JP4701632B2 - 抵抗素子用感光性樹脂組成物及びそれを用いた積層体もしくは素子内蔵基板 - Google Patents

抵抗素子用感光性樹脂組成物及びそれを用いた積層体もしくは素子内蔵基板 Download PDF

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本発明はプリント配線板に作りこむことのできる抵抗素子の抵抗体形成に適している抵抗素子用感光性樹脂組成物及び、それを用いたドライフィルムもしくはそれを抵抗素子として内蔵した素子内蔵基板に関するものである。
近年、電子機器の高性能化、小型化の要求に伴い回路部品の高密度化、高機能化が強まっている。そのため、プリント配線板にコンデンサー(C)、抵抗素子(R)、インダクタ(L)等の受動素子を実装する場合においては、その実装効率を高めるためにこれら受動素子を基板内に内蔵した構造のプリント配線板が注目されている。
受動素子を内蔵した基板の例としては、プリント基板に設けた透孔内にリードレスの回路部品を埋設した特開昭54−38561号公報、絶縁基板に設けた貫通孔内にセラミックコンデンサー等の受動素子を埋設した特公昭60−41480号公報、半導体素子のバイパスコンデンサーをプリント基板の孔に埋設した特開平4−73992号公報及び特開平5−218615号公報等が開示されている。これは配線基板に設けられた貫通孔にチップ抵抗器またはチップコンデンサー等の既に完成されたリードレス素子を埋設した後、このリードレス素子の電極と配線基板上の配線パターンとを導電性ペーストまたは半田付けによって接続するものである。
また、セラミック配線基板に設けたビアホール内に導電性物質と誘電性物質を充填して同時焼成した特開平8−222656号公報、有機系絶縁基板に設けた貫通孔に電子部品形成材料を埋め込んだ後、固化させてコンデンサーや抵抗器を形成した特開平10−56251号公報等が知られている。
無機系(セラミック)配線基板の場合は、耐熱性があるため、基板上へ誘電体ペーストや抵抗ペースト材料を所望のパターンに形成し、これを400℃以上の高温で焼成することにより、所望のコンデンサーや抵抗素子を形成し、これを内蔵した配線基板を形成することができる。抵抗素子の形成において、このような抵抗ペースト材料(樹脂組成物)のパターニングには、特許文献1に示すようにスクリーン印刷等で行う場合と、特許文献2や特許文献3に記載のように、樹脂組成物そのものに感光性を持たせ、露光・現像で行う場合とがある。
樹脂組成物のパターニングをスクリーン印刷で行うと、スクリーン版のメッシュサイズの限界のために500μm程度までの解像度しか得られず、またスクリーン版への目詰まりが生じるため精度に劣るという問題がある。これに対し感光性を持たせた場合には精度の良いパターニングが可能であるが、従来の感光性樹脂組成物では硬化温度が高すぎ(400〜1000℃)、有機系の配線基板に用いることは不可能であった。
特開2003−229023号公報 特開平10−48815号公報 特開2001−154353号公報
本発明の課題は、精度の高いパターニングをすることのできる抵抗素子用感光性樹脂組成物であって、従来の硬化温度よりも低い温度で硬化できる抵抗素子用感光性樹脂組成物及びこれを用いた積層体と、この抵抗素子用感光性樹脂組成物を用いて精度の高い抵抗素子を形成した素子内蔵基板を提供することにある。
また、基板加工時や使用時の加熱に対しても変化しにくく信頼性の高い抵抗素子を製造することができ、露光後、現像時の環境への負担の小さい抵抗素子用感光性樹脂組成物を提供する。
本発明者らは、これらの問題を解決するために種々検討の結果、上記記載の問題が解決することを見いだし本発明を完成するに至った。すなわち、請求項1に係る第1の発明は、少なくとも、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる不飽和基含有ポリカルボン酸、(C)導電性フィラー、(D)3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基を有する化合物、(E)光重合開始剤、からなり、前記(A)〜(E)からなる樹脂固形分を100重量部としたときの前記(D)の割合が12重量部以上41重量部以下であり、前記3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基を有する化合物が、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートであることを特徴とする抵抗素子用感光性樹脂組成物である。
請求項2係る第2の発明は、前記(B)エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる不飽和基含有ポリカルボン酸の酸価が250mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載の抵抗素子用感光性樹脂組成物である。
請求項3に係る第3の発明は、前記抵抗素子用感光性樹脂組成物がアルカリ性水溶液で現像可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抵抗素子用感光性樹脂組成物である。
請求項4に係る第4の発明は、少なくとも支持フィルムと感光層を有する積層体において、該感光層は請求項1から3のいずれかに記載の抵抗素子用感光性樹脂組成物からなることを特徴とする積層体である。
請求項5に係る第5の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の抵抗素子用感光性樹脂組成物を抵抗材料として用い形成した抵抗素子を内蔵したことを特徴とする素子内蔵基板である。
本発明により、抵抗素子が今までの基板作成プロセスで形成でき、配線や素子形成位置などの設計の自由度を損なわない抵抗素子用感光性樹脂組成物及び積層体(ドライフィルム)を提供し、またこの材料を熱硬化した抵抗体を抵抗被膜として持つ抵抗素子を内蔵した信頼性の高い素子内蔵基板を提供することができる。本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物によれば、特定の組成にすることによって導電性フィラーの量を増やしても感光性を損なうことがないため、そのすぐれた感光性によって正確なパターン形成を行うことができ、正確な抵抗値を有する内蔵型抵抗素子およびそれを内蔵した素子内蔵基板を得ることができる。また、300℃以下の加熱で硬化が可能であることから、高温焼成に耐えられない有機系の基板に対し好適に用いることができる。さらに、炭酸ソーダ溶液等のアルカリ性水溶液で現像可能なアルカリ現像型の樹脂組成を提供することにより、環境への負荷の軽減が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。300℃以下の加熱で硬化が可能な熱硬化型樹脂としては、以下の樹脂の変性体または共重合体などの中から少なくとも一種類以上選ばれたものであり、これに感光性を付与したものが好適に用いられる。樹脂としてはエポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂、プロピレン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ビニリデン樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂、フェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、ビニル樹脂、カルボン酸樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂、スチロール樹脂などがある。これらの樹脂の変性体または共重合体を、アクリル基やスチリル基などの不飽和基などで修飾、あるいはそれらを有する化合物を添加することで感光性を付与することができる。また、フェノール基やカルボキシル基などの水溶性官能基を加えることでアルカリ現像が可能となる。樹脂またはフィラーの状態の導電性高分子を添加し、抵抗体として適当な導電性を与えることもできる。
300℃以下の範囲で加熱することで十分に硬化が可能あれば有機系基板の耐熱範囲を逸脱することがなく、さらに感光性を有することでパターニング精度の高い抵抗素子形成用樹脂組成物を提供することができる。
本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物として少なくとも(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる不飽和基含有ポリカルボン酸、を含むものとすると、300度以下の加熱で十分に硬化を可能とし、特に感光性に優れたものとすることができる。また、(C)導電性フィラーを加えることで抵抗素子として有用な体積抵抗値を確保することができる。
本発明で用いられる(A)エポキシ樹脂(以下、(A)成分として表記する場合がある)としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂や、フェニルグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルイソシアヌレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、アリサイクリクジエポキシアセタール、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキシドのアルコール変性物などがあげられ、これらを単独、若しくは混合して用いることができる。
本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物には前記(A)成分に加え、(B)エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる不飽和基含有ポリカルボン酸(以下、(B)成分として表記する場合がある)を添加するとよい。
(B)成分を得るために用いることのできるエポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂や、フェニルグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルイソシアヌレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、アリサイクリクジエポキシアセタール、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキシドのアルコール変性物等が挙げられる。
また(B)成分を得るために用いることのできる不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸等が挙げられる。
(B)成分を得るために用いることのできる飽和または不飽和多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物;その他これに付随する例えば、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1、2−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体などが使用できる。さらに、樹脂への可とう性の付与や熱硬化性を高めるために上述のエポキシ化合物に加えて、種々の多官能エポキシ化合物を添加することができる。またこれらのカルボキシル基をブロックしたものを用いてもよい。
本発明の(B)成分である不飽和基含有ポリカルボン酸は、ジエチレングリコールなどの溶媒中、ジメチルベンジルアミンなどの触媒存在下で、エポキシ樹脂に不飽和カルボン酸を滴下し反応させ、ここに上述の飽和または不飽和多塩基酸無水物を酸価が変化しなくなるまで反応させることで得ることができる。
(B)エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる不飽和基含有ポリカルボン酸のうち、市販されているものとしては、ダイセル化学工業(株)のACAシリーズ、共栄社化学(株)のEXシリーズ、昭和高分子(株)のSPシリーズ等が挙げられ、いずれも本発明における(B)成分として使用することができる。
(B)エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる不飽和基含有ポリカルボン酸の酸価は40〜350mgKOH/gが好ましく、特に50〜300mgKOH/gが好ましい。40mgKOH/g未満ではアルカリ水溶液に溶解しにくいことから、現像後に残膜が生じやすく、充分な解像度が得られない。350mgKOH/g以上ではアルカリ水溶液に対する溶解性が大きくなりすぎて露光硬化をした部分も溶解してしまうため、膜減りが生じやすくなる。
本発明で用いられる(C)導電性フィラー(以下、(C)成分と表記する場合がある)の割合は重量比で[(A)成分+(B)成分+(D)成分]:(C)成分=1:99〜100:0の範囲であるが、必要とされる抵抗素子の特質に応じてその割合を変更することが可能である。低抵抗素子を得るためには通常は樹脂固形分重量比に占める(C)成分の割合が30重量%以上となるように(C)成分を加えることが望ましい。好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上であり、85重量%以上加えると非常に良い。95重量%程度までは加えることが可能である。また、ここで(C)成分としては金属粉、ランタノイド系の粉末、アクチニド系粉末、カーボンなどの典型非金属元素粉末、金属酸化物粉末などが用いられる。金属粉としては、銅紛、銀紛、ニッケル紛、鉄紛、金粉、パラジウム粉などの典型金属や遷移金属の粉が用いられる。酸化物粉としては酸化ランタノイド系粉末、酸化アクチニド系粉末や、ATO、ITO、SnO、ZnO、RuO、PbRu、BiRu、CoRuO4、LaRuO、SrRuO、CaRuO、RhO、OsO、IrO、CrO、MoO、WO、ReO、BaMoO、CaMoO、SrCrO、CaCrOなどの金属酸化物が用いられる。またカーボン、有機無機ハイブリッド型カーボン、有機導電性フィラー、高分子導電性フィラーなどの非金属も好適に用いられる。必要に応じてそれらを混合して、あるいはそれらの固溶体、焼成体を用いても良い。また、これらにSbなどを添加したり、樹脂中での分散性を良くする為樹脂でフィラー表面に皮膜を作ってもよい。これらの中でも金属酸化物は特に性質が良い。
なお、本明細書中で記載する樹脂固形分総重量比とは、(A)成分から(E)成分までの総和に対する任意の成分の占める重量比である。
本発明で用いることのできる(D)(メタ)アクリル基を有する化合物を含む反応性希釈剤(以下、(D)成分と表記する場合がある)における(メタ)アクリル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル基を有する化合物であれば良く、このような化合物は室温で液状となる多官能不飽和化合物がであることが多い。なお、本明細書中で(メタ)アクリル基という記載は、アクリル基とメタクリル基のいずれかあるいは双方を含むものとする。
(D)成分は、本発明による抵抗素子用感光性樹脂組成物に対し、使用に適した粘度調整や、さらなる感光性の付与のために用いられる。この(D)成分として用いることのできる(メタ)アクリル基を有する化合物として具体的には、2−ヒドロキシ(エチル)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの(メタ)アクリレート類が挙げられる。
本発明で用いることのできる(D)成分には、前述の(メタ)アクリル基を有する化合物として、あるいは(メタ)アクリル基を有する化合物と共に、同分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基を有する化合物を添加することができる。同分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基を有する化合物は光硬化性と熱硬化性を併せ持つため、これを添加することで、本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物の光硬化能と熱硬化能を強化することができ、解像性も向上する。
同分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基を有する化合物としては、アクリル基もしくはメタクリル基とエポキシ基とを同分子内に有する化合物が、特に感光性に優れているため好ましく、たとえばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、9,10−エポキシステアリルアクリレート、9,10−エポキシステアリルメタアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカプロラクトンアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカプロラクトンアクリレートなどがあげられる。なかでも3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基を有する系は他の材料と混合したときの安定性に優れより好ましい。
本発明で用いることのできる(E)光重合開始剤(以下、(E)成分と表記する場合がある)としては、例えば、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエ−テル、ベンゾインイソプロピルエ−テル等のベンゾイン類及びベンゾインアルキルエ−テル系開始剤、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル」−2−モルフォノ−プロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン系開始剤、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン系開始剤、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン類、アセトフェノンジメチルケタ−ル、ベンジルジメチルケタ−ル等のケタ−ル系開始剤、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラ−ズケトン等のベンゾフェノン系開始剤、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系開始剤などを挙げることができ、これらは1種あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。さらに、係る光重合開始剤はエチル−4−ジメチルアミノベンゾエ−ト、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエ−ト等の安息香酸エステル類あるいはトリエチルアミン、トリエタノ−ルアミン等の三級アミン類のような公知慣用の光増感剤を1種あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
前記(E)成分の含有量は、樹脂固形分総重量比に占める割合が0.2〜20重量%の範囲が好ましい。(E)成分の使用量が0.2重量%未満では重合が不十分になりやすく、一方20重量%を越える量では硬化物の強度が不足する。好ましくは、0.5〜15重量%の範囲で配合される。
なお、本発明ではさらに(F)充填剤、(G)有機溶媒や、その他(H)種々の添加剤を必要に応じて用いることができる。
本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物に(F)充填材(以下、(F)成分と表記する場合がある)を添加することにより、各層の熱膨張率を整合させることができ、各層間での内部応力を緩和することができるため、剥離やクラックを防止することができる。この(F)成分は球状、針状、チップ状の粒子状態で添加されることが好ましく、粒径が0.1μm以下では内部応力の緩和が難しく、増粘性があり、塗工時に問題が生じる。10μm以上だと樹脂組成物自体の脆性や光透過性が悪くなる。また、光透過性の面から、(F)成分の屈折率は低い方が透明性を保ちより好ましい。(F)成分として具体的には硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、シリカ、タルク、ゴム粒子などが挙げられ、その少なくとも1種あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物には粘度の調整のために(G)有機溶剤(以下、(G)成分と表記する場合がある)を添加することができる。これら(G)成分を加えて、抵抗素子用感光性樹脂組成物をペースト状に調製し、目的とする基材上に塗布し、感光層を形成することができる。このような(G)成分としては、セルソルブ類、カルビトール類、(ジ)プロピレングリコールエーテル類またはこれらに対応するアセテート類、また、ケトン類や、芳香族炭化水素類などが用いられ、1種または2種以上の混合物として使用することができる。
本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物に添加することのできる(H)種々の添加剤としては、例えばフタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の着色顔料、エポキシ硬化触媒、チクソトロピー付与剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、分散剤等を挙げることができる。また、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ターシャリーブチルカテコールなどの重合禁止剤を加えてもよい。
本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物を用いて、感光層を形成する方法としては、あらかじめ抵抗素子電極を含む導体回路を形成した基板にローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等の各種手段により塗布する方法、あるいは前記抵抗素子用感光性樹脂組成物を支持体に積層し、さらに必要に応じてその上へ保護フィルムを積層して抵抗素子用のドライフィルムとし、この抵抗素子用ドライフィルムの感光層を目的とする基板上に転写する方法が挙げられる。
また、本発明における抵抗素子用感光性樹脂組成物によって形成された感光層の好適な厚さは、通常0.1〜100μm程度であるが、より好ましくは0.1μm〜30μmである。これは形成された抵抗素子が厚すぎると素子内蔵基板の上層の積層がしにくくなり、薄すぎると抵抗素子の特性が悪くなってしまう為である。
本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物を素子内蔵型基板の抵抗素子とするには、この抵抗素子用感光性樹脂組成物(抵抗材料)を目的とする基板上に塗布し、乾燥させた後、得られた感光層の上にネガタイプのフォトマスクをあて、紫外線等の活性光線を照射して露光部を硬化させ、更に現像液を用いて未露光部を溶出して使用する。
本発明における活性光線とは本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物を硬化させることのできる光であればよいが、特に適した光源としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等のランプが挙げられる。
本発明で使用することのできる現像液としては、γ−ブチルラクトンなどのラクトン類、クロロホルムなどのハロゲン化類、セルソルブ類、カルビトール類、(ジ)プロピレングリコールエーテル類またはこれらに対応するアセテート類、エタノールなどのアルコール類、あるいは、ケトン類や、トルエンなどの芳香族炭化水素類などが用いられ、これらを1種または2種以上の混合物として使用することもできる。なかでも環境配慮の点からアルカリ性水溶液を用いた方が好ましく、また本発明による抵抗素子用感光性樹脂組成物は次に述べるアルカリ性水溶液によって良好に現像することができる。アルカリ性水溶液としては炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、モノエタノールアミン水溶液、ジエタノールアミン水溶液、トリエタノールアミン水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液などの無機または有機物質を含む水溶液が挙げられる。
上述の現像液を用いて感光層の未露光部を取り除いた後、300℃以下でポストベーク処理を行って完全に硬化させ、抵抗体とする。
本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物は、液状若しくは、ドライフィルムレジスト(積層体)として用いることができる。ドライフィルムレジストとして用いる場合の支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、シクロオレフィン、ノルボルネン、アルミペット、アルミニウム箔などからなるフィルムが用いられる。これらに表面加工を施したり、数種類のフィルムを積層して用いてもよい。液状の抵抗素子用感光性樹脂組成物を支持体に均一に塗布し、熱風等による乾燥を行い溶剤を除去して感光層を形成する。このままでドライフィルムレジストとして用いることもできるが、通常は感光層保護のために感光層上に保護フィルムを積層し、例えばロール状に巻くなどして保存される。
このようにして得られたドライフィルムレジストの感光層を熱ラミネーション法により目的の基板に転写し、この感光層の上にネガタイプのフォトマスクをあて、紫外線等の活性光線を照射して抵抗体のパターン状に感光層を露光し、硬化させ、更に現像液を用いて未露光部を溶出し、300℃以下の加熱で熱硬化することにより所望の形状の抵抗体をより簡便に形成することができる。
本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物を光、熱により硬化し、最終的に得られた抵抗体のガラス転移点が熱応力歪測定装置(以下、TMAと表記する)測定により110℃以上あると、絶縁材料との膨張率との差が小さくなるため剥離・クラックが生じにくくなるため望ましく、120℃以上であると、リフローにも耐え、素子内蔵基板を形成していく際の加熱処理や、実使用時の周囲の素子、あるいは抵抗素子自身の発熱に対し耐性を得るため好ましい。そのためTMA測定によるガラス転移点は110℃以上であることが望ましく、120℃以上であれば耐熱性の上からより好ましく、130℃以上であればさらに好ましい。高いガラス転移点を要求する理由として、ガラス転移点以下では低い線膨張率が適用されるため、内層の絶縁材料の線膨張率との差が少なくなり、クラック耐性を向上できる等、各種信頼性試験において良好な結果が得られるからである。なお、他のガラス転移点測定方法にはDSC(示差走査熱量分析装置)やDMS(動的粘弾性測定装置)などが知られているが、温度に対する樹脂の伸縮度からガラス転移点を測定するTMAは、本発明による抵抗素子用感光性樹脂組成物によって形成された抵抗素子の使用条件に近い状態でガラス転移点を測定することができるため、試料に応力を与えないDSCや、温度に対する振動挙動で測定する方法であるDMSによる評価よりも適切であるといえる。
上述の方法に従って本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物をプリント配線板に塗布・積層、乾燥し、形成された感光層へ、あるいはドライフィルムレジストを用いて転写により形成された感光層へ、露光、現像、硬化処理を行うことにより、有機系の基板に悪影響を与えることなく耐熱性と精度に優れた抵抗体を形成することができる。
予め基板上に抵抗素子電極等の配線パターンが形成されている上へ抵抗体を形成した場合はこれで抵抗素子が完成するので、この上へ絶縁層を積層して抵抗素子を埋め込み、さらに上層に配線層を設け、必要によってはさらに絶縁層と配線層の積層を繰り返し、本発明の素子内蔵基板を得ることができる。
本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物を用いた抵抗素子は複数を同じ絶縁層に作り込むこともできるし、また同じ素子内蔵基板の他の絶縁層に作り込むこともできる。この抵抗素子だけでなく、他の受動素子を同時に埋め込む/作り込むことも可能である。
本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物を用いた抵抗素子は300℃以下の加熱で十分に硬化するので、素子内蔵基板に加えられるいく度ものベークにも、はんだ付け等の熱フローにも(それ以上硬化反応が進むことがないので)悪影響を受けることのない信頼性の高い素子となる。かつ、抵抗体自身のポストベークは十分に低い温度で行うことができるため、自身の形成されている有機系基板が悪影響を受けることもない。
このように、本発明の抵抗素子用感光性樹脂組成物を用いれば、精密な抵抗素子を内蔵する素子内蔵基板を、従来のプリント配線板の製造工程に大きな変更を加えることなく製造することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜5、比較例1>
[抵抗素子用感光性樹脂組成物の調製]
表1に示す割合(樹脂固形分総重量比)で(A)〜(E)成分を配合し、抵抗素子用感光性樹脂組成物を調製した。さらに(G)有機溶剤(酢酸3−メトキシブチル)で(A)〜(E)成分からなる樹脂固形分が30重量%になるように希釈し、ワニス(抵抗ペースト)a〜fを調製、これを実施例1〜5及び比較例1として後述の方法で評価した。
Figure 0004701632
A (A)成分;エポキシ樹脂(TMH、住友化学製)
B (B)成分;昭和高分子製リポキシVR90に無水トリメリット酸を酸価が変化しなくなるまで反応させてできた不飽和基含有ポリカルボン酸。固形分酸価250mgKOH/g。
C (C)成分;酸化スズ系導電性フィラー(50Ω・cm)
D1 (D)成分;3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート
D2 (D)成分;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
E1 (E)成分;光開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)
E2 (E)成分;光増感剤(ジエチルチオキサントン)
[抵抗素子及び素子内蔵基板の製造]
ワニスa〜eをスピンコーターで、乾燥後の膜厚が15μmになるように、CZ(表面粗化)処理された配線層を形成した基板に全面塗布し、これを80℃、20分間乾燥し、放冷して感光層とした。次に、感光層の上にネガタイプのフォトマスクをあて、500mJ/cmで密着露光し、反応させた。液温30℃、1%炭酸ソーダ水溶液で未露光部をスプレー除去、さらにスプレー水洗した。なお、ここまでの処理は感光層に影響を及ぼさない赤色光下で行った。その後、基板全体を乾燥オーブンにて180℃、2時間加熱し、抵抗体の硬化処理を行った。最後に、1000mJ/cmで再度密着露光を行い、確実に硬化させた。
配線層と、このようにして形成した抵抗体を有する抵抗素子の上に絶縁層を形成し、上層に配線層を設け、ビアによって抵抗素子の導通を図ることで、本発明の素子内蔵基板を制作した。
<比較例2>
市販の抵抗ペースト(アサヒ化学研究所社製、TU200k)を乾燥後の膜厚が15μmになるように、スクリーン印刷法でCZ(表面粗化)処理された配線層を形成した基板にパターンを形成した。これを170℃で2時間、加熱硬化処理を行い、抵抗体を形成した。これを比較例2とし、以下に示す方法で評価した。また、評価の結果は表2に示す。
[評価方法]
アルカリ現像性:実施例1〜5及び比較例1となるワニスa〜fについて、スピンコーターで乾燥後の膜厚が15μmになるように、CZ(表面粗化)処理された銅基板に全面塗布し、これを80℃、20分間乾燥し、放冷した。次に、ネガフィルムをあて、500mJ/cmで密着露光し、液温30℃、1%炭酸ソーダ水溶液で未感光部分をスプレー除去、さらにスプレー水洗し、現像できるものを○、現像できないものを×とした。
解像性:実施例1〜5及び比較例1(ワニスa〜f)については現像後、比較例2(TU200k)についてはスクリーン印刷によって形成することができたパターンの下限(μm)を光学顕微鏡で観察した。
面積抵抗値:ポリイミドフィルム(宇部興産社製 ユーピレックス)上にワニスa〜f及び抵抗ペースト(TU200k)を用いて抵抗素子を形成し、ハイレスタ(三菱油化社製 MCP−HT260)にて面積抵抗値を測定した。
耐熱性:銅板上にワニスa〜fによる抵抗体被膜を形成し、260℃に加熱したIRリフロー炉で30秒間処理し、硬化膜の変化を光学顕微鏡で観察した。硬化膜のはく離やクラック等の変化がないものを○、あるものを×とした。
ガラス転移点:熱硬化後の抵抗素子用感光性樹脂組成物のガラス転移点を熱応力歪測定装置(TMA)(セイコーインストルメンツ社製 SSC/5200)にて測定した。
Figure 0004701632
実施例4にあるように(C)導電性フィラー(酸化スズ系導電性フィラー)を加えない場合は、硬化後の抵抗素子用感光性樹脂組成物(抵抗体)樹脂自体の抵抗値1E+12Ω/□となったが、導電性フィラーを加えるにつれ実施例1〜3のように抵抗体の導電性は上昇し、抵抗素子の面積抵抗値は減少した。特に70重量%の(C)導電性フィラーを含有するワニスaから形成された抵抗素子(実施例1)では、面積抵抗値が1E+05Ω/□と飛躍的に低くなり、樹脂のみで(C)導電性フィラーを加えないワニスdを用いた場合(実施例4)に比べ10倍導電するようになった。
また市販されている抵抗ペースト(TU200k)(比較例2)はスクリーン印刷法によりパターンを形成するため解像性が500μmと低かったのに対し、ワニスa〜f(実施例1〜4、比較例1)を用い、露光、現像工程を経て形成されたパターンの解像性は120μm以下であり、感光性を有し、露光・現像の工程でパターニングを行う樹脂組成物(ワニス)の方が解像性の点で特に優れていることがわかった。また、解像性は(D2)同分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とを有する化合物を含む反応性希釈剤を加えることでさらに向上した。
ワニスに(A)エポキシ樹脂を加える(実施例5)と加えない場合(比較例1)に比べガラス転移点が大きく上昇し、抵抗体の熱膨張特性も向上することがわかる。
ガラス転移点は(D2)同分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とを有する化合物を含む反応性希釈剤を加えることで、さらに上昇し、ワニスeから形成された抵抗体(実施例5)とワニスa〜dから形成された抵抗体(実施例1〜4)を比較すると、ガラス転移点がより高い(120℃以上)実施例1〜4の抵抗体の方が耐熱性に優れ、リフローにも耐えられる耐熱性を獲得するため、これを用いて抵抗素子を形成した場合、熱履歴に対して影響されない、信頼性の高い抵抗体および素子内蔵基板となることがわかった。

Claims (5)

  1. 少なくとも、
    (A)エポキシ樹脂、
    (B)エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる不飽和基含有ポリカルボン酸、
    (C)導電性フィラー、
    (D)3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基を有する化合物、
    (E)光重合開始剤、
    からなり、
    前記(A)〜(E)からなる樹脂固形分を100重量部としたときの前記(D)の割合が12重量部以上41重量部以下であり、前記3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基を有する化合物が、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートであることを特徴とする抵抗素子用感光性樹脂組成物。
  2. 前記(B)エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる不飽和基含有ポリカルボン酸の酸価が250mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載の抵抗素子用感光性樹脂組成物。
  3. 前記抵抗素子用感光性樹脂組成物がアルカリ性水溶液で現像可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抵抗素子用感光性樹脂組成物。
  4. 少なくとも支持フィルムと感光層を有する積層体において、該感光層は請求項1からのいずれかに記載の抵抗素子用感光性樹脂組成物からなることを特徴とする積層体。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の抵抗素子用感光性樹脂組成物を抵抗材料として用い形成した抵抗素子を内蔵したことを特徴とする素子内蔵基板。
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