JP4703000B2 - 活性水の製造装置、これにより得られる活性水、及び該活性水を用いた冷却塔のスケール・緑藻の付着防止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性水の製造装置、これによって得られる活性水、及び該活性水を用いた冷却塔のスケール・スライム・緑藻の除去及び付着防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、工場やビル等の内部における温度や湿度の管理や制御は、室内空調設備によって行われている。現在広く行われているシステムとしては、上水道水や工業用水や地下水等の水を利用して、冷却塔から空調機、或いは冷却塔から冷凍機への水の循環で熱交換する水冷方式が主流である。水冷方式としては、冷却塔での気化熱作用で、循環水のかなりの量が蒸発したり飛散するため、この蒸発したり飛散した量に相当する水を常に補給しつつ循環水を冷凍機やコンプレッサー等の熱交換機へと循環し、温度差を管理する熱交換方法が一般的である(図2参照)。この蒸発したり飛散して減少した循環水を補給するための水のことを一般に補給水と呼んでいる。
【0003】
上記水冷方式に使用される循環水には、先に述べたように、上水道水や工業用水や地下水等が用いられているが、水の種類によって水質が異なり、又、同じ上水道水であっても地域によって水質に差があることが知られている。更に、その含有量はそれぞれ異なるものの、循環水に用いられるこれらの水の中には、カルシウムやマグネシウムやシリカ等のミネラル分や、或いは、微量金属や塩素イオン、各種有機物等が必ず含まれている。このため、上記のいずれの水を循環水として使用した場合にも、これらの成分が要因となって、冷却塔内部と熱交換機器との循環経路で、スケール(水中に溶けているカルシウム等が固着したもの)やスライム(微生物の集合したもの)や緑藻が発生し、循環水の接触部に付着・堆積した状態で固着することが起こり、室内空調設備における熱効率低下の原因となり、熱効率安定の妨げになっている。
【0004】
これに対し、室内空調設備の熱効率の維持を図るために、接触部に固着したスケールやスライムや緑藻を除去する目的で、通常は、定期的なメンテナンスとして、設備を停止し、フィルター部分を外し、場合によっては装置の一部を解体して、物理的に或いは薬品を使用して洗浄することが行われている。更に、循環水中のスケールやスライムや緑藻の発生を抑制或いは防止する目的で、循環水中に種々の薬品等を投与することや、錆びを防止するために防錆剤を付与したり、緑藻や細菌の繁殖を防止するために、殺藻作用や殺菌作用のある薬品や抗菌部材を使用すること等が行われている。上記に挙げたような洗浄剤やスケール防止剤等の各種の薬品を使用した場合には、排水処理の必要が生じる。このため、現在行なわれている水冷方式では、洗浄処理費用や各種薬品費用等、ランニングコストが大きな負担になっている。
【0005】
更に、近年、産業界において急発展している情報技術(IT)産業では、温度や湿度がほぼ完璧な状態に制御されたクリーンルームを必要とするが、このようなクリーンルームを実現させるためには大量の水を消費することが不可欠となる。即ち、前述したスケール等の固着や、ミネラル分の濃縮による電気伝導率の低下に起因して生じる熱効率低下を防ぐために、現状では、多量の循環水を冷却塔内でオーバーフローさせながら運転管理することが必要となっているからである。このため、メンテナンスに際して何らかの薬品等を用いた場合にはその使用量が多くなり、その分のランニングコストもかかり、又、排水処理にかかる費用も通常の場合よりも多くなる。更に、経済的な面ばかりではなく、地球規模での環境保護が叫ばれている現代にあっては、室内空調システムにおいても環境負荷の低減を考慮する必要に迫られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、薬品を使用することなく、冷却塔内部と熱交換機器との循環経路において循環水中に発生するスケールやスライムや緑藻の発生を抑制し、これらが循環水の接触部に固着或いはミネラル分の濃縮によって生じる室内空調設備における熱効率低下を有効に防止し得る、経済性に優れ、更には、環境問題の発生を抑制できる活性水、該活性水が得られる活性水の製造装置、更に、該活性水を用いた冷却塔のスケール・スライム・緑藻の除去及び付着防止方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、冷却塔の熱交換機器循環水の補給水に用いられる活性水を得るための活性水の製造装置であって、水道水が有する程度の水圧で上水道水や工業用水や地下水からなる原水を単に通過させる処理筒内に、少なくとも、シラス微粉を用いた特殊セラミック粒と、永久磁石及び磁鉄鉱石粒とが充填されており、上記特殊セラミック粒が、シラス微粉、無機バインダー及び水を加えて混練りして5〜25mmの造粒物を造粒し、その後に650〜1200℃の温度で焼成して得られたものであることを特徴とする活性水の製造装置、及び該装置によって得られた活性水である。更に、本発明は、冷却塔の熱交換機器循環水の少なくとも補給水に上記の活性水の製造装置によって得られた活性水を用いることを特徴とするスケール・緑藻の付着防止方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく、冷却塔に使用する循環水について鋭意検討の結果、シラス微粉を用いた特殊セラミック粒と、永久磁石及び磁鉄鉱石粒とが少なくとも充填された処理筒に原水を通過させることによって得られた水は、冷却塔の循環水に、或いは、少なくとも冷却塔の補給水に用いると、理由は明確ではないが、冷却塔内部と熱交換機器との循環経路において循環水中に発生するスケールやスライムや緑藻の発生を格段に抑制でき、この結果、これらが循環水の接触部に固着することがなくなるので、これら固着物によって生じていた室内空調設備における熱効率低下を有効に防止することが可能となることを知見して本発明に至った。
【0009】
即ち、本発明者らは、循環水の水質について詳細な検討を行っていく過程で、例えば、水道水を冷却塔の循環水として用いている場合に、該循環水の補給水として、本発明の活性水を用い、その状態を継続すると、循環水の接触部分に固着したスケールやスライム等が剥離して除去され、更に、剥離したスケールやスライム等が循環水中で再固着することが殆どなく、緑藻の繁殖も抑制され、従来は、オーバーフローさせた循環水のタンク内に繁茂していた緑藻の存在がなくなり、清澄な状態となることがわかった。更に、かかる驚くべき効果は、少なくともシラスを主成分とする特殊セラミック粒と、永久磁石及び磁鉄鉱石粒の混合物とが層状に充填されている充填物の間を、水道水の水圧程度の軽い圧力をかけて通常の水道水を単に通過させるという簡単な処理のみによって得られる本発明の活性水を、単に冷却塔の補給水として使用するだけで、特別の薬品を使用することもなく、電解装置等の煩雑な装置を設置することもなく簡単に得られることがわかった。本発明者らの検討によれば、上記した簡単な処理によって得られた本発明の活性水を用いると、処理前の通常の水道水等では考えられなかった種々の効果が得られることがわかった。このため、本明細書では、この水を通常の水と区別して活性水と呼ぶ。
【0010】
本発明者らは、上記の優れた効果が得られる原因について明らかにすべく水の検討を行った。この結果、活性水の製造装置の処理筒内を、水道水が有する程度の水圧で上水道水や工業用水や地下水等の原水を単に通過させるだけで、明らかに、これらの水の特性が変化することが確認できた。例えば、従来より知られている電解装置を用いた機能水等では、水素イオン濃度(pH)が、2〜3と低いものや11以上と高いものが多いが、本発明の活性水は、ほぼ中性であるが、原水に比べて溶存酸素量及び表面張力が高くなる傾向があった。又、酸化還元電位が原水と比較して100〜200mV程度低くなっていることがわかった。酸化還元電位(ORP)は、その物質が他の物質を酸化し易い状態にあるか還元され易い状態にあるかを表す指標であり、この値がプラスで大きければ酸化力が強く、マイナスで大きければ還元力が強くなる。本発明の活性水は、原水と比較して酸化還元電位が低くなるためか、後述するように、通常の水道水では鉄や銅は腐食し錆びるが、本発明の活性水を使用すると、錆びにくくなるだけではなく、錆びを落す効果がみられることもわかった。
【0011】
本発明者らの検討によれば、例えば、本発明の活性水を冷却塔の補給水として用いると、下記に挙げるような従来の水では達成できなかった種々の顕著な効果が得られる。
(1)前記した冷却塔の補給水として用いることで、循環経路において循環水中に発生するスケールやスライムや緑藻の発生を抑制することができ、更に、補給し続ければ、循環水の接触部に固着していたスケール等が次第に剥離され、除去される。この結果、これらが固着することによって生じる室内空調システムの熱効率の低下を有効に防止でき、この結果、通常の室内空調システムでは勿論、クリーンルームに対する室内空調システムであっても過剰な量の冷却水を使用することなく、熱効率を安定して維持できる。
【0012】
(2)冷却塔の運転管理において、高い電気伝導率での運転が可能であるため、大きな節水に貢献できる。即ち、先に述べたように、循環水の一部は蒸発して消失するが、その際にミネラル分は水中に残留するためミネラル分が濃縮し、電気伝導率が上昇し、良好な運転ができなくなる。このため、通常は、循環水の一部を捨てて、その分の補給水の量を増やすことで電気伝導率を低下させて運転をしている。これに対し、本発明の活性水を補給水として使用した場合には、高い電気伝導率でも良好な状態での運転が可能であるので、捨てる水の量を大幅に削減でき、大きな節水が可能となり、これに伴う種々の経済的な効果や環境保全効果がもたらされる。
【0013】
(3)薬品を一切使用しないので、薬品にかかるコスト及び薬品を添加したことによって生じる排水処理にかかるコストをなくすことができ、この面で非常に経済的であり、しかも、環境汚染を生じることがない。
【0014】
(4)従来は、スケール等が循環水の接触部に固着した場合には、空調システムを停止し、フィルター部分や機器の一部を解体して洗浄する等、定期的にメンテナンスする必要があったが、本発明の活性水を少なくとも補給水として用いれば、上記したようなメンテナンスは不要になり、メンテナンス費用の節減が図られる。更には、クリーンルームにおける製造ライン等においては、空調システムを停止させることによって製造ラインを停止しなければならない場合があり、製品の製造効率の低下に繋がるが、本発明の活性水を少なくとも補給水として用いれば、かかる事態を生じることがないので、この点からも高い経済効果が得られる。
【0015】
(5)本発明の活性水を補給水として使用する場合には、単に、冷却塔の処理能力(m2/Hr.)に応じた簡易な構造の活性水の製造装置を補給水の流入口の手前に配置するだけで済むので、従来の空調システムを変更する必要がなく、更に、設置工事も室内空調システムを長時間に渡って停止することなく、補給系配管への簡単なバイパス工事のみで済むという利点もある。
【0016】
(6)更に、本発明の活性水を補給水として使用する際には、活性水の製造装置を補給系配管に取り付けて通常の水圧で原水を通過させるだけで、特別の稼動装置や制御装置を必要としないで済み、又、その後に特別のメンテナンスをすることなく長期間の使用が可能であり、ランニングコストは殆どゼロであるといっても過言ではなく、非常に経済的である。
【0017】
本発明の活性水は、特に、シラス微粉を用いた特殊セラミック粒と、強力永久磁石及び磁鉄鉱石粒との混合物が充填された処理筒に上水道水等の原水を通過させることで得られるが、特に、下記のような構成の本発明の活性水の製造装置によって容易に得られる。例えば、図1に示したような、処理筒内に、活性炭と、茶色及び/又は白色の堆積砂粒とが層状に充填されている浄化部と、シラス微粉を用いた特殊セラミック粒と、永久磁石及び磁鉄鉱石粒の混合物とが層状に充填されている活性部とを有し、且つ、浄化部から活性部へと原水が17〜36cm/secの速さで通過するように構成されている活性水の製造装置を使用することで、上記で述べた種々の効果が得られる活性水を容易に得ることができる。特に、図1に示したように、処理筒内に、活性炭、茶色の堆積砂、白色の堆積砂、強力永久磁石と該磁石に引き寄せられた状態の磁鉄鉱石粒及びシラス微粉を用いた特殊セラミック粒が、この順に層状に充填されており、こられの層の間を上記の順に、原水が通過するように構成されている装置を用いることが好ましい。
【0018】
以下、上記の活性水の製造装置に使用する各充填物について説明する。
(1)シラス微粉を用いた特殊セラミック粒
本発明の活性水の製造に特に重要な役割を担っていると考えられるものであって、特に、シラス微粉、無機バインダー及び水を加えて混練りして5〜25mmの造粒物を造粒し、その後に650〜1200℃の温度で2〜5時間焼成して得られるものを使用することが好ましい。
【0019】
上記シラスは、南九州(特に、鹿児島県の大隅地方)に広く分布する白色砂質堆積物であり、火山ガラスと斜長石、石英、輝石等から構成されているが、これらの中の火山ガラスは、1000℃の急速加熱によってガラスバルーンとして分離することができる。このようにして得られたものはシラスバルーンと呼ばれて、例えば、塗料やプラスチックや建築材料等の添加材として広く用いられている。本発明で使用する特殊セラミック粒は、このようなシラスを主原料として用いる。
【0020】
本発明では、この南九州に広く分布する白色砂質堆積物であるシラスを主原料として得られる特殊セラミック粒を使用する。シラスは、地下の深部から高温のマグマが地表に近づくにつれて温度が次第に低下してくると、結晶分化作用が起こり、マグマ中の主成分であるSiO2、Al2O3、Fe2O3、FeO、MgO、CaO及びNa2O等が互いに集まり鉱物として晶出し始めると言われている。このような自然現象で生じた鉱物が、鹿児島県の大隅半島に存在する川の長い間の浸食作用で堆積し、白色砂質堆積物となって存在している。本発明では、この白色古代堆積物から、2〜100μm程度の砂分を選別し、微粉末分を得、これを特殊セラミック粒の原料に使用することが好ましい。
【0021】
本発明では、上記したようなシラス粉末を原料として用い、このシラス粉末に、陶土ような天然成分を配合し、造粒し、乾燥した造粒物を電気炉にて焼成して球状多孔質セラミックを作製して特殊セラミック粒を作製する。先ず、上記したシラス粉末素材をロータリーキルンにて200〜400℃で乾燥し、その後に分級して0.5〜100μmの微粉末を得る。次に、上記のようにして得られたこのシラス微粉末に、バインダーとしてベントナイトを加え、更に、造粒を容易とするために適宜な量の水を加え、シラス微紛:ベントナイト+水=65〜80:10〜20:5〜15程度の混合比の混合物を充分に混練りする。次に、得られた混練り物を造粒して、5〜30mm径程度の白色球状粒子を作製する。次に、このようにして得られた球状粒子を、150〜250℃程度の温度に加温した乾燥炉に入れ、水分を揮発させて充分に乾燥する。更に、この絶乾状態にした白色球状粒子を、バッチ式電気炉を使用して650〜1200℃の温度で、より好ましくは、750〜1050℃で、2〜5時間かけて焼成すると、褐色の多孔質球状焼成物が得られるが、本発明では、これを特殊セラミック粒として用いる。かかる特殊セラミック粒の気孔率は20〜70%であり、又、嵩比重は1.2〜1.8kg/cm3である。その吸水率は5〜40%の範囲である。尚、上記では、特殊セラミック粒の形状を球状粒子としたが、かかる形状に限定されないのは勿論である。例えば、接触面積がより多い形状のものを使用することも好ましい形態である。
【0022】
(2)永久磁石及び磁鉄鉱石粒の混合物
市販されている磁束密度が100〜500T(テスラー)の範囲の磁鉄鉱石粒を用い、該磁鉄鉱石粒中に、例えば、ディスク状等の強力な磁力を有する永久磁石を入れて、磁鉄鉱石粒が磁石の強い磁力によって引き寄せられている状態になるように構成された充填層を形成することが好ましい。磁鉄鉱石粒としては、5〜15mm程度の大きさに砕いた小石形状のものを使用することが好ましい。
【0023】
(3)茶色堆積砂粒
南九州のシラス台地の特定層の中に含まれている茶褐色の砂粒分を使用することが好ましい。その主成分は、SiO2、Al2O3、FeO3である。0.5〜5mmの範囲を箭い分けたものを使用することが好ましい。又、ロータリーキルンにて150〜250℃の温度で滅菌処理したものを用いることが好ましい。
【0024】
(4)白色堆積砂粒
鹿児島県の大隅半島に分布するシラス台地にある特定層の中に含まれている白色の砂粒分を使用することが好ましい。その主成分は、SiO2、Al2O3、FeO3である。0.5〜5ミリの範囲を箭い分けたものを使用することが好ましい。又、ロータリーキルンにて150〜250℃の温度で滅菌処理したものを用いることが好ましい。
【0025】
(5)活性炭
市販されている0.5〜5mm程度の粒径の椰子殻活性炭を使用することが好ましい。
【0026】
本発明の活性水の製造装置は、上記した各充填剤を用い、例えば、冷却塔の大きさに応じて、100〜600mmφのSUS304製の管体からなる処理筒を用いればよい。そして、浄化部には、図1に示したように、上記で説明したような活性炭、茶色の堆積砂粒、白色の堆積砂粒を順に層状となるように充填し、活性部には、永久磁石及び磁鉄鉱石粒の混合物、及び特殊セラミック粒を順に層状となるように充填し、図1に示したような本発明の活性水の製造装置を作製する。各充填物の割合としては、処理筒の大きさによっても異なるが、容積率で、活性炭:(茶色の堆積砂粒+白色の堆積砂粒):永久磁石及び磁鉄鉱石粒の混合物:特殊セラミック粒=17〜35:17〜30:8〜16:25〜40の範囲で適宜に選択すればよい。茶色の堆積砂粒と白色の堆積砂粒との使用割合としては、3:1〜12:1の範囲で適宜に選択すればよい。又、永久磁石及び磁鉄鉱石粒の混合物中の永久磁石としては、処理筒の大きさによっても異なるが、20〜50mmφのディスク状の強力な磁力を有するものを、1〜10個程度用いることが好ましい。
【0027】
本発明の活性水を得るためには、上記のような構成を有する本発明の活性水の製造装置の層状の充填物の間を、浄化部から活性部の方向へ原水を17〜36cm/secの速さで通過させるだけでよいが、原水が上記の速度で通過するようにするためには、ある程度加圧した状態で原水を導入する必要がある。例えば、0.2〜0.4MPa程度の水圧で、原水を装置内に導入させればよい。原水としては、上水道水や工業用水や地下水等の水をいずれも利用できるが、工業用水や地下水を使用する場合には、前処理して上水道水程度の水質にしたものを使用することが好ましい。
【0028】
更に、原水が最初に通過する、活性炭と茶色及び/又は白色の堆積砂粒とが層状に充填されている浄化部には、長期間運転していると原水中の有機物等が徐々に吸着するので、浄化部と活性部との間を区画し、浄化部に活性水を製造するのとは逆方向に原水を流して逆洗できるような構造とすることも好ましい形態である。このような構造とすれば、定期的に浄化部を逆洗するだけで、長期間に渡って良好な状態の活性水を得ることが可能となる。浄化部と活性部との間を区画する方法としては、処理筒内の垂直方向の中央近傍に、金属や合成樹脂製の適宜なメッシュの網、又は、天然繊維や合成い繊維からなる各種の布状フィルターを設ける等の方法が挙げられる。
【0029】
本発明の活性水は、前記したように、冷却塔の循環水(少なくとも補給水)に用いた場合に種々の効果が得られるが、本発明者らの検討によれば、次に述べるような効果をも有することを確認している。
(1)通常防錆剤を使用しないで水道水を用いると鉄や銅は腐食し、錆を発生させるが、本発明の活性水中に鉄や銅を浸漬すると、錆びないだけでなく、既に錆が発生している場合には、錆が落ちるという効果が得られる。本発明者らの検討によれば、鉄の赤錆は、本発明の活性水に接触させると、安定な黒錆に変わり、この結果、その後の錆腐食が抑制されることを確認している。
【0030】
(2)本発明の活性水を貫流ボイラーに使用すると、従来、使用することが要求されていたミネラル分を低下させるための軟水機や、ミネラル分の固着を防止するための清缶剤等を一切使用することなく、安定な運転が可能となるという効果が得られる。
【0031】
(3)本発明の活性水を通常の洗浄水として使用した場合に、従来の水洗浄では取りきれなかった薬品の残りやシミが、より迅速に除かれるという効果が得られる。その結果、例えば、金メッキ特有の赤いシミや、ハンダ鍍全のシミや、クロメート処理後の黄色いシミ等の発生が有効に抑制されることを確認している。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
<実施例1>
外径200mm、長さ400mmのSUS304製の一端に、ステンレス製の網状の底板が設けられている管体に、図1に示したように、特殊セラミック粒を4.48リットル(充填比率:33.8%)、永久磁石及び磁鉄鉱石粒の混合物を1.03リットル(充填比率:7.8%)、白色の堆積砂粒を2.35リットル(充填比率:17.7%)、茶色の堆積砂粒0.34リットル(充填比率:2.6%)及び活性炭を5.05リットル(充填比率:38.1%)、この順に層状に充填した。上記において、永久磁石は30mmφのディスク状のものを4個使用した。シラス微粉を用いた特殊セラミック粒としては、1050℃で焼成した20〜25mmφの球状のものを使用した。
【0033】
上記本実施例の装置を、冷却塔の補給水の流入口の手前に配置し、上水道水を0.2MPaの水圧で、17.7cm/secの速さで通過させ、出てきた水を補給水として使用し、夏の冷房を使用する5ケ月間の間、この状態で連続運転した。
この結果、初期から5か月後まで、この冷却塔に接続された空調機使用開始後、2週間目頃から、循環水の接触部に付着・堆積した状態で固着していたスケール及びスライムが溶解・剥離・膨潤し始めたことが認められ、2ヶ月程度で、目視では勿論、写真でもはっきりとその効果がわかる程にきれいになった。又、循環水のタンク内の緑藻が次第(1ヶ月以内)に枯れ始め、最初は青粉が浮遊し、水底の見えない状態のタンク内の水が、次第に清澄なものになり、水底が見える程に澄んだ状態となった。
【0034】
【発明の効果】
上記で説明したように、本発明によれば、薬品を使用することなく、冷却塔内部と熱交換機器との循環経路において循環水中に発生するスケールやスライムや緑藻の発生を抑制し、これらが循環水の接触部に固着したり、或いはミネラル分の濃縮によって生じる室内空調設備における熱効率低下を有効に防止し得る、経済性に優れ、更には、環境問題の発生を抑制できる活性水、該活性水が得られる活性水の製造装置、かかる活性水を用いた冷却塔のスケール・スライム・緑藻の除去及び付着防止方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の活性水の製造装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】室内空調設備等に用いる冷却塔の構造を示す概略図である。
Claims (7)
- 冷却塔の熱交換機器循環水の補給水に用いられる活性水を得るための活性水の製造装置であって、水道水が有する程度の水圧で上水道水や工業用水や地下水からなる原水を単に通過させる処理筒内に、少なくとも、シラス微粉を用いた特殊セラミック粒と、永久磁石及び磁鉄鉱石粒とが充填されており、上記特殊セラミック粒が、シラス微粉、無機バインダー及び水を加えて混練りして5〜25mmの造粒物を造粒し、その後に650〜1200℃の温度で焼成して得られたものであることを特徴とする活性水の製造装置。
- 前記無機バインダーがベントナイトであり、前記造粒物が750〜1050℃の温度で焼成され、前記特殊セラミック粒の吸水率が5〜40%である請求項1に記載の活性水の製造装置。
- 更に、処理筒内に、活性炭、茶色及び/又は白色の堆積砂粒が充填されている請求項1又は2に記載の活性水の製造装置。
- 処理筒内が、活性炭と、茶色及び/又は白色の堆積砂粒とがこの順で層状に充填されている浄化部と、シラス微粉を用いた特殊セラミック粒と、永久磁石及び磁鉄鉱石粒が層状に充填されている活性部を有し、且つ、浄化部から活性部へと上記原水が17〜36cm/secの速さで通過するように構成されている請求項3に記載の活性水の製造装置。
- 浄化部と活性部とがフィルターで区画され、浄化部に活性水を製造するのとは逆方向に原水を流して逆洗できるように構成されている請求項4に記載の活性水の製造装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性水の製造装置によって得られ、且つ、水素イオン濃度(pH)が中性で、その酸化還元電位が、原水と比較して100〜200mV低いことを特徴とする活性水。
- 冷却塔の熱交換機器循環水の少なくとも補給水に請求項6に記載の活性水を用いることを特徴とするスケール・緑藻の付着防止方法。
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