JP4296015B2 - フロントフォーク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体側チューブと車軸側チューブの内部に倒立型ダンパを内装し、車体側および車軸側チューブと上記ダンパとの間に気体室と液室とを形成したフロントフォークに関し、特に、収縮時の液室の作動液体の液面上昇に伴い当該作動液体により減衰力を発生するフロントフォークの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるこの種フロントフォークは、車体側チューブたるアウターチューブと車軸側チューブたるインナーチューブの内部に単筒倒立型ダンパを内装するとともに、アウターチューブおよびインナーチューブとダンパとの間に気体室と油溜室とを形成し、また、シリンダに支持されインナーチューブに摺接する仕切部材と、仕切部材に穿った油路と、オリフィスを備えたチェック弁とを設けて構成され、フロントフォークが収縮時には当該油路をチェック弁が閉塞遮断して、油溜室内の作動油の移動に対し上記オリフィスで絞り抵抗を与えるとともに、フロントフォークが伸長時にはチェック弁が開弁して当該油路を開放し作動油を通過させるようにしている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、このフロントフォークによれば、収縮時にはダンパが発生する減衰力に上述の油溜室内の作動油がオリフィスを通過するときの圧力損失による減衰力を加味して圧縮行程時の減衰力を補うとともに、伸長時にはチェック弁が開弁して油溜室内の作動油が抵抗無く通過するので、伸長行程時の減衰力をダンパの発生する減衰力のみとして、乗り心地の向上を図っている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−330076号公報(第5頁左欄第28行目から第5頁右欄第22行目、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のフロントフォークにあっては、以下の不具合を指摘される恐れがある。
【0006】
すなわち、フロントフォークの収縮時に、シリンダとインナーチューブの相対移動およびシリンダの油溜室内への侵入により油面が上昇する。この収縮過程で、油面が上記オリフィスに達するまでは、ダンパの減衰力発生機構により減衰力を発生させており、油面がオリフィスに達した後は作動油がオリフィスを通過するときに発生する減衰力がダンパの発生する減衰力に加味されることとなる。
【0007】
また、仕切部材がシリンダに支持されているので、フロントフォークがある長さまで収縮すると、突然に上記作動油による減衰力が発生することとなり、この減衰力はオリフィスによる圧力損失により発生しているので、アウターチューブに対するインナーチューブの相対速度の二乗に比例したものとなる。
【0008】
したがって、この突然に発生する減衰力により二輪車の乗り心地がごつごつとしたものとなってしまい乗り心地が悪化する危惧がある。特にアウターチューブに対するインナーチューブの相対速度が比較的高い場合にはこの乗り心地の悪化が顕著となる。
【0009】
そこで、本発明は、上記した弊害を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、ダンパが発生する減衰力に液室内の作動液体がオリフィスを通過するときの圧力損失による減衰力を加味して圧縮行程時の減衰力を補うフロントフォークにあっても、二輪車の乗り心地を向上することができるフロントフォークを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の課題可決手段は、車体側チューブと、上記車体側チューブ内に摺動自在に挿入した車軸側チューブと、上記車体側チューブと車軸側チューブとの内部に設けたダンパとを有し、上記ダンパが上記車体側チューブに連結したシリンダ体と、上記車軸側チューブに連結されて上記シリンダ体に出没可能に挿入されたロッド体とを有し、更に上記車体側チューブおよび上記車軸側チューブの各内周と上記ダンパの外周との間の隙間に作動液体を充填したフロントフォークにおいて、上記シリンダ体外周と上記車体側チューブ又は車軸側チューブの内周との間に収縮時に作動液体の液面上昇に伴い作動液体が通過する流路を形成し、当該流路の途中に車軸側から車体側に向けて順に開口面積が小さくなる二つ以上の開口面積の異なるオリフィスを設け、当該各オリフィスにより収縮が進行するにつれて段階的に発生減衰力を高くさせることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、フロントフォークの収縮が進行するにつれて、段階的に発生減衰力が高くなる、つまり、車体側チューブと車軸側チューブとの相対位置に依存して段階的に発生減衰力を変化させることができる。
【0012】
したがって、フロントフォークの収縮に伴い徐々に発生減衰力を高めていくので、従来のフロントフォークのように突然に発生する減衰力により二輪車の乗り心地がごつごつとしたものとなってしまうという不具合を解消することができ、二輪車の乗り心地を向上することができるのである。
【0013】
また、特にオリフィス径を小さく設定しておけば、高い減衰力を発生することが可能となり、シリンダ体と車軸側チューブ、車体側チューブと車軸側チューブ、あるいは、シリンダ体とロッド体の干渉、いわゆる底づきを防止することも可能となり、かつ、オイルロックによる底づき防止に比較して乗り心地の点で有利となる。
【0014】
また、本発明の第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、車体側チューブをアウターチューブとし、車軸側チューブがインナーチューブに設定されてなり、シリンダ体と車軸側チューブとの間に区画部材を設け、この区画部材に流路および上記オリフィスを設けたことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の第3の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、車体側チューブをインナーチューブとし、車軸側チューブがアウターチューブに設定されてなり、シリンダ体と車体側チューブとの間に区画部材を設け、この区画部材に流路および上記オリフィスを設けたことを特徴とする。
【0016】
したがって、第2,第3の課題解決手段によれば、流路と開口面積の異なるオリフィスを備えた区画部材を設けるだけで、簡易に発生減衰力を段階的に変化させることができるので、車体側チューブ、車軸側チューブもしくはシリンダ体に流路とオリフィスとを形成するような複雑な構成とする必要がなく、また、既存のフロントフォークにも適用できる利点がある。また、区画部材を上記構成としたので、肉厚円筒体とした場合に比較して軽量となり、また、材料費の点でも有利である。
【0017】
そして、本発明の第4の課題解決手段は、第2の課題解決手段において、区画部材が、車体側チューブに担持されるとともにシリンダ体外周に嵌合する円筒状の基端部と基端部から延設される中空の栽頭円錐状の中間部と中間部から延設され基端部より大径円筒状の先端部とで構成され、上記区画部材の先端部および中間部の内周とシリンダ体外周との隙間で流路と第1のオリフィスとを形成し、中間部に上記流路と中間部外方とを連通する第2のオリフィスを設け、先端部外周に車軸側チューブ内周に摺接する摺接部を設けたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の第5の課題解決手段は、第3の課題解決手段において、区画部材が、車体側チューブに担持されるとともにシリンダ体外周に嵌合する円筒状の基端部と、基端部から延設される中空の栽頭円錐状の中間部と、中間部から延設され基端部より大径円筒状の先端部とで構成され、上記区画部材の先端部および中間部の内周とシリンダ体外周との隙間で流路と第1のオリフィスとを形成し、中間部に上記流路と中間部外方とを連通する第2のオリフィスを設け、先端部に車体側チューブ内周に摺接する摺接部もしくは結合する結合部を設けたことを特徴とする。
【0019】
したがって、第4,第5の課題解決手段によれば、本発明に必要な複数のオリフィスのうち1つは環状オリフィスとできるので、区画部材の強度低下を補償でき、これにより区画部材の変形による弊害、すなわち、発生減衰力が所定値とならないことやフロントフォークの伸縮の阻害、さらに、区画部材がバネ受けとしての機能も果たす場合にはこの変形により懸架バネが車体側チューブ、車軸側チューブあるいはシリンダ体と干渉してこれら部材を傷めてしまうことや上記干渉による異音発生、作動不良を防止できる。したがって、フロントフォークの性能悪化や劣化を防止することができる。
【0020】
さらに、本発明の第6の課題解決手段は、第2から第5のいずれかの課題解決手段において、区画部材が、車体側チューブと車軸側チューブとの間に介装される懸架バネを支持するバネ受けを兼ねることを特徴とする。
【0021】
したがって、第6の課題解決手段によれば、区画部材がバネ受けを兼ねているので、別途区画部材を設けることに比較して部品点数が減少し、製造コストも低減される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図1から図4に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明におけるフロントフォークの第1の実施の形態を示し、
図2図2は本発明におけるフロントフォークの第2の実施の形態を示し、
図3は本発明のフロントフォークの区画部材の変形例を示し、
図4は本発明のフロントフォークの区画部材の他の変形例を示している。
各実施の形態は、車体側チューブ1と、上記車体側チューブ1内に摺動自在に挿入した車軸側チューブ2と、上記車体側チューブ1と車軸側チューブ2との内部に設けたダンパDとを有し、上記ダンパDが上記車体側チューブ1に連結したシリンダ体3と、上記車軸側チューブ2に連結されて上記シリンダ体3に出没可能に挿入されたロッド体5とを有し、更に上記車体側チューブ1および上記車軸側チューブ2の各内周と上記ダンパDの外周との間の隙間に作動液体Oを充填したものである。
そして、上記シリンダ体3外周と上記車体側チューブ1又は車軸側チューブ2の内周との間に収縮時に作動液体Oの液面上昇に伴い作動液体Oが通過する流路を形成し、当該流路の途中に車軸側から車体側に向けて順に開口面積が小さくなる二つ以上の開口面積の異なるオリフィス13,33,53,57,60をそれぞれ設け、当該各オリフィスにより収縮が進行するにつれて段階的に発生減衰力を高くさせるものである。
第1の実施の形態におけるフロントフォークは、図1に示すように、車体側チューブ1と、車軸側チューブ2と、ダンパDと、車体側チューブ1および車軸側チューブ2の内周と上記ダンパDの外周との間の隙間に充填された作動液体Oと、区画部材10と、懸架バネ18とで構成されている。
【0023】
さらに、詳細に説明すると、車体側チューブ1は、有底筒状に形成され、その底部、すなわち図1中上端内側から垂下されたカラー1aを備えており、このカラー1aの内周側には、ダンパDを構成するシリンダ体3が連結されている。なお、車体側チューブ1は、図示したところによると有底筒状となっているが、円筒体と端部を封止する封止部材とから構成してこの封止部材にシリンダ体3を連結してもよく、カラー1aについても、別部材としてシリンダ体3および上述の円筒体に対し図1中上下に移動させることができるように構成してもよく、この場合には、カラー1aを上下移動可能としておくことにより、後述の懸架バネ18における初期荷重を調整できて便利である。
【0024】
他方、車軸側チューブ2も有底筒状に形成され、その底部、すなわち図1中下端内側には、ダンパDを構成するロッド体5が連結されている。なお、車軸側チューブ2は、図示したところによると有底筒状となっているが、円筒体と端部を封止する封止部材とから構成してこの封止部材にロッド体5を連結してもよいことは勿論である。また、図示はしないが、車軸側チューブ2の下端近傍には二輪車の車軸を連結するブラケット(図示せず)が適宜設けられる。
【0025】
そして、上述した車体側チューブ1内に車軸側チューブ2を摺動自在に挿入してある。すなわち、この場合、車体側チューブ1はいわゆるアウターチューブに設定され、車軸側チューブ2はいわゆるインナーチューブに設定されている。また、図示はしないが、車体側チューブ1と車軸側チューブ2との間には、その摺動性確保のための軸受部材(図示せず)、および、車体側チューブ1および車軸側チューブ2の内部を密封状態とするためのシールが適宜設けられる。
【0026】
さらに、車体側チューブ1と車軸側チューブ2の内部に設けられるダンパDには、従来より周知のダンパを使用すればよく、その詳しいところは省略するが、その構成は、たとえば、シリンダ体3と、シリンダ体3内に摺動自在に挿入されたピストン(図示せず)と、複数の流路(図示せず)と各流路(図示せず)中に設けられる減衰力発生要素(図示せず)とを備えたピストン(図示せず)を介してシリンダ体3内に移動自在に挿入されるロッド体5と、を備えており、上記ピストン(図示せず)でシリンダ体3内を作動室たるピストン側室(図示せず)とロッド側室(図示せず)とを隔成し、シリンダ体3内に作動油等の作動液体が封入されて構成されるとともに、特に単筒型に設定される場合にはシリンダ体3内にフリーピストン(図示せず)を摺動自在に挿入してシリンダ体3内を上記作動室と気体室とを隔成して、ロッド体5がシリンダ体3に対し出没する際に過不足となる作動液体を補償するようにされてなり、他方、複筒型に設定される場合には、シリンダ体3内にさらに内筒を設け、内筒(図示せず)内に上記ピストン(図示せず)およびロッド体5を挿入し、シリンダ体3内周と内筒(図示せず)外周との間の隙間をリザーバとして、ロッド体5が内筒に対し出没する際に過不足となる作動液体を補償するようにされてなるものである。すなわち、上記したところでは、単筒型、複筒型いずれにおいてもシリンダ体3内にロッド体5が出没する際にはピストン(図示せず)に設けた減衰力発生要素減衰力(図示せず)により所定の減衰力を発生可能なものである。
【0027】
したがって、上記したところでは、車体側チューブ1にダンパDを構成するシリンダ体3を連結するとともに、車軸側チューブ2に当該シリンダ体3に出没可能に挿入されるロッド体5を連結しているので、車体側チューブ1に対し車軸側チューブ2が相対移動すると、この相対移動を抑制するようにダンパDが減衰力を発生することが可能であり、すなわち、このフロントフォークにあっては、たとえば、図示はしないが、車体側チューブ1の上端近傍がブラケット(図示せず)を介して二輪車の車体側に連結されるとともに、車軸側チューブ2の下端近傍に設けられるであろうブラケット(図示せず)を介して二輪車の車軸側が連結されて、二輪車が走行中に路面から入力される振動を抑制するために使用される。
【0028】
つづいて、区画部材10について説明すると、区画部材10は、円筒状の基端部11と、基端部11から延設される中空の栽頭円錐状の中間部12と、中間部12から延設され基端部11より大径円筒状の先端部14と、先端部14外周に嵌合されたガイド15と、ガイド15の外周に嵌合したブッシュ16とで構成されている。そして、基端部11がシリンダ体3に嵌合されるとともに、基端部11の図1中上端は、車体側チューブ1のカラー1aに当接され、中間部12にはその内方と外方とを連通する複数のオリフィス13が穿設され、先端部14の図1中下端から外周にかけてガイド15が嵌合され、このガイド15の図1中下端と車軸側チューブ2の底面との間には懸架バネ18が介装されている。すなわち、この区画部材10は車体側チューブ1のカラー1aにより担持されて、バネ受けとしての役割を有している。さらに、先端部14は、シリンダ体3に対し若干の隙間をもって対向しており、この先端部14とシリンダ体3外周との間の隙間で流路が形成されると同時に、ガイド15の内周とシリンダ体3外周との間の隙間で環状オリフィス17が形成される。また、この環状オリフィス17の開口面積は、上記複数のオリフィス13の総開口面積より大きくなるように設定される。
【0029】
そして、先端部14の外周に嵌合するガイド15の外周には、ブッシュ16を嵌合しており、このブッシュ16を車軸側チューブ2の内周に摺接させており、これにより、車体側チューブ1と車軸側チューブ2との摺動性が確保される。なお、この区画部材10にあっては、ガイド15およびブッシュ16を設けて車軸側チューブ2に摺接させて、このブッシュ16を摺接部としているが、ガイド15およびブッシュ16を設けず区画部材10の先端部14を、たとえば、車軸側チューブ2の保護および摺動性確保の観点から、三層構造として、外周をフッ化エチレン樹脂層として、中間層に銅と錫の多孔質合金として、内周を鋼若しくは青銅として、先端部14の外周を車軸側チューブ2の内周に摺接させてもよい。この場合には、先端部14の下端を内周側に彎曲させるか折り曲げて、この下端とシリンダ体3外周との隙間で環状オリフィスを形成するとすればよい。また、この区画部材10の場合には、懸架バネ18のバネ受けとしての機能を果たすが、懸架バネ18およびカラー1aから負荷される圧縮力に充分耐えうる強度を有し、かつ、摺動性を確保可能なプラスチック等の材料により成形してもよく、この場合にも、ガイド15およびブッシュ16を廃してもよい。
【0030】
また、本実施の形態においては、カラー1aと懸架バネ18により区画部材10が所定の位置に固定されているが、区画部材10の基端部11を廃して中間部12の内周をシリンダ体3にスナップリングにより係止させるか、もしくは、本実施の形態より基端部11の上下長さを短くして、短くした基端部11の上端をシリンダ体3にスナップリングにより係止させるとしてもよい。この場合、懸架バネ18の初期荷重調整は、車軸側チューブ2の下端側に懸架バネ18を図1中上下方向に移動させるカラーを設けて行うとよい。なお、本実施の形態においては、基端部11をシリンダ体3の外周に嵌合しているだけであるので、特にダンパDが単筒型に設定されている場合には、シリンダ体3の強度をいたずらに低下させることがないので、上述のように、スナップリング等を使用して区画部材10をシリンダ体3に係止させる場合に比較してフロントフォークの耐久面で有利であると同時に、区画部材10に過負荷がかかった場合にシリンダ体3をも変形させてしまうという危惧がなくなるので、フロントフォークの性能悪化を防止という点でも優れる。なお、区画部材を、上述の基端部と、基端部の下端にシリンダ体3外周と車軸側チューブ2内周とに摺接する肉厚の円筒体とを有する構成として、この円筒体に流路をオリフィス13,17とを形成してもよいが、区画部材10を上記のように構成したので、肉厚円筒体とした場合に比較して軽量となり、また、材料費の点でも有利である。
【0031】
そして、さらに、このように構成したフロントフォークにあっては、ダンパDの外周と、車体側チューブ1と車軸側チューブ2の内周との間の隙間には、液面SLとなる作動液体Oが充填される。なお、この作動液体Oの充填量についてであるが、少なくとも車体側チューブ1に車軸側チューブ2が侵入して最収縮状態となったときに、シリンダ体3が作動液体O中に侵入する体積からロッド体5がシリンダ体3内に侵入する体積を除した分およびシリンダ体3と車軸側チューブ2の相対移動分だけ、液面SLが図1中上方に上昇するが、そのとき液面SLが区画部材10の中間部12より図1中上方、すなわち、破線で示した液面SU程度に達するような量に適宜充填される。
【0032】
また、液面SLより上方の空間、すなわち、ダンパDの外周と車体側チューブ1および車軸側チューブ2の内周との間であって液面SLより上方の空間には、気体(付示せず)が封入されており、この気体(付示せず)は上述の液面SLの上昇とともに、圧縮されるので気体バネとしての役割を果たすことができる。この気体は、気体バネとしての効果を特に期待する場合には、加圧して封入してもよい。
【0033】
さて、上記のように構成されたフロントフォークの作用であるが、このフロントフォークが収縮する、すなわち、車体側チューブ1に車軸側チューブ2が侵入する場合には、車軸側チューブ2の車体側チューブ1内への侵入およびダンパDのシリンダ体3内にロッド体5が侵入するので、作動液体Oの液面SLを図1中上方に押し上げていくこととなる。さらに、フロントフォークが収縮すると、やがて、作動液体Oの液面SLは区画部材10のガイド15とシリンダ体3外周で作られる環状オリフィス17がある位置まで上昇する。このとき、区画部材10のブッシュ16が車軸側チューブ2の内周に摺接しているので、作動液体Oは上記環状オリフィス17を通過することとなる。そして、この環状オリフィス17の前後では圧力損失が発生してフロントフォークの収縮を妨げるように減衰力を発生する。さらに、フロントフォークが収縮すると、作動液体Oはシリンダ体3と区画部材10の先端部14との間に形成された流路を通過して、その液面SLは区画部材10の中間部に設けたオリフィス13にまで達するようになる。そして、作動液体Oはさらにフロントフォークが収縮を続けることによりオリフィス13を通過して中間部12の外周側に流入する。すると、このオリフィス13を作動液体Oが通過するときに発生する圧力損失により、このフロントフォークは減衰力を発生することとなるが、各オリフィス13の総開口面積は、上記環状オリフィス17の開口面積より小さく設定されているので、作動液体Oがオリフィス13を通過する時の減衰力は、環状オリフィス17を通過するときの減衰力に比較して高くなる。すなわち、このフロントフォークにあっては、その収縮が進行するにつれて、段階的に発生減衰力が高くなる、つまり、車体側チューブ1と車軸側チューブ2との相対位置に依存して段階的に発生減衰力を変化させることができるのである。
【0034】
したがって、フロントフォークの収縮に伴い徐々に発生減衰力を高めていくので、従来のフロントフォークのように突然に発生する減衰力により二輪車の乗り心地がごつごつとしたものとなってしまうという不具合を解消することができ、二輪車の乗り心地を向上することができるのである。
【0035】
また、特にオリフィス径を小さく設定しておけば、高い減衰力を発生することが可能となり、車体側チューブと車軸側チューブの底づきを防止することも可能となる。
【0036】
さらに、区画部材がバネ受けを兼ねているので、バネ受けとは別に別途区画部材を設けることに比較して部品点数が減少し、製造コストも低減される。
【0037】
また、本発明では複数のオリフィスを必要とし、区画部材にいくつもの口径の異なるオリフィスを穿設しなくてはならないが、うち1つは環状オリフィスとしたので、区画部材の強度低下を補償でき、これにより区画部材の変形による弊害、すなわち、発生減衰力が所定値とならないことやフロントフォークの伸縮の阻害、さらには、区画部材がバネ受けとしての機能を果たす場合には、この変形により懸架バネが車体側チューブ、車軸側チューブあるいはシリンダ体と干渉してこれら部材を傷めてしまうことや上記干渉による異音発生を防止できる。したがって、フロントフォークの性能悪化、劣化を防止できる。
【0038】
そして、さらに、流路と開口面積の異なるオリフィスを備えた区画部材を設けたるだけで、簡易に発生減衰力を段階的に変化させることができるので、車体側チューブ、車軸側チューブもしくはシリンダ体に流路とオリフィスとを形成するような複雑な構成とする必要が無く、また、既存のフロントフォークにも適用できる利点がある。
【0039】
また、区画部材を上記構成としたので、区画部材をシリンダ体と車軸側チューブとの隙間を埋めるような肉厚円筒体とした場合に比較して軽量となり、また、材料費の点でも有利である。
【0040】
つぎに、本発明の第2の実施の形態におけるフロントフォークの説明をする。第2の実施の形態におけるフロントフォークは、図2に示すように、車体側チューブ21と、車軸側チューブ22と、ダンパDと、車体側チューブ21および車軸側チューブ22の内周と上記ダンパDの外周との間の隙間に充填された作動液体Oと、区画部材30と、懸架バネ18とで構成されている。
【0041】
以下、第1の実施の形態と異なる点を中心に詳細に説明すると、車体側チューブ21は、第1の実施の形態と同様に、有底筒状に形成され、その底部、すなわち図1中上端内側から垂下されたカラー21aを備えており、このカラー21aの内周側には、ダンパDを構成するシリンダ体3が連結されている。なお、車体側チューブ21は、図示したところによると有底筒状となっているが、円筒体と端部を封止する封止部材とから構成してこの封止部材にシリンダ体3を連結してもよく、カラー21aについても、別部材としてシリンダ体3および上述の円筒体に対し図2中上下に移動させることができるように構成してもよく、この場合には、カラー21aを上下移動可能としておくことにより、後述の懸架バネ18の初期荷重を調整できて便利であることは、第1の実施の形態と同様である。
【0042】
他方、車軸側チューブ22も第1の実施の形態と同様に、有底筒状に形成され、その底部、すなわち図2中下端内側には、ダンパDを構成するロッド体5が連結されている。なお、車軸側チューブ22は、図示したところによると有底筒状となっているが、円筒体と端部を封止する封止部材とから構成してこの封止部材にロッド体5を連結してもよいことは勿論である。また、図示はしないが、車軸側チューブ2の下端近傍には二輪車の車軸を連結するブラケット(図示せず)が適宜設けられる。
【0043】
そして、上述した車体側チューブ21は車軸側チューブ22内に摺動自在に挿入してある。すなわち、第1の実施の形態では車体側チューブ1はいわゆるアウターチューブに設定されが、車軸側チューブ2はいわゆるインナーチューブに設定されていたが、この第2の実施の形態においては、車体側チューブ21はいわゆるインナーチューブに設定され、車軸側チューブ2はいわゆるアウターチューブに設定されている点で第1の実施の形態と異なる。
【0044】
また、図示はしないが、車体側チューブ21と車軸側チューブ22との間には、その摺動性確保のための軸受部材(図示せず)、および、車体側チューブ21および車軸側チューブ22の内部を密封状態とするためのシールが適宜設けられるのは第1の実施の形態と同様である。
【0045】
なお、車体側チューブ21と車軸側チューブ22の内部に設けられるダンパDは、上述の実施の形態と同様である。
【0046】
したがって、上記したところでは、車体側チューブ21にダンパDを構成するシリンダ体3を連結するとともに、車軸側チューブ22に当該シリンダ体3に出没可能に挿入されるロッド体5を連結しているので、車体側チューブ21に対し車軸側チューブ22が相対移動すると、この相対移動を抑制するようにダンパDが減衰力を発生することが可能であり、また、このフロントフォークにあっても、二輪車が走行中に路面から入力される振動を抑制するために使用されるものである。
【0047】
つづいて、区画部材30について説明すると、その形状は第1の実施の形態と略同様であり、区画部材30は、円筒状の基端部31と、基端部31から延設される中空の栽頭円錐状の中間部32と、中間部32から延設され基端部31より大径円筒状の先端部34とで構成されている。そして、基端部31がシリンダ体3に嵌合されるとともに、基端部31の図2中上端は、車体側チューブ21のカラー21aに当接され、中間部32にはその内方と外方とを連通する複数のオリフィス33が穿設され、先端部34の図2中外周は、車体側チューブ21内周に摺接している。したがって、この場合には先端部34外周が摺接部となる。さらに、この先端部34の図2中下端と車軸側チューブ22の底面との間には懸架バネ18が介装されている。すなわち、この区画部材30は車体側チューブ21のカラー21aにより担持されて、バネ受けとしての役割を有している。さらに、先端部34は、シリンダ体3に対し若干の隙間をもって対向しており、この先端部34とシリンダ体3外周との間の隙間で流路が形成され環状オリフィス37が形成される。また、この環状オリフィス37の開口面積は、上記複数のオリフィス33の総開口面積より大きくなるように設定される。
【0048】
なお、上述したところによると、先端部34の外周を車体側チューブ22内周に摺接しているが、摺接させることに換えて結合してもよい。この場合には先端部34の外周が結合部となるが、そうすると懸架バネ18の初期荷重の調整が車体側チューブ21のカラー21aでできなくなるので、懸架バネ18の初期荷重調整は、車体側チューブ22の下端側に懸架バネ18を図2中上下方向に移動させるカラーを設けて行うとよい。
【0049】
また、本実施の形態においも、区画部材30の基端部31を廃して中間部32の内周をシリンダ体3にスナップリングにより係止させるか、もしくは、本実施の形態より基端部31の上下長さを短くして、短くした基端部31の上端をシリンダ体3にスナップリングにより係止させるとしてもよい。
【0050】
そして、やはり、このように構成したフロントフォークにあっても、上述した第1の実施の形態と同様に、ダンパDの外周と、車体側チューブ21と車軸側チューブ22の内周との間の隙間には、液面SLとなる作動液体Oが充填される。なお、この作動液体Oの充填量についてであるが、少なくとも車体側チューブ21に車軸側チューブ22が侵入して最収縮状態となったときに、シリンダ体3が作動液体O中に侵入する体積からロッド体5がシリンダ体3内に侵入する体積を除した分およびシリンダ体3と車軸側チューブ22の相対移動分だけ、液面SLを図2中上方に押し上げるが、そのとき液面SLが区画部材30の中間部32より図2中上方、すなわち、破線で示した液面SU程度に達するような量に適宜充填される。
【0051】
また、液面SLより上方の空間、すなわち、ダンパDの外周と車体側チューブ21および車軸側チューブ22の内周との間であって液面SLより上方の空間には、気体(付示せず)が封入されており、この気体(付示せず)は上述の液面SLの上昇とともに、圧縮されるので気体バネとしての役割を果たすことができる。この気体は、気体バネとしての効果を特に期待する場合には、加圧して封入してもよい。
【0052】
さて、上記のように構成されたフロントフォークの作用であるが、このフロントフォークが収縮する、すなわち、車体側チューブ21に車軸側チューブ22が侵入する場合には、車体側チューブ21の車軸側チューブ22内への侵入およびダンパDのシリンダ体3内にロッド体5が侵入するので、作動液体Oの液面SLを図2中上方に押し上げていくこととなる。さらに、フロントフォークが収縮すると、やがて、作動液体Oの液面SLは区画部材30の先端部34の下端内周とシリンダ体3外周で作られる環状オリフィス37がある位置まで上昇する。このとき、区画部材30の先端部34外周が車体側チューブ21の内周に摺接しているので、作動液体Oは上記環状オリフィス37を通過することとなる。そして、この環状オリフィス37の前後では圧力損失が発生してフロントフォークの収縮を妨げるように減衰力を発生する。さらに、フロントフォークが収縮すると、作動液体Oはシリンダ体3と区画部材30の先端部34との間に形成された流路を通過して、その液面SLは区画部材30の中間部に設けたオリフィス33にまで達するようになる。そして、作動液体Oはさらにフロントフォークが収縮を続けることによりオリフィス33を通過して中間部32の外周側に流入する。すると、このオリフィス33を作動液体Oが通過するときに発生する圧力損失により、このフロントフォークは減衰力を発生することとなるが、各オリフィス33の総開口面積は、上記環状オリフィス37の開口面積より大きく設定されているので、作動液体Oがオリフィス33を通過する時の減衰力は、環状オリフィス37を通過するときの減衰力に比較して高くなる。すなわち、このフロントフォークにあっては、その収縮が進行するにつれて、段階的に発生減衰力が高くなる、つまり、車体側チューブ21と車軸側チューブ22との相対位置に依存して段階的に発生減衰力を変化させることができるのである。
【0053】
つまり、第1の実施の形態と同様の作用を奏することができる。したがって、その効果も第1の実施の形態と同様であって、フロントフォークの収縮に伴い徐々に発生減衰力を高めていくので、従来のフロントフォークのように突然に発生する減衰力により二輪車の乗り心地がごつごつとしたものとなってしまうという不具合を解消することができ、二輪車の乗り心地を向上することができるのである。
【0054】
また、特にオリフィス径を小さく設定しておけば、高い減衰力を発生することが可能となり、シリンダ体と車軸側チューブの底づきを防止することも可能となる。
【0055】
また、上述したところから明らかなように、車体側チューブがインナーチューブとして、あるいは、アウターチューブとして設定されてもよいということである。
【0056】
さらに、区画部材がバネ受けを兼ねているので、バネ受けとは別に別途区画部材を設けることに比較して部品点数が減少し、製造コストも低減される。
【0057】
また、本発明では複数のオリフィスを必要とし、区画部材にいくつもの口径の異なるオリフィスを穿設しなくてはならないが、うち1つは環状オリフィスとしたので、区画部材の強度低下を補償でき、これにより区画部材の変形による弊害、すなわち、発生減衰力が所定値とならないことやフロントフォークの伸縮の阻害、さらには、区画部材がバネ受けとしての機能を果たす場合には、この変形により懸架バネが車体側チューブ、車軸側チューブあるいはシリンダ体と干渉してこれら部材を傷めてしまうことや上記干渉による異音発生を防止できる。したがって、フロントフォークの性能悪化、劣化を防止できる。
【0058】
そして、さらに、流路と開口面積の異なるオリフィスを備えた区画部材を設けたるだけで、簡易に発生減衰力を段階的に変化させることができるので、車体側チューブ、車軸側チューブもしくはシリンダ体に流路とオリフィスとを形成するような複雑な構成とする必要が無く、また、既存のフロントフォークにも適用できる利点がある。
【0059】
また、区画部材を上記構成としたので、区画部材をシリンダ体と車軸側チューブとの隙間を埋めるような肉厚円筒体とした場合に比較して軽量となり、また、材料費の点でも有利である。
【0060】
さらに、区画部材の変形例について説明する。この変形例における区画部材50は、図3に示すように、円筒状の基端部51と、基端部51から延設される中空の栽頭円錐状の第1中間部52と、第1中間部52から延設され基端部51より大径円筒状の第2中間部54と、この第2中間部54から延設される中空の栽頭円錐状の第3中間部56と、この第3中間部56から延設されシリンダ体3に嵌合する第4中間部58と、この第4中間部58から延設される中空の栽頭円錐状の第5中間部59と、この第5中間部59から延設され基端部51より大径円筒状の先端部61と、先端部61外周に嵌合されたガイド62と、ガイド62の外周に嵌合したブッシュ63と、第2中間部54の外周に嵌合されたブッシュ55とで構成されている。そして、基端部51がシリンダ体3に嵌合されるとともに、基端部51の図3中上端は、図示はしないが、第1の実施の形態と同様に車体側チューブ1のカラー1aに当接されている。また、第1中間部52、第3中間部56および第5中間部59には、それぞれその内方と外方とを連通する複数のオリフィス53,57,60が穿設され、先端部61の図3中下端から外周にかけてガイド62が嵌合され、図示はしないが第1の実施の形態と同様に、このガイド62の図3中下端と車軸側チューブ2の底面との間には懸架バネ18が介装されている。すなわち、この区画部材50にあっても、車体側チューブ1のカラー1aにより担持されて、バネ受けとしての役割を有している。さらに、先端部61は、シリンダ体3に対し若干の隙間をもって対向しており、この先端部61とシリンダ体3外周との間の隙間と、シリンダ体3内周と各中間部52,54,56とで作られる空間と、各中間部56,58,59と車軸側チューブ2内周とで作られる空間とで流路が形成されると同時に、ガイド62の内周とシリンダ体3外周との間の隙間で環状オリフィス64が形成される。また、この場合に、複数のオリフィス53の総開口面積、複数のオリフィス57の総開口面積、複数のオリフィス60の総開口面積および環状オリフィス64の開口面積は、複数のオリフィス53の総開口面積、複数のオリフィス57の総開口面積、複数のオリフィス60の総開口面積、環状オリフィス64の開口面積の順に大きくなるように設定されている。
【0061】
そして、先端部61の外周に嵌合するガイド62の外周および第2中間部54の外周には、それぞれ、ブッシュ63,55を嵌合しており、このブッシュ63,55を車軸側チューブ2の内周に摺接させている。なお、区画部材50の材質についても、第1の実施の形態と同様であるので、その詳しい説明を省略する。
【0062】
したがって、この区画部材50を備えたフロントフォークにあっては、第1の実施の形態と同様に、フロントフォーク収縮時には、作動液体Oの液面上昇に伴い、作動液体Oが各オリフィス53,57,60および環状オリフィス64を通過することとなるが、第1の実施の形態に比較して、他段階に発生減衰力を変化させることができるので、第1の実施の形態の作用効果を奏すると同時に、二輪車の乗り心地を一層向上させることが可能である。
【0063】
最後に、区画部材の他の変形例について説明する。この他の変形例における区画部材70は、図4に示すように、円筒状の本体71と、本体71の図4中下端近傍に隔設された複数の円盤72,73,74とで構成され、本体71はシリンダ体3に嵌合され、複数の円盤72,73,74の各外径は、円盤74、円盤73、円盤72の順に大きくなるように設定されている。そして、この各円盤72,73,74の外周と車軸側チューブ2内周と間の隙間で、それぞれ環状オリフィス75,76,77を形成している。すなわち、環状オリフィス75の開口面積、環状オリフィス76の開口面積および環状オリフィス77の開口面積は、環状オリフィス75の開口面積、環状オリフィス76の開口面積、環状オリフィス77の開口面積の順に大きくなるように設定されている。
【0064】
そして、本体71の図4中上端は、図示はしないが、第1の実施の形態と同様に車体側チューブ1のカラー1aに当接されており、その図4中下端と車軸側チューブ2の底面との間には懸架バネ18が介装されている。すなわち、この区画部材70にあっても、車体側チューブ1のカラー1aにより担持されて、バネ受けとしての役割を有している。そして、この場合にあっては、本体71と各円盤72,73,74と車軸側チューブ2内周で作られる空間で流路が形成される。
【0065】
したがって、この区画部材70を備えたフロントフォークにあっても、第1の実施の形態と同様に、フロントフォーク収縮時には、作動液体Oの液面上昇に伴い、作動液体Oが各環状オリフィス77,76,75を通過することとなるが、第1の実施の形態に比較して、他段階に発生減衰力を変化させることができるので、第1の実施の形態の作用効果を奏すると同時に、二輪車の乗り心地を一層向上させることが可能である。
【0066】
さらに、各円盤72,73,74は、車軸側チューブ2内周に摺接させる必要がないので、区画部材70を特に摺動性に優れる材質のもので製造する必要はなく、また、ガイドやブッシュを備える必要もないので、部品点数が少なくて済み、製造コストも低減される。
【0067】
ちなみに、上述したところでは、区画部材70の本体71に複数の円盤72,73,74を設けて、複数の開口面積の異なるオリフィスを形成しているが、区画部材を車軸側チューブあるいは車体側チューブとシリンダ体との間の隙間の巾と略同じ巾の肉厚を有する円筒体として、その外周と車軸側チューブあるいは車体側チューブとの間にできる隙間を流路として、この流路が区画部材の上方ほど狭くなるように区画部材の外周を勾配または彎曲させたものとしてもよい。この場合には、作動液体の上昇に伴い、流路が無段階に狭くなっていくので、無段階に発生減衰力を大きくすることができる。
【0068】
なお、この区画部材70の図4中下端に、懸架バネ18の内周が嵌合する突起部を設けておけば、懸架バネ18のセンタリングも容易にできると同時に、懸架バネ18とシリンダ体3との干渉を防止して、異音の発生、シリンダ体3の劣化を防止することも可能である。
【0069】
また、上記した図3および図4に示した区画部材50、区画部材70の説明において、車体側チューブ1をアウターチューブとして説明したが、これら区画部材50,70においても、車体側チューブ1をインナーチューブとしてもよいことは勿論である。
【0070】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【0071】
【発明の効果】
各請求項の発明によれば、フロントフォークの収縮が進行するにつれて、段階的に発生減衰力が高くなる、つまり、車体側チューブと車軸側チューブとの相対位置に依存して段階的に発生減衰力を変化させることができる。
【0072】
したがって、フロントフォークの収縮に伴い徐々に発生減衰力を高めていくので、従来のフロントフォークのように突然に発生する減衰力により二輪車の乗り心地がごつごつとしたものとなってしまうという不具合を解消することができ、二輪車の乗り心地を向上することができるのである。
【0073】
また、特にオリフィス径を小さく設定しておけば、高い減衰力を発生することが可能となり、シリンダ体と車軸側チューブ、車体側チューブと車軸側チューブ、あるいは、シリンダ体とロッド体の干渉、いわゆる底づきを防止することも可能となり、かつ、オイルロックによる底づき防止に比較して乗り心地の点で有利となる。
【0074】
そして、請求項2および請求項3の発明によれば、流路と開口面積の異なるオリフィスを備えた区画部材を設けるだけで、簡易に発生減衰力を段階的に変化させることができるので、車体側チューブ、車軸側チューブもしくはシリンダ体に流路とオリフィスとを形成するような複雑な構成とする必要がなく、また、既存のフロントフォークにも適用できる利点がある。また、区画部材を上記構成としたので、肉厚円筒体とした場合に比較して軽量となり、また、材料費の点でも有利である。
【0075】
さらに、請求項4および請求項5の発明によれば、本発明に必要な複数のオリフィスのうち1つは環状オリフィスとできるので、区画部材の強度低下を補償でき、これにより区画部材の変形による弊害、すなわち、発生減衰力が所定値とならないことやフロントフォークの伸縮の阻害、さらに、区画部材がバネ受けとしての機能も果たす場合にはこの変形により懸架バネが車体側チューブ、車軸側チューブあるいはシリンダ体と干渉してこれら部材を傷めてしまうことや上記干渉による異音発生を防止できる。したがって、フロントフォークの劣化を防止することができる。
【0076】
そして、請求項6の発明によれば、区画部材がバネ受けを兼ねているので、別途区画部材を設けることに比較して部品点数が減少し、製造コストも低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるフロントフォークの概略縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態におけるフロントフォークの概略縦断面図である。
【図3】本発明のフロントフォークの区画部材の変形例の縦断面図である。
【図4】本発明のフロントフォークの区画部材の他の変形例の縦断面図である。
【符号の説明】
1,21 車体側チューブ
2,22 車軸側チューブ
3 シリンダ体
5 ロッド体
10,30,50,70 区画部材
11,31,51,71 基端部
12,32 中間部
13,33,53,57,60 オリフィス
14,34,61 先端部
15,62 ガイド
16,55,63 ブッシュ
17,37,64,75,76,77 環状オリフィス
18 懸架バネ
52 第1中間部
54 第2中間部
56 第3中間部
58 第4中間部
59 第5中間部
72,73,74 円盤
D ダンパ
O 作動液体
SL 液面

Claims (6)

  1. 車体側チューブと、上記車体側チューブ内に摺動自在に挿入した車軸側チューブと、上記車体側チューブと車軸側チューブとの内部に設けたダンパとを有し、上記ダンパが上記車体側チューブに連結したシリンダ体と、上記車軸側チューブに連結されて上記シリンダ体に出没可能に挿入されたロッド体とを有し、更に上記車体側チューブおよび上記車軸側チューブの各内周と上記ダンパの外周との間の隙間に作動液体を充填したフロントフォークにおいて、上記シリンダ体外周と上記車体側チューブ又は車軸側チューブの内周との間に収縮時に作動液体の液面上昇に伴い作動液体が通過する流路を形成し、当該流路の途中に車軸側から車体側に向けて順に開口面積が小さくなる二つ以上の開口面積の異なるオリフィスを設け、当該各オリフィスにより収縮が進行するにつれて段階的に発生減衰力を高くさせることを特徴とするフロントフォーク。
  2. 車体側チューブをアウターチューブとし、車軸側チューブがインナーチューブに設定されてなり、シリンダ体と車軸側チューブとの間に区画部材を設け、この区画部材に流路および上記オリフィスを設けたことを特徴とする請求項1に記載のフロントフォーク。
  3. 車体側チューブをインナーチューブとし、車軸側チューブがアウターチューブに設定されてなり、シリンダ体と車体側チューブとの間に区画部材を設け、この区画部材に流路および上記オリフィスを設けたことを特徴とする請求項1に記載のフロントフォーク。
  4. 区画部材が、車体側チューブに担持されるとともにシリンダ体外周に嵌合する円筒状の基端部と基端部から延設される中空の栽頭円錐状の中間部と中間部から延設され基端部より大径円筒状の先端部とで構成され、上記区画部材の先端部および中間部の内周とシリンダ体外周との隙間で流路と第1のオリフィスとを形成し、中間部に上記流路と中間部外方とを連通する第2のオリフィスを設け、先端部外周に車軸側チューブ内周に摺接する摺接部を設けたことを特徴とする請求項2に記載のフロントフォーク。
  5. 区画部材が、車体側チューブに担持されるとともにシリンダ体外周に嵌合する円筒状の基端部と、基端部から延設される中空の栽頭円錐状の中間部と、中間部から延設され基端部より大径円筒状の先端部とで構成され、上記区画部材の先端部および中間部の内周とシリンダ体外周との隙間で流路と第1のオリフィスとを形成し、中間部に上記流路と中間部外方とを連通する第2のオリフィスを設け、先端部に車体側チューブ内周に摺接する摺接部もしくは結合する結合部を設けたことを特徴とする請求項3に記載のフロントフォーク。
  6. 区画部材が、車体側チューブと車軸側チューブとの間に介装される懸架バネを支持するバネ受けを兼ねることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載のフロントフォーク。
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