JP4708597B2 - 殺菌剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩素化イソシアヌル酸および臭素化イソシアヌル酸金属塩を配合した殺菌剤組成物に関するものであり、殺菌、洗浄、悪臭防止等の作用を有し、台所、浴場、その他水処理等の継続的に衛生管理が必要とされる場所において使用される薬剤として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、固体である塩素化イソシアヌル酸は、水に溶解または接触した状態において、加水分解を受けて次亜塩素酸を生成する。この次亜塩素酸の殺菌能力および酸化漂白力を生かし、かび取り剤、風呂水清浄剤、排水口洗浄剤(ぬめり取り剤)、洗濯槽洗浄剤、殺菌消毒剤、脱臭消毒剤、トイレ用固形洗浄剤(オンタンク、インタンク剤)、工業用漂白剤等に用いられている。
【0003】
一方、塩素化イソシアヌル酸と同様に酸化力を有する臭素系化合物は、臭素、臭素化ヒダントイン化合物、臭素化イソシアヌル酸等が知られているが、これらの化合物は水に溶解または接触した状態において次亜臭素酸を生成する。この次亜臭素酸もまた殺菌能力を有しているところから、プール、鉱泉、冷却水、飲料水及び廃水の殺菌消毒に使用されてきた。
次亜臭素酸は、次亜塩素酸とは異なり高pHにおいても殺菌力を発揮する点、また金属に対する腐食が少ないといった優れた特徴を備えている。
【0004】
一般的には塩素系殺菌剤や臭素系殺菌剤は単独で使用されることが多いが、両剤の特長を生かす目的で併用される場合も散見されている。例えば、塩素化イソシアヌル酸と臭化アルカリを混合して成形した錠剤が、製紙プロセスにおける微生物増殖の抑制剤として使用されている(特開平8−325995号、同8−325996号公報)。
【0005】
これらの発明においては、塩素化イソシアヌル酸から生成する次亜塩素酸が臭化アルカリと反応して次亜臭素酸を発生させるものであり、次亜塩素酸と次亜臭素酸を共存させることにより、種々の微生物に対する殺菌力を高めようとするものである。
しかしながら、次亜塩素酸および次亜臭素酸は共に不安定な化合物であるので、それらの濃度、即ち有効ハロゲン濃度が長期に渡って所定の濃度に維持されないという難点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた殺菌能力と長期間に渡って殺菌効果が期待できる優れた持続性ならびに金属に対する腐食性が低減された、水周りの金属部位を痛めることの無い殺菌剤組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは台所、浴場、その他水処理など継続的に衛生管理が必要とされる場所において、塩素化イソシアヌル酸と臭素系化合物との併用効果について鋭意検討を重ねた結果、臭素系化合物として臭素化イソシアヌル酸金属塩を用いたところ、意外にも有効ハロゲン濃度の持続性が飛躍的に高まることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明実施の形態】
本発明の実施に適する塩素化イソシアヌル酸としては、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの水和物及びトリクロロイソシアヌル酸等が、また臭素化イソシアヌル酸金属塩としては、ジブロモイソシアヌル酸ナトリウム、ジブロモイソシアヌル酸カリウム、モノブロモイソシアヌル酸ナトリウム水和物及びモノブロモイソシアヌル酸カリウム等が挙げられる。
【0009】
本発明の組成物において、塩素化イソシアヌル酸と臭素化イソシアヌル酸金属塩の配合比率は、使用目的に応じて決まるものであり特に限定されないが、一般的な流水での使用法を考慮すると、塩素化イソシアヌル酸と臭素化イソシアヌル酸金属塩の配合比率は、重量%として95〜55:5〜45、好ましくは90〜70:10〜30である。
臭素化イソシアヌル酸金属塩の割合が5重量%より少ない場合には、金属に対する腐食性を充分に抑制することができず、また45重量%より多い割合で配合しても、有効ハロゲン濃度の持続性の向上に比べ薬剤費のコスト高の点で好ましくない。
【0010】
本発明の殺菌剤組成物は、長期間に渡って水と接触する状態で使用されることから、その剤形は顆粒または錠剤であることが好ましい。それらの顆粒または錠剤は、粉体同士を混合して直打し錠剤を成形したり、粉体を混合した後、乾式造粒機で顆粒を製造したり、押し出し造粒機等の湿式造粒機で顆粒を製造したり、またそれらの顆粒を加圧して錠剤を成形する方法等により製造可能である。
また成形を行う際には、滑沢剤等の添加剤を使用し、成形を容易にすることも可能である。なお、成形品の形状や大きさについては特に制限はなく、用途により偏平状、ドーナツ状、球状、顆粒状等種々の形態を選択することができる。
【0011】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において使用した原材料ならびに評価試験方法は、次のとおりである。
【0012】
・イソシアヌル酸:四国化成工業製
・トリクロロイソシアヌル酸:四国化成工業製、理論有効塩素量91.53%
・ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム:四国化成工業製、理論有効塩素量64.48%
【0013】
[モノブロモイソシアヌル酸ナトリウムの調製]
イソシアヌル酸55g(0.426モル)と水酸化ナトリウム37.4g(0.935モル)を水540gに添加し、撹拌を行いながら溶解させた。続いて臭素68.1g(0.426モル)を徐々に滴下した。その後ドライアイスを加えて反応液のpHを中和し、析出した白色結晶をろ過した後、水洗および乾燥し、白色結晶96gを得た。
【0014】
[有効ハロゲン濃度の分析方法(ヨード法)]
所定量の試料を分取し、酢酸酸性下でヨウ化カリウムを添加後、生成したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定した。その滴定量から供試した試料中に含まれる活性ハロゲン量を塩素換算して、有効ハロゲン濃度を算出した。
【0015】
〔実施例1〕
トリクロロイソシアヌル酸とモノブロモイソシアヌル酸ナトリウムを、85:15重量%の割合で混合して、殺菌剤組成物を調製した。得られた組成物を水に溶解させて有効ハロゲン濃度が500mg/Lの水溶液を調製した。
この水溶液を室内(温度25℃、湿度60〜80%)にて放置し、有効ハロゲン濃度の経時変化を測定し、その持続性を評価した。
得られた試験結果を表1に示した。
【0016】
〔実施例2〕
トリクロロイソシアヌル酸の代わりにジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様にして殺菌剤組成物を調製して、評価試験を行った。
得られた試験結果を表1に示した。
【0017】
〔比較例1〕
モノブロモイソシアヌル酸ナトリウムの代わりに臭化ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様にして殺菌剤組成物を調製して、評価試験を行った。
得られた試験結果を表1に示した。
【0018】
〔比較例2〕
モノブロモイソシアヌル酸ナトリウムの代わりに臭化ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にして殺菌剤組成物を調製して、評価試験を行った。
得られた試験結果を表1に示した。
【0019】
【表1】
Figure 0004708597
【0020】
表1に示された試験結果によれば、実施例1および2で調製した殺菌剤組成物は、比較例の場合に比べて水に溶解させた場合の有効ハロゲン濃度の低下が少なく、長期間に渡って安定しているので、優れた持続性を有しているものと認められる。
【0021】
〔実施例3〕
予め重量を測定しておいたステンレス鋼(SUS304)、銅、アルミニウム、真鍮の各試験片(40×40×2mm)を、実施例1で調製した殺菌剤組成物の有効ハロゲン濃度300mg/Lの水溶液に1週間浸漬したのち、水洗、乾燥し、秤量を行い腐食欠損量を測定して、前記試験片に対する腐食性を評価した。
得られた試験結果は表2に示したとおりであった。
【0022】
〔実施例4〕
ステンレス鋼(SUS304)、銅、アルミニウム、真鍮の各試験片(40×40×2mm)を実施例2で調製した殺菌剤組成物の有効ハロゲン濃度300mg/Lの水溶液に1週間浸漬したのち、水洗、乾燥し、秤量を行い腐食欠損量を測定して、前記試験片に対する腐食性を評価した。
得られた試験結果は表2に示したとおりであった。
【0023】
〔比較例3〕
ステンレス鋼(SUS304)、銅、アルミニウム、真鍮の各試験片(40×40×2mm)を比較例1で調製した殺菌剤組成物の有効ハロゲン濃度300mg/Lの水溶液に1週間浸漬したのち、水洗、乾燥し、秤量を行い腐食欠損量を測定して、前記試験片に対する腐食性を評価した。
得られた試験結果は表2に示したとおりであった。
【0024】
〔比較例4〕
ステンレス鋼(SUS304)、銅、アルミニウム、真鍮の各試験片(40×40×2mm)を比較例2で調製した殺菌剤組成物の有効ハロゲン濃度300mg/Lの水溶液に1週間浸漬したのち、水洗、乾燥し、秤量を行い腐食欠損量を測定して、前記試験片に対する腐食性を評価した。
得られた試験結果は表2に示したとおりであった。
【0025】
【表2】
Figure 0004708597
【0026】
表2に示された試験結果によれば、塩素化イソシアヌル酸と臭素化モノブロモイソシアヌル酸ナトリウムを配合した殺菌剤組成物を溶解させた水溶液中においては、塩素化イソシアヌル酸と臭化ナトリウムの場合に比べて各種金属の腐食欠損量が著しく少なく、本発明の殺菌剤組成物は金属腐食に対する優れた抑制効果を有しているものと認められる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の塩素化イソシアヌル酸と臭素化イソシアヌル酸金属塩を配合した殺菌剤組成物は、水に溶解させた場合の有効ハロゲンの持続性が飛躍的に向上し、また金属腐食に対する抑制効果にも優れており、台所、浴場、その他水処理等、継続的に衛生管理が必要とされる場所における殺菌、洗浄、悪臭防止剤等として好適なものである。

Claims (2)

  1. 塩素化イソシアヌル酸および臭素化イソシアヌル酸金属塩を配合したことを特徴とする殺菌剤組成物。
  2. 塩素化イソシアヌル酸が、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの水和物及びトリクロロイソシアヌル酸の中から選ばれた少なくとも1種の化合物であって、臭素化イソシアヌル酸金属塩が、ジブロモイソシアヌル酸ナトリウム、ジブロモイソシアヌル酸カリウム、モノブロモイソシアヌル酸ナトリウム水和物及びモノブロモイソシアヌル酸カリウムの中から選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の殺菌剤組成物。
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