JP4703897B2 - フロントフォーク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車の車体と車軸との間に介装して路面からの振動を減衰する緩衝器とフォークを兼ねたフロントフォークに関し、特に高周波振動入力を吸収するのに適するフロントフォークに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動二輪車は車体と車軸との間にフロントフォークを介装し、路面からの振動をこのフロントフォークで減衰して車両の乗心地を向上させている。
【0003】
この種フロントフォークは、例えば実開昭59−56191号公報に示すように、車体側インナーチューブを車輪側アウターチューブ内に摺動自在に挿入し、車輪側アウターチューブの中央にダンパーを起立し、車体側インナーチューブの上端キャップとダンパーの上端との間に懸架スプリングを介在させている。
【0004】
更にダンパーは、ダンパーシリンダとダンパーシリンダ内にピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッドと、ダンパーシリンダ内にピストンを介して区画された伸側室及び圧側室と、ピストンに設けた伸側バルブ及びチェックバルブと、圧側室とダンパーシリンダの外側リザーバとの間に設けた圧側バルブ及びチェックバルブとを備えている。
【0005】
この為、フロントフォークの圧側作動時には圧側室の油の一部がピストンのチェックバルブを介して伸側室に流出すると共にピストンロッド侵入体積分の油が圧側バルブを介してリザーバに流出し、この時圧側バルブの流動抵抗で圧側の減衰力を発生させる。逆に伸長作動時にはピストンロッドの退出体積分を油をリザーバから圧側室にチェックバルブを介して吸込むと共に伸側室の油がピストンの伸側バルブを介して圧側室に流出し、この時伸側バルブの流動抵抗で伸側減衰力を発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のフロントフォークでは路面からの振動を減衰するが、例えば、車両の走行中に車輪が路上の突起や段差部を乗り越す場合には高周波振動が発生し、この振動による入力がフロントフォークに作用した時圧縮作動がスムーズに行なわれない場合がある。
【0007】
即ち、高周波振動による路面からの突き上げ入力がフロントフォークに作用するとダンパーが急激に圧縮作動しようとするが、この時圧側室の油が圧側バルブを通過しょうとしても流量が過大であり、一度に通過できないから圧側室の内圧が瞬間的に上昇する。このため、圧縮作動がスムーズに行なわれずフロントフォークが棒体となり、上記高周波振動が衝撃となって車体側及びハンドル側に伝播され乗心地を悪くする不具合がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、特に走行中に車輪が路上の突起や段差部を乗り越す場合に発生する高周波振動入力を吸収して車両の乗心地の向上を図れるフロントフォークを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、 車体側チューブと車輪側チューブとが摺動自在に嵌合し、車輪側チューブの中央にダンパーを起立し、車体側チューブの上端キャップと上記ダンパーとの間に懸架スプリングが介装され、上記キャップ内に懸架スプリングの初期設定荷重調整用のアジャスタを回転自在に挿入し、当該アジャスタを懸架スプリングに対向させながら上記ダンパーのピストンロッドに結合しているフロントフォークにおいて、上記アジャスタの上端部外周にアジャスタの回転操作部材を設け、上記アジャスタの胴部に上記キャップ内周側に延びるフランジを設け、上記キャップの内周に上記アジャスタの外周側に延びる鍔を設け、上記回転操作部と上記鍔との間に上記ピストンロッドに作用する高周波振動入力を吸収する伸側弾性体を設け、同じく上記鍔と上記フランジとの間に圧側弾性体を設けていることを特徴とするものである。
【0010】
この場合、各弾性体の上側,下側又は上下両側にスライドプレートが重ねて配置されているのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図にもとづいて説明する。
【0012】
図1,図2は、本発明の一実施の形態に係るフロントフォークを示す。
【0013】
図1に示すように、このフロントフォークは車体側チューブ1内に車輪側チューブ2を摺動自在に挿入し、車輪側チューブ2の中央にダンパー3を起立し、車体側チューブ1の上端キャップ4とダンパー3のダンパーシリンダ5の上端との間に懸架スプリング6を介在させている。
【0014】
ダンパー3は公知のようにダンパーシリンダ5とダンパーシリンダ5内にピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッド16と、ダンパーシリンダ内にピストンを介して区画された伸側室及び圧側室と、ピストンに設けた伸側バルブ及びチェックバルブと、圧側室とダンパーシリンダの外側リザーバとの間に設けた圧側バルブ及びチェックバルブとを備えている。
【0015】
この為、従来と同じく、フロントフォークの圧側作動時には圧側室の油の一部がピストンのチェックバルブを介して伸側室に流出すると共にピストンロッド侵入体積分の油が圧側バルブを介してリザーバに流出し、この時圧側バルブの流動抵抗で圧側の減衰力を発生させる。逆に伸長作動時にはピストンロッド16の退出体積分の油をリザーバから圧側室にチェックバルブを介して吸込むと共に伸側室の油がピストンの伸側バルブを介して圧側室に流出し、この時伸側バルブの流動抵抗で伸側減衰力を発生する。尚、車体側チューブ1としてアウターチューブと、車輪側チューブ2としてインナーチューブを使用して倒立型に形成しているが、これらを逆にした正立型フロントフォークであっても良い。
【0016】
上記のフロントフォークに於て、本発明では高周波振動による入力を吸収する衝撃吸収機構を組込んでいる。これは図2に示すように、上記キャップ4内に懸架スプリングの初期設定荷重調整用の中空なアジャスタ7を回転自在に挿入し、当該アジャスタ7を懸架スプリング6に対向させながらダンパー3の中空なピストンロッド16に結合し、更に上記キャップ4とアジャスタ7の間にピストンロッド16に作用する高周波振動入力を吸収する上下一対の弾性体8,9を設けて構成させたものである。
【0017】
以下、この衝撃吸収機構とその周辺の構造を詳しく説明する。
【0018】
キャップ4は中空で車体側チューブ1に螺合されている。
【0019】
アジャスタ7の外周にはスライダー10が螺合され、このスライダー10の外周には孔が形成され、この孔には球体11が嵌合している。アジャスタ7の回転時にキャップ4側のキー溝12に嵌合した球体11によってスライダー10は回転が規制され上下にスライドする。スライダー10の下部と懸架スプリング6との間にはパイプ状のスペーサ13が介在し、アジャスタ7の回転に伴なうスライダー10の上下動位置によって懸架スプリング6の初期設定荷重が設定される。
【0020】
アジャスタ7の外端上部外周にはアジャスタの回転操作部材たるダイヤル14が螺合されると共にロックナット15で固定されている。ダイヤル14はディテント機構16を介してキャップ4上に位置決めされている。
【0021】
アジャスタ7の下部はピストンロッド16の上端に螺合されると共にロックナット24で固定されている。アジャスタ7の上部にはスリーブ25が螺合され、このスリーブ25内に挿入された減衰力調整用アジャスタ17がアジャスタ7の中央にねじ15を介して上下移動自在に螺合され、このアジャスタ17はスリーブ25に形成した溝に嵌合したディテント構造たる球体19を介して位置決めされるようになっている。
【0022】
ピストンロッド16内にはピストンの伸側バルブの減衰力を調整するコントロールロッド18が上下移動自在に挿入され、このコントロールロッド18の上端は上記アジャスタ17の下端に当接している。これにより上記アジャスタ17を上下方向に操作してコントロールロッド18を上下方向に駆動する。
【0023】
次に衝撃吸収機構について説明する。
【0024】
この機構の主要素は上記したように上下一対の伸側弾性体8と圧側弾性体9からなるものである。これらの弾性体8,9は単独のゴム等からなる弾性部材20で構成しても良いが、この弾性部材20の上側,下側又は上下両側に重ねたテフロン等の摺動抵抗の小さいスライドプレート21を配設しても良い。スライドプレート21を設けた場合には、アジャスタ7の回転操作時に弾性体8,9のねじれ等を緩和し、その損傷を防止すると共に回転操作抵抗を小さくできる。
【0025】
キャップ4の内周にはアジャスタ7の外周側に延びる鍔22を設け、他方アジャスタ7の外周にはキャップ4の内周側に延びるフランジ23を設けている。そして、上方の伸側弾性体8はダイヤル14と鍔22との間に介装され、下方の圧側弾性体9は鍔22とフランジ23との間に介装されている。これにより、キャップ4に対してアジャスタ7とピストンロッド16とが弾性体8,9を介して浮動的に連結される。
【0026】
上記の衝撃吸収機構によれば、車両が走行中に路面の突起,継目,その他の段差部を通過する際に、高周波振動が入力され、圧縮作動してピストンロッド16とアジャスタ7が突き上げられても、この突き上げ力はフランジ23を介して圧側弾性体9が担持し、これが収縮することにより衝撃を吸収する。この結果振動入力を車体やハンドル側に伝播するのを防止する。この際、アジャスタ7が上昇することから伸側弾性体8は膨張する。
【0027】
この状態から伸長作動に切換わると、アジャスタ7が下降しょうとし、膨張した伸側弾性体8がダイヤル14で押圧されて収縮し、圧側弾性体9が膨張し、伸側弾性体8で衝撃を吸収するから路面に対する追従性を向上できる。尚、上記の弾性体8,9は懸架スプリング6にも対向しているから、懸架スプリング6の反力に対しても対向でき、プリロードの高いスプリング特性でも初期の硬さを緩和できる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0029】
(1) 各請求項の発明によれば、アジャスタとキャップとの間に高周波振動入力を収納する弾性体を設けたので、車両が走行中に突起等を通過して高周波振動入力を受けてもアジャスタとピストンロッドとが浮動し、且つ上記入力を弾性体が吸収するので、衝撃が車体やハンドルに伝播せず、車両の乗心地を向上する。
【0030】
(2) 請求項1の発明によれば、弾性体として上下二つの伸側弾性体と圧側弾性体とを設けているので、高周波振動入力によって圧縮作動した時圧側弾性体がこの振動入力を吸収し、伸長作動時に切換った時は伸側弾性体が衝撃を吸収するので車両の路面に対する追従性が向上する。
【0031】
(3) 請求項2の発明によれば、弾性体に重ねてスライドプレートが配設されているので、アジャスタの回転操作時に弾性体のねじれ等が緩和され、その損傷が防止されると共にアジャスタの回転操作抵抗を小さくできる。
【0032】
(4) 更に各請求項の発明によれば、ダンパーに付加して弾性体が設けられているので、一般のダンパーの減衰力と弾性体の衝撃吸収とが協動し、より車両の乗心地が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフロントフォークの一部縦断正面図である。
【図2】図1の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 車体側チューブ
2 車輪側チューブ
3 ダンパー
4 キャップ
6 懸架スプリング
7 アジャスタ
8,9 弾性体
14 ダイヤル
16 ピストンロッド
21 スライドプレート
22,24 鍔
23 フランジ
Claims (2)
- 車体側チューブと車輪側チューブとが摺動自在に嵌合し、車輪側チューブの中央にダンパーを起立し、車体側チューブの上端キャップと上記ダンパーとの間に懸架スプリングが介装され、上記キャップ内に懸架スプリングの初期設定荷重調整用のアジャスタを回転自在に挿入し、当該アジャスタを懸架スプリングに対向させながら上記ダンパーのピストンロッドに結合しているフロントフォークにおいて、上記アジャスタの上端部外周にアジャスタの回転操作部材を設け、上記アジャスタの胴部に上記キャップ内周側に延びるフランジを設け、上記キャップの内周に上記アジャスタの外周側に延びる鍔を設け、上記回転操作部と上記鍔との間に上記ピストンロッドに作用する高周波振動入力を吸収する伸側弾性体を設け、同じく上記鍔と上記フランジとの間に圧側弾性体を設けていることを特徴とするフロントフォーク。
- 各弾性体の上側,下側又は上下両側にスライドプレートが重ねて配置されている請求項1に記載のフロントフォーク。
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- 2001-06-28 JP JP2001196023A patent/JP4703897B2/ja not_active Expired - Fee Related
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