JP4706181B2 - 液滴製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、均一粒径の液滴を製造する液滴製造装置に関し、更に詳しくは、特に商業的生産規模(大規模)において均一な大きさの液滴製造に好適な装置に関するものである。
従来より、多量の液滴を製造する際、プレートに直接孔を多数設けたオリフィスプレートを用いて液を噴出させる手法が採用され、均一な大きさの液滴を製造するために、例えば、孔配列に着眼した技術がある(例えば特許文献1、2)。特許文献1には、オリフィスプレートの環状領域に直接孔をあけて多数配列することで液滴の上昇流の縮流を低減して液滴径の均一化を図ることが提案されている。但し、オリフィスプレート径は100mm、全オリフィス孔数は751個と比較的少ない。特許文献2には、オリフィスプレート上に放射状領域に直接孔をあけて配列することで液滴の上昇流の縮流を小さくする方法が提案されている。この場合は、孔数が100以下であり、商業的生産規模での液滴製造には適していない。
一方、商業的生産規模で液滴を均一に製造することを目的として、大きな口径のオリフィスプレートに、小型の加振機を用いることにより商業的生産規模の均一粒径液滴を製造する装置を提供するものがある(例えば特許文献3参照)。
しかしながら、例えば、孔数が1000ホール以上のオリフィスプレートを持つ商業的生産規模の液滴製造装置においてオリフィスプレートの構造に関する先行事例はない。
特開平3−249931号公報 特開2001−149765号公報 特開平5−345125号公報
均一粒径の液滴を製造するためには振動法が有効であることは良く知られている。一方、商業的生産規模で製造するには、通常孔数を増やす(例えば1000ホール以上)ことが最も簡便な解決策であり、そのためにはプレートを大きくする必要がある。しかし、振動法とプレートを大きくするという2つの手法を併用するには以下のような課題がある。
プレートに孔を密に配置すると、スラリー室内で液滴を保護する保護剤(分散剤)をプレート中心部まで運ぶための通り道が確保しにくい。そのため、プレート中心に向かうほど均一な粒径の液滴が得られにくくなる。
プレートに設けた孔に詰まりが発生すると、装置分解、孔洗浄等の保守が難しい上、経済性において極めて不利である。
プレートに加振機を適用した場合、圧力波の強度分布ができる恐れがある。例えば、粒径300μm以下の均一粒径の液滴を振動法によって製造する場合は、振動の周波数を1000Hz以上に高くする必要がある。その場合は圧力波の波長が短い上、室内での圧力波の反射や相互干渉によってプレートに圧力波の強度分布ができる(振動が弱い場所と強い場所ができる)場合がある。また、大量生産するために孔を増加させて原料の供給量を増やす場合には、圧力波が原料の流入による流動によって伝播が弱められたり、圧力波の強度分布が発生する場合があり、部分的な位置で均一粒径の液滴が得られない場合がある。
また、プレート径を大きくするためには、構造的にプレート厚みを大きくする必要があり、プレートに直接孔を加工することが難しい。
本発明は、これらの課題を解決して、均一粒径の液滴を商業的規模の均一粒径液滴を製造する装置を提供するものである。
以上の課題に鑑みて鋭意検討した結果、液体を噴出する孔を有するプレートを備えた液滴製造装置において、プレートに直接孔を設けるのではなく、孔を設けたノズル2以上をプレートに設置することで前記課題が解決することを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、 容器(5)の室(11)への液体導入口(6)と、室(11)内の液滴対象液に振動を与えるための振動隔壁(3)及び加振機(7)、振動隔壁(3)よりも大きな口径の円形板からなり、室(11)から液滴対象液を噴出する孔を有するプレート(1)、該プレート(1)と振動隔壁(3)とを接続する円錐台状の側壁(4)を備えた液滴製造装置において、プレート(1)の面に、液体供給口(12)とスラリー排出口(13)を有する容器(14)を付設してなり、室(11)から容器(14)のスラリー室(15)の液滴保護剤中へ前記液滴対象液を噴出する複数の孔を有するノズル(2)を設け、該ノズル(2)をプレート(1)に同心円上に一定間隔で、個別に取り外し可能に且つプレート(1)からスラリー室(15)側へ突出状に設置することによって、プレート(1)に孔を備えさせるとともに、隣接するノズル(2)間に液滴保護剤の通り道を形成したことを特徴とする液滴製造装置に関する。ここで、前記ノズル(2)に30以上300以下の孔を形成し、前記プレート(1)に1000個以上の孔を形成することが好ましい形態である。
本発明の液滴製造装置によれば、ノズル間に液滴保護剤(分散剤)の通り道を確保でき、商業的生産規模において均一粒径の液滴が得られ易くなる。プレートのノズルを個別に取り外しでき、洗浄、孔修理などメインテナンスがしやすく、また、使用不能なノズルのみ交換できる。プレートのノズル穴を使用しないことも可能であり、その場合には、閉止板を設置すれば、必要な数のノズルを使用することができる。
プレート上に設置するノズルの位置を任意に変えることができる。振動による圧力波の不均一によって均一粒径の液滴が得られにくい位置を除き、最適な位置にノズルを配置することができる。
プレートに直接微細加工して孔をあける必要がないため、プレートの厚みを構造的に必要な厚さで装置設計することが可能になる。
以下、実施例を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の液滴製造装置を示す概略断面図であり、気体中に液滴を発生する装置の一例である。本発明の液滴製造装置は、液体導入口6と、液滴対象液を噴出する孔を有するプレートを備えた液滴製造装置において、前記液滴対象液を噴出する孔をノズル2に設け、該ノズル2をプレート1に2以上設置することによってプレート1に孔を備えることを特徴とし、具体的には、該液滴製造装置は、容器5を含んでなり、容器5は、一方にプレート1、ノズル2を、振動隔壁3を備え、該プレート1と振動隔壁3を接続する側壁4、該側壁に取り付けられた液体導入口6とからなる。プレート1、ノズル2、振動隔壁3及び側壁4により形成される空間を室11と称す。
プレート1には、液滴対象液を噴出させるための多数の孔が設けられたノズル2が2以上、個別に取り外し可能に取り付けられる。商業的生産規模で液滴を製造する装置の場合、全孔数は300個以上が好ましく、例えば、孔径0.17mmのノズルを用いて月産120トン以上の液滴を製造する場合の全孔数は1000個以上である。
図2は、振動隔壁3の直径と等しい内径の側壁4を有する円筒部と、プレート1の直径と等しい内径の側壁4を有する円筒部を直接接続した構造で、図1の均一液滴製造装置の振動隔壁3に加振機7を接続したものである。より均一粒径の液滴を製造するには、液滴対象液に振動を与えるための振動隔壁3、加振機7を備えてなり、室11の液滴対象液に振動を加えて、孔から出た液滴対象液の噴出流を切断するほうが望ましい。
図3は、本発明の均一粒径液滴製造装置の別の一例を示す概略断面図で、気体中に液滴を発生する装置である。振動隔壁3よりも大きな口径を有するプレート1と、該プレート1と振動隔壁3とを接続する側壁4を備えてなる。振動隔壁3をプレート1の口径より小さくすることで、小さな加振機を用いて商業的規模で経済的に有利に液滴を製造できるため好ましい。図3において、本発明の均一粒径液滴製造装置は、振動隔壁3よりプレート1の口径が大きいことから、プレート1と側壁4の間にプレート1と同径の円筒部を設けても良いし、振動隔壁3と側壁4の間に振動隔壁3と同径の円筒部を設けても良い。
加振機7の振動は、振動隔壁3によって均一に室11へ伝播される。振動隔壁3の振動が直接室11の壁へ伝播しないように、好ましくは防振装置8を介して接続される。振動隔壁3は一般に振動板であり、以下振動隔壁3を振動板3で代表させて説明する。
振動板の振動は振動板3に接続された加振機7によって与えられる。その振動が液体導入口6より導入され室11に充満した液滴対象液中を圧力パルスとして伝播し、液滴対象液の噴出流の液柱9表面に表面波を形成する。一定振動の表面波によって液滴対象液の噴出流が切断され、均一な大きさの液滴10が生成される。
液滴対象液の噴出流の液柱9に伝播される振動は、室11に設置された圧力センサー(図示せず)で測定される圧力パルスを所定の値になすように調節される。圧力パルスの所定の値は、圧力センサーの出力を加振機7の制御器(図示せず)にフィードバックして加振機の加速度を自動調節するか、手動で圧力センサーの出力が所定の値になるように加振機7の加速度を調節する方法等により設定される。
液滴の大きさは通常0.05〜5mmの間の均一な液滴径であるので、通常の振動の周波数は約100〜10000Hzを用いることが好ましい。これより小さな液滴の場合には10000Hz以上、またはこれより大きな液滴の場合には100Hz以下の周波数であってよい。
防振装置8、加振機7、室11の形状についての詳細は特開平5−345125号公報に詳しく記述されている。
上記装置において、液滴対象液は、液体導入口6を通じ、流量調節装置(図示せず)を経由して所定の流量で室11に導入され、室11内に充満した液滴対象液はプレート1に設置したノズル2の孔から層流状態で液柱9を形成するように噴出され、噴出された液柱9は振動板3から液滴対象液中を伝播してきた振動により液滴10となる。液滴対象液の所定の流量とは、孔から噴出する液滴対象液の液柱が層流状態で噴出する流量であって、液滴対象液の密度ρ、粘度μ、液滴対象液の液柱の直径d(概ね孔の直径に等しい。)と噴出流速uで表される無次元数Re=ρud/μが10から2000になる噴出速度を与える流速である。例えば、孔の孔径がd=0.17mmの場合は噴流速度u=180cm/secが選ばれ、d=0.1mmの場合は噴流速度270cm/secが選ばれる。液滴対象液の流量は、例えば液滴対象液の流量計とフィードバック回路で接続された調節弁又は液滴対象液の供給ポンプの回転数等によって調節される。本発明で使用される液滴対象液は特に限定されず、有機溶剤、水溶液、重合性単量体、微細なエマルジョンやサスペンションも含まれる。中でも重合性単量体やその混合物を用いることが望ましい。この重合性単量体としては公知のものが使用できるが、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン等のスチレン及びその誘導体類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等のポリビニル芳香族化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ブチル、フッ化ビニル等のハロゲン化エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸のビニルエステル類、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ポリエチレングリコール、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸グリセロール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等のメタクリル酸及びその誘導体、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸クロルエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ポリエチレングリコール、トリアクリル酸ペンタエリスリトール等のアクリル酸及びその誘導体、メタクリル酸アリル、アリルグリシジルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等のアリル化合物類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタリン類、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチロールアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド類等の重合性単量体が挙げられる。これらは単独あるいは組み合わせて使用することができる。
さらに液滴対象液は、重合性単量体と、重合開始剤、非重合性液体、線状ポリマー、固体微粒子等との混合物であっても良い。
例えば、重合性単量体を含み、必要に応じて非重合性液体、線状ポリマー、重合開始剤等を含んだ混合物を液滴対象液に使用し、得られた液滴を重合することにより、ポリマービーズを得ることができる。この場合、重合性単量体は架橋ポリマーを生成しうる重合性単量体を少なくとも1つ含むのが望ましく、例えば上記例示のものが使用できる。中でも、スチレン及びその誘導体類、カルボン酸のビニルエステル類について好適に用いることが出来る。非重合性液体としては、特に限定されず、例えばトルエン、キシレン、ベンゼン、ヘプタン、オクタン、ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アルコール類、アセトン、水等を目的に応じて単独あるいは組み合わせて使用することができる。線状ポリマーについても特に制約はないが、例えば上記例示の重合性単量体単位を含む線状ポリマーがあげられる。なお、液滴対象液に固体微粒子が含まれる場合は、固体微粒子の粒子径は分散相が噴出させられる孔より小さいことが好ましい。
重合開始剤には公知のものを使用でき、また使用される重合性単量体に応じて選ぶことが好ましい。例えば、ラウロイルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、イソブチル−t−ブチルパーオキシカーボネート、過安息香酸ブチル、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのような有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビストリメチルペンタン、アゾビスシアノバレリアン酸などのアゾ化合物、過硫酸塩、過酸化水素、又はハイドロパーオキサイド等の水溶性ラジカル重合開始剤が使用でき、またこれらを併用しても何ら差し支えない。なお、重合開始剤は、液滴対象液に直接混合しても良い。
図4は、本発明装置の更に別の実施例を示す概略断面図で互いに難溶性の2液体を用い、一方の液体中に他方の液体の液滴を形成させ、液滴スラリーを形成する装置である。この装置は、図3に示した装置のプレート1の面に液体供給口12とスラリー排出口13を有する円錐台状の容器14を付設した構造からなり、お互いに難溶性の液体を用いて一方の液体(この場合は、他方より比重が等しいか又は大きい。)中に他方の液体(この場合は、他方より比重が等しいか又は小さい。)の液滴を形成する装置である。上記装置においては、液体供給口12から供給され、容器14内のスラリー室15に充満する液体中に、上記した操作により、スラリー室15に充満している液体に対して難溶性の液滴対象液を液体導入口6より導入して液滴を製造し、液滴を含むスラリーを排出口13より回収する。
スラリー室15に充満させる液体(連続相)としては、液滴対象液(分散相)に対して難溶性であれば特に限定はなく、連続相に用いる溶媒は特に限定されないが、例えば水や水溶液が経済的で環境負荷が小さく好ましい。また連続相には分散剤や塩類を含有させてもよい。分散剤は、懸濁重合で一般に使用されるものを用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、デンプン等の高分子分散剤、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム等の連続相に難溶な無機塩、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースエーテル類を用いることができる。また、分散剤として連続相に難溶な無機塩を用いる場合には、α−オレフィンスルホン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のアニオン界面活性剤を併用するのが好ましい。
以下、プレート1とノズル2について記述する。プレート1の形状は角形、円形等、任意の形状であってよく、プレート1に設置するノズル2の配置も任意の位置に設置してよい。商業生産規模で均一粒径の液滴を製造するためのプレート1の大きさは約200〜約3000mmの大きさが望ましい。これ以上大きくなると、ノズル設置作業等のメインテナンス負荷が大きく、時間もかかる上、経済性において極めて不利であることが多い。これ以下の大きさでは、商業的生産規模とは考えにくい上、プレート本体に直接、孔をあけ、隣接する孔から噴出する液体の相互作用により、液滴の均一性が乱されないような数と配列にする従来の方法に比べ、本発明を実施する効果は小さい。プレート下面(ノズル設置面との反対側)に平面部を作ると、気泡が付着し、圧力伝播を阻害し、均一粒径の液滴が生成できにくくする恐れがある。従って、プレート1に設けるノズル穴の周囲はテーパーとし、平面部を作らないように加工することが望ましい。さらに、その上に気泡の付着を防止ためのコーティングをすることが望ましい。
図4の構造を持つ液滴製造装置の場合、液体供給口12から供給される容器14内のスラリー室15に充満する液体(分散剤)がプレート中心部まで均一にいきわたるためには容器14は円筒形、プレート1は円形板が望ましく、ノズルは中心円周上で一定間隔に配置することが望ましい。プレートに配置するノズル配列は何列あっても良い。
ノズル2を取り付ける位置にはノズル2の大きさに合った貫通穴(以下、ノズル穴と記す。)が必要な数だけあけられている。多数のノズル穴を持つプレートを使用して、その数より少ないノズル数で液滴を製造する場合は、ノズルを設置しないノズル穴には閉止板を取り付ける。それによって必要な生産量の液滴の製造が可能になる。また、振動の圧力パルスが弱く、均一粒径の液滴が得られにくい位置は、閉止板にするか、あらかじめその位置を除外してノズル穴をあけて使用する。
ノズル2、閉止板をプレートに設置する場合、ボルト締め付けによってプレート1とOリングを挟み込んで固定され、内部の液体が漏れないようにシールされる。ノズル2には2個以上の孔が設けられ、隣接する孔から噴出する液体の相互作用により、液滴の均一性が乱されないような数と配列になっている。
ノズル2の形状は円形や角型などの任意形状の平板、円形や角型部を凸型にしてその周囲にフランジを付けた形状等、どんな形状でも良い。ノズルは孔詰まりを取り除くための洗浄、孔修理をするためには概ね10mm以上300mm以下の径を有することが、取り扱い易く、望ましい大きさであり、更には30〜100mmが好ましい。ノズルに付与する孔の数は特に限定はなく、所望とする生産規模に応じて適宜選択することが出来るが、1つのノズルには、ノズルの大きさにもよるが、概ね2以上1000以下の孔を有していることが好ましく、更に好ましくは、30以上300以下であることが好ましい。
本発明の液滴製造装置を用いて製造した液滴は、粒子径が均一であることが好ましい。その均一性は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、最も好ましくは95%以上である。ここで本発明における均一性とは、得られた液滴を実体顕微鏡で拡大撮影し、少なくとも100個以上の液滴を画像処理して液滴径を測定し、目標の粒子径の±5μmの粒径範囲内に含まれる液滴の重量%で表した値である。
また、重合性単量体を含んでなる本発明の液滴から得られたポリマービーズもまた良好な均一性を有するものである。
次に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各例における液滴の均一性は、回収したスラリーを密閉ガラスセルにサンプリングし、実体顕微鏡で拡大撮影し、画像処理して液滴径を測定した。測定個数は測定精度を上げるため多数測定する方が望ましい。その液滴を重量換算して目標粒径の±5μm範囲内に含まれる液滴の重量%で評価した。目標の均一性は98%以上と設定した。
(実施例1)
内径950mm、高さ2160mmのスラリー室15に設置して図4と同様の商業規模で2種類の液体よりなる液滴スラリー製造装置を用いた。プレートは径509mmのものを使用した。ノズルを設置する場所に内径40mmのノズル穴を持っている。本実施例では37個のノズルを取り付ける構造となっている。ノズルはプレートとOリングでシールし、ボルトで4点締めして取り付ける構造となっている。ノズルは外形70mm(フランジ部幅15mmを含む)、径36mm内に孔を開けることができる。ノズルは内径0.17mmの孔を45個有し、隣同士の孔の距離は4mmとし、孔から噴出する液体の相互作用によって液滴の均一性が乱れないように配列した。このノズルをプレートに37個設置して使用した。全孔数は1665個である。37個のノズル配置は、図5に示すように、プレートの中心に1個、中心から半径78mmの同心円状に6個、半径156mm円状に12個、半径234mm円状に18個を配置した。ノズルは同心円上で均等距離に配置されている。
スラリー室に196リットル/時のPVA水溶液(PVA濃度は320ppmの希薄なもの)を供給しておき、液体導入口から246リットル/時のスチレンを供給し、加振機で800Hzの振動を与えてO/W型の水溶液/スチレン液滴スラリーを製造した。必要な強さの加振を与えることにより、98%以上の割合で粒子径450μmの均一なスチレン液滴を得た。
(実施例2)
プレートは23個のノズルを取り付ける構造とした以外は、実施例1と同様な商業規模の2種類の液体よりなる液滴スラリー製造装置を用いてスチレン液滴スラリーを製造した。ノズルは、内径0.10mmの孔を148個有し、隣同士の孔の距離は2mmとし、孔から噴出する液体の相互作用によって液滴の均一性が乱れないように配列した。このノズルをプレートに23個設置して使用した。全孔数は3404個である。23個のノズル配置は、図6に示すように、プレートの中心に1個、中心から半径78mmの同心円状に6個、半径210mm円状に16個を配置した。ノズルは同心円上で均等距離に配置されている。スラリー室に206リットル/時のPVA水溶液(PVA濃度は320ppmの希薄なもの)を供給しておき、液体導入口から257リットル/時のスチレンを供給し、加振機で1990Hzの振動を与えてO/W型の水溶液/スチレン液滴スラリーを製造した。必要な強さの加振を与えることにより、98%以上の割合で粒子径270μmの均一なスチレン液滴を得た。
(実施例3)
実施例1と同様な商業規模の2種類の液体よりなる液滴スラリー製造装置を用いた。使用したプレート、ノズルは実施例1と同様なものを用いた。プレートには37個のノズルを取り付けることができる。ノズルは内径0.10mmの孔を148個有し、隣同士の孔の距離は2mmとし、孔から噴出する液体の相互作用によって液滴の均一性が乱れないように配列した。このノズルをプレートに22個設置して使用した。残りの15個は閉止板を取り付けた。全孔数は3256個である。22個のノズル配置は、図7に示すように、プレートの中心に1個、中心から半径78mmの同心円状に6個、半径234mm円状に15個を取り付けた。半径156mm円状に12個、半径234mm円状に3個、計15個の閉止板を取り付けた。スラリー室に197リットル/時のPVA水溶液(PVA濃度は320ppmの希薄なもの)を供給しておき、液体導入口から246リットル/時のスチレンを供給し、加振機で1900Hzの振動を与えてO/W型の水溶液/スチレン液滴スラリーを製造した。必要な強さの加振を与えることにより、98%以上の割合で粒子径270μmの均一なスチレン液滴を得た。
(比較例1)
実施例1と同様な商業規模の2種類の液体よりなる液滴スラリー製造装置を用いた。本比較例ではノズルを使用せず、プレートに直接孔をあけて用いた。本比較例で使用したプレートは内径0.10mmの孔を3367個有する。隣同士の孔の間隔は実施例2と同じ2mmとした。スラリー室に204リットル/時のPVA水溶液(PVA濃度は320ppmの希薄なもの)を供給しておき、液体導入口から254リットル/時のスチレンを供給し、加振機で1990Hzの振動を与えてO/W型の水溶液/スチレン液滴スラリーを製造した。必要な強さの加振を与えたが、粒子径270μmの均一なスチレン液滴は65%の割合であった。
Figure 0004706181
本発明を示す概略断面図である。 本発明を示す概略断面図である。 本発明を示す概略断面図である。 本発明の一実施例を示す概略断面図である。 本発明の一実施例1を示すプレート1上のノズルの配置概略図である。 本発明の一実施例2を示すプレート1上のノズルの配置概略図である。 本発明の一実施例3を示すプレート1上のノズルの配置概略図である。
符号の説明
1 プレート
2 ノズル
3 振動隔壁
4 側壁
5 容器
6 液体導入口
7 加振機
8 防振装置
9 液柱
10 液滴
11 室
12 液体供給口
13 スラリー排出口
14 容器
15 スラリー室

Claims (2)

  1. 容器(5)の室(11)への液体導入口(6)と、室(11)内の液滴対象液に振動を与えるための振動隔壁(3)及び加振機(7)、振動隔壁(3)よりも大きな口径の円形板からなり、室(11)から液滴対象液を噴出する孔を有するプレート(1)、該プレート(1)と振動隔壁(3)とを接続する円錐台状の側壁(4)を備えた液滴製造装置において、プレート(1)の面に、液体供給口(12)とスラリー排出口(13)を有する容器(14)を付設してなり、室(11)から容器(14)のスラリー室(15)の液滴保護剤中へ前記液滴対象液を噴出する複数の孔を有するノズル(2)を設け、該ノズル(2)をプレート(1)に同心円上に一定間隔で、個別に取り外し可能に且つプレート(1)からスラリー室(15)側へ突出状に設置することによって、プレート(1)に孔を備えさせるとともに、隣接するノズル(2)間に液滴保護剤の通り道を形成したことを特徴とする液滴製造装置。
  2. 前記ノズル(2)に30以上300以下の孔を形成し、前記プレート(1)に1000個以上の孔を形成した請求項1記載の液滴製造装置。
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