JP4704124B2 - 手摺り構成部材取付具 - Google Patents

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Description

本発明は、手摺り構成部材を構造物躯体に取り付けるための手摺り構成部材取付具に係り、例えば、手摺り構成部材を建物の屋上のパラペット、バルコニーやベランダの腰壁、外部廊下や外部階段の側壁等の構造物躯体に取り付けるために利用できるものである。
従来より、構造物躯体であるバルコニーやベランダの腰壁、屋上のパラペットには、これらの厚さ方向に貫通した開口部が形成され、この開口部に手摺りが設けられているものが知られている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に記載されている手摺りは、ベランダの腰壁に形成されていて上向きに開口した開口部の左右の側縁部の上端部間に水平に架設されている胴縁と、この胴縁の長手方向に所定の間隔を置いて複数箇所から垂設され、開口部の下縁部に下端部が取り付けられた複数の支柱とで構成されている。
図11及び図12には、手摺り510の手摺り構成部材である上下2個の胴縁511,521を構造物躯体であるパラペット10に取り付けるために使用される従来の手摺り構成部材取付具530が示されている。図11は、2点鎖線で示されている上の胴縁511の長手方向の一方の端部である右端部が、手摺り構成部材取付具530により、パラペット10に形成された開口部11の左右の側縁部のうちの右の側縁部12の上端部近傍に取り付けられている状態を示す斜視図である。また、図12は、上の胴縁511の長手方向の右端部が手摺り構成部材取付具530により開口部11の右の側縁部12の上端部近傍に取り付けられ、また、下の胴縁521の長手方向の右端部が手摺り構成部材取付具530により開口部11の右の側縁部12の下端部近傍に取り付けられている状態を示す側断面図である。なお、手摺り510は、上下2個の胴縁511,521と、上の胴縁511と下の胴縁521との間に長手方向に所定の間隔を置いて立設されている図示しない複数の支柱とを含んで構成されている。また、上の胴縁511は、垂直上方に延出する2個の壁部512と、これらの壁部512の下端部間に架設された水平な底部513とからなる上向きに開口したチャンネル材となっており、同様に、下の胴縁521は、垂直下方に延出する2個の壁部522と、これらの壁部522の上端部間に架設された水平な天板部523とからなる下向きに開口したチャンネル材となっている。
図11に示すように、手摺り構成部材取付具530は、水平方向に延出し、上の胴縁511の長手方向である左右方向に長い長方形の板状の水平延出部531と、この水平延出部531における前記長手方向の一方の端部(図11ではパラペット10側の端部である右端部)から垂直下方に延出し、垂直方向(上下方向)に長い長方形の板状の垂直延出部532とからなり、図12に示すように側断面形状が逆L字状となっている。
図11及び図12に示すように、上の手摺り構成部材取付具530の水平延出部531は、上の胴縁511の底部513の長手方向の両端部のうちの一方の端部である右端部に結合される第1結合部となっており、一方、上の手摺り構成部材取付具530の垂直延出部532は、パラペット10の開口部11の両側縁部のうちの一方の側縁部である右の側縁部12の上端部近傍に結合される第2結合部となっている。同様に、図12に示すように、下の手摺り構成部材取付具530の水平延出部531は、下の胴縁521の天板部523の長手方向の両端部のうちの一方の端部である右端部に結合される第1結合部となっており、下の手摺り構成部材取付具530の垂直延出部532は、パラペット10の開口部11の右の側縁部12の下端部近傍に結合される第2結合部となっている。
図11に示すように、手摺り構成部材取付具530の水平延出部531の略中央部には上の胴縁511の長手方向である左右方向に長い貫通孔531Aが形成されており、また、手摺り構成部材取付具530の垂直延出部532の略中央部には円形状又は略円形状のビス孔532Aが形成されている。一方、上の胴縁511の底部513の右端部近傍、及び下の胴縁521の天板部523の右端部近傍には、手摺り構成部材取付具530の水平延出部531の貫通孔531Aと同じ又は略同じ形状を有する貫通孔513Aが形成されている。
図11及び図12に示すように、ボルト71の先端を上の手摺り構成部材取付具530の水平延出部531の貫通孔531Aに下方から挿入するとともに、上の胴縁511の底部513の貫通孔513Aにも下方から挿入した後、ボルト71の先端にナット72を螺入することにより、水平延出部531は上の胴縁511の底部513に結合される。一方、上の手摺り構成部材取付具530の垂直延出部532は、この垂直延出部532のビス孔532Aに挿入されたビス73でパラペット10の開口部11の右の側縁部12の上端部近傍に結合される。
また、図12に示すように、ボルト71の先端を下の胴縁521の天板部523の貫通孔523Aに上方から挿入するとともに、下の手摺り構成部材取付具530の水平延出部531の貫通孔531Aにも上方から挿入した後、ボルト71の先端にナット72を螺入することにより、水平延出部531は下の胴縁521の天板部523に結合される。一方、下の手摺り構成部材取付具530の垂直延出部532は、この垂直延出部532のビス孔532Aに挿入されたビス73でパラペット10の開口部11の右の側縁部12の下端部近傍に結合される。
なお、図11及び図12には示されていないが、上下2個の胴縁511,521の長手方向の左端部も、右端部と同様に、2個の手摺り構成部材取付具530によりパラペット10に取り付けられている。
特開平9−235779号公報(段落番号0007、図1)
以上説明したように、手摺り構成部材である上下2個の胴縁511,521の左右の端部は、従来の手摺り構成部材取付具530によりパラペット10に取り付けられるものであるが、手摺り510が長期間に亘って使用されることにより、手摺り構成部材取付具530の第1結合部である水平延出部531を胴縁511,521に結合するためのボルト71に緩みが生じる場合がある。このボルト71の緩みがさらに進むと、ボルト71が胴縁511,521及び手摺り構成部材取付具530から脱落してしまうおそれがある。特に、手摺り構成部材取付具530の水平延出部531を上の胴縁511の底部513に結合するためのボルト71は、2個の貫通孔531A,513Aに下方から挿入されているため、上の胴縁511の底部513及び手摺り構成部材取付具530から脱落するおそれは大きい。このボルト71の緩みや脱落等は、手摺り構成部材の構造物躯体への取付強度を著しく低下させることになる。このため、手摺り構成部材の構造物躯体への取付強度が従来よりも向上した手摺り構成部材取付具が望まれている。
本発明の目的は、手摺り構成部材の構造物躯体への取付強度をより向上させることができるようになる手摺り構成部材取付具を提供するところにある。
本発明に係る手摺り構成部材取付具は、手摺り構成部材を構造物躯体に取り付けるための手摺り構成部材取付具であって、前記手摺り構成部材に結合される第1結合部と、前記構造物躯体に結合される第2結合部とを有する手摺り構成部材取付具において、前記手摺り構成部材がこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するのを阻止するための移動阻止手段を備えていることを特徴とするものである。
従来においては、第1結合部と手摺り構成部材とを結合するための結合部材が緩んだり、この結合部材が脱落する等して、第1結合部と手摺り構成部材との結合状態が低下した場合には、手摺り構成部材は、この手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向の外力、例えば、人間が手摺り構成部材に寄りかかること等によって生じる外力に対して非常に弱いものとなる。このため、手摺り構成部材がこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ容易に移動してしまうおそれが生じる。
しかし、本発明では、手摺り構成部材取付具は、手摺り構成部材がこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するのを阻止するための移動阻止手段を備えているので、第1結合部と手摺り構成部材との結合状態が低下した状態において、手摺り構成部材に対してこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するような外力が加わったとしても、第1結合部と手摺り構成部材との結合は緩んだ状態ながらも前記移動阻止手段により維持されることになる。
このため、本発明によると、手摺り構成部材の構造物躯体への取付強度をより向上させることができるようになる。
本発明に係る手摺り構成部材取付具が備える移動阻止手段の構造、形式等は任意であるが、この移動阻止手段の第1の例として、手摺り構成部材には垂直方向又は略垂直方向に貫通する貫通孔が形成され、移動阻止手段は、手摺り構成部材取付具の第1結合部に設けられ、前記貫通孔へ挿通される突出部であるものを挙げることができる。
これによると、第1結合部と手摺り構成部材との結合状態が低下した場合において、手摺り構成部材に対してこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するような外力が加わったとしても、第1結合部に設けられた突出部が手摺り構成部材に形成された前記貫通孔の内周面に当接するので、手摺り構成部材がこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動することは阻止される。このため、手摺り構成部材との結合状態は維持されることになる。
ここで、第1結合部に設けられる突出部の形状、構造等は任意であり、例えば、円柱状でもよく、角柱状でもよいが、手摺り構成部材に対してこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するような外力が加わったときに、突出部が前記貫通孔の内周面と当接する部分がより多くなるような形状、構造等であることがより好ましい。一方、手摺り構成部材に形成される貫通孔の形状、構造等も任意であり、例えば、円形状でもよく、角形状でもよく、前記突出部が挿通可能な形状、構造等を有していればよい。
また、手摺り構成部材に形成される貫通孔の大きさは、前記突出部が貫通孔に挿通されている状態において、前記突出部のうちの貫通孔の内部に位置する部分の外周面と、貫通孔の内周面との間に隙間が形成される大きさであってもよく、隙間が形成されない大きさであってもよい。言い換えると、前記突出部が貫通孔に挿通されている状態において、前記突出部のうちの貫通孔の内部に位置する部分の水平方向又は略水平方向の断面の大きさは、貫通孔の大きさより小さくなっていてもよく、貫通孔の大きさと同じ又は略同じとなっていてもよい。
前者の場合には、第1結合部と手摺り構成部材との結合状態が低下した場合において、手摺り構成部材に対してこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するような外力が加わると、突出部の外周面が貫通孔の内周面に当接したり、この内周面から離れたりするので、手摺り構成部材はがたつくことになる。これにより、手摺り構成部材に寄りかかった人間が手摺り構成部材に異常が発生していることを察知しやすくなる。
なお、突出部の先端には、水平方向又は略水平方向へ延出する水平延出部をさらに設けてもよい。これによると、第1結合部と手摺り構成部材との結合状態が低下した場合において、手摺り構成部材に対して垂直方向又は略垂直方向(言い換えると、第1結合部の手摺り構成部材への結合方向及びこの結合方向とは反対の方向)へ移動するような外力が加わっても、突出部に設けられた水平延出部が手摺り構成部材の貫通孔の周縁部に当接することで、手摺り構成部材が垂直方向又は略垂直方向へ移動することが阻止される。逆に、突出部が前記貫通孔から抜け出てしまうことが防止される。なお、突出部の先端に設ける水平延出部は、突出部の先端を折り曲げることにより形成されたものでもよく、別部材である水平部材を突出部の先端に結合したもの等でもよい。
本発明に係る手摺り構成部材取付具が備える移動阻止手段の第2の例として、手摺り構成部材取付具の第1結合部と手摺り構成部材のうちの一方に垂直方向又は略垂直方向に延出して設けられている複数個の第1垂直延出部と、前記第1結合部と前記手摺り構成部材のうちの他方に垂直方向又は略垂直方向に延出して設けられ、前記複数個の第1垂直延出部のうちの2個の前記第1垂直延出部との間に配置される少なくとも1個の第2垂直延出部とを含んで構成されているものを挙げることができる。
これによると、手摺り構成部材取付具の第1結合部と手摺り構成部材のうちの一方に設けられている複数個の第1垂直延出部のうちの2個の第1垂直延出部との間に、前記第1結合部と前記手摺り構成部材のうちの他方に垂直方向又は略垂直方向に延出して設けられている少なくとも1個の第2垂直延出部が配置されている。このため、第1結合部と手摺り構成部材との結合状態が低下した場合において、手摺り構成部材に対してこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するような外力が加わったとしても、前記少なくとも1個の第2垂直延出部が前記複数個の第1垂直延出部に当接するので、手摺り構成部材がこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動することは阻止されることになる。
なお、前記複数個の第1垂直延出部の延出方向は、前記少なくとも1個の第2垂直延出部の延出方向と同じ方向でもよく、反対の方向でもよい。例えば、第1垂直延出部の延出方向と第2垂直延出部の延出方向は、共に垂直上方の向きでもよく、垂直下方の向きでもよい。また、第1垂直延出部の延出方向は垂直上方の向きで、かつ第2垂直延出部の延出方向は垂直下方の向きでもよく、第1垂直延出部の延出方向は垂直下方の向きで、かつ第2垂直延出部の延出方向は垂直上方の向きでもよい。
前述した移動阻止手段の第2の例の具体例として、前記第1結合部には2個の前記第1垂直延出部が設けられ、前記手摺り構成部材には2個の前記第2垂直延出部が設けられており、前記2個の第1垂直延出部のうちの一方の前記第1垂直延出部の下端部と他方の前記第1垂直延出部の下端部との間には水平又は略水平の第1水平部が架設され、前記2個の第2垂直延出部のうちの一方の前記第2垂直延出部の下端部と他方の前記第2垂直延出部の下端部との間には水平又は略水平の第2水平部が架設され、前記第1水平部は前記第2水平部に載置されているものを挙げることができる。
この具体例では、第1結合部には、2個の第1垂直延出部が設けられ、2個の第1垂直延出部のうちの一方の第1垂直延出部の下端部と他方の第1垂直延出部の下端部との間には水平又は略水平の第1水平部が架設されている。言い換えると、第1結合部には、2個の第1垂直延出部と第1水平部とからなる上向きに開口した第1チャンネル材が設けられている。一方、手摺り構成部材には、2個の第2垂直延出部が設けられ、2個の第2垂直延出部のうちの一方の第2垂直延出部の下端部と他方の第2垂直延出部の下端部との間には水平又は略水平の第2水平部が架設されている。言い換えると、手摺り構成部材にも、2個の第2垂直延出部と第2水平部とからなる上向きに開口した第2チャンネル材が設けられている。そして、第1水平部は第2水平部に載置されるものとなっている。すなわち、手摺り構成部材に設けられている第2チャンネル材は、第1結合部に設けられている第1チャンネル材の第1水平部がこの第2チャンネル材の第2水平部に載置可能な開口幅を有している。
このため、第1結合部と手摺り構成部材との結合状態が低下した状態において、手摺り構成部材に対してこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するような外力が加わったとしても、第1結合部に設けられている2個の第1垂直延出部のいずれか一方が、手摺り構成部材に設けられている2個の第2垂直延出部のいずれか一方に当接するので、手摺り構成部材がこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動することは阻止されることになる。さらに、第1水平部の存在により前記外力をより確実に阻止することができる。
なお、第1水平部が第2水平部に載置されている状態において、互いに対向する第1垂直延出部の側面部と第2垂直延出部の側面部との間には隙間が形成されるようにしてもよく、隙間が形成されないようにしてもよい。前者の場合には、第1結合部と手摺り構成部材との結合状態が低下した場合において、手摺り構成部材に対してこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するような外力が加わると、互いに対向する第1垂直延出部の側面部と第2垂直延出部の側面部とが当接したり、離れたりするので、手摺り構成部材はがたつくことになる。これにより、手摺り構成部材に寄りかかった人間が手摺り構成部材に異常が発生していることを察知しやすくなる。
なお、第2水平部に載置される第1水平部は、手摺り構成部材に結合される第1結合部を兼ねるものであってもよい。
また、第1結合部には、2個の第1垂直延出部のみが設けられ、2個の第1垂直延出部のうちの一方の第1垂直延出部の下端部と他方の第1垂直延出部の下端部との間には第1水平部が架設されないものであってもよい。
なお、第1水平部は、第1結合部に設けられている2個の第1垂直延出部のうちの一方の第1垂直延出部の上端部と他方の第1垂直延出部の上端部との間に架設されるものであってもよい。
以上の本発明において、構造物躯体における手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向の両側面部を保持する二股部が設けられていてもよい。
第2結合部と構造物躯体とが1個の結合部材(例えばビス等)で結合されている場合において、第1結合部と手摺り構成部材との結合状態が低下し、さらに、第2結合部と構造物躯体との結合状態が低下した場合には、第2結合部が前記結合部材を中心とする回動を行うおそれが生じる。しかし、構造物躯体における手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向の両側面部を保持する二股部を手摺り構成部材取付具に設けることにより、第2結合部の回動はこの二股部により阻止されることになる。このため、手摺り構成部材の構造物躯体への取付強度をさらにより一層向上させることができるようになる。
なお、二股部は、第1結合部に設けられていてもよく、第2結合部に設けられていてもよい。また、二股部は、第1結合部又は第2結合部と一体に形成されていてもよく、第1結合部又は第2結合部とは別体で形成されていてもよい。二股部が第1結合部又は第2結合部とは別体で形成されている場合には、この二股部は第1結合部又は第2結合部に対して取り付け、取り外し自在となっていてもよく、取り外し不能となっていてもよい。
本発明に係る手摺り構成部材取付具が備える移動阻止手段の第3の例として、手摺り構成部材の長手方向への長さを有する複数個の板状部材であり、これらの板状部材のうちの少なくとも1個の板状部材は、手摺り構成部材の両側面部のうちの一方の側の側面部と、構造物躯体の両側面部のうちの前記一方の側と同じ側の側面部との間に架設され、前記複数個の板状部材のうちの残りの板状部材は、手摺り構成部材の前記両側面部のうちの他方の側の側面部と前記構造物躯体の前記両側面部のうちの前記他方の側と同じ側の側面部との間に架設されるものを挙げることができる。
手摺り構成部材の両側面部のうちの一方の側の側面部と、構造物躯体の両側面のうちの前記一方の側と同じ側の側面部との間には、手摺り構成部材の長手方向への長さを有する複数個の板状部材のうちの少なくとも1個の板状部材を架設し、手摺り構成部材の前記両側面部のうちの他方の側の側面部と前記構造物躯体の前記両側面部のうちの前記他方の側と同じ側の側面部との間には、前記複数個の板状部材のうちの残りの板状部材を架設することにより、第1結合部と手摺り構成部材との結合状態が低下した場合において、手摺り構成部材に対してこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するような外力が加わったとしても、前記複数個の板状部材が前記構造物躯体の前記両側面部に当接することで手摺り構成部材が前記長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動することは阻止される。
このため、従来の手摺り構成部材取付具により手摺り構成部材が構造物躯体に取り付けられている場合であっても、前記複数個の板状部材を架設することにより、手摺り構成部材の構造物躯体への取付強度をより向上させることができるようになる。
なお、架設する板状部材は、手摺り構成部材にのみ結合してもよく、手摺り構成部材と構造物躯体の両方に結合してもよい。
以上の本発明において、手摺り構成部材の長手方向の形状は任意であり、例えば、直線形状となっていてもよく、屈曲形状(例えば、L字形状又はコ字形状等)等となっていてもよい。また、手摺り構成部材の両端部を取り付ける構造物躯体の取付面は、対向していてもよく、対向していなくてもよい。
なお、手摺り構成部材の両端部を取り付ける構造物躯体の取付面が対向する場合における手摺り構成部材の長手方向の形状の例としては、直線形状や、直線形状であって長手方向の途中部が湾曲しているもの等を挙げることができる。一方、手摺り構成部材の両端部を取り付ける構造物躯体の取付面が対向しない場合における手摺り構成部材の長手方向の形状の例としては、前述の屈曲形状等を挙げることができる。言い換えると、手摺り構成部材の長手方向の形状が直線形状等である場合には、手摺り構成部材の両端部を取り付ける構造物躯体の取付面は対向し、逆に、手摺り構成部材の長手方向の形状が屈曲形状等である場合には、手摺り構成部材の両端部を取り付ける構造物躯体の取付面は対向しない。
以上説明した本発明に係る手摺り構成部材取付具は、手摺り構成部材を任意な構造物躯体へ取り付けるために利用することができる。ここで、構造物躯体とは、建物の屋上のパラペット、バルコニーやベランダの腰壁、集合住宅の屋外に設けられる通路や階段の側壁、屋内に設けられる通路や階段の側壁、トイレやバスルームの内壁、横断歩道橋の側壁、行楽地の展望台の腰壁、公園内の花壇や噴水等の仕切壁、駅のプラットホームの端部の柵壁、動物園内の動物を囲う柵壁等、各種の構造物躯体を含むものであり、また、船舶の甲板の周縁部等の移動可能な構造物躯体も含むものである。なお、パラペット、バルコニーやベランダの腰壁等には、人間の腰の高さの腰壁だけでなく、人間の腰の高さよりも高い腰壁も含む。
また、本発明に係る手摺り構成部材取付具により構造物躯体に取り付けられる手摺り構成部材には、基礎部分に固定される柱部分を有さない格子状又はパネル状の柵を直接腰壁等に設置するもの、例えば、腰壁にこの腰壁の厚さ方向に貫通して形成された開口部を覆うために設置される防護柵が含まれる。
本発明によると、手摺り構成部材の構造物躯体への取付強度をより向上させることができるようになるという効果を得られる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1は、手摺り20を構成する手摺り構成部材が、本発明の第1実施形態に係る手摺り構成部材取付具50により取り付けられる構造物躯体であるパラペット10の一部の斜視図である。このパラペット10は建物の屋上の周縁部に鉛直上方へ突出して形成されたものであり、図1は、このパラペット10を建物内側から見た斜視図である。パラペット10には、このパラペット10の下端部から所定の高さだけ離間した位置から上端部までを手摺り20の長手方向である左右方向に長い長方形状に刳り貫いた開口部11が形成されている。
手摺り20は、上下2個の胴縁21,31と、上の胴縁21と下の胴縁31との間にこれらの胴縁21,31の長手方向に等間隔で立設される複数個の支柱41とで構成されており、これらが手摺り構成部材となっている。上の胴縁21は、垂直上方に延出した2個の壁部22と、これらの壁部22の下端部間に架設された底部23とからなる上向きに開口したチャンネル材となっている。この上の胴縁21には、この上の胴縁21の開口部を覆うためのカバー24が取り付けられる。このカバー24は、垂直下方に延出した2個の壁部25と、これらの壁部25の上端部間に架設された天板部26とからなる下向きに開口したチャンネル材となっている。一方、下の胴縁31は、カバー24と同様に、垂直下方に延出した2個の壁部32と、これらの壁部32の上端部間に架設された天板部26とからなる下向きに開口したチャンネル材となっている。
そして、上の胴縁21の長手方向の両端部のうちの一方の端部である右端部は、パラペット10の開口部11の右の側縁部12における上端部近傍に取り付けられている。また、図示されていないが、上の胴縁21の長手方向の両端部のうちの他方の端部である左端部も、パラペット10の開口部11の左の側縁部における上端部近傍に取り付けられている。
第1実施形態に係る手摺り構成部材取付具50は、上の胴縁21の底部23の下面に結合される第1結合部である水平延出部51と、パラペット10の開口部11の右の側縁部12の上端部近傍に結合される第2結合部である垂直延出部53とで構成されており、手摺り構成部材取付具50の側断面形状は逆L字形状を有している。
一方、下の胴縁31の長手方向の両端部のうちの一方の端部である右端部は、前述した従来の手摺り構成部材取付具530によりパラペット10の開口部11の右の側縁部12の下端部近傍に取り付けられている。また、図示されていないが、下の胴縁31の長手方向の両端部のうちの他方の端部である左端部も、前述した従来の手摺り構成部材取付具530によりパラペット10の開口部11の左の側縁部における下端部近傍に取り付けられている。
従来の手摺り構成部材取付具530は、下の胴縁31の天板部33の下面に結合される第1結合部である水平延出部531と、パラペット10の開口部11の右の側縁部12の下端部近傍に結合される第2結合部である垂直延出部532とで構成されており、側断面形状は逆L字形状を有している。なお、下の胴縁31は、パラペット10の開口部11の下縁部13には取り付けられていない。このため、手摺り20は、上下2個の胴縁21,31の左右両端部のみがパラペット10の開口部11の左右の側縁部に取り付けられている状態となっている。
図2は上の胴縁21に取り付ける前の手摺り構成部材取付具50の拡大斜視図であり、図3は図2のIII方向矢視図であり、図4は図2のIV方向矢視図である。また、図5は、手摺り構成部材取付具50が上の胴縁21及びパラペット10に取り付けられている状態におけるこれらの側断面図である。以下、手摺り構成部材取付具50の形状、構造等を詳細に説明する。
図2に示されているように、手摺り構成部材取付具50の水平延出部51は、上の胴縁21の長手方向である左右方向に長い長方形状を有する板状部材であり、手摺り構成部材取付具50の垂直延出部53は、水平延出部51における長手方向の両端部のうちの一方の端部(図2では右端部)から垂直下方に延出し、上下方向に長い長方形状を有する板状部材となっている。
水平延出部51の長手方向の両端部のうちの垂直延出部53が設けられている端部とは反対側の端部(図2では左端部)には、垂直上方に延出し、上下方向に長い長方形状を有する板状の突出部52が設けられている。水平延出部51の略中央部には、この水平延出部51の長手方向に長い貫通孔51Aが形成されており、垂直延出部53の略中央部には円形状又は略円形状のビス孔53Aが形成されている。
一方、上の胴縁21の底部23の長手方向の両端部のうちの一方の端部(図2では右端部)近傍には、手摺り構成部材取付具50の水平延出部51の貫通孔51Aと同じ又は略同じ形状、構造等を有する貫通孔23Aが形成されている。さらに、この貫通孔23Aの左側、すなわち、上の胴縁21の底部23の長手方向の両端部のうちの他方の端部側には、手摺り構成部材取付具50の突出部52が挿通可能な円形状又は略円形状の貫通孔23Bが形成されている。この貫通孔23Bの直径寸法は、手摺り構成部材取付具50の突出部52の水平方向の断面形状の長手方向の寸法よりも大きくなっている。
図2及び図5に示すように、手摺り構成部材取付具50の第1結合部である水平延出部51を上の胴縁21の底部23の下面に結合するには、まず、手摺り構成部材取付具50の突出部52を上の胴縁21の底部23の下面側からこの底部23の貫通孔23Bに挿通するとともに、手摺り構成部材取付具50の水平延出部51の貫通孔51Aの位置と、上の胴縁21の底部23の貫通孔23Aの位置とが一致又は略一致するように手摺り構成部材取付具50の水平延出部51の上面を上の胴縁21の底部23の下面に密着させる。
次に、ボルト71を手摺り構成部材取付具50の水平延出部51の下面側からこの水平延出部51の貫通孔51Aに挿通し、さらに、ボルト71を上の胴縁21の底部23の貫通孔23Aにも挿通した後、ナット72を上の胴縁21の底部23の上面側からボルト71に螺入し、締め付ける。これにより、手摺り構成部材取付具50の第1結合部である水平延出部51は、上の胴縁21の底部23の下面に結合される。
以上の取付手順により、手摺り構成部材取付具50の水平延出部51は上の胴縁21の底部23の下面に結合されるとともに、手摺り構成部材取付具50の突出部52は、上の胴縁21の底部23の貫通孔23Bに挿通され、上の胴縁21の内部で垂直上方に突出した状態で配置される。
なお、ナット72の代わりに袋ナットを使用し、ボルト71を上の胴縁21の底部23の上面側から底部23の貫通孔23Aに挿通し、さらにボルト71を手摺り構成部材取付具50の水平延出部51の貫通孔51Aにも挿通した後、袋ナットを手摺り構成部材取付具50の水平延出部51の下面側からボルト71に螺入、締め付けるようにしてもよい。
一方、手摺り構成部材取付具50の第2結合部である垂直延出部53をパラペット10の開口部11の右の側縁部12の上端部近傍に結合するには、この垂直延出部53をパラペット10の開口部11の右の側縁部12の上端部近傍に密着させた後、垂直延出部53のビス孔53Aにビス73を螺入し、さらに、パラペット10にも螺入し、締め付けることにより、垂直延出部53はパラペット10の開口部11の右の側縁部12の上端部近傍に結合される。
手摺り20が長期間に亘って使用されると、手摺り構成部材取付具50の水平延出部51と上の胴縁21の底部23とを結合しているボルト71が緩んだりする場合が生じる。このボルト71は2個の貫通孔51A,23Aに下方から挿通されているため、ボルト71がさらに緩むと、ボルト71が手摺り構成部材取付具50の水平延出部51及び上の胴縁21の底部23から脱落するおそれは大きくなる。もしボルト71が緩んだり、脱落した場合には、手摺り20の手摺り構成部材である上の胴縁21は、この上の胴縁21の長手方向と直交する方向又は略直交する方向(図1に示す矢印A方向)への外力、すなわち、人間が手摺り20に寄りかかること等により発生する外力に対して非常に弱いものとなる。
しかし、以上説明した第1実施形態では、手摺り構成部材取付具50の第1結合部である水平延出部51には垂直上方に突出する突出部52が設けられており、この突出部52が、上の胴縁21(実際にはカバー24を含む)がこの上の胴縁21の長手方向と直交する方向又は略直交する方向への移動するのを阻止するための移動阻止手段となっている。このため、ボルト71が緩んだり、脱落した状態において、たとえ上の胴縁21に対して図1に示す矢印A方向への外力が加わったとしても、この外力は、突出部52の外周面が上の胴縁21の底部23の貫通孔23Bの内周面に当接することで阻止される。
このため、この第1実施形態によると、水平延出部51と上の胴縁21との結合状態は、移動阻止手段となっている突出部52により維持されることになり、手摺り構成部材である上の胴縁21のパラペット10への取付強度は従来と比較してより向上したものとなる。
また、この第1実施形態では、上の胴縁21の底部23の貫通孔23Bの直径寸法は、手摺り構成部材取付具50の突出部52の水平方向の断面形状の長手方向の寸法よりも大きくなっているので、突出部52が貫通孔23Bに挿通された状態においては、突出部52の外周面と貫通孔23Bの内周面との間には隙間が形成されることになる。
このため、上の胴縁21に対してこの上の胴縁21の長手方向と直交する方向又は略直交する方向への外力が加わったときには、突出部52の外周面が貫通孔23Bの内周面に当接するので、上の胴縁21はがたつくことになる。これにより、手摺り20に寄りかかる等した人間は、この上の胴縁21の取付状態に異常が発生していることを察知しやすくなる。
なお、この第1実施形態では、手摺り構成部材取付具50の第2結合部である垂直延出部53は、1個のビス73でパラペット10に結合されるものであったが、複数のビス73でパラペット10に結合されるものであってもよい。
なお、この第1実施形態において、手摺り構成部材取付具50の第1結合部である水平延出部51の突出部52の先端には、水平方向又は略水平方向に延出する水平延出部をさらに設けてもよい。これにより、手摺り構成部材取付具50が、水平方向又は略水平方向であって上の胴縁21の長手方向と直交する方向又は略直交する方向(図1に示す矢印A方向)へ移動することが阻止されるだけでなく、手摺り構成部材取付具50が、垂直方向又は略垂直方向(図1に示す矢印B方向)、言い換えると、手摺り構成部材取付具50の第1結合部である水平延出部51の胴縁21への結合方向及びこの結合方向とは反対の方向へ移動することも阻止される。すなわち、手摺り構成部材取付具50の突出部52に設けた水平延出部が、上の胴縁21の底部23の貫通孔23Bの周縁部に当接することにより、上の胴縁21が垂直方向又は略垂直方向へ移動することが阻止される。逆に、手摺り構成部材取付具50の突出部52が貫通孔23Bから抜け落ちてしまうことが防止される。なお、突出部52の先端に設ける水平延出部は、突出部52の先端を折り曲げることにより形成されたものでもよく、別部材である水平部材をこの突出部52の先端部に結合したもの等でもよい。
図6及び図7は、第2実施形態に係る手摺り構成部材取付具150を示す斜視図である。図6は、手摺り構成部材取付具150の第1結合部が上の胴縁121に結合される前の状態を示す斜視図であり、図7は、手摺り構成部材取付具150の第1結合部が2点鎖線で示されている上の胴縁121に結合された後、手摺り構成部材取付具150の第2結合部が2点鎖線で示されているパラペット10に結合される前の状態を示す斜視図である。
図6に示すように、この第2実施形態に係る手摺り構成部材取付具150は、垂直上方に延出する2個の垂直延出部151と、これらの垂直延出部151の下端部間に架設されている水平部152とを有し、この水平部152は上の胴縁121に結合される第1結合部となっている。一方、パラペット10に結合される第2結合部は、水平部152におけるパラペット10側の端部(図6では右端部)から垂直下方に延出する垂直延出部153となっている。一方、上の胴縁121は、前述した第1実施形態における上の胴縁21と同様に、垂直上方に延出する2個の壁部22と、これらの壁部22の下端部間に架設されている底部23とからなる上向きに開口したチャンネル材となっている。
図7に示すように、手摺り構成部材取付具150の第1結合部である水平部152が上の胴縁121の底部23に結合されるときには、水平部152は底部23に載置されるようになっている。すなわち、水平部152の下面は底部23の上面に密着して結合されるようになっている。
このため、この第2実施形態に係る手摺り構成部材取付具150が備える移動阻止手段は、手摺り構成部材取付具150の第1結合部に設けられている第1垂直延出部である2個の垂直延出部151と、これらの垂直延出部151の下端部間に架設され、第1水平部と第1結合部を兼ねている水平部152と、第2垂直延出部を兼ねている上の胴縁21の2個の壁部22と、これらの壁部22の下端部間に架設され、第2水平部を兼ねる水平部23とからなっている。
さらに、手摺り構成部材取付具150には、図7に示すように、2点鎖線で示されているパラペット10におけるこのパラペット10の厚さ方向(上の胴縁121の長手方向と直交する方向又は略直交する方向)の両側面部10A,10B、言い換えると、パラペット10における屋内側の側面部10A、屋外側の側面部10Bを保持する二股部154が設けられている。この二股部154は、図6に示すように、前記2個の垂直延出部151のそれぞれにおける上の胴縁121の長手方向の両端部のうちの垂直延出部153が設けられている側の端部(図6では右端部)からパラペット10の厚さ方向外側に延出する第1延出部155と、それぞれの第1延出部155の先端部からパラペット10の厚さ方向と直交する方向又は略直交する方向、言い換えると、上の胴縁121の長手方向に延出する2個の第2延出部156とからなっている。図7に示すように、2個の第2延出部156の間隔は、パラペット10の厚さ方向の寸法と略同じ又はこれよりも大きくなっている。
なお、図6に示すように、上の胴縁121の底部23における長手方向の一方の端部である右端部近傍にはボルト孔123Aが形成されており、手摺り構成部材取付具150の水平部152の略中央部にはボルト孔152Aが形成されている。
手摺り構成部材取付具150の第1結合部を上の胴縁121の底部23の上面に取り付けるためには、まず、手摺り構成部材取付具150の水平部152のボルト孔152Aの位置が、上の胴縁121の底部23のボルト孔123Aと一致又は略一致するように手摺り構成部材取付具150の水平部152を上の胴縁121の底部23の上面に載置させた後、ボルト71を上の胴縁121の底部23のボルト孔123Aに下方から挿入し、さらに、ボルト71を手摺り構成部材取付具150の水平部152のボルト孔152Aにも下方から挿入した後、ボルト71の先端部にナット72を螺入し、締め付ける。
手摺り構成部材取付具150の第2結合部である垂直延出部153をパラペット10の開口部11の右の側縁部12の上端部近傍に取り付けるためには、図7に示すように、手摺り構成部材取付具150の垂直延出部153をパラペット10の開口部11の右の側縁部12の上端部近傍に密着させるとともに、手摺り構成部材取付具150の二股部154の2個の第2延出部156がパラペット10の両側面部10A,10Bを支持するように二股部154をパラペット10に嵌め込む。この後、垂直延出部153のビス孔153Aにビス73を螺入し、さらに、パラペット10にも螺入し、締め付けることにより、垂直延出部153はパラペット10の開口部11の右の側縁部12の上端部近傍に結合される。なお、図示していないが、上の胴縁121の左端部も、この第2実施形態に係る手摺り構成部材取付具150により、パラペット10の開口部11の左の側縁部の上端部近傍に取り付けられる。
以上説明した第2実施形態では、ボルト71が緩んだりする等して、手摺り構成部材取付具150の第1結合部である水平部152と上の胴縁121の底部23との結合状態が低下した場合において、上の胴縁121に対してこの上の胴縁121の長手方向と直交する方向又は略直交する方向(図7に示す矢印A方向)への外力が加わったとしても、この外力は、2個の垂直延出部151のうちの屋外側(図6及び図7では奥側)の垂直延出部151が、上の胴縁121の2個の壁部22のうちの屋外側の壁部22に当接するか、又は2個の垂直延出部151のうちの屋内側(図6及び図7では手前側)の垂直延出部151が、上の胴縁121の2個の壁部22のうちの屋内側の壁部22に当接することで阻止されることになる。このため、この第2実施形態によっても、手摺り構成部材のパラペット10への取付強度は従来と比較してより向上したものとなる。
また、この第2実施形態では、手摺り構成部材取付具150の2個の垂直延出部151の下端部間には水平部152が架設されているため、上の胴縁121の長手方向と直交する方向又は略直交する方向への外力に対する強度はより大きなものとなっている。
さらに、この第2実施形態では、手摺り構成部材取付具150が、パラペット10の厚さ方向の両側面部10A,10Bを保持する二股部154を備えている。手摺り20の長期間に亘る使用によりボルト71が脱落し、さらに、手摺り構成部材取付具150の垂直延出部153とパラペット10とを結合しているビス73が緩むことにより、垂直延出部153がビス73を中心とする回動を行うおそれがある。
前述したように、この第2実施形態では、手摺り構成部材取付具150に設けられた第1水平部と第1結合部を兼ねている水平部152が、第2水平部である上の胴縁121の底部23に載置されるものであり、また、手摺り構成部材取付具150には2個の第1垂直延出部151が設けられているため、上の胴縁121の内部で手摺り構成部材取付具150が密着、当接する部分は多い。このため、上の胴縁121の垂直延出部153がビス73を回動中心とする回動を行うおそれは小さい。しかし、二股部154がパラペット10の両側面部10A,10Bを保持することで垂直延出部153がビス73を中心とする回動を行うことはより確実に阻止されることになる。
なお、この第2実施形態では、手摺り構成部材取付具150の水平部152が上の胴縁121の底部23に載置されている状態においては、2個の垂直延出部151のうちの屋外側の垂直延出部151と、上の胴縁121の2個の壁部22のうちの屋外側の壁部22との間には隙間が形成され、同様に、2個の垂直延出部151のうちの屋内側の垂直延出部151と、上の胴縁121の2個の壁部22のうちの屋内側の壁部22との間にも隙間が形成されるようになっている。このため、前述の第1実施形態と同様に、上の胴縁21に対してこの上の胴縁21の長手方向と直交する方向又は略直交する方向への外力が加わったときには、上の胴縁21はがたつくことになる。これにより、手摺り20に寄りかかる等した人間は、この上の胴縁21の取付状態に異常が発生していることを察知しやすくなる。
また、この第2実施形態においても、前述の第1実施形態と同様に、ナット72の代わりに袋ナットを使用し、ボルト71を手摺り構成部材取付具150の水平部152のボルト孔152Aに挿通し、さらに、上の胴縁21の底部23の上面側から底部23のボルト孔123Aにも挿通した後、袋ナットを上の胴縁21の底部23の下面側からボルト71に螺入、締め付けるようにしてもよい。
図8及び図9は、第3実施形態に係る手摺り構成部材取付具250を示す斜視図である。図8は、第3実施形態に係る手摺り構成部材取付具250を構成する板状部材260を上下の胴縁21,31とパラペット10との間に架設する前の状態を示す斜視図であり、図9は、板状部材260を上下の胴縁21,31とパラペット10との間に架設した後の状態を示す斜視図である。なお、図9では、後述するビス271が螺入されるビス孔260A,22A,25Aの表示は省略する。
図8に示すように、上の胴縁21の長手方向の一方の端部である右端部は、前述した従来の手摺り構成部材取付具530によりパラペット10の開口部11の右の側縁部12の上端部近傍に取り付けられており、同様に、下の胴縁21の長手方向の一方の端部である右端部も、手摺り構成部材取付具530によりパラペット10の開口部11の右の側縁部12の下端部近傍に取り付けられている。なお、図示されていないが、上の胴縁21の長手方向の他方の端部である左端部も、手摺り構成部材取付具530によりパラペット10の開口部11の左の側縁部の上端部近傍に取り付けられており、下の胴縁31の長手方向の他方の端部である左端部も、手摺り構成部材取付具530によりパラペット10の開口部11の左の側縁部の下端部近傍に取り付けられている。
さらに、図9に示すように、上の胴縁21の長手方向である左右方向への長さを有する2個の板状部材260のうちの一方の板状部材260が、上の胴縁21の開口部を覆っているカバー24の2個の壁部25のうちの屋内側の壁部25の右端部と、パラペット10の両側面部10A,10Bのうちの屋内側の側面部10Aとの間に架設されており、他方の板状部材260が、屋外側の壁部25の右端部とパラペット10の屋外側の側面部10Bとの間に架設されている。同様に、2個の板状部材260のうちの一方の板状部材260が、下の胴縁31の2個の壁部32のうちの屋内側の壁部32の右端部と、パラペット10の両側面部10A,10Bのうちの屋内側の側面部10Aとの間に架設されており、他方の板状部材260は、屋外側の壁部32の右端部とパラペット10の屋外側の側面部10Bとの間に架設されている。
なお、図示されていないが、カバー24の屋内側の壁部25の左端部とパラペット10の屋内側の側面部10Aとの間、カバー24の屋外側の壁部25の左端部とパラペット10の屋外側の側面部10Bとの間、下の胴縁31の屋内側の壁部32の左端部とパラペット10の屋内側の側面部10Aとの間、下の胴縁31の屋外側の壁部32の左端部とパラペット10の屋外側の側面部10Bとの間にも、板状部材260が架設されている。
図8に示すように、それぞれの板状部材260には2個のビス孔260Aが形成されている。一方、カバー24の屋内側及び屋外側の壁部25の右端部にも2個のビス孔25Aが形成されており、上の胴縁21の屋内側及び屋外側の壁部22の右端部にも2個のビス孔22Aが形成されており、下の胴縁31の屋内側及び屋外側の壁部32の右端部にも2個のビス孔32Aが形成されている。また、図示されていないが、カバー24の屋内側及び屋外側の壁部25の左端部にも2個のビス孔25Aが形成されており、上の胴縁21の屋内側及び屋外側の壁部22の左端部にも2個のビス孔22Aが形成されており、下の胴縁31の屋内側及び屋外側の壁部32の左端部にも2個のビス孔32Aが形成されている。
図8に示すように、ビス271をビス孔260A,25A,22Aの順に螺入、締め付けることにより、板状部材260はカバー24の壁部25及び上の胴縁21の壁部22に結合される。また、ビス271をビス孔260A,32Aの順に螺入、締め付けることにより、板状部材260は下の胴縁31の壁部32に結合される。
以上のように、この第3実施形態に係る手摺り構成部材取付具250は、前述した従来の手摺り構成部材取付具530と、2個の板状部材260とで構成されている。図9に示すように、2個の板状部材260がカバー24とパラペット10との間、及び下の胴縁31とパラペット10との間に架設されたときには、一方の板状部材260がパラペット10の屋内側の側面部10Aに当接し、他方の板状部材260がパラペット10の屋外側の側面部10Bに当接することになる。このため、この第3実施形態では、2個の板状部材260が、手摺り構成部材である上下の胴縁21,31がこれらの胴縁21,31の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するのを阻止するための移動阻止手段となっている。
したがって、この第3実施形態に係る手摺り構成部材取付具250によると、手摺り構成部材である上下の胴縁21,31が従来の手摺り構成部材取付具530によりパラペット10に取り付けられている場合においても、既に使用されているこの従来の手摺り構成部材取付具530を取り外さずに、2個の板状部材260をカバー24とパラペット10との間、及び下の胴縁31とパラペット10との間に架設するだけで、上下の胴縁21,31がこれらの胴縁21,31の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するのを阻止することができるようになる。
なお、この第3実施形態では、2個の板状部材260がカバー24とパラペット10との間、及び下の胴縁31とパラペット10との間に架設されているときには、一方の板状部材260はパラペット10の屋内側の側面部10Aに常時当接し、他方の板状部材260はパラペット10の屋外側の側面部10Bに常時当接するものであるが、これらの板状部材260は、上下の胴縁21,31に対してこれらの胴縁21,31の長手方向と直交する方向又は略直交する方向の外力が加わったときにはじめて、パラペット10の側面部10A,10Bに当接するようにしてもよい。
図10は、前述の第1実施形態に係る手摺り構成部材取付具50の変形例である第4実施形態に係る手摺り構成部材取付具350の斜視図である。この第4実施形態に係る手摺り構成部材取付具350は、前述の第1実施形態に係る手摺り構成部材取付具50と同様に、略中央部に貫通孔51Aが形成されている第1結合部である水平延出部51と、略中央部にビス孔53Aが形成されている第2結合部である垂直延出部53と、移動阻止手段である突出部52とを有し、さらに、垂直延出部53には、前述の第2実施形態に係る手摺り構成部材取付具150の二股部154と同様に、パラペットの両側面部を保持するための二股部354が設けられている。この二股部354は、垂直延出部53の両側面部の上部からパラペット10の厚さ方向外側に延出する2個の第1延出部355と、それぞれの第1延出部355の先端部からパラペット10の厚さ方向と直交する方向又は略直交する方向、言い換えると、上の胴縁21の長手方向に延出する2個の第2延出部356とからなっている。なお、2個の第2延出部356の間隔は、パラペット10の厚さ方向の寸法と略同じ又はこれよりも大きくなっている。
前述の第1実施形態に係る手摺り構成部材取付具50は、前述の第2実施形態に係る手摺り構成部材取付具150と比較して、上の胴縁21と密着又は当接する部分は少ない。すなわち、上の胴縁21の底部23の底面と常時密着する水平延出部51の上面と、上の胴縁21に対してこの上の胴縁21の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ外力が加わった場合に、貫通孔23Bの内周面に一部が当接する突出部52の外周面のみとなっている。したがって、ボルト71が脱落し、さらに、ビス73が緩むことにより、垂直延出部353がビス73を中心とする回動を行うおそれは、前述の第2実施形態に係る手摺り構成部材取付具150よりも大きい。しかし、この第4実施形態に係る手摺り構成部材取付具350は、前述の第1実施形態に係る手摺り構成部材取付具50に二股部354を設けたものであり、この二股部354がパラペット10の厚さ方向の両側面部を保持するので、垂直延出部453のビス73を中心とする回動は阻止されることになる。
なお、以上説明した実施形態では、開口部11は、パラペット10の側面部の下端部から所定の高さだけ離間した位置から上端部までを手摺り20の長手方向である左右方向に長い長方形状に刳り貫いて形成したものであったが、開口部11は、パラペット10のコーナー部の下端部から所定の高さだけ離間した位置から上端部までを刳り貫いて形成したものでもよい。この場合には、手摺り20を構成する上下2個の胴縁21,31の長手方向の形状は直線形状ではなく、例えばL字形状等の屈曲形状となる。そして、胴縁21,31のそれぞれの両端部を取り付ける開口部11の一方の側縁部と他方の側縁部とは対向しないものとなる。
なお、開口部11がパラペット10のコーナー部を刳り貫いて形成されたものであり、上下2個の胴縁21,31の長手方向の形状がL字形状等の屈曲形状となっている場合において、手摺り構成部材取付具が、前述の第1実施形態の手摺り構成部材取付具50の突出部52の先端に水平延出部を設けたものとなっている場合には、この水平延出部が上の胴縁21の貫通孔23Bの周縁部に当接することで、上の胴縁21が矢印A方向及び矢印B方向へ移動することが阻止されるだけでなく、上の胴縁21が図1に示す矢印C方向(胴縁21の長手方向)へ移動することもより確実に阻止されることになる。
本発明は、手摺り構成部材を構造物躯体に取り付けるために使用される手摺り構成部材取付具に利用できる。
第1実施形態に係る手摺り構成部材取付具により手摺り構成部材を構成する上の胴縁が取り付けられているパラペットの斜視図である。 第1実施形態に係る手摺り構成部材取付具の拡大斜視図であり、この取付具が上の胴縁に結合される前の状態を示す図である。 図2のIII方向矢視図であり、第1実施形態に係る手摺り構成部材取付具の平面図である。 図2のIV方向矢視図であり、第1実施形態に係る手摺り構成部材取付具の正面図である。 第1実施形態に係る手摺り構成部材取付具により上の胴縁がパラペットに取り付けられている状態におけるこれらの側断面図である。 第2実施形態に係る手摺り構成部材取付具の拡大斜視図であり、この取付具の第1結合部が上の胴縁に結合される前の状態を示す図である。 第2実施形態に係る手摺り構成部材取付具の第1結合部が上の胴縁に結合された後、第2結合部がパラペットに結合される前の状態を示す拡大斜視図である。 第3実施形態に係る手摺り構成部材取付具を構成する板状部材を手摺り構成部材とパラペットとの間に架設する前の状態を示す斜視図である。 第3実施形態に係る手摺り構成部材取付具を構成する板状部材を手摺り構成部材とパラペットとの間に架設した後の状態を示す斜視図である。 第4実施形態に係る手摺り構成部材取付具の拡大斜視図であり、この取付具の第1結合部が上の胴縁に結合される前の状態を示す図である。 手摺り構成部材を構成する上下の胴縁のうちの上の胴縁が従来の手摺り構成部材取付具によりパラペットに取り付けられている状態を示す斜視図である。 手摺り構成部材を構成する上下の胴縁が従来の手摺り構成部材取付具によりパラペットに取り付けられている状態を示す側断面図である。
符号の説明
10 構造物躯体であるパラペット
10A,10B パラペットの側面部
11 開口部
21,31,121,511,521 手摺り構成部材である胴縁
24 カバー
22 第2垂直延出部である壁部
23 第2水平部である底部
23B 貫通孔
50,150,250,350,530 手摺り構成部材取付具
51,351,531 第1結合部である水平延出部
53,153,353,532 第2結合部である垂直延出部
52,352 移動阻止手段である突出部
151 第1垂直延出部である垂直延出部
152 第1結合部と第1水平部を兼ねる水平部
154,354 二股部
260 移動阻止手段である板状部材

Claims (7)

  1. 手摺り構成部材を構造物躯体に取り付けるための手摺り構成部材取付具であって、前記手摺り構成部材に結合される第1結合部と、前記構造物躯体に結合される第2結合部とを有する手摺り構成部材取付具において、
    前記手摺り構成部材がこの手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向へ移動するのを阻止するための移動阻止手段を備え、
    前記手摺り構成部材は、垂直に延出した2個の壁部と、これらの壁部の間に架設された水平部とからなるチャンネル材となっており、
    前記手摺り構成部材を、前記構造物躯体におけるこの構造物躯体の厚さ方向に貫通して形成されていて上向きに開口した開口部の左右の側縁部の間に架設するための取付具であって、
    前記第1結合部が前記手摺り構成部材の前記水平部が載置される水平延出部となっていて、前記第2結合部が前記開口部の前記側縁部に結合される垂直延出部となっている側断面形状が逆L字形状を有しており、
    前記移動阻止手段は、前記第1結合部に垂直上方に延出して設けられ、前記手摺り構成部材の長手方向と直交する方向又は略直交する方向の寸法である幅寸法が、前記第1結合部の前記幅寸法よりも小さい突出部であり、この突出部は、前記手摺り構成部材の前記水平部に形成された貫通孔に挿通されることを特徴とする手摺り構成部材取付具。
  2. 請求項1に記載の手摺り構成部材取付具において、前記手摺り構成部材は、前記2個の壁部と、これらの壁部の下端部間に架設された水平な底部とからなる上向きに開口したチャンネル材となっており、前記水平部は前記底部であることを特徴とする手摺り構成部材取付具。
  3. 請求項1又は2に記載の手摺り構成部材取付具において、前記突出部は、前記第1結合部の先端部に設けられていることを特徴とする手摺り構成部材取付具。
  4. 請求項3に記載の手摺り構成部材取付具において、前記第1結合部の前記先端部は、この第1結合部の前記幅寸法よりも小さな幅寸法を有する幅狭部となっており、この幅狭部に前記突出部が設けられていることを特徴とする手摺り構成部材取付具。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の手摺り構成部材取付具において、前記第1結合部には、この第1結合部を前記手摺り構成部材の前記水平部に取り付けるためのボルトが挿通され、前記第1結合部の長手方向に長くなっている貫通孔が形成されていることを特徴とする手摺り構成部材取付具。
  6. 請求項に記載の手摺り構成部材取付具において、前記手摺り構成部材の前記水平部には、前記ボルトが挿通され、前記第1結合部の長手方向に長くなっている貫通孔が形成されていることを特徴とする手摺り構成部材取付具。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の手摺り構成部材取付具において、前記開口部の前記側縁部における前記手摺り構成部材の前記長手方向と直交する方向又は略直交する方向の両側面部を保持する二股部が設けられていることを特徴とする手摺り構成部材取付具。
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