JPWO2006064844A1 - 大腸癌および/または大腸ポリープの診断ならびに術後経過観察および再発のモニター薬 - Google Patents

大腸癌および/または大腸ポリープの診断ならびに術後経過観察および再発のモニター薬 Download PDF

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Abstract

本発明は、抗シスタチンSN抗体を用いてシスタチンSN蛋白質を検出することを特徴とする大腸癌および/または大腸ポリープの診断方法ならびに術後経過観察および再発をモニターする方法に関する。本発明によれば、患者に負担をかける従来のバリウム検査および内視鏡検査に先立つ診断ならびに転移・再発の指標および治療効果の判定に、簡便に対応することが可能なシスタチンSN測定キットが提供でき、大腸癌および/または大腸ポリープの診断およびモニターが簡便な方法で可能となり、早急な新たな治療計画の策定が可能となる。

Description

本発明は、大腸癌および/または大腸ポリープの診断ならびに術後経過観察および再発のモニター方法ならびに当該診断薬およびモニター薬に関する。
日本における大腸癌は食生活の欧米化により増加傾向が著しく、毎年約6万人が罹患し、2015年には胃癌を上回り、癌の中で女性では1位、男性で肺癌、肝癌に次ぐ3位になることが推定されている。大腸癌は遺伝的素因よりも食生活、特に動物性脂肪および蛋白質の過剰摂取に起因することが疫学的に推察され、大腸部位としては、S状結腸と直腸に発症しやすい。
大腸癌および大腸ポリープなどの大腸疾患の検査法として、(i)血液検査、(ii)便潜血検査、(iii)バリウム検査、(iv)内視鏡検査、(v)PET、カプセル内視鏡など、(vi)遺伝子診断があるが、(i)および(ii)のような簡便な検査法は精度が落ちる。一方、最も信頼できる診断法として(iii)と(iv)が多用されているが、患者に苦痛を与える場合が多いばかりでなく、医療経済上からも、他の疾患の診断と同様、患者に苦痛を与えることなく簡便で早期に精度良く診断できる方法の開発が望まれている。
患者の腹部における異常の訴えによる各種検査の結果、大腸ポリープあるいは大腸癌が発見される。大腸ポリープとの診断の場合の多くは、経過観察による時間の経過後に異常増殖が確認されなかった場合に、良性腫瘍との診断がなされる。しかしながら、経過観察後に一部の患者で異常増殖が確認され、大腸癌と診断される。その場合大腸ポリープというよりは前癌状態であったことが推察される。経過観察後ではなく、最初の診断において良性か悪性かの判定が、簡便な方法で可能となれば患者のQOL改善のみならず医療費の軽減に貢献できる。
大腸癌は早期発見により、内視鏡的切除および外科療法による完全治癒が可能であるが、発見が遅れた場合、肝臓や肺への遠隔転移が生じることが多々ある。さらに、術後の再発も起こる確率が上昇する。従って、早期発見と癌切除術後の検診が重要であり、患者に苦痛を与えず、簡便で精度良く診断できる方法の開発が望まれている。
シスタチンSNは生体に存在するシステイン プロティナーゼ阻害剤の1種である。システイン プロティナーゼ阻害剤は3つのファミリー(Stefins、CystatinsおよびKinogens)に分類される。シスタチン類にはシスタチンS、SAおよびSNがあり、いずれも唾液、涙、精液に存在し、病的な蛋白質分解からの防御に重要な働きをしている。シスタチンSNの遺伝子および蛋白質は既にSaitoh E等により明らかにされており(非特許文献1、2および3)、抗血清の作製についても非特許文献3に記載されている。
しかし、シスタチンSNの疾患に関わる研究としては、シスタチンSNが唾液および涙に多く含まれることから、歯周病(特許文献1)および片頭痛(特許文献2)について検討がなされているにすぎない。
WO 2001/79297号公報 WO 2001/79270号公報 FEBS Lett.,1986, Mar 17;198(1)145−9 Gene. 1987;61(3):329−38 J. Biochem.(Tokyo), 1991 Oct;110(4):648−54
かかる実情において、本発明者らは、各種癌におけるジーンチップ解析からシスタチンSN遺伝子発現が大腸癌において亢進していること、RT−PCRによる同組織における遺伝子発現亢進、さらには同組織抽出物におけるウエスタンブロティング解析により蛋白質レベルにおける亢進を明らかにした(特願2003−290704)。
このように、大腸癌組織におけるシスタチンSN遺伝子および蛋白質レベルの亢進は我々の研究により明らかにされたが、臨床的に組織を用いた診断薬として利用するためには多くの問題がある。すなわち、患者に負担のかかる組織の摘出ならびに組織からのシスタチンSNの抽出および電気泳動等の煩雑な操作、さらには、嵩む医療費等の問題である。
本発明の目的は、血液等の体液検体等を用いる患者に負担のかからない手段による大腸癌および大腸ポリープの診断ならびに術後経過観察および再発のモニター手段を提供するものである。
本発明者らは、シスタチンSNに対する新たな抗体を開発し、大腸癌組織ではなく、大腸癌患者血清中のシスタチンSN濃度を測定した。その結果、健常者48名の測定値は0.000から2.303、平均で0.794であるのに対し、大腸癌患者血清では0.000から36.393、平均で1.911であった。さらに、癌摘出術後の血清を経時的にモニターした結果、癌の摘出により血清中シスタチンSN濃度が低下することおよび再発例においては血清中シスタチンSN濃度が上昇することを確認した。さらに、測定系の高感度化に成功した結果、大腸ポリープの診断を可能にし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、抗シスタチンSN抗体を含有する大腸癌および/または大腸ポリープの診断薬ならびに術後経過観察および再発のモニター薬を提供するものである。
また、本発明は、抗シスタチンSN抗体を用いて被検試料中のシスタチンSNを測定することを特徴とする大腸癌および/または大腸ポリープの診断ならびに術後経過観察および再発のモニター方法を提供するものである。
本発明によれば、患者に負担をかける従来のバリウム検査および内視鏡検査に先立つ診断ならびに転移・再発の指標および治療効果の判定に、簡便に対応することが可能なシスタチンSN測定キットが提供でき、診断およびモニターが簡便な方法で可能となり、早急に新たな治療計画の策定が可能となる。
各種癌細胞株の培養上清中のシスタチンSNのウエスタンブロティングによる検出結果を示す。 ELISA測定系におけるシスタチンSNの検量線である。 健常者群と大腸癌患者群のシスタチンSN濃度分布を示す。 癌摘出後のシスタチンSN濃度の経時変化その1を示す。 癌摘出後のシスタチンSN濃度の経時変化その2を示す。 本発明ELISA測定系と従来法との感度比較を示す。 本発明ELISA測定系と従来法による測定結果の相関関係を示す。 本発明測定系を用いた大腸疾患患者血清中シスタチンSN濃度分布を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、抗シスタチンSN抗体を用いて被検試料中のシスタチンSNを測定することにより大腸癌および/または大腸ポリープの診断ならびに術後経過観察および再発のモニターをする方法である。シスタチンSNは、プロティナーゼ阻害剤であり、そのアミノ酸配列およびこれをコードする遺伝子配列はGenBank番号(NM001898)に開示されている(配列番号1および2)。本発明において、シスタチンSN蛋白質とは、全長蛋白質およびその断片の両方を含むことを意味する。断片とは、シスタチンSN蛋白質の任意の領域を含むポリペプチドであり、天然のシスタチンSN蛋白質の機能を有していなくてもよい。
本発明で検出するシスタチンSN蛋白質はヒトシスタチンSN蛋白質が好ましいが、それに限定されず、イヌシスタチンSN、ネコシスタチンSN、マウスシスタチンSN、ハムスターシスタチンSNなどヒト以外の種のいかなるシスタチンSNでもよい。
本発明における検出とは、定量的または非定量的な検出を含む。例えば、非定量的な検出としては、単にシスタチンSN蛋白質が存在するか否かの測定、シスタチンSN蛋白質が一定の量以上存在するか否かの測定、シスタチンSN蛋白質の量を他の試料(例えば、コントロール試料など)と比較する測定などを挙げることができる。定量的な検出としては、シスタチンSN蛋白質の濃度の測定、シスタチンSN蛋白質の量の測定などを挙げることができる。
被検試料としては、シスタチンSN蛋白質が含まれる可能性のある試料であれば特に制限されないが、哺乳類などの生物の体から採取された試料が好ましく、さらに好ましくはヒトから採取された試料である。被検試料の具体的な例としては、例えば、血液、間質液、血漿、血管外液、脳脊髄液、滑液、胸膜液、血清、リンパ液、唾液、尿などを挙げることができるが、好ましいのは血液、血清、または血漿である。又、生物の体から採取された細胞の培養液などの被検試料から得られる試料も本発明の被検試料に含まれる。
診断される疾患は、大腸癌および/または大腸ポリープである。
本発明においては、被験試料中にシスタチンSN蛋白質が検出された場合、陰性コントロールまたは健常者と比較して被験試料中に検出されるシスタチンSN蛋白質の量が多いと判断される場合に、被験者が大腸癌および/または大腸ポリープである、または大腸癌になる可能性が高いと判定される。さらに、大腸癌組織摘出術後および化学療法後のシスタチンSN蛋白質測定において、シスタチンSN蛋白質の量が術前より減少した場合、手術および化学療法後の経過が良好であると判定される。一方、手術および化学療法後のシスタチンSN蛋白質量が増加する場合には再発および転移があると判定される。
被検試料に含まれるシスタチンSN蛋白質の検出方法は、抗シスタチンSN抗体を用いた免疫学的方法により行われる。免疫学的方法としては、例えば、ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、発光イムノアッセイ、免疫沈降法、免疫比濁法、ウエスタンブロット、免疫染色、免疫拡散法などを挙げることができるが、好ましくはエンザイムイムノアッセイであり、特に好ましいのは酵素結合免疫吸着定量法(enzyme−linked immunosorbent assay:ELISA)(例えば、sandwich ELISA)である。ELISAなどの上述した免疫学的方法は当業者に公知の方法により行うことが可能である。
抗シスタチンSN抗体を用いた一般的な検出方法としては、例えば、抗シスタチンSN抗体を支持体に固定し、ここに被検試料を加え、インキュベートを行い抗シスタチンSN抗体とシスタチンSN蛋白質を結合させた後に洗浄して、抗シスタチンSN抗体を介して支持体に結合したシスタチンSN蛋白質を検出することにより、被検試料中のシスタチンSN蛋白質の検出を行う方法を挙げることができる。
本発明において抗シスタチンSN抗体を固定するために用いられる支持体としては、例えば、アガロース、セルロースなどの不溶性の多糖類、シリコン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネイト樹脂などの合成樹脂や、ガラスなどの不溶性の支持体を挙げることができる。これらの支持体は、ビーズやプレートなどの形状で用いることが可能である。ビーズの場合、これらが充填されたカラムなどを用いることができる。プレートの場合、マルチウェルプレート(96穴マルチウェルプレート等)やバイオセンサーチップなどを用いることができる。抗シスタチンSN抗体と支持体との結合は、化学結合や物理的な吸着などの通常用いられる方法により結合することができる。これらの支持体はすべて市販のものを用いることができる。
抗シスタチンSN抗体とシスタチンSN蛋白質との結合は、通常、緩衝液中で行われる。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液、などが使用される。また、インキュベーションの条件としては、すでによく用いられている条件、例えば、4℃〜37℃にて1時間〜24時間のインキュベーションが行われる。インキュベート後の洗浄は、シスタチンSN蛋白質と抗シスタチンSN抗体の結合を妨げないものであれば何でもよく、例えば、Tween20等の界面活性剤を含む緩衝液などが使用される。
本発明のシスタチンSN蛋白質検出方法においては、シスタチンSN蛋白質を検出したい被検試料の他に、コントロール試料を設置してもよい。コントロール試料としては、シスタチンSN蛋白質を含まない陰性コントロール試料やシスタチンSN蛋白質を含む陽性コントロール試料などがある。この場合、シスタチンSN蛋白質を含まない陰性コントロール試料で得られた結果、シスタチンSN蛋白質を含む陽性コントロール試料で得られた結果と比較することにより、被検試料中のシスタチンSN蛋白質を検出することが可能である。また、濃度を段階的に変化させた一連のコントロール試料を調製し、各コントロール試料に対する検出結果を数値として得て、標準曲線を作成し、被検試料の数値から標準曲線に基づいて、被検試料に含まれるシスタチンSN蛋白質を定量的に検出することも可能である。
抗シスタチンSN抗体を介して支持体に結合したシスタチンSN蛋白質の検出の好ましい態様として、標識物質で標識された抗シスタチンSN抗体を用いる方法を挙げることができる。例えば、支持体に固定された抗シスタチンSN抗体に被検試料を接触させ、洗浄後に、シスタチンSN蛋白質を特異的に認識する標識抗体を用いて検出する。
抗シスタチンSN抗体の標識は通常知られている方法により行うことが可能である。標識物質としては、蛍光色素、酵素、補酵素、化学発光物質、放射性物質などの当業者に公知の標識物質を用いることが可能であり、具体的な例としては、ラジオアイソトープ(32P、14C、125I、H、131Iなど)、フルオレセイン、ローダミン、ダンシルクロリド、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ホースラディッシュパーオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、ビオチンなどを挙げることができる。標識物質としてビオチンを用いる場合には、ビオチン標識抗体を添加後に、ペルオキシダーゼなどの酵素を結合させたストレプトアビジンをさらに添加することが好ましい。標識物質と抗シスタチンSN抗体との結合には、グルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法、過ヨウ素酸法、などの公知の方法を用いることができる。
具体的には、抗シスタチンSN抗体を含む溶液をプレートなどの支持体に加え、抗シスタチンSN抗体を支持体に固定する。プレートを洗浄後、蛋白質の非特異的な結合を防ぐため、例えばBSA、ゼラチン、アルブミンなどでブロッキングする。再び洗浄し、被検試料をプレートに加える。インキュベートの後、洗浄し、標識抗シスタチンSN抗体を加える。適度なインキュベーションの後、プレートを洗浄し、プレートに残った標識抗シスタチンSN抗体を検出する。検出は当業者に公知の方法により行うことができ、例えば、放射性物質による標識の場合には液体シンチレーションやRIA法により検出することができる。酵素による標識の場合には基質を加え、基質の酵素的変化、例えば発色を吸光度計により検出することができる。基質の具体的な例としては、2,2−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩(ABTS)、1,2−フェニレンジアミン(オルソ−フェニレンジアミン)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などを挙げることができる。蛍光物質の場合には蛍光光度計により検出することができる。
本発明のシスタチンSN蛋白質検出方法の特に好ましい態様として、ビオチンで標識された抗シスタチンSN抗体およびストレプトアビジンを用いる方法を挙げることができる。
具体的には、抗シスタチンSN抗体を含む溶液をプレートなどの支持体に加え、抗シスタチンSN抗体を固定する。プレートを洗浄後、蛋白質の非特異的な結合を防ぐため、例えばBSAなどでブロッキングする。再び洗浄し、被検試料をプレートに加える。インキュベートの後、洗浄し、ビオチン標識抗シスタチンSN抗体を加える。適度なインキュベーションの後、プレートを洗浄し、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼなどの酵素と結合したアビジンを加える。インキュベーション後、プレートを洗浄し、アビジンに結合している酵素に対応した基質を加え、基質の酵素的変化などを指標にシスタチンSN蛋白質を検出する。
本発明のシスタチンSN蛋白質検出方法の他の態様として、シスタチンSN蛋白質を特異的に認識する一次抗体を一種類以上、および該一次抗体を特異的に認識する二次抗体を一種類以上用いる方法を挙げることができる。
例えば、支持体に固定された一種類以上の抗シスタチンSN抗体に被検試料を接触させ、インキュベーションした後、洗浄し、洗浄後に結合しているシスタチンSN蛋白質を、一次抗シスタチンSN抗体および該一次抗体を特異的に認識する一種類以上の二次抗体により検出する。この場合、二次抗体は好ましくは標識物質により標識されている。
本発明のシスタチンSN蛋白質の検出方法の他の態様としては、凝集反応を利用した検出方法を挙げることができる。該方法においては、抗シスタチンSN抗体を感作した担体を用いてシスタチンSN蛋白質を検出することができる。抗体を感作する担体としては、不溶性で、非特異的な反応を起こさず、かつ安定である限り、いかなる担体を使用してもよい。例えば、ラテックス粒子、ベントナイト、コロジオン、カオリン、固定羊赤血球等を使用することができるが、ラテックス粒子を使用するのが好ましい。ラテックス粒子としては、例えば、ポリスチレンラテックス粒子、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス粒子、ポリビニルトルエンラテックス粒子等を使用することができるが、ポリスチレンラテックス粒子を使用するのが好ましい。感作した粒子を試料と混合し、一定時間攪拌する。試料中にシスタチンSNが高濃度で含まれるほど粒子の凝集度が大きくなるので、凝集を肉眼でみることによりシスタチンSN蛋白質を検出することができる。また、凝集による濁度を分光光度計等により測定することによっても検出することが可能である。
本発明のシスタチンSN蛋白質の検出方法の他の態様としては、例えば、表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーを用いた方法を挙げることができる。表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーは蛋白質−蛋白質間の相互作用を微量の蛋白質を用いてかつ標識することなく、表面プラズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムに観察することが可能である。例えば、BIAcore(Biacore International AB社製)等のバイオセンサーを用いることによりシスタチンSN蛋白質と抗シスタチンSN抗体の結合を検出することが可能である。具体的には、抗シスタチンSN抗体を固定化したセンサーチップに、被検試料を接触させ、抗シスタチンSN抗体に結合するシスタチンSN蛋白質を共鳴シグナルの変化として検出することができる。
本発明の検出方法は、種々の自動検査装置を用いて自動化することもでき、一度に大量の試料について検査を行うことも可能である。
本発明は、大腸癌および大腸ポリープの診断のための被検試料中のシスタチンSN蛋白質を検出するための診断薬またはキットの提供をも目的とするが、該診断薬またはキットは少なくとも抗シスタチンSN抗体を含む。該診断薬またはキットがELISA法等のEIA法に基づく場合は、抗体を固相化する担体を含んでいてもよく、抗体があらかじめ担体に結合していてもよい。該診断薬またはキットがラテックス等の担体を用いた凝集法に基づく場合は抗体が吸着した担体を含んでいてもよい。また、該キットは、適宜、ブロッキング溶液、反応溶液、反応停止液、試料を処理するための試薬等を含んでいてもよい。
抗シスタチンSN抗体の作製
本発明で用いられる抗シスタチンSN抗体はシスタチンSN蛋白質に特異的に結合すればよく、その由来、種類(モノクローナル、ポリクローナル)および形状を問わない。具体的には、マウス抗体、ラット抗体、トリ抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体などの公知の抗体を用いることができる。抗体はポリクローナル抗体でもよいが、モノクローナル抗体であることが好ましい。
また、支持体に固定される抗シスタチンSN抗体と標識物質で標識される抗シスタチンSN抗体はシスタチンSN分子の同じエピトープを認識してもよいが、異なるエピトープを認識することが好ましく、部位は特に制限されない。
本発明で使用される抗シスタチンSN抗体は、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として得ることができる。本発明で使用される抗シスタチンSN抗体として、哺乳動物由来あるいはトリ由来モノクローナル抗体が好ましい。特に、哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマにより産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるものを含む。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、シスタチンSN蛋白質を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。
具体的には、モノクローナル抗体を作製するには次のようにすればよい。
まず、抗体取得の感作抗原として使用されるシスタチンSN蛋白質を、GenBank番号(NM001898)に開示されたシスタチンSN遺伝子/アミノ酸配列を発現することによって得る。すなわち、シスタチンSNをコードする遺伝子配列を公知の発現ベクター系に挿入して適当な宿主細胞を形質転換させた後、その宿主細胞中または培養上清中から目的のヒトシスタチンSN蛋白質を公知の方法で精製する。また、天然のシスタチンSN蛋白質を精製して用いることもできる。
次に、この精製シスタチンSN蛋白質を感作抗原として用いる。あるいは、シスタチンSN蛋白質の部分ペプチドを感作抗原として使用することもできる。この際、部分ペプチドはヒトシスタチンSN蛋白質のアミノ酸配列より化学合成により得ることもできるし、シスタチンSN遺伝子の一部を発現ベクターに組込んで得ることもでき、さらに天然のシスタチンSN蛋白質を蛋白質分解酵素により分解することによっても得ることができる。部分ペプチドとして用いるシスタチンSNの部分および大きさは限られない。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター、あるいはトリ、ウサギ、サル等が使用される。
感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内または皮下に注射することにより行われる。具体的には、感作抗原をPBS(Phosphate−Buffered Saline)や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものに所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4〜21日毎に数回投与する。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することもできる。特に分子量の小さい部分ペプチドを感作抗原として用いる場合には、アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン等の担体蛋白質と結合させて免疫することが望ましい。
このように哺乳動物を免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞を採取し、細胞融合に付されるが、好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞を用いる。このミエローマ細胞は、公知の種々の細胞株、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(J. Immnol.(1979)123, 1548−1550)、 P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81, 1−7)、 NS−1 (Kohler. G. and Milstein, C. Eur. J. Immunol.(1976)6, 511−519)、MPC−11(Margulies. D.H. et al., Cell(1976)8, 405−415)、SP2/0 (Shulman, M. et al., Nature(1978)276, 269−270)、FO(de St. Groth, S. F. et al., J. Immunol. Methods(1980)35, 1−21)、S194(Trowbridge, I. S. J. Exp. Med.(1978)148, 313−323)、R210(Galfre, G. et al., Nature(1979)277, 131−133)等が好適に使用される。
前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーとミルステインらの方法(Kohler. G. and Milstein, C.、Methods Enzymol.(1981)73, 3−46)等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は、例えば細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等が使用され、さらに所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定することができる。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1〜10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温したPEG溶液(例えば平均分子量1000〜6000程度)を通常30〜60%(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)を形成する。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去する。
このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。上記HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、数日〜数週間)継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングを行う。
また、シスタチンSNを認識する抗体の作製は国際公開公報WO 03/104453号公報に記載された方法を用いて作製してもよい。
目的とする抗体のスクリーニングおよび単一クローニングは、公知の抗原抗体反応に基づくスクリーニング方法で行えばよい。例えば、ポリスチレン等でできたビーズや市販の96ウェルのマイクロタイタープレート等の担体に抗原を結合させ、ハイブリドーマの培養上清と反応させ、担体を洗浄した後に酵素標識二次抗体等を反応させることにより、培養上清中に感作抗原と反応する目的とする抗体が含まれるかどうか決定できる。目的とする抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法等によりクローニングすることができる。この際、抗原としては免疫に用いたものを用いればよい。
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球をin vitroでシスタチンSNに感作し、感作リンパ球をヒト由来の永久分裂能を有するミエローマ細胞と融合させ、シスタチンSNへの結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1−59878号公報参照)。さらに、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原となるシスタチンSNを投与して抗シスタチンSN抗体産生細胞を取得し、これを不死化させた細胞からシスタチンSNに対するヒト抗体を取得してもよい(国際特許出願公開番号WO 94/25585号公報、WO 93/12227号公報、WO 92/03918号公報、WO 94/02602号公報参照)。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法に従い培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
本発明では、モノクローナル抗体として、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型のものを用いることができる(例えば、Vandamme, A. M. et al., Eur.J. Biochem.(1990)192, 767−775, 1990参照)。
具体的には、抗シスタチンSN抗体を産生するハイブリドーマから、抗シスタチンSN抗体の可変(V)領域をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin, J. M. et al., Biochemistry(1979)18, 5294−5299)、AGPC法(Chomczynski, P.et al., Anal. Biochem.(1987)162, 156−159)等により行って全RNAを調製し、mRNA Purification Kit (Pharmacia製)等を使用して目的のmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia製)を用いることによりmRNAを直接調製することもできる。
得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First−strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業社製)等を用いて行う。また、cDNAの合成および増幅を行うには、5’−Ampli FINDER RACE Kit(Clontech製)およびPCRを用いた5’−RACE法(Frohman, M. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1988)85, 8998−9002、Belyavsky, A.et al., Nucleic Acids Res.(1989)17, 2919−2932)等を使用することができる。
得られたPCR産物から目的とするDNA断片を精製し、ベクターDNAと連結する。さらに、これより組換えベクターを作製し、大腸菌等に導入してコロニーを選択して所望の組換えベクターを調製する。そして、目的とするDNAの塩基配列を公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法等により確認する。
目的とする抗シスタチンSN抗体のV領域をコードするDNAを得たのち、これを、所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAを含有する発現ベクターへ組み込む。
本発明で使用される抗シスタチンSN抗体を製造するには、抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより、宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させる。
抗体遺伝子の発現は、抗体重鎖(H鎖)または軽鎖(L鎖)をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主細胞を同時形質転換させてもよいし、あるいはH鎖およびL鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換させてもよい(WO 94/11523号公報参照)。
また、組換え型抗体の産生には上記宿主細胞だけではなく、トランスジェニック動物を使用することができる。例えば、抗体遺伝子を、乳汁中に固有に産生される蛋白質(ヤギβカゼインなど)をコードする遺伝子の途中に挿入して融合遺伝子として調製する。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ導入する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギまたはその子孫が産生する乳汁から所望の抗体を得る。また、トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに使用してもよい(Ebert, K.M. et al., Bio/Technology(1994)12, 699−702)。
本発明では、上記抗体のほかに、人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ抗体、ヒト化(Humanized)抗体を使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ抗体は、前記のようにして得た抗体V領域をコードするDNAをヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる。この既知の方法を用いて、本発明に有用なキメラ抗体を得ることができる。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、これは、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR; complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(欧州特許出願公開番号EP 125023号公報、WO 96/02576号公報参照)。
具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)とを連結するように設計したDNA配列を、CDRおよびFR両方の末端領域にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCR法により合成する(WO 98/13388号公報に記載の方法を参照)。
CDRを介して連結されるヒト抗体のフレームワーク領域は、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように、抗体の可変領域におけるフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato, K.et al., Cancer Res.(1993)53, 851−856)。
キメラ抗体およびヒト化抗体のC領域には、ヒト抗体のものが使用され、例えばH鎖では、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4を、L鎖ではCκ、Cλを使用することができる。また、抗体またはその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体C領域を修飾してもよい。
キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来の定常領域とからなる。一方、ヒト化抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域と、ヒト抗体由来のフレームワーク領域およびC領域とからなる。ヒト化抗体はヒト体内における抗原性が低下されているため、治療剤の有効成分として有用である。
本発明で使用される抗体は、抗体の全体分子に限られず、シスタチンSNに結合する限り、抗体の断片またはその修飾物であってもよく、二価抗体も一価抗体も含まれる。例えば、抗体の断片としては、Fab、F(ab’)2、Fv、1個のFabと完全なFcを有するFab/c、またはH鎖若しくはL鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)が挙げられる。具体的には、抗体を酵素、例えばパパイン、ペプシンで処理し抗体断片を生成させるか、または、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co, M.S. et al., J. Immunol.(1994)152, 2968−2976、Better, M. & Horwitz, A. H. Methods in Enzymology(1989)178, 476−496, Academic Press, Inc.、Plueckthun, A. & Skerra, A. Methods in Enzymology(1989)178, 476−496, Academic Press, Inc.、Lamoyi, E., Methods in Enzymology(1989)121, 652−663、Rousseaux, J. et al., Methods in Enzymology(1989)121, 663−669、Bird, R. E. et al., TIBTECH(1991)9, 132−137参照)。
scFvは、抗体のH鎖V領域とL鎖V領域とを連結することにより得られる。このscFvにおいて、H鎖V領域とL鎖V領域は、リンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して連結される(Huston, J. S. et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.(1988)85, 5879−5883)。scFvにおけるH鎖V領域およびL鎖V領域は、本明細書に抗体として記載されたもののいずれの由来であってもよい。V領域を連結するペプチドリンカーとしては、例えばアミノ酸12〜19残基からなる任意の一本鎖ペプチドが用いられる。
scFvをコードするDNAは、前記抗体のH鎖またはH鎖V領域をコードするDNA、およびL鎖またはL鎖V領域をコードするDNAのうち、それらの配列のうちの全部または所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を鋳型とし、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さらにペプチドリンカー部分をコードするDNA、およびその両端が各々H鎖、L鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合せて増幅することにより得られる。
また、一旦scFvをコードするDNAが作製されると、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができ、また、その宿主を用いることにより、常法に従ってscFvを得ることができる。
これら抗体の断片は、前記と同様にしてその遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させることができる。本発明における「抗体」にはこれらの抗体の断片も包含される。
抗体の修飾物として、標識物質等の各種分子と結合した抗シスタチンSN抗体を使用することもできる。本発明における「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。
さらに、本発明で使用される抗体は、二重特異性抗体(bispecific antibody)であってもよい。二重特異性抗体はシスタチンSN分子上の異なるエピトープを認識する抗原結合部位を有する二重特異性抗体であってもよいし、一方の抗原結合部位がシスタチンSNを認識し、他方の抗原結合部位が標識物質等を認識してもよい。二重特異性抗体は2種類の抗体のHL対を結合させて作製することもできるし、異なるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを融合させて二重特異性抗体産生融合細胞を作製し、得ることもできる。さらに、遺伝子工学的手法により二重特異性抗体を作製することも可能である。
前記のように構築した抗体遺伝子は、公知の方法により発現させ、取得することができる。哺乳類細胞の場合、常用される有用なプロモーター、発現させる抗体遺伝子、その3’側下流にポリAシグナルを機能的に結合させて発現させることができる。例えばプロモーター/エンハンサーとしては、ヒトサイトメガロウイルス前期プロモーター/エンハンサー(human cytomegalovirus immediate early promoter/enhancer)を挙げることができる。
また、その他に本発明で使用される抗体発現に使用できるプロモーター/エンハンサーとして、レトロウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、シミアンウイルス40(SV40)等のウイルスプロモーター/エンハンサー、あるいはヒトエロンゲーションファクター1α(HEF1α)などの哺乳類細胞由来のプロモーター/エンハンサー等が挙げられる。
SV40プロモーター/エンハンサーを使用する場合はMulliganらの方法(Nature(1979)277, 108)により、また、HEF1αプロモーター/エンハンサーを使用する場合はMizushimaらの方法(Nucleic Acids Res.(1990)18, 5322)により、容易に遺伝子発現を行うことができる。
大腸菌の場合、常用される有用なプロモーター、抗体分泌のためのシグナル配列および発現させる抗体遺伝子を機能的に結合させて当該遺伝子を発現させることができる。プロモーターとしては、例えばlacZプロモーター、araBプロモーターを挙げることができる。lacZプロモーターを使用する場合はWardらの方法(Nature(1098)341, 544−546 ; FASEBJ.(1992)6, 2422−2427)により、あるいはaraBプロモーターを使用する場合はBetterらの方法(Science(1988)240, 1041−1043)により発現することができる。
抗体分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル配列(Lei, S. P. et al J. Bacteriol.(1987)169, 4379)を使用すればよい。そして、ペリプラズムに産生された抗体を分離した後、抗体の構造を適切に組み直して(refold)使用する。
複製起源としては、SV40、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス(BPV)等の由来のものを用いることができ、さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは、選択マーカーとしてアミノグリコシドトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
本発明で使用される抗体の製造のために、任意の発現系、例えば真核細胞または原核細胞系を使用することができる。真核細胞としては、例えば樹立された哺乳類細胞系、昆虫細胞系、真糸状菌細胞および酵母細胞などの動物細胞等が挙げられ、原核細胞としては、例えば大腸菌細胞等の細菌細胞が挙げられる。
好ましくは、本発明で使用される抗体は、哺乳類細胞、例えばCHO、COS、ミエローマ、BHK、Vero、HeLa細胞中で発現される。
次に、形質転換された宿主細胞をin vitroまたはin vivoで培養して目的とする抗体を産生させる。宿主細胞の培養は公知の方法に従い行う。例えば、培養液として、DMEM、MEM、RPMI1640、IMDMを使用することができ、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
前記のように発現、産生された抗体は、細胞、宿主動物から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製はアフィニティーカラムを用いて行うことができる。例えば、プロテインAカラムを用いたカラムとして、Hyper D、POROS、Sepharose F.F.(Pharmacia製)等が挙げられる。その他、通常の蛋白質で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、上記アフィニティーカラム以外のクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせることにより、抗体を分離、精製することができる(Antibodies A Laboratory Manual. Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1(シスタチンSNのcDNAのクローニング)
シスタチンSNのモノクローナル抗体作製のため、その抗原作製を行った。はじめにシスタチンSNの全長ORF領域を含む配列のクローニングを試みた。シスタチンSN発現組織である唾液腺1本鎖cDNAライブラリーは上記と同様に調製し、それを鋳型としてGenBank番号(NM001898)よりデザインしたプライマーCystatin SN−f(配列番号3)とCystatin SN−r(配列番号4)を用いて、PCR法にて、全長ORF遺伝子の単離を行った。そしてそのシスタチンSN全長配列を鋳型にして、シスタチンSNの全長ORF遺伝子を含む形で、Cystatin SN−F(Hind)プライマー(配列番号5)、およびCystatin SN−R(His−BamHI)プライマー(配列番号6)を作製し、再びPCR法にて目的断片を増幅し、phCMVベクター(Stratagene社)への挿入を行った。塩基配列解析を定法にて実施した後、HindIIIおよびBamHIサイトにて切断したフラグメントをphCMVベクターに挿入し、トランスファーベクターphCMV−Cystatin SN−Hisの作製を終了した。
実施例2(シスタチンSNの抗原の調製)
TransIT(TaKaRa社)のプロトコールに準じて、トランスフェクション前日に6ウェルデイッシュに1×10 cellのCHO細胞を播種し一晩培養を行い、翌日に、8マイクログラムの発現ベクターphCMV−Cystatin SN−Hisと16μLのTransIT reagentを100μLの無血清DMEM培地に混合し、20分間の室温におけるインキュベーションを行った後、細胞培養液に加えトランスフェクションを行った。また、FUGENE6使用の場合にはRoche Diagnostics社のプロトコールに準じて、トランスフェクション前日に10cmディッシュに8×10 cellのCHO細胞を播種し一晩培養を行い、翌日に、8μgの発現ベクターphCMV−Cystat FUGENE6使用の場合にはRoche Diagnostics社のプロトコールに準じて、トランスフェクション前日に10cmディッシュに8×10 cell inSN−Hisと16μLのFUGENE6 reagentを400μLの無血清DMEM培地に混合し、20分間の室温におけるインキュベーションを行った後、細胞培養液に加えトランスフェクションを行った。トランスフェクション翌日に限外希釈法および選択試薬であるG418を用いてクローニングを開始した。各クローンの培養上清のサンプリングを行い培養上清中のシスタチンSNの発現量の検定を行った結果、約5〜10μg/mLのシスタチンSNを発現する恒常的クローンが存在し、これらを選択した。
選択した恒常的発現クローンを150cmのフラスコ、無血清培地CHO−S−SFM−II(Invitrogen社)20mLにて培養を48時間行い、培養上清を回収した。得られた培養上清からTARON Hisタグ精製レジン(BD Bioscience社)、またはHis Trap HP (Amersham Bioscience社)を用いてCystatin SN− His Tag融合蛋白質の精製を行った。精製された融合蛋白質はPBSに対し透析を行い、免疫用抗原およびELISA測定における標準品として用いた。
実施例3(シスタチンSNのモノクローナル抗体の作製)
PBSに懸濁した100μgの蛋白質量に相当するCystatin SN−Hisとフロイント完全アジュバントを混合してBALB/cマウスに腹腔内注射する事により初回免疫を行った。2回目の免疫は同様に調製した50μg蛋白質量相当のCystatin SN−Hisとフロイント不完全アジュバントを混合して腹腔内注射する事により実施した。最終免疫は50μg蛋白質量相当のCystatin SN−Hisを静脈注射することにより実施した。このマウスから脾臓細胞を調製し、通常のポリエチレングリコールを使用する方法によってマウスP3U1細胞との細胞融合を行った。スクリーニングはCystatin SN −Hisを用いたELISAで行い、特異的に結合する抗体の作製を行った。
このスクリーニングによりシスタチンSNに対する特異性の高いモノクローナル抗体であるPPMX0201およびPPMX0202抗体の作製に成功し、PPMX0201についてはELISA測定系に利用可能であることから、2004年12月8日、〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人 産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM AP−20316として寄託した。
シスタチンSNは類縁タンパク質が多数存在する。特に、抗シスタチンSNに対してホモロジーの高いシスタチンS、シスタチンSA及びシスタチンCの交叉性が危惧される。そこで、既に作製されていたモノクローナル抗体8種類に加え、さらに、新たに作製した20種類のモノクローナル抗体について、交叉性を確認したところ、3種に弱いながらシスタチンCと交叉することが確認された。交叉性の無い抗体について、固相及び標識に適した抗体を選択した結果、固相抗体としてPPMX0203、標識抗体としてPPMX0204を用いたELISA測定系において高感度化に成功した。PPMX0203及びPPMX0204をそれぞれFERM ABP−10451及びFERM ABP−10452として、2005年11月17日、〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人 産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託した。
実施例4(抗シスタチンSNポリクローナル抗体の作製)
精製Cystatin SN−Hisを用いて、ウサギポリクローナル抗体の作製を行った。作製には、公知の方法を用いた。精製Cystatin SN−Hisを、アジュバントを用いてエマルジョン化したものを皮下に投与し、免疫を行った。これを数回繰り返し、抗体価が上昇したのを確認した後、採血を行い、血清を得た後、硫安沈殿によりポリクローナル抗体を取得した。
実施例5(各種癌細胞株培養液中のウエスタンブロッティングによるシスタチンSNの検出)
大腸癌細胞株培養液中に特異的にシスタチンSNが存在するか否かを調べるため、各種癌細胞株SW480(大腸癌細胞株)、Panc−1(膵臓癌細胞株)、MCF7(乳癌細胞株)、KatoIII(胃癌細胞株)、Hep G2(肝臓癌細胞株)、H157(肺癌細胞株)、PC3(前立腺癌細胞株)の培養上清について、ウエスタンブロットを行った。すなわち、各レーンに細胞培養液上清8μLをアプライした。陽性コントロールには精製Cystatin SN−Hisを用いた。還元状態でSDS−PAGEを行い、抗Cystatin SN抗体で、膜上のCystatin SNと反応させた。その後、HRP標識抗マウスIgG抗体と反応させ、Cystatin SNのバンドを検出した。その結果、図1に示すように大腸癌細胞株SW480ではCystatin SNのバンドが確認できたが、大腸癌以外の細胞株Panc1、MCF7、Hep G2、KatoIII、H157、PC3ではシスタチンSNのバンドが確認できなかった。
実施例6(シスタチンSNのELISA測定系の構築)
各種シスタチンSNに対するモノクローナル抗体あるいはポリクローナル抗体をPIERCE社のSulfo−NHS−LC−Biotinを用いてビオチン標識した。Nunc社のMaxi sorp 96穴プレートに各シスタチンSNに対するモノクローナル抗体10μg/mLを100μL/wellで添加し、4℃一晩吸着させた。0.05%Tween−20を含むPBS(以後wash液)にてプレートを洗浄し、ABi biotechnologies社のImmunoassay stabilizer 150μL/wellにて室温、1時間プレート上の未吸着部分をブロッキングさせた。Wash液で洗浄後、各濃度の精製シスタチンSNとブランク100μL/wellを室温、1時間反応させた。Wash液で洗浄後、先述したビオチン標識した各シスタチンSNに対するモノクローナル抗体あるいはポリクローナル抗体1μg/mLを100μL/wellで室温、1時間反応させた。Wash液で洗浄後、Vector社のストレプタビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ1.0μg/mLを100μL/wellで室温、1時間反応させた。Wash液で洗浄後、TMB試薬で暗所にて室温、30分間反応させたのち、STOP液にて反応を停止させた。その後、ELISAプレートにて450nmの吸光度を測定した。その結果、精製シスタチンSN濃度に比例してシグナルの増加、かつブランクが低い測定値を示すプレート上に吸着させた抗体とビオチン標識した抗体の組み合わせを選出した。さらに血清検体測定条件を検討した結果、希釈を要することが判明したため、30%正常牛血清(NCS)/PBS/1.0mM EDTAにて希釈することにした。
実施例7(大腸癌患者および健常者血清中のシスタチンSNの検出)
大腸癌患者血清中にシスタチンSNが存在するか否かを調べるため、大腸癌患者215例および健常者48名について、固相抗体としてPPMX0201を、ビオチン標識抗体として実施例4で作製したポリクローナル抗体を用いたサンドイッチELISAで検討した。各濃度の精製シスタチンSNと、その測定値からブランクの測定値を差し引いた値(NET)より図2の検量線を作成した。血清検体は5倍希釈して血清中に含まれるシスタチンSN濃度を検量線から算出した。得られたシスタチンSN濃度の分布を図3に示す。その結果、健常者48名の測定値は0.000から2.303、平均で0.794であるのに対し、大腸癌患者血清では0.000から36.393、平均で1.911であった。この結果から、血清中シスタチンSN濃度をELISAにより測定することにより、大腸癌を診断できることを示している。
実施例8(大腸癌患者の癌摘出後の血清中シスタチンSNのモニター)
大腸癌患者5名について癌摘出後の血清中シスタチンSNを経時的にモニターした。その結果を代表例として、図4および図5に示す。図4は手術後肝臓に転移した症例であるが、術後の時間経過と共に血清中シスタチンSN濃度が増加し、術後の転移をモニターできることを示した。図5は手術後再発を繰り返し、4回の再手術を実施した症例である。血清中シスタチンSN濃度は手術の度に、一旦は若干低下するが再発時には増加を繰り返している。すなわち、術後のシスタチンSN濃度をモニターすることにより、再発を推定できることを示している。
実施例9(ELISA測定系の比較)
固相抗体としてPPMX0201を、ビオチン標識抗体としてポリクローナル抗体を用いた従来法であるサンドイッチELISA系と固相抗体FERM ABP−10451及びビオチン標識抗体FERM ABP−10452を用いた本発明ELISA系で得られた標準曲線を比較した。その結果は図6に示すように従来法では、y=0.051x−0.0032であったが、本発明測定系ではy=0.1349x+0.0361であり、高感度な測定系を開発することに成功した。
従来法ELISA測定系と本発明ELISA測定系との相関関係を患者血清中シスタチンSN濃度をプロットすることにより確認した。
y=0.8378x+0.1276、R=0.8753となり、低濃度の一部での例外を除き、良い相関性が得られた(図7)。
実施例10(大腸癌および大腸ポリープ患者ならびに健常者血清中のシスタチンSNの検出)
本発明ELISA系を用いて大腸癌患者58名、および大腸ポリープ患者37名ならびに健常者70名の血清中のシスタチンSNを検出した。大腸癌患者では平均1.93、標準偏差1.98であった。大腸ポリープ患者では平均1.43、標準偏差1.52であり、健常者については、平均0.69標準偏差0.28であった。図8に示すように、測定系の高感度化により大腸癌の陽性率が向上したばかりでなく、前癌状態を含む大腸ポリープにおいても診断を可能にすることができた。

Claims (7)

  1. 抗シスタチンSN抗体を含有する大腸癌および/または大腸ポリープの診断薬。
  2. 抗シスタチンSN抗体を含有する大腸癌術後再発および転移のモニター薬。
  3. 支持体に固定した抗シスタチンSN抗体と標識物質で標識された抗シスタチンSN抗体を用いる請求項1記載の診断薬。
  4. 支持体に固定した抗シスタチンSN抗体と標識物質で標識された抗シスタチンSN抗体を用いる請求項2記載のモニター薬。
  5. 抗シスタチンSN抗体を用いて被検試料中のシスタチンSNを測定することを特徴とする大腸癌および/または大腸ポリープの診断方法。
  6. 抗シスタチンSN抗体を用いて被検試料中のシスタチンSNを測定することを特徴とする大腸癌術後再発および転移のモニター方法。
  7. 被検試料が、血液、血清または血漿である請求項5または6記載の診断方法およびモニター方法。
JP2006548884A 2004-12-16 2005-12-14 大腸癌および/または大腸ポリープの診断ならびに術後経過観察および再発のモニター薬 Withdrawn JPWO2006064844A1 (ja)

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