JP4696975B2 - 転がり軸受 - Google Patents

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本発明は、例えば圧延機のバックアップロール用軸受として用いられる転がり軸受に関する。
鋼板の熱間圧延工程で使用される圧延機の圧延ロールは、生産性の面からより小径であること、より高荷重に耐えられることが求められる。このため、圧延ロールの後側に配置されるバックアップロールとしては、圧延ロールに加わる荷重や衝撃を受け止め圧延ロールの変形を抑えるために、圧延ロールよりロール径の大きいものが使用され、このような圧延機のバックアップロールを支持する転がり軸受(以下「バックアップロール用軸受」という)に要求される性能としては、より大きな荷重に耐えられること、より大きな衝撃力に耐えられることなどが挙げられる。
バックアップロール用軸受などの大型転がり軸受は、その軌道輪や転動体の素材として浸炭鋼が用いられ、これに浸炭または浸炭窒化などの処理を主に気相中で行なって軌道輪や転動体が製造されている。また、その際には、大型の軸受であるために、焼入れ性の良好な鋼種が選択され、これに浸炭または浸炭窒化を施し、次いで焼鈍を施した後、焼入れ及び焼戻しを施すことによって、HRC60以上の表面硬度とHRC30〜48の芯部硬度を得ている。
しかし、上述した方法でバックアップロール用軸受などの大型転がり軸受を製造しようすると、素材の熱処理方法によっては粗大な結晶粒が発生し、それが疲労破壊の起点になることによって材料強度が大きく損なわれることがあった。また、浸炭層より深く、十分な硬さが得られない部分では、熱処理によって発生する残留引張応力も強度低下の原因となる。これらの要因によって材料強度が使用環境によって必要とされる強度を下回ると破壊が起こると考えられる。 そこで、年々過酷化して使用環境に対して、非金属系介在物の大きさと量を規定することによって軌道輪や転動体の損傷を防止するようにしたものや(例えば、特許文献1、特許文献2参照)、軌道輪の端面部に割れが発生するのを抑制するために、浸炭層の深さを調整したものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−84869号公報 特開平6−145883号公報 特開2000−314427号公報
しかしながら、特許文献1−3に開示された技術は、非金属系介在物を起点とした損傷の発生を抑えるには有効であるが、バックアップロール用軸受などの大型転がり軸受では、非金属系介在物によらない破壊の形態もあり、単に材料の清浄度を向上させるだけでは転がり軸受の転がり疲労寿命が不足するという問題があった。また、単に硬さを向上させるだけでは、芯部の靭性が不足して疲労破壊の発生を招くおそれがあった。
本発明は上述した問題点に着目してなされたものであり、その目的は、耐荷重性及び耐衝撃性の向上を図ることのできる転がり軸受を提供することにある。
本発明のうち請求項1の発明は、内輪と、該内輪の外周に配置された外輪と、前記内輪と前記外輪との間に設けられた複数の転動体とを備えてなる転がり軸受であって、前記内輪、外輪及び転動体の少なくとも一つが、800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭または浸炭窒化を施され、次いで1回以上のオーステナイト変態を伴う焼鈍を2回以上施された後、焼入れ及び焼戻しを施された鋼からなり、前記鋼を素材とする軸受構成部材の芯部における疲労強度を前記芯部の平均硬度で除した値が1.6以上であり、前記疲労強度の数値は、転がり軸受に回転トルクを与えながら曲げモーメント荷重を負荷して回転曲げ試験を行い、転がり軸受に損傷が発生したときの曲げモーメント荷重値であり、浸炭または浸炭窒化を施す鋼の炭素含有量は、0.1〜0.5質量%であることを特徴とする。
本発明のうち請求項2の発明は、請求項1記載の転がり軸受において、前記鋼を素材とする軸受構成部材の芯部における結晶粒の最大粒径が、1観察範囲4〜25mm、全被検面積32〜400mmを観察し、各視野における結晶粒子の最大面積の平方根より極値統計を行い、300000mmに換算したときに90μm以下であることを特徴とする。
述した問題点を材料面から解決する手段としては、結晶粒の微細化が有効である。これは、マルテンサイト組織を有する高強度鋼の破壊が、粒界への応力集中を原因としていること、そして結晶粒を細かくすることで応力集中を軽減できるからである。
実際に大型転がり軸受について、結晶粒を微細化する手法を考える。大型の転がり軸受に使用される鋼材には、焼入れ性を確保するために、Ni,Moなどの合金元素が多量に添加されている。したがって、多くの鋼種について浸炭または浸炭窒化・冷却後の芯部組織はベイナイト組織となる。このベイナイト組織は、マルテンサイト組織と同様に、旧オーステナイト粒内にパケット、ブロック、ラスといった下部組織を有している。
このような組織を焼入れする場合、焼入れ前に変態点以下の温度で保持することは有効である。これは、冷却したままのベイナイトブロック界面が、特定の結晶方位の相対角度を有しているために、ランダムな結晶方位を有している旧オーステナイト粒界に比べてエネルギー状態が低く安定な状態にあり、核生成サイトに成り難いことに由来している。
焼鈍を施すことで、組織の回復が起こり、ブロック界面の結晶方位がランダムとなるため、核生成サイトとして旧オーステナイト粒界と同等の能力を有するようにすることができる。したがって、冷却後焼鈍を施した場合、旧オーステナイト粒界のみならず粒内からも結晶粒の核生成が起こり、微細化が達成されることになる。このような効果を得るために、焼鈍温度は620℃以上とすることが好ましい。
一方で、浸炭または浸炭窒化後の焼鈍を変態点以上の温度で行うことも非常に有効である。これは、加熱過程では上記の焼鈍と同様の効果が生じ、変態点温度以上に加熱された際に、実際に結晶粒が発生し、元の結晶粒が分割されるためである。パケット、ブロックと言った下部組織のサイズは旧オーステナイト粒径が小さくなるに比例して小さくなることが知られているため、焼入れ前に変態点以上の温度で焼鈍を行うことは結晶粒の微細化に非常に有効である。ただし、結晶粒の粗大化を抑制するためには、860℃以下の温度で焼鈍を行なうことが好ましい。また、浸炭または浸炭窒化は、処理時間を短縮化させるために、800℃以上、好ましくは850℃以上の温度で行うことが望ましく、結晶粒の粗大化を抑制するためには、1050℃以下の温度で行うことが好ましい。さらに、浸炭または浸炭窒化を施す鋼の炭素含有量は、0.1〜0.5質量%、好ましくは0.1〜0.3質量%であることが望ましい。
本発明によれば、1回以上のオーステナイト変態を伴う焼鈍を2回以上施すことで、結晶粒の粗大化が抑制されるので、転がり軸受の耐荷重性及び耐衝撃性の向上を図ることができる。また、バックアップロール用軸受などの大型の転がり軸受に好適に適用でき、特に、外径が120mm以上の転がり軸受に好適に適用できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の第1の実施形態に係る転がり軸受を図1に示す。同図に示される転がり軸受は内輪1と、この内輪1の外周に配置された外輪2とを備えており、内輪1の外周面に形成された転動体軌道面1aと外輪2の内周面に形成された転動体軌道面2aとの間には複数の円筒ころ3が設けられている。これらの円筒ころ3は内輪1または外輪2の回転に伴って転動体軌道面1a,12a上を転動するようになっており、内輪1と外輪2との間には、転動体としての円筒ころ3を内輪1及び外輪2の円周方向にほぼ等間隔で保持する保持器4が設けられている。
内輪1、外輪2及び円筒ころ3のうち少なくとも一つは耐荷重性及び耐衝撃性に優れた肌焼鋼から形成されており、このような肌焼鋼を得るためには、図2に示すように、800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭または浸炭窒化を施し、次いで1回以上のオーステナイト変態を伴う焼鈍を2回以上施した後、焼入れ及び焼戻しを施す方法が有効である。
本発明の実施例と比較例を表1に示す。
Figure 0004696975
表1の実施例1は、被熱処理鋼としてSNCM815を用い、このSNCM815に800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いでNガス雰囲気で2回の焼鈍(1回目は焼鈍温度:660℃、焼鈍温度:2時間、2回目は焼鈍温度:800℃、焼鈍温度:1時間)を施した後(図3(a)参照)、焼入れ及び焼戻しを施して得られた浸炭鋼の芯部平均硬度、疲労強度、疲労強度/硬度、極値統計による最大粒径、寿命比を示している。
表1の実施例2は、被熱処理鋼としてSNCM815を用い、このSNCM815に800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いでNガス雰囲気で3回の焼鈍(1回目と2回目は焼鈍温度:660℃、焼鈍温度:2時間、3回目は焼鈍温度:800℃、焼鈍温度:1時間)を施した後(図3(b)参照)、焼入れ及び焼戻しを施して得られた浸炭鋼の芯部平均硬度、疲労強度、疲労強度/硬度、極値統計による最大粒径、寿命比を示している。
表1の実施例3は、被熱処理鋼としてSNCM815を用い、このSNCM815に800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いで焼鈍温度:800℃、焼鈍温度:1時間、焼鈍雰囲気:Nの条件で2回の焼鈍を施した後(図3(c)参照)、焼入れ及び焼戻しを施して得られた浸炭鋼の芯部平均硬度、疲労強度、疲労強度/硬度、極値統計による最大粒径、寿命比を示している。
表1の実施例4は、被熱処理鋼としてSNCM815を用い、このSNCM815に800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いでNガス雰囲気で3回の焼鈍(1回目は焼鈍温度:660℃、焼鈍温度:2時間、2回目と3回目は焼鈍温度:800℃、焼鈍温度:1時間)を施した後(図3(d)参照)、焼入れ及び焼戻しを施して得られた浸炭鋼の芯部平均硬度、疲労強度、疲労強度/硬度、極値統計による最大粒径、寿命比を示している。
表1の実施例5は、被熱処理鋼としてSNCM815を用い、このSNCM815に800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いで焼鈍温度:800℃、焼鈍温度:1時間、焼鈍雰囲気:Nの条件で3回の焼鈍を施した後(図3(e)参照)、焼入れ及び焼戻しを施して得られた浸炭鋼の芯部平均硬度、疲労強度、疲労強度/硬度、極値統計による最大粒径、寿命比を示している。
表1の実施例6は、被熱処理鋼としてSNCM815を用い、このSNCM815に800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いで焼鈍温度:800℃、焼鈍温度:1時間、焼鈍雰囲気:Nの条件で4回の焼鈍を施した後(図3(f)参照)、焼入れ及び焼戻しを施して得られた浸炭鋼の芯部平均硬度、疲労強度、疲労強度/硬度、極値統計による最大粒径、寿命比を示している。
表1の比較例1は、被熱処理鋼としてSNCM815を用い、このSNCM815に800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いで焼鈍温度:660℃、焼鈍温度:2時間、焼鈍雰囲気:Nの条件で2回の焼鈍を施した後(図3(g)参照)、焼入れ及び焼戻しを施して得られた浸炭鋼の芯部平均硬度、疲労強度、疲労強度/硬度、極値統計による最大粒径、寿命比を示している。
表1の比較例2は、被熱処理鋼としてSNCM815を用い、このSNCM815に800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いで焼鈍温度:660℃、焼鈍温度:2時間、焼鈍雰囲気:Nの条件で1回の焼鈍を施した後(図3(h)参照)、焼入れ及び焼戻しを施して得られた浸炭鋼の芯部平均硬度、疲労強度、疲労強度/硬度、極値統計による最大粒径、寿命比を示している。
表1の比較例3は、被熱処理鋼としてSNCM815を用い、このSNCM815に800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いで焼鈍温度:800℃、焼鈍温度:1時間、焼鈍雰囲気:Nの条件で1回の焼鈍を施した後(図3(i)参照)、焼入れ及び焼戻しを施して得られた浸炭鋼の芯部平均硬度、疲労強度、疲労強度/硬度、極値統計による最大粒径、寿命比を示している。
ここで、表1に示した芯部平均硬度の数値は、上述した方法で熱処理が施された浸炭鋼から試験片をそれぞれ作製し、作製された各試験片の芯部硬度をビッカース硬度計により測定したときの平均値である。
また、表1に示した疲労強度の数値は、上述した方法で熱処理が施された浸炭鋼から転がり軸受をそれぞれ作製し、作製された各転がり軸受に回転トルクを与えながら曲げモーメント荷重を負荷して回転曲げ試験を行い、転がり軸受に損傷が発生したときの曲げモーメント荷重値である。
さらに、表1に示した極値統計による最大粒径の数値は、上述した方法で熱処理が施された浸炭鋼から試験片をそれぞれ作製し、作製された各試験片を1観察範囲4〜25mm、全被検面積32〜400mmを顕微鏡観察し、各視野における結晶粒子の最大面積の平方根より極値統計を行い、300000mmに換算したときに予測される結晶粒子の最大粒径を計算した計算値である。
さらにまた、表1に示した寿命比の数値は、上述した方法で熱処理が施された浸炭鋼から転がり軸受(軸受品番:NU228(円筒ころ軸受))をそれぞれ作製し、作製された各転がり軸受に対してラジアル荷重:P/C=0.6、回転数1000min−1、潤滑油:Ro68の条件で寿命回転試験を行い、転がり軸受に損傷が発生するまでの時間を測定した結果を比較例1の寿命を1として指標化した値である。
なお、焼鈍時の冷却は炉冷で行い、焼入れ及び焼戻しは焼入れ温度:820℃、焼戻し温度:160℃の条件で行った。
表1から、浸炭または浸炭窒化後、1回以上のオーステナイト変態を伴う焼鈍を二回以上行うことが好ましいことがわかるが、焼鈍の回数を3回、4回と増やしていくことがより好ましい。この場合、オーステナイト変態を伴う焼鈍の回数を2回、3回、4回と増やすことがより好ましい。
表1に示した各浸炭鋼の極値統計による最大粒径と疲労強度/硬度との関係を図4に示す。HV350以下の軟鋼においては、疲労強度/硬度の値が1.5〜1.6になると言われている。しかし、これ以上の硬度を有する鋼においては、もっと低い値を示すのが一般的である。図4に示すように、今回用いたHv400以上の硬度を持つ鋼においても、焼鈍によって粗大粒の発生を抑制することで、1.6を上回る値の疲労強度/硬度を得ることができる。また、疲労強度は結晶粒の最大粒径に依存し、これは極値統計で求められ、さらに300000mmの被検面積に換算したときに、90μm以下であると疲労強度が良いということが図4に示されている。
表1に示した各浸炭鋼の極値統計による最大粒径と寿命比との関係を図5に示す。図5において、実施例1〜6は比較例1に対する寿命比で2倍以上の値を示し、芯部強度の向上が軸受寿命の延長を図れることを示している。
なお、1回以上のオーステナイト変態を伴う複数回の焼鈍のうち最初の焼鈍は後の焼鈍と温度を同じにするか、あるいは後の焼鈍より温度を低くすることで、組織の調整が行いやすくなるので好ましい。
実施例1〜6と比較例1〜3とを比較すると、比較例1〜3はその極値統計による最大粒径が100μmを上回る値となっている。これに対し、実施例1〜6はその極値統計による最大粒径が100μmを下回る値となり、従って、実施例1〜6のように、800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いで1回以上のオーステナイト変態を伴う焼鈍を2回以上施した後、焼入れ及び焼戻しを施すことで、結晶粒の粗大化を抑制することができる。
また、比較例1〜3はその疲労強度/硬度が1.5を下回る値となるのに対し、実施例1〜6はその疲労強度/硬度が1.5を上回る値となる。従って、実施例1〜6のように、800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いで1回以上のオーステナイト変態を伴う焼鈍を2回以上施した後、焼入れ及び焼戻しを施すことで、耐荷重性及び耐衝撃性の向上を図ることができる。特に、実施例2,4〜6のように、焼鈍を3回以上施すと、図3に示すように、疲労限界限度/硬度が比較例1の1.7倍以上となるので、耐荷重性及び耐衝撃性をより大きく向上させる。
さらに、比較例1〜3はその寿命比が1.5を下回る値となるのに対し、実施例1〜6はその寿命比が2.0を上回る値となる。
したがって、実施例1〜6のように、800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いで1回以上のオーステナイト変態を伴う焼鈍を2回以上施した後、焼入れ及び焼戻しを施すことで、芯部組織における結晶粒の粗大化が抑制されるので、転がり軸受の耐荷重性及び耐衝撃性を高めることができると共に転がり軸受の寿命延長を図ることができる。
特に、実施例3,5及び6のように、オーステナイト変態を伴う焼鈍を2回以上施すと、図4に示すように、寿命比が比較例1の2.5倍以上となるので、転がり軸受の長寿命化により大きく貢献できる浸炭鋼を得ることができる。
なお、上述した実施例1〜6では、800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭を施し、次いで1回以上のオーステナイト変態を伴う焼鈍を2回以上施した後、焼入れ及び焼戻しを施すようにしたが、800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭窒化を施し、次いで1回以上のオーステナイト変態を伴う焼鈍を2回以上施した後、焼入れ及び焼戻しを施すようにしてもよく、このような方法で熱処理を施すことで、表面層の硬さ向上や結晶粒の微細化が可能となり、一層の寿命延長を図ることができる。
また、上述した実施例1〜6では、Nガス雰囲気で焼鈍を施したが、例えばRxガス等のガス雰囲気で焼鈍を施してもよい。
さらに、図1に示した実施形態では本発明を円筒ころ軸受に適用した場合を例示したが、これに限られるものではなく、例えば円錐ころ軸受、玉軸受などの転がり軸受全般に本発明を適用できることは勿論である。
本発明の第1の実施形態に係る転がり軸受の断面図である。 転がり軸受の軌道輪や転動体の素材として用いられる鋼材の熱処理方法を示す図である。 浸炭または浸炭窒化が施された鋼材に焼鈍を施す場合のヒートパターンを示す図である。 図2に示す方法で熱処理が施された浸炭鋼の極値統計による最大粒径と疲労強度/硬度との関係を示す図である。 図2に示す方法で熱処理が施された浸炭鋼の極値統計による最大粒径と寿命比との関係を示す図である。
符号の説明
1 内輪
2 外輪
1a,2a 転動体軌道面
3 円筒ころ
4 保持器

Claims (2)

  1. 内輪と、該内輪の外周に配置された外輪と、前記内輪と前記外輪との間に設けられた複数の転動体とを備えてなる転がり軸受であって、前記内輪、外輪及び転動体の少なくとも一つが、800℃〜1050℃の温度範囲で浸炭または浸炭窒化を施され、次いで1回以上のオーステナイト変態を伴う焼鈍を2回以上施された後、焼入れ及び焼戻しを施された鋼からなり、前記鋼を素材とする軸受構成部材の芯部における疲労強度を前記芯部の平均硬度で除した値が1.6以上であり、前記疲労強度の数値は、転がり軸受に回転トルクを与えながら曲げモーメント荷重を負荷して回転曲げ試験を行い、転がり軸受に損傷が発生したときの曲げモーメント荷重値であり、浸炭または浸炭窒化を施す鋼の炭素含有量は、0.1〜0.5質量%であることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記鋼を素材とする軸受構成部材の芯部における結晶粒の最大粒径が、1観察範囲4〜25mm、全被検面積32〜400mmを観察し、各視野における結晶粒子の最大面積の平方根より極値統計を行い、300000mmに換算したときに90μm以下であることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
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