JP4705456B2 - シームレス鋼管およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、円筒状に形成されたシームレス鋼管を、例えば、コイルばねなどの素材として使用するシームレス鋼管とその製造方法に関する。
近年、自動車の軽量化の波に乗ってパネル材のアルミ化、シャーシおよび主要ボディのハイテン化(高引張強度化)等が進んでいる。そして、この軽量化のニーズは、自動車などの排ガス等による地球温暖化が国際的に大きく取り上げられ、排ガスに含まれるCOの削減が大きな課題として注目されている中で、さらに高まっている。
例えば、自動車において、COの削減方法として講じられる手段としては、ハイブリッドエンジン、燃料電池モータ方式、バッテリモータ方式などの新動力源の開発、または現行のエンジンの改良に分けられる。
現行のエンジンの改良の中で大きく取り上げられている手段は、「燃焼方法の改善」、「軽量化による動力源の省力化」などがあげられる。特に、欧州圏では2010年に燃料規制が導入されるため、自動車メーカ各社は、鎬を削って即効性のある自動車全体の軽量化に努めている。
このような要求に応えるために、近年では自動車に使用するスプリングの軽量化も行われている。例えば、特許文献1には、ばね鋼鋼材からなる素材を加熱してマンネスマン穿孔し、その後マンドレルミル圧延して得られる中空素管を仕上げ圧延するスプリング用継目無鋼管(本発明の「シームレス鋼管」に相当する)の製造方法が提案されている。
特開平1−247532号公報
しかしながら、マンネスマン穿孔によってシームレス鋼管を製造する場合、その圧延最小径に限りがあり、前記した中空素管から例えば10mm程度のシームレス鋼管を製造しようとする場合、多数回の引抜き工程と加熱工程を経なければならなかった。
特に、素材がばね鋼の場合は熱間変形抵抗が高く、一回の引抜きによる減面率が例えば20%(具体的には100mm直径のパイプが80mmになることをいう)と通常の軟鋼等に比較してかなり小さくしなければならない。そのため、特許文献1に記載の製造方法では生産効率が極めて悪いという問題があった。
さらに、特許文献1に記載の製造方法で製造されたシームレス鋼管の表面には、繰り返される熱間加工によって脱炭および圧延模様などが発生するため、シームレス鋼管の外周面および内周面の皮むき(研削)を余儀なくされる。研削を行うと、特にシームレス鋼管の内周面に傷が発生する原因となっている。
また、特許文献1に記載されている製造方法では、マンネスマン穿孔によってシームレス鋼管を製造するため、硬度の高い素材を用いると工具が破損する場合があった。そのため、硬度の低い素材しか用いることができないために、耐久性の低いシームレス鋼管しか製造することができないという問題もあった。
他方、加熱処理とプレス加工とを繰り返すことでシームレス鋼管を製造する方法もあるが、例えば直径が10mm程度の小径のシームレス鋼管を製造することは極めて加工効率が悪く、実現性に乏しいという問題がある。
以上の問題から、従来、特許文献1等でシームレス鋼管を製造することが提案されてはいたが、硬度が高く小径のシームレス鋼管を製造することは、実際には行われていないのが現状である。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、耐久性の高いシームレス鋼管を提供すること、および、かかるシームレス鋼管を生産効率良く、高品質かつ安価に製造することのできるシームレス鋼管の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決した本発明に係るシームレス鋼管は、円筒状の鋼材のビレットから熱間静水圧押出し工程を経て成形されるシームレス鋼管であって、鋼管の内周面および外周面に形成される連続疵の深さが、各面から50μm以下であることを特徴とする。
このように、押出し時に外周面および内周面に形成される連続疵の深さを、鋼管の表面(内周面および外周面)から50μm以下というように、非常に小さくしているので、継続して伸縮動作させた場合であっても破壊等の起点となりやすい箇所がほとんどないシームレス鋼管を具現することができる。
本発明のシームレス鋼管は、前記鋼管の金属組織中に非金属介在物を含有し、管軸と直交方向における前記非金属介在物の最大厚さが50μm以下とするのがよい。
このように、本発明のシームレス鋼管は、シームレス鋼管の管軸と平行方向の非金属介在物の最大長さを50μm以下と、非常に小さくしたので、継続して伸縮動作させた場合であっても破壊等の起点となりやすい箇所をさらになくすことができる。
なお、本発明において非金属介在物とは、例えば、CaO・SiO・Al系などのガラス状介在物をいうものとする。
本発明のシームレス鋼管は、前記鋼管の内周面および外周面の表面粗度が、平均粗さRaを12.5μm以下とするのがよい。
このように、本発明のシームレス鋼管は、その内周面および外周面の平均粗さRaを12.5μm以下と、非常に滑らかにしたので、継続して伸縮動作させた場合であっても破壊等の起点となりやすい箇所をさらになくすことができる。
本発明のシームレス鋼管は、その鋼材をばね鋼とするのがよい。
このように、従来シームレス鋼管の鋼材として用いることのできなかったばね鋼を、熱間静水圧押出し工程を経ることで、高い硬度を具備したシームレス鋼管とすることができる。
前記課題を解決した本発明に係るシームレス鋼管の製造方法は、ビレット成形工程と、第1の加熱工程と、熱間静水圧押出し工程と、第2の加熱工程と、伸展工程と、第3の加熱工程と、酸洗工程と、を含むことを特徴とする。
このように、本発明のシームレス鋼管の製造方法は、ビレット成形工程で鋼材を円筒状のビレットに成形し、成形したビレットを第1の加熱工程で加熱して、次工程の熱間静水圧押出し加工を行う準備をし、熱間静水圧押出し工程で熱間静水圧押出し加工することでシームレス鋼管中間体を製造する。このとき、熱間静水圧押出し加工を行うので、熱間静水圧押出し装置と摺動して形成される連続疵をほとんど形成することなくシームレス鋼管中間体を製造することができる。さらに、この製造方法では、第2の加熱工程で当該シームレス鋼管中間体を加熱して成形しやすくした状態とし、伸展工程でそのシームレス鋼管中間体をピルガーミル圧延および引き抜き加工のうち少なくとも1つを行うことで伸展する。そして、加工硬化を防止するため第3の加熱工程によって、伸展させたシームレス鋼管中間体を加熱して、酸洗工程で伸展および加熱したシームレス鋼管中間体を酸洗(洗浄)することで、平滑な外周面および内周面を有するシームレス鋼管を製造することができる。
すなわち、例えば、比較的細長いシームレス鋼管を製造する場合などに、マンネスマン穿孔やマンドレルミル圧延を行う必要がないために、従来よりも製造コストがかからず、生産効率良く、安価にこれを製造することができる。また、平滑な外周面および内周面が得られる熱間静水圧押出し加工で製造するので、高品質なシームレス鋼管を製造することができる。
本発明のシームレス鋼管の製造方法では、前記酸洗工程後に、酸洗した前記シームレス鋼管を曲がり矯正する矯正工程をさらに含むのがよい。
このように、曲がり矯正を行うことにより、当該シームレス鋼管を用いて、例えばコイルばね等を製造した場合において、局部的に異常な応力が発生することを防止することができるので、耐久性に優れた製品を製造することが可能となる。
本発明のシームレス鋼管の製造方法では、前記第2の加熱工程後に、加熱した前記シームレス鋼管中間体の内周面を研削加工する研削工程をさらに含むのがよい。
また、本発明のシームレス鋼管の製造方法では、前記矯正工程後に、前記シームレス鋼管の内周面を研削するのがよい。
このように、加熱処理によって生成された脱炭層を研削することで焼き入れしない部分をなくし、表面硬さを均一化させることで耐久性に優れ、かつ信頼性の高いシームレス鋼管を製造することができる。
本発明のシームレス鋼管の製造方法では、前記熱間静水圧押出温度が、1050℃以上1300℃未満とするのがよい。
このように、熱間静水圧押出温度を特定の範囲に規定することによって、非金属介在物の最大大きさ、および単位面積当たりの個数を適切に制御することができ、優れた耐久性を有するシームレス鋼管を製造することができる。
本発明のシームレス鋼管の製造方法では、前記第2の加熱工程に替えて、熱間静水圧押出し加工された前記シームレス鋼管中間体を徐冷する徐冷工程としてもよい。
このように、第2の加熱工程に替えて、熱間静水圧押出し加工されたシームレス鋼管中間体を徐冷することによっても、その金属組織中の炭化物を球状化する処理を行うことができるので、前記したような優れた耐久性だけでなく、さらに、冷間加工性、研削性(被削性)、靭性などを向上させたシームレス鋼管を製造することができる。
本発明のシームレス鋼管は、熱間静水圧押し出し加工によって製造されたことにより、平滑な外周面および内周面を有するために、継続して伸縮動作を行った場合であっても破壊等の起点となりやすい箇所がない結果、疲労寿命などの耐久性に優れる。
また、本発明のシームレス鋼管は、同径の中実の鋼材と比較して、概ね30〜40%の軽量化を図ることができる。
本発明のシームレス鋼管の製造方法によれば、穿孔等を行わず、熱間静水圧押出し加工によって容易にシームレス鋼管を製造するので、工程数を減らすことができる。その結果、生産効率を高めることができるとともに、安価にこれを製造することが可能となる。
また、本発明のシームレス鋼管の製造方法は、熱間静水圧押出し加工を行うので、外周面および内周面が平滑であり、高品質なシームレス鋼管を製造することができる。
さらに、本発明のシームレス鋼管の製造方法は、マンネスマン穿孔やマンドレルミル圧延等を行わないので、容易にシームレス鋼管を製造することができる。
以下、本発明に係るシームレス鋼管およびその製造方法について、適宜図面を参照して詳細に説明する。
[1.シームレス鋼管]
まず、図1を参照して、本発明に係るシームレス鋼管について詳細に説明する。
なお、図1は、本発明に係るシームレス鋼管を製造するために用いる熱間静水圧押出し装置の要部拡大断面図である。
本発明に係るシームレス鋼管は、図1に示すように、少なくとも、円筒状の鋼材のビレット2を熱間静水圧押出し加工することでシームレス鋼管中間体1aを製造する熱間静水圧押出し工程を経て製造される。
このシームレス鋼管1は、熱間静水圧押出し工程で熱間静水圧押出し加工することによって、熱間加工の段階から非常に平滑な表面(外周面および内周面)を具備することができる。
この熱間静水圧押出し加工は、熱間静水圧押出し装置10でシームレス鋼管中間体1aを押出し加工する際に粘塑性の圧力媒体17を使用するので、例えば、1GPa(1万気圧)前後の大きな圧力をかけても熱間静水圧押出し装置10とシームレス鋼管中間体1aとの間の摩擦を大幅に軽減することが可能であり、連続疵や肌荒れがなく、表面性状に優れたシームレス鋼管1を製造することができる。
なお、ここで用いられる圧力媒体17としては、油脂系に黒鉛を加えた潤滑剤を用いるのが好適である。
当該シームレス鋼管1は、その内周面および外周面に形成された連続疵の深さが表面から50μm以下としている。
なお、連続疵とは、シームレス鋼管1の製造時に、熱間静水圧押出し装置の一部と接触するなどして、当該シームレス鋼管1の一端側から他端側に向かって、その外周面や内周面に長く連続して形成される摺動傷をいう。
ここで、例えば、コイルばねを継続して伸縮動作させて折損等が生じる場合、通常、コイルばね表面にある連続疵などの表面異常や、非金属介在物などから破壊や亀裂が生じることが原因となることが多い。
したがって、本発明では、かかる連続疵の深さを外周面および内周面の表面から50μm以下、好ましくは45μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは38μm以下、さらにより好ましくは35μm以下とすることにより、破壊等の起点となりやすい箇所をほとんどなくすことができる。
一方、連続疵の深さが、外周面および内周面の表面から50μmを超えると、継続して伸縮動作させた場合に、当該連続疵から破壊や亀裂が発生することがあるので好ましくない。
また、熱間静水圧押出し装置10を用いると、シームレス鋼管1の外周面および内周面の表面粗度について、その平均粗さRaが12.5μm以下というように、低くすることが可能である。
この平均粗さRaが12.5μmを超えると、肌荒れがひどいために、継続して伸縮動作をさせた場合に破壊や亀裂の起点となりやすい箇所が多く含まれていることとなり、好ましくない。なお、平均粗さRaは低いほど好ましい。平均粗さRaは、例えば、12μm以下とするのが好ましく、10μm以下とするのがより好ましく、8μm以下とするのがさらに好ましく、4μm以下とするのがさらにより好ましいが、その下限はない。
なお、表面粗度Raは、シームレス鋼管の内周面および外周面における管軸方向に粗さを測定したもので規定するのが好ましい。
熱間静水圧押出し装置10は、図1に示すように、先部にダイス11が支持部材12を介して設けられたコンテナ13と、コンテナ13内に配置されたシールピストン14と、このシールピストン14を押圧するステム15と、シールピストン14およびステム15を貫通し、シームレス鋼管中間体1aの内径を形成するマンドレル16とを有する構成となっている。
なお、このシームレス鋼管中間体1aは、後に行う諸工程を経ることによって、シームレス鋼管1となるものである。
この熱間静水圧押出し装置10は、予め高温(例えば、1050℃以上1300℃未満)に加熱して軟化させたビレット2をコンテナ13内に配置し、圧力媒体17を介してシールピストン14でビレット2を押圧することによって、ダイス11とマンドレル16の間から当該ビレット2を吐出させてシームレス鋼管中間体1aを作製する。
具体的には、例えば、内径が50〜60mm、外径が140〜160mmの中空状の鋼材のビレット2を、当該熱間静水圧押出し装置10を用いて熱間静水圧押出し加工することで、例えば、外径が30〜60mm、肉厚が4〜7mmのシームレス鋼管1を容易に製造することができる。
なお、前記したビレット2の内径および外径や、シームレス鋼管1の外径および肉厚は、適宜に変更することができることはいうまでもなく、前記範囲に限定されないことはいうまでもない。
ここで、本発明のシームレス鋼管1を製造するために用いられる鋼材としては、例えば、SiCr鋼やより高強度のSiCrV鋼などの、いわゆるばね鋼を用いることができる。具体的には、JIS G 3560、JIS G 3561などを好適に用いることができ、より具体的には、株式会社神戸製鋼所製KHV12N、KHV10N、KHV6N、KHV7、CRV、HRS6、SRS600、UHS1900、UHS2000などを特に好適に用いることができる。
このような鋼材としては、その組成が、C:0.3〜1.0質量%、より好ましくは0.5〜0.7質量%未満、Si:0.1〜3.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%、Mn:0.05〜1.5質量%、より好ましくは0.5〜1.5質量%、Ni:0〜2.5質量%、より好ましくは0.05〜0.5質量%、Cr:0〜2.0質量%、より好ましくは0.05〜1.5質量%、Mo:0〜0.8質量%、V:0〜0.8質量%、より好ましくは0.05〜0.3質量%、Ti、Nb、Co、W:0〜0.5質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であるものを好適に用いることができる。
(C:0.3〜1.0質量%)
Cは、伸線材、すなわちシームレス鋼管(シームレス鋼管中間体を含む)の引張強さを高め、疲労特性や耐へたり性を確保するために有用な元素である。
Cの含有量が1.0質量%を超えると欠陥感受性を増大させ、表面疵や非金属介在物からの亀裂を発生して疲労寿命が劣化する。
しかし、Cの含有量が0.3質量%未満になると、高応力ばねとして必要な引張強さが確保できないばかりか、疲労亀裂発生を助長する初析フェライトの量が多くなって疲労特性を劣化させる。
したがって、本発明におけるCの含有量は、0.3〜1.0質量%に規定している。なお、より好ましい含有量としては、0.5〜0.7質量%未満である。
(Si:0.1〜3.0質量%)
Siは、固溶強化によってシームレス鋼管の引張強さを高め、疲労特性と耐へたり性の改善に貢献する元素である。
Siの含有量が0.1質量%未満であると、前記した効果を得ることができない。
しかし、Siの含有量が3.0質量%を超えて過剰になると、表面の脱酸や疵などが増加して耐疲労性が悪くなる。
したがって、本発明におけるSiの含有量は、0.1〜3.0質量%に規定している。なお、より好ましい含有量は1.0〜3.0質量%である。
なお、Cの含有量を低めにした分だけSiを高めに含有させる必要がある。
(Mn:0.05〜1.5質量%)
Mnは、パーライト組織を緻密化かつ整然化させ、疲労特性の改善に貢献する元素である。
Mnの含有量が0.05質量%未満であると、前記した効果を得ることができない。
しかし、Mnの含有量を1.5質量%を超えて過剰に含有させると、熱間静水圧押出し時などにおいてベイナイト組織が生成しやすくなり、疲労特性を劣化させる。
したがって、本発明におけるMnの含有量は、0.05〜1.5質量%に規定している。なお、より好ましい含有量は0.5〜1.5質量%である。
(Ni:0〜2.5質量%)
Niは、含有させないこととすることもできるが、切り欠き感受性を低くするとともに靭性を高める効果を有するので、含有させる方が好ましい。また、Niは、例えば、ばね巻き加工した場合などにおいて折損トラブルを抑制するとともに、疲労寿命を向上させる効果を有する。
このような効果を得るためには、Niを0.05質量%以上含有するとよい。
しかし、Niの含有量が2.5質量%を超えて過剰になると、熱間静水圧押出し時などにおいて、ベイナイト組織が生成しやすくなり、逆効果となる。
したがって、本発明におけるNiの含有量は、0〜2.5質量%に規定している。なお、より好ましくは0.05〜0.5質量%である。
(Cr:0〜2.0質量%)
Crは、含有させないこととすることもできるが、パーライトラメラ間隔を小さくして、熱間静水圧押出し後、または加熱処理後の強度を上昇させ、耐へたり性を向上させるので、含有させる方が好ましい。
このような効果を得るためには、Crを0.05質量%以上含有するとよい。
しかし、Crの含有量が2.0質量%を超えて過剰になると、パテンティング時間が長くなり過ぎ、また靭性や延性が劣化する。
したがって、本発明におけるCrの含有量は、0〜2.0質量%に規定している。なお、より好ましくは0.05〜1.5質量%である。
(Mo:0〜0.8質量%以下)
Moは、含有させないこととすることもできるが、焼入れ性を高めてばね鋼の高強度化に寄与するので、含有させてもよい。
このような効果を得るためには、Moを0.2質量%以上含有するとよい。
しかし、Moの含有量が、多過ぎると靭延性を極端に悪化させるので、0.8質量%以下に抑える必要がある。
したがって、本発明におけるMoの含有量は、0〜0.8質量%以下に規定している。
(V:0〜0.8質量%)
Vは、含有させないこととすることもできるが、パーライトノジュールサイズを微細にしてシームレス鋼管の加工性を改善するのに有用であるので、含有させる方が好ましい。また、Vは、例えば、ばね材などとした場合において、そのばね材の靭性および耐へたり性等を改善するのに有用である。
このような効果を得るためには、Vを0.05質量%以上含有するのが好ましい。
Vの含有量が0.8質量%を超えて過剰に含有させると、熱間静水圧押出し時などにおいて、ベイナイト組織が生成しやすくなり、疲労寿命を劣化させることになる。
したがって、本発明におけるVの含有量は、0〜0.8質量%に規定している。なお、より好ましくは0.05〜0.3質量%である。
(不可避的不純物)
本発明のシームレス鋼管における基本的な成分組成は前記の通りであり、残部は実質的にFeからなるものであるが、前記の各種成分以外にも鋼材を用いたシームレス鋼管の特性を阻害しない程度の微量成分を含み得るものであり、微量成分を含んだシームレス鋼管も本発明の範囲に含まれものである。前記微量成分としては不純物、特にP,S,As,Sb,Sn等の不可避的不純物が挙げられる。
このように、本発明のシームレス鋼管1は、高い硬度を有するばね鋼を用いて製造するので、中空材であっても従来品のように一般構造用圧延鋼(JIS G 3101)や機械構造用炭素鋼(JIS G 4051)などを用いて製造された中実材と同程度の硬度を備えることができる。
また、そのような硬い鋼材を用いるにもかかわらず、熱間静水圧押出し加工によってシームレス鋼管中間体に製造し、シームレス鋼管を製造する、つまり、穿孔等を行わないで製造することができるので、製造が容易かつ製造コストが安価である。なお、熱間静水圧押出し後に、適宜の冷間加工、熱処理等することによってさらに所望の性質を備えることも可能である。
したがって、本発明のシームレス鋼管1は、例えば、ビッカース硬度でHv500以上というように、従来では成し得なかった高い硬度を備えることができる。なお、本発明のシームレス鋼管1は、これよりも高い硬度とすることができることはいうまでもなく、例えば、ビッカース硬度でHv550以上とすることや、より高い硬度としてはHv600以上、さらに高い硬度としてはHv650以上とすることもできる。
そして、本発明のシームレス鋼管1は、金属組織中に非金属介在物を含有するものであり、当該シームレス鋼管の管軸と直交方向における非金属介在物の最大厚さが50μm以下とするのがよい。なお、1千万回を超える寿命(伸縮動作)が要求される部材においては、これに含有される非金属介在物について、シームレス鋼管の管軸と直交する方向における最大厚さが30μm未満、かつ、100mm当たりの個数が30個未満とするのがさらに好ましい。
管軸と直交方向の非金属介在物の最大厚さが50μmを超えると、例えば、繰り返し疲労部品などにおいては、応力が集中し疲労破壊に及ぶおそれがあるため好ましくない。一方、非金属介在物は含有されない方が耐久性向上の観点から好ましいので、その下限はない。
なお、非金属介在物の最大厚さおよび100mm当たりの個数は、横断面を走査型電子顕微鏡により観察するなどの従来公知の手段によって測定することができる。
以上説明したように、本発明のシームレス鋼管1は、連続疵の深さ、金属組織中に含まれる非金属介在物の最大長さ、最大厚さ、単位面積当たりの個数、組成成分の範囲、および、内周面と外周面の平均粗さRaを適切に制御したことにより、継続して伸縮動作させた場合であっても折損等することがないので、耐久性に優れている。また、本発明のシームレス鋼管1は、従来のシームレス鋼管よりも高い硬度を有し得る。
また、中空材であるので、中実材と比較して30〜40%の軽量化を図ることができる。これは、車両部品として使用する場合のβチタン合金と略同等の軽量化を実現するものである。
[2.シームレス鋼管の製造方法]
次に、本発明に係るシームレス鋼管の製造方法について説明する。
なお、図2は、本発明に係るシームレス鋼管の好ましい製造方法のフローを説明する説明図である。
本発明に係るシームレス鋼管1を製造する方法としては、図2に示すように、例えば、ビレット成形工程(同図(A))と、第1の加熱工程(同図(B))と、熱間静水圧押出し工程(同図(C))と、第2の加熱工程(同図(D))と、伸展工程(同図(F)および/または(G))と、第3の加熱工程(同図(H))と、酸洗工程(同図(I))と、を含むものであり、これらの工程の工程内容を行うことによって、製品としてのシームレス鋼管1を製造することができる。
なお、本発明に係るシームレス鋼管の製造方法は、図2に示すように、酸洗工程(同図(I))後に曲がり矯正工程(同図(J))を含むのがより好ましく、第2の加熱工程(同図(D))後に研削工程(同図(E))を含むのがさらに好ましい。
以下に、最も好ましい態様の本発明に係るシームレス鋼管の製造方法の各工程の内容について順に説明する。
ビレット成形工程(A)では、鋼材2aを円筒状のビレット2(中空ビレット)に成形する。かかる成形は、鍛造等を行うことによって行うことができる。
そして、第1の加熱工程(B)では、このビレット2を加熱炉に入れて1050℃以上1300℃未満で加熱処理を行い、軟化させる。加熱炉は、電気炉、ガス炉などを使用することができる。このときの加熱時間は、ビレット2を十分に軟化できれば、特に限定されるものではない。また、この加熱時間は、ビレット2の大きさなどを考慮して適宜変更することができる。
熱間静水圧押出し工程(C)では、1050℃以上1300℃未満に加熱したビレット2を、前記で説明した熱間静水圧押出し装置10を用いて熱間静水圧押出し加工することでシームレス鋼管中間体1aを製造する。
なお、熱間静水圧押出し工程(C)における、ビレット2の押出し温度は、第1の加熱工程(B)の加熱温度、すなわち、1050℃以上1300℃未満とするのがよい。ばねの耐久性に影響を及ぼす鋼中介在物の個数・サイズの観点からは、押出し温度は1100℃以上1280℃未満の間が最も好適であるが、治工具類の損傷を考慮すると、低温側で行われる方が治工具の損傷を軽減できるメリットが得られる。したがって、押出し温度の推奨範囲は下限範囲をやや下げて、1050℃以上1200℃未満で設定すべきであるが、より品質を重視するのであれば1100℃以上1200℃未満で設定するのがよい。
また、金属組織中の非金属介在物の単位面積当たりの個数・サイズ(最大厚さ)の観点から押出し温度が設定される理由は以下の通りである。押出し温度が上昇すると非金属介在物が軟化し、押出しによって変形・分断されて微細化が進む。しかしながら、結晶化とそれに伴う結晶成長も同時に進行するために、押出し温度が高すぎると結晶化により非金属介在物の粗大化が懸念される。一方、非金属介在物の軟化温度は、鋼材(例えば、ばね鋼)の場合には1100℃以上1280℃未満であり、軟化温度以上の押出し温度を設定することが推奨される。また、金属組織の変形による非金属介在物の変形・分断効果は、非金属介在物と金属組織の相対的な強度差に依存する。そのため、押出し温度が高すぎて軟化した非金属介在物以上に金属組織の強度が低下してしまうと結晶化の進行と同時に微細化効果が損なわれる。したがって、押出し温度は非金属介在物の軟化温度以上であって、かつ、できるだけ低い温度とするのが好ましい。
一方、熱間静水圧押出しの際の金型の寿命は、押出し温度が高いほど短くなるために、トータルコストを勘案した場合には、より低い押出し温度とするのがよい。そこで、押出し温度を50℃低く設定し、1050℃を押出し温度の下限とする。これよりも低い押出し温度では非金属介在物の悪影響を無視できなくなるほか、押圧力も大きくなり過ぎるために、品質が悪くなったり、設備に対する負担が増したりするなどの問題があり、不適である。
また、熱間静水圧押出し加工の特長は、前記した特定の温度範囲で熱間静水圧押出し加工を行った場合に、鋼材と熱間静水圧押出し装置10の工具との摩擦が、通常の押出装置に比較して小さいため、シームレス鋼管中間体1aの表面状態を平滑にすることができる点にある。その結果、例えば、シームレス鋼管中間体1aの表面は美麗であり、平均粗さRaを50μm以下とすることが可能であるほか、表面の結晶粒も小さくなる傾向がある。したがって、これによって製造されたシームレス鋼管1を、例えば、コイルばねという製品に加工して使用される場合、中空ばねの最表面で応力が最大となるために、微細な結晶粒を有することや表面粗度が小さく表面欠陥(疵、皺など)が少ないことは、ばねの長寿命化に繋がる。
第2の加熱工程(D)では、シームレス鋼管中間体1aを加熱炉で加熱する。このときの加熱温度は、650〜750℃とするのがよい。なお、加熱時間は、当該シームレス鋼管中間体1a全体が加熱されればよく、特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜1時間とするとよい。加熱温度が650℃未満であったり、加熱時間が0.1時間未満であったりすると、シームレス鋼管中間体1aの加熱が十分ではないために、次工程の研削や伸展をスムーズに行うことができない。一方、加熱温度が750℃を超えると、焼入れ温度に達し、好ましくない。また、加熱時間が1時間を超えても加熱の効果が飽和し、経済的に好ましくない。
研削工程(E)では、加熱したシームレス鋼管中間体1aの内周面に形成された脱炭層を除去するための研削加工を行う。なお、研削寸法は、使用する鋼材の種類や第1の加熱工程および第2の加熱工程によって異なってくるので、予め実験等を行い、適宜条件を設定するのが好ましい。
伸展工程では、加熱されたシームレス鋼管中間体1aを伸展させる。シームレス鋼管中間体1aの伸展は、ピルガーミル圧延(F)および引き抜き加工(G)のうち少なくとも1つにより行うことができる。
例えば、引き抜き加工(G)で適度の圧延を行った後に、ピルガーミル圧延(F)でダイス11を用いる抽伸(引抜き)を行ってもよい。
ピルガーミル圧延(F)は、シームレス鋼管中間体1aを両側から押しつけて偏平にする加工であるが、これによってシームレス鋼管中間体1aが伸びるので、次工程での抽伸加工を減らすことができる。ここで、ピルガーミル圧延(F)は、シームレス鋼管中間体1aに対して単に2方向から偏平に押圧して圧延するのではなく、例えば、均等に3方向、4方向またはそれ以上の方向から押圧して圧延することによって、より真円度を高めてシームレス鋼管中間体1aを伸展することが可能であり、引き抜き加工(G)をさらに積極的に省力化することができる。
なお、このピルガーミル圧延(F)を、例えば、過剰に行うと、抽伸した場合にシームレス鋼管中間体1aの円周方向に肉厚のバラツキを生じるので、省略することも可能である。なお、引き抜き加工(G)を繰り返して行う場合には、ピルガーミル圧延(F)の圧延加工で代用することも可能である。しかし、この場合であっても、最終的には引き抜き加工(G)による抽伸加工を行い、減面加工されたシームレス鋼管中間体1aの真円度を確保するようにするのが好ましい。
次に、伸展(抽伸)したシームレス鋼管中間体1aは加工硬化してしまうので、第3の加熱工程(H)で、シームレス鋼管中間体1aを650〜750℃に加熱することで焼鈍する。第3の加熱処理温度が650℃未満であると、焼鈍が不十分であり、好ましくない。一方、第3の加熱処理温度が750℃を超えると、もはや焼鈍の効果が飽和するので経済的に好ましくない。
そして、酸洗工程(I)では、焼鈍したシームレス鋼管中間体1aを酸洗して、シームレス鋼管中間体1aに付着している油脂(圧力媒体17)やスケールなどを除去する。
引き抜き加工(G)は、1回当たり25%以下の縮径処理しか行うことができないので、前記した引き抜き加工(G)、第3の加熱工程(H)、酸洗工程(I)を所定回数繰り返すことで、所望の直径のシームレス鋼管1を製造するのが好ましい。
なお、最後に、曲がり矯正工程(J)で曲がり矯正を行い、製品としてのシームレス鋼管中間体1aを製造するのがより好ましい。
なお、本発明のシームレス鋼管の製造方法では、前記第2の加熱工程(D)に替えて、加熱されたシームレス鋼管中間体1aを徐冷する徐冷工程(不図示)としてもよい。
通常、熱間静水圧押出しが行われ、縮径されたシームレス鋼管中間体1aは、大気に曝されるため、前記した1050℃以上1300℃未満の温度から急速に冷却される。そのため、当該シームレス鋼管中間体1aは、焼き入れが行われた状態となるため、硬度が非常に高くなる。このような状態であると、その後に行われる諸工程、例えば、研削工程(E)や伸展工程(ピルガーミル圧延(F)および/または引き抜き加工(G))などを行うことができない。
したがって、第1の加熱工程(C)で加熱してその金属組織の状態を一旦オーステナイト組織にした後、当該シームレス鋼管中間体1aを当該徐冷工程(不図示)で徐冷することによって焼きなましを行うものである。
これにより、残留応力の除去、シームレス鋼管中間体1aの軟化、切削性の向上、冷間加工性の改善を図ることができるので、例えば、第2の加熱工程を実施しないでも伸展工程(引き抜き加工(G)および/またはピルガーミル圧延(F))を行うことができる。つまり、製造の工程数を簡素化できる点でメリットがある。
徐冷は、熱間静水圧押出しを行ったシームレス鋼管中間体1aが急冷しないよう、温度管理・徐冷速度管理のできる保温装置を用いることによって行うことができる。
このときの徐冷速度は、0.1〜0.3℃/秒とするのがよい。0.3℃/秒よりも徐冷速度が速いと、徐冷による焼きなまし効果が得られない。一方、0.1℃/秒よりも徐冷速度が遅いと、伸展工程に進むまでの時間が長くなり、生産効率が悪くなる。
以上説明したように、本発明のシームレス鋼管の製造方法によれば、平滑な外周面や内周面を備えた、高品質なシームレス鋼管を製造することができる。また、従来のように、マンネスマン穿孔やマンドレルミル圧延を行わないでこれを製造することができるので、製品完成までの労力を省力化・簡略化し、その製造を安価に行うことができる。
[3.中空ばね]
以上に説明した本発明のシームレス鋼管1は、圧縮コイル中空ばね、引っ張りコイル中空ばね、ねじり中空ばねなどの中空ばねの素材として好適に用いることができる。特に、前記したように、高い硬度の鋼材(例えば、ばね鋼)でシームレス鋼管1を製造し、これを用いて中空ばねを作製すれば、ばね定数の大きな圧縮コイル中空ばね等とすることができる。
より具体的には、例えば、中空のバルブスプリング、中空のサスペンションスプリングなどとすることを、その実用例として挙げることができる。このようにすれば、従来の中実のバルブスプリングやサスペンションスプリングと比較して、その重量を30〜40%軽量化することが可能である。
かかる中空のバルブスプリングを用いると、以下のようなメリットがある。すなわち、エンジン性能を向上させるためには、エンジンの限界回転数を上げて出力を向上させる方法や吸排気ポートの形状を改良するなどの方法で、出力特性などを改善する必要がある。
ここで、エンジンの限界回転数を決定している要素として、動弁系の運動がその大きな制限要因となっている。カム経由で伝達されたクランクシャフトの回転運動はバルブの上下運動につながり、バルブスプリングは上下運動するバルブを押えつけて押し戻す役目をしている。それ故、カムの回転運動に対してバルブスプリング自体の上下運動が追従できなくなった時点がエンジンの限界回転数となる。したがって、エンジンの性能を向上させるためには、スプリング荷重を上げるか、スプリングを含むバルブなどの往復運動部分の慣性重量を低減させることが必要不可欠となる。これらを満足するためには、スプリング自体の重量を低減し、かつ、小型化を行い、さらにスプリング荷重を維持、向上することが望ましい。このようにすると、軽量化によるバルブスプリング固有振動数の上昇に伴うエンジン限界回転数の上昇を図ることができる。
バルブスプリングの慣性重量軽減による燃費改善効果は大きく、一般的にスプリング重量の20%削減に対して約0.5〜1.0%の燃費改善を図ることができ、大きな効果が期待されている。
また、中空のサスペンションスプリングを用いると、以下のようなメリットがある。すなわち、自動車のサスペションスプリングは乗り心地やコーナリングなどの走行性能に大きな影響を与え、その自動車の商品性を決める大きな要因となる。このサスペンション性能は、自動車の基本構造のほか、スプリングを含むサスペンションそのものの特性やタイヤ部分のバネ下重量に大きく依存する。サスペンションに用いられるサスペンションスプリングは、車の全車重を支えることから高荷重対応になっており、そのために重量も大きくなっている。そこで、エンジンのバルブスプリングと同様に同部品を軽量化できれば、バネ下重量の軽減が可能である。例えば、バネ下荷重の軽量化効果は、ボディ軽量化効果に換算すると10倍もの効果が得られる。また、構造全体の小型化にも繋がり、乗り心地だけでなく、新構造品の採用という商品力をも向上させる。
さらに、現在のモータースポーツは自動車会社のブランド向上のための強力なツールとして位置づけられており、そこで主要な地位を築くことは自動車会社にとって重要な戦略となっている。特に、モータースポーツで使用した技術を採用することは、自動車にとって大きな付加価値向上につながり、商品性を高める。現在、そのモータースポーツのトップブランドであるWRC(ワールドラリーチャンピオンシップ)やJGTC(全日本GT選手権;SUPER GT)などにおいては、スプリングなどの重要部品は、量産市販車と同じ素材を使わなければならないことなどが義務付けられている。そのため、構造を変更することで機能向上が図れる本発明のシームレス鋼管1を用いて作製された中空ばねなどは、機能的付加価値が非常にわかりやすく、商品価値が高い。
≪実施例1≫
次に、本発明のシームレス鋼管およびその製造方法について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
まず、鋼材としてKHV10N(株式会社神戸製鋼所製)を用いて試験No.1〜9に係る円筒状のビレットを作製した。これらのビレットは、外径143mm、内径52mmとなるよう作製した。そして、これらのビレットを、表1に示すように950〜1400℃の各温度で加熱した。そして、加熱した試験No.1〜9のビレットを、それぞれの温度(押出し温度)で熱間静水圧押出し装置により熱間静水圧押出し加工してシームレス鋼管を製造した。その後、試験No.1〜9のシームレス鋼管を680℃×16時間の球状化焼鈍処理後、ピルガーミル圧延および引き抜き加工を行い、外径10.6mm、内径5.9mmに伸展させた。そして、試験No.1〜9のシームレス鋼管を700℃×0.5時間加熱した後、これらを酸洗し、試験No.1〜9のシームレス鋼管とした。
なお、熱間静水圧押出しを行う際の圧力媒体として、いずれも合成油をマトリックスとし二硫化モリブデン入りの潤滑油に黒鉛を混ぜた圧力媒体を用いた。
このようにして作製した試験No.1〜9のシームレス鋼管に対して、非金属介在物の最大厚さ(μm)および単位面積当たりの個数(個数/100mm)を測定し、さらに、押出性、肌荒れを評価した。
非金属介在物の最大厚さ(μm)および単位面積当たりの個数(個数/100mm)は、横断面を走査型電子顕微鏡で観察することによって測定した。
押出性の評価は、熱間静水圧押出し加工の際に、これを問題なく実施できたものを「可能」と評価し、押出し抵抗が強すぎるなどの理由で熱間静水圧押出し加工をスムーズに実施できなかったものを「N.G」と評価した。
肌荒れの評価は、試験No.1〜9のシームレス鋼管を目視検査することで行った。肌荒れがなかったものを「無し」と評価し、肌荒れが発生したものを「発生」と評価した。
加熱温度条件と、測定結果および評価結果と、を表1に示す。
Figure 0004705456
表1に示すように、試験No.1(950℃)のときは、押出し抵抗が強く、熱間静水圧押出しを行うことができなかった(N.G)。
試験No.2(1000℃)では、シームレス鋼管の非金属介在物の最大厚さが52μmと大きく、個数も32個/100mmと多かった。
一方、押出し温度が1300℃以上である試験No.7〜9では、シームレス鋼管の非金属介在物の最大厚さが58μm以上と大きいか、または、非金属介在物の個数も42個以上/100mmと多かった。また、肌荒れも発生していた。試験No.1、試験No.2、および試験No.7〜9は比較例であった。
これに対し、押出し温度1050℃以上1300℃未満である試験No.3〜6では、非金属介在物の最大厚さが38μm以下と小さく、個数も20個以下/100mmと少なかった。また、肌荒れも発生していなかった。試験No.3〜6は、実施例であった。
したがって、表面の平滑性を高めるためには、前記した熱間静水圧押出し工程でのビレットの押出し温度を1050℃以上1300℃未満に設定するのがよいことがわかった。特に、例えば、コイルばねなどとした場合に、コイルばねの耐久性に影響を及ぼす金属組織中の非金属介在物の個数、大きさの観点から、より確実にはその押出し温度を1050〜1250℃に設定するのが好適であることがわかった。また、さらに、治工具の損傷を考慮すると、低温側で押出し成形するのが有利であり、その押出し温度は、1050℃以上1200℃未満で設定するのがよく、さらに品質を重視するのであれば、1100℃以上1200℃未満に設定するのが好ましいことがわかった。
このような押出し温度の設定により、シームレス鋼管の表面を平滑にすることができる。
≪実施例2≫
次に、≪実施例2≫では、本発明の要件を満たすシームレス鋼管、本発明の要件を満たさないシームレス鋼管および中実の鋼材を用いてコイルばねを作製し、疲労試験を行った。なお、これらの鋼材は、いずれも≪実施例1≫と同じものを用いた。
まず、押出し温度1150℃で熱間静水圧押出ししてシームレス鋼管を作製した後、外径が76.0mm、内径が54.8mm、高さが153.5mm、巻数が6.76のばね寸法を有する試験No.10,11のコイルばね(いずれも中空品)を作製した。
なお、試験No.11のコイルばねは、その外周面および内周面に表面疵(連続疵に相当する擬似疵)を形成したものである。
試験No.11のコイルばねは、試験No.10と同じ条件でシームレス鋼管を作製した後、外周面にヤスリをかけ、かつ、内周面に表面を粗したリーラーを摺動させることで、深さが50μmを超える表面疵を形成し、かかるシームレス鋼管を用いて前記した条件のコイルばねを作製した。
試験No.12のコイルばねは、金属組織中に、管軸と直交方向における最大厚さが50μmを超える非金属介在物を形成したものである。
試験No.12のコイルばねは、熱間静水圧押出し加工の温度を1350℃で行ってシームレス鋼管を作製し、かかるシームレス鋼管を用いて前記した条件のコイルばね(中空品)を作製した。
また、試験No.13のコイルばねは、従来品である中実のコイルばねとしたものである。
試験No.13のコイルばねは、試験No.10〜12と同じ材質の中実のビレットを使用し、かつ、マンドレルを用いないで試験No.10〜12と同じ条件で熱間静水圧押出しすることによって中実の鋼材を作製し、かかる鋼材を用いて外径が76.0mm、高さが153.5mm、巻数が6.76のばね寸法を有するコイルばね(中実品)を作製した。
そして、これら試験No.10〜13のコイルばねを用いて疲労試験を行った。
疲労試験は、単体作動疲労試験で所定回数(40万回)を伸縮動作させることによって行った。
なお、試験No.10〜13のコイルばねにおける表面疵の深さ、非金属介在物の大きさ、および表面粗さ(平均粗さRa)は、走査型電子顕微鏡を用いて測定した。
結果を表2に示す。
Figure 0004705456
表2に示すように、試験No.10のコイルばねは、本発明の要件を満たしていたので、40万回の伸縮動作を行っても破壊等が生じず、良好な結果を得ることができた。
すなわち、本発明の要件を満たす中空のコイルばねは、中実のコイルばね(試験No.13)と同等の結果を得ることができた。
一方、試験No.11,12は、本発明の要件のいずれかを満たさないので、18〜20万回の伸縮動作で内面疵または内部から破壊が生じてしまい、良好な結果を得ることができなかった。
以上、本発明のシームレス鋼管およびその製造方法について、最良の実施の形態および実施例を挙げて詳細に説明してきたが、本発明の内容は、前記の記載に限定されることはなく、本発明の趣旨は特許請求の範囲によって解釈されなければならい。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において広く変更・改変することができることはいうまでもない。
例えば、熱間静水圧押出し加工に用いる圧力媒体17に替えて、ガラス粉体を使用することで、熱間ガラス潤滑押出し加工を行ってもよい。
また、本発明のシームレス鋼管を用いた好適な態様として、コイルばね等を挙げて説明したが、スタビライザーなどの略コ字状の中空のばね材の素材や、ドライブシャフトなどの中空棒材あるいは建築物や自転車などのフレーム材として用いることも可能である。
本発明に係るシームレス鋼管を製造するために用いる熱間静水圧押出し装置の要部拡大断面図である。 本発明に係るシームレス鋼管の好ましい製造方法のフローを説明する説明図である。
符号の説明
1 シームレス鋼管
1a シームレス鋼管中間体
2 ビレット
10 熱間静水圧押出し装置
11 ダイス
12 支持部材
13 コンテナ
14 シールピストン
15 ステム
16 マンドレル
17 圧力媒体

Claims (10)

  1. 円筒状の鋼材のビレットから熱間静水圧押出し工程を経て成形されるシームレス鋼管であって、
    鋼管の内周面および外周面に形成される連続疵の深さが、各面から50μm以下であることを特徴とするシームレス鋼管。
  2. 前記鋼管の金属組織中に非金属介在物を含有し、
    管軸と直交方向における前記非金属介在物の最大厚さが50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のシームレス鋼管。
  3. 前記鋼管の内周面および外周面の表面粗度が、平均粗さRaを12.5μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシームレス鋼管。
  4. 前記鋼材は、ばね鋼であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシームレス鋼管。
  5. 鋼材を円筒状のビレットに成形するビレット成形工程と、
    前記ビレットを加熱する第1の加熱工程と、
    加熱した前記ビレットを熱間静水圧押出し加工することでシームレス鋼管中間体を製造する熱間静水圧押出し工程と、
    前記シームレス鋼管中間体を加熱する第2の加熱工程と、
    加熱後の前記シームレス鋼管中間体をピルガーミル圧延および引き抜き加工のうち少なくとも1つを行うことで伸展させる伸展工程と、
    伸展させた前記シームレス鋼管中間体を加熱する第3の加熱工程と、
    伸展および加熱した前記シームレス鋼管中間体を酸洗する酸洗工程と、
    を含むことを特徴とするシームレス鋼管の製造方法。
  6. 前記酸洗工程後に、酸洗した前記シームレス鋼管を曲がり矯正する矯正工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のシームレス鋼管の製造方法。
  7. 前記第2の加熱工程後、加熱した前記シームレス鋼管中間体の内周面を研削加工する研削工程をさらに含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のシームレス鋼管の製造方法。
  8. 前記矯正工程後、前記シームレス鋼管の内周面を研削することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のシームレス鋼管の製造方法。
  9. 前記熱間静水圧押出温度が、1050℃以上1300℃未満であることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載のシームレス鋼管の製造方法。
  10. 前記第2の加熱工程に替えて、熱間静水圧押出し加工された前記シームレス鋼管中間体を徐冷する徐冷工程としたことを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか1項に記載のシームレス鋼管の製造方法。
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