JP4697503B2 - 複合酸化物粉末とその製造方法及び触媒 - Google Patents

複合酸化物粉末とその製造方法及び触媒 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒担体として有用な複合酸化物粉末とその製造方法、及びその複合酸化物粉末を触媒担体とした排ガス浄化用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車の排ガス浄化用触媒として、排ガス中のCO及びHCの酸化とNOx の還元とを同時に行って浄化する三元触媒が用いられている。このような三元触媒としては、例えばコーディエライトなどからなる耐熱性ハニカム基材にγ-Al2O3からなる担体層を形成し、その担体層に白金(Pt)やロジウム(Rh)などの貴金属を担持させたものが広く知られている。また排ガスの雰囲気変動を緩和するために、酸素吸蔵放出能(以下、 OSCという)をもつCeO2や、CeO2の OSC及び耐熱性を向上させたCeO2−ZrO2固溶体を添加することも知られている。
【0003】
ところで近年の排ガス温度の上昇に伴い、特にCeO2を含む触媒又は触媒担体の耐熱性の向上が求められている。そこで特開平4-4043号公報には、 Al2O3、CeO2及びZrO2の各酸化物前駆体を共沈殿させて形成され、CeO2−ZrO2固溶体が5〜40重量%含まれた複合酸化物担体の開示がある。しかしこの複合酸化物担体では、単位重量当たりの OSCが小さく、十分ではない。
【0004】
また特開平7-300315号公報には、Ce及びZrイオンの混合溶液に帯電粒子( Al2O3)を加え、乾燥・焼成した複合酸化物担体の開示がある。さらに特開平7-315840号公報には、Ce塩とZr塩を含む溶液から得た沈殿物と Al2O3粉末とを混合して形成した、CeO2−ZrO2−Al2O3担体の開示がある。しかしこれらの方法では、各構成成分が高い分散性をもつ複合酸化物担体を製造することができず、CeO2−ZrO2固溶体の耐熱性向上効果は十分ではない。
【0005】
そこで特開平10−182155号公報には、CeもしくはZrのうち少なくとも1種及びAlからなる複数元素の塩溶液から、酸化物前駆体を共沈させた後焼成して形成された複合酸化物担体が開示されている。
【0006】
この複合酸化物担体によれば、CeO2にZrO2の少なくとも一部が固溶しており、かつCeO2−ZrO2固溶体とγ-Al2O3が高分散に混合しているため、CeO2−ZrO2固溶体のシンタリングが抑制され、1000℃以上の耐熱性が発現される。したがって、この複合酸化物を含む担体に貴金属を担持した触媒は、高い OSCを発現し、かつ耐熱性を兼ね備えた触媒となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平10−182155号公報に開示された複合酸化物担体に貴金属を担持した触媒であっても、浄化活性が充分ではなく、耐久後のさらなる浄化活性の向上とさらなる OSCの向上が求められている。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、触媒とした場合において、さらなるガス拡散性の向上と OSCの向上を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の複合酸化物粉末の特徴は、互いに固溶しないCeO2−ZrO2固溶体とAl酸化物とからなり、CeO2−ZrO2固溶体が40〜95重量%含まれ、CeとZrの原子比がCe:Zr=80:20〜20:80であり、細孔直径が 3.5〜50nmの領域に第1の細孔分布をもつとともに50〜 200nmの領域に第2の細孔分布をもち、かつ後述の式で定義されるCeO2−ZrO2固溶体の固溶度が50%以上であることにある。
【0010】
また、 700℃で5時間の焼成後に細孔直径が 3.5〜 200nmの細孔容積が0.10cc/g以上である特性を有することが好ましく、細孔直径が 3.5〜 200nmの細孔容積が0.15cc/g以上である特性を有することがさらに好ましい。
【0012】
第1の細孔分布における細孔容積は第2の細孔分布における細孔容積の2倍以上であることが好ましい。
【0014】
そして本発明の触媒の特徴は、上記した本発明の複合酸化物粉末に貴金属を担持してなることにあり、この触媒は内燃機関に使用される排ガス浄化用触媒である。
【0015】
また本発明の複合酸化物粉末の製造方法の特徴は、Ceの化合物と、Zrの化合物と、酸化物がCeO2−ZrO2固溶体と固溶しないAlの化合物とが溶解した水溶液又は水を含む溶液から、CeO2−ZrO2固溶体前駆体及びAl酸化物前駆体又はこれら前駆体の化合物の沈殿を析出させ、沈殿を析出させた後に焼成する複合酸化物粉末の製造方法であって、形成される複合酸化物に含まれるCeO 2 −ZrO 2 固溶体の含有量が40〜95重量%となるように水溶液又は水を含む溶液中における各成分の量を調整し、沈殿を析出させた後、水又は水を含む溶液を分散媒とした懸濁状態又は系内に水が十分存在する状態で沈殿を熟成し、その後系内に水分が充分に存在している状態で 300〜 900℃の温度範囲で沈殿を焼成することにある。
【0016】
上記製造方法において、Ceの化合物は3価のCeの化合物であり、沈殿を析出させる前又は後に過酸化水素を添加することも好ましい。
【0017】
また熟成は室温以上で行うことが好ましく、100〜 200℃、さらには 100〜 150℃で行うことが望ましい。
【0018】
さらに本発明の触媒の特徴は、本発明の複合酸化物に貴金属、特にPtを含む貴金属を担持したことにある。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の複合酸化物粉末は、互いに固溶しないCeO2−ZrO2固溶体とAl酸化物とよりなり、CeO2−ZrO2固溶体が40〜95重量%含まれている。CeO2−ZrO2固溶体は50〜85重量%、さらには60〜80重量%含まれていることが望ましい。CeO2−ZrO2固溶体がこの範囲より少ないと十分な OSCが得られず、これより多くなると耐熱性が不十分となる。
【0020】
この複合酸化物粉末は、CeとZrの原子比がCe:Zr=80:20〜20:80である。Ce:Zr=70:30〜30:70であることが好ましく、さらにはCe:Zr=60:40〜40:60であることがより好ましい。Ce量がこの範囲より少ないと、触媒として必要な OSCが得られず、Ce量がこの範囲より多くなるとZrO2の固溶量が少なすぎるため耐熱性が低下する。
【0021】
本発明の複合酸化物粉末では、さらにCeO2−ZrO2固溶体の固溶度が50%以上である。70%以上であることがより好ましく、85%以上であることが特に好ましい。固溶度が50%未満では OSCが不十分であり、固溶度が大きいほど OSCはより大きくなる。
【0022】
ここで固溶度とは、X線回折のピークシフトから次式によって定義される値をいう。
【0023】
固溶度(%)= 100×(CeO2に固溶したZrO2の量)/ZrO2の総量
固溶度S(%)は式(1)によって算出される。
【0024】
S= 100×(x/C)×〔( 100−C)/( 100−x)〕…(1)
ここでCはCeとZrの配合比から求められるZrO2の含有率(%)、xはX線回折から求める格子定数から式(2)によって算出されるCeO2に固溶しているZrO2の濃度(%)である。
【0025】
x=( 5.423−a)/0.003 …(2)
なお式(2)のaは格子定数(Å)である。
【0026】
また本発明の複合酸化物粉末は、 700℃で5時間の焼成後に細孔直径が 3.5〜 200nmの細孔容積が0.10cc/g以上である特性を有し、細孔直径が 3.5〜 200nmの細孔容積が0.15cc/g以上である特性を有することがさらに好ましい。
【0027】
そして本発明の複合酸化物粉末は、 200nm以下の領域に少なくとも二つの細孔分布を有し、細孔分布曲線では少なくとも二つの山が観察される。つまり特開平10−182155号公報に開示された複合酸化物担体と同様に 3.5〜50nmの微細な領域にシャープな第1の細孔分布を有し、それに加えて50〜 200nmの大きな領域に第2の細孔分布を有している。
【0028】
このような複合酸化物に貴金属を担持した本発明の触媒では、第1の細孔分布に属する微細な細孔に貴金属が高分散担持され、高い浄化活性と高い OSCが得られる。また、互いに固溶しないCeO2−ZrO2固溶体とAl酸化物が互いの障壁として作用するために、高温時のCeO2−ZrO2固溶体のシンタリングが抑制され、高温耐久後にも高い浄化活性と高い OSCが発現される。
【0029】
さらに第1の細孔分布より大きな領域に第2の細孔分布を有しているため、特開平10−182155号公報に開示された複合酸化物担体に比べてガス拡散性が大きく向上し、浄化活性と OSCがさらに向上する。
【0030】
第1の細孔分布における細孔容積は、第2の細孔分布における細孔容積の2倍以上であることが望ましい。これにより貴金属をさらに高分散担持することができるので、触媒の浄化活性が一層向上する。また担持された貴金属は、粒成長が抑制されているので、高温耐久後の浄化活性及び OSCが一層向上する。なお上限は特に制限されないが、第2の細孔分布における細孔容積が第1の細孔分布における細孔容積の1/10以上とすることが好ましい。第2の細孔分布における細孔容積がこれより小さくなると、ガス拡散性が低下する。
【0032】
なお本発明の複合酸化物粉末には、他の金属元素としてアルカリ土類金属,希土類元素,Zrなどをさらに含むこともできる。このような成分を含むことで、CeO2−ZrO2固溶体あるいはAl酸化物に対して固溶したり、Alと別の相を形成して、耐熱性が向上したり、 OSCがさらに向上したりする効果が得られる場合がある。また目的に応じて担体の酸塩基度を調整できるという利点もある。
【0033】
この複合酸化物粉末を製造する本発明の製造方法では、先ずCeの化合物と、Zrの化合物と、Alの化合物とが溶解した水溶液から、CeO2−ZrO2固溶体前駆体及びAl酸化物前駆体又はこれら前駆体の化合物の沈殿を析出させる。
【0034】
Ceの化合物、Zrの化合物及びAlの化合物としては、一般に塩が用いられ、塩としては、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、酢酸塩などが利用できる。また塩を均一に溶解する溶媒としては、水、アルコール類、それらの混合物が使用できる。さらに、例えば硝酸アルミニウムの原料として、水酸化アルミニウムと硝酸と水とを混合して用いても良い。
【0035】
Ceの化合物としては、4価のCe塩を用いるのが一般的であるが、4価のCe塩は高価であるという問題がある。そこで安価な3価のCe塩を用い、反応中に酸化によって4価とすることが好ましい。このようにするには、酸化剤として例えば過酸化水素(H2O2)を用いるとよい。H2O2によってCeO2とZrO2の固溶が促進されるという効果も発現される。なおH2O2の添加時期は、熟成工程前であれば特に制限されない。
【0036】
そしてこの溶液にアルカリ性溶液を添加することで、酸化物前駆体の沈殿が析出する。アルカリ性溶液としては、アンモニア、炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどを溶解した水溶液、アルコール溶液が使用できる。焼成時に揮散するアンモニア、炭酸アンモニウムが特に好ましい。なお、アルカリ性溶液のpHは、9以上であることが前駆体の析出反応を促進するのでより好ましい。
【0037】
沈殿の析出方法は、様々な調節方法があり、CeO2−ZrO2固溶体前駆体又はAl酸化物前駆体の沈殿をほぼ同時に析出させる方法、又は、Al酸化物前駆体が沈殿するよりも先にCeO2−ZrO2固溶体前駆体を析出させる方法(又はその逆)がある。
【0038】
前者のほぼ同時に析出させる方法については、アンモニア水などを瞬時に添加し強撹拌する方法や、過酸化水素などを加えることでCeO2−ZrO2固溶体前駆体とAl酸化物前駆体の沈殿し始めるpHを調節した後、アンモニア水などで沈殿を析出させる方法などがある。
【0039】
また後者については、アンモニア水などで中和させる際にかかる時間を十分に長くし、好ましくは10分以上で中和させる方法や、pHをモニターしながらCeO2−ZrO2固溶体前駆体沈殿が析出するpH又はAl酸化物前駆体の沈殿が析出するpHに、段階的に中和する又はそのようなpHに保つような緩衝溶液を添加する方法などがある。
【0040】
そして、水又は水を含む溶液を分散媒とした懸濁状態、又は系内に水分が充分に存在している状態で沈殿を焼成する。
【0041】
系内に水分が充分に存在している状態で沈殿を焼成するには、沈殿を含む溶液ごと加熱して溶媒を蒸発させ、そのまま焼成することで行うことができる。あるいは濾別された沈殿物を水蒸気の存在下で焼成してもよい。この場合は、飽和水蒸気雰囲気で焼成することが好ましい。
【0042】
沈殿を析出させた後、水又は水を含む溶液を分散媒とした懸濁状態又は系内に水が十分存在する状態で沈殿を加温して熟成し、その後焼成する。これにより、Al酸化物前駆体の粒成長が促進され、少なくとも二つの細孔分布を有する複合酸化物粉末が得られる。
【0043】
熟成工程を行った場合には、加温の熱によって溶解・再析出が促進されるとともに粒子の成長が生じる。この熟成工程は、好ましくは 100〜 200℃で、さらに好ましくは 100〜 150℃で行うことが望ましい。 100℃未満の加温では熟成の促進効果が小さく、熟成に要する時間が長大となる。また 200℃より高い温度では、10気圧以上に耐えうる合成装置が必要となり、設備コストが高くなるため、本発明の主な用途である触媒担体の製造方法には適さない。
【0044】
そして得られた沈殿物を焼成することで、細孔分布に特徴を有し、ガス拡散性に優れかつ OSCの高い複合酸化物粉末が製造される。
【0045】
この焼成工程は、大気中で行えばよく、その温度は 300〜 900℃の範囲である。焼成温度が 300℃より低いと、実質上、担体としての安定性に欠ける。また 900℃より高温での焼成は比表面積の低下をまねき、初期の担体焼成温度としては利用法から考えても不必要である。
【0046】
本発明の触媒は、特に内燃機関に使用される排ガス浄化用触媒として利用できる。この触媒は、本発明の複合酸化物粉末を含む担体に貴金属を担持している。貴金属としてはPtが特に好ましいが、Pd、RhあるいはIrなどを用いることもできる。貴金属の担持量は、0.05〜30重量%の範囲で任意に選択できる。0.05重量%未満では、 OSCや浄化活性が十分に発現しない。また30重量%を超えると、 3.5〜50nmの細孔が閉塞されたり、貴金属のシンタリングが進行するようになるため好ましくない。また貴金属に加えて、アルカリ金属やアルカリ土類金属などのNOx 吸蔵材を担持してもよい。なお触媒の形状としては、ペレット形状あるいはハニカム形状など、特に制限されない。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0048】
参考例1
イオン交換水1735gに硝酸アルミニウム9水和物765.57gと、28.3重量%硝酸セリウム水溶液546.41gと、30%過酸化水素水112.23gと、18重量%オキシ硝酸ジルコニウム水溶液 753gとを添加し、プロペラ撹拌機によって約10分間撹拌混合した。この混合溶液を25%アンモニア水765.54g中に滴下し、プロペラ撹拌機で混合しながら徐々に沈殿を生成させた。これに濾過・洗浄を繰り返し、最後に濾過された沈殿物を 100℃/時間の昇温速度で加熱し、 400℃で5時間の仮焼成を行った。これを 700℃で5時間焼成し、複合酸化物粉末を調製した。
【0049】
実施例1
イオン交換水1000gに硝酸アルミニウム9水和物255.19gを加えて溶解させ、そこへ28.3重量%硝酸セリウム水溶液181.14gと、30%過酸化水素水 37.41gと、18重量%オキシ硝酸ジルコニウム水溶液 251gとを添加し、さらにイオン交換水 735gを加えて、プロペラ撹拌機によって約10分間撹拌混合した。その後、25%アンモニア水265.18gを添加して沈殿を生成させた。
【0050】
これを沈殿物と溶液を分離することなく、 120℃で2時間熟成する熟成工程を行い、沈殿物を熟成した。その後、熟成された沈殿物を含む水溶液を 100℃/時間の昇温速度で加熱して蒸発乾固させ、 400℃で5時間の仮焼成を行った。これを 700℃で5時間焼成し、複合酸化物粉末を調製した。
【0051】
(比較例1)
イオン交換水 800gに、濃度28.3重量%の硝酸セリウム( III)水溶液 82.05gと、30%過酸化水素水 16.84gと、濃度18重量%のオキシ硝酸ジルコニウム水溶液112.93gを混合し、プロペラ撹拌機で5分間撹拌した。これに25%アンモニア水 105gを加え、10分間同様に撹拌して沈殿を得た。これを濾過した後、 700℃で焼成してCeO2−ZrO2固溶体粉末を調製した。
【0052】
<試験・評価>
参考例1、実施例1、比較例1の複合酸化物粉末について、水銀ポロシメータを用いて細孔分布を測定し、中心細孔径と 3.5〜 200nmの細孔容積を比較した。またX線回折測定を行い、定義に従って固溶度を算出した。結果を表1に示す。また 800℃で5時間焼成したものについても同様に測定を行い、結果を表2に示す。さらに焼成温度が 700℃と 800℃の場合について、参考例1及び実施例1の複合酸化物の細孔分布を図1及び図2に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
表1より、参考例1及び実施例1の複合酸化物の 3.5〜50nmの細孔容積は0.15cc/g以上であり、表2においても参考例1及び実施例1の複合酸化物の 3.5〜50nmの細孔容積が0.14cc/g以上存在しており、CeO2−ZrO2固溶体と固溶しない Al2O3との複合化によって、貴金属の担持場として十分な細孔が形成されたことがわかる。
【0056】
そして図1及び図2より、実施例1の複合酸化物粉末は 3.5〜50nmの領域と、50〜 200nmの領域にそれぞれ2山以上の細孔分布をもつことがわかる。また実施例1の複合酸化物粉末の 3.5〜50nmの領域の第1の細孔分布における細孔容積は、50〜 200nmの領域の第2の細孔分布における細孔容積の2倍以上となっていることもわかる。
【0057】
参考例2
参考例1で得られた複合酸化物粉末 150gに、Ptとして2g相当を含有するジニトロジアンミン白金硝酸溶液を含浸させ、蒸発乾固してPtを担持した。その後、大気中にて 500℃で2時間焼成し、圧粉成形して 0.5〜1mmの破砕ペレット触媒とした。
【0058】
実施例2
参考例1で得られた複合酸化物粉末に代えて、実施例1の複合酸化物粉末を用いたこと以外は参考例2と同様にして、 0.5〜1mmの破砕ペレット触媒を調製した。
【0059】
(比較例2)
比較例1で得られたCeO2−ZrO2固溶体粉末 111gに、Ptとして2g相当を含有するジニトロジアンミン白金硝酸溶液を含浸させ、蒸発乾固してPtを担持した。これは、参考例2又は実施例2の触媒の複合酸化物当たりのPt量と等しいものである。その後、大気中にて 500℃で2時間焼成し、圧粉成形して 0.5〜1mmの破砕ペレット触媒とした。
【0060】
<試験・評価>
参考例2、実施例2及び比較例2の触媒について、 200℃と 500℃における OSCを測定した。 OSCの測定は、触媒15mgを使用し、酸化性ガスと還元性ガスを5分間ずつ交互に流しながら、熱重量分析装置にて触媒単位重量当たりの酸素の吸蔵(又は放出)量を求めた。さらに、CeO2に吸蔵(又は放出)される理論酸素量つまり理論 OSC量はCeO2の1モル当たり1/4モルに相当することから、得られた実験値の理論 OSC量に対する割合を算出し、結果を図3に示す。
【0061】
さらに、参考例2、実施例2及び比較例2の触媒について、大気中にて 800℃で5時間保持する熱処理を行う高温耐久試験を行った。そして耐久試験後の各触媒について、上記と同様に理論 OSC量に対する割合を算出し、結果を図4に示す。
【0062】
図3,4より、参考例2及び実施例2の触媒は比較例2に比べて初期及び高温耐久後ともに高い OSCを有しており、単位CeO2あたりの OSC機能が向上していることがわかる。これにより、CeO2−ZrO2と固溶しない Al2O3を複合化した効果が明らかである。さらに、参考例2に比べて実施例2はさらに性能が向上しており、これは実施例2の触媒の担体が少なくとも二つの細孔分布をもつことに起因していることが明らかである。
【0063】
一方、高温耐久試験後の参考例2及び実施例2の触媒を常圧固定床流通型触媒評価装置にそれぞれ配置し、表3に示すモデルガス(λ=1±0.02)をRich/Lean=1秒間/1秒間で繰り返し流通させながら、室温から 400℃まで12℃/分の速度で昇温した。ガス流量は、試料 0.5gに対して3リットル/分である。
【0064】
【表3】
【0065】
そして各触媒について昇温時のHC転化率を測定し、結果を図5に示す。また高温耐久試験後の各触媒のPt粒径を測定し、結果を表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
図5より、実施例2の触媒の方が参考例2の触媒より高いHC転化率を示していることがわかる。両者の間には、触媒性能の立ち上がり方(反応律速の部分)やPt粒径(表4)に差がほとんど認められなかった。これらのことより、実施例2の触媒の担体が少なくとも二つの細孔分布をもつために、ガス拡散性が向上し、拡散律速となる高温域での触媒性能が向上したことが明らかである。
【0068】
【発明の効果】
すなわち本発明の複合酸化物粉末によれば、貴金属の担持場として十分な細孔を有している。したがってこの複合酸化物粉末に貴金属を担持した本発明の触媒によれば、貴金属が高分散で担持されるとともに粒成長が抑制され、かつガス拡散性が向上する。これにより高温耐久後にも高い浄化活性と高い OSCが発現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1及び実施例1の複合酸化物の 700℃焼成後の細孔分布を示すグラフである。
【図2】参考例1及び実施例1の複合酸化物の 700℃焼成後の細孔分布を示すグラフである。
【図3】実施例及び比較例の触媒の初期における OSCの理論 OSC量に対する割合を示すグラフである。
【図4】実施例及び比較例の触媒の耐久後における OSCの理論 OSC量に対する割合を示すグラフである。
【図5】参考例2及び実施例2の触媒の耐久後におけるHC転化率を示すグラフである。

Claims (8)

  1. Ceの化合物と、Zrの化合物と、酸化物がCeO2−ZrO2固溶体と固溶しないAlの化合物とが溶解した水溶液又は水を含む溶液から、CeO2−ZrO2固溶体前駆体及びAl酸化物前駆体又はこれら前駆体の化合物の沈殿を析出させ、該沈殿を析出させた後に焼成する複合酸化物粉末の製造方法であって、
    形成される複合酸化物に含まれるCeO2−ZrO2固溶体の含有量が40〜95重量%となるように該水溶液又は水を含む該溶液中における各成分の量を調整し、該沈殿を析出させた後、水又は水を含む溶液を分散媒とした懸濁状態又は系内に水が十分存在する状態で 100〜 200℃で該沈殿を熟成し、その後系内に水分が充分に存在している状態で 300〜 900℃の温度範囲で該沈殿を焼成することを特徴とする複合酸化物粉末の製造方法。
  2. 前記Ceの化合物は3価のCeの化合物であり、前記沈殿を析出させる前又は後に過酸化水素を添加することを特徴とする請求項1に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  3. 前記熟成は 100〜 150℃で行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  4. 互いに固溶しないCeO2−ZrO2固溶体とAl酸化物とからなり、CeとZrの原子比がCe:Zr=80:20〜20:80であり、該CeO2−ZrO2固溶体が40〜95重量%含まれ、細孔直径が 3.5〜50nmの領域に第1の細孔分布をもつとともに50〜 200nmの領域に第2の細孔分布をもち、かつ次式で定義される該CeO2−ZrO2固溶体の固溶度が50%以上であることを特徴とする複合酸化物粉末。
    固溶度S= 100×(x/C)×〔( 100−C)/( 100−x)〕…(1)
    ここでCはCeとZrの配合比から求められるZrO2の含有率(%)、xはX線回折から求める格子定数(a)から式(2)によって算出されるCeO2に固溶しているZrO2の濃度(%)である。
    x=( 5.423−a)/0.003 …(2)
  5. 700℃で5時間の焼成後に細孔直径が 3.5〜 200nmの細孔容積が0.10cc/g以上である特性を有することを特徴とする請求項4に記載の複合酸化物粉末。
  6. 700℃で5時間の焼成後に細孔直径が 3.5〜 200nmの細孔容積が0.15cc/g以上である特性を有することを特徴とする請求項5に記載の複合酸化物粉末。
  7. 前記第1の細孔分布における細孔容積は前記第2の細孔分布における細孔容積の2倍以上であることを特徴とする請求項4に記載の複合酸化物粉末。
  8. 請求項4〜7のいずれかに記載の複合酸化物粉末を含む担体に貴金属を担持してなることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
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