JP4695401B2 - ヘリコバクター・ヘパティカスの特異的抗原及びその抗体 - Google Patents
ヘリコバクター・ヘパティカスの特異的抗原及びその抗体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4695401B2 JP4695401B2 JP2005012362A JP2005012362A JP4695401B2 JP 4695401 B2 JP4695401 B2 JP 4695401B2 JP 2005012362 A JP2005012362 A JP 2005012362A JP 2005012362 A JP2005012362 A JP 2005012362A JP 4695401 B2 JP4695401 B2 JP 4695401B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- helicobacter
- antibody
- antigen
- hepaticus
- helicobacter hepaticus
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Description
ヒト肝臓癌におけるB型、C型肝炎ウィルス感染との係わりは、発癌にいたる種々の遺伝子変異やウィルスの持つ発癌要因について様々なモデルを用いた検討から次第に明らかになりつつある。しかし、このような肝炎ウィルスに感染していないヒトにおいても肝癌の発生が認められている。
しかし、ヘリコバクター・ヘパティカスでは、どの特異抗原に対する抗体価の上昇が感染あるいは病態と一致するかは確認されていない。
Iryna Kornilovs`ka等(特許文献2)は27種のタンパク質とそれらを認識する抗体を記載しているが、本発明の抗原及び抗体とは異なるものである。また、Ingrid Nilsson等(非特許文献11)にはヘリコバクター・ヘパティカスに特異的な76、30、21KDaの3種のタンパク質が記載されているが、本発明の抗原とは異なるものである。
本発明の抗原を用いて製造できるモノクローナル抗体はヘリコバクター・ヘパティカスのみと反応し、交差反応性の可能性のある他のヘリコバクター属の細菌の抗原と反応しなかった。
以上のことからヘリコバクター・ヘパティカスの特異的な免疫診断法が可能となった。
また、本発明のモノクローナル抗体は、ヘリコバクター・ヘパティカス以外の細菌の抗原と反応しないという特徴を備えている。ここで細菌とは特に制限は無いが、好ましくはヘリコバクター属の細菌であり、より好ましくはヘリコバクター・ピロリ、ヘリコバクター・ビリス、ヘリコバクター・フェリス、ヘリコバクター・ムステラエまたはヘリコバクター・シナエディである。本発明者らは本発明のモノクローナル抗体がその他の細菌としてバクテロイデス・ブルガタス、エシェリヒア・コリ、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ブレベまたはキャンピロバクター・ジェジュニの抗原と反応しないことも確認している。
本発明の上記モノクローナル抗体の認識するヘリコバクター・ヘパティカスの分子量10〜16kDaの抗原の製造方法は特に限定されず、例えば遺伝子工学的に得られたものであっても分子量10〜16kDaでヘリコバクター・ヘパティカスを検出することが出来る限り本発明の範囲に含まれる。実施例5−(5)に示したように、ヒト血清を一次抗体としたウェスタンブロッティングでもバンドが検出された(図2、レーン4)。この抗原に対する抗体がヒトで作られていることからヘパティカス感染を抗体価から測定できることが確認できた。
また、この抗原がアルカリ処理・熱処理・酸処理に対し安定であり、エタノール処理に対しては不安定であることを、抗原とモノクローナル抗体との反応性から確認している。
本発明のハイブリドーマは、公知の細胞融合法により作製できる。即ち、ヘリコバクター・ヘパティカスの分子量10〜16kDaの抗原を免疫原としてヒト以外の動物を免疫し、その脾細胞又はリンパ節細胞と、骨髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマを作製し、その中からヘリコバクター・ヘパティカスの分子量10〜16kDaの抗原を認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択することにより、本発明のハイブリドーマを得ることができる。
上記ヒト以外の動物は特に制限は無いが、マウス・ラットが好ましい。
本発明においては、上記被免疫動物を免疫後、抗体価の高い個体を選び、最終免疫3〜5日後に脾臓又はリンパ節を摘出し、公知の細胞融合法に従って、融合促進剤(例えばポリエチレングリコール:PEG)の存在下で、これらの組織に含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることができる。
以下に実施例を含めて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでない。
(1)菌体の培養法
ヘリコバクター・ヘパティカス(ATCC51448)は、5%馬脱繊血を添加したブレインハートインヒュージョン寒天培地(ディフコ社製)を用いて37℃で微好気性環境下にて3〜4日培養した。
ヘリコバクター・ピロリ(ATCC43504)は、5%馬脱繊血を添加したブレインハートインヒュージョン寒天培地(ディフコ社製)を用いて37℃で微好気性環境下にて3〜4日培養後、更に37℃で嫌気性環境下にて7日間インキュベートし、球状化させた。
実施例1−(1)で得られたヘリコバクター・ヘパティカスのコロニーを白金耳等でかきとり、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)に懸濁した。懸濁液を20mM Tris−HCl buffer(pH8.0)4℃にて、10000×gで10分間遠心分離する操作を3回繰り返して菌体を洗浄し、0.6%N−ラウロイルサルコシン−20mM Tris−HCl buffer(pH8.0)に懸濁した。その後、超音波破砕機(超音波破砕機 東湘電機社製、Bioruptor)を用いて氷冷下1サイクル30秒超音波、60秒休止の条件で30分間超音波処理して菌体を破砕し1時間室温でインキュベーションした。ついで4℃15分間10000xgで遠心分離し、上清を菌体抽出物とした。
実施例1−(1)で得られたヘリコバクター・ピロリのコロニーを白金耳等でかきとり、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)に懸濁した。懸濁液を4℃にて10000×gで10分間遠心分離し、0.5%ホルマリンに懸濁して4℃にて一晩放置し不活化した。不活化した懸濁液をPBSに懸濁し、4℃にて、10000×gで10分間遠心分離する操作を3回繰り返して菌体を洗浄し、PBSに懸濁した。その後、菌体懸濁液を超音波破砕機(セイコー電子工業社製、Model 7250)を用いて、output 3.50% duty cycleの条件にて10分間超音波処理して菌体を破砕し、菌体破砕物とした。
実施例1−(2)により調製したヘリコバクター・ヘパティカスの菌体抽出物をフロイントの完全アジュバントで乳化して、菌体タンパク濃度が20μg/mLになるように調製した。これをBALB/cA Jclマウスの腹腔内に免疫毎0.2mLずつ投与した。初回免疫後14日目と28日目にヘリコバクター・ヘパティカスの菌体抽出物をフロイントの不完全アジュバントで乳化して追加免疫を行った。最終免疫から3日目に心臓採血により血液を採集し、30分静置した後4℃15分間10000×gで遠心分離し上清をマウス抗ヘリコバクター・ヘパティカス血清とした。
実施例1−(3)により調製した免疫原(ヘリコバクター・ピロリ菌体破砕物)と炭酸水素ナトリウム水溶液、フロイント完全アジュバントの混合物を3度ウサギに皮下投与を行った。その血液を採集し、遠心分離して得た上清をウサギ抗ヘリコバクター・ピロリ血清とした。
(1)菌体抽出物の電気泳動
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(NuPAGE Bis−Tris Gelインビトロジェン社製、12%アクリルアミドゲル)を行った。サンプルは、実施例1−(2)により調製したヘリコバクター・ヘパティカスの菌体抽出物を、還元剤で処理しない常法に従い調製した。バッファ−は、MESバッファーを、分子量マーカーはBenchMark Prestained Protein Ladder(インビトロジェン社製)を用いた。
実施例2―(1)に従いSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後、セミドライウェスタンブロッティング法によりニトロセルロース膜にタンパク質を転写した。ニトロセルロース膜を1%BSA液とSuperBlock Blocking Buffer(ピアス社製)を1:1で混和した溶液に1時間浸してマスキングを行った後、一次抗体としてマウス抗ヘリコバクター・ヘパティカス血清、ウサギ抗ヘリコバクター・ピロリ血清と2時間反応させた。ニトロセルロース膜を0.1%ツィーン20−PBSで4回洗浄後、各々二次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIg抗体、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIg抗体(DAKO社製、1:4000)と反応させた。ニトロセルロース膜を0.1%ツィーン20−PBSで5回洗浄後、ENVISION+キット/HRP(DAB)(ダコ社製)により発色させた。
実施例2−(2)のウエスタンブロッティングの結果を図1に示した。ウサギ抗ヘリコバクター・ピロリ血清で染色された交差反応性を示すと思われる抗原は、35kDa以上に認められた(図1 レーン2)。マウス抗ヘリコバクター・ヘパティカス血清では35kDa以下にもバンドが検出された。このことより、ヘリコバクター・ヘパティカス菌体抽出物は、35kDa以下にヘリコバクター・ピロリと交差反応性のない特異的な抗原があることが推測された。
(1)ヘリコバクター・ヘパティカスの免疫及び細胞融合
A.脾臓法
実施例1―(2)にて調製した免疫原(菌体抽出物)をフロイントの完全アジュバントで乳化して、菌体タンパク濃度が20μg/mLになるように調製した。これをSDラットの腹腔内に0.2mL投与した。初回免疫後14日目と32日目に菌体抽出物をフロイントの不完全アジュバントで乳化して追加免疫を行った。最終免疫から16日目にラット脾細胞を摘出し、脾臓細胞を得た。得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞P−3(X63−Ag8)を10:1の割合で混合し、50%PEG4000を用いて融合した後、HAT培地によりハイブリドーマを選択培養した。
実施例1―(2)にて調製した免疫原(菌体抽出物 タンパク質濃度0.5μg/mL)とフロイントの完全アジュバントを1:2で混合した。これをSDラット(5W、♂)の足蹠に75μLを皮内投与した。免疫から15日目にラット腸骨リンパ節を摘出し、腸骨リンパ節細胞を得た。得られた腸骨リンパ節細胞と骨髄腫細胞P−3(X63−Ag8)を2:1の割合で混合し、50%PEG4000を用いて融合した後、HAT培地によりハイブリドーマを選択培養した。
実施例1−(2)により調製したヘリコバクター・ヘパティカス菌体抽出物(0.5μg/well)を固相化した96穴ELISAプレート(パッカード社製)に、1%BSA液とSuperBlock Blocking Buffer(ピアス社製)を1:1で混和したマスキング液(200μL/well)を加え2時間室温で静置し、その後一次抗体として各穴に融合細胞の培養上清液100μLを添加し、2時間反応させた。0.05%ツィ−ン20含有PBS(洗浄液)で洗浄後、二次抗体としてぺルオキシダーゼ標識抗ラットIg(ダコ社製、1:4000)100μLを添加した。室温で1時間静置後、上記洗浄液で洗浄し、TMB(バイオエフエックス社製)発色液を各穴に100μLずつ添加した。室温で10分間反応させ、各穴に1N硫酸液を100μLずつ添加し酵素反応を停止し、450nmにおける吸光値を測定した。
細胞融合後14日目に、実施例3−(2)のELISAと同様の方法で培養上清中の抗体活性を測定した。免疫原に反応する抗体を産生するハイブリドーマクローンをELISAの吸光値が0.8以上を目安として選択した。各クローンを限界希釈法により2度クローニングを行い、その都度抗体活性の有無をELISA法を用いて調べた。陽性クローンに対して、シングルセルクローニングを行い、抗体産生が安定である抗ヘリコバクター・ヘパティカス抗体を産生している多くのハイブリドーマクローンを得た。その後、得られたハイブリドーマを25cm2、75cm2フラスコに移し、培養した。
(1)菌体抽出物の電気泳動、セミドライウエスタンブロッティング
実施例2−(1)に従ってヘリコバクター・ヘパティカスの菌体抽出物をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(NuPAGE Bis−Tris Gelインビトロジェン社製、12%アクリルアミドゲル)を行い、 実施例2−(2)に従いセミドライウェスタンブロッティングを行なった。ハイブリドーマの培養上清と2時間反応させた後、ニトロセルロース膜を0.1%ツィーン20−PBSで4回洗浄後、ペルオキシダーゼ標識抗ラットIg抗体(ダコ社製、1:4000)と反応させた。ニトロセルロース膜を0.1%ツィーン20−PBSで5回洗浄後、ENVISION+キット/HRP(DAB)(ダコ社製)により発色させた。
抗ヘリコバクター・ヘパティカス抗体産生が陽性であったハイブリドーマは120株であった。その中で実施例4−(1)のウェスタンブロッティングの結果から35kDa以下の抗ヘリコバクター・ヘパティカス抗原を認識するモノクローナル抗体を安定に産生しているハイブリドーマを選別した。その結果、HR16、HR63、HRII44、HRII51の4種のハイブリドーマが得られた。
(1)ハイブリドーマ培養液の硫安分画
ハイブリドーマHR63及びHRII51の培養上清各々に飽和硫酸アンモニウムを50%飽和になるよう滴下し、1.5時間攪拌した。その後、13000rpm、30分間遠心分離し、モノクローナル抗体HR63及びHRII51を含む沈渣を40%硫酸アンモニウム20mLで2回洗浄し、PBS2mLに溶解した後、PBSで透析を行った。
プロテインLアガロース(サンタ クルズ バイオテクノロジー社製)20μLに、硫安分画を行ったモノクローナル抗体HR63のPBS溶液10μLを添加・懸濁し、4℃で一晩振盪した。その後、PBSで2回洗浄し、ヘリコバクター・ヘパティカス菌体抽出物を100μL添加し、4℃で一晩振盪した後に、13000rpm、30分間遠心分離した。得られた免疫沈降物をPBSで2回洗浄し、PBS20μLに溶解し、免疫沈降物PBS溶液とした。
実施例2−(1)に従い、免疫沈降物PBS溶液のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。対照としてモノクローナル抗体を添加せずに免疫沈降を行ったものも同様に電気泳動を行った。泳動後、ウェスタンブロッティング法によりニトロセルロース膜にタンパク質を転写した。ニトロセルロース膜を1%BSA液とSuperBlock Blocking Buffer(ピアス社製)を1:1で混和した溶液に1時間浸してマスキングした後、硫安分画後のモノクローナル抗体HR63の培養上清あるいはヒト血清(No.19)と2時間反応させた。ヒト血清は、文献に従い血中抗体をヘリコバクター・ピロリの菌体破砕物で吸収を行った後に抗ヘパティカス抗体価を測定し、抗体価の高かった血清を用いた。ニトロセルロース膜を0.1%ツィーン20−PBSで4回洗浄後、ペルオキシダーゼ標識抗ラットIg抗体(ダコ社製、1:4000)と反応させた。ニトロセルロース膜を0.1%ツィーン20−PBSで5回洗浄後、ENVISION+キット/HRP(DAB)(ダコ社製)により発色させた。
免疫沈降によって得られた、モノクローナル抗体に結合した抗原のウェスタンブロッティングの結果を図2に示した。
ProteinLに、菌体抽出物のみを添加した場合はバンドが検出されず(図2 レーン1)、菌体抽出物とHR63培養上清の双方を添加したもののみ14kDa付近にバンドを検出した(図2 レーン2)。また、文献に従ってヒト血清をヘリコバクター・ピロリで吸収を行った後にヘリコバクター・ヘパティカスに対する抗体価を測定し、抗体価の高かった血清を一次抗体としたウェスタンブロッティングでも同様に、矢印で示した位置にバンドが検出された(図2 レーン4)。
硫安塩析により得られた抗体を活性化セファロースに結合させ、ヘリコバクター・ヘパティカス菌体抽出物から抗原の精製を行なった。この抗原を実施例2−(1)に従いSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(NuPAGE Bis−Tris Gelインビトロジェン社製、12%アクリルアミドゲル)を行い、実施例2−(2)に従いセミドライウェスタンブロッティングを行なった。
ウェスタンブロッティングを行なった結果を図2(レーン3)に示した。HRII51抗体の認識する抗原であると推測されるバンドは14kDa付近に検出され、HR63の免疫沈降後のウェスタンブロッティングにより検出されたバンドと分子量は一致していた。
BenchMark Prestained Protein LadderとBenchMark Protein Ladder(共にインビトロジェン社製)の2種の分子量マーカーを実施例2−(1)に従いSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(NuPAGE Bis−Tris Gelインビトロジェン社製、12%アクリルアミドゲル)を行い、銀染色により染色した結果を図3に示した。マーカーごとに推定される分子量に違いが認められた。ウェスタンブロッティング(図2)の結果からBenchMark Prestained Protein Ladder(図3 レーン1)を用いた場合には分子量は約14kDaと推定され、BenchMark Protein Ladder(図3 レーン2)を用いたときには約12kDaと推定された。抗原の分子量は分子量マーカーのバンドの幅を考慮して10〜16kDaと推定した。
(1)ヘリコバクター・ヘパティカス菌体抽出物の処理条件
実施例1−(1)により調製したヘリコバクター・ヘパティカス菌体抽出物を以下のA〜Dのように処理を行った。
A.酸処理
0.1M Glycine−HCl(pH 2.5)に懸濁し、10分間室温で放置させた後、1.0M Tris−HCl(pH9.0)にて中和させた。
B.アルカリ処理
0.01N NaOHに懸濁し、10分間室温で放置させた後、1N HClにて中和させた。
C.熱処理
沸騰水中に5または10分間放置し、氷冷した。
D.エタノール処理
80% エタノールにて処理した。その後10000×gで2分間遠心分離し、上清を回収した。また沈殿物は、エタノールと同量のPBSにて懸濁した。
A〜Dに従い調製した抗原を、PBSで2.0μg/mLに調製し、96穴ELISAプレート(パッカード社製)に0.2μg/wellで固相化した。マスキングは、1%BSA液とSuperBlock Blocking Buffer(ピアス社製)を1:1で混和したマスキング液(200μL/well)を加え1時間室温で静置した。その後HR63抗体及びHRII51を添加し、室温で1時間反応させた。0.05%ツィ−ン20含有PBS(洗浄液)で洗浄後、二次抗体としてぺルオキシダーゼ標識抗ラットIg(ダコ社製、1:4000)100μLを添加した。室温で1時間静置後、上記洗浄液で洗浄し、TMB(バイオエフエックス社製)発色液を各穴に100μLずつ添加した。室温で3分間反応させ、各穴に1N硫酸液を100μLずつ添加し酵素反応を停止し、450nmにおける吸光値を測定した。
モノクローナル抗体HR63及びHRII51の認識抗原の安定性を検討した結果を図4に示した。どちらもアルカリ処理・酸処理・熱処理には安定であった。しかし、エタノール処理には不安定で抗原性が失われた。この結果より、 モノクローナル抗体HR63及びHRII51の認識抗原の安定性は類似し、また実施例5より分子量もほぼ同じであったことから、モノクローナル抗体HR63及びHRII51の認識抗原は同じであることが推測された。
(1) 菌体の培養法
ヘリコバクター・ビリス(ATCC51630)、ヘリコバクター・ピロリ(ATCC43504)、ヘリコバクター・フェリス(ATCC 49179)、ヘリコバクター・ムステラエ(ATCC 43772)、ヘリコバクター・シナエディ(ATCC 35683)、及びキャンピロバクター・ジェジュニ(ATCC 29428)は5%馬脱繊血を添加したブレインハートインヒュージョン寒天培地上で37℃で4日間微好気培養した。ビフィドバクテリウム・インファンティス(JCM 1222)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(JCM 1192)、バクテロイデス・ブルガタス(IFO 14291)は5%馬脱繊血を添加したBL寒天培地(日水製薬社製)上で、37℃で4日間、嫌気培養した。エシェリヒア・コリ(ATCC25922)はブレインハートインヒュージョン寒天培地上で、37℃で3日間、好気培養した。
得られたコロニーを実施例1−(2)に従い集菌・破砕し、各菌体抽出物を調製した。
実施例1−(2)により調製したヘリコバクター・ヘパティカス菌体抽出物、及び実施例7−(1)により調製したヘリコバクター・ビルス、ヘリコバクター・ピロリ、ヘリコバクター・シナエディ、ヘリコバクター・フェリス、ヘリコバクター・ムステラエ、キャンピロバクター・ジェジュニ、ビフィドバクテリウム・ブレベ、ビフィドバクテリウム・インファンティス、バクテロイデス・ブルガタス、エシェリヒア・コリの菌体破砕物をPBSで0.5μg/wellで96well plateに固相化を行い、実施例3−(2)と同様の方法でELISAを実施した。一次抗体として、実施例5−(1)に従い硫安塩析した抗体(ハイブリドーマHR16、HR63、HRII44、HRII51の産生する抗体)を添加した。
表1に示した。HR63、HRII44、HRII51では、ヘリコバクター・ヘパティカス以外の菌体では発色が認められなかった。従って、HR63、HRII44、HRII51の認識する抗原は、ヘリコバクター・ピロリを含む他菌体との交差反応性がないことが確認できた。
(1)ELISA方法
HRII51抗体でヘリコバクター・ヘパティカス認識抗原を捕捉し、その認識抗原に対する血中の抗体価を測定した。HRII51(0.2μg/well)を固相化した96穴ELISAプレート(Medisorp ヌンク社製)に、1%BSA液と10%アマルティを1:1で混和したマスキング液(200μL/well)を加え1時間室温で静置し、40℃で1時間乾燥させた。その後実施例1−(2)により調製した、ヘリコバクター・ヘパティカス菌体抽出物を0.5μg/wellで添加し、室温で1時間反応させた。0.05%ツィ−ン20含有PBS(洗浄液)で洗浄後、マウス血清を1/200で添加し室温で1時間反応させた。なお、マウス血清は、実施例1−(4)で調製したマウス抗ヘリコバクター・ヘパティカス血清、実施例7−(1)で培養し、実施例1−(4)と同様の免疫方法で調製したマウス抗ヘリコバクター・ビリス血清、マウス抗ヘリコバクター・ピロリ血清を用いた。その後上記洗浄液で洗浄し、ぺルオキシダーゼ標識抗マウスIg(ザイメド社製、1:1000)100μLを添加した。室温で1時間静置後、上記洗浄液で洗浄し、TMB(スミロン社製)発色液を各穴に100μLずつ添加した。室温で10分間反応させ、各穴に1N硫酸液を100μLずつ添加し酵素反応を停止し、450nmにおける吸光値を測定した。
結果を図5に示した。HRII51で捕捉した抗原は抗ピロリ血清・抗ビリス血清とは反応せず、抗ヘパティカス血清と特異的に反応することが分かった。本モノクローナル抗体を用い、上記の測定方法によりヘリコバクター・ヘパティカス抗体価を特異的に測定することが可能であった。従って、この方法は血清を用いたヘリコバクター・ヘパティカス感染診断として有用であることが示唆された。
(1)HRII51(0.5μg/well)を固相化した96穴ELISAプレート(Medisorp ヌンク社製)に、1%BSA液と10%アマルティを1:1で混和したマスキング液(200μL/well)を加え1時間室温で静置し、40℃で1時間乾燥させた。その後糞便添加あり(50倍懸濁)、なしの2種の希釈液(1%BSA、0.1%プロクリン/PBS)に、実施例1−(1)により調製したヘリコバクター・ヘパティカス菌体抽出物を7.5−500ng/wellで添加し、室温で1時間反応させた。その後、0.05%ツィ−ン20含有PBS(洗浄液)で洗浄し、HRII51ビオチン化抗体(0.1μg/well)を添加し、室温で1時間反応させた。上記洗浄液で洗浄し、ぺルオキシダーゼ標識アビジン(ピアス社製、1:20000)を添加し、室温で1時間反応させた。再度上記洗浄液で洗浄し、TMB(バイオエフエックス社製)発色液を各穴に100μLずつ添加した。室温で10分間反応させ、各穴に1N硫酸液を100μLずつ添加し酵素反応を停止し、450nmにおける吸光値を測定した。
結果を図6に示した。濃度依存的に吸光度は上昇し、ヘリコバクター・ヘパティカス抗原を定量的に測定することが可能であった。また、糞便を添加しても濃度依存的に吸光度は上昇し、糞便中の抗原も測定することが可能であった。従って、この方法は糞便を用いたヘリコバクター・ヘパティカス感染診断として有用であることが示唆された。
また、抗原検査のサンプルとしては、糞便だけでなく、胆汁なども考えられ、それらへの応用も期待できる。
Claims (2)
- HR63(FERM P−19616)のハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体。
- ハイブリドーマHR63(FERM P−19616)。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005012362A JP4695401B2 (ja) | 2004-01-21 | 2005-01-20 | ヘリコバクター・ヘパティカスの特異的抗原及びその抗体 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004012696 | 2004-01-21 | ||
JP2004012696 | 2004-01-21 | ||
JP2005012362A JP4695401B2 (ja) | 2004-01-21 | 2005-01-20 | ヘリコバクター・ヘパティカスの特異的抗原及びその抗体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005232164A JP2005232164A (ja) | 2005-09-02 |
JP4695401B2 true JP4695401B2 (ja) | 2011-06-08 |
Family
ID=35015472
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005012362A Expired - Fee Related JP4695401B2 (ja) | 2004-01-21 | 2005-01-20 | ヘリコバクター・ヘパティカスの特異的抗原及びその抗体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4695401B2 (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20030224401A1 (en) * | 2002-02-19 | 2003-12-04 | The Regents Of The University Of California | Proteins for helicobacter diagnosis |
-
2005
- 2005-01-20 JP JP2005012362A patent/JP4695401B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20030224401A1 (en) * | 2002-02-19 | 2003-12-04 | The Regents Of The University Of California | Proteins for helicobacter diagnosis |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005232164A (ja) | 2005-09-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9175091B2 (en) | Monoclonal antibody capable of binding to anexelekto, and use thereof | |
CN108997499B (zh) | 一种抗人pd-l1抗体及其应用 | |
AU1424801A (en) | Antobody to human gastrointestinal epithelial tumor antigen related to alpha 6 beta 4 integrin | |
KR20120128688A (ko) | 녹농균의 혈청형 i 지질다당류에 대한 항체 | |
JP2004043469A (ja) | 精製されたHelicobacterpylori由来の空胞形成毒素およびその使用方法 | |
JPWO2006064844A1 (ja) | 大腸癌および/または大腸ポリープの診断ならびに術後経過観察および再発のモニター薬 | |
Li et al. | Mimotopes selected with a neutralizing antibody against urease B from Helicobacter pylori induce enzyme inhibitory antibodies in mice upon vaccination | |
JP2022529062A (ja) | Csfvサブユニットワクチン | |
CN108997500B (zh) | 一种抗人pd-l1抗体及其应用 | |
JP7418215B2 (ja) | 診断 | |
JP4695401B2 (ja) | ヘリコバクター・ヘパティカスの特異的抗原及びその抗体 | |
FR2966461A1 (fr) | Utilisation d'anticorps anti-vp2 du btv-8 pour le serotypage et le diagnostic des infections a btv | |
JP2023145633A5 (ja) | ||
WO2023035974A1 (zh) | 一种抗疟原虫的抗体及其应用 | |
KR101309485B1 (ko) | 비브리오 패혈증균 알티엑스에이원에 특이적인 단일클론항체, 이를 분비하는 하이브리도마 및 이를 포함하는 진단키트 | |
JP4676778B2 (ja) | ヘリコバクター・ビリスの特異的抗原及びその抗体 | |
JP5683466B2 (ja) | 抗psk抗体 | |
JPS61185183A (ja) | 膣トリコモナスに対して細胞溶解性のモノクロ−ナル抗体を産生するハイブリツド細胞系統 | |
JP4620589B2 (ja) | 新規癌抗原に対する抗体 | |
CN106377766B (zh) | 一种ev71-vp1手足口病多肽疫苗及其制备方法与应用 | |
KR101349413B1 (ko) | 비브리오 패혈증균 알티엑스에이원 항원에 결합하는 단일클론항체 제조와 진단 항원을 제공하기 위한 재조합 단백질 발현벡터 | |
KR101309386B1 (ko) | 비브리오 패혈증균 알티엑스에이원에 특이적인 단일클론항체, 이를 분비하는 하이브리도마 및 이를 포함하는 진단키트 | |
WO2015122570A1 (ko) | 비브리오 패혈증균 알티엑스에이-1 단백질에 특이적으로 결합하는 단일클론 항체 및 이의 용도 | |
WO2024090571A1 (ja) | Mmp12を指標とした免疫介在性炎症性疾患の診断、及びmmp12阻害による免疫介在性炎症性疾患の治療用医薬 | |
WO2023223796A1 (ja) | コリバクチン産生大腸菌結合性抗体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050304 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080110 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20081205 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100907 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20101028 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20101102 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101203 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110208 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110225 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140304 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4695401 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |