JP4703954B2 - 基材の親水化処理方法および親水性基材 - Google Patents

基材の親水化処理方法および親水性基材 Download PDF

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Description

本発明は、医療機器に用いられる基材の表面を化学的に処理し、リン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を導入して親水化する基材の親水化処理方法、および基材表面にリン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材に関する。
また、本発明は、前記親水化処理方法により親水化処理した基材を含む親水性コート剤に関する。
医療現場で利用されている器具は、それぞれに必要な機能を持ち合わせているが、長期間の留置や手技に応え得る持続性については不充分なものが多い。たとえば、体腔内部を観察する機器である内視鏡や腹腔鏡はさまざまな手技に用いられ、場合によっては30分以上も生体内に挿入されたまま使用される。しかし、体内が高温多湿であり、レーザーメスなどにより発生する様々な飛沫や油煙などにより、内視鏡や腹腔鏡のレンズは曇りやすく、あるいは、胃液などで汚れるために、手技を中断して体外に取り出すこともあり、医師や患者に負担が生じている。
医療機器用などの材料に化学的な修飾を行なうことにより、材料の表面特性を向上させることがこれまでに提案されている。しかし、特に、材料表面の親水性については必ずしも充分なレベルに達してはいない。たとえば、医療機器用材料がガラス、シリカなどの無機材料、フッ素樹脂、ポリビニルアルコールなどの有機材料の場合には、超親水性(水との接触角が5度以下)を達成することが実質的にできず、医療機器としてかなりの問題があった。
親水基−撥水基−接合基−の順に並んだコーティング物質を含むコーティング膜を表面に有するガラス製品が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。しかし、親水化処理剤として、(RO)2PO−で示されるリン化合物が開示されているものの、Rとしてエチル基しか用いられておらず、親水化処理後のガラス製品表面の構造は、生体適合性が少なく医療機器に用いられる基材の親水性処理方法としては好ましくないものであった。
さらに、リン酸および/またはその塩と溶解性のアルミニウム化合物と水溶性ケイ酸塩とノニオン系界面活性剤と溶媒からなる表面処理剤が塗布され、次いで300〜700℃で熱処理されて成形された親水性膜が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。また、リン酸と溶解性のアルミニウム化合物と水溶性ケイ酸塩と溶媒からなる表面処理剤を塗布し、その後200〜600℃で熱処理する親水性被膜が開示されている(特許文献3参照)。しかし、いずれも、親水化処理剤として、リン酸アンモニウム塩を使用することが記載されているが、アルミニウム化合物およびケイ酸塩と併用して物品表面に塗布、その後焼成して物品表面にフォスフォアルミナシリケートの三次元架橋構造を形成させたものであり、親水化処理後のガラス製品表面の構造は、生体適合性が少なく医療機器に用いられる基材の親水性処理方法としては好ましくないものであった。
特開2002−12450号公報(段落番号[0007]) 特開平9−278431号公報(段落番号[0017]〜[0019]) 特開平9−194234号公報(段落番号[0012]〜[0014])
本発明は、体内でも安全に、かつ持続して使用できる基材の親水化処理方法、曇り止め処理方法を提供する。また、ガラスなどの医療機器に用いられる基材の表面にリン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材を提供する。さらに、カテーテルやステントなどの医療機器に用いることができる親水性基材を提供する。
本発明は、基材を構成する材料中の官能基に、リン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を導入して親水化する工程を有する基材の親水化処理方法に関する。
リン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を導入して親水化する工程が、基材をオキシ塩化リンまたはリン酸で処理する工程、もしくは濃硫酸、クロロスルホン酸、濃硫酸およびクロロスルホン酸の混合物または無水硫酸で処理する工程、および該処理基材をアンモニアまたはアミン化合物で中和する工程からなることが好ましい。
基材を構成する材料が、ガラス、シリカ、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリアミドからなる群から選択されることが好ましい。
基材が、材料中の官能基に予め前駆体を導入した基材であることが好ましい。
本発明は、前記の親水化処理方法により親水化処理した基材を含むコート剤に関する。
また、本発明は、基材表面にリン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材に関する。
さらに、本発明は、前記の親水性基材からなる医療機器に関する。
本発明により、基材を親水化処理することができ、体内でも安全に、かつ持続して使用することができる親水性基材を得ることができる。また、本発明の親水化処理方法により、基材の曇り止め処理を行なうことができる。本発明の親水化処理方法で処理した基材は、内視鏡、腹腔鏡、カテーテル、およびステントなどの医療機器、人工臓器、人工皮膚、人工器官などの医療材料に用いることができる。
本発明は、基材を構成する材料中の官能基に、リン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を導入して親水化する工程を有する基材の親水化処理方法に関する。
基材を構成する材料としては、医療機器に用いられる基材であれば、特に限定されないが、たとえば、ガラス、シリカ;キチン、キトサンなどの多糖;四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(ETFE)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)などのフッ素樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステルなどの汎用ポリマーやエンプラ、これらの親水性または疎水性樹脂など様々な樹脂を用いることが可能である。
リン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を導入するために、基材を構成する材料は、官能基を有しているか、もしくは、化学的処理またはコート処理により官能基を導入することができる材料であることが好ましい。官能基としては、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、イソシアナート基、チオイソシアナート基、アミド基、エステル基、カルバメート基、ニトリル基、クロロ基などのハロゲン基などがあげられる。化学的処理により、基材を構成する材料にこれらの官能基を導入する場合は、付加反応や置換反応あるいは縮合反応により行なうことが可能である。
官能基の数は、基材を構成する材料1cm2あたり、105〜1016個が好ましい。官能基の数が、基材を構成する材料1cm2あたり105個より少ないとリン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を導入する反応点が少なく、超親水性が基材をカバーする割合が20%以下となり基材そのものの性質が現れ、表面の親水性が不充分となる傾向がある。1016個をこえると未反応の官能基が残る傾向がある。
基材を構成する材料中に官能基が存在しない場合には、基材を構成する材料を化学的に処理することで、基材を構成する材料中に官能基を結合させることができる。たとえば、基材を構成する材料がフッ素樹脂の場合には、フッ化水素やナトリウムナフタレンTHF溶液などにフッ素樹脂を浸漬し、次に、エタノール、イオン交換水で充分に洗浄後、乾燥させることで、フッ素樹脂に官能基として水酸基を導入することができる。また、3423cm-1における水酸基の赤外吸収を測定することで、フッ素樹脂に官能基として水酸基が導入されたことを評価することができる。
基材は、基材を構成する材料に官能基が直接、結合している基材でもよく、また、基材を構成する材料中の官能基に予め前駆体を導入した基材でもよい。あるいは、親水性または疎水性表面の性質を有するように、コートした基材でもよい。
基材を構成する材料中の官能基に予め前駆体を導入する場合には、反応性を高めることができ、前駆体の性質を兼ね備えた複合機能性となる。たとえば、前駆体がポリ乳酸では生分解性、ヘパリンやポリビニルアルコールでは血液に対する抗血栓性や塞栓性、キトサンでは抗菌性、ポリビニルピロリドンでは潤滑性を示し、これらの前駆体の性質と、本発明の親水性との複合機能性となる。また、基材そのものを反応性にする処理が必要なく、コートや超親水性処理が簡単で効果よくできる。
前駆体は、リン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を導入するための官能基が前駆体に結合しているものであれば特に限定がないが、たとえば、キトサン、キチン、ヘパリン、セルロース、セルロースアセテートなどの多糖;ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、脂肪酸、アミノ酸、ペプチドなどの反応性の官能基を有する化合物があげられる。なかでも、リン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を導入する際の反応性が優れている点、抗菌性を有し、構成単位であるグルコサミンが生体内に普遍的に存在する物質であり、安全性が高く、信頼性が高い点、また、抗菌性がある点など生体適合性の点でキトサンが好ましい。ここで、前駆体が有する官能基とは、前記した官能基と同じ官能基があげられる。
材料中の官能基に予め前駆体を導入した基材1cm2あたりの前駆体の導入量は、0.01〜200μgが好ましい。導入量が0.01μgより少ないとリン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造が基材をカバーする量が不足し、親水性が現れなかったり、持続性が不足する傾向がある。200μgをこえると表面の滑らかさが不充分で透明性が不充分となる傾向がある。
前駆体の導入量は、たとえば、前駆体がキトサンの場合には、材料中の官能基に予めキトサンを導入した基材を飽和ヨウ素水に30分間浸漬させ、その後、ヨウ素水の吸光度(452nm)を測定して予め作成した検量線と照らし合わせることで基材1cm2あたりのキトサンの導入量を定量することができる。
ここで、官能基として水酸基を導入したフッ素樹脂に、前駆体としてキトサンを導入する場合、官能基である水酸基にイソシアナート末端を有する二官能性化合物を結合させ、次に、他のイソシアナート末端にキトサンを結合させて導入することができる。イソシアナート末端を有する二官能性化合物として、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナートがあげられる。なかでも、生体内で安全性が高い点で、ヘキサメチレンジイソシアナートが好ましい。
リン酸は、三価の酸であり、硫酸は二価の酸であり、リン酸アンモニウム塩構造と硫酸アンモニウム塩構造とは、構造の面において異なる。以下に、リン酸アンモニウム塩構造を基材に導入する方法について説明する。
リン酸の誘導体であるリン酸アンモニウム塩の構造とは、化学式(1)で表される構造である。基材を構成する材料中の官能基に、化学式(1)の構造を有するリン酸アンモニウム塩構造を導入することで親水化処理することができる。
−A−(−O−PO(ONR42m (1)
ここで、一般式(1)中、Rの全部または一部は、水素原子、または炭素数1〜12の炭化水素、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素である。なかでも、親水性や生体適合性などの点で、一般式(1)中のRの全部が水素原子であることが好ましい。
また、一般式(1)中、mの値は1〜8の整数であり、mの値は1〜6がより好ましい。mの値が8をこえると、遊離のリン酸アンモニウム塩が不純物として混合しやすくなる傾向がある。mの値が小さいとリン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造の導入量が少ないので超親水性材料が得られにくい傾向がある。なお、一般式(1)中、Aは前駆体を表している。
リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、リン酸アンモニウム塩を導入するための官能基の数に対して20〜100%が好ましい。導入量が官能基の数に対して20%より少ないとリン酸アンモニウム塩構造が基材をカバーする量が不足し、親水性または持続性が不充分となる傾向がある。100%をこえることはないが、100%をこえるリン酸アンモニウム塩がある場合には、遊離の型でリン酸アンモニウム塩が不純物として存在することになる。
基材を構成する材料中の官能基に、リン酸アンモニウム塩構造が導入されたことは、1234cm-1(リン酸エステル)、971cm-1(脂肪族)および828cm-1(脂肪族)における赤外吸収を測定することで評価することができる。
基材を構成する材料中の官能基に、リン酸アンモニウム塩構造を導入する方法としては、基材をオキシ塩化リンまたはリン酸で処理する工程、および該処理基材をアンモニアまたはアミン化合物で中和する工程からなることが好ましい。
このようにリン酸基を導入したのち、リン酸アンモニウム塩構造とする工程は反応工程が容易であり、細胞膜リン脂質類似構造を容易に創製でき、親水性と生体適合性を兼ね備えることができる点で優れている。
アミン化合物としては、アンモニアのほかに、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンなどの炭素数が1〜10の脂肪族一級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミンなどの炭素数1〜10の脂肪族二級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどの炭素数1〜10の脂肪族アミン;アニリン、ジエチルアニリンなどの芳香族アミン類;グリシン、アラニン、セリン、グルタミン酸、リジン、アルギニンなどのアミノ酸があげられる。
基材をオキシ塩化リンまたはリン酸で処理する方法としては、オキシ塩化リンまたはリン酸溶液に基材を浸漬させて行なう方法、スプレーする方法、塗布する方法などがあげられる。
基材をオキシ塩化リンまたはリン酸で処理する工程において、オキシ塩化リンまたはリン酸溶液の濃度は20〜100重量%が好ましい。濃度が20重量%より低いと反応時間が長くなったり、生成物の親水性が不充分となる傾向がある。 オキシ塩化リンまたはリン酸溶液での処理時間は0.1〜10時間が好ましい。処理時間が0.1時間より短いと未反応部分が多く、生成物の親水性が不充分となる傾向がある。10時間をこえると基材の腐食や分解により、強度が低下したり、分子量が小さくなったり、表面が凹凸となる傾向がある。
オキシ塩化リンまたはリン酸溶液での処理温度は室温〜170℃が好ましい。処理温度が室温より低いと未反応部分が多くなり、生成物の親水性が不充分となる傾向がある。170℃をこえると基材の腐食や分解により、強度が低下したり、分子量が小さくなったり、表面が凹凸となる傾向がある。
オキシ塩化リンまたはリン酸で処理した基材をアンモニアまたはアミン化合物で中和する工程において、アンモニアまたはアミン化合物の濃度は10〜100重量%が好ましい。濃度が10重量%より低いと使用する量が多くなり、また、親水性や収量が不充分となる傾向がある。
アンモニアまたはアミン化合物で中和するときの処理時間は0.1分〜10時間が好ましい。処理時間が0.1分より短いと反応が不充分で親水性や持続性が不充分となる傾向がある。10時間をこえると処理工程に不便を生じる可能性が生じる傾向がある。
アンモニアまたはアミン化合物で中和するときの処理温度は−5〜50℃が好ましい。処理温度が−5℃より低いと溶液が固化する傾向がある。50℃をこえると沸点の低いアンモニアまたはアミンが気化する傾向がある。
本発明では、前記の親水化処理工程において、オキシ塩化リンまたはリン酸に代えて、濃硫酸、クロロスルホン酸、濃硫酸およびクロロスルホン酸の混合物、または無水硫酸を用いることにより、基材表面に硫酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材を製造することができる。
このようにして作製される基材表面にリン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材は、基材表面の親水性が高く、また、基材表面の曇りを防止できる点で、水との接触角が5度以下となることが好ましい。ここで、水との接触角とは、水滴と基材表面の接触角度をいう。
また、このようにして作製される基材表面にリン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材は、基材表面の親水性が高く、また、基材表面の曇りを防止でき、また、リン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造が血管内皮(生体膜)と類似した構造を持つ化合物であり血液適合性がある点で、内視鏡、腹腔鏡、カテーテル、ステントなどの医療機器、人工臓器、人工皮膚、人工器官などの医療材料に好適に用いることができる。
また、基材表面にリン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材を、コート剤として、他の基材表面に塗布して用いることもできる。前記親水性基材をコート剤として用いる場合、コート剤の塗布量は、他の基材表面上に5×10-6g/cm2以上であることが好ましい。5×10-6g/cm2より少ないと元の基材の性質がそのまま現れて、表面処理によってカバーされた超親水性基材の性質が発揮されない傾向がある。さらに、基材と、リン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材をブレンドして用いることもできる。
次に、本発明の親水化処理方法を実施例を用いて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(測定方法)
ATR−FTIRは、フーリエ変換赤外分光光度計(商品名 FT/IR−410、日本分光(株)製)を用いて測定した。AFMは、原子間力顕微鏡(商品名 SPI3700、セイコー電子工業(株)製)を用い、測定モードDMF(Dynamic Force mode/Microscope)で測定した。UVは、マルチパーパス自記分光光度計(商品名 MPS−2000、(株)島津製作所製)を用いて測定した。低温恒温水槽はPSL−1800型(東京理化器(株)製)を用いた。
(水との接触角の測定方法)
水平に置いた基材表面に10μLの水をマイクロピペットまたはマイクロシリンジにて乗せ、水平方向からデジタルカメラで撮影した像をパーソナルコンピュータに取り入れて、水が基材となす角度(接触角)を測定した。評価は、前記測定方法にて測定できない程度の角度(ほぼ0度(あるいは極小さな角度))のものを表1〜3中では「<<5度」とし(あるいは、本文中では0度または1度というようなより定量的評価で記す)、また、表1〜3中では5度より小さいものを「<5」、10度より小さいものを「<10」、10度より大きいものを「>10」と記載し、5度間隔の測定値で評価を行なった。
実施例1
(キトサンを前駆体として用いる方法)
基材を構成する材料として、硫酸バリウムを20重量%含むエチレンとテトラフロロエチレンのコポリマーからなるペレット状のETFEを用いた(直径約6mm)。このETFEを油圧式圧縮器でプレスして成形したプレートを基材として用いた。
テトラエッチ(商品名、(株)潤工社製、ナトリウムナフタレンTHF溶液)5mlに、0.1gのETFEを120秒間浸し、エタノール、イオン交換水で充分洗浄、乾燥させて官能基を有するETFEを得た。官能基の数は、基材1cm2あたり、1011〜1015個であった。
官能基を有するETFEを市販のヘキサメチレンジイソシアナート(濃度98重量%)10mlに入れ、50℃で1時間撹拌し反応させた。そして反応溶液中のETFEを取り出し、20mlのジエチルエーテルで洗浄,乾燥させて、ETFEの官能基にヘキサメチレンジイソシアナートが結合したETFEを得た。
ETFEの官能基にヘキサメチレンジイソシアナートが結合したETFE、およびキトサン0.1gをDMF10mlに加え、70℃で約12時間反応させることでキトサンを導入したETFEを得た。基材1cm2あたりのキトサンの導入量は、約7μgであった。
キトサンを導入したETFE0.1g、尿素3g、リン酸(濃度100重量%溶液)0.52mlをDMF3mlに入れ、100℃から150℃まで徐々に温度を上げながら3時間還流することにより反応させた。
ETFEをイオン交換水で充分洗浄したのち、濃度25重量%のアンモニア水2mlに30秒間浸し、撹拌して中和させることで、ETFE表面にリン酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材を得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して約43%であった。
得られたETFE表面にリン酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材に、マイクロシリンジを用いて水を10μl滴下したところ、一瞬で水が広がり、表面が親水性を有していることがわかった。つぎに、水を10μl滴下し、すぐに水を拭き取るという工程を5回繰り返す方法で親水性の持続評価を行なった。5回の工程を行なった後でも、水の広がる速さは低下しないため、親水性の持続性が優れていることがわかった。また、水との接触角は約1度であった。
実施例2
(キトサンを超親水性材料に調製して用いる方法)
(1)キトサンを超親水性材料に調製する方法−キトサンのリン酸アンモニウム塩の調製
キトサン0.2g、尿素3g、100%オルトリン酸0.52mlをDMF3mlに入れ、100℃から150℃まで徐々に温度を上げながら、3時間還流することにより反応させた。
反応混合物をメタノールで洗浄したのち、10mlのイオン交換水に溶解させ、濃度25重量%のアンモニア水2mlを滴下し、攪拌して中和させることで、キトサンのリン酸アンモニウム塩を得た。キトサンへのリン酸アンモニウム塩構造の導入率は、官能基の数に対して約50%であった。
(2)キトサンのリン酸アンモニウム塩をETFEに導入する方法
ETFEの官能基にヘキサメチレンジイソシアナートが結合したETFE、および(1)で超親水性化したキトサンのリン酸アンモニウム塩0.1gをホルムアミド20mlに加え、50℃で約12時間反応させることで、キトサンのリン酸塩誘導体を導入したETFEを得た。基材1cm2あたりのキトサン誘導体の導入量は、約7μgであった。
実施例1と同様にして親水性を評価したところ、一瞬で水が広がり、表面が親水性を有していることがわかった。次に、実施例1と同様にして親水性の持続評価を行なった。5回の工程を行なったのちでも、水の広がる速さは低下しないため、親水性の持続性が優れていることがわかった。また、水との接触角は約1度であった。
比較例1
DMFに加えるキトサンの量を0.06gに変更した以外は、実施例1と同様にして、キトサンを導入したETFEを得た。基材1cm2あたりのキトサンの導入量は、約5μgであった。
実施例1と同様にして親水性を評価したところ、一瞬で水が広がり、表面が親水性を有していることがわかった。つぎに、実施例1と同様にして、親水性の持続評価を行なった。しかし、3回の工程を行なった後では、水の広がる速さは著しく低下したため、親水性の持続性には欠けることがわかった。また、水との接触角は、はじめは約1度であり、最後は約5度であった。
実施例3
ETFEチューブ(AGCフルオンETFE)をフィルム状に圧縮したもの0.1gをテトラエッチ(商品名、(株)潤工社製、ナトリウムナフタレンTHF溶液)5mlに、120秒浸して反応させたのち、20mlのエタノールで2回、続いて20mlのイオン交換水で充分に洗浄し、減圧下で乾燥させることにより、官能基を有するETFEを得た。官能基の数は、基材1cm2あたり、1011〜1015個であった。
官能基を有するETFEを市販のヘキサメチレンジイソシアナート(濃度95重量%)10mlに入れ、50℃で撹拌し反応させた。1時間後、反応溶液中のETFEを取り出し、20mlのジエチルエーテルで洗浄することにより、ETFEの官能基にヘキサメチレンジイソシアナートが結合したETFEを得た。
ヘキサメチレンジイソシアナートが結合したETFE0.1gを、あらかじめキトサン0.1gを100℃で30分間撹拌し膨潤させておいたDMF10mlの中に入れ、70℃で撹拌し反応させた。約12時間後、反応溶液中のETFEを取り出し、多量のイオン交換水で洗浄することにより、キトサンを導入したETFEを得た。
キトサンを導入したETFE0.1gを飽和ヨウ素水20mlの中に入れ、室温で30分間撹拌し反応させたところ、ETFE表面にキトサンの存在を支持する淡橙色の呈色が見られた。
キトサンを導入したETFE28cm2を飽和ヨウ素水5mlに30分間撹拌し反応させ、ヨウ素水の波長452nmの吸光度を測定することで、ETFE表面上のキトサン導入量を算出したところ、キトサン導入量は基材1cm2あたり7.04μgであった。
ナス型フラスコに尿素3gおよびDMF3mlを加え、100℃で加熱撹拌し、そこへキトサンを導入したETFE0.1g、および濃度100重量%のオルトリン酸0.52mlを加え、150℃で3時間、加熱撹拌して反応させた。次に、濃度25重量%のアンモニア水2mlに30秒間浸し、撹拌して中和させることで、ETFE表面にリン酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材を得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して約43%であった。
得られた親水性基材の親水性を実施例1と同様にして評価したところ、一瞬で水が広がり、表面が親水性を有していることがわかった。また、親水性の持続性は優れていた。また、水との接触角は約1度であった。
実施例4
ポリビニルアルコール樹脂0.25g、尿素2.5g、濃度100重量%のオルトリン酸0.453mlをDMF5mlに加え、150℃で1時間、還流して反応させた。常温まで冷却したのち、反応混合物を遠心分離で溶媒と沈澱物とに分け、L字管、真空ポンプを用いて、80℃のオイルバス中で溶媒を完全にとばし、濃度25重量%のアンモニア水溶液5mlに30秒間浸し、撹拌して中和させ、乾燥させることで、PVA表面にリン酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材を得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して約43%であった。
得られた親水性基材の親水性を、親水性基材をガラス板上にコートし、水を滴下して接触角を測定する方法にて評価したところ、接触角は5度以下で、超親水性表面であった。また、水との接触角は約1度であった。
実施例5
ポリビニルアルコール樹脂0.5gを濃度100重量%のオキシ塩化リン10mlに溶解させ、0〜5℃で4時間反応させた。そののち、エーテルに入れて撹拌し、析出する塩を吸引濾過して、乾燥させた。そして、濃度25重量%のアンモニア水溶液5mlに30秒間浸し、撹拌して中和、再度乾燥させることでポリビニルアルコール表面にリン酸アンモニウム塩構造を有する親水性基材を得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して約43%であった。
得られた親水性基材の親水性を、親水性基材をガラス板上にコートし、水を滴下して接触角を測定する方法にて評価したところ、超親水性(接触角5度以下)表面であった。また、水との接触角は約1度であった。
つぎに、平均粒子径が75〜150μmであるシリカを用いて、下記の実施を行なった。なお、いずれも、オキシ塩化リン溶液の濃度は100重量%、アンモニア水溶液の濃度は25〜28重量%、リン酸溶液の濃度は85重量%のものを用いた。
実施例6〜7
5gのシリカを水酸化ナトリウム水溶液(20%)10mlに入れ室温で撹拌させたのち、ホットプレートにて水分をとばした。そこへNaOHと当量モルのオキシ塩化リンを徐々に加え、室温で反応させ、乾燥させた。最後に市販のアンモニア水溶液をアルカリ性になるまで加え溶媒を蒸発させて、オキシ塩化リン導入シリカを得た(実施例6)。また、実施例7では、水酸化ナトリウム水溶液に代えて、市販のアンモニア水溶液を用いた以外は実施例6と同様にして(ここでオキシ塩化リンの量はSi(OH)4と当量モル加えた)、オキシ塩化リン導入シリカを回収した。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、それぞれ、官能基の数に対して90%、30%であった。
実施例8
水酸化ナトリウム水溶液(20%)10mlにシリカ5gを入れ、室温で1時間撹拌反応させた。そののち、水溶液をエバポレーターで水分をとばし、エーテル20mlとトリエチルアミン17.49mlをフラスコに加え、最後にオキシ塩化リン5.83mlを徐々に加え、室温で反応させ、反応溶液をアンモニア水溶液でアルカリ性になるまで加え吸引濾過して、オキシ塩化リン導入シリカを得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して80%であった。
実施例9
水酸化ナトリウム水溶液に代えて、エタノール(5%)を用いたナトリウムアルコキシドを用い、トリエチルアミンの量を6.99ml、オキシ塩化リンの量を2.33mlとした以外は実施例8と同様にしてオキシ塩化リン導入シリカを得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して70%であった。
実施例10
水酸化ナトリウム水溶液に代えて、メタノール(16%)を用いたナトリウムアルコキシドを用い、トリエチルアミンの量を10.82ml、オキシ塩化リンの量を3.62mlとした以外は実施例8と同様にしてオキシ塩化リン導入シリカを得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して80%であった。
実施例11
水酸化ナトリウム水溶液に代えて、エタノールに対して20%の水を加えた溶液(16%)を用い、トリエチルアミンの量を3.91ml、オキシ塩化リンの量を11.73mlとした以外は実施例8と同様にしてオキシ塩化リン導入シリカを得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して70%であった。
実施例12
水酸化ナトリウムの濃度を2倍のモル数にし、トリエチルアミンの量を34.98ml、オキシ塩化リンの量を11.66mlとした以外は実施例8と同様にしてオキシ塩化リン導入シリカを得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して90%であった。
実施例13
水酸化ナトリウムの濃度を1/2倍のモル数にし、トリエチルアミンの量を8.76ml、オキシ塩化リンの量を2.92mlとした以外は実施例8と同様にしてオキシ塩化リン導入シリカを得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して60%であった。
実施例14
水酸化ナトリウム水溶液(20%)5mlにシリカ2.5gを入れ、室温で1時間撹拌反応させた。そののち、水溶液の水分をエバポレーターでとばし、エーテル10mlをフラスコに加え、最後にオキシ塩化リン2.92mlを徐々に加え、室温で反応させ、反応溶液をアンモニア水溶液でアルカリ性になるまで加え吸引濾過して、オキシ塩化リン導入シリカを得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して80%であった。
実施例6〜14で得られたシリカ粒子を水に分散させ、分散液を作製し、ガラス表面にシリカ粒子が約5×10-6g/cm2となるように塗布し、乾燥させた。つぎに、シリカで処理したガラスを37℃の水浴でシェイクし、10分ごとに取り出して、ガラス表面の水分をふき取り、ガラス表面に水を10μl滴下した。評価は、以下の評価基準に従って行ない、評価結果を表1に記載した。また、ガラス表面について水との接触角を測定し、測定結果を表1に記載した。
◎:市販品の親水処理剤で処理したガラスよりも、超親水性および持続性が優れていた。
○:市販品の親水処理剤で処理したガラスと同程度以上の親水性および持続性であった。
△:市販品の親水処理剤で処理したガラスと同程度以下の親水性および持続性であった。
ここで、市販品の親水処理剤で処理したガラスとして、東陶機器株式会社製処理剤で処理したガラスを用いた。市販品の親水処理剤で処理したガラスの水との接触角は<<5度であった。
Figure 0004703954
表1の結果から、シリカの官能基にリン酸アンモニウム塩構造を導入して親水化したシリカをガラス表面に塗布したものは、親水性が高く、また持続性にも優れていることがわかる。また、内視鏡手技で必要とされる親水性持続時間は30分程度であり、その間に2〜3回の送水を行なうことから、本発明の親水性処理方法で処理した親水性基材は、内視鏡などの医療機器に必要とされる親水性、および親水性持続性を充分に満足することがわかる。
実施例15
リン酸6mlにシリカ2.5gを加え50℃で12時間撹拌反応させ、アンモニア水溶液を中和するまで加えて、リン酸塩導入シリカを得た。リン酸塩導入シリカを遠心分離に数回かけて固体を回収した。リン酸アンモニウム塩の導入量は、官能基の数に対して80%であった。
実施例16〜18
反応温度と反応時間を100℃で5時間、150℃で2時間、200℃で30分間とした以外は実施例15と同様にしてリン酸塩導入シリカを得た。リン酸アンモニウム塩の導入量は、それぞれ、官能基の数に対して90%、95%、および95%であった。
実施例19
硫酸(濃度95重量%)6mlにシリカ2.5gを加え200℃で1時間撹拌反応させ、アンモニア水溶液を中和させるまで加えて、硫酸塩導入シリカを得た。硫酸導入量は、官能基の数に対して90%であった。
実施例20
リン酸の量を1.92ml、シリカの量を2.5gとした以外は実施例15と同様にしてリン酸塩導入シリカを得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して70%であった。
実施例21〜22
リン酸の量を3.84ml(実施例21)、およびリン酸の量を7.68ml(実施例22)とした以外は実施例15と同様にして、それぞれリン酸塩導入シリカを得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、それぞれ、官能基の数に対して80%、90%であった。
実施例23
アンモニア水溶液を加えていたところをAlCl3/NH4OH溶液で行なった以外は実施例15と同様にしてリン酸塩導入シリカを得た。リン酸アンモニウム塩構造の導入量は、官能基の数に対して80%であった。
次に、実施例15〜23で得られたリン酸塩導入シリカをスプレーにてガラス表面にシリカ粒子が約5×10-6g/cm2となるように塗布し、その後すぐにガラス表面をふき取り、ガラス表面に水を10μl滴下する工程を5回繰り返し、5回繰り返したのちの親水性、および親水性持続性を評価した。評価は、以下の評価基準に従って行ない、評価結果を表2に記載した。また、ガラス表面について水との接触角を測定し、測定結果を表2に記載した。
◎:市販品の親水処理剤で処理したガラスよりも、超親水性および持続性が優れていた。
○:市販品の親水処理剤で処理したガラスと同程度以上の親水性および持続性であった。
△:市販品の親水処理剤で処理したガラスと同程度以下の親水性および持続性であった。
ここで、市販品の親水処理剤で処理したガラスとして、東陶機器株式会社製処理剤で処理したガラスを用いた。市販品の親水処理剤で処理したガラスの水との接触角は<<5度であった。
Figure 0004703954
いずれの実施例においても、良好な超親水性が得られた。
比較例2〜7
シリカを用いず、アンモニウム塩のみを使用して親水性の評価を行なった。アンモニウム塩は市販のものとしてNH4Cl(比較例2)、(NH42CO3(比較例3)、(NH4)OAc(比較例4)、(NH42SO4(比較例5)、FeSO4(NH42SO4・6H2O(比較例6)を用い、また、市販のNH3とH3PO4を混合させて中和した(NH43PO4(比較例7)を使用して、それぞれ、スプレーにてガラス表面にアンモニウム塩が約5×10-6g/cm2となるように塗布し、その後すぐにガラス表面をふき取り、ガラス表面に水を10μl滴下する工程を繰り返し、超親水性がなくなるまでの回数を評価した。評価結果を表3に記載した。ここで、超親水性がないとした基準は、水の接触角が5度をこえる、または接触角が5度以下でも2回以上の持続性がない場合である。また、ガラス表面について水との接触角を測定し、測定結果を表3に記載した。さらに、以下の評価基準による評価も合わせて行ない、表3に記載した。
◎:市販品の親水処理剤で処理したガラスよりも、超親水性および持続性が優れていた。
○:市販品の親水処理剤で処理したガラスと同程度以上の親水性および持続性であった。
△:市販品の親水処理剤で処理したガラスと同程度以下の親水性および持続性であった。
×:市販品の親水処理剤で処理したガラスより劣る親水性および持続性であった。
ここで、市販品の親水処理剤で処理したガラスとして、東陶機器株式会社製処理剤で処理したガラスを用いた。市販品の親水処理剤で処理したガラスの水との接触角は<<5度であった。
比較例8〜9
比較例7において、アンモニアを用いて得られた(NH43PO4に代えてトリエチルアミンを使用した(Et3NH)3PO4(比較例8)、また、(Et3NH)3-n(NH4nPO4(0≦n≦3)で表される化合物の混合物(比較例9)を用いて比較例2と同様に親水性の評価を行なった。評価結果を表3に記載した。また、ガラス表面について水との接触角を測定し、測定結果を表3に記載した。
Figure 0004703954
一価の酸の塩は評価が良くなかった。多価の酸の塩は中程度に良い評価であったが、持続性は優れていない。また、シリカの官能基にリン酸アンモニウム塩構造を導入したものに比べて、単に、リン酸アンモニウムを基材に塗布したものでは、親水性の持続性が劣ることがわかる。

Claims (4)

  1. 基材を構成する材料中の官能基に、リン酸アンモニウム塩構造または硫酸アンモニウム塩構造を導入して親水化する工程を有し、
    該工程が、基材をオキシ塩化リンまたはリン酸で処理する工程、もしくは濃硫酸で処理する工程、および該処理基材をアンモニアまたはアミン化合物で中和する工程からなる基材の親水化処理方法。
  2. 基材を構成する材料が、ガラス、シリカ、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリアミドからなる群から選択される請求項1記載の親水化処理方法。
  3. 基材が、材料中の官能基に予めキトサンを導入した基材である請求項1または2記載の親水化処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水化処理方法により親水化処理した基材を含むコート剤。
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