JP5512950B2 - 車両用内装部材 - Google Patents

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本発明は車両用の内装部材に関する。
電車、自動車等の輸送用の車両においては、車室内の静粛性を高めるため、内装部材においても吸音効果が得られることが望ましい。
例えば下記特許文献1には、ダッシュパネルの室内面上に、発泡材あるいは繊維集合体からなる複数の吸音層と、発泡材、フィルム材、あるいは繊維集合体からなる表皮層を積層させた車両量防音材が記載されている。この構成で効果的に吸音できる周波数域は500〜4000Hz程度であり、ロードノイズといわれる、車両に特有の250〜400Hzの騒音など、低周波領域においては吸音効果が充分でない。
本発明者等は先に、500Hz以下の低周波領域における良好な吸音効果が得られる吸音体として、枠体に設けられた開口部を、特定の貯蔵弾性率を有する吸音材で覆った構成を有する膜振動型の吸音体を提案している(特許文献2)。
特開2003−216158号公報 特開2008−96826号公報
しかしながら、一般に車両用内装部材の形状は複雑であるため、平坦面でない面においても吸音効果が得られるようにしたいという特殊な要求があり、これまで膜振動型の吸音構造を車両用内装部材と一体的に設けた例は知られていない。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、低周波領域において高度な吸音効果を有するとともに、平坦面でない面においても吸音効果が得られる車両用内装部材を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の車両用内装部材(以下、単に内装部材ということもある。)は、内装部材本体の裏面に凹部を有し、前記内装部材本体の裏面が曲面または起伏を有する面であり、前記凹部の開口部が平坦な膜振動型吸音材(以下、単に吸音材ということもある。)で覆われており、該膜振動型吸音材の貯蔵弾性率が1×10〜1×10Paであり、前記膜振動型吸音材が、複数の膜振動型吸音材が一体化された積層体からなり、該複数の吸音材のうち最も貯蔵弾性率が高い吸音材層を第1の吸音層、最も貯蔵弾性率が低い吸音材層を第2の吸音層とし、第1の吸音層の貯蔵弾性率をE’1、第2の吸音層の貯蔵弾性率をE’2とするとき、(E’1/E’2)≧3であり、かつ積層体において第1の吸音層から外側に向かって、各吸音層の貯蔵弾性率が漸次減少していることを特徴とする。
本発明の車両用内装部材によれば、低周波領域において高度な吸音効果が得られるとともに、平坦面でない面においても吸音効果を得ることができる。
本発明における貯蔵弾性率(E’)の値は JIS K7244−4(引張振動)に準処する測定方法により、サンプルサイズを長さ40mm、幅10mm、厚さ1mmとし、測定条件をスパン間距離20mm、歪振幅6μm、25℃、20Hzとして得られる値(単位:Pa)である。
またtanδ(損失正接)は、貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(E”/E’)の絶対値で表される値である。該貯蔵弾性率(E’)およびtanδの測定周波数は、一般的に測定可能な範囲(0.2〜50Hz)の中で、実際の吸音周波数により近いという理由で20Hzを採用した(なお、50Hzではデータのばらつきが多い為、20Hzとした。)。
また低周波領域(250〜400Hz程度)における常温(25℃)での粘弾性特性は、マスターカーブに基づいて推測すると、20Hzにおける15℃での粘弾性特性と類似するため、tanδの測定温度は15℃を採用した。
貯蔵弾性率(E’)およびtanδ(損失正接)は材質によって決まる値である。
尚、貯蔵弾性率(E’)およびtanδ(損失正接)の測定は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、粘弾性スペクトロメータEXSTAR6000 DMS、形式名DMS6100を使用した。
本明細書における吸音率は「垂直入射吸音率」の意味であり、JIS A 1405−2に準処する方法で測定される値である。入射周波数を変化させながら吸音率を測定し、吸音率が最も高くなるとき(吸音率ピーク値が得られるとき)の周波数をピーク周波数という。
また、本発明の内装部材における吸音は膜振動型吸音であるため、共振する周波数での吸音となる。そこで、良好な吸音が生じる周波数の範囲の広さの指標となる値として、ピーク周波数±50Hzの範囲における吸音率の平均をとり、平均吸音率と定義する。
図1、2は本発明の内装部材の一実施形態を示したもので、図1は斜視図、図2は図1中のA−A線に沿う断面図である。図中符号1は内装部材、2は内装部材本体、3は吸音材、4は凹部である。
内装部材本体2の裏面2aには凹部4が複数個設けられている。本発明において、内装部材本体の表裏両面のうち、車室内に露出する側の面を表面とする。
吸音材3は複数の凹部4の開口部を一括的に覆うように、内装部材本体2の裏面2a上に積層され、固定されている。凹部4内は中空であり、凹部4の内面と吸音材3とで囲まれた空間が背後空気層5となっている。すなわち吸音材3に隣接して背後空気層5が形成されている。
内装部材本体2の材質は特に制限されず、車両用の内装部材を構成する材料を適宜用いることができる。例えばPP(ポリプロピレン)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等の樹脂が好ましい。該樹脂にタルク等のフィラーを添加した材料も好ましい。
内装部材本体2の裏面2aに凹部4を設ける方法としては、例えば該裏面2aを射出成形する際に、格子状のリブを有する形状に成形する方法が好ましい。
内装部材本体2の裏面2aにおいて、複数の凹部4の配置は任意であるが、凹部4が設けられていないスペースができるだけ小さいことが好ましい。すなわち、隣り合う凹部4どうしの距離Pが小さいほど内装部材1における吸音の効率が高くなる。
本実施形態において、隣り合う凹部4を隔てているリブの幅(前記距離P)は1〜3mmが好ましい。1mmよりも小さいと吸音材3の固定が十分でなく、吸音率が低下し易い。
本実施形態において、凹部4の開口部の形状は正方形であるが、これに限らず、円形、多角形など任意の形状とすることができる。
本発明において1個の凹部4の開口部の面積は3800〜20000mmが好ましく、より好ましくは5000〜13200mmである。3800mm以上であるとピーク周波数が低くなり易く、20000mm以下であると小型化の点で好ましい。開口部が小さい方が一定の面積内に設けることができる開口部の数が多くなり、該一定の面積における吸音性能が向上する。
凹部4の開口部が正方形である場合、1辺の長さDは62〜142mmが好ましく、71〜120mmがより好ましい。
凹部4の開口部が円径の場合、その内径は70〜160mmが好ましく、より好ましくは80〜130mmである。
本発明において凹部4の深さTは3〜50mmが好ましく、より好ましくは5〜20mmである。3mm以上であると吸音材3の良好な一次振動が得られやすい。50mm以下であると内装部材本体の裏面とボディーパネルとの間など、狭い空間に吸音構造を設けるうえで好ましい。
凹部4の深さが不均一である場合は、Tとして平均深さTを用いる。凹部4の平均深さとは、凹部4の内部における、吸音材3から底面までの距離の平均値である。該平均値は凹部4の底面を点の集合とみなして、全部の点における吸音材3から底面までの距離の平均値として求められる。例えば、後述の実施例1(図3)に示すように、凹部4の内部において、吸音材3から底面までの距離が27.5mmの領域と32.5mmの領域がある場合、底面における該2つの領域の面積が同じであれば、凹部4の平均深さは30mmとなる。
凹部4の深さTおよび1つの開口部の面積は、これらによって内装部材1における吸音特性(ピーク周波数および吸音率等)が変化するため、所望の周波数領域において高度な吸音効果が得られるように、これらの寸法を設定することが好ましい。
吸音特性は、凹部4の開口部の形状が一定であり、凹部4の平均深さTが一定であれば、吸音材3の材質および厚さTによって変わる。
内装部材1において、所定の周波数領域における吸音効果を得ようとする場合、すなわちピーク周波数を所望の周波数領域に調整しようとする場合、複数の凹部4における吸音特性は互いに同じであることが好ましい。後述の実施例に示されるように、凹部4の開口部の形状および面積、吸音材3の材質および厚さTが互いに同じであるとき、凹部4の平均深さTがほぼ同じであれば、ほぼ同じ吸音特性が得られる。
したがって、内装部材本体2の裏面2aが平坦面でなく、曲面や起伏がある複雑な形状であっても、互いの凹部4の平均深さTがほぼ同じになるように、複数の凹部4を設ければよい。
凹部4の一辺の長さDは、凹部4の深さ方向において一定でなくてもよい。例えば図3に示すように、凹部4の一辺の長さDが深さ方向において段階的に拡大していてもよい。または、図示していないが、凹部4の深さ方向において漸次拡大していてもよい。
内装部材本体2の裏面2aが平坦面でない場合は、各凹部4の開口部を覆っている吸音材3にたるみがなく、膜振動可能であればよい。したがって、凹部4の開口部において吸音材3にたるみが生じないように、必要に応じて内装部材本体2の裏面2aの凹部4が設けられていないスペースの形状、すなわちリブの形状を調整する。
また、凹部4の開口部の形状および面積、吸音材3の材質および厚さT、ならびに凹部4の平均深さTをほぼ同じにして、ピーク周波数を所望の周波数領域に調整するとき、複数の凹部4における凹部4の平均深さTのばらつきが小さいと、該複数の凹部4が設けられている面全体における吸音特性は、吸音周波数の幅が狭くなり(ピークが急峻になり)、吸音率のピーク値が向上する傾向がある。一方、凹部4の平均深さTのばらつきが大きくなると、吸音率のピーク値はやや低くなるが、吸音周波数の幅が広くなる(ピークがブロードになる)傾向がある。
すなわち、複数の凹部4において、凹部4の平均深さTのばらつきを制御することにより、内装部材1における吸音特性を制御することができる。
複数の凹部4において、凹部4の平均深さTを互いに同じにして高い吸音率ピーク値を得ようとする場合、該複数の凹部4の平均深さTのばらつきが、最も大きい凹部4の平均深さTを100%とするとき、最も小さい凹部4の平均深さTが95〜99%であることが好ましい。この範囲であれば所期の効果が良好に得られる。
一方、複数の凹部4において、凹部4の平均深さTに幅を持たせて吸音周波数の幅を広くしようとする場合、該複数の凹部4の平均深さTのばらつきが、最も大きい凹部4の平均深さTを100%とするとき、最も小さい凹部4の平均深さTが80〜94%であることが好ましい。この範囲であれば所期の効果が良好に得られる。80%よりも小さいと、それぞれの凹部4における吸音率ピークが独立し、全体としての吸音率ピーク値が顕著に低くなる。
吸音材3は、膜振動により吸音作用を生じうる材料からなる。具体的に、吸音材3が膜振動により吸音作用を生じるためには、該吸音材3における流れ抵抗が1×10N・s/m以上であることが好ましい。本明細書における流れ抵抗の値は、吸音材3の表面に垂直方向に一定の空気流を通した時の、該吸音材の両面間の圧力差(表面側の圧力と裏面側の圧力との差)を空気流の速度で割った値である。音は流速が非常に小さい状態に相当するので、流速が0に近づいた場合の極限値として定義される。測定法は、ISO 9053のDC法に準拠する。
吸音材3は、複数の膜振動型の吸音材を積層一体化した積層体であってもよい。積層体である場合、吸音材以外に、吸音材の吸音特性に影響を及ぼさない他の層を有していてもよい。例えば接着層は、厚さが0.5mm以下であれば吸音材の吸音特性に影響しない。
吸音材3が、複数の吸音材が一体化された積層体からなる場合、該複数の吸音材のうち最も貯蔵弾性率が高い吸音材層を第1の吸音層、最も貯蔵弾性率が低い吸音材層を第2の吸音層とし、第1の吸音層の貯蔵弾性率をE’1、第2の吸音層の貯蔵弾性率をE’2とするとき、(E’1/E’2)≧3であり、かつ積層体において第1の吸音層から外側に向かって、各吸音層の貯蔵弾性率が漸次減少していることが好ましい。このように複数の吸音材を積層することによって、吸音材の単層からなる場合よりも周波数領域を低周波数側へシフトさせることができる。
該E’1/E’2の値は好ましくは4以上であり、より好ましくは17以上である。E’1とE’2の比が上記範囲であると吸音層を積層することによる周波数領域を低周波数側へシフトさせる効果が得られやすい。
該E’1/E’2の上限値は特に限定されないが1600以下が好ましい。これより大きいと吸音材3の耐熱性や強度が不足するおそれがある。
吸音材3を構成している第1の吸音層の貯蔵弾性率E’1の範囲は特に制限されないが、例えば5×10〜5×10Paが好ましく、1×10〜1×10Paがより好ましい。
吸音材3を構成する吸音材層が2層である場合、第2の吸音層は第1の吸音層に対して表側および裏側(内装部材本体2側)のどちら側に積層してもよい。温度変化に対する耐久性の点からは、内装部材本体2に最も近い吸音層の貯蔵弾性率が、より大きい方が好ましい。
吸音材3の比重Gは0.86〜1.65が好ましく、0.9〜1.6がより好ましい。比重Gが0.86以上であると、低周波領域における良好な吸音効果が得られやすい。1.65以下であると軽量化の点で好ましい。
本発明において吸音材3の貯蔵弾性率E’は1×10〜1×10Paが好ましく、1×10〜5×10Paがより好ましい。
貯蔵弾性率E’が1×10Pa以上であると、吸音材の良好な一次振動が得られやすく、低周波領域における良好な吸音効果が得られやすい。1×10Pa以下であるとピーク周波数が低くなりやすい。
吸音材3のtanδは、0.01〜0.3が好ましく、0.03〜0.2がより好ましい。0.01以上であると高い吸音率が得られやすく、0.2以下であるとピーク周波数が低くなりやすい。
吸音材3は、単一の材料からなっていてもよく、2種以上の材料の混合物であってもよい。
吸音材3の構成材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的にはEEA(エチレンエチルアクリレート)、EVA(酢酸ビニル共重合体)、PE(ポリエチレン)、CPE(塩素化ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、EBR(エチレンブタジエンゴム)、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体またはその水添物(以下、総称してSISという)、SEPS(スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリブテン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、環状オレフィン、ポリ乳酸等から選ばれる1種または2種以上の樹脂、またはこれらの樹脂をベース樹脂とし、これに無機フィラー及び又は有機フィラーを適宜添加した混合物等が挙げられる。
上記に挙げた樹脂の中でも、PE(特にHDPE(高密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン))、PP(ポリプロピレン)、CPE(塩素化ポリエチレン)、EBR、エチレン−αオレフィン共重合体、SISまたはこれらの混合樹脂が好ましい。
無機フィラーの例としては、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
無機フィラーを配合する場合、その配合量は特に限定されず、吸音材3の比重Gおよび貯蔵弾性率E’の良好な範囲が得られる範囲であればよい。機械強度の点からは、吸音材3の構成材料中80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
有機フィラーの例としては、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(例えば、製品名:アデカスタブ AO−330、ADEKA社製)、トリス(2,4ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト(例えば、製品名:Irg168、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が好ましい。
有機フィラーを配合する場合、その配合量は特に限定されず、吸音材3の比重Gおよび貯蔵弾性率E’の良好な範囲が得られる範囲であればよい。機械強度の点からは、吸音材3の構成材料中50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
本発明において吸音材3の厚さTは、0.5〜3mmであり、好ましくは0.6〜2mmである。0.5mm以上であると吸音材の良好な一次振動が得られやすい。3mm以下であると軽量化の点で好ましい。
吸音材3の厚さが不均一である場合は、Tとして中央値を用いる。
内装部材本体2に吸音材3を固定する手段としては、接着剤、両面テープ等の接着手段を用いてもよく、圧着、溶融圧着により固定してもよい。
さらに吸音材3の表面上(内装部材本体2側とは反対側)に、他の吸音層(図示せず)を積層してもよい。具体的に該他の吸音層は、上記流れ抵抗が1×10N・s/mより小さい層からなる。他の吸音層として公知の吸音材料から、上記流れ抵抗の範囲を満たすものを適宜使用できる。具体例としては、発泡樹脂、フェルト、繊維材料、グラスウール、ロックウール、木粉セメント等が挙げられる。特に発泡樹脂、フェルト、繊維材料、グラスウールが好ましい。
かかる他の吸音層を積層することにより、内装部材1全体として、吸音効果が得られる周波数領域をより広くすることができる。例えば、吸音材3により吸音効果が得られる周波数領域よりも、高周波数領域において吸音効果を奏する他の吸音層を吸音材3上に積層して設けると、両方の周波数領域において吸音効果が得られる。
該他の吸音層は、吸音材3と一体化されていてもよく、別体であってもよい。
内装部材1は、車両のボディ内部に設けられる部材であればよく特に限定されない。特に樹脂製の内装部材が、凹部4の成形が容易である点で好ましい。例えばインスツルメントパネル(インパネ)、ドアトリム、ピラートリム、エンジンルームとキャビンとの隔壁、天井部材、リアシェルフボード、サイドシルカバー、トランクルームトリム、後部座席トリム(クウォータートリム)等が挙げられる。
本発明の内装部材によれば、膜振動による吸音作用が得られるため、後述の実施例に示されるように、500Hz以下の低周波領域において良好な吸音効果が得られる。したがって、ロードノイズといわれる、車両に特有の250〜400Hzの騒音を吸音するのに好適に用いることができる。
また本発明の内装部材は、内装部材本体2を成形する際に、裏面2aに凹部4を設け、その上に吸音材3を固定するだけで製造できる。したがって、これとは別に吸音体を作成して取り付ける必要がないため、製造工程が少なくてすみ、軽量化、低価格化も可能である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1,2)
凹部の形状が互いに異なり、凹部4の平均深さTが互いに同じである場合について、吸音特性を調べた。
実施例1,2においては、内装部材1の1個の凹部4についての吸音特性を測定するために、有底中空で上面に開口部を有する本体32,42と、該本体32,42の開口部32a、42aを覆う吸音材33,43とからなる吸音体31、41を用いた。図3は実施例1の吸音体31、図4は実施例2の吸音体41を示したもので、それぞれ(a)は上面図、(b)は(a)中のA−A線に沿う断面図である。本体32,42の開口部32a、42aを上方から見たときの形状は、いずれも正方形である。図中符号34、44は凹部、35,45は背後空気層を示す。各寸法は以下の通りである。
a=107.5mm、b=32.5mm、c=27.5mm、d=30mm。
底面における段差は、開口部の両端から等距離(すなわちa1=53.75mm)にある。
凹部4の平均深さTは、実施例1、2のいずれも30mmとなる。
吸音材33,43としては、HDPEとLLDPEの混合物(HDPE:LLDPEの質量比=7:3)からなる厚さ0.6mmの第1の膜上に、SISからなる厚さ0.2mmの第2の膜を積層した積層シートを用い、これを第1の膜(HDPEとLLDPEの混合物からなる膜)が本体32,42に接する側となるように、本体32,42上に両面粘着テープで固定した。第1の膜と第2の膜との一体化は接着剤を使用せず、140℃熱プレスにて積層シートを作製した。
用いた材料等は以下通りである。
HDPE:HY540(製品名)、日本ポリエチレン社製。
LLDPE:UF240(製品名)、日本ポリエチレン社製。
SIS:ハイブラー5127(製品名)、クラレ社製。
両面粘着テープ:ホースケアプロダクツ社製、品番:NoH100。
本体32,42の材質:アルミニウム。
第1の膜:貯蔵弾性率E’=6.3×10、tanδ=0.03、比重G=0.95。
第2の膜:貯蔵弾性率E’=6.6×10、tanδ=0.36、比重G=0.94。
第1の膜と第2の膜からなる積層シートの流れ抵抗は1×10N・s/m以上であることを確認した。
実施例1,2の吸音体について、下記の方法で吸音率を測定した。結果を図5に示す。図5のグラフにおいて、横軸は周波数(単位:Hz)、縦軸は吸音率である。
[吸音率の測定方法]
JIS A 1405−2に準処する方法で「垂直入射吸音率」を測定した。具体的には内寸240mm×240mmの角型インピーダンス管(アルミ製、肉厚15mm)を用いた。サンプル設置面はアルミ板であり、その板中央部に、実施例1,2の吸音体を両面粘着テープで固定し、測定を行った。
実施例1と実施例2は、本体32,42の開口部32a、42aの形状および面積、吸音材3の材質および厚さTは互いに同じである。凹部34,44の形状および深さTは互いに異なっているが、凹部4の平均深さTが同じになるように設計されている。
このような実施例1と実施例2にあっては、図5に示されるように、ほぼ同じ吸音特性が得られる。
(実施例3)
複数の凹部を並べて設けた面における吸音特性を調べた。
本例では、4つの凹部54を有する吸音体51を用いた。図6は本例の吸音体51を示したもので、(a)は上面図、(b)は(a)中のA−A線に沿う断面図である。本例では本体52に、上面から見たときの形状が正方形の凹部54が4個、格子状に並べて設けられている。凹部54の形状および大きさは、本体52の深さ方向において一定である。図中符号53は吸音材、55は背後空気層を示す。各寸法は以下の通りである。
a=80mm、b=10mm。
吸音材53としては、LLDPEの50質量%とEBRの20質量%と硫酸バリウムの30質量%との混合物からなる厚さ1.13mmの膜を用い、これを本体52に接着剤で固定した。
用いた材料等は以下通りである。
LLDPE:UF240(製品名)、日本ポリエチレン社製。
EBR:ENR7270(製品名)、ダウケミカル日本社製。
硫酸バリウム:硫酸バリウムBA、堺化学工業社製。
両面粘着テープ:ホースケアプロダクツ社製、品番:NoH100。
本体52の材質:ABS樹脂 厚み3mm。
吸音材:貯蔵弾性率E’=3×10、tanδ=0.06、比重G=1.19。
吸音材の流れ抵抗は1×10N・s/m以上であることを確認した。
本例の吸音体について、下記の方法で吸音率を測定した。結果を図7に示す。図7のグラフにおいて、横軸は周波数(単位:Hz)、縦軸は吸音率である。
吸音率の測定方法は実施例1と同じ方法を用いた。
図7の結果に示されるように、ピーク周波数375Hz、吸音率0.79、平均吸音率0.31であり、小型でありながら、低周波領域において高度な吸音効果が得られた。
本発明の車両用内装部材の一実施形態を示す斜視図である。 図1中のA−A線に沿う断面図である。 実施例で測定に用いた吸音体であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のA−A線に沿う断面図である。 実施例で測定に用いた吸音体であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のA−A線に沿う断面図である。 実施例にかかる吸音率測定結果の例を示すグラフである。 実施例で測定に用いた吸音体であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のA−A線に沿う断面図である。 実施例にかかる吸音率測定結果の例を示すグラフである。
符号の説明
1…内装部材、
2…内装部材本体、
2a…内装部材本体の裏面、
3、33、43、53…吸音材、
4、34、44、54…凹部、
5、35、45、55…背後空気層、
31、41、51…吸音体、
32、42、52…本体、
32a、42a…開口部。

Claims (1)

  1. 内装部材本体の裏面に凹部を有し、
    前記内装部材本体の裏面が曲面または起伏を有する面であり、
    前記凹部の開口部が平坦な膜振動型吸音材で覆われており、該膜振動型吸音材の貯蔵弾性率が1×10〜1×10Paであり、
    前記膜振動型吸音材が、複数の膜振動型吸音材が一体化された積層体からなり、該複数の吸音材のうち最も貯蔵弾性率が高い吸音材層を第1の吸音層、最も貯蔵弾性率が低い吸音材層を第2の吸音層とし、第1の吸音層の貯蔵弾性率をE’1、第2の吸音層の貯蔵弾性率をE’2とするとき、(E’1/E’2)≧3であり、かつ積層体において第1の吸音層から外側に向かって、各吸音層の貯蔵弾性率が漸次減少していることを特徴とする車両用内装部材。
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