JP4704910B2 - 吸音シート - Google Patents
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Description
図8は、従来例に係る遮音性シート100の取付状態を示す分解斜視図であり、図9は、図8のC−C断面図である。
遮音性シート100は、自動車のドアインナーパネル200と内装用ドアトリム300との間に、ドアインナーパネル200の車内側の一部、又は全部を覆うようにして取り付けられている。また、遮音性シート100は、連続気泡層101(隣接する独立気泡が連通した連続気泡が点在した発泡体)と独立気泡層102(独立気泡が無数に点在した発泡体)から構成され、それぞれEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム)等の合成ゴムで形成されている。
また、特許文献2には、合成樹脂フィルムからなる被覆層に多数の孔を開け、その中に粉砕ゴムを充填した防音材についての発明が開示されている。
また、特許文献3には、通気性容器の中にチップ状のフォームを充填した吸音構造体についての発明が開示されている。
図10において、「(1)NIシート」が従来例に係る遮音性シート100である。また、「(2)シンサレート」は、住友スリーエム社製の商品名であり、「(3)チップフェルト」はウレタンチップフェルトで、「(4)ペットフェルト」はレジンフェルトであり、いずれも比重0.02程度の繊維系吸音材である。「(5)軟質ウレタン」はスポンジ状のものであり、ポリオール、ポリイソシアネートを主成分として発泡させた軟質の発泡体であり、比重0.02程度のものである。なお、括弧内の「t」は肉厚(mm)を意味する。
また、特許文献2に記載の発明においては、複雑な形状の防音材を容易に製造することができ、種々の周波数レベルに対処できるとの記載があるが、低周波領域や高周波領域における吸音性能については明らかでない。
また、特許文献3に記載の発明においては、低周波領域での吸音性能が十分ではない。
ここで、規則的とは、隣接する吸音材(10)同士の間隔がすべて等しくなるように配置されることをいう。
そして、少なくとも第1部材が通気性を有しており、形成した収容部にチップ状の弾性発泡体を充填するので、通気性部材を通して収容部内に騒音のエネルギーを導くことができるとともに、導かれた騒音のエネルギーを弾性発泡体で吸収することができる。
さらに、充填する弾性発泡体の粒径、厚さ、比重や、使用する通気性部材の通気性により、吸音性能を調整することができるので、広範囲の周波数領域での吸音性能を高め、特に低周波領域及び高周波領域での吸音性能を高めることができる。
また本発明によれば、吸音材を、平面上に複数配置して吸音シートとするので、同一の広さの吸音シートを一つの吸音材(一つの収容部)で形成するのに比べ、充填する弾性発泡体の偏りを防いで吸音性能のバラツキを抑制するとともに、通気性部材の表面積を増大させて吸音性能を高めることができる。
また、形状及び大きさが同一の吸音材が、規則的に複数配置されているので、吸音シートの吸音性能のバラツキをさらに抑制し、吸音シートの平面上に均一な吸音性能を持たせることができる。そして、吸音シートを幅広に形成しておいて、装着場所に応じて適宜必要な大きさに加工することができる。
第1部材1は、断面略矩形状で円柱状の凹部1aを有し、凹部1aの開口部が下向きとなるように位置している。第1部材1の下側(凹部1aの開口部側)には、シート状の第2部材2が凹部1aの開口部を塞ぐように位置している。そして、第1部材1と第2部材2の当接部5を接合して、断面略矩形状で円柱状の収容部4が形成されている。
本実施形態においては第1部材1を通気性部材とし、その材質として、凹部1aの加工の容易さから、熱成形可能な不織布を用いる。これにより、金型等により凹部1aを任意の形状に加工することができる。
また、第2部材2は、第1部材1との接合や、自動車用内装部品等への取り付けの容易さから、ポリエチレンを含む材料からなるシート状部材を用いる。これにより、第1部材1と第2部材2の当接部5の接合を、熱溶着により行うことができる。また、PP材等で形成された自動車用内装部品等への取り付けも熱溶着により行うことができる。
弾性発泡体3は、EPDM等のゴムまたは樹脂の発泡体を用い、その粒径が0.5〜5mm、比重が0.1〜0.8g/cm3のものが好ましい。ここでチップ形状は限定されない。
なお、弾性発泡体3は、EPDM等スポンジ製の押出遮音性シートの端材を粉砕しチップ状にして使用することが可能であり、屑削減の効果も期待できる。
また、充填する弾性発泡体3に、粒径、比重の異なるものを混ぜ合わせて使用することも可能である。
そして、収容部4内に導かれた騒音のエネルギーは、充填された弾性発泡体3により吸収される。
そして、第1部材1が通気性を有しており、形成した収容部1aにチップ状の弾性発泡体3を充填するので、通気性部材を通して収容部4内に騒音のエネルギーを導くことができるとともに、導かれた騒音のエネルギーを弾性発泡体3で吸収することができる。
さらに、充填する弾性発泡体3の粒径、厚さ、比重や、使用する通気性部材の通気性により、吸音性能を調整することができるので、広範囲の周波数領域での吸音性能を高め、特に低周波領域及び高周波領域での吸音性能を高めることができる。
また、PP材等で形成された自動車用内装部品等に対しても熱溶着で取り付けることができ、粘着剤や粘着テープを必要としない。
本測定においては、弾性発泡体3の粒径(チップ粒径)を、3〜5mm、1〜2mm、0.5〜1mmの3グループに分け、それぞれを同一材質の袋につめて、その袋の厚みtを10mm、15mm、20mmとしたものについて測定した。
なお、吸音率(垂直入射吸音率)は、JIS A 1405に準じ、B管(細管)を用いて測定した。また、測定装置として、垂直入射吸音率測定システム(B&K社製4206)を使用した。
いずれにしても、3000Hz前後の周波数領域の吸音性能を維持しつつ、1000Hz近くの低周波領域や5000Hz近くの高周波領域の吸音性能が向上しており、従来例に係る遮音性シート100の欠点を補う結果となっている。
本実施形態において、第1部材1は、断面略矩形状で円柱状の凹部1aを複数有し、複数の凹部1aの開口部が下向きとなるように位置している。第1部材1の下側(凹部1aの開口部側)には、シート状の第2部材が複数の凹部1aの開口部を塞ぐように位置している。そして、第1部材1と第2部材2の当接部5を接合して、断面略矩形状で円柱状の複数の収容部4が形成されている。
また、複数の収容部4の内部には、チップ状の弾性発泡体3が充填されている。
ここで、規則的とは、隣接する吸音材10同士の間隔がすべて等しくなるように配置されることをいう。
ただし、吸音シートの装着場所に応じて、形状や大きさの異なる吸音材を配置したり、不規則に配置してもよい。
例えば、図7に示す吸音シート40のように、断面矩形状で三角柱状の収容部を有する吸音材30を複数配置してもよい。
さらに、収容部の断面は略矩形状に限らず、半円形や台形等、他の断面形状としてもよい。
1a 凹部
2 第2部材
3 弾性発泡体
4 収容部
5 当接部
6 自動車用内装部品
7 当接部
10 吸音材
20 吸音シート
30 吸音材
40 吸音シート
100 遮音性シート
200 ドアインナーパネル
300 内装用ドアトリム
Claims (3)
- 部材で囲まれた収容部にチップ状の弾性発泡体を充填してなる吸音材を使用した吸音シートにおいて、
前記部材は、断面略矩形状の凹部を有する第1部材とシート状の第2部材とからなり、少なくとも第1部材が通気性を有しており、前記第1部材の前記凹部の開口部側に前記第2部材を接合して、前記収容部を形成した吸音材を平面上に複数配置してなり、
前記第1部材は、JIS L 1906「一般長繊維不織布試験方法」フラジール形法による通気性が、30〜300cc/cm 2 ・sec、厚みが0.1〜1.0mm、加熱時(120℃)の伸びが150〜300%であり、
しかも、前記吸音材は、形状及び大きさが同一で、かつ規則的に複数配置されていることを特徴とする吸音シート。 - 部材で囲まれた収容部にチップ状の弾性発泡体を充填してなる吸音材を使用した吸音シートにおいて、
前記部材は、断面略矩形状の凹部を有する第1部材とシート状の第2部材とからなり、少なくとも第1部材が通気性を有しており、前記第1部材の前記凹部の開口部側に前記第2部材を接合して、前記収容部を形成した吸音材を平面上に複数配置してなり、
前記第1部材は、熱成形可能な不織布であり、JIS L 1906「一般長繊維不織布試験方法」フラジール形法による通気性が、30〜300cc/cm 2 ・sec、厚みが0.1〜1.0mm、加熱時(120℃)の伸びが150〜300%であり、
しかも、前記吸音材は、形状及び大きさが同一で、かつ規則的に複数配置されていることを特徴とする吸音シート。 - 前記複数配置された吸音材のうち隣接する2つの吸音材の間も前記第1部材で覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸音シート。
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