に搬送できる構成になっている。
【0010】
図1に示す例においては、炭酸水製造装置100として、循環型のものを用いて、浴槽部1内の温水を循環させる。なお、本発明において浴槽部1内の水の温度は特に制限されない。ただし、炭酸水の生理的効果を発揮させ、かつ患部に余計な負担をかけない点から、体温付近またはそれ以下の温度が好ましい。具体的には、32〜42℃程度が好ましい。
【0011】
図1に示す例において、この浴槽部1中の温水は、循環ポンプ4で吸い込まれ、温水中のゴミをトラップする為のプレフィルター5を経て炭酸ガス溶解器6へ導かれ、再び浴槽部1に戻る。一方、炭酸ガスは、炭酸ガスボンベ(またはカートリッジ)7から、減圧弁8、炭酸ガスの遮断弁である電磁弁9を経て、炭酸ガス溶解器内へ供給される。循環ポンプ4としては、特に制限はなく、例えば汎用の渦巻きポンプ、自吸性能を有する容積式定量ポンプ等を使用できる。特に本発明の足浴槽は、浴槽自体が炭酸水製造装置を備える一体型のものなので、例えば、循環ポンプ4を浴槽底部より低い位置に配置できる。このように配置すれば、ポンプに呼び水をしなくてもポンプを起動することができる。すなわち、循環型の炭酸水製造装置において、汎用の渦巻きポンプを使用できることも、本発明の利点の一つである。
【0012】
炭酸ガス溶解器6は、中空糸膜が配設された膜モジュールを内蔵して構成された膜型炭酸ガス溶解器である。この例においては、炭酸ガス溶解器6内に供給された炭酸ガスは、中空糸膜の外表面へ導かれる。一方、炭酸ガス溶解器6内に供給された温水は、中空糸膜の中空部を流れる。ここで、中空糸膜の外表面の炭酸ガスは、中空糸膜の中空部を流れる温水と膜面を介して接触し、炭酸ガスが温水中に溶解して炭酸水が生成し、この炭酸水が浴槽部1内に供給される。このように浴槽部1内の温水を循環ポンプ4で任意の時間循環させれば、炭酸ガス濃度が高い炭酸水が浴槽部1内に満たされることになる。この浴槽部1の容量は、通常は10〜40Lの範囲内である。
【0013】
図1に示すような循環型の炭酸水製造装置100、すなわち炭酸ガス溶解器6と、循環ポンプ4とを備え、循環ポンプ4により浴槽部1中の水を炭酸ガス溶解器6を介して循環させながら炭酸ガス溶解器6内に炭酸ガスを供給して、水中に炭酸ガスを溶解させることにより炭酸水を製造する装置、を利用した足浴槽の場合は、ワンパス型の炭酸水製造装置を利用した足浴槽(後述する図3参照)と比較して、ランニングコストの点で有利である。
【0014】
また本発明において、膜モジュールの膜面を介して炭酸ガスを接触・溶解させる場合は、気液接触面積を大きくとることができ、高い効率で炭酸ガスを溶解させることができる。このような膜モジュールとしては、例えば、中空糸膜モジュール、平膜モジュール、スパイラル型モジュールを使用できる。特に、中空糸膜モジュールは、最も高い効率で炭酸ガスを溶解させることができる。
【0015】
浴槽部1内の温水は、循環する時間の経過に伴い炭酸ガス濃度が上昇する。そのような循環時間と炭酸ガス濃度の相関データをあらかじめ取っておけば、目的とする炭酸ガス濃度と炭酸ガス供給圧力が決まれば必要な循環時間を決定することができる。
【0016】
炭酸ガス溶解器6へ供給する炭酸ガスの圧力は、減圧弁8により設定する。この圧力が低いほど、炭酸ガス溶解器6での未溶解ガスの発生が抑えられ、溶解効率が高くなる。また、炭酸ガス溶解器6内の中空糸膜の炭酸ガス透過量は炭酸ガス供給圧力に比例し、その圧力が大きければ透過量も大きくなる。これらの点と、炭酸ガス圧力が低くなるほど製造時間が長くなる点から、その圧力は0.01〜0.3MPa程度が妥当である。なお、循環温水の炭酸ガスの吸収量はその温水の炭酸ガス濃度と循環水量にも依存し、吸収量以上の炭酸ガスを供給すると未溶解ガスとなる。
【0017】
炭酸ガス溶解器6に中空糸膜を用いる場合、その中空糸膜としては、ガス透過性に優れるものであればどの様なものを用いてもよく、多孔質膜でも非多孔質ガス透過性膜(以下「非多孔質膜」と略称する)でもよい。多孔質中空糸膜としては、その表面の開口孔径が0.01〜10μmのものが好ましい。また、非多孔質膜を含む中空糸膜も好適に用いられる。最も好ましい中空糸膜は、薄膜状の非多孔質層の両側を多孔質層で挟み込んだ三層構造の複合中空糸膜である。その具体例としては、例えば三菱レイヨン(株)製の三層複合中空糸膜(MHF、商品名)が挙げられる。図2はこのような複合中空糸膜の一例を示す模式図である。図2に示す例においては、非多孔質層19がガス透過性に優れたごく薄膜状のものとして形成され、その両面に多孔質層20が形成されており、非多孔質層19が損傷を受けないように保護されている。
【0018】
ここで、非多孔質層(膜)とは、気体が膜基質への溶解・拡散機構により透過する膜であり、分子がクヌッセン流れのように気体がガス状で透過できる孔を実質的に含まないものであればいかなるものでもよい。この非多孔質膜を用いると炭酸ガスを温水中に気泡として放出することなくガスを供給、溶解できるので、効率よい溶解が可能になり、しかも任意の濃度に制御性良く、簡単に溶解することができる。また、多孔質膜の場合に稀に生じる逆流、すなわち温水が細孔を経てガス供給側に逆流するような事もない。
【0019】
中空糸膜の膜厚は10〜150μmのものが好ましい。膜厚が10μm以上であれば、十分な膜強度を示す傾向にある。また、150μm以下であれば、十分な炭酸ガスの透過速度および溶解効率を示す傾向にある。三層複合中空糸膜の場合は、非多孔質膜の厚みは0.3〜2μmが好ましい。0.3μm以上であれば、膜の劣化が生じ難く、膜劣化によるリークが発生し難い。また、2μm以下であれば、十分な炭酸ガスの透過速度および溶解効率を示す傾向にある。
【0020】
また、例えば中空糸膜の膜1本当たりの通水量を0〜10L/min、ガス圧力を0.01Mpa〜0.3Mpaとすると、膜面積は0.1m2〜5m2と程度が好ましい。
【0021】
中空糸膜の膜素材としては、例えば、シリコーン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリスルフォン系、セルロース系、ポリウレタン系等の素材が好ましい。三層複合中空糸膜の非多孔質膜の材質としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリジメチルシロキサン、ポリエチルセルロース、ポリフェニレンオキサイド等が好ましい。このうち、ポリウレタンは製膜性が良好で、溶出物が少ないので特に好ましい。
【0022】
中空糸膜の内径は50〜1000μmが好ましい。内径を50μm以上にすれば、中空糸膜内を流れる流体の流路抵抗が適度に小さくなり、流体の供給が容易になる。また、1000μm以下にすれば、溶解器のサイズを小さくすることが可能になり、装置のコンパクト化の点で有利である。
【0023】
炭酸ガス溶解器に中空糸膜を使用する場合、中空糸膜の中空側に炭酸ガスを供給し、外表面側に温水を供給して炭酸ガスを溶解させる方法と、中空糸膜の外表面側に炭酸ガスを供給し、中空側に温水を供給して炭酸ガスを溶解させる方法とがある。このうち、特に後者の方法は、膜モジュールの形態にかかわらず、温水中に炭酸ガスを高濃度で溶解できるので好ましい。
【0024】
中空糸膜の外表面側に炭酸ガスを供給し、中空側に温水を供給して炭酸ガスを溶解させる場合は、逆流洗浄用の配管を設けてもよい。中空糸膜の中空部への供給口にあたるポッティング開口端部にスケールが蓄積した場合、そのスケールは逆流洗浄によって比較的簡単に除去できる。
【0025】
本発明により製造する炭酸水に関して、その炭酸ガス濃度は特に限定されない。例えば、炭酸ガスの供給圧力を調節して水を循環させれば、希望する炭酸ガス濃度の炭酸水を浴槽部内に満たすことができる。医学的な生理的効果を十分得るには、炭酸水の炭酸ガス濃度は、一般的には600mg/L以上は必要である。この点から、本発明において製造する炭酸水の炭酸ガス濃度も、600mg/L以上であることが好ましい。一方、炭酸ガス濃度が高濃度になるほど、炭酸ガスの溶解効率は低下し、しかも、ある程度の濃度以上では生理的効果も横這いになる。この点から、炭酸ガス濃度の上限は1400mg/L程度が妥当である。
【0026】
図1に示した足浴槽は、以上説明したように炭酸水を製造し、足浴槽として使用して、その後は排水管12から使用済みの炭酸水を抜き、槽内を洗浄し、次の使用に備えればよい。複数の患者に同じ炭酸水を使用するのは、細菌感染の恐れがあるので好ましくない。また、排水操作の時間短縮の点から、排水管12の内径は20mm以上であることが好ましい。
【0027】
本発明の足浴槽には、さらに気泡発生装置または圧注装置を設けることができる。気泡発生装置は浴水中にて気泡を発生させることにより、また圧注装置は浴水中にて水流を発生させることにより、体の患部に物理的な刺激を与え、そのマッサージ効果により血行を促進させ、腰痛・肩こり・筋肉疲労などをやわらげる為のものである。このような装置は、現在各社で販売され、病院・老健施設や家庭用に普及している。
【0028】
一方、本発明により製造する炭酸水は、水中の炭酸ガスが経皮吸収され、血管を拡張し血行促進させる作用を奏するものである。つまり、気泡や圧注による作用を動的作用とすると、炭酸水による作用は静的作用と言える。なお、炭酸水による治療は、気泡発生装置や圧注装置と比べると物理的な刺激が無いので、体や患部に無理な負担が無く副作用が少ないという利点がある。
【0029】
図1に示す例では、気泡発生装置を設け、一つのパッケージにユニット化することによって、多機能装置としたものである。気泡発生装置は、少なくとも使用時には浴槽部1の下側に配置される散気部10と、その散気部10に空気を供給する為のコンプレッサー11と、両者を連通する配管とからなる。コンプレッサー11を起動することによって、散気部10から気泡が発生し、入浴者の患部に物理的な刺激を与える。
【0030】
ただし、このような多機能装置においては、浴槽に炭酸水を満たした時は気泡を発生させない方が好ましい。気泡により浴槽内がかき乱され、炭酸水中に溶解している炭酸ガスが空気中に蒸散し易く、瞬く間に炭酸水の濃度が激減する傾向にあるからである。この為、炭酸水製造の機能と、気泡発生の機能は併用せずに、切替スイッチを設けて別々に実施することが好ましい。
【0031】
図1に示した例においては、さらに自動抜水手段が設けられている。この自動抜水手段は、具体的には、炭酸ガス溶解器6内の中空糸膜のドレイン抜き用配管と、その配管の途中に配された電磁弁(開放弁)13とからなる。炭酸ガス溶解器6内においては、中空糸膜の中空部から蒸発した水蒸気が、中空糸膜外側部で凝縮してドレインが溜まり、このドレインが膜面を塞いで有効なガス透過ができなくなる場合がある。自動抜水手段は、電磁弁(開放弁)13を自動的かつ定期的に開いて、炭酸ガス溶解器6内に溜まったドレインを装置外部へ放出するものである。循環型の場合は、運転開始時(または終了時)に1秒間電磁弁13を開け、適度なガス圧にてドレインを外部へ放出すればよい。
【0032】
図3は、ワンパス型炭酸水製造装置300を用いた場合の本発明の足浴槽の一例を示す模式図である。この例においては、水道等の温水用蛇口31から直接供給される温水を原水として用いている。この温水は、原水供給の遮断および切替を行なう為の切替弁32、温水中のゴミをトラップする為のプレフィルター5、ポンプ33を経て炭酸ガス溶解器5内へ供給される。一方、炭酸ガスは、炭酸ガスボンベ(またはカートリッジ)7から、減圧弁8、炭酸ガスの遮断弁である電磁弁9を経て、炭酸ガス溶解器6内へ供給される。ポンプ33としては、特別なポンプを使用する必要は無く、例えば汎用の渦巻きポンプ等を使用できる。ただしポンプ33は、ワンパス型の装置においては必ずしも必要なものではない。すなわち、水道を使用する場合など、所望の水圧が得られればポンプ33を介することなく装置300に通水して、炭酸水を製造することができる。炭酸ガスボンベ(またはカートリッジ)7としては、搬送性の点から小型のものが好ましく、特に容量1L以下のものが好ましい。
【0033】
また、水道を用いる代わりに、炭酸水製造装置300の上部に設けた貯水槽35に貯えた水を切替弁32を介して炭酸ガス溶解器6に流し込むこともできる。貯水槽35の容量は、足浴槽の浴槽部1と同容量として、1回ごとに貯水槽35に温水を溜め、その全量を炭酸水製造装置300を介して浴槽部1に供給する。このような機能を備えていれば、水道の無い場所でも足浴槽を使用でき、可搬式の足浴槽の利点を一層生かすことが可能になる。貯水槽35内の原水は、あらかじめ適当な時に蓋36を開けて給水したものである。
【0034】
炭酸ガス溶解器6は、中空糸膜が配設された膜モジュールを内蔵して構成された膜型炭酸ガス溶解器である。この例においては、炭酸ガス溶解器6内に供給された炭酸ガスは、中空糸膜の外表面へ導かれる。一方、炭酸ガス溶解器6内に供給された原水(温水)は、中空糸膜の中空部を流れる。ここで、中空糸膜の外表面の炭酸ガスは、中空糸膜の中空部を流れる原水と膜面を介して接触し、炭酸ガスが原水中に溶解して所望の濃度の炭酸水がワンパスで生成する。この炭酸水が逆止弁34を介して、浴槽部1内に供給される。
【0035】
図3に示すようなワンパス型炭酸水製造装置300、すなわち膜型炭酸ガス溶解器6を備え、蛇口31に連通する原水供給口および貯水槽35のうちの何れか一方から膜型炭酸ガス溶解器6内に原水を流しながら炭酸ガスを供給して、原水中に炭酸ガスを溶解させることにより炭酸水を製造する装置を利用した足浴槽の場合は、図1に示した循環型炭酸水製造装置100を利用した足浴槽と比較して、装置内の細菌汚染が生じ難いという利点がある。また、ワンパス型炭酸水製造装置300を用いた場合は、循環型のものを用いる場合よりも炭酸水の製造時間が短縮でき、例えば多数の患者の治療が必要な場合等において非常に有用である。
【0036】
図3の自動抜水(ドレイン抜き)においては、炭酸ガスの供給を停止した後、所定の時間経過後(例えば10秒後)に、電磁弁13を5秒程度開け、中空糸膜の外側のガスの残圧にてドレインを外部へ放出する。
【0037】
また図1および図3に示した例において、炭酸水製造装置100、300は、メンテナンスや消耗品交換等の点から、足浴槽本体から取り外し自在であることが好ましい。具体的には、アングルのみのパネルに組み込んで箱状(スキッド状)のユニットとして、簡単に取り出せる構造にするとよい。
【0038】
以上説明した図1および図3に示したような態様の足浴槽は、炭酸水製造装置、浴槽、ボンベを一体ユニット化し、可搬性を持たせ場所を選ばず簡単に炭酸水浴が実施できる点で、非常に好適な実施態様である。また、足浴患者の疾患は末梢血管循環不良による虚血性潰瘍が多く、車椅子を使用していることが多い。したがって、本発明の足浴槽も車椅子に対応した寸法であることが好ましい。例えば、車椅子には通常、フットレストが付いている。足浴をする時はこのフットレストを両側に上げて、足浴槽を車椅子の中に挿入できると便利である。この場合、足浴槽の幅は、フットレストを両側に上げた内寸法以内でなくてはならない。したがって、具体的には、足浴槽の幅寸法は、300〜350mm程度が好ましい。また例えば、足浴槽の高さおよび浴槽深さは、車椅子の患者がスムーズに足浴槽に足を挿入し、なおかつできるだけ深く足を入浴できる方が良い。したがって、具体的には、足浴槽の高さは350〜450mm程度が好ましく、浴槽深さは250〜350mm程度が好ましい。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を、実施例によって更に具体的に説明する。なお、以下の実施例1は参考例であり、実施例2は本発明の実施例である。
【0040】
<実施例1>
図1に示した循環型の炭酸水製造装置を用いた足浴槽を、次の通り作製し、使用した。
【0041】
炭酸水製造装置100において、炭酸ガス溶解器6には、前述した三層複合中空糸膜[三菱レイヨン(株)製、商品名MHF]を有効総膜面積0.6m2で内蔵する溶解器を使用し、中空糸膜の外表面側に炭酸ガスを供給し、中空側に原水を供給して炭酸ガスを溶解させる手法をとった。
【0042】
循環ポンプ4としては、汎用の渦巻きポンプ(イワキ社製マグネットポンプ)を用いた。また、足浴槽の寸法は車椅子に対応した前述の範囲内の寸法とし、浴槽の容量は11L、水温は40℃、循環流量は5.4L/minとして、3分間温水を循環させたところ、以下の濃度の炭酸水が浴槽内に満たされた。
【0043】
【表1】
Figure 0004709357
なお、炭酸ガス濃度は、東亜電波社製の測定装置(IM−40)にて測定した値である。
【0044】
<実施例2>
図3に示したワンパス型の炭酸水製造装置を用いた足浴槽を、次の通り作製し、使用した。
【0045】
炭酸水製造装置100において、炭酸ガス溶解器6には、前述した三層複合中空糸膜[三菱レイヨン(株)製、商品名MHF]を有効総膜面積0.6m2で内蔵する溶解器を使用し、中空糸膜の外表面側に炭酸ガスを供給し、中空側に原水を供給して炭酸ガスを溶解させる手法をとった。
【0046】
足浴槽の寸法は車椅子に対応した前述の範囲内の寸法とし、水温は40℃、循環流量は5.4L/min、炭酸ガス圧力は0.2MPaとしたところ、炭酸ガス濃度794mg/Lの炭酸水を浴槽内に満たすことができた。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、使用時の操作が簡単で、しかも可搬式の足浴槽の利点を十分に生かした浴槽を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】循環型の炭酸水製造装置を利用した本発明の足浴槽の一実施形態を示す模式図である。
【図2】三層複合中空糸膜の一例を示す模式図である。
【図3】ワンパス型の炭酸水製造装置を利用した本発明の足浴槽の一実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 浴槽部
2 取手
3 キャスター
4 循環ポンプ
5 プレフィルター
6 炭酸ガス溶解器
7 炭酸ガスボンベ
8 減圧弁
9 電磁弁
10 散気部
11 コンプレッサー
12 排水管
13 電磁弁
100 炭酸水製造装置
19 非多孔質層
20 多孔質層
31 蛇口
32 切替弁
33 ポンプ
34 逆止弁
35 貯水槽
36 蓋

Claims (4)

  1. 膜型炭酸ガス溶解器を備え、該膜型炭酸ガス溶解器内に原水を流しながら炭酸ガスを供給して、原水中に炭酸ガスを溶解させることにより炭酸水を製造する炭酸水製造装置、及び、貯水槽を具備し、
    前記膜型炭酸ガス溶解器は、前記原水を外部から該膜型炭酸ガス溶解器内に供給する原水供給口、および、該膜型炭酸ガス溶解器内に供給する為の原水を貯えることができる前記貯水槽に、切替弁を介して連通し、
    前記炭酸水製造装置により製造された炭酸水は浴槽部内に供給される
    可搬式足浴槽。
  2. 搬送の為の取っ手およびキャスターを備える請求項1記載の可搬式足浴槽。
  3. 膜型炭酸ガス溶解器内に炭酸ガスを供給する為の容量1L以下の炭酸ガスボンベまたはカートリッジ型の炭酸ガスボンベを装着する請求項1または2記載の可搬式足浴槽。
  4. 炭酸水製造装置は、足浴槽本体から取り外し自在である請求項1〜3の何れか一項記載の可搬式足浴槽。
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