JP4702543B2 - R−t−b−c型希土類焼結磁石 - Google Patents

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本発明は、R−T−B−C型焼結磁石に関し、特にモーターや電子部品、電気機器の産業分野で有用な、変動する磁界中において渦電流による発熱を抑え、損失を低減した高い磁気特性を有するR−T−B−C型焼結磁石に関するものである。
希土類磁石は、組成、製造方法の開発、効率化により(BH)maxで50MGOe以上、保磁力(iHc)で30kOe以上の高特性磁石の製造が可能になり、これまで使用されていたボイスコイルモーター(VCM)やCD、DVDのピックアップセンサーなどのコンピュータ関連、MRIなどの医療関連分野をはじめ、近年ではモーターやセンサーなどの電気・電子部品などの分野での使用も広がっている。
例えば、永久磁石式モーターでは、従来安価なフェライト磁石が使用されてきたが、モーターの小型、高効率化の要求に対し、希土類磁石への置き換えが進んでいる。一般に使用されている希土類磁石のうち、Sm−Co系磁石はキュリー温度が高いため、磁気特性の温度変化が小さい。また耐蝕性も高く、表面処理を必要としない。しかし、組成上、多くのCoを含むため非常に高価である。一方、Nd−Fe−B系磁石は永久磁石の中で飽和磁化が最も高く、また安価なFeを主成分とすることから安価である。しかし、キュリー点が低いため磁気特性の温度変化が大きく、耐熱性に劣る。同時に耐蝕性も劣っているため、用途によって適切な表面処理を施す必要がある。
希土類磁石は金属であるため、比電気抵抗は、フェライト磁石の比電気抵抗と比較すると、2桁低い150μΩ・cm程度である。従って、モーターなどの回転機器でこの希土類磁石を使用すると、変動磁場が磁石に印加するため、電磁誘導により発生する渦電流が流れ、その電流によるジュール熱により永久磁石が発熱する。永久磁石の温度が高くなると、特にNd−Fe−B系焼結磁石の場合、磁気特性の温度変化が大きいため、磁気特性が低下し、その結果モーターの効率も劣化する。この劣化を渦電流損失という。
この対策として、
(1)磁石の保磁力を上げる、
(2)磁石を磁化方向に小分割する、
(3)磁石内部に絶縁層を設ける、
(4)磁石の比電気抵抗を上げるなどの方法が検討、提案されている。
(1)の方法は、Nd−Fe−Bの一部をDyなどの重希土類で置換して結晶磁気異方性を高め、保磁力を上げる。しかし、一部置換する重希土類は資源的に乏しく、高価であるため、結果的に磁石単体のコストを上げるため、好ましくない。
(2)の方法は、磁石を分割し、磁束が透過する面積を小さくするか、磁束が透過する面積の縦横比を最適化することで発熱量を抑制する。分割数を上げることで発熱量はより低減できるが、加工コストが高くなり、好ましくない。
(3)の方法は、外部磁界の変動が磁石の磁化方向に平行な場合は有効であるが、実際のモーターでは、外部磁界の変動方向が一定しない場合には有効ではない。
(4)の方法は、絶縁相を添加することにより室温での比電気抵抗は増大するが、絶縁体の選び方によっては密度化が困難なため、磁気特性並びに耐食性が劣化する。また、密度化のために特殊な焼結方法を採用する必要がある。
なお、本発明に関連する先行文献として、下記のものが挙げられる。
特開2003−070214号公報 特開2001−068317号公報 特開2002−064010号公報 特開平10−163055号公報 特開2003−022905号公報
そこで、本発明は、変動する磁界中において、渦電流による発熱を抑え、損失を低減した高い磁気特性を有するR−T−B−C型希土類焼結磁石を提供することを目的とする。
本発明者は、かかる課題を解決するために種々検討した結果、下記のR−T−B−C型希土類焼結磁石が有効で、高い保磁力を有し、渦電流の発生を抑えることができる大きな比電気抵抗を有し、しかも比電気抵抗の温度係数が大きいものであることを知見したものである。
従って、本発明は、R−T−B−C型磁石用合金とRを多く含むR−T−B−C合金(但し、RはCe、Pr、Nd、Tb、Dyから選択される少なくとも1種の希土類元素、TはFe又はFeとその他の少なくとも1種の遷移金属である)とを混合し、粉砕、成形、焼結して得られるR−T−B−C型希土類焼結磁石であって、
50質量%≦R≦65質量%、0.3質量%≦B≦0.9質量%、0.01質量%≦C≦0.5質量%、0.1質量%≦Al≦1.0質量%、0.1質量%≦Cu≦5.0質量%、残部がTであるRリッチな組成のR−T−B−C合金1〜20質量%と、
R−O 1-x −F 1+2x (xは0〜1の任意の実数)及び/又はR−F y (yは2又は3)粉末10〜50質量%と、
残りを25質量%≦R≦35質量%、0.8質量%≦B≦1.4質量%、0.01質量%≦C≦0.5質量%、0.1質量%≦Al≦1.0質量%、残部Tで構成されるR−T−B−Cを主相とする合金粉末
とから得られ、
希土類焼結磁石の焼結体組織がR214B型主相結晶と粒界相から構成され、その粒界相が、40〜98体積%(粒界相中の体積分率)のR−O1-x−F1+2x(但し、RはCe、Pr、Nd、Tb、Dyから選択される少なくとも1種の希土類元素、xは0〜1の任意の実数)及び/又はR−Fy(yは2又は3)、1〜10体積%のR−O、R−O−C、R−C化合物から選ばれる1種もしくは2種以上からなる化合物相、0.05〜10体積%のR−T相、0.05〜20体積%のBリッチ相(R1+εFe44)もしくはM−B2相(MはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta又はW)、残部がRリッチ相から構成されることを特徴とするR−T−B−C型希土類焼結磁石を提供する。
この場合、粒界相中のR−O1-x−F1+2x(xは0〜1の任意の実数)もしくはR−Fy(yは2又は3)の粒径が0.1〜50μmであり、粒界相中のR−O、R−O−C、R−C化合物から選ばれる1種もしくは2種以上からなる化合物相、R−T相、Bリッチ相(R1+εFe44)もしくはM−B2相のそれぞれの粒径が0.05〜20μmであること、20℃での比電気抵抗が2.0×102μΩ・cm以上であること、キュリー点以下の温度領域において、比電気抵抗の温度係数が5.0×10-2μΩ・cm/℃以上であること、磁石焼結体の比熱が400J/kg・K以上であることが好ましい。
本発明によれば、高い保磁力及びモーターなどの交番磁界中に曝されるような使用条件でも渦電流の発生が抑えられる大きな比電気抵抗を持ち、なおかつ比電気抵抗の温度係数が大きな焼結磁石を提供することができる。
本発明のR−T−B−C型希土類焼結磁石は、その焼結体組織がR214B型主相結晶と粒界相から構成され、その粒界は、R−O1-x−F1+2x(但し、RはCe、Pr、Nd、Tb、Dyから選択される少なくとも1種の希土類元素、xは0〜1の任意の実数)及び/又はR−Fy(yは2又は3)から構成され、粒界相残部がR−O、R−O−C、R−Cから選ばれる1種もしくは2種以上からなる化合物相(i)並びに例えばNdCo合金に代表されるR−T相(ii)及びBリッチ相(R1+εFe44)もしくはM−B2相(MはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta又はW)(iii)及びRリッチ相(iv)からなる。
R−O1-x−F1+2x(xは0〜1の任意の実数)もしくはR−Fy(yは2又は3)は、希土類酸化物より融点が低いため、密度化を阻害することはない。更に、希土類酸化物は少量の水分と反応し、水酸化物を形成することで磁石の崩壊を招くが、同相は希土類酸化物より安定であるため、磁石の耐蝕性を劣化させることはない。R−O1-x−F1+2xとR−Fyが粒界に占める割合で40〜98体積%、特に40〜70体積%であることが好ましい。40体積%より少ないと比電気抵抗を上げる効果が小さい。98体積%を超える量にすることは、Rを多く含むR−T−B−C合金から添加されるR−T金属間化合物及び原料並びに製造工程中に不可避に生ずるR−O、R−O−C、R−Cから選ばれる1種もしくは2種以上からなる化合物相が占めるため、実使用上不可能である。
R−O、R−O−C、R−Cから選ばれる1種もしくは2種以上からなる化合物相(i)は原料並びに磁石製造工程中に混入する酸素並びに炭素が、それら元素との親和力が大きく、希土類元素と反応した結果析出する。これらの相はR−O1-x−F1+2xもしくはR−Fyとの物理的な接触によりR−O1-x−F1+2xを形成し、安定化することができるが、一部未反応のものが残った結果である。その体積率は極力少ない方が好ましく、特に50体積%以下、好ましくは25体積%以下、更に好ましくは10体積%以下である。50体積%超では磁気特性及び耐蝕性の劣化を招くため、好ましくない。なお、その含有量が下限では、通常1体積%である。
R−T相(ii)、Bリッチ相/M−B2相(iii)、Rリッチ相(iv)は量産での安定操業上、必要不可欠な相であり、それらの体積率はそれぞれ、0.05〜10体積%、0.05〜20体積%、残部であり、好ましくはそれぞれ0.5〜3体積%、0.5〜10体積%、10〜50体積%である。
本発明のR−T−B−C型希土類焼結磁石は、50質量%≦R≦65質量%、0.3質量%≦B≦0.9質量%、0.01質量%≦C≦0.5質量%、0.1質量%≦Al≦1.0質量%、0.1質量%≦Cu≦5.0質量%(好ましくは0.1質量%≦Cu≦1.0質量%)、残部がTであるRリッチな組成のR−T−B−C合金1〜20質量%と、R−O1-x−F1+2x(xは0〜1の任意の実数)及び/又はR−Fy(yは2又は3)粉末10〜50質量%と、残りを25質量%≦R≦35質量%、0.8質量%≦B≦1.4質量%、0.01質量%≦C≦0.5質量%、0.1質量%≦Al≦1.0質量%、残部Tで構成されるR−T−B−Cを主相とする合金粉末とを混合後、窒素気流中のジェットミルで微粉砕し、次いで磁場中成形、焼結、熱処理することによって得ることができるが、上記R−T−B−Cを主相とする合金粉末とRを多く含むR−T−B−C合金を上記希土類フッ化物及び/又は希土類酸フッ化物と同時に添加することで、焼結の際、液相量を増加させ、主相との濡れ性を向上させることにより、R−O1-x−F1+2x及びR−Fyを主相結晶粒近傍にそれを覆うように存在させることができる。更に、R−O1-x−F1+2x及びR−Fyは、希土類酸化物よりも融点が低いため、主相結晶粒との濡れ性もよい。その結果、焼結体全体の比電気抵抗を上げることができる。更に焼結後の熱処理により、主相のR214BとR−O1-x−F1+2x及びR−Fy間における希土類元素の相互拡散により、磁気特性の向上も期待される。
本発明の焼結磁石において、R−O1-x−F1+2x(xは0〜1の任意の実数)もしくはR−Fy(yは2又は3)の粒径は0.1〜50μm、特に1.0〜40μmであることが好ましい。0.1μm未満だと効果があまりなく、50μmを超えると密度化が阻害されるおそれがある。
RはCe、Pr、Nd、Tb、Dyといった磁石構成元素であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属のフッ化物並びに前記以外の希土類フッ化物の場合、磁気特性が劣化する。
R−O1-x−F1+2xもしくはR−Fy粉を焼結体中に微細に分散させることで、キュリー点以下の温度領域における比電気抵抗の温度係数、比熱を相対的に増大させることができる。
これは、R−O1-x−F1+2xもしくはR−Fy粉の比電気抵抗並びに比熱が、R2Fe14B化合物より大きいことに起因すると考えられる。R−O1-x−F1+2xもしくはR−Fy粉の添加により比電気抵抗の温度係数が増加するのは、新しい知見である。
室温での磁石の比電気抵抗は、2.0×102μΩ・cm以上、好ましくは5.0×102μΩ・cm以上である。キュリー点以下の温度での比電気抵抗の温度係数は5.0×10-2μΩ・cm/℃以上、好ましくは6.5×10-2μΩ・cm/℃以上である。なお、磁石の比電気抵抗は、四端子法で測定した値である。
磁石の比熱は400J/kg・K以上、好ましくは450J/kg・K以上である。渦電流により発生するジュール熱は以下の式で与えられる。
(ここで、P:発熱量[W]、a:磁石の幅[m]、b:磁石の奥行[m]、ρ:比電気抵抗[Ω・m]、V:磁石の体積[m3]、B:交番磁界のピーク値[T]、f:交番磁界の周波数[Hz]、K:形状を表す定数である。)
ジュール熱は磁石の比電気抵抗に反比例することから、室温での比電気抵抗並びにキュリー点以下での比電気抵抗の温度係数を大きくすることで渦電流によるジュール熱を低減することができる。ジュール熱が磁石の温度上昇に変換する場合は、以下の式に従う。
(P:発熱量[W]、c:比熱[W・sec/(kg・K)]、m:磁石の重量[kg]、dT/dt:磁石の温度上昇率[K/sec])
つまり、比熱を大きくすることで磁石の温度上昇率を抑制することができ、その結果、磁石の温度上昇を低減することができる。
本発明におけるR−T−B−C型希土類永久磁石は、上述したように、R−T−B−C型磁石用合金とRを多く含むR−T−B−C合金と希土類フッ化物もしくは希土類フッ酸化物を混合し、粉砕、成形、焼結して得られるものである。
但し、本発明に記すR−T−B−C型磁石用合金のRはCe、Pr、Nd、Tb、Dyから選択される少なくとも1種の希土類元素であり、TはFe又はFeとその他の少なくとも1種の遷移金属(例えばCo)である。その組成範囲は質量百分率で以下の範囲に限定する。25質量%≦R≦35質量%(Rは、Ce、Pr、Nd、Tb、Dyから選択される少なくとも1種の希土類元素)、0.8質量%≦B≦1.4質量%、0.01質量%≦C≦0.5質量%、0.1質量%≦Al≦1.0質量%、残部がT(TはFe又はFeとCo等のその他の少なくとも1種の遷移金属である)及び不可避の不純物からなる。
一方、Rを多く含むR−T−B−C合金のRは、Ce、Pr、Nd、Tb、Dyから選択される少なくとも1種の希土類元素であり、TはFe又はFeとCo等のその他の少なくとも1種の遷移金属である。
その組成範囲は質量百分率で、50質量%≦R≦65質量%(Rは、Ce、Pr、Nd、Tb、Dyから選択される少なくとも1種の希土類元素)、0.3質量%≦B≦0.9質量%、0.01質量%≦C≦0.5質量%、0.1質量%≦Al≦1.0質量%、0.1質量%≦Cu≦5.0質量%(好ましくは0.1質量%≦Cu≦1.0質量%)、残部がT(TはFe又はFeとその他の少なくとも1種の遷移金属からなる)及び不可避の不純物からなることが好ましい。
この場合、上記成分の混合後、窒素気流中のジェットミルで平均粒径0.01〜30μmに微粉砕し、800〜1,760kA/mの磁場中でプレス圧90〜150MPaで成形後、真空雰囲気中1,000〜1,200℃で焼結し、Ar雰囲気中400〜600℃で時効処理することが好ましい。
このようにして得られる本発明のR−T−B−C型焼結磁石は、以下の組成であることが好ましい。
R =25〜35質量%
B =0.8〜1.4質量%
C =0.01〜0.5質量%
Al=0.1〜1.0質量%
Cu=0.1〜5.0質量%(好ましくは0.1〜1.0質量%)
残部がT及び不可避的不純物(O,N,Si,P,S,Cl,Na,K,Mg,Ca等)
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜3、比較例1]
実施例1〜3において、R−T−B−C型磁石用合金は、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のNdと、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のDyと、純度99質量%以上のFe、Alと、フェロボロンを所定量秤量して、Ar雰囲気で高周波溶解し、Ar雰囲気中で単ロール法にて冷却して、合金薄帯状のものを製造した。
なお、得られたR−T−B−C型磁石用合金の組成は、Nd25質量%、Dy3質量%、Al0.2質量%、B1質量%、C0.01質量%、その他はFeである。
次に、製造された合金薄帯を水素化粗粉砕で粗粉砕した。水素化粗粉砕は、常温で2時間水素吸蔵処理を行い、その後、真空中で600℃で2時間加熱処理して脱水素化処理を行った。
一方、R−T−B−C合金は、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のNdと、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のDyと、純度99質量%以上のFe、Co、Cu、Alと、フェロボロンを所定量秤量して、Ar雰囲気で高周波溶解し、合金を製造した。
なお、得られたR−T−B−C合金の組成は、Nd45質量%、Dy13質量%、Al0.2質量%、B0.5質量%、Co20質量%、Cu1.2質量%、C0.02質量%、その他はFeである。
上記のように得られたR−T−B−C型磁石用合金粉とR−T−B−C合金粉を8.5:1.5(質量比)で秤量し、この混合粉とNdF3との質量比が9:1、8:2、1:1になるように秤量し、Vミキサーにより混合し、N2ガス中でジェットミルにより微粉砕を行った。
この時、得られた微粉の平均粒径は3〜6μmである。
その後、これらの微粉末を成形装置の金型に充填し、955kA/mの磁界中で配向させ、磁界に対して垂直方向に98.1MPaの圧力でプレス成形した。
得られた成形体を1,050℃で2時間、真空雰囲気中で焼結した後、冷却し、更に500℃で1時間、Ar雰囲気中で熱処理して、各種組成の永久磁石材料を作製した。
この際、NdF3を添加せず、同じ取り扱いを行い、比較例1を作製した。
表1に得られた焼結磁石の磁気特性並びに四端子法にて測定した比電気抵抗、室温からキュリー点近傍までの比電気抵抗の温度係数を示す。
同表より、NdF3添加量の増加に伴い、無添加のものと比較し、残留磁化(Br)は減少したが、保磁力(iHc)はほとんど変化なく、むしろ増加しているものもある。比電気抵抗はNdF3添加量の増加に伴い、比例的に増大し、その温度係数も上昇しているのが確認された。
図1及び図2にEPMAで観察した反射電子像及びMAP像を示す。図1はNdF3を添加していないものを、図2はNdF3を10質量%添加したものの組織である。これより、NdF3を添加したものは粒界にRリッチ相、NdOF、NdF3、Nd23から構成されることがわかる。同図より、NdOFの粒径は長軸で5〜35μm程度であった。反射電子像からR−T相及びBリッチ相の粒径が長軸で0.5〜10μmであることがわかる。
表2にMAP像より求めた各相の体積率を示す。
また、上記方法で得られた磁石を50×50×10t(mm)に加工し、コイル内部に断熱材を充填した容器内に磁石を設置し、コイルに流す電流を制御することで、磁石に周波数2kHzで磁場8.656kA/mの交番磁界を印加し、磁石に取り付けた熱電対で単位時間当たりの磁石の温度上昇を計測し、その温度変化の勾配(dT/dt)から発熱量(Q[W]=c・m・(dT/dt)、但しQ:熱量、c:比熱、m:磁石重量)を算出し、評価した。その結果を表3に示す。表3から、NdF3添加量と発熱量は反比例し、NdF3添加による損失低減の効果が確認できる。
[実施例4〜6]
実施例4〜6において、R−T−B−C型磁石用合金は、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のNdと、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のDyと、純度99質量%以上のFe、Alと、フェロボロンを所定量秤量して、Ar雰囲気で、高周波溶解し、Ar雰囲気中で単ロール法にて冷却して、合金薄帯状のものを製造した。
なお、得られたR−T−B−C型磁石用合金の組成は、Nd25質量%、Dy3質量%、Al0.2質量%、B1質量%、C0.01質量%、その他はFeである。
次に、製造された合金薄帯を水素化粗粉砕で粗粉砕した。水素化粗粉砕は、常温で2時間水素吸蔵処理を行い、その後、真空中で600℃で2時間加熱処理して脱水素化処理を行った。
一方、R−T−B−C合金は、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のNdと、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のDyと、純度99質量%以上のFe、Co、Cu、Alと、フェロボロンを所定量秤量して、Ar雰囲気で、高周波溶解し、合金を製造した。
なお、得られたR−T−B−C合金の組成は、Nd45質量%、Dy13質量%、Al0.2質量%、B0.5質量%、Co20質量%、Cu1.2質量%、C0.02質量%、その他はFeである。
上記のように得られたR−T−B−C型磁石用合金粉とR−T−B−C合金粉を8.5:1.5(質量比)で秤量し、この混合粉とDyF3、NdF3+DyF3(NdF3:DyF3=1:1の質量比)、NdOFとの質量比が8:2になるように秤量し、Vミキサーにより混合し、N2ガス中でジェットミルにより微粉砕を行った。
この時、得られた微粉の平均粒径は2.5〜5.6μmである。
その後、これらの微粉末を成形装置の金型に充填し、955kA/mの磁界中で配
向させ、磁界に対して垂直方向に98.1MPaの圧力でプレス成形した。得られた成形体を1,050℃で2時間、真空雰囲気中で焼結した後、冷却し、更に500℃で1時間、Ar雰囲気中で熱処理して、各種組成の永久磁石材料を作製した。その後、先の実施例と同様の方法で磁石を作製し、各物性の測定並びに評価を行った。
表4に得られた焼結磁石の磁気特性並びに四端子法にて測定した比電気抵抗、室温からキュリー点近傍までの比電気抵抗の温度係数、比熱を示す。表5に各相の割合を、表6に発熱量を示す。
[比較例2,3]
R−T−B−C型磁石用合金は、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のNdと、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のDyと、純度99質量%以上のFe、Alと、フェロボロンを所定量秤量して、Ar雰囲気で、高周波溶解し、Ar雰囲気中で単ロール法にて冷却して、合金薄帯状のものを製造した。
なお、得られたR−T−B−C型磁石用合金の組成は、Nd25質量%、Dy3質量%、Al0.2質量%、B1質量%、C0.01質量%、その他はFeである。
次に、製造された合金薄帯を水素化粗粉砕で粗粉砕した。水素化粗粉砕は、常温で2時間水素吸蔵処理を行い、その後、真空中で600℃で2時間加熱処理して脱水素化処理を行った。
一方、R−T−B−C合金は、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のNdと、Cを0.04質量%含んだ純度99質量%以上のDyと、純度99質量%以上のFe、Co、Cu、Alと、フェロボロンを所定量秤量して、Ar雰囲気で、高周波溶解し、合金を製造した。
なお、得られたR−T−B−C合金の組成は、Nd45質量%、Dy13質量%、Al0.2質量%、B0.5質量%、Co20質量%、Cu1.2質量%、C0.02質量%、その他はFeである。
上記のように得られたR−T−B−C型磁石用合金粉とR−T−B−C合金粉を8.5:1.5(質量比)で秤量し、この混合粉とLiF、CaF2の質量比が9:1になるように秤量し、Vミキサーにより混合し、N2ガス中でジェットミルにより微粉砕を行った。
その後、上記実施例と同様の方法で磁石を作製し、各物性の測定並びに評価を行った。表7に得られた焼結磁石の磁気特性並びに四端子法にて測定した比電気抵抗、室温からキュリー点近傍までの比電気抵抗の温度係数を示す。その結果、ムラ焼け状態の焼結体が得られ、保磁力(iHc)はほとんどないことが認められた。
比較例1の永久磁石材料をEPMAで観察した反射電子像及びMAP像を示す。 実施例1の永久磁石材料をEPMAで観察した反射電子像及びMAP像を示す。

Claims (5)

  1. R−T−B−C型磁石用合金とRを多く含むR−T−B−C合金(但し、RはCe、Pr、Nd、Tb、Dyから選択される少なくとも1種の希土類元素、TはFe又はFeとその他の少なくとも1種の遷移金属である)とを混合し、粉砕、成形、焼結して得られるR−T−B−C型希土類焼結磁石であって、
    50質量%≦R≦65質量%、0.3質量%≦B≦0.9質量%、0.01質量%≦C≦0.5質量%、0.1質量%≦Al≦1.0質量%、0.1質量%≦Cu≦5.0質量%、残部がTであるRリッチな組成のR−T−B−C合金1〜20質量%と、
    R−O 1-x −F 1+2x (xは0〜1の任意の実数)及び/又はR−F y (yは2又は3)粉末10〜50質量%と、
    残りを25質量%≦R≦35質量%、0.8質量%≦B≦1.4質量%、0.01質量%≦C≦0.5質量%、0.1質量%≦Al≦1.0質量%、残部Tで構成されるR−T−B−Cを主相とする合金粉末
    とから得られ、
    希土類焼結磁石の焼結体組織がR214B型主相結晶と粒界相から構成され、その粒界相が、40〜98体積%(粒界相中の体積分率)のR−O1-x−F1+2x(但し、RはCe、Pr、Nd、Tb、Dyから選択される少なくとも1種の希土類元素、xは0〜1の任意の実数)及び/又はR−Fy(yは2又は3)、1〜10体積%のR−O、R−O−C、R−C化合物から選ばれる1種もしくは2種以上からなる化合物相、0.05〜10体積%のR−T相、0.05〜20体積%のBリッチ相(R1+εFe44)もしくはM−B2相(MはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta又はW)、残部がRリッチ相から構成されることを特徴とするR−T−B−C型希土類焼結磁石。
  2. 粒界相中のR−O1-x−F1+2x(xは0〜1の任意の実数)もしくはR−Fy(yは2又は3)の粒径が0.1〜50μmであり、粒界相中のR−O、R−O−C、R−C化合物から選ばれる1種もしくは2種以上からなる化合物相、R−T相、Bリッチ相(R1+εFe44)もしくはM−B2相のそれぞれの粒径が0.05〜20μmであることを特徴とする請求項1記載のR−T−B−C型希土類焼結磁石。
  3. 20℃での比電気抵抗が2.0×102μΩ・cm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の希土類焼結磁石。
  4. キュリー点以下の温度領域において、比電気抵抗の温度係数が5.0×10-2μΩ・cm/℃以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の希土類焼結磁石。
  5. 磁石焼結体の比熱が400J/kg・K以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の希土類焼結磁石。
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