JP4704836B2 - 低温焼成磁器組成物及びその製造方法並びにこれを用いた電子部品 - Google Patents

低温焼成磁器組成物及びその製造方法並びにこれを用いた電子部品 Download PDF

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Description

本発明は、低温焼成磁器組成物及びこれを用いた電子部品に関する。更に詳しくは、ガラスの含有量が少なくとも低温焼成することができる低温焼成磁器組成物及びこれを用いた電子部品に関する。
近年、高周波帯域で使用される電子部品における誘電損失を抑えるため、導体材料としてAg系金属及びCu系金属等の抵抗が低く且つ低融点の金属が導体材料として用いられている。このため、セラミック材料には、低融点金属と同時焼成できる低温焼結性が求められる。即ち、低温焼成器組成物が求められている。
更に、高周波帯域においても高速且つ低損失で信号伝送する伝送線路を形成するため、特に比誘電率が低い特性も併せて求められている。この比誘電率が低いセラミック材料としては、従来から、無機フィラーとガラスとを主成分とする低温焼成磁器組成物が知られている。
従来の低温焼成磁器組成物では、ガラスとしてSiO−Al−CaO系ガラスや、SiO−Al−B系ガラス等を用い、無機フィラーを別途用いることなく、これらの特殊なガラスの焼成過程で温度を細かく制御しながら所望の無機フィラーを析出させて得られた低温焼成磁器組成物が最も一般的に用いられている(特許文献1)。
更に、ガラスとは別に、予め用意した無機フィラーを混合し、上記焼成コントロールをほとんど行うことなく無機フィラー(アルミナフィラー及びクオーツフィラー等)とガラスとの2相構造を得る低温焼成磁器が知られている(特許文献2)。
特開平11−49531号公報 特開昭61−222957号公報
しかし、上記いずれの方法においても、1000℃以下の低温焼結性を得るために、多量(低温焼成磁器組成物全体の45体積%以上等)のガラスを要する。このため、誘電損失が低下しがちである。また、これらの特殊なガラスは非常に高価であり、その含有量に応じて電子部品も高価と成らざるを得なかった。
本発明は、上記問題を解決するものであり、優れた誘電特性を確保しつつ、より少量のガラスにより低温焼結できる低温焼成磁器組成物を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)無機フィラー及びガラスを含有する低温焼成磁器組成物であって、
上記無機フィラーは、組成式[xCaO・yMO・zSiO](但し、x+y+z=100モル%である。)で表した場合に下記条件(1)及び条件(2)を満たすアルカリ土類金属元素含有フィラーを主成分とし、
且つ、上記ガラスは、少なくともBa、Zn、B及びSiの各元素を含有し、該各元素の酸化物換算合計量を100質量%とした場合に、該BaをBaO換算で25〜55質量%、該ZnをZnO換算で5〜30質量%、該BをB換算で15〜35質量%、該SiをSiO換算で5〜30質量%、各々含有し、
上記アルカリ土類金属含有フィラーの上記無機フィラー中における含有量は、上記無機フィラー全体を100質量%とした場合に50質量%を超えることと、
上記無機フィラーと上記ガラスとの合計を100体積%とした場合に、上記ガラスは35体積%以下であることを特徴とする低温焼成磁器組成物。
条件(1);上記組成式中の該Mは、Mg及びZnのうちの少なくとも1種である。
条件(2);上記組成式中の該x、該y及び該zは、各々の相関を三角図を用いて表した場合に対応する値が、図1における辺AB、辺BC、辺CD及び辺DA(点Aはx=25、y=0、z=75、点Bはx=0、y=35、z=65、点Cはx=0、y=80、z=20及び点Dはx=65、y=0、z=35である。)により囲まれた領域内のうち、辺AB及び辺CDは含まれるが、辺DA及び辺BCは含まれない領域にある。
(2)上記無機フィラーは、上記組成式で表した場合に上記条件(1)及び下記条件(3)を満たすアルカリ土類金属元素含有フィラーを主成分とする上記(1)に記載の低温焼成磁器組成物。
条件(3);上記組成式中の該x、該y及び該zは、各々の相関を三角図を用いて表した場合に対応する値が、図2における辺BO、辺OP、辺PC及び辺CB(点Oはx=13、y=40、z=47、点Pはx=13、y=64、z=23である。)により囲まれた領域内のうち、辺BO、辺OP、及び辺PCは含まれるが、辺CBは含まれない領域にある。
)上記無機フィラーは、更に、アルミナからなるアルミナフィラーを含有し、
上記アルカリ土類金属元素含有フィラーと該アルミナフィラーとの合計を100質量%とした場合に、上記アルミナフィラーは50質量%以下である上記(1)又は)に記載の低温焼成磁器組成物。
)上記(1)乃至()のうちのいずれかに記載の低温焼成磁器組成物からなる誘電体磁器部と、該誘電体磁器部の表面及び/又は内部に配設され且つ該誘電体磁器部と同時焼成された導体部と、を備えることを特徴とする電子部品。
本発明によれば、少量のガラスにより低温で焼結でき、誘電特性にも優れた低温焼成磁器が得られる。また、ガラスの含有量が少なくコストを大幅に削減できる。
無機フィラーが、上記条件(1)及び上記条件(3)を満たすアルカリ土類金属元素含有フィラーを主成分とする場合は、特に誘電損失の小さい低温焼成磁器が得られる。
アルカリ土類金属元素含有フィラーが所定の結晶相を有する場合は、特に優れた低誘電損失の誘電体磁器を低コストで得ることができる。
ガラスが35体積%以下であるので特に優れた低誘電損失の誘電体磁器を低コストで得ることができる。
無機フィラーが所定範囲のアルミナフィラーを含有する場合は、特に優れた低誘電損失の誘電体磁器を低コストで得ることができる。
本発明の電子部品によれば、Ag系金属及びCu系金属等の低抵抗低融点金属導体材料と同時焼結された電子部品を低コストで得ることができる。更に、高周波帯域においても高速且つ低損失で信号伝送する伝送線路を形成でき、特に比誘電率が低い特性も併せて得ることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
[1]低温焼成磁器組成物
本発明の低温焼成磁器組成物は、所定の無機フィラーと、所定のガラスとを含有することを特徴とする。
上記「無機フィラー」は、アルカリ土類金属元素含有フィラーを主成分とする。
上記「アルカリ土類金属元素含有フィラー」は、組成式[xCaO・yMO・zSiO](但し、x+y+z=100モル%である。)で表した場合に下記条件(1)及び条件(2)を満たすフィラーである。
条件(1);上記組成式中の該Mは、Mg及びZnのうちの少なくとも1種である。
条件(2);上記組成式中の該x、該y及び該zは、各々の相関を三角図を用いて表した場合に対応する値が、図1における辺AB、辺BC、辺CD及び辺DA(点Aはx=25、y=0、z=75、点Bはx=0、y=35、z=65、点Cはx=0、y=80、z=20及び点Dはx=65、y=0、z=35である。)により囲まれた領域内のうち、辺AB及び辺CDは含まれるが、辺DA及び辺BCは含まれない領域にある。
上記「x」は、アルカリ土類金属元素含有フィラーに含有されるCaOとMOとSiOとの合計を100モル%とした場合のCaOの割合を表す。このxは、0モル%よりも大きく65モル%以下であり、65モル%を超えると焼結性が低下する傾向にあり好ましくない。特にy<40である場合、xは5〜65モル%が好ましく、15〜65モル%がより好ましく、20〜65モル%が更に好ましく、25〜65モル%が特に好ましい。また、y>40である場合、xは0モル%よりも大きく13モル%以下が好ましく、0モル%よりも大きく10モル%以下がより好ましく、0モル%よりも大きく7モル%以下が特に好ましい。更に、y=40である場合、xは0モル%よりも大きく13モル%以下又は30モル%以下が好ましい。
また、上記組成式において、CaOの一部は、SrO及び/又はBaOにより置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。置換されている場合は、この置換量は、通常、CaOとSrOとBaOとの合計を100モル%とした場合に、SrOとBaOとの合計が25モル%以下である。この範囲であれば、アルカリ土類金属元素含有フィラー中において結晶に固溶され、結晶量を増大させ、誘電損失を小さく保つことができる。これらのうち、SrOのみが含有される場合、CaOとSrOとの合計を100モル%とした場合に、SrOは0モル%を超えて25モル%以下が好ましく、0モル%を超えて20モル%以下が好ましい。更に、BaOのみが含有される場合、CaOとBaOとの合計を100モル%とした場合に、BaOは0モル%を超えて25モル%以下が好ましく、0モル%を超えて15モル%以下が好ましい。
上記「y」は、アルカリ土類金属元素含有フィラーに含有されるCaOとMOとSiOとの合計を100モル%とした場合のMOの割合を表す。このyは、0モル%よりも大きく80モル%以下である。80モル%を超えると焼結性が低下する傾向にあり好ましくない。このyは、0モル%よりも大きく35モル%以下(より好ましくは0モル%よりも大きく32モル%以下、更に好ましくは0モル%よりも大きく28モル%以下)、又は40〜80モル%(より好ましくは35〜80モル%、更に好ましくは45〜75モル%、特に好ましくは55〜75モル%)が好ましい。
上記「M」は、Mg及びZnのうちの少なくとも1種である。即ち、アルカリ土類金属元素含有フィラーにはMgOのみが含有されてもよく、ZnOのみが含有されてもよく、MgO及びZnOの両方が含有されてもよい。
上記「z」は、アルカリ土類金属元素含有フィラーに含有されるCaOとMOとSiOとの合計を100モル%とした場合のSiOの割合を表す。このzは、20〜75モル%であり、20〜60モル%が好ましく、20〜55モル%がより好ましい。20モル%未満であると又は75モル%を超えると焼結性が低下する傾向にあり好ましくない。特にy>40である場合、zは20〜65モル%が好ましく、25〜55モル%がより好ましく、25〜45モル%が更に好ましい。
このSiOは、SnO、TiO及びZrOのうちの少なくとも1種により置換されていてもよく、置換されていてなくてもよい。置換されている場合は、SiOとSnOとTiOとZrOとの合計を100モル%とした場合に、SnOとTiOとZrOとの合計は10モル%以下である。この範囲であれば、誘電損失を十分に低く保つことができる。
上記組成式[xCaO・yMO・zSiO]におけるx、y及びzは、三角図で表した場合に、図1における辺AB、辺BC、辺CD及び辺DA(点Aはx=25、y=0、z=75、点Bはx=0、y=40、z=60、点Cはx=0、y=80、z=20及び点Dはx=65、y=0、z=35である)により囲まれた領域ABCD内のうち、辺AB及び辺CDは含まれるが、辺DA及び辺BCは含まれない領域にある。
この領域ABCDのうち、更に辺AE、辺EF、辺FD及び辺DAにより囲まれた下記領域AEFD(但し、辺AE、辺EF、及び辺FDは領域内に含まれるが、辺DAは領域に含まれない。図2参照)、又は、辺BO、辺OP、辺PC及び辺CBにより囲まれた下記領域BOPCのうち、辺BO、辺OP、及び辺PCは含まれるが、辺CBは含まれない領域にあることが好ましい(図2参照)。
上記領域AEFDのなかでも、更に辺AE、辺E、辺FD及び辺DAにより囲まれた下記領域AED(但し、辺AE 、辺E 、及び辺F は領域内に含まれるが、辺DAは領域に含まれない。図3参照)に含まれることが好ましく、特に辺AE、辺E、辺FD及び辺DAにより囲まれた下記領域AED(但し、辺AE 、辺E 、及び辺F は領域内に含まれるが、辺DAは領域に含まれない。図3参照)に含まれることが好ましい。即ち、図3における各領域のうちより濃い色で表された領域が好ましい。
上記各領域に関する各点は以下の通りである。各点は(x,y,z)を表している。
領域AEFD:
A(25,0,75)、E(5,35,60)、F(30,40,30)、D(65,0,35)
領域AED:
A(25,0,75)、E(15,35,50)、F(35,40,35)、D(65,0,35)
領域AED:
A(25,0,75)、E(25,28,47)、F(37,28,35)、D(65,0,35)
一方、領域BOPCのなかでも、辺BO、辺O、辺PC及び辺CBにより囲まれた領域BOC(但し、辺BO 、辺O 、及び辺P Cは含まれるが、辺CBは含まれない。図4を参照)に含まれることがより好ましく、辺B、辺O、辺P及び辺Cにより囲まれた下記領域B(但し、辺B 、辺O 、及び辺P は含まれるが、辺C は含まれない。図4参照)に含まれることが更に好ましく、辺B、辺O、辺P及び辺Cにより囲まれた領域B(但し、辺B 、辺O 、及び辺P は含まれるが、辺C は含まれない。図4参照)に含まれることがより更に好ましく、辺B、辺O、辺P及び辺Cにより囲まれた領域B(但し、辺B 、辺O 、及び辺P は含まれるが、辺C は含まれない。図4参照)に含まれることが特に好ましい。即ち、図4における各領域のうちより濃い色で表される領域が好ましい。
上記各領域に関する各点は以下の通りである。各点は(x,y,z)を表している。
領域BOPC:
B(0,35,65)、O(13,40,47)、P(13,64,23)、C(0,80,20)
領域BOC:
B(0,35,65)、O(10,40,50)、P(10,68,22)、C(0,80,20)
領域B
(0,45,55)、O(10,45,45)、P(10,65,25)、C(0,75,25)
領域B
(0,45,55)、O(7,45,48)、P(7,68,25)、C(0,75,25)
領域B
(0,55,45)、O(7,55,38)、P(7,68,25)、C(0,75,25)
上記領域AEFD(図2参照)及び上記領域BOPC(図2参照)のうちでは、領域BOPCに含まれることがより好ましい。
更に、このアルカリ土類金属元素含有フィラーは、上記各元素以外にも他の金属元素を含有してもよく、含有しなくてもよい。他の金属元素を含有する場合、この金属元素としては、Al、Fe、Ti、Mn及びCoが挙げられる。これらは、1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
更に、このアルカリ土類金属元素含有フィラーは、通常、後述するBaO・ZnO・B・SiO系ガラスの母相内に分散されて存在している。アルカリ土類金属元素含有フィラー自体は、通常、結晶相と非結晶相とを有する。このうち、結晶相として、フォルステライト{(Forsterite)、組成例(Mg[SiO])}、ディオプサイド{(Diopside)、組成例CaMg[Si]}、アケルマナイト{(Akermanite)、組成例CaMgSi}、メルウィナイト{(Merwinite)、組成例CaMg(SiO}}、クリストバライト{(Cristobalite)、組成例SiO}、ワラストナイト{(Wollastonite)、組成例(Ca[Si])}、モンチセライト{(Monticellite)、組成例(CaMgSiO)}、エンスタタイト{(enstatite)、組成例(MgSiO)}、クオーツ{(Quartz)、組成例SiO}及びトリジマイト{(Trydimite)、組成例SiO}、ウィルマイト{(Willemite)、組成例(ZnSiO)}のうちの少なくとも1種を有することが好ましい。これらのなかでも、特にフォルステライト、ディオプサイド、ワラストナイト、アケルマナイト、エンスタタイト、ウィルマイト及びメルウィナイトのうちの少なくとも1種が好ましく、フォルステライト、ディオプサイド、ワラストナイト、アケルマナイト、ウィルマイト及びエンスタタイトのうちの少なくとも1種がより好ましい。
また、これらの結晶相は主結晶相であることが好ましい。即ち、例えば、これらの結晶相はアルカリ土類金属元素含有フィラー全体を100質量%とした場合に、合計で50質量%以上(より好ましくは60質量%以上、100質量%であってもよい)含有されることが好ましい。この範囲では低温焼結性が特に優れている。
また、これらの各結晶相は、予め得られたアルカリ土類金属元素含有フィラー中に析出されている結晶相であることが好ましい。即ち、後述するように、本低温焼成磁器組成物では、予め得られたアルカリ土類金属元素含有フィラーを主成分とする無機フィラーを、Ba、Zn、B及びSiを含有する所定のガラスと混合して焼成して得ることができる。即ち、CaO・MO・SiO系ガラスから焼成過程の温度を細かく制御しながら所定の結晶相を析出させる必要がなく、無機フィラー自体のコストを大幅に抑制できるものである。
本発明の低温焼成磁器組成物では、上記アルカリ土類金属元素含有フィラーを主成分とする無機フィラーを含有することにより、少ないガラス含有量であっても、誘電損失が小さい低温焼成磁器組成物を得ることができる。更に、ガラスの含有量を少なく抑えつつも優れた誘電特性を発揮させることができるために、安価に優れた低温焼成磁器組成物を得ることができる。
また、上記xが15〜65モル%であり、上記yが0モル%よりも大きく35モル%以下であり、且つ、上記zが35〜75モル%である場合には、10GHzにおける比誘電率が5〜10であり、特に誘電損失が小さい(即ち、例えば、5×10−4〜50×10−4)低温焼成磁器組成物とすることができる。即ち、例えば、図3に示す前記領域AED内に上記x、y及びzが含まれる場合である。特に上記特性は低温焼成磁器組成物全体(100体積%)に対するガラスの含有量が50体積%以下において得ることができる。
更に、上記xが0モル%よりも大きく10モル%以下であり、上記yが35〜80モル%であり、且つ、上記zが20〜65モル%である場合には、10GHzにおける比誘電率が5〜10であり、とりわけ誘電損失が小さい(即ち、例えば、5×10−4〜25×10−4)低温焼成磁器組成物とすることができる。即ち、例えば、図4に示す前記領域BOC内に上記x、y及びzが含まれる場合である。特に上記特性は低温焼成磁器組成物全体(100体積%)に対するガラスの含有量が40体積%以下において得ることができる。
また、アルカリ土類金属元素含有フィラーは、上記無機フィラー中に含有される主成分である。アルカリ土類金属元素含有フィラーの無機フィラー中における含有量は、無機フィラー全体を100質量%とした場合に50質量%を超える。この含有量は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。更に、無機フィラーは全てアルカリ土類金属元素含有フィラーであってもよい(即ち、アルカリ土類金属元素含有フィラーが100質量%である。)。アルカリ土類金属元素含有フィラーが50質量%以下であると、低温焼結性が低下する傾向にある。
本発明の低温焼成磁器組成物では、上記無機フィラーとして、上記アルカリ土類金属元素含有フィラー以外にも他の無機フィラーを含有してもよく、他の無機フィラーを含有しなくてもよい。他の無機フィラーとしては、アルミナからなるアルミナフィラー、チタン酸カルシウム、ムライト、コーディエライト、タルク等などからなる各種フィラーが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、アルミナフィラーが好ましい。これらの他の無機フィラーは、上記アルカリ土類金属元素含有フィラーを主成分とする範囲(即ち、無機フィラー全体の50質量%以下)で含有することができる。
上記「ガラス」(以下、単に「BaO・ZnO・B・SiO系ガラス」ともいう)は、少なくともBa、Zn、B及びSiの各元素を含有し、各元素の酸化物換算合計量を100質量%とした場合に、BaをBaO換算で25〜55質量%、ZnをZnO換算で5〜30質量%、BをB換算で15〜35質量%、SiをSiO換算で5〜30質量%、各々含有する。
即ち、上記ガラスは、組成式[kBaO・lZnO・mB・nSiO]{但し、k、l、m及びnは含有割合を表し、k+l+m+n=100(質量%)である。}で表した場合に、25≦k≦55、5≦l≦30、15≦m≦35、5≦n≦30である。
上記Baは、BaO換算で25〜55質量%であり、好ましくは25〜50質量%、より好ましくは30〜45質量%である。25質量%未満であると焼結温度が高くなる傾向にあり、55質量%を超える場合はQ値が低下する傾向にある。
上記Znは、ZnO換算で5〜30質量%であり、好ましくは7〜25質量%であり、より好ましくは10〜20質量%である。5質量%未満又は30質量%を超える場合は焼結温度が高くなる傾向にある。
上記Bは、B換算で15〜35質量%であり、好ましくは17〜33質量%、より好ましくは20〜30質量%である。15質量%未満の場合は焼結温度が高くなる傾向にあり、35質量%を超える場合はQ値が低下する傾向になる。
上記Siは、SiO換算で5〜30質量%であり、好ましくは7〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%である。5質量%未満の場合は焼結温度が高くなる傾向にあり、30質量%を超える場合は焼結温度が高くなる傾向にある。
また、このガラスは、ガラス全体を100質量%とした場合、Ba、Zn、B及びSiの酸化物換算による合計含有割合は、50質量%以上(より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、100質量%であってもよい)であることが好ましい。この範囲では、特に緻密な焼結体を低温焼成により得ることができる。
更に、ガラスには、上記各元素以外にも他の元素が含有されていてもよい。他の元素としては、アルカリ金属元素(Li、Na及びK等)、Ba以外のアルカリ土類金属元素(Mg、Ca及びSr等)、その他の金属元素(Ti、Zr、Al及びSn等)が挙げられる。但し、このガラスは、低温焼結性能を向上させるPbを含有することはできるが、環境保護の観点から含まれないことが好ましい。また、上記xが0モル%よりも大きく13モル%以下、yが40〜80モル%且つzが20〜60モル%である場合には、ガラス中に含有されるCa及びSrは合計で0.5質量%以下であることが好ましい。
また、このガラスの本低温焼成磁器組成物における含有量は特に限定されないが、5〜70体積%が好ましく、5〜35体積%がより好ましく、5〜25体積%が特に好ましい。
5〜70体積%であれば、低温(例えば、800〜1050℃)で焼成でき、比誘電率誘5〜10の特に小さい値を得ることができる。更に、5〜35体積%では、10GHzにおける比誘電率が5〜10であり且つ誘電損失が5×10−4〜50×10−4の特に優れた誘電特性を得ることができる。更に、5〜20体積%では10GHzにおける比誘電率が5〜10であり且つ誘電損失が5×10−4〜30×10−4の特に優れた誘電特性を得ることができる。
本発明の低温焼成磁器組成物では、上記所定の無機フィラーと上記所定のガラスとの両方の組成にアルカリ土類金属元素とSiとを含有する。このため、両者間の濡れ性がよく、焼結性に優れているために、ガラスの含有量が少なくとも低温焼結性が得られていると考えられる。更に、これらの各所定の無機フィラー及びガラスを用いていることにより、上記低温焼結性を得ながらも、誘電特性を十分に満足するものである。即ち、特に高周波領域における誘電損失が小さいという特性を発揮できる。更に、ガラスの含有量を少なく抑えつつも優れた誘電特性を発揮させることができるために、安価に優れた低温焼成磁器組成物を得ることができる。
本発明の低温焼成磁器組成物によると、10GHzにおける比誘電率を15以下とすることができる。更に、比誘電率を12以下とすることができ、特に10以下とすることができる。但し、比誘電率は、通常、5以上である。
また、10GHzにおける誘電損失を100×10−4以下(通常、5×10−4以上)とすることができる。更に、誘電損失を50×10−4以下(通常、5×10−4以上)とすることができ、45×10−4以下とすることができ、特に40×10−4以下とすることができ、とりわけ35×10−4以下とすることができる。
[2]低温焼成磁器組成物の製造方法
本発明の製造方法は、所定の無機フィラーと所定のガラスとを混合したのち、800〜1050℃で焼成する焼成工程を備えることを特徴とする。
上記「無機フィラー」は、前記低温焼成磁器組成物における無機フィラーをそのまま適用できる。また、上記「ガラス」は、前記低温焼成磁器組成物におけるガラスをそのまま適用できる。
上記「混合」は、無機フィラーとガラスとを混合する工程である。この混合を行う際は、通常、上記無機フィラー及び上記ガラスは粉末状である。また、バインダ、可塑剤、分散剤溶剤及び/又はその他の添加剤などを更に混合することができる。
また、この無機フィラーのうち、アルカリ土類金属元素含有フィラーの製造方法は特に限定されないが、各金属元素の酸化物、炭酸塩及び/又は水酸化物を混合したのち1000〜1300℃で仮焼して仮焼物を得、次いで、この仮焼物を粉砕して得ることが好ましい。
即ち、「各金属元素」とは、無機フィラーに含有させる所定の全ての元素であり、Ca、Mg、Zn、Si、Sr、Ba、Sn、Ti、Zr、Al、Fe、Ti、Mn及びCo等である。また、各元素は酸化物、炭酸塩及び/又は水酸化物以外の他の化合物(例えば、塩化物など)を用いてもよいが、通常、酸化物、炭酸塩及び/又は水酸化物を用いる。各元素の上記酸化物等が2種以上存在する場合は、このうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、各化合物には、上記元素のうちの1種のみが含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。
上記「仮焼」は、1000〜1300℃の仮焼温度で上記混合により得られた混合物を加熱することをいう。この仮焼温度は1100〜1300℃が好ましく、1150〜1250℃が特に好ましい。仮焼温度が1000℃未満ではアルカリ土類金属元素含有フィラーの析出が十分に得られ難く、1300℃を超えると得られる仮焼物の粉砕が困難となる傾向にある。また、仮焼時間は特に限定されないが、通常、1時間以上(好ましくは2〜5時間、通常、8時間以下)である。
更に、この仮焼により、アルカリ土類金属元素含有フィラーは、フォルステライト、ディオプサイド、アケルマナイト、メルウィナイト、クリストバライト、ワラストナイト、モンチセライト、エンスタタイト、ウィルマイト、クオーツ及びトリジマイトのうちの少なくとも1種の結晶相(特に主結晶相)を有するものとすることができる。これらのなかでも、特にフォルステライト、ディオプサイド、ワラストナイト、ウィルマイト、アケルマナイト、エンスタタイト及びメルウィナイトのうちの少なくとも1種が好ましく、フォルステライト、ディオプサイド、ワラストナイト、ウィルマイト、アケルマナイト及びエンスタタイトのうちの少なくとも1種がより好ましい。
アルカリ土類金属元素含有フィラーは、どのような方法により得られたものを用いてもよい。即ち、例えば、所定の元素を含有するガラスを加熱温度を細かく制御しながら、ガラスから結晶相としてアルカリ土類金属元素含有フィラーを析出させて得ることができる。この方法は、非常にコスト高である。これに対して、本組成のアルカリ土類金属元素含有フィラーは、上記仮焼により極めて簡便に得ることができ、低コストで所望のフィラーが得られる。また、得られたアルカリ土類金属元素含有フィラーはBaO・ZnO・B・SiO系ガラスとの濡れ性に優れており、少ないBaO・ZnO・B・SiO系ガラス量であっても低温で焼結できる。更に、得られたアルカリ土類金属元素含有フィラーは、BaO・ZnO・B・SiO系ガラスを伴った最終焼成においても主結晶相の結晶相を大きく変えることなく焼成できる。
上記「焼成工程」は、800〜1050℃の焼成温度で、上記混合物を加熱する工程である。この焼成温度は800〜950℃が好ましく、850〜950℃がより好ましい。800℃未満では、低温焼成磁器組成物を十分に緻密に焼結することが困難となる場合がある。一方、1050℃を超える高温で焼成することもできるが、低融点導体との同時焼成は困難となる傾向にある。
更に、この焼成工程では、無機フィラーとBaO・ZnO・B・SiO系ガラスとを含有する未焼成成形部と、この未焼成成形部の表面及び/又は内部に形成された未焼成導体層とを同時に焼成することができる。
[3]電子部品
本発明の電子部品は、本発明の低温焼成磁器組成物からなる誘電体磁器部と、この誘電体磁器部の表面及び/又は内部に配設され且つこの誘電体磁器部と同時焼成された導体部と、を備えることを特徴とする。
上記誘電体磁器部は、前記本発明の低温焼成磁器組成物からなること以外、特に限定されない。即ち、その形状は、例えば、LCフィルタを目的とする場合には、板状に成形された誘電体磁器部(例えば、図5の111、112及び113)が一体的に焼成された直方体形状とすることができる。また、基板を目的とする場合には、様々な形の板状形状とすることができる。更に、アンテナを目的とする場合には板状、直方体など、様々な形の形状とすることができる。
上記「導体部」は、本電子部品の誘電体磁器部の表面及び/又は内部に配設され且つ同時焼成された導体である。この導体部を構成する導体金属は特に限定されず、電子部品において導電性を発揮できる金属及びその合金などを使用できる。このような導体金属としては、例えば、Ag、Cu、Pt及びAu等、並びに、これらの合金が挙げられる。即ち、例えば、導体部は導体部全体を100質量%とした場合にAgを80質量%以上(更には90質量%以上、100質量%であってもよい)含有するものとすることができる。
これらの金属は、1050℃を超える高温で焼成した場合には所望の配線形状を得ることが困難となる場合があるが、本発明の低温焼成誘電体磁器組成物は1050℃以下の低温で焼成できるため、これらの金属を導体金属として用いて同時焼成を行うことができる。
本発明の電子部品の用途は、特に限定されず、マイクロ波帯域及びミリ波帯域において使用される各種電子部品として利用することができる。この各種電子部品としては、フィルタ、デュプレクサ、共振器、LCデバイス、カプラ、ダイプレクサ、ダイオード、誘電体アンテナ及びセラミックコンデンサ等の個別部品類などが挙げられる。更には、汎用基板、各種機能部品が埋め込まれた機能基板(LTCC多層デバイス等)などの基板類、MPU及びSAW等のパッケージ類、これら個別部品類、基板類及びパッケージ類の少なくともいずれかを備えるモジュール類等が挙げられる。また、これらの電子部品は、各種のマイクロ波帯域及び/又はミリ波帯域の電波を利用する移動体通信機器、移動体通信基地局機器、衛星通信機器、衛星通信基地局機器、衛星放送機器、無線LAN機器、及びBluetooth(登録商標)用機器等に利用することができる。
本電子部品は、低温焼成でき、高誘電率であり、高い無負荷Q値を有するため、これらのなかでも、特にLCフィルタ及びアンテナ等として好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]低温焼成磁器組成物
(1)低温焼成磁器組成物の製造
市販の各CaCO粉末(純度;99%以上)、MgO粉末(純度;99.6%)、ZnO粉末(純度;99%)及びSiO粉末(純度;99%以上)を用い、前記「x」、「y」及び「z」の各々が表1に示す値となるように、秤量した。その後、各粉末をエタノールを媒体として湿式混合した。次いで、得られた混合粉末を大気雰囲気において1200℃で2時間仮焼した。その後、仮焼物に分散剤、バインダ及びエタノールを加え、ボールミルを用いて粉砕し無機フィラー含有スラリーを得た。
一方、酸化物換算合計量100質量%に対して、BaOを31質量%、ZnOを14質量%、Bを24質量%、及び、SiOを12質量%を含有するBaO・ZnO・B・SiO系ガラス原料を仮焼物に加え、分散剤、バインダ及びエタノールを加え、ボールミルを用いて粉砕しガラス含有スラリーを得た。
得られた混合スラリーを乾燥させて造粒した。その後、φ19mmの金型を用いて、20MPaで一軸プレスにより円柱状に成形した。次いで、150MPaの圧力でCIP(冷間等方静水圧プレス)処理を行い、得られた成形体を大気雰囲気下、800〜1050℃で2時間焼成し、実験例1〜22(実施例〜9及び19〜20、参考例1,2、15〜18及び21〜22、比較例10〜14)の各磁器を得た。
表1中の「*」は本発明の範囲外であることを表す。
(2)誘電特性の評価
上記(1)で得られた円柱状の各磁器の両端面を研磨した。その後、研磨した各磁器を用いて、JIS R1641に準じ、平行導体板型誘電体共振器法により、測定周波数10GHzにおける、比誘電率及び誘電損失を測定した。この結果を表1に併記した。尚、実験例10〜14については共振が微弱であり誘電特性が得られなかった。
(3)焼結性の評価
吸水率を測定した。この結果、吸水率が0.1%以下である磁器について、表1に「○」と示した。一方、吸水率が0.1%以上である磁器については表1に「×」と示した。
(4)X線回折測定
実験例1〜22の各磁器を乳鉢で粉砕し、X線回折測定を行い、主結晶相の同定を行った。この結果を表1に併記した。
(5)実施例の効果
表1の結果によると、比較品である実験例10〜14は、1050℃においても十分に緻密に焼結することができなかった。また、誘電特性も十分に得られなかった。実験例10ではガラスが含有されないために、実験例11〜13ではアルカリ土類金属元素含有フィラーを含有するものの適切な組成範囲から外れた組成であるために、実験例14ではアルカリ土類金属元素含有フィラーを含有しないために、各々、十分に緻密に焼結することができないものと考えられる。
これに対して、実験例1〜9では、いずれも十分に緻密に(吸水率が0.1%以下)焼結することができた。また、実験例1〜9の磁器からはいずれも、10GHzにおける比誘電率が10以下の誘電特性が得られた。特に実験例1〜7ではガラスの含有量が35体積%以下であり誘電損失が37×10−4以下と小さい。更に、実験例1〜5では、ガラスの含有量が20体積%以下であり誘電損失が28×10−4以下と更に小さい。とりわけ、実験例3〜5では、ガラスの含有量が20体積%であり比誘電率が7と小さく、且つ誘電損失は20×10−4〜28×10−4と小さく、バランスに優れた低誘電磁器材料が得られていることが分かる。また、XRDの結果から、フォルステライト、ディオプサイド、ワラストナイト、ウィルマイト、アケルマナイト及びエンスタタイト、のうちの少なくとも1種の結晶相が主結晶相として認められることが好ましいと考えられる。
更に、実験例15〜22では、ガラスの含有量が35体積%以下であっても十分に緻密に(吸水率が0.1%以下)焼結することができ、特に実施例15〜17及び22ではガラスの含有量が20体積%以下であっても十分に緻密に(吸水率が0.1%以下)焼結できた。
また、実験例15〜22の磁器からは10GHzにおける比誘電率が7の誘電特性が得られた。更に、実験例15〜22の磁器は誘電損失が24×10−4以下と小さく、特に実験例17〜18の磁器は誘電損失が16×10−4以下と小さい。また、実験例15〜17では、ガラスの含有量が20体積%以下であり比誘電率が7と小さく、且つ誘電損失は14×10−4〜24×10−4と小さく、バランスに優れた低誘電磁器材料が得られていることが分かる。また、XRDの結果から、上記組成式におけるxが10以下の範囲ではフォルステライト(MgOを含む場合)又はウィルマイト(ZnOを含む場合)が主結晶相として認められることが好ましいと考えられる。
[2]電子部品
(1)LCフィルタの製造
上記[1](1)における表1中の実験例4の造粒に用いたものと同じスラリーを、脱泡処理した後、ドクターブレード法を用いてグリーンシート(厚さ250μm)に成形した。次いで、得られたグリーンシートのうち3枚の各表面に、導体部形成用銀ペーストを用いて未焼成導体部を印刷形成した。
その後、得られた3枚の未焼成導体部が形成されたグリーンシートを、温度100℃、圧力100kgf/cmの条件で加圧加熱積層した。次いで、得られた積層体を裁断し、その後、大気中925℃で2時間焼成して図5に分解斜視図として示すLCフィルタ1を得た。
LCフィルタ1は、誘電体磁器部111、112及び113と、導体部121、122及び123とを備える。これらは一体的に同時焼成されている。即ち、図5は分解斜視図として示しているが、実際には図5中の誘電体磁器部111、112及び113及び導体部121、122及び123は同時焼成されて、直方体形状の一体物となっている。
本発明は、マイクロ波帯域及びミリ波帯域において使用される各種電子部品として利用することができる。この各種電子部品としては、マイクロ波帯域及びミリ波帯域において使用される各種電子部品として利用することができる。この各種電子部品としては、フィルタ(LCフィルタ等)、デュプレクサ、共振器、LCデバイス、カプラ、ダイプレクサ、ダイオード、誘電体アンテナ及びセラミックコンデンサ等の個別部品類などが挙げられる。更には、汎用基板、各種機能部品が埋め込まれた機能基板(LTCC多層デバイス等)などの基板類、MPU及びSAW等のパッケージ類、これら個別部品類、基板類及びパッケージ類の少なくともいずれかを備えるモジュール類等が挙げられる。また、これらの電子部品は、各種のマイクロ波帯域及び/又はミリ波帯域の電波を利用する移動体通信機器、移動体通信基地局機器、衛星通信機器、衛星通信基地局機器、衛星放送機器、無線LAN機器、及びBluetooth(登録商標)用機器等に利用することができる。
アルカリ土類金属元素含有フィラーに関する係数x、y及びzの相関を示す三角図である。 アルカリ土類金属元素含有フィラーに関する係数x、y及びzの相関の好ましい範囲を説明する三角図である。尚、点線範囲は図1と同じ範囲を表す。 図2に示す領域AEFDの更に好ましい範囲を説明する三角図である。 図2に示す領域BOPCの更に好ましい範囲を説明する三角図である。 本発明の電子部品の一例であるLCフィルタの分解斜視図である。
符号の説明
1;LCフィルタ、111、112及び113;誘電体磁器部、121、122及び123;導体部。

Claims (4)

  1. 無機フィラー及びガラスを含有する低温焼成磁器組成物であって、
    上記無機フィラーは、組成式[xCaO・yMO・zSiO](但し、x+y+z=100モル%である。)で表した場合に下記条件(1)及び条件(2)を満たすアルカリ土類金属元素含有フィラーを主成分とし、
    且つ、上記ガラスは、少なくともBa、Zn、B及びSiの各元素を含有し、該各元素の酸化物換算合計量を100質量%とした場合に、該BaをBaO換算で25〜55質量%、該ZnをZnO換算で5〜30質量%、該BをB換算で15〜35質量%、該SiをSiO換算で5〜30質量%、各々含有し、
    上記アルカリ土類金属含有フィラーの上記無機フィラー中における含有量は、上記無機フィラー全体を100質量%とした場合に50質量%を超えることと、
    上記無機フィラーと上記ガラスとの合計を100体積%とした場合に、上記ガラスは35体積%以下であることを特徴とする低温焼成磁器組成物。
    条件(1);上記組成式中の該Mは、Mg及びZnのうちの少なくとも1種である。
    条件(2);上記組成式中の該x、該y及び該zは、各々の相関を三角図を用いて表した場合に対応する値が、図1における辺AB、辺BC、辺CD及び辺DA(点Aはx=25、y=0、z=75、点Bはx=0、y=35、z=65、点Cはx=0、y=80、z=20及び点Dはx=65、y=0、z=35である。)により囲まれた領域内のうち、辺AB及び辺CDは含まれるが、辺DA及び辺BCは含まれない領域にある。
  2. 上記無機フィラーは、上記組成式で表した場合に上記条件(1)及び下記条件(3)を満たすアルカリ土類金属元素含有フィラーを主成分とする請求項1に記載の低温焼成磁器組成物。
    条件(3);上記組成式中の該x、該y及び該zは、各々の相関を三角図を用いて表した場合に対応する値が、図2における辺BO、辺OP、辺PC及び辺CB(点Oはx=13、y=40、z=47、点Pはx=13、y=64、z=23である。)により囲まれた領域内のうち、辺BO、辺OP、及び辺PCは含まれるが、辺CBは含まれない領域にある。
  3. 上記無機フィラーは、更に、アルミナからなるアルミナフィラーを含有し、
    上記アルカリ土類金属元素含有フィラーと該アルミナフィラーとの合計を100質量%とした場合に、上記アルミナフィラーは50質量%以下である請求項1又は2に記載の低温焼成磁器組成物。
  4. 請求項1乃至のうちのいずれかに記載の低温焼成磁器組成物からなる誘電体磁器部と、該誘電体磁器部の表面及び/又は内部に配設され且つ該誘電体磁器部と同時焼成された導体部と、を備えることを特徴とする電子部品。
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