JP4702080B2 - 装置部材の洗浄方法 - Google Patents
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Description
最近、その優れた特性を半導体パッケージやマザーボード用の多層プリント配線板などに適用するため、塩素置換フェノール化合物を溶媒とする芳香族液晶ポリエステルの液状組成物から芳香族液晶ポリエステルのフィルムを製造する方法が提案されている(特許文献1)。
ところで、芳香族液晶ポリエステルにゴミや溶媒不溶分などの異物が存在すると、得られるフィルムに異物が混入してしまうことから、通常、芳香族液晶ポリエステルを含有する液状組成物をフィルターで濾過して異物を除去する。そして、フィルターを長期間、あるいは大量の液状組成物の濾過に使用していると異物により目詰まりし、フィルターを洗浄する必要がある場合がある。
また、芳香族液晶ポリエステルを含有する液状組成物を製造等に使用した反応器、貯蔵タンクなどの容器、配管などの装置部材に付着した該液状組成物を洗浄しなければならない。
芳香族液晶ポリエステルを含有する液状組成物を製造等に使用した容器の洗浄方法としては、グリコール類とアミン類との混合物で装置部材を加熱処理する方法が特許文献2に報告されている。
本発明の芳香族液晶ポリエステル含有液状組成物とは、芳香族液晶ポリエステルと芳香族液晶ポリエステルを溶解させる溶媒とを主成分とし、芳香族液晶ポリエステルが高分子量化した不溶分、不融物等の異物が含有されていてもよい液状組成物である。
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールの組み合わせを重合して得られるもの、
(2)同種又は異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの
などが挙げられる。
また、フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位:
上記の構造単位の水素原子は、ハロゲン原子またはアルキル基に置換されていてもよい。
構造単位の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記(a)〜(f)が挙げられる。
(a):
前記構造単位(A1)、(B2)および(C3)の組み合わせ、
前記構造単位(A2)、(B2)および(C3)の組み合わせ、
前記構造単位(A1)、(B1)、(B2)および(C3)の組み合わせ、または、
前記構造単位(A2)、(B1)、(B2)および(C3)の組み合わせ。
(b):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C1)に置換した組み合わせ。
(c):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C2)に置換した組み合わせ。
(d):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)に置換した組み合わせ。
(e):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)と(C5)の混合物に置換した組み合わせ。
(f):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(A1)の一部を(A2)に置換した組み合わせ。
(式中、Dはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iは1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合に、Dは互いに同一でも異なっていてもよい。)
芳香族液晶ポリエステルに異物が含有されると、得られる芳香族液晶ポリエステルのフィルムは、外観性状や物性を劣化する。そこで、芳香族液晶ポリエステル含有液状組成物をフィルターによって濾過することによって異物を除去する必要がある。濾過を繰り返し行ったり、長時間、濾過すると、フィルターは異物などにより目詰まりが生じ、閉塞に至る場合もある。本発明は、かかるフィルターに付着した異物などの芳香族液晶ポリエステル含有液状組成物をほぼ完全に除去できるのである。
また、芳香族液晶ポリエステルの製造に反応器を繰返し使用すると、反応器と芳香族液晶ポリエステル含有液状組成物との接触面には、芳香族液晶ポリエステル含有液状組成物を移送したのちも芳香族液晶ポリエステルが残存し、さらに、芳香族液晶ポリエステルが高分子量化した不溶分、不融物等が付着することがある。本発明の洗浄方法により、芳香族液晶ポリエステルのみならず、芳香族液晶ポリエステルが高分子量化した不溶分、不融物等も除去できるのである。
まず、装置部材に付着した芳香族液晶ポリエステル含有液状組成物を十分に除去することが好ましい。十分に除去することにより、後述する芳香族液晶ポリエステルが一層薄い薄膜となり、薄膜を形成する時間が短縮される傾向があることから好ましい。
かかる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N‐メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、中でも、アセトン、メタノールが取り扱いが容易で、芳香族液晶ポリエステルの薄膜を形成させやすい傾向があることから好ましい。
有機溶媒が、10〜90重量%程度の水を含む有機溶媒であってもよい。
装置部材と有機溶媒との接触時間は、芳香族液晶ポリエステルの薄膜を形成するのに十分な時間であり、アセトンであれば、接触するとただちに薄膜が生成することから、掛け洗いする程度でよい。
装置部材と有機溶媒との接触温度は、有機溶媒が十分な流動性を持ち、しかも、有機溶媒が著しく揮発しない温度であり、通常、0〜40℃程度である。
水溶液中におけるアルカリ金属水酸化物の濃度としては、通常、1〜30重量%程度である。
装置部材とアルカリ金属水酸化物水溶液との接触時間は、生成した芳香族液晶ポリエステルの薄膜とフィルターとの界面を剥離するのに十分な時間であり、接触する温度によっても異なるが、20℃の場合には、30分以上が必要である。薄膜との剥離性の観点から5〜24時間程度が好ましい。
装置部材とアルカリ金属水酸化物水溶液との接触温度は、通常、室温(約25℃程度)であり、高いほど分解時間が短縮される傾向があるので、加熱して30〜80℃程度であってもよい。
芳香族液晶ポリエステルの薄膜が厚い場合などは、薄膜が装置部材に付着してしまう場合があるが、ブラシ等で数回擦り洗いするなどして取り除くことができる。
必要に応じて、装置部材は、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類やアセトン等で洗浄後、乾燥することにより、再び、芳香族液晶ポリエステルの製造などに用いられる装置部材として使用することができる。
フィルターのハウジング構造に用いられる材質は、ステンレス、鉄、チタン鋼、アルミニウムなどの金属製、繊維強化プラスチック(FRP)などの複合材料などが挙げられる。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた製造装置に、p―ヒドロキシ安息香酸 141部(1.02モル比)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 63.3部(0.34モル比)、イソフタル酸 56.5部(0.34モル比)及び無水酢酸 191部(1.87モル比)を仕込んだ。製造装置内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温してトルクの上昇が認められる時点を終了点とし内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固層で重合反応を進め、粉末状の芳香族液晶ポリエステルを得た。
<濾過>
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器及び底部に抜出口を備えた反応器に、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、溶解したp−クロロフェノール95部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で約30分かけて80℃まで昇温した時点で、芳香族液晶ポリエステル粉末5部を仕込んだ。再度、気相部を窒素ガスで置換した後に1時間かけて120℃まで昇温して、芳香族液晶ポリエステルとp−クロロフェノールからなる芳香族液晶ポリエステル液状組成物を得た。
該反応器底部の抜出口とフィルターを有するステンレス製のハウジングとポリエチレン容器とを取り外しが容易な25Aのサニタリー配管を介して接続した。また、ハウジングは、10インチのカートリッジフィルターを収納することができる程度の大きさであった。
反応器内の内容物が80℃以下まで冷却した時点で、底部の抜出口より内容物を抜き出し、フィルターを経由してポリエチレン容器に充填した。
反応器に加圧窒素を導入してフィルターハウジング内の液を充分に除去し、次いで、フィルターハウジングを配管から取り外し作業を行うが、この際に、p−クロロフェノールが被液することを防止するため、ポリエチレン袋で覆った状態で取り外した。取り外したフィルターハウジングは、100Lの金属ビーカーに移し、金属ビーカー内で解体を行いながらフィルター部からハウジング内部まで、洗浄瓶に入ったアセトン約300mlをかけて、アセトンとフィルターを十分接触させた。フィルターやハウジング等の表面には白色の薄膜が被覆された。
その後、100Lの金属ビーカーに解体した各部品が満遍なく浸漬される程度の28%水酸化ナトリウム水溶液約30kgを入れて、室温にて10時間放置した。
水酸化ナトリウム水溶液から取り出されたフィルターは、充分に水で洗浄して、付着した薄膜などを除去し、乾燥した。
洗浄されたフィルターを用いて、前記と同様に濾過を実施したところ、単位時間当たりの抜き出し流量の変化傾向も再生前と変わらない状態であり、問題なく濾過を終了することができた。
フィルターハウジングと一部の配管を取り外した後に、反応器の内部表面に洗浄瓶に入ったアセトン約1000mlをかけて、液付着部分にアセトンを十分接触させた。反応器の内部表面には白色の薄膜が被覆された。
その後、洗浄瓶に5%水酸化ナトリウム水溶液約1000mlを入れて、室温にて数時間放置した。その後、充分に水で洗浄して、付着した薄膜などを除去し、乾燥した。
芳香族液晶ポリエステルを薄膜を形成させる有機溶媒を表1に示す。これらを実施例1と同様に実施すれば、フィルターから異物を除去することができる。
<濾過>を終了して解体した精密濾過器の各部品を、ただちに28%に調整した水酸化ナトリウム水溶液約30kgの中に、10時間浸積させた後に、水洗浄した。芳香族液晶ポリエステル液状組成物は高粘度のゲル状になり、一部表面が溶解するものの水洗で完全に除去することはできなかった。また、フィルター表面には濾過残渣が見られた。
<濾過>を終了して解体したフィルターハウジングの各部品を、ただちにアセトン約30kgの中に、10時間浸積させた後に、水洗浄した。フィルターには一面の薄膜が生成した。フィルターはブラシで綿密に擦り洗いを実施したが、フィルター内部の表面には多くの濾過残渣が見られた。
<濾過>を終了してフィルターおよび配管の一部を取り外した後に、反応器の内部表面に洗浄瓶にてアセトン約1000mlをかけて数時間放置させた後に、水洗浄した。フィルターには一面の薄膜が生成した。薄膜はブラシで綿密に擦り洗いを実施したが、反応器の内部表面には多くの薄膜残渣が見られた。
Claims (5)
- 芳香族液晶ポリエステル含有液状組成物が付着した装置部材と、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N‐メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒とを、該芳香族液晶ポリエステルを主成分とする薄膜が形成するまでの時間、加熱処理することなく接触させる第一工程、及び形成させた該薄膜にアルカリ金属水酸化物水溶液を5〜24時間接触させて、該装置部材と該薄膜との界面を剥離させる第二工程を含むことを特徴とする芳香族液晶ポリエステル含有液状組成物が付着した装置部材の洗浄方法。
- 第二工程が、加熱処理することなく行われる請求項1に記載の洗浄方法。
- 芳香族液晶ポリエステル含有液状組成物が、ハロゲン置換フェノール化合物(I)100重量部に対し、芳香族液晶ポリエステル0.5〜100重量部を含有する組成物である請求項3に記載の洗浄方法。
- 装置部材が、フィルター及び/又は容器である請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄方法。
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