JPS6257555B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は車体と車軸間を懸架する車両用フロン
トフオークの改良に関する。

内筒と外筒を摺動自在に嵌合し、外筒内底部に
植設したシートパイプの拡径先部を内筒に摺接さ
せ、且つ内筒先部に減衰力発生機構を備えて成る
車両用フロントフオークにおいては、安定した減
衰力を得るために各摺動部材間の気密性は高いも
のが要求され、それ故に内筒と外筒間に発生する
摺動抵抗が或る程大きくなる。

従つて、車輪が大きな衝撃を受ける際に有効な
減衰力が得られるようフロントフオークを調整し
た場合は、小さな衝撃に対してフロントフオーク
の減衰はこれを十分吸収できず、車体側に衝撃が
伝わり、乗心地性が悪化するという問題がある。

本発明者はこの種フロントフオークの上記問題
に鑑み、これを有効に解決すべく本発明を成した
もので、その目的とする処は、内筒外周に摺動自
在に嵌合する摺動パイプを車体側アツパーブラケ
ツトとアンダーブラケツト間に嵌装し、該摺動パ
イプの上端をキヤツプで閉塞するとともに、該キ
ヤツプと内筒のフオークボルト間にコイルバネを
張架することにより、該コイルバネの伸縮によつ
て小さな衝撃を吸収緩和し、以つて乗心地性の向
上を図るようにした車両用フロントフオークを提
供するにある。

以下に本発明の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第１図は本発明に係るフロントフオーク１の縦
断側面図であり、外筒２の内部には上方から内筒
３が嵌入されており、外筒２の内底部にはシート
パイプ４が植設され、該シートパイプ４の拡径先
部４ａは図示の如く内筒３の内周部に摺接してい
る。

上記外筒２の上端内周部には内筒３の外周に摺
接するガイドブツシユ５及びオイルシール６が嵌
装され、更に外筒２の上端開放部はダストシール
７にて閉塞されており、他方該外筒２の下端部に
は車軸取付ブラケツト８が螺着されている。

又前記内筒３の上端にはフオークボルト９が螺
着され、他方これ３の内部下方にはシートパイプ
４外周に摺接するフリーバルブ１０が設けられて
いる。

更に前記シートパイプ４の上部及び下部外周に
は複数のオリフイス１１，１２…が夫々穿設され
ており、内筒３の内部で、且つシートパイプ４の
上端とフオークボルト９間にはコイルバネ１３が
張架されている。尚図面中１４はリバウンドスプ
リングである。

斯くして内、外筒３，２の内部には作動油及び
ガスが封入され、これら内、外筒３，２の相対伸
縮動に伴つて作動油が流動し、この作動油の前記
バルブ１０、オリフイス１１，１２…を通過する
際の流動損失で以つて所要の減衰力が得られる。

一方、内筒３の外周には上方より摺動パイプ１
５がこれの内周の上下に嵌着したリング状摺動部
材１６，１６を介して上下摺動自在に嵌合してい
る。この摺動パイプ１５の上端はキヤツプ１７に
て閉塞され、これ１５の下端開放部はダストシー
ル１８にて閉塞されており、更にこれ１５の外周
上下には車体への取付部材たるアツパーブラケツ
ト１９、アンダーブラケツト２０が夫々嵌着され
ている。

そして摺動パイプ１５内のキヤツプ１７とフオ
ークボルト９間には図示の如くコイルバネ２１が
張架され、又キヤツプ１７の中央下部からはロツ
ド２２がその上端を螺着されて垂下されている。
このロツド２２はフオークボルト９を摺動自在に
貫通し、これの下端にはストツパ２３がナツト２
４にて締結されており、該ストツパ２３とフオー
クボルト９間にはリバウンドスプリング２５が介
設されている。尚キヤツプ１７の下面で、且つロ
ツド２２の外周にはリバウンドラバー２６が設け
られている。尚上記コイルバネ２１のバネ定数は
前記コイルバネ１３のそれよりも小さく、同一荷
重に対してはより撓み変形し易いものとする。

而して摺動パイプ１５はこれの外周に設けた前
記アツパーブラケツト１９及びアンダーブラケツ
ト２０を介して車体側に連結され、他方外筒２の
下端部は前記取付ブラケツト８にて車軸に連結さ
れる。

次に以上説明したフロントフオーク１の作用に
ついて述べる。

まず圧縮行程について説明するに、前述の如く
コイルバネ２１のバネ定数の方がコイルバネ１３
のそれよりも小さく、コイルバネ２１の方がより
撓み易いため、圧縮初期においては内筒３は外筒
２に対して不動で、摺動パイプ１５のみが内、外
筒３，２に対して下動し、従つて外部からの小さ
な衝撃はコイルバネ２１の撓み変形で以つて有効
に吸収緩和され、乗心地性の向上が図られる。

以後コイルバネ２１の圧縮変形量が大きくな
り、該バネ２１の反力がコイルバネ１３を圧縮す
るに必要な力を超えて増大すれば、内筒３は外筒
２内に侵入を開始し、この内筒３の侵入に伴つて
内部の作動油が流動し、前述の如く作動油の流動
損失で以つて所要の減衰力が発生する。この結
果、大きな衝撃も有効に吸収緩和され、車体側へ
の衝撃の伝播は有効に遮断され、乗心地性の向上
が図られる。

次にフロントフオーク１が伸長行程に移行する
時はコイルバネ２１の反力でまず摺動パイプ１５
が上動し、次いで減衰を伴いながら内筒３が外筒
２に対して上動する。従つて、小さな衝撃は摺動
パイプ１５内のコイルバネ２１の伸び変形で以つ
て有効に吸収緩和される。

斯くして車輪が大きな衝撃を受ける際に有効な
減衰力が得られるようフロントフオーク１を調整
した場合においても、摺動パイプ１５の伸縮動に
伴うコイルバネ２１の伸縮によつて小さな衝撃が
有効に吸収緩和され、以つて乗心地性の更なる向
上が図られる。

次に本発明の変更実施例を第２図、第３図に
夫々示す。

第２図に示す例は摺動パイプ１１５と外筒１０
２間をダストブーツ１３０で繋ぎ、内筒１０３の
摺動面の保護を図つたものであり、又第３図に示
す例はリバウンドラバー２２６をフオークボルト
２０９の上面に位置せしめるとともに、摺動部材
２１５を内筒２０３の外周側に装着し、且つリバ
ウンドスプリング２２５を摺動パイプ２１５と内
筒２０３間に介設したものであるが、これら実施
例においても前記効果を奏し得ることは明らかで
ある。

以上の説明で明らかな如く本発明によれば、内
筒外周に摺動自在に嵌合する摺動パイプを車体側
アツパーブラケツトとアンダーブラケツト間に嵌
装し、該摺動パイプの上端をキヤツプにて閉塞す
るとともに、該キヤツプと内筒のフオークボルト
間にコイルバネを張架したため、該コイルバネの
伸縮によつて小さな衝撃を有効に吸収緩和するこ
とができ、乗心地性の更なる向上を図ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
本発明に係るフロントフオークの縦断側面図、第
２図及び第３図は本発明の変更実施例に係るフロ
ントフオーク要部の破断側面図である。 尚図面中２は外筒、３は内筒、９はフオークボ
ルト、１３，２１はコイルバネ、１５は摺動パイ
プ、１７はキヤツプ、１９はアツパーブラケツ
ト、２０はアンダーブラケツトである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内筒と外筒を摺動自在に嵌合し、車体と車軸
   間を懸架する車両用フロントフオークにおいて、
   内筒外周に摺動自在に嵌合する摺動パイプを車体
   側アツパーブラケツトとアンダーブラケツト間に
   嵌装し、該摺動パイプの上端をキヤツプで閉塞す
   るとともに、該キヤツプと内筒のフオークボルト
   間にコイルバネを張架したことを特徴とする車両
   用フロントフオーク。