JP4706089B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐半田性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSI等の半導体素子の封止方法としてエポキシ樹脂組成物のトランスファー成形が低コスト、大量生産に適しており、採用されて久しく、信頼性の点でもエポキシ樹脂や硬化剤であるフェノール樹脂の改良により特性の向上が図られてきた。しかし、近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体の高集積化も年々進み、又半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、半導体封止用エポキシ樹脂組成物への要求は益々厳しいものとなってきている。このため、従来からのエポキシ樹脂組成物では解決出来ない問題点も出てきている。その最大の問題点は、表面実装の採用により半導体装置が半田浸漬、あるいはリフロー工程で急激に200℃以上の高温にさらされ、吸湿した水分が爆発的に気化する際の応力により、半導体装置にクラックが発生したり、半導体素子、リードフレーム、インナーリード上の各種メッキされた各接合部分と樹脂組成物の硬化物の界面で剥離が生じ信頼性が著しく低下する現象である。
【0003】
半田処理による信頼性低下を改善するために、エポキシ樹脂組成物中の無機充填材の充填量を増加させることで低吸湿化、高強度化、低熱膨張化を達成し耐半田性を向上させるとともに、低溶融粘度の樹脂を使用して、成形時に低粘度で高流動性を維持させる手法が一般的となりつつある。
一方、半田処理による信頼性において、エポキシ樹脂組成物の硬化物と半導体装置内部に存在する半導体素子やリードフレーム等の基材との界面の接着性は非常に重要になってきている。この界面での接着力が弱いと半田処理後の基材との界面で剥離が生じ、更にはこの剥離に起因し半導体装置にクラックが発生する。
従来から耐半田性の向上を目的として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ―アミノプロピルトリエトキシシラン等のカップリング剤をエポキシ樹脂組成物中に添加してきた。しかし、近年益々厳しくなっている耐半田性に対する要求に対して、これらのカップリング剤では充分に対応できなくなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、吸湿後の半田処理において、半導体装置にクラックや基材との剥離が発生しない耐半田性に優れるエポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)一般式(1)で示されるシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤の全部又は一部を加水分解して得られた加水分解物、(D)無機充填材、及び(E)硬化促進剤を必須成分とすることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置である。
【化5】
Figure 0004706089
(R1は炭素数1〜10のアルコキシ基、R2は炭素数1〜10の炭素数1〜10のアルキル基である。nは1〜3の整数。R3は水素原子、フェニル基、炭素数1〜10のアルキル基、又はアミノ基である。kは平均値で1〜10の正数、mは1〜5の整数。)
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる一般式(1)のシランカップリング剤は、分子中にポリエチレンイミン変性部を有していることにより、樹脂との反応性が向上すると共にに無機充填材や各種基材表面の水酸基と反応することにより接着強度が高くなり、耐半田性を向上させる特徴を有している。
一般式(1)中のR1は炭素数1〜10のアルコキシ基であるが、加水分解が比較的容易に起こることからメトキシ基、エトキシ基が好ましい。R2は炭素数1〜10のアルキル基で、nは1〜3の整数であるが、アルコキシ基が無機充填材や各種基材との接着性を向上させることから、n=3が最も好ましい。又アルコキシ基の炭素数を調整することにより、シランカップリング剤と樹脂や無機充填材との反応性を調整することができる。mは1〜5の整数であるが、m=3が入手し易さから一般的である。kは平均値で1〜10の正数であり、kが大きくなるに従いシランカップリング剤の粘度が上昇し、エポキシ樹脂組成物中で混合が不均一となるおそれがあるので、このような場合は、シランカップリング剤を予めアルコール等に溶解させ、粘度を調整して用いてもよい。
以下、一般式(1)で示されるシランカップリング剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【化6】
Figure 0004706089
【0007】
本発明に用いられる一般式(1)で示されるシランカップリング剤は、他のシランカップリング剤と併用してもよい。併用できるカップリング剤としては、1分子中にアルコキシシリル基と、エポキシ基などの有機官能基を有するシラン化合物全般を指し、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、等のメルカプト基を有するシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等のメタクリル基を有するシラン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0008】
一般式(1)で示されるシランカップリング剤は、予めアルコキシ基の一部又は全部を加水分解して得られた加水分解物をエポキシ樹脂組成物に添加してもよい。この場合、予めアルコキシ基が加水分解されているため、容易に無機充填材や各種基材表面の水酸基と容易に水素結合あるいは共有結合を形成し、耐半田性を向上させることが可能となる。
通常カップリング剤は、エポキシ樹脂組成物中にインテグラルブレンドにより混合されるが、一般式(1)で示されるシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤の全部又は一部を加水分解して得られた加水分解物の全部又は一部を、予めエポキシ樹脂やフェノール樹脂の全部又は一部に加熱混合してもよい。シランカップリング剤は、半導体装置の内部に存在する各種基材と樹脂組成物の硬化物との界面での親和性向上や化学結合形成による界面接着性向上にも効果がある。シランカップリング剤を予め樹脂に加熱したものを用いることにより、エポキシ樹脂組成物の成形時に各種基材との界面に効率的に移行し易くなる。又シランカップリング剤は予め全てのエポキシ樹脂、フェノール樹脂と加熱混合しても、一部のエポキシ樹脂あるいはフェノール樹脂と加熱混合してもよい。
【0009】
一方シランカップリング剤は、無機充填材表面に存在することにより、無機充填材とエポキシ樹脂組成物中の有機成分を化学的に結合させ、界面接着性の向上に有効であると考えられる。このように無機充填材と有機成分の界面接着性を向上させるためには、シランカップリング剤が無機充填材の表面に存在することが必要で、このために一般式(1)で示されるシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤の全部又は一部を加水分解して得られた加水分解物で無機充填材の表面を処理することにより、界面での接着性が向上し、熱時強度や耐半田性の向上効果がある。無機充填材表面をシランカップリング剤で処理する方法としてはは、攪拌している無機充填材にシランカップリング剤あるいはそのアルコール等の溶液を噴霧し、更に攪拌を行った後、室温に放置したり、あるいは加熱することにより表面処理された無機充填材を得ることができる。又表面処理したシランカップリング剤の他に、シランカップリング剤をインテグラルブレンド又は樹脂と予め加熱混合する手法と併用してもよい。
【0010】
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、エポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらの内では無機充填材の充填量を増加できる結晶性エポキシ樹脂が好ましい。これらは単独で使用しても混合して用いてもよい。
【0011】
本発明に用いられる結晶性エポキシ樹脂としては種々の樹脂があるが、これらの内では融点150℃以下のものが好ましい。150℃を越えると、溶融混練時に十分に融解せず均一分散できないので、この溶融混合物を用いた樹脂組成物の成形品は不均一となり、強度が各部分によって異なるために半導体装置の性能が低下するので好ましくない。これらの条件を満たす結晶性エポキシ樹脂としては、例えば、一般式(2)のビフェニル型エポキシ樹脂、一般式(3)のビスフェノール型エポキシ樹脂、一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【化7】
Figure 0004706089
(R4は炭素数1〜6のアルキル基で、それらは同一もしくは異なっていてもよい。mは0〜4の整数)
【0012】
【化8】
Figure 0004706089
【0013】
【化9】
Figure 0004706089
(R7は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基で、それらは同一もしくは異なっていてもよい。R8は炭素数1〜6のアルキル基で、それらは同一もしくは異なっていてもよい。mは0〜4の整数)
【0014】
一般式(2)のビフェニル型エポキシ樹脂としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−6,
6’−ジメチルビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−5,5’−ジメチルビフェニル、又は4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラターシャリブチルビフェニル等(置換位置の異なる異性体を含む)のグリシジルエーテル化物が挙げられる。
【0015】
一般式(3)のビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−ターシャリブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、又はビス(2−ターシャリブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等のグリシジルエーテル化物が挙げられる。
【0016】
一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂としては、例えば、3−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−5,3’−ジメチルスチルベン、3−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,6−ジメチルスチルベン、3−ターシャリブチル−2,4’−ジヒドロキシ−3’,5’,6−トリメチルスチルベン、3−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5’,6−トリメチルスチルベン、3−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−トリメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、2,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−5,5’−ジメチルスチルベン、又は4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラターシャリブチルスチルベン等(置換位置の異なる異性体を含む)のグリシジルエーテル化物が挙げられる。
【0017】
これらの内では、入手のし易さ、性能、原料価格等の点から、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ターシャリブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドのグリシジルエーテル化物(以上7種のエポキシ樹脂を、以下a群という)、3−ターシャリブチル−2,4’−ジヒドロキシ−3’,5’,6−トリメチルスチルベン、3−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5’,6−トリメチルスチルベン、3−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−トリメチルスチルベンのグリシジルエーテル化物(以上3種のエポキシ樹脂を、以下b群という)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、2,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、又は4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−5,5’−ジメチルスチルベンのグリシジルエーテル化物(以上6種のエポキシ樹脂を、以下c群という)から選択される1種以上が好ましい。
【0018】
a群の内、ビフェニル型エポキシ樹脂では、低粘度化効果が大きく、かつ反応性に富む4,4’−ジヒドロキシビフェニルの骨格が含まれているものが好ましい。その他のa群では、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ターシャリブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドのグリシジルエーテル化物が特に好ましい。
又スチルベン型エポキシ樹脂では、b群から選ばれる1種以上と、c群から選ばれる1種以上との混合物が、融点が低くなるため好ましい。これらの混合比、混合方法等は特に限定しない。例えば、スチルベン型エポキシ樹脂の原料であるスチルベン型フェノール類をグリシジルエーテル化する前に混合しておいたり、両方のスチルベン型エポキシ樹脂を溶融混合する方法等がある。
又耐湿信頼性向上のために、本発明に使用される結晶性エポキシ樹脂中に含まれる塩素イオン、ナトリウムイオン、その他フリーのイオンは、極力少ないことが望ましい。
【0019】
本発明に用いられるフェノール樹脂としては、分子内にフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又これらのフェノール樹脂は、単独もしくは混合して用いても差し支えない。
全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基との当量比としては、好ましくは0.5〜2.0、特に好ましくは0.7〜1.5である。0.5〜2.0の範囲を外れると、硬化性、耐湿信頼性等が低下するので好ましくない。
【0020】
本発明に用いられる無機充填材の種類については特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム等が挙げられ、特に溶融球状シリカが好ましい。形状は限りなく真球状であることが好ましく、又粒子の大きさの異なるものを混合することにより充填量を多くすることができる。この無機充填材の配合量としては、全エポキシ樹脂組成物中に75〜94重量%が好ましい。75重量%未満だと、無機充填材による補強効果が十分に発現せず、かつ吸湿要因である樹脂成分の配合量が多くなるので、樹脂組成物の硬化物の吸湿量が増大してしまうため、半田処理時に半導体装置にクラックが発生し易くなるため好ましくない。94重量%を越えると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、成形時に充填不良やチップシフト、パッドシフト、ワイヤースイープが発生し易くなるため好ましくない。
本発明に用いられる無機充填材は、必要に応じて無機充填材をカップリング剤やエポキシ樹脂あるいはフェノール樹脂で予め処理して用いてもよく、処理の方法としては、
溶剤を用いて混合した後に溶媒を除去する方法や、直接無機充填材に添加し混合機を用いて処理する方法等がある。
【0021】
本発明に用いられる硬化促進剤としては、前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂との架橋反応を促進するものであればよく、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のアミン系化合物、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレート塩等の有機リン系化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの硬化促進剤は単独でも混合して用いても差し支えない。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分の他、必要に応じて臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、リン化合物等の難燃剤、酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力化剤、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分、及びその他の添加剤等をミキサーを用いて混合後、熱ロール、加熱ニーダー、押出機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形すればよい。
【0023】
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合単位は重量部とする。
実施例1
式(5)の構造を主成分とするビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量19
0、融点105℃) 6.2重量部
式(6)のフェノール樹脂(水酸基当量174、軟化点75℃)5.7重量部
式(7)のシランカップリング剤(kは平均値で5)の50%イソプロピルア
ルコール溶液(以下、シランカップリング剤Aという) 0.4重量部
溶融球状シリカ粉末 87.0重量部
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBUという
) 0.2重量部
カルナバワックス 0.2重量部
カーボンブラック 0.3重量部
をミキサーを用いて混合した後、表面温度が90℃と45℃の2本ロールを用いて30回混練し、得られた混練物シートを冷却後粉砕して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【化10】
Figure 0004706089
【0024】
【化11】
Figure 0004706089
【0025】
【化12】
Figure 0004706089
【0026】
評価方法
スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で測定した。単位はcm。
熱時強度:240℃での曲げ強さをJIS K 6911に準じて測定した。単位はN/mm2
耐半田性:100ピンTQFP(パッケージサイズは14×14mm、厚み1.4mm、シリコンチップサイズは8.0×8.0mm、リードフレームは42アロイ製)を、金型温度175℃、注入圧力75kg/cm2、硬化時間2分でトランスファー成形し、175℃、8時間で後硬化させた。得られた半導体パッケージを85℃、相対湿度85%の環境下で72時間及び168時間放置し、その後240℃の半田槽に10秒間浸漬した。顕微鏡で外部クラックを観察し、クラック数[(クラック発生パッケージ数)/(全パッケージ数)×100]を%で表示した。又、チップと樹脂組成物の硬化物との界面での剥離面積の割合を超音波探傷装置を用いて測定し、剥離率[(剥離面積)/(チップ面積)×100]として、5個のパッケージの平均値を求め、%で表示した。
【0027】
実施例2、3、5〜8参考例4、比較例1〜3
表1に示す割合で各成分を配合し、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
なお実施例1で用いた以外のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、溶融混合物、シランカップリング剤加水分解物の詳細を以下に示す。
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量196、軟化点55℃)、式(8)の構造を主成分とするスチルベン型エポキシ樹脂(エポキシ当量187、融点110℃)、フェノールノボラック樹脂(水酸基当量105、軟化点105℃)
【化13】
Figure 0004706089
【0028】
・加水分解物Aの製造例
実施例1で用いた式(7)のシランカップリング剤と純水を80:20で混合し、この混合物が2層に分離しなくなるまで十分攪拌混合し、加水分解物Aを得た。
・溶融混合物の製造例
溶融混合物A
実施例1で用いた式(5)のエポキシ樹脂6.2重量部と式(6)のフェノールアラルキル樹脂5.7重量部を110℃で完全に溶融混合させた後、実施例1で用いた式(7)のシランカップリング剤0.4重量部を加えて溶融混合物Aを得た。
溶融混合物B
実施例1で用いた式(6)のフェノール樹脂5.7重量部を110℃で完全に溶融させた後、実施例1で用いた式(7)のシランカップリング剤0.2重量部を加えて溶融混合物Bを得た。
処理シリカの製造例
処理溶融球状シリカA
実施例1で用いた溶融球状シリカ87重量部をミキサーで攪拌しながら、実施例1で用いた式(7)のシランカップリング剤0.4重量部を滴下し加えた。そのまま攪拌を15分間継続した後、室温で8時間放置し、処理シリカAを得た。
処理溶融球状シリカB
実施例1で用いた溶融球状シリカ87重量部をミキサーで攪拌しながら、実施例1で用いた式(7)のシランカップリング剤0.2重量部を滴下し加えた。そのまま攪拌を15分間継続した後、室温で8時間放置し、処理シリカBを得た。
【0029】
【表1】
Figure 0004706089
【0030】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて得られた半導体装置は、熱時強度、耐半田性に優れる。

Claims (4)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)一般式(1)で示されるシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤の全部又は一部を加水分解して得られた加水分解物、(D)無機充填材、及び(E)硬化促進剤を必須成分とすることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、(A)エポキシ樹脂が、一般式(2)、一般式(3)、又は一般式(4)から選ばれる1種以上である請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004706089
    (Rは炭素数1〜10のアルコキシ基、Rは炭素数1〜10のアルキル基である。nは1〜3の整数、Rは水素原子、フェニル基、炭素数1〜10のアルキル基、又はアミノ基である。kは平均値で2〜の正数、mは1〜5の整数。)
    Figure 0004706089
    (Rは炭素数1〜6のアルキル基で、それらは同一もしくは異なっていてもよい。mは0〜4の整数)
    Figure 0004706089
    Figure 0004706089
    (Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基で、それらは同一もしくは異なっていてもよい。Rは炭素数1〜6のアルキル基で、それらは同一もしくは異なっていてもよい。mは0〜4の整数)
  2. 一般式(1)で示されるシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤の全部又は一部を加水分解して得られた加水分解物が、(A)エポキシ樹脂あるいは(B)フェノール樹脂の全部又は一部に予め加熱混合されている請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 一般式(1)で示されるシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤の全部又は一部を加水分解して得られた加水分解物が、(D)無機充填材を予め表面処理してなる請求項1又は2記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3記載のいずれかのエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
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