以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線式IDカードによるID確認システムの要部ブロック図である。本発明の無線式IDカードによるID確認システム1は、無線式のIDカード2及びIDカード2から無線送信された送信データを受信し、受信した送信データを解析する端末装置3で構成される。IDカード2は、所持者が(例えば、着用している衣服の胸ポケット等に入れて)携帯する形式のものである。IDカード2は、RFID(Radio Frequency Identification)で構成されたIDタグ4及びIDタグ4に接続した操作スイッチ(確認スイッチ)5を備えている。操作スイッチ5は、所持者がカードのスイッチ領域を押すことで、例えば、インピーダンスの変化によってオフ状態からオン状態にするものである。一方、端末装置3は、IDカード2から無線送信された送信データを受信するRFIDリーダ(無線リーダ)6及びRFIDリーダ6を介して受信した送信データを解析する制御部7を備えている。端末装置3の制御部7は、伝送路(例えば、LAN)8を通じてサーバ(管理装置)9と接続され、サーバ9との間で相互にデータの授受が行われるようになっている。
IDカード2のIDタグ4は、電源を発生させるための電波の受信と端末装置3のRFIDリーダ6に対してデータの送信を行うためのアンテナ10、データを搬送波に乗せて送信を行うための無線通信部11、受信した電波を基に回路電源を発生させる電源部12、通信内容の制御を行う制御部13、固有のIDが格納されている記憶部14を備えている。IDカード2に設けられた操作スイッチ5は、制御部13に接続され、操作スイッチ5のオンオフ状態が制御部13に入力されるように構成されている。端末装置3のRFIDリーダ6は、IDタグ4との間で無線による電源を発生させるための電波の送信とIDタグ4から送信されたデータの受信を行うためのアンテナ15、搬送波の生成や受信した送信データを取り込むための無線通信部16を備えている。IDタグ4は予め付与された自己を識別可能とする固有のID及び操作スイッチ5のオンオフ状態を送信データとして一緒に端末装置3のRFIDリーダ6へ無線送信する。
端末装置3のRFIDリーダ6とIDカード2のIDタグ4との通信手順は次の通りである。RFIDリーダ6のアンテナ15から電源発生のための電波を送信する。IDカード2に設けられたIDタグ4のアンテナ10がRFIDリーダ6から送られた電波を受信する。アンテナ10の共振作用により電源部12にて起電力が発生し、回路が起動する。制御部13は、記憶部14からIDを読み出し、操作スイッチ5のオンオフ状態を入力し、IDと操作スイッチ5のオンオフ状態とからなる送信データを作成し、作成した送信データを無線通信部11に出力する。無線通信部11は搬送波に送信データを乗せてアンテナ10から端末装置3のRFIDリーダ6に送信する。RFIDリーダ6は、アンテナ15で送られて来た送信データを受信し、端末装置3の制御部7は無線通信部16を通じて受信したデータを取り込む。制御部7は、取り込んだ受信したデータ(ID及びスイッチのオンオフ状態)を制御部7内のメモリ(図示せず)に記憶する。
次に、端末装置3のRFIDリーダ6に設定された無線受信範囲とIDカード2との関係について説明する。一例として、端末装置3が遊技場の島設備に設置された各遊技台の側方に隣接されて設置される玉貸機に適用される場合について説明すると、RFIDリーダ6による送信データの受信範囲は玉貸機と対応する遊技台の椅子をカバーできる距離に設定されている。このため、送信データの受信範囲内にIDカード2を所持している他の遊技者が存在する可能性があり、従って、RFIDリーダ6が受信する送信データは1つに限らず複数となる。なお、RFIDリーダ6と送信データの受信範囲内に存在する全てのIDカード2のIDタグ4とのアクセス方式は、種々考えられるが、例えば、次に述べるアクセス方式を行うものとする。
図2は、端末装置3のRFIDリーダ6による送信データの受信範囲内に複数IDカードが存在する場合の一例を示す図である。図2に示すように、例えば、送信データの受信範囲内にIDカードが3つ存在する場合、RFIDリーダ6は、最初に送信要求を受信範囲内に存在する全てのIDカードのIDタグに対して送信する。これに応じて、受信範囲内に存在する全てのIDカードのIDタグが自己のデータを同時に送信する。このとき、RFIDリーダ6に最初にIDカード(仮にカードAとする)から送信されたデータ「A1」が受信されたものとすると、次に、RFIDリーダ6は、送信要求を「A1」以外という条件付きで受信範囲内に存在するIDタグに対して送信する。これに応じて、受信範囲内に存在する2つのIDカードの各IDタグが自己のデータを送信する。
このとき、RFIDリーダ6にIDカード(仮にカードBとする)から送信されたデータ「B0」が受信されたものとすると、次に、RFIDリーダ6は、送信要求を「A1」、「B0」以外という条件付きで受信範囲内に存在するIDタグに対して送信する。これに応じて、受信範囲内に存在する残る1つのIDカード(仮にカードCとする)のIDタグが自己のデータを送信する。このとき、RFIDリーダ6にデータ「C0」が受信されたものとすると、次に、RFIDリーダ3は、送信要求を「A1」、「B0」、「C0」以外という条件付きで受信範囲内に存在する(実際は存在しない)IDタグに対して送信する。このとき、RFIDリーダ6にデータが受信されなければ、受信範囲内に存在する全てのIDカードのIDタグのデータが受信されたものとみなし、データの受信を終了する。
なお、この実施形態の説明では、受信できる送信データの数を最高でN個としている。即ち、制御部7のメモリに設定されている送信データの記憶部がN個分あって、今回受信された複数の送信データが順番にこれらの記憶部に記憶される。なお、N個の送信データの記憶部をM(1)〜M(N)で表すものとする。上述した受信データ「A1」の意味は、ID「A」のIDカードであり操作スイッチ5の状態が「1(オン)」であることを意味する(図2では操作「1」と記している)。また、上述した受信データ「B0」の意味は、ID「B」のIDカードであり操作スイッチ5の状態が「0(オフ)」であることを意味する(図2では操作「0」と記している)。同様に、上述した受信データ「C0」の意味は、ID「C」のIDカードであり操作スイッチ5の状態が「0(オフ)」であることを意味する(図2では操作「0」と記している)。
以上のように構成された無線式IDカードによるID確認システム1における端末装置3の制御部7が実行するID確認に関する処理について説明する。図3は、端末装置3の制御部7が実行するメインルーチン処理を示すフローチャートである。制御部7は、メインルーチン処理を開始すると、まず、送信データの受信処理を行い、RFIDリーダ6によるIDカード2から送信されてくる送信データ(カードのID及び操作スイッチ5のオンオフ状態)を受信する(ステップS01)。
図4は、ステップS01の具体的な送信データの受信処理のサブルーチンを示すフローチャートである。制御部7は、送信データの受信処理を開始すると、まず、受信バッファを0クリアし(ステップC01)、データの記憶部M(1)〜M(N)の内容を全て0クリアする(ステップC02)。次いで、今回の受信データの書込場所を指定するためにポインタP1に初期値「1」をセットし(ステップC03)、ステップC04に進んで先に説明したアクセス方式により、送信要求を出力し(ステップC04)、受信バッファにIDカード2のIDタグ4から送信されるデータを受信する(ステップC05)。なお、当該RFIDリーダ6の受信範囲内にIDカード2が存在しない場合、ステップC05において何も受信されないため、受信バッファに取り込まれる値はなく、受信バッファは0クリアされているままである。
ステップC05でデータの受信処理を行うと、ステップC06に進み、受信バッファの内容をポインタP1の値で指定されるデータの記憶部M(P1)に記憶する(ステップC07)。次いで、ポインタP1の値を+1し(ステップC08)、アップしたポインタP1の値が記憶部の個数Nを超えているか否か判定し(ステップC09)、ポインタP1の値が記憶部の個数Nを超えていなければ、ステップC04に戻り、先に説明したアクセス方式により送信要求を出力し、送信されるデータの受信を行う。制御部7は、ポインタP1の値が記憶部の個数Nを超えるまで、ステップC04、ステップC05、ステップC06、ステップC07、ステップC08を偽と判定する処理ループを繰り返す。したがって、データの記憶部M(1)〜M(N)の全てに受信によるデータが記憶される。なお、ポインタP1の値のときステップC05にてデータが受信されない場合、データの記憶部M(P1)には、データなしを表すデータ「0」が記憶される。ポインタP1の値が記憶部の個数Nを超えると、データの受信が完了となり、ステップC08を真と判定し、今回の送信データの受信処理を終了しメインルーチンに戻る。
ステップS01でIDカード2からの送信データの受信を行うと、ステップS02に進み、操作スイッチがオンである送信データの検出数をカウントする検出数カウンタを0クリアし(ステップS02)、今回受信したデータについての受信データチェック処理を行う(ステップS03)。
図5は、受信データチェック処理のサブルーチンを示すフローチャートである。受信データチェック処理を開始すると、今回の受信データの読出場所を指定するためにポインタP1に初期値「1」をセットし(ステップC11)、ステップC12に進んでポインタP1の値で指定されるデータの記憶部M(P1)の受信データを読み出す(ステップC12)。次いで、読み出した受信データの操作スイッチのデータは「1(オン)」であるか否かを判定する(ステップC13)。例えば、受信データ「A1」が記憶されている場合、操作スイッチのデータは「1(オン)」であると判定され、検出数カウンタの値を+1し(ステップC14)、読み出した受信データに含まれるIDをID記憶レジスタX1に記憶し(ステップC15)、ステップC16に進む。一方、例えば、受信データ「B0」が記憶されている場合、ステップC13において操作スイッチのデータは「1(オン)」でないと判定され、直接ステップC16にジャンプする。
ステップC16に進むと、ポインタP1の値を+1し(ステップC16)、アップしたポインタP1の値が記憶部の個数Nを超えているか否か判定し(ステップC17)、ポインタP1の値が記憶部の個数Nを超えていなければ、ステップC12に戻り、更新したポインタP1の値で指定される次のデータの記憶部M(P1)について上述した処理を行う。制御部7は、ポインタP1の値が記憶部の個数Nを超えるまで、ステップC12〜ステップC16、ステップC17を偽と判定する処理ループを繰り返す。したがって、データの記憶部M(1)〜M(N)の全てについて受信データの操作スイッチがオンであるか否かがチェックされる。ポインタP1の値が記憶部の個数Nを超えると、チェック完了となり、受信データチェック処理を抜けてメインルーチンに戻り、ステップS04に進む。
上記の受信データチェック処理を行った結果、受信されたIDカード2からのデータが1つもなければ、検出数カウンタの値も「0」のままとなる。また、検出数カウンタの値が「1」であれば、IDカード2の操作スイッチ5がオンとなっているIDを1つだけ検出したことになる。したがって、所持者がIDカード2の操作スイッチ5を押したものと認められ、ID記憶レジスタX1に記憶されているIDは信頼することができる。一方、例えば、検出数カウンタの値が「2」又は「3」のように「1」以外の値であれば、IDカード2の操作スイッチ5がオンとなっているIDを複数検出したことになる。したがって、検出しようとしている対象の所持者のIDカード2の操作スイッチを押したものか、検出しようとしている対象以外の所持者のIDカード2の操作スイッチを押したものかを特定できない。稀にではあるが、同時にIDカード2の操作スイッチ5を押した人が2人以上いる(言いかえると、2人以上のカード所持者が存在し、それぞれが所持するIDカード2の操作スイッチ5を同時に押した)ケースとなる。
ステップB06では、検出数カウンタの値が「1」であるか否かを判定する(ステップB06)。検出数カウンタの値が「1」であれば、上述した理由でID記憶レジスタX1に記憶されているIDは所持者のIDカードのIDであるとみなし、ID記憶レジスタX1に記憶されているIDを確定IDとして記憶し(ステップB07)、ステップB08に進む。一方、ステップB06において、検出数カウンタの値が「1」でないと判断した場合には、ID記憶レジスタX1に記憶されているIDが検出しようとしている対象の所持者のIDカードに特定できないので、記憶されているIDは無効として扱われ、ステップS01に戻り、再度、IDカード2の操作スイッチがオンとなっているIDを1つだけ検出するまで、上述した処理ルーチンを繰り返す。
検出したIDが確定IDとして確定できた場合、制御部7は、確定IDをサーバ9に送信し(ステップB08)、メインルーチンを終える。なお、サーバ9に送られた確定IDは、サーバ9により、ID情報と、例えば、金額情報、ポイント数情報、貯玉情報等の有価価値情報とが対応付けされて記憶されたデータベースに、確定IDと有価価値情報とを対応付けて記憶させたり、前記データベースから確定IDに対応する有価価値情報を読み出すのに利用される。
以上に説明したように、無線式IDカードによるID確認システムによれば、受信された複数のIDカード2からの送信データのうちから、所持者の操作によって操作スイッチ5のオン状態を含む送信データについて、送信データに含まれるID情報を確定ID情報と判定するので、複数のIDが検出された場合でも、確実に所持者のカードのIDであることが確認できる。また、操作スイッチの状態がオンであると判定した送信データの件数が1つである場合に限り、送信データに含まれるID情報を確定ID情報と判定する一方、オンであると判定した送信データの件数が2つ以上の場合は無効として扱うから、所持者のカードのIDであることの確実性をより高めることができる。
以下に、本発明の無線式IDカードによるID確認システムを利用したシステムについて説明する。図6は、本発明の無線式IDカードによるID確認システムを利用した遊技媒体払出システムの第1実施形態に係るプリペイドカードによる玉貸システム21の概略のブロック図である。
遊技場内には、複数の遊技台22、22、…が並設されて遊技島設備(図6では代表して1つのみ図示しているが、実際には多数の遊技島設備が遊技場に配置されている)が構成されている。また、遊技島設備には、複数の遊技台22、22、…1台毎に対応付けして払出機としての玉貸機(例えば、遊技台22の側部に隣接して設置される台間玉貸機)23、23、…が1つずつ設置されている。一方、遊技場の管理室にはサーバ(管理装置)24が配設されている。サーバ24は、伝送路(例えば、LAN)25を通じて各玉貸機23、23、…に接続され、相互にデータの授受が行われるようになっている。また、プリペイドカード販売機26は、遊技場の特定箇所(例えば、上述の遊技島設備の端)に設置されており、遊技を行おうとする遊技者は、所定の金額を投入し、プリペイドカード販売機26から投入金額と等価値のプリペイドカード27の発行を受ける。サーバ24は、伝送路(例えば、上記のLAN)25を通じて各プリペイドカード販売機26に接続され、相互にデータの授受が行われるようになっている。
上記プリペイドカード27は、本発明における無線式IDカード(IDカード2)の一具体的要素であり、遊技者が玉貸を受ける際に玉貸機23に対してカードの識別情報や操作確認情報を無線方式で遠隔的に送信するもので、玉貸のための操作を行う操作者たる遊技者が(着用している衣服の胸ポケット等に入れて)携帯する携帯式のものである。プリペイドカード27は、先に説明したIDカード2と構成は同じであり、RFID(Radio Frequency Identification)で構成されたIDタグ4及びIDタグ4に接続した操作スイッチ(確認スイッチ)5を備えている。
サーバ24(管理装置)は、従来の管理装置と同一であり、詳細な説明は省略する。サーバ4は、CPU、ROM及びRAMよりなるメモリ、通信インタフェースを備えた制御部、CRT或いは液晶パネル等からなる表示画面を有する表示装置、操作入力のためのキーボード装置及びマウスで構成された手動入力部、プリンタ、音声合成によって店内放送を行うための店内放送装置及びデータ記憶用の記憶装置等を含んで構成されている。
図7は、図6のプリペイドカードによる玉貸システム21の要部のブロック図である。プリペイドカード販売機26は、投入された貨幣(例えば、1万円札、5千円札、千円札)を識別する貨幣識別装置30、購入するプリペイドカードの金額を選択指定するための金額スイッチ31、発行するプリペイドカード(予めカードに固有のIDが記憶されている)27のIDを読み取るRFIDリーダ32、カードスタッカ(図示せず、発行に供するカードが多数枚収納されている)から1枚ずつカードを取り出してカード取出口(図示せず)まで搬送するカード発行部33、上記各機構の制御とサーバ24との間で相互にデータ(金額情報、ID情報、発行許可等)の授受を行うためのCPUを中心とした制御装置34を備えている。
貨幣識別装置30は、図示しない貨幣投入口から投入された現金の真贋を判定し、真正な貨幣であれば金額を判定し、図示しない紙幣搬送部に送ると共に、貨幣の金額データを制御装置34に送出する。制御装置34は、送られた金額データを投入金額として記憶する。金額スイッチ31は、例えば、1万円、5千円、3千円の3種類があり、投入金額を上限として金額スイッチへの入力が受け付けられる。なお、金額スイッチ31は1種類(例えば、3千円のもの)であってもよい。遊技者は金額スイッチ31を操作入力することで購入するプリペイドカードの金額を選択指定する。金額スイッチ31の操作信号は、制御装置34に入力される。制御装置34は、金額スイッチ31の操作信号が投入金額を超えていなければ、カード発行部33に制御信号を出力してカードスタッカからプリペイドカード27を1枚取り出し、RFIDリーダ32に送る。
カード発行部33は、制御装置34からの制御信号によってカードスタッカから1枚ずつカードを取り出してカード搬送路(図示せず)を経由させて最終的にカード取出口まで搬送する。RFIDリーダ32は、上記カード搬送路の途中に配設され、無線方式でプリペイドカードのIDを読み取る。なお、RFIDリーダ32のID受信範囲はカード搬送路を搬送されるプリペイドカード27からの送信情報のみを受信するように至近距離に設定されている。こうすることで、カードスタッカに多数ストックされている発行前のプリペイドカードのIDを読み取ることがないようにできる。RFIDリーダ32が読み取ったID情報は、制御装置34に入力される。制御装置34は、ID情報と金額スイッチ31によって指定された金額情報をLAN25を経由してサーバ24に送信する。
サーバ24は、ID情報と金額情報を受信すると、金額情報データベースにIDと金額を記憶し、プリペイドカード販売機26に発行許可の旨の制御信号を送信する。プリペイドカード販売機26の制御装置34は、発行許可の制御信号を受けると、カード発行部33に制御信号を出力する。カード発行部33は、この制御信号を受けてプリペイドカード27をカード取出口に送り、プリペイドカード27が遊技者に対して発行される。
玉貸機23は、遊技者が所持するプリペイドカード27のID情報や操作確認情報を無線方式で遠隔的に受信するためのRFIDリーダ(無線リーダ)35、玉貸操作を遊技者に行わせるための払出スイッチとしての玉貸スイッチ36、遊技者に対するメッセージ等を表示するための表示部37、玉貸操作に対応する分の遊技媒体の遊技者に対する払い出しを行う遊技媒体払出部38、上記各機構の制御とサーバ24との間で相互にデータ(金額情報、ID情報、玉貸許可又は玉貸不可等)の授受を行うためのCPUを中心とした制御装置39を備えている。なお、玉貸スイッチ36は、玉貸機23に直に設けられているものに限らず、所謂CR機と呼ばれているように遊技台22に設けられているものでもよい。また、遊技媒体払出部38は、玉貸機23に直に設けられているものに限らず、所謂CR機と呼ばれているもののように、遊技台22から払い出す形式のものでもよい。また、プリペイドカードによる玉貸システム21において、玉貸機23は先に説明したID確認システム1における端末装置3に相当するもので、従って、制御装置39が端末装置3の制御部7に相当する。
プリペイドカード27による玉貸について概略で説明する。遊技者は、プリペイド販売機26で購入したプリペイドカード27を所持して、遊技を行う遊技台22の椅子に座る。遊技者によって、各遊技台に対応して設置してある玉貸機23の玉貸スイッチ36が押されると、玉貸機23の表示部37に、「プリペイドカードの確認スイッチを押してください」との旨のメッセージが表示される。また、玉貸スイッチ36が1回押されるとどれだけの金額分の遊技媒体を貸し出すかの情報は、玉貸機23の制御装置39に記憶されている。プリペイドカード27のIDタグ4からID及び操作スイッチ5のオンオフ状態を表す情報が送信される。遊技者が、プリペイドカード27の操作スイッチ(確認スイッチ)5を押すと、プリペイドカード27からIDと操作スイッチ5のオン情報が送信される。これらの情報は玉貸機23のRFIDリーダ35によって受信される。玉貸機23の制御装置39は、プリペイドカード27の操作スイッチ5がオンとなっているIDを検出したら、このIDと押された玉貸スイッチ36の操作に対応した金額情報をサーバ24へ送信する。なお、プリペイドカードの操作スイッチがオンとなっているIDを複数検出した場合、玉貸機23の表示部37に再度、「プリペイドカードの確認スイッチを押してください」との旨のメッセージが表示し、プリペイドカード27の操作スイッチ5がオンとなっているIDを1つだけ検出するまでは、玉貸を行わないようにする。サーバ24は、受信した金額情報を金額情報データベースの受信したIDに該当する金額情報と比較し、受信した金額情報の方が大きければ、「玉貸不可」の旨のデータを送信する。受信した金額情報が金額情報データベースの該当IDの金額情報を超えていない場合は、払出条件を満たしたとして「玉貸可」の旨のデータを送信し、サーバ24上の金額情報データベースの該当IDの金額情報から、受信した金額分を減算する。玉貸機23の制御装置39は、サーバ24から「玉貸可」の旨のデータを受信すると、サーバ24が減算した金額分に相当する遊技媒体を払い出す。
以上のように構成された実施形態のプリペイドカード27による玉貸システム21におけるプリペイドカード27の発行とプリペイドカード27による玉貸に関する各処理について説明する。図8はプリペイドカード販売機26の制御装置34が実行するメインルーチン処理を示すフローチャートであり、図9はサーバ24(以下、単にサーバという)が実行するプリペイドカード27の発行に関わるプリペイドカード発行処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
[プリペイドカードの発行]
プリペイドカード販売機26の制御装置34は、メインルーチン処理を開始すると、投入された現金があるか否かを判別する(ステップA01)。投入された現金がなければ、ステップA01を偽と判定してステップA03にジャンプする。ステップA03においては、金額スイッチ31が操作されたか否かを判定する(ステップA03)。金額スイッチ31が操作されていなければ、ステップA01に戻り、再度、現金の投入があるか否かを判定する。このように、制御装置34は、ステップA01を偽と判定、ステップA03を偽と判定する処理ルーチンを繰り返し、図示しない貨幣投入口から現金が投入されるのを待つ。
貨幣投入口から現金が投入されと、投入された現金があると判定し、ステップA02に進む。なお、投入された現金があると判定した場合、投入された現金の真贋を判定し、真正な貨幣でない場合は現金を贋として貨幣投入口に返すようにしてステップA01を繰り返し、真正な貨幣であれる場合にステップA02に進むようにしてもよい。ステップA02に進むと、投入された現金を識別し、投入金額として加算記憶する(ステップA02)。なお、当然のことであるが、投入金額データの初期値は0(円)である。例えば、遊技者が5千円札を投入した場合であれば、現金が5千円札であることが識別されて投入金額として5千円が記憶される。次いで、ステップA03に進み、金額スイッチ31が操作されたか否かを判定する(ステップA03)。金額スイッチ31が操作されていなければ、ステップA01に戻り、更なる現金の投入があるか否かを判定する。例えば、遊技者がさらに5千円札を投入した場合であれば、ステップA01を真と判定し、現金が5千円札であることが識別され、現在の投入金額5千円に新たに投入された金額5千円が加算記憶されて投入金額として1万円が記憶される(ステップA02)。
遊技者は購入しようとする金額に対応する金額スイッチ31を押す。すると、操作された金額スイッチ31の操作信号が制御装置34に入力される。制御装置34は、ステップA03を真と判定し、ステップA04に進む。ステップA04に進むと、制御装置34は、操作された金額スイッチ31に対応する対応金額が記憶されている投入金額以下であるか否かを判定する(ステップA04)。操作された金額スイッチの対応金額が記憶されている投入金額より大きい場合は、ステップA04を偽と判定し、ステップA01に戻って、再度、現金の投入があるか否かを判定する。
操作された金額スイッチ31の対応金額が記憶されている投入金額以下である場合、ステップA04を真と判定してステップA05に進み、カード発行部33に制御信号を出力してカードスタッカからプリペイドカード27を1枚取り出し、RFIDリーダ32に送る(ステップA05)。次いで、RFIDリーダ32を介して発行するプリペイドカード27のIDを読み込む(ステップA06)。
次に、読み込んだプリペイドカード27のIDと金額スイッチ31の対応金額の金額データをサーバに送信し(ステップA07)、サーバから発行許可の旨の制御信号が送信されてくるまで、ステップA08の発行許可の旨の制御信号が受信されるか否かの判別処理を繰り返して待機する。
図9のフローチャートを参照する。サーバは、プリペイドカード発行処理を開始すると、プリペイドカード販売機26からの送信データがあるか否かを判定する(ステップD01)。サーバは、プリペイドカード販売機26からの送信データがなければ、ステップD01を偽と判定し、プリペイドカード発行処理を終了する。一方、プリペイドカード販売機26からの送信データがあると、ステップD02に進み、プリペイドカード販売機26から送信されたプリペイドカード27のIDと対応金額の金額データを受信する(ステップD02)。次いで、受信したプリペイドカード27のIDと対応金額の金額データを金額情報データベース(図7参照)に書き込む(ステップD03)。このように、金額情報データベースには、プリペイドカード27が発行される毎に1つのレコードが生成されてID及び対応金額データが格納される。サーバは、ID及び金額データを送信したプリペイドカード販売機26に対し、「発行許可」の旨の制御信号を送信し(ステップD04)、プリペイドカード発行処理を終了する。
プリペイドカード販売機26の制御装置34は、サーバから発行許可の旨の制御信号が送信されてくると、ステップA08を真と判定し、カード発行部33に制御信号を出力し、カード発行部33によりプリペイドカード27をカード取出口に送り、プリペイドカード27を遊技者に対して発行させ(ステップA09)、記憶されている投入金額をクリアし(ステップA10)、メインルーチン処理を終了する。なお、フローチャートには図示していないが、投入金額に対する対応金額に差額がある場合には、差額を釣銭として払い出す。
[プリペイドカードによる玉貸]
図10は玉貸機23の制御装置39が実行するメインルーチン処理を示すフローチャートであり、図11はサーバが実行するプリペイドカード27に関わるプリペイドカード玉貸処理のサブルーチンを示すフローチャートである。遊技者は、プリペイド販売機26で購入したプリペイドカード27を所持して、遊技を行う遊技台22の椅子に座る。玉貸機23の制御装置39は、メインルーチン処理を開始すると、まず、玉貸スイッチ36の操作があるか否かを判別する(ステップB01)。遊技者による玉貸スイッチ36の操作がなければステップB01を偽と判別する処理を繰り返す。遊技者が玉貸スイッチ36を操作すると、玉貸スイッチ36の操作信号が制御装置39に入力され、制御装置39はステップB01を真と判定し、ステップB02に進む。
ステップB02に進むと、制御装置39は、表示部37に、例えば、「プリペイドカードの確認スイッチを押してください」のような操作スイッチをオンする旨のメッセージを表示し(ステップB02)、ステップB03に進み、RFIDリーダ35によるプリペイドカード27からの送信データ(カードのID及び操作スイッチ5のオンオフ状態)の受信を行う(ステップB03)。なお、ステップB03の受信処理は、先に説明した送信データの受信処理と同じである(図3参照)。したがって、説明を省く。
ステップB03でプリペイドカード7からの送信データの受信を行うと、ステップB04に進み、操作スイッチがオンである送信データの検出数をカウントする検出数カウンタを0クリアし(ステップB04)、ステップB03にて今回受信したデータについての受信データチェック処理を行う(ステップB05)。なお、ステップB05の受信データチェック処理は、先に説明した受信データチェック処理と同じである(図4参照)。したがって、説明を省く。
上記の受信データチェック処理を行った結果、受信されたプリペイドカード27からのデータが1つもなければ、検出数カウンタの値も「0」のままとなる。また、検出数カウンタの値が「1」であれば、プリペイドカード27の操作スイッチ5がオンとなっているIDを1つだけ検出したことになる。したがって、今回の玉貸スイッチ36の操作は、玉貸スイッチ36を操作した遊技者本人(カードの所持者)が所持しているプリペイドカードの操作スイッチを押したものと認められ、ID記憶レジスタX1に記憶されているIDは信頼することができる。一方、例えば、検出数カウンタの値が「1」以外の値であれば、プリペイドカード27の操作スイッチ5がオンとなっているIDを複数検出したことになる。したがって、今回の玉貸スイッチ36の操作は、玉貸スイッチ36を操作した遊技者本人が所持しているプリペイドカード27の操作スイッチを押したものか、他の遊技者が所持しているプリペイドカード27の操作スイッチを押したものかを特定できない。
ステップB06では、検出数カウンタの値が「1」であるか否かを判定する(ステップB06)。検出数カウンタの値が「1」であれば、上述した理由でID記憶レジスタX1に記憶されているIDは玉貸スイッチ36を操作した遊技者が所持しているプリペイドカードであるとみなし、ID記憶レジスタX1に記憶されているIDを確定IDとして記憶し(ステップB07)、ステップB08に進む。一方、ステップB06において、検出数カウンタの値が「1」でないと判断した場合には、ID記憶レジスタX1に記憶されているIDが玉貸スイッチ36を操作した遊技者が所持しているプリペイドカードに特定できないので、ID記憶レジスタX1に記憶されているIDを無効として扱い、ステップB02に戻り、再度、玉貸機の表示部17に「プリペイドカードの確認スイッチを押してください」との旨のメッセージを表示し、プリペイドカード27の操作スイッチがオンとなっているIDを1つだけ検出するまで、上述した処理ルーチンを繰り返す。
検出したIDが確定IDとして確定できた場合、制御装置39は、確定IDと玉貸スイッチ36の操作に対応する金額(以下、対応金額という)をサーバに送信し(ステップB08)、サーバから返信があるか否かを判断し(ステップB09)、サーバから返信があるまで繰り返しステップB09を偽と判定してサーバからの返信を待つ。なお、玉貸スイッチ36が1回押されるとどれだけの金額分の遊技媒体を貸し出すかの払出有価価値情報(対応金額)は、玉貸機の制御装置39のメモリに記憶されている。
図11のフローチャートを参照し、サーバは、プリペイドカード玉貸処理を開始すると、玉貸機3からの送信データがあるか否かを判定する(ステップD10)。サーバは、玉貸機3からの送信データがなければ、ステップD10を偽と判定し、プリペイドカード玉貸処理を終了する。一方、玉貸機3からの送信データがあると、ステップD11に進み、玉貸機3から送信されたプリペイドカード27のID(確定ID)と対応金額データを受信する(ステップD11)。次いで、受信した確定IDに対応する金額情報データベースのレコードを特定し(ステップD12)、特定したレコードに記憶されている金額データをレジスタY1に読み出し(ステップD13)、受信した対応金額データがレジスタY1に読み出した金額データ以下であるか否かを判定し(ステップD14)、受信した金額データの方がレジスタY1に読み出した金額データよりも大きければ、「玉貸不可」の旨のデータを玉貸機23に送信し(ステップD15)、プリペイドカード玉貸処理を終了する。
一方、受信した金額データがレジスタY1に読み出した金額データ以下であれば、レジスタY1に読み出した金額情報から対応金額分を減算し(ステップS16)、減算した金額データをレコードに書き込み(ステップS17)、レコードを金額情報データベースに格納し(ステップS18)、「玉貸可」の旨のデータを玉貸機23に送信し(ステップS19)、プリペイドカード玉貸処理を終了する。
玉貸機23の制御装置39は、サーバから返信があると、ステップB09を真と判定し、サーバからの返信は「玉貸可」であるか否かを判定する(ステップB10)。サーバからの返信が「玉貸可」でない場合、即ち、サーバからの返信が「玉貸不可」である場合、玉貸は行わず、メインルーチン処理を終了する。サーバからの返信が「玉貸可」である場合、遊技媒体払出部38に対して制御信号を出力することによって対応金額分に相当する遊技媒体を払い出し行わせ(ステップB11)、今回のメインルーチン処理を終了する。
上述した実施形態では、玉貸スイッチ36が1回操作される毎にプリペイドカード27の操作スイッチ5を遊技者に押すことを要求するようにしているが、一度プリペイドカードの操作スイッチによる確認が済めばよいわけである。以下に説明する遊技媒体払出システムの第1実施形態の変形実施例では、遊技者の利便性を考慮し、一旦、プリペイドカード27の操作スイッチ5によるIDを確定した後は、このIDが検出されている間、その遊技者が遊技していると判断し、再度、プリペイドカード27の操作スイッチ5を押さなくとも、玉貸スイッチ36を押せば、遊技媒体を貸し出すようにしたものである。
図12は、第1実施形態の変形実施例に係る玉貸機のメインルーチン処理を示すフローチャートである。ステップB01〜ステップB07の処理ルーチンは、図10に示す第1実施形態の玉貸機のメインルーチン処理と全く同じであるので、説明を省略する。ステップB08に進み、確定IDと玉貸スイッチ36の操作に対応する金額(以下、対応金額という)をサーバに送信し(ステップB08)、サーバから返信があるまで待機する(ステップB09)。
サーバから返信があると、ステップB09を真と判定し、サーバからの返信は「玉貸可」であるか否かを判定する(ステップB10)。サーバからの返信が「玉貸可」でない場合、即ち、サーバからの返信が「玉貸不可」である場合、玉貸は行わず、メインルーチン処理を終了する。
一方、サーバからの返信が「玉貸可」である場合、遊技媒体払出部38に対して制御信号を出力することによって対応金額分に相当する遊技媒体の払出しを行わせ(ステップB11)、ステップB12に進み、再度、RFIDリーダ35によるプリペイドカード7からの送信データ(カードのID及び操作スイッチ9のオンオフ状態)の受信を行う(ステップB12)。遊技者がこの遊技台を続けて遊技している場合には、前述したように、記憶部M(1)〜M(N)のいずれかに確定IDとして記憶したIDと同じIDが記憶されているはずである。
ステップB13に進み、制御装置39は、記憶部M(1)〜M(N)に記憶されている送信データについて確定IDが検出されるか否かを順次判定する(ステップB13〜ステップB15)。記憶部M(1)〜M(N)のいずれかに確定IDが検出された場合は、遊技者が継続して遊技しているとみなし、ステップB16に進んで玉貸スイッチ36の操作があるか否かを判別する(ステップB16)。遊技者による玉貸スイッチ36の操作がなければステップB16を偽と判別し、ステップB12に戻り、ステップB13〜ステップB15の処理によって確定IDが検出されるか否かを判定する。以上の処理ルーチンを繰り返す。遊技者が玉貸スイッチ36を操作すると、ステップB16を真と判定し、ステップB08に戻り、確定IDと玉貸スイッチ36の操作に対応する対応金額をサーバに送信し(ステップB08)、サーバから返信があるまで待機する(ステップB09)。一方、記憶部M(1)〜M(N)のいずれにも確定IDが検出されなかった場合は、遊技者は遊技台の椅子を離れたものとみなし、ステップB17に進み、記憶していた確定IDをクリアし(ステップB17)、今回のメインルーチン処理を終了する。
以上に説明したように、変形実施例では、一旦プリペイドカード27の操作スイッチ5によるIDを確定した後は、このIDが検出されている間、その遊技者が遊技していると判断し、玉貸スイッチ36を押すだけの操作で、遊技媒体を連続して貸し出すことができるようにしたものである。したがって、玉貸スイッチ36を押す度にプリペイドカード27の操作スイッチ5を押す手間が省けるため、遊技者の利便性がよい。
次に、本発明の無線式IDカードによるID確認システムを利用した遊技媒体払出システムの第2実施形態について説明する。図13は、本発明の無線式IDカードによるID確認システムを利用した遊技媒体払出システムの第2実施形態に係る会員カードによる貯玉払出システム40の概略のブロック図である。第1実施形態と同様に遊技場内には、複数の遊技台22、22、…が並設されて遊技島設備が構成されている。また、遊技島設備には、複数の遊技台22、22、…1台毎に対応付けして貯玉払出機41、41、…が1つずつ設置されている。一方、遊技場の管理室にはサーバ(管理装置)24が配設されている。サーバ24は、伝送路(例えば、LAN)25を通じて各貯玉払出機41、41、…に接続され、相互にデータの授受が行われるようになっている。また、計数機42は、遊技場の特定箇所(例えば、上述の遊技島設備の端)に設置されており、獲得した遊技媒体の計数を行おうとする遊技者(会員)は、後述の会員カード55を挿入し、計数機42に獲得した遊技媒体を投入して計数を行う。サーバ24は、伝送路(例えば、上記のLAN)25を通じて各計数機に接続され、相互にデータの授受が行われるようになっている。
上記会員カード55は、本発明における無線式IDカード(IDカード2)の一具体的要素であって、構造自体は先に説明したIDカード2と同じである。会員カード55は、IDタグ4及び操作スイッチ5を備え、遊技者(会員)が貯玉の払出しを受ける際に貯玉払出機に対して会員カード55の識別情報や操作確認情報を無線方式で遠隔的に送信するもので、貯玉の払出しのための操作を行う操作者たる遊技者(会員)が(着用している衣服の胸ポケット等に入れて)携帯する形式のものである。会員カード55は、後述の貯玉払出機のRFIDリーダとの間で無線による情報の送信を行うもので、IDタグ4が予め付与された自己を識別可能とする固有のID及び操作スイッチ5のオンオフ状態を送信データとして一緒にRFIDリーダへ無線送信する。サーバ24(管理装置)のハードウェア構成は、従来の管理装置と同一であり、詳細な説明は省略する。
図14は、会員カード55による貯玉払出システム40の要部のブロック図である。計数機42は、投入された遊技媒体を計数するための計数部43、会員カード挿入口(図示せず)から挿入された会員カード55の会員IDを読み取るRFIDリーダ44、計数終了した遊技媒体数を記録したレシートの発行のため或いは会員カード55による貯玉の預け入れ行うために操作するためのボタン式の発券スイッチ45、遊技媒体の計数値やメッセージ等を表示するための表示部46、遊技媒体数を記録したレシート49の発行を行うためのレシート発行部47、上記各機構の制御とサーバ24との間で相互にデータ(遊技媒体数情報、ID情報、貯玉加算終了等)の授受を行うためのCPUを中心とした制御装置48を備えている。
計数部43は、図示しない遊技媒体投入ホッパに投入された遊技媒体の計数を行い、計数データを制御装置48に送出する。制御装置48は、送られた計数データを遊技媒体数として記憶する。RFIDリーダ44は、図示していない会員カード挿入口に挿入された会員カード55の会員IDを無線方式で読み取る。なお、RFIDリーダ44のID受信範囲は会員カード挿入口に挿入されている会員カード55からの送信情報のみを受信するように至近距離に設定されている。こうすることで、計数機42の付近に別の会員がいた場合、その会員の会員カードのIDを読み取ることがないようにできる。また、計数を行う会員に計数機42にて会員カード55の挿入を行わせている理由は、実際に遊技媒体を計数させていない別の会員が会員カードの操作スイッチを押すことにより、計数した遊技媒体を貯玉として不正に獲得されるのを防ぐためでもある。RFIDリーダ44が読み取ったID情報は、制御装置48に入力される。
発券スイッチ45は、会員でない一般の遊技客の場合であれば、計数終了した遊技媒体数を記録したレシート49をレシート発行部47から発行するために操作する。また、会員の場合であれば、会員カード55による貯玉の預け入れ行うために操作する。発券スイッチ45の操作信号は制御装置48に入力される。制御装置48は、発券スイッチ45の操作信号があると、会員カード55の会員IDが存在する否かを判定し、会員IDがなければ、レシート発行部47に制御信号を出力してレシート49の発行を行わせ、遊技媒体数をクリアする。また、会員IDがある場合は、ID情報と遊技媒体数情報をLAN25を経由してサーバ24に送信する。
サーバ24は、ID情報と遊技媒体数情報を受信すると、貯玉データベースの会員IDに対応する貯玉数に受信した貯玉数を加算記憶し、計数機42に貯玉加算終了の旨の制御信号を送信する。計数機42の制御装置48は、貯玉加算終了の制御信号を受けると、遊技媒体数をクリアする。
貯玉払出機41は、遊技者が所持する会員カードのID情報や操作確認情報を無線方式で遠隔的に受信するためのRFIDリーダ50、貯玉の払出操作を遊技者たる会員に行わせるための例えば、ボタン式の払出スイッチ51、遊技者に対するメッセージ等を表示するための表示部52、貯玉の払出操作に対応する分の遊技媒体の遊技者に対する払い出しを行う遊技媒体払出部53、上記各機構の制御とサーバ24との間で相互にデータ(払出数情報、ID情報、払出許可又は払出不可等)の授受を行うためのCPUを中心とした制御装置54を備えている。RFIDリーダ50は、第1実施形態で説明した玉貸機23に配備されたRFIDリーダ35と同様のハードウェア構成のものであり、制御装置54に接続されている。また、遊技媒体払出部53は、貯玉払出機41に直に設けられているものに限らず、所謂CR機と呼ばれているもののように、遊技台22から払い出す形式のものでもよい。
以上のように構成された第2実施形態の会員カード55による貯玉払出システム40における計数機42からの貯玉の預け入れと会員カード55による貯玉の払出しに関する各処理について説明する。前提として、まず、遊技場の会員になろうとする遊技者は、個人情報(氏名、住所、生年月日等)を遊技場に登録し、会員カード55を発行してもらう。個人情報は、会員IDに対応してサーバ24に記憶され、遊技場に会員登録される。また、会員カード55のIDタグ4にはサーバ24に記憶された会員IDと同一の会員IDが記憶されている。さらに、貯玉データベース(図14参照)に会員IDに対応付けして貯玉数が書き込まれる。このように、サーバ24の貯玉データベースには、会員登録がなされる毎に1つのレコードが生成されて会員ID及び貯玉数が格納される。なお、この実施形態では、会員登録時の貯玉数を「0個」としている。
図15は計数機42の制御装置48が実行するメインルーチン処理を示すフローチャートである。また、図16はサーバ24(以下、単にサーバという)が実行する貯玉加算処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
[遊技者が獲得した遊技媒体の預け入れ]
計数機42の制御装置48は、メインルーチン処理を開始すると、表示部46に、例えば、「会員の方は、会員カードを挿入して下さい」のような会員カードを挿入させる旨のメッセージを表示する(ステップA20)。遊技者が会員である場合、図示しない会員カード挿入口に会員カード55を挿入する。遊技者が会員でない一般客の場合は会員カードの挿入は行われない。次に、制御装置48は、投入された遊技媒体があるか否かを判断する(ステップA21)。遊技者が遊技で獲得した遊技媒体を図示しない遊技媒体投入ホッパに投入すると、計数部43が遊技媒体の計数を行い、計数データが制御装置48に入力される。
制御装置48は、投入された遊技媒体がない場合、ステップA21を偽と判断する処理を繰り返すことで遊技媒体が投入されるまで待機する。遊技媒体が投入されると、ステップA02を真と判定し、計数部43から出力される計数データを読み込むと共に表示部46に表示し(ステップA22)、ステップA23に進み、発券スイッチ45が操作されたか否かを判定する(ステップA23)。発券スイッチ45が操作されていなければ、ステップA22に戻り、計数データの読み込みと表示を続ける。したがって、表示部46に遊技媒体のカウント値が刻々と表示される。遊技者は、表示部46のカウント値を見て計数が完了したことを確認して発券スイッチ45を押す。すると、操作された発券スイッチ45の操作信号が制御装置48に入力される。
制御装置48は、ステップA23を真と判定してステップA24に進み、計数データを遊技媒体数として記憶する(ステップA24)。次に、RFIDリーダ44を介して会員カード55の会員IDを読み込む(ステップA25)。したがって、会員カード55が挿入されていればIDタグ4に記憶されている会員IDが制御装置48に読み込まれる。また、会員カード55が挿入されていなければ会員IDなしを示すデータ(例えば、「0」)が制御装置48に読み込まれる。
次いで、制御装置48は、会員IDは検出されたか否かを判断する(ステップA26)。読み込んだ会員IDを示すデータが「0」である場合、「会員カードの挿入なし」と判断し、すなわち、会員でない一般の遊技客であると判定し、レシート発行部47に制御信号及び計数データを出力することでレシート49を発行し(ステップA27)、記憶されている遊技媒体数をクリアし(ステップA30)、メインルーチン処理を終了する。
一方、会員IDが検出された場合には、ステップA26を真と判定してステップA28に進み、読み込んだ会員カード55の会員IDと記憶されている遊技媒体数をサーバに送信し(ステップA28)、サーバから貯玉加算終了の旨の制御信号が送信されてくるまで、ステップA29の貯玉加算終了の旨の制御信号が受信されるか否かの判別処理を繰り返して待機する。そして、サーバから貯玉加算終了の旨の制御信号が送信されてくると、ステップA29を真と判定し、記憶されている遊技媒体数をクリアし(ステップA30)、メインルーチン処理を終了する。
図16のフローチャートを参照する。サーバは、貯玉加算処理を開始すると、計数機42からの送信データがあるか否かを判定する(ステップD21)。サーバは、計数機42からの送信データがなければ、ステップD21を偽と判定し、貯玉加算処理を終了する。一方、計数機42からの送信データがあると、ステップD22に進み、計数機42から送信された会員カード55の会員IDと遊技媒体数を受信する(ステップD22)。次いで、受信した会員カード55の会員IDに対応する貯玉データベースのレコードを特定し(ステップD23)、特定したレコードに記憶されている貯玉数をレジスタY1に読み出し(ステップD24)、レジスタY1に読み出した貯玉数に受信した遊技媒体数を加算し(ステップD25)、加算結果(レジスタY1の内容)を新たな貯玉数としてレコードに書き込み(ステップD26)、レコードを貯玉データベースに格納し(ステップD27)、「貯玉加算終了」の旨のデータを計数機42に送信し(ステップD28)、貯玉加算処理を終了する。
[会員カードによる貯玉払出]
図17乃至図18は貯玉払出機41の制御装置54が実行するメインルーチン処理を示すフローチャートであり、図19はサーバが実行する貯玉減算処理のサブルーチンを示すフローチャートである。遊技者は、会員カード55を所持して、遊技を行う遊技台22の椅子に座る。貯玉払出機41の制御装置54は、メインルーチン処理を開始すると、まず、払出スイッチ51の操作があるか否かを判別する(ステップB20)。遊技者による払出スイッチ51の操作がなければステップB20を偽と判別する処理を繰り返す。遊技者が払出スイッチ51を操作すると、払出スイッチ51の操作信号が制御装置54に入力され、制御装置54はステップB20を真と判定し、ステップB21に進む。
ステップB21に進むと、制御装置54は、表示部52に、例えば、「会員カードの確認スイッチを押してください」のような操作スイッチをオンする旨のメッセージを表示し(ステップB21)、ステップB22に進み、RFIDリーダ50による会員カード55からの送信データ(カードの会員ID及び操作スイッチ5のオンオフ状態)の受信を行う(ステップB22)。ステップB22の処理は、先に説明した第1実施形態の玉貸機23で行われるステップB03の処理と同様であるのでここでの説明を省略する(図3参照)。
ステップB22で会員カード29からの送信データの受信を行うと、ステップB23に進み、操作スイッチがオンである送信データの検出数をカウントする検出数カウンタを0クリアし(ステップB23)、ステップB24にて今回受信したデータについての受信データチェック処理を行う(ステップB24)。ステップB24の処理は、先に説明した第1実施形態の玉貸機23で行われるステップB05の受信データチェック処理と同様であるのでここでの説明を省略する(図4参照)。
上記の受信データチェック処理を行った結果、受信された会員カード55からのデータが1つもなければ、検出数カウンタの値も「0」のままとなる。また、検出数カウンタの値が「1」であれば、会員カード55の操作スイッチ5がオンとなっている会員IDを1つだけ検出したことになる。したがって、今回の払出スイッチ51の操作は、払出スイッチ51を操作した遊技者本人が所持している会員カード55の操作スイッチを押したものと認められ、ID記憶レジスタX1に記憶されている会員IDは信頼することができる。一方、例えば、検出数カウンタの値が「2」又は「3」のように「1」以外の値であれば、会員カード55の操作スイッチ5がオンとなっているIDを複数検出したことになる。したがって、今回の払出スイッチ51の操作は、払出スイッチ51を操作した遊技者本人が所持している会員カード55の操作スイッチを押したものか、他の遊技者が所持している会員カード55の操作スイッチを押したものかを特定できない。
ステップB24の受信データチェック処理を終えるとステップB25に進む。ステップB25では、検出数カウンタの値が「1」であるか否かを判定する(ステップB25)。検出数カウンタの値が「1」であれば、上述した理由でID記憶レジスタX1に記憶されている会員IDは払出スイッチ51を操作した遊技者が所持している会員カード55であるとみなし、ID記憶レジスタX1に記憶されている会員IDを確定IDとして記憶し(ステップB26)、ステップB27に進む。
一方、ステップB25において、検出数カウンタの値が「1」でないと判断した場合には、ID記憶レジスタX1に記憶されている会員IDが払出スイッチ51を操作した遊技者が所持している会員カード55に特定できないので、ステップB21に戻り、再度、表示部52に「会員カードの確認スイッチを押してください」との旨のメッセージを表示し、会員カード55の操作スイッチがオンとなっている会員IDを1つだけ検出するまで、上述した処理ルーチンを繰り返す。
検出した会員IDが確定IDとして確定できた場合、制御装置54は、確定IDと払出スイッチ51の操作に対応する払出数(以下、対応払出数という)をサーバに送信し(ステップB27)、サーバから返信があるか否かを判断し(ステップB28)、サーバから返信があるまで繰り返しステップB28を偽と判定してサーバからの返信を待つ。なお、払出スイッチ51が1回押されるとどれだけの数の遊技媒体を払い出すかの情報(対応払出数)は、貯玉払出機の制御装置54のメモリに記憶されている。
図19のフローチャートを参照し、サーバは、貯玉減算処理を開始すると、貯玉払出機41からの送信データがあるか否かを判定する(ステップD31)。サーバは、貯玉払出機41からの送信データがなければ、ステップD31を偽と判定し、貯玉減算処理を終了する。一方、貯玉払出機41からの送信データがあると、ステップD32に進み、貯玉払出機41から送信された会員カード55の会員ID(確定ID)と対応払出数を受信する(ステップD32)。サーバは、受信した対応払出数に手数料分(手数料を含めた変換率)を乗じた値を引落数として算出する(ステップD33)。手数料は、予めサーバ4に記憶されているもので、例えば、対応払出数が500個で、手数料10%の場合であれば、500個×1.1=550個が引落数として算出される。次に、受信した確定IDに対応する貯玉データベースのレコードを特定し(ステップD34)、特定したレコードに記憶されている貯玉数をレジスタY1に読み出し(ステップD35)、算出した引落数がレジスタY1に読み出した貯玉数以下であるか否かを判定し(ステップD36)、算出した引落数の方が貯玉数より大きければ、「払出不可」の旨のデータを貯玉払出機41に送信し(ステップD37)、貯玉減算処理を終了する。
一方、算出した引落数がレジスタY1に読み出した貯玉数以下であれば、レジスタY1に読み出した貯玉数から引落数を減算し(ステップD38)、減算結果(レジスタY1の内容)をレコードに書き込み(ステップD39)、レコードを貯玉データベースに格納し(ステップD40)、「払出可」の旨のデータを貯玉払出機41に送信し(ステップD41)、貯玉減算処理を終了する。
貯玉払出機41の制御装置54は、サーバから返信があると、ステップB28を真と判定し、サーバからの返信は「払出可」であるか否かを判定する(ステップB29)。サーバからの返信が「払出可」でない場合、即ち、サーバからの返信が「払出不可」である場合、貯玉の払出しは行わず、メインルーチン処理を終了する。
一方、サーバからの返信が「払出可」である場合、遊技媒体払出部53に対して制御信号を出力することによって対応払出数に相当する遊技媒体の払出しを行わせ(ステップB30)、ステップB31に進み、再度、RFIDリーダ50による会員カード55からの送信データ(カードの会員ID及び操作スイッチ9のオンオフ状態)の受信を行う(ステップB31)。遊技者がこの遊技台を続けて遊技している場合には、前述したように、記憶部M(1)〜M(N)のいずれかに確定IDとして記憶した会員IDと同じ会員IDが記憶されているはずである。
ステップB32に進み、制御装置54は、記憶部M(1)〜M(N)に記憶されている送信データについて確定IDが検出されるか否かを順次判定する(ステップB32〜ステップB34)。記憶部M(1)〜M(N)のいずれかに確定IDが検出された場合は、遊技者が継続して遊技しているとみなし、ステップB35に進んで払出スイッチ51の操作があるか否かを判別する(ステップB35)。遊技者による払出スイッチ51の操作がなければステップB35を偽と判別し、ステップB31に戻り、ステップB32〜ステップB34の処理によって確定IDが検出されるか否かを判定する。以上の処理ルーチンを繰り返す。遊技者が払出スイッチ51を操作すると、ステップB35を真と判定し、ステップB27に戻り、確定IDと払出スイッチ51の操作に対応する対応払出数をサーバに送信し(ステップB27)、サーバから返信があるまで待機する(ステップB28)。一方、記憶部M(1)〜M(N)のいずれにも確定IDが検出されなかった場合は、遊技者は遊技台の椅子を離れたものとみなし、ステップB17に進み、記憶していた確定IDをクリアし(ステップB36)、今回のメインルーチン処理を終了する。
以上に説明したように、この実施形態では、遊技者の利便性を考慮し、一旦会員カード55の操作スイッチ5による会員IDを確定した後は、この会員IDが検出されている間、その遊技者が遊技していると判断し、払出スイッチ51を押すだけの操作で、遊技媒体を連続して払出すことができる。したがって、払出スイッチ51を押す度に会員カード55の操作スイッチ5を押す手間が省けるため、遊技者の利便性がよい。