JP4703968B2 - 回転センサ付軸受およびその回転センサの被検出部着磁方法 - Google Patents
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Description
また、軸受とは関係なく、独立した磁気式角度検出装置としては、固定側にアナログ出力型の磁気センサを設置すると共に、回転側に前記磁気センサに対向するように被検出部である磁石を設置し、揺動あるいは回転させることで、回転角に応じたアナログ出力を得るものがある(例えば特許文献3)。この方式の中には、回転角を一定範囲に限定して、その角度範囲内で直線的なアナログ出力を得て、回転角の絶対位置を知るようにしたものがある。
この発明の他の目的は、回転センサの被検出部への着磁を精度良く行うことのできる回転センサの被検出部着磁方法を提供することである。
この構成によると、被検出部の磁気特性のうち直線性がある範囲のみを回転角の検出に使用するので、限られた角度範囲の回転角の絶対位置検出を精度良く行うことができる。検出信号をリミット信号して使用することも可能である。絶対位置検出のために磁気検出部を2つ設ける必要がないので、小型化が可能となる。また、被検出部および磁気検出部を転がり軸受部の各軌道輪にそれぞれ取付けた構成であるため、被検出部と磁気検出部とのギャップを一定にできて検出出力が安定する。これら被検出部,磁気検出部からなる回転センサを軸受部と一体にしたことにより、機器への組込みも簡単になり、取付調整も簡素化できる。回転側軌道輪が内輪である場合は、その内輪の貫通した内径面に回転軸を挿入して取付けることができ、取付作業がより一層容易である。
被検出部の磁気特性は、N極とS極が交互に切り替わる正弦波状の磁気強度分布を有するものであっても良い。
被検出部を正弦波状の磁気強度分布に着磁すれば、直線性の良い検出が可能になる。回転範囲が180度以下であれば、被検出部は1極対の正弦波着磁を行えば良いが、回転角が数十度程度と極限られた範囲であれば、2極対、3極対と極数を増やして着磁すれば、検出精度が向上する。
このような構造は、転がり軸受と非接触センサが一体化されたものとなり、一種の非接触ポテンショメータとして機能する。
ゼロ点を中心としてほぼ直線状の出力が得られる領域のみを用いれば、その範囲では簡単に絶対位置検出が可能になる。
着磁ヨークの先端面が断面円弧状であれば、被検出部が正弦波状の磁気強度分布を有するように、より精度良く着磁することができる。
この場合、着磁ヨークにおける磁気ループのバランスが良くなり、それだけ被検出部をその磁気特性がより正弦波状に近くなるように着磁できる。
の範囲にあるものとしても良い。また、1極対着磁の場合に限って前記着磁ヨーク突出部の幅を被検出部の直径以上としても良い。
この形状のヨークを用いた場合、被検出部の磁気特性がより正弦波状に近くなるように着磁できる。
この構成の場合、固定治具を前記各位相合わせ用の孔に挿通させた状態で、回転センサ付軸受を機器に組込むことで、磁気検出部からの検出信号を見ながら行う位相合わせが不要となり、組込み時の調整作業を簡略化できる。機器への組込みが完了した時点で、前記固定治具を前記孔から引き抜くと、回転センサ付軸受は回転可能な状態になる。
この構成の場合、前記固定治具を、軸受組み込み時の軌道輪相互間の回転止め手段と、組み込み後の固定側軌道輪の回り止め手段とに兼用することができる。
このように円弧状の溝穴の所定位置に指標を合わせるようにした場合、機器に回転センサ付軸受を組込む際の被検出部と磁気検出部との位相合わせ作業を簡易に行うことができる。
この発明における他の回転センサ付軸受は、回転側軌道輪、固定側軌道輪、および転動体からなる転がり軸受部と、回転側軌道輪に取付けられた磁石からなる被検出部と、この被検出部に対向したアナログ出力型の磁気センサからなる磁気検出部とを備え、上記被検出部の上記磁気検出部に対する磁気特性のうち、直線性がある範囲のみを回転角の検出に使用するものとし、前記被検出部がバックメタルを有するものとし、このバックメタルに、突起,凹部,色マーキングのいずれかの指標を設け、前記磁気検出部を固定する部材における前記指標に対向する面に円弧状の溝穴を設け、前記指標を前記溝穴の長手方向の所定位置に一致させることで、前記磁気検出部と被検出部との位相合わせが可能となるようにしたため、限られた角度範囲の回転角の絶対位置検出を精度良く行うことができ、小型化も可能となる。
また、この発明の回転センサの着磁方法は、この発明の回転センサ付軸受における被検出部を着磁する方法であって、前記被検出部がリング状の磁石からなり、着磁ヨークの互いに対向する一対の先端面を断面円弧状の曲面とし、両先端面の円弧中心を結ぶ直線上に、前記被検出部のリング中心を合わせ、かつ着磁ヨークの両側の先端面と被検出部との隙間が均等になるように被検出部を固定した状態で着磁を行う方法であるため、回転センサの被検出部への着磁を精度良く行うことができる。
前記磁気検出部8としては、ホール素子,ホールIC,MR素子などの磁気センサが用いられる。前記基板11は磁気検出部8を実装するものであって、この基板11を通して外部の機器との間でセンサ信号の授受が行われる。磁気検出部8として用いる磁気センサのリード部に直接に配線する場合には、基板11は省略することもできる。磁気検出部8は、樹脂ケース9内に挿入された状態で樹脂モールド24され、この樹脂ケース9が金属ケース10を介して固定側軌道輪3に固定される。
この検出信号のうち、略直線的に変化する範囲は、出力電圧がV/2であるゼロ点Oを基準として、その左右の出力範囲である。この例では、機械角で90度から270度までの180度の範囲であれば、絶対位置検出が可能となる。もし、この角度範囲内で、出力の直線性が必要であれば、出力信号が直線になる範囲Aに回転角を限定すれば良く、このように限定した回転角の範囲Aでは出力の直線性に優れた絶対位置検出が可能となる。なお、これ以外に、機械角0度を中心とした左右の回転角で出力直線性が得られる範囲を用いても良い。
処理部12では、磁気検出部8から出力されるアナログ信号を、算出部13に内蔵されるA/D変換器でデジタル信号に変換した後、センサ出力と絶対位置との関係を予め入力した補正テーブル14を参照して回転角の絶対位置θを算出する。
なお、図5や図6に示した処理部12,12Aの回路構成として、A/D変換器とメモリを内蔵したワンチップマイコンを用いても良く、その場合には回路構成を簡略化できて好都合である。
ヨーク本体18は、未着磁被検出部7の中心Oeに対して上下左右で対称系を構成することで、磁気ループのバランスを良くしている。すなわち、着磁ヨーク17のヨーク本体18は、被検出部7のリング中心Oeを基準として、両先端面18baの対向方向、およびこの対向方向に直交する方向に対して対称形状としている。
2×Re ≦Ry ≦3×Re
の範囲に設定されている。突出部18bの幅Wは、未着磁被検出部7の直径以上とされており、これにより被検出部7の磁性体7aに対して、その磁気特性がより正弦波に近くなるように着磁することが可能となる。
なお、この例では、一発着磁のヨーク構造について述べたが、この着磁ヨーク17における突出部18bの先端形状は、インデックス着磁、つまり未着磁被検出部7を割出回転させながら円周方向の一部ずつ着実する場合に応用することも可能である。
また、固定治具21を少しだけ引き抜き、被検出部7の孔27から抜け出た位置、つまり樹脂ケース9から金属ケース10に跨がる孔20に残った状態で、固定治具21を軸受の設置部材であるハウジング(図示せず)等に固定しても良い。これにより、固定治具21を固定側軌道輪3の回り止め手段として兼用することができる。また、被検出部7の孔27は、前記位相合わせの状態で、磁気検出部8から周方向に十分離れた位置に設定されているので、実際に回転側軌道輪2が回転可能な範囲内で回転する限りにおいて、被検出部7の孔27が回転検出に与える影響は無視できる。
2…回転側軌道輪
3…固定側軌道輪
4…転動体
7…被検出部
7ba…指標
8…磁気検出部
9a…円弧状の溝穴
9b…印
17…着磁ヨーク
18b…突出部
18ba…先端面
19…コイル巻線
20…孔
21…固定治具
22…転がり軸受部
23…回転センサ
27…孔
Claims (12)
- 回転側軌道輪、固定側軌道輪、および転動体からなる転がり軸受部と、回転側軌道輪に取付けられた磁石からなる被検出部と、この被検出部に対向したアナログ出力型の磁気センサからなる磁気検出部とを備え、上記被検出部の上記磁気検出部に対する磁気特性のうち、直線性がある範囲のみを回転角の検出に使用するものとし、前記被検出部、および前記磁気検出部を包含する部材に、互いに半径方向に対向して整合可能な位相合わせ用の孔をそれぞれ設け、これらの孔は、前記包含する部材と被検出部とを相互に回転不能に固定する固定治具を挿脱可能に嵌合可能なものとしたことを特徴とする回転センサ付軸受。
- 請求項1において、前記固定治具が前記被検出部の位相合わせ用の孔から抜け、かつ前記磁気検出部を包含する部材の位相合わせ用の孔に残った状態で、前記固定治具を、固定側軌道輪の設置部材に固定することにより固定側軌道輪の回転防止が可能なものとした回転センサ付軸受。
- 回転側軌道輪、固定側軌道輪、および転動体からなる転がり軸受部と、回転側軌道輪に取付けられた磁石からなる被検出部と、この被検出部に対向したアナログ出力型の磁気センサからなる磁気検出部とを備え、上記被検出部の上記磁気検出部に対する磁気特性のうち、直線性がある範囲のみを回転角の検出に使用するものとし、前記被検出部がバックメタルを有するものとし、このバックメタルに、突起,凹部,色マーキングのいずれかの指標を設け、前記磁気検出部を固定する部材における前記指標に対向する面に円弧状の溝穴を設け、前記指標を前記溝穴の長手方向の所定位置に一致させることで、前記磁気検出部と被検出部との位相合わせが可能となるようにした回転センサ付軸受。
- 請求項3において、前記円弧状の溝穴の長手方向中央部に所定の印を設け、前記被検出部に設けた指標と前記印とを一致させることで、前記磁気検出部と被検出部との位相合わせが可能となるようにした回転センサ付軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記被検出部がリング状の磁石からなり、その磁気特性が、回転側軌道輪の1回転で1周期以上に周期的に変化するものとした回転センサ付軸受。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記被検出部の磁気特性は、N極とS極が交互に切り替わる正弦波状の磁気強度分布を有するものである回転センサ付軸受。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記磁気検出部は1つであり、この磁気検出部の出力のうち、使用する範囲が、ゼロ点を中心としてN極側とS極側にまたがる略直線範囲である回転センサ付軸受。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記被検出部の磁性材が等方性磁石である回転センサ付軸受。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項の回転センサ付軸受の被検出部を着磁する方法であって、前記被検出部がリング状の磁石からなり、着磁ヨークの互いに対向する一対の先端面を断面円弧状の曲面とし、両先端面の円弧中心を結ぶ直線上に、前記被検出部のリング中心を合わせ、かつ着磁ヨークの両側の先端面と被検出部との隙間が均等になるように被検出部を固定した状態で着磁を行う回転センサの被検出部着磁方法。
- 請求項9において、前記着磁ヨークは、前記被検出部のリング中心を基準として、両先端面の対向方向、およびこの対向方向に直交する方向に対して対称形状とした回転センサの被検出部着磁方法。
- 請求項9または請求項10において、前記着磁ヨークの円弧状先端面の円弧半径Ry は、被検出部の半径Re よりも大きく、
2×Re ≦Ry ≦3×Re
の範囲にあり、1極対着磁の場合に限って前記着磁ヨーク突出部の幅を被検出部の直径以上とする回転センサの被検出部着磁方法。 - 請求項9ないし請求項11のいずれか1項において、前記着磁ヨークは、前記先端面の近傍にコイル巻線が巻回されたものとする回転センサの被検出部着磁方法。
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