JP4706027B2 - ダイヤモンドライクカーボン膜の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ダイヤモンドライクカーボン膜の製造方法に関するものである。
ダイヤモンドライクカーボン膜(以下、「DLC膜」と略称する)は、ダイヤモンドのようなsp3結合とグラファイト等のようなsp2結合とをともに有するアモルファス状の膜である。このDLC膜は、その表面が極めて平滑であり、硬度が高く、優れた耐摩耗性および潤滑特性を有している。そのため、これらの特性を活かし、塑性加工用金型や冶具等における表面の硬質皮膜としての用途が期待されている。
しかしながら、DLC膜形成時の問題点として、基材との密着性が悪いという問題がある。特に、鉄系の基材に対してDLC膜を直接形成するのは困難である。これらの原因としては、DLC膜の内部応力が大きいこと、基材との炭素結合の安定性が十分でないこと等が考えられている。
そこで、基材との密着性を改善する方法として、基材とDLC膜との間に中間層をはさむ方法が提案されている。この種の中間層としては、Ti膜、Cr膜、Si膜、SiC膜等が知られている。従来、これらの中間層は、いずれも物理的気相成長法(以下、「PVD法」と略称する)または化学的気相成長法(以下、「CVD法」と略称する)等による高真空度下にて形成されている(例えば特開2000−256850号公報参照)。そのため、DLC膜の生成速度が遅い、高コストである等の実用上の問題点が多かった。
ところで、本発明者らの一人である野田は、パルス放電−プラズマCVD法において、200Torrまでの低真空度下で、陽極側にDLC膜を形成できることを示した(特開2004−169183号公報)。
ここで、パルス放電−プラズマCVD法とは、図1に示すように、直流電源と、その出力を断続させるインテリジェントパワーモジュールと、パルス発信器と、高圧トランスと、抵抗と、高圧トランスの高圧側から電圧を放電するためのダイオードと、を備えたパルス電源を用い、陰極および陽極よりなる放電電極からパルス放電することによりプラズマを生成し、原料ガスを分解して気相成長させる方法である。
本発明が解決しようとする課題は、実用性の高いDLC膜の製造方法を提供すること、具体的には、簡便な装置を使用し、低真空度で、基材への密着性が良好なDLC膜の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、基材上に金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜を形成した後、パルス放電―プラズマCVD法を用い、この方法の特徴である水素のラジカルによる極めて高い還元雰囲気を利用して、金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜をTi膜、Si膜等の金属薄膜に還元し、パルス放電―プラズマCVD法の反応過程で、少なくとも金属薄膜の表層に存在する金属をTiC、SiC等の金属炭化物に変化させ、この金属炭化物皮膜上に密着性の高いDLC膜を形成させうることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明に係るDLC膜の製造方法は、基材上に、金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜を形成する第1工程と、金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜を、炭化水素ガスおよび/またはアルコールと水素ガスとを少なくとも含む混合ガスを導入ガスとして用いた、パルス放電−プラズマ化学気相成長法により還元して金属薄膜とするとともに、金属薄膜の少なくとも表層に存在する金属を金属炭化物に変化させて中間層とし、この中間層上にダイヤモンドライクカーボン膜を形成する第2工程とを有することを要旨とする。なお、薄膜とは、0.1mm〜1nmの膜厚の膜をいう。
ここで、上記パルス放電−プラズマCVD法は、基本的には、炭化水素ガスおよび/またはアルコールと、水素ガスとを少なくとも含む混合ガスを導入ガスとして用い、この導入ガスにより形成された雰囲気下において実施される。
導入ガスをパルス放電−プラズマCVD法の反応室に導入する前に、反応室を10−2Torr程度に排気するが、より低い真空度での実施も可能である。
上記炭化水素ガスとしては、具体的には、メタンガス、アセチレンガスなどを例示することができるが必ずしもこれらに限定されるものではない。また、上記炭化水素ガスは、1種または2種以上混合されていても良い。
上記パルス放電では、放電開始電圧は有効放電電圧の10倍程度と高くなり、これにより基材にプラズマが強く打ち込まれ、中間層と基材との密着性を高める効果がある。
この際、上記基材としては、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金などの金属材料を用いることができる。これら金属材料は、1種または2種以上含まれていても良い。
本発明は、特に、鉄合金へのDLC膜の形成に有用である。鉄合金は、工具材料、金型材料、磁性体メモリ材料などの実用材料としての用途が多く、DLC膜を形成することにより、上記実用材料の耐摩耗性、潤滑性が向上し、さらに付加価値を向上させることができるからである。
また、金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜を構成する金属成分は、チタン、ケイ素、バナジウム、ジルコニウム、および、タングステンから選択される1種または2種以上であると良い。なお、ケイ素は、その性質上、金属と非金属との中間に属するので、いわゆる半金属と呼ばれるが、本発明では、便宜上、金属成分として取り扱う。
これら金属成分は、基材である鉄合金とDLC膜との適合性に優れており、中間層にこれら金属成分が含まれていると、密着性の高いDLC膜を鉄合金に形成しやすくなる。
また、上記金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜を形成する方法としては、具体的には、例えば、CVD法、レーザーアブレーション法、液相析出法(LPD法)、電気泳動法(EPD法)、ゾルゲル法などの方法を例示することができる。
これら方法は、それぞれ一長一短があるので、基材の形状、必要とする膜特性、コストなどを勘案して選択すれば良い。例えば、CVD法は、比較的早い処理速度で緻密な薄膜を形成できるが、高価な装置が必要でありコストも高い。レーザーアブレーション法は、緻密な薄膜を比較的容易に形成できるが、処理速度が遅くコストも高い。LPD法は、大面積の薄膜形成に有利であり省エネルギーであるが、原料に金属フルオロ錯体を用いるため、溶液管理に注意が必要である。EPD法も大面積の薄膜形成に有利であるが、ランニングコストが高い。
これらに対し、ゾルゲル法は、金属アルコキシドを原料として用いるため、大気中の水分の影響を受けやすく溶液が不安定となる場合があり、溶液管理に注意が必要であるものの、比較的簡便な装置で大面積の金属酸化物薄膜を形成するのに適しており、ランニングコストも低い。そのため、本発明において好適に用いることができる。
また、上記パルス放電は、少なくとも、ガス圧力1〜800Torr、放電電流密度0.001〜1000A/cm2、パルスの各周期における放電時間0.01〜10ms、放電停止時間0.01〜10msの放電条件を満たしていると良い。このような放電条件を満たしておれば、適正な膜形成速度となるため、密着性の高いDLC膜を形成しやすくなるからである。
従来のDLC膜の製造方法では、膜形成時に10−4Torr以上の高真空が必要であった。これに対し、本発明に係るDLC膜の製造方法では、基材への密着性が良好なDLC膜を得るのに、真空として10−2Torr程度までの排気で十分であり、パルス放電−プラズマCVD法の実施中は、1〜200Torr程度の低真空度であっても良い。また、直流(DC)プラズマ放電を用いることができるため、高周波(RF)スパッタ法などに比較して、装置が簡便となる。さらに、中間層の形成時にゾルゲル法を使用できるので、全体としてランニングコストを安価にすることができる。
本発明では、金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜を表面に形成した基材を、パルス放電−プラズマCVD法による処理のために反応室に移動し、その後、この反応室に、導入ガスとして、炭化水素ガスおよび/またはアルコールと、水素ガスとを少なくとも含む混合ガスを導入する。
この際、上記混合ガスを導入する前に、先ず水素ガスのみを導入して放電させても良い。この場合には、金属酸化物または金属窒化物をより完全に金属に還元することができる。反応室に混合ガスが導入され、パルス放電−プラズマCVD処理により金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜が還元されて生成した金属薄膜は、少なくともその表層に存在する金属がTiC、SiC等の金属炭化物に変化して中間層となり、その上に密着性の高いDLC膜が形成される。
なお、上記中間層は、その表面から基材方向に向かって、傾斜的に金属炭化物が存在していても良いし、段階的に金属炭化物が存在していても良い。さらには、中間層全体に金属炭化物が存在していても良い。
中間層の前駆体となる金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜を、ゾルゲル法で形成する場合、その原料となる金属アルコキシドとしては、具体的には、例えば、少なくとも一つのM−O−C(M:金属、O:、C:炭素を表す)結合を有しており、アルコールのR−O−HのHが金属と置換した金属有機化合物などを例示することができる。以下に、金属アルコキシドをより具体的に例示するが、必ずしもこれらに限定されるものではない。また、これらは1種または2種以上混合して用いることも可能である。
ケイ素アルコキシドとしては、具体的には、例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸ブチル、フェニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシランなどを例示することができる。
チタン系アルコキシドとしては、具体的には、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシド、シクロペンタジニエルチタントリイソプロポキシドなどを例示することができる。
バナジウムアルコキシドとしては、具体的には、例えば、バナジウムアセチルアセテート、バナジウムオキシトリエトキシド、バナジウムトリイソプロポキシドなどを例示することができる。
ジルコニウムアルコキシドとしては、具体的には、例えば、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシドなどを例示することができる。
タングステンアルコキシドとしては、具体的には、例えば、タングステンペンタエトキサイドなどを例示することができる。
また、上記ゾルゲル法は、上記金属アルコキシドをトルエンやジクロロエチレンなどの溶媒で希釈してコーティング液を作製し、このコーティング液を基材上に大気中などで塗工するなどして行えば良い。この際、基材への塗工方法としては、具体的には、例えば、ディッピング法、吹き付け法、スピンコート法などを例示することができる。基材の形状、目標膜厚などを考慮して適宜選択すれば良い。
その後、金属アルコキシドが塗工された基材を、10−2Torr以下の低真空度に保持された装置中に移動し、パルス放電―プラズマCVD処理を実施する。パルス放電―プラズマCVD処理による加熱と還元性雰囲気とにより、金属酸化物が先ずTi、Si等の金属に還元され、さらに、TiC、SiCなどの金属炭化物に変化し、DLC膜の生成に好適な中間層となる。
以下に本発明の好適な一実施の形態を実施例によって説明する。本発明は、下記の実施例によって限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、種々の改変を行って実施することが可能なものである。
図2に、本実験に用いた装置概略図を示す。真空チャンバーは、ロータリポンプによって10−2Torr程度まで排気された後、CH4とH2との混合ガス(CH4 濃度=3vol%)が所定のガス圧力まで注入される。ガスの流量は、20sccm(standard cc/min 1atm (大気圧760Torr))である。
図1に、電源部を示す。インテリジェントパワーモジュール(IPM)によってスイッチングされた電圧は、高電圧トランスで昇圧され、高電圧ダイオードによって整流された後、陰極に印加される。ここで、放電は、基材である基板(陽極側)と陰極との間に生じ、基板上にDLC膜が生成する。
基板にかかる高電圧および電流は、図3に示すような波形となる。ここで、Ipは放電電流、Tdは放電時間、Tnは放電休止時間、Vpは放電開始時のピーク電圧、Vgは放電電圧である。また、以下では、DTを製膜時間とする。
チタンアルコキシドとしてテトラ−i−プロポキシチタン(5N高純度化学製)を、ケイ酸アルコキシドとしてテトラエトキシシラン(3N関東化学製)を、それぞれトルエンで希釈し、各塗工液を作製した。各塗工液の希釈率は体積比でそれぞれ50%、10%、5%、2%、1%とした。これらの塗工液をスピンコータ(回転数3000rpm〜1000rpm、遠心力2000G〜200G)で基板上に塗工した。使用した基板(縦5mm×横5mm×厚み0.5mm)は、硬鋼線(SW−B;80C)を焼入れ処理したもので、そのビッカース硬度Hvは850〜870である。DLC膜処理後の基板の硬度は、マイクロビッカースで最低823、最高982であり、処理前後での基板の硬度変化はほとんどなく、本処理による温度上昇は、基板の焼きなまし温度にまで至らなかった(180℃以下)ことを確認した。
試料としてSK5(焼き入れ鋼 C−0.85wt%、Cr−0.13wt%)よりなる基板を用意した。また、チタンアルコキシドとしてテトラ−i−プロポキシチタン(5N高純度化学製)をトルエンで希釈し、塗工液を作製した。塗工液の希釈率は体積比でそれぞれ10%、2%、1%とした。また、ケイ酸アルコキシドとしてテトラエトキシシラン(3N関東化学製)をトルエンで希釈し、塗工液を作製した。塗工液の希釈率は体積比2%とした。
次いで、上記試料表面に、各塗工液をスピンコータにより塗布した。また、比較のため、各塗工液を塗布しなかった未処理(Bare)のものも準備した。
次いで、これらを、パルス放電−プラズマCVD法によりそれぞれ処理した。パルス放電−プラズマCVD法の条件は、メタン濃度Cm=3%、ガス圧力Pg=10Torr、放電電流Ip=1A、放電時間Td=0.5msec、放電休止時間Tn=1.7msec、製膜時間DT=2hrとした。
得られた各試料に対してダイヤモンド針によって引っかき試験を行なった。この際、ダイヤモンド針に対する荷重は最大70Nであり、1mmあたり10Nの荷重増加とした。
図4および図5は、引っかき試験により、中間層の形成有無による影響を示した図である。図4は、塗工液によるコーティング処理をおこなっていない未処理品(Bare)についての引っかき試験後の光学顕微鏡写真である。また、図5は、希釈率10%の塗工液(チタンアルコキシド使用)によるコーティング処理をおこなった処理品についての引っかき試験後の光学顕微鏡写真である。
処理品は、DLC膜が硬く、70NでもDLC膜の剥離は見られなかった。一方、未処理品は、DLC膜の密着性が悪く、10N〜20N程度の負荷荷重により、下地の鉄層が露出してしまうことが確認された。
試料としてSUS301Hよりなる基板を用意した。また、チタンアルコキシドとしてテトラ−i−プロポキシチタン(5N高純度科学製)をトルエンで希釈し、塗工液を作製した。塗工液の希釈率は体積比でそれぞれ10%、2%、1%とした。
次いで、上記試料表面に、各塗工液をスピンコータにより塗布した。また、比較のため、各塗工液を塗布しなかった未処理(Bare)のものも準備した。
次いで、得られた各試料を絶縁ビニルテープで一部分覆い、膜厚測定用試料を作製した。
次いで、これら試料を、パルス放電−プラズマCVD法によりそれぞれ処理した。パルス放電−プラズマCVD法の条件は、メタン濃度Cm=3%、ガス圧力Pg=15Torr、放電電流Ip=0.6A、放電時間Td=0.3msec、放電休止時間Tn=1.2msec、製膜時間DT=2hrとした。
次いで、得られた各DLC膜について、接触型表面粗さ計を用いて、同条件で膜厚測定を行ったところ、各膜厚は0.9μmであった。
紡績針(中川製作所製、製品番号855、焼き入れ鋼SK5 C−0.85wt%、Cr−0.13wt%)の表面に希釈率5%のチタンアルコキシドを含む塗工液をスプレー塗布した試料と、未処理(Bare)の試料とを、パルス放電−プラズマCVD法によりそれぞれ処理した。パルス放電−プラズマCVD法の条件は、メタン濃度Cm=3%、ガス圧力Pg=5Torr、放電電流Ip=1.5A、放電時間Td=0.3msec、放電休止時間Tn=1.2msec、製膜時間DT=1hrとした。
図6、図7に、紡績針へのDLC膜の形成において、中間層の有無によるその表面状態の違いを示したSEM写真を示す。また、図8、図9に、紡績針へのDLC膜の形成において、中間層の有無によるラマン分光分析の結果を示す。
ラマン分光分析結果からわかるように、未処理品(Bare)は膜厚が非常に薄く、SEMによる観察像では、部分的にしかDLC膜が付着していないことがわかる。一方、中間層を形成した処理品は、sp3結合(ダイヤモンド構造)による1350cm-1のピークと、sp2結合(グラファイト構造)による1550cm-1のピークとが確認され、良質の均質なDLC膜が形成されていることが確認された。
Claims (4)
- 基材上に、金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜を形成する第1工程と、
前記金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜を、
炭化水素ガスおよび/またはアルコールと水素ガスとを少なくとも含む混合ガスを導入ガスとして用いた、パルス放電−プラズマ化学気相成長法により還元して金属薄膜とするとともに、前記金属薄膜の少なくとも表層に存在する金属を金属炭化物に変化させて中間層とし、
この中間層上にダイヤモンドライクカーボン膜を形成する第2工程と、
を有することを特徴とするダイヤモンドライクカーボン膜の製造方法。 - 前記基材は、鉄合金よりなり、かつ、
前記金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜を構成する金属成分は、チタン、ケイ素、バナジウム、ジルコニウム、および、タングステンから選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の製造方法。 - 前記金属酸化物薄膜の形成は、金属アルコキシドを原料とするゾルゲル法によることを特徴とする請求項1または2に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の製造方法。
- 前記パルス放電は、少なくとも、ガス圧力1〜800Torr、放電電流密度0.001〜1000A/cm2、パルスの各周期における放電時間0.01〜10ms、放電停止時間0.01〜10msの放電条件を満たすことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のダイヤモンドライクカーボン膜の製造方法。
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WO2006137332A1 (ja) | 2006-12-28 |
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