JP4839093B2 - 減衰装置 - Google Patents
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Description
減衰装置は、一般的に、粘性流体が充填されたシリンダと、このシリンダ内で摺動するピストンと、このピストンに連結されたピストンロッドとを備え、ピストンの移動により粘性流体を複数の流体室間で移動させる構造を有している。そのための構成として、ピストンには粘性流体の通路が形成されており、粘性流体がこの通路を通過する際の粘性抵抗等が減衰力として得られるようになっている。
この減衰装置では、伸長側のストロークが増大するとスプリングの押圧力が弱まって、チェックバルブを通過する粘性流体の流動抵抗が下がるように作用する。これにより、伸長側のストロークの増大に伴って流動抵抗に基づく減衰力が低下するようになっている。
しかも、第1シリンダ(第2シリンダ用ピストン)が第2シリンダのピストンとして機能し、その分、部品点数を削減することができるので、第1シリンダが第2シリンダに内包されるという構造をとりながら、簡単な構造とすることができる。
減衰装置1が適用されるストラット型懸架装置30は、コイルスプリング31を備えてキャスター角に沿って立ち、減衰装置1を内蔵して頂部のストラットマウント32が図示しない車体側に固定される。また、減衰装置1の下端部が連結部材33を介してナックル34に固定され、このナックル34は、図示しない車体に揺動自在に連結されたロアアームLAで支持される。また、ナックル34には、図示しない軸受部が組み付けられており、この軸受部に支持されたドライブシャフトDSがハブHに連結されている。また、ナックル34には、図示しない操舵装置からのタイロッドTが連結されている。
シリンダチューブ2は、第1減衰部材10と、第2減衰部材20とを備え、第1減衰部材10が第2減衰部材20に移動可能に内包された二重構造となっている。本実施形態では、ピストンロッド3に入力された外力を、まず、第1減衰部材10で減衰し、この第1減衰部材10に入力された外力(第1減衰部材10で減衰されなかった外力)を第2減衰部材20で減衰するように構成している。
第1シリンダ11は、図3に示すように、外筒11aと内筒11bとからなる二重管となっており、これら外筒11aと内筒11bとが図示しないリブ等によって同心に結合されて、外筒11aと内筒11bとの間に流体室A3(以下、第1リザーバ室A3という)が形成されている。このような第1シリンダ11内には粘性流体として油が充填されている。
このような第1ボトムバルブ13は、第1シリンダ11における圧縮時に、内筒11bに侵入するピストンロッド3の侵入容積分の油が、チェックバルブ13cの開口から通路13dを通じて図示しないディスクバルブを変形させて開き、流体室A1から第1リザーバ室A3へ油を押し出して、圧側減衰力を得る。また、伸長時に、内筒11bから退出するピストンロッド3の退出容積分の油が、チェックバルブ13cを押し開き、第1リザーバ室A3から流体室A1へ補給され、伸側減衰力を得る。
また、ピストンロッド3の下端部および第1ボトムバルブ13の上端部には、圧縮時のフェイルセーフ機能として、サブバンプストップラバー3c,3cがそれぞれ設けられている。
また、第1シリンダ11の外周面には、第2シリンダ用ピストン22が設けられており、この第2シリンダ用ピストン22により、第2シリンダ21内が2つの流体室B1,B2に区画される。
さらに、第2シリンダ21は、これに充填される油が、第1シリンダ11に充填される油よりも粘性の大きいものとなっている。これにより、外部からの入力があったときには、その入力が第1シリンダ11で減衰され、その後に、第2シリンダ21によって減衰されるように減衰特性が設定されている。
なお、第2シリンダ21内における第1シリンダ11の往復動を円滑に行うために、第2シリンダ21の内壁部には、ベアリング25が設けられている。
このような第2ボトムバルブ23は、第2シリンダ21における圧縮時に、内筒21bに侵入するピストンロッド3の侵入容積分の油が、チェックバルブ23cの開口から通路23dを通じて図示しないディスクバルブを変形させて開き、流体室B1から第2リザーバ室B3へ油を押し出して、圧側減衰力を得る。また、伸長時に、内筒21bから退出するピストンロッド3の退出容積分の油が、チェックバルブ23cを押し開き、第2リザーバ室B3から流体室B1へ補給され、伸側減衰力を得る。
さらに、ストラットマウント32の下部のスプリングシート32aの下方には、ピストンロッド3の周りにバンプストップラバー4が設けられている。また、シリンダチューブ2の上部は、外カバー5で覆われている。
図示しない車両が走行して路面の凹凸や加減速によりタイヤ40(図1参照)が上下動すると、減衰装置1では、ピストンロッド3がシリンダチューブ2に対して上下に相対動する。
このように、圧縮時に、はじめにピストンロッド3が第1シリンダ11内に侵入するのは、前記と同様に、第1シリンダ11内の油の粘性よりも第2シリンダ21内の油の粘性のほうが大きく設定されていること、およびボトムスプリング24による保持力が第1シリンダ11に作用していることに起因する。つまり、第1シリンダ11に充填されている油よりも、第2シリンダ21に充填される油のほうが粘性の大きいものを使用しているので、ピストンロッド3による外力が入力されたときは、まず、第1シリンダ11内でその外力が減衰されるとともに、その後に、第1シリンダ11に外力が及んだときに、第2シリンダ21内で第1シリンダ11が移動されて、第1シリンダ11に及んだ外力が減衰されるように作用する。これにより、第1シリンダ11内で減衰されなかった大きな外力は、段階的に第2シリンダ21内で減衰されることとなる。
この状態から引き続きピストンロッド3に圧縮方向の外力が作用すると、ボトムスプリング24のばね力に抗して第1シリンダ11が第2シリンダ21内を下動し、結果として、第2シリンダ21内にピストンロッド3がさらに侵入する(図5(c)参照)。
この状態から外力によりピストンロッド3が伸長側に引き続き移動すると、ボトムスプリング24の付勢力に抗して第1シリンダ11が第2シリンダ21内を上動する状態となり、結果として、第2シリンダ21内からピストンロッド3が退出する。
また、第1減衰部材10と第2減衰部材20との減衰特性を異ならせる手法としては、第1シリンダ用ピストン12、第2シリンダ用ピストン22の通路やバルブ等の仕様を変更することが挙げられる。この場合、第1シリンダ11と第2シリンダ21との油の粘性が同じでも、バルブ等を通過する駅の流量が異なることによって、減衰特性を異ならせることができる。
また、第1シリンダ11内および第2シリンダ21内は、3つ以上の流体室に区画してもよい。
2 シリンダチューブ
3 ピストンロッド
3b 第1シリンダ用リバウンドラバー
3c サブバンプストップラバー
4 バンプストップラバー
A1,A2 流体室
A3 第1リザーバ室
B1,B2 流体室
B3 第2リザーバ室
10 第1減衰部材
11 第1シリンダ
12 第1シリンダ用ピストン
13 第1ボトムバルブ
20 第2減衰部材
21 第2シリンダ
22 第2シリンダ用ピストン
23 第2ボトムバルブ
24 ボトムスプリング
26 第2シリンダ用リバウンドラバー
Claims (1)
- 外力が入力されるピストンロッドと、このピストンロッドに入力された外力を減衰する第1減衰部材と、この第1減衰部材と異なる減衰特性を有し、当該第1減衰部材を移動可能に内包して、前記第1減衰部材に入力された外力を減衰する第2減衰部材とを備え、
前記第1減衰部材は、粘性流体が充填された第1シリンダと、前記ピストンロッドに連結されて前記第1シリンダ内に摺動可能に設けられ、第1シリンダ内を少なくとも2つの流体室に区画する第1シリンダ用ピストンとを含み、
前記第2減衰部材は、前記第1シリンダの周囲全体を満たすように粘性流体が充填され、前記第1シリンダの全体を摺動可能に内包する第2シリンダを含んでおり、
前記第1シリンダの外周面における軸方向の略中央位置には、前記第2シリンダのピストンとして機能する第2シリンダ用ピストンが設けられているとともに、
前記第2シリンダの外部には、前記第1シリンダ用ピストンに連結された前記ピストンロッドのみが導出されており、
さらに、前記第1シリンダは、前記第1シリンダの摺動方向に伸縮する弾性部材で前記第2シリンダ内の所定位置に保持されることを特徴とする減衰装置。
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