JP5683466B2 - 抗psk抗体 - Google Patents

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Description

本発明は、抗PSK抗体、並びにPSKの分析方法及びPSKの分析キットに関する。より詳細には、PSKに結合する抗体、並びに前記抗体をELISA法、又は表面プラズモン共鳴法(SPR法:Biacore法)などに適用したPSKの分析方法、及び前記抗体を含むPSKの分析用キットに関する。
カワラタケから抽出される蛋白多糖体は、抗腫瘍活性などを示し、前記蛋白多糖体を有効成分とする抗腫瘍剤などが、例えば、特開昭60−45533号公報(特許文献1)などに記載されている。このような蛋白多糖体のなかで、カワラタケ由来の前記蛋白多糖体の一種であるPSK(登録商標)〔商品名「クレスチン」(登録商標)〕は、皮内投与や静脈内投与だけでなく、経口投与によっても抗腫瘍活性を示すことが特長であり、臨床的にも経口投与製剤として用いられている。
PSKは、約18〜38%の蛋白質を含む蛋白多糖体であり、5000以上(ゲル濾過法)の分子量、例えば5000〜300000(ゲル濾過法)の分子量を有するものである。主要画分の糖部分はβ−D−グルカンで、このグルカン部分の構造は、1→3、1→4及び1→6結合を含む分枝構造である。
PSKは、前記のように抗腫瘍剤として用いられているが、その生理活性としては、抗腫瘍活性、細胞障害活性、TGF−β1阻害活性、PDGF阻害活性、及びサイトカイン産生誘導活性などの多様な生理活性を有していることが報告されている(特許文献2)。このPSKを含む抗腫瘍剤の品質管理において、製剤中に含まれるPSKがどの程度の生理活性を有するかを調べるためには、直接それらの生理活性を測定せざるを得ず、煩雑で多くの時間を必要とするものであった。従って、簡便に生理活性を有するPSKの量を測定する方法の開発が望まれていた。
なお、従来、PSKの量を測定又は検出する1つの方法としては、LPS又はβ1,3グルカンを検出するために一般的に利用されているリムラステスト(Limulus test)が用いられていた。しかしながら、リムラステストは、β1,3グルカン構造を有するPSK以外の多糖類(例えば、ラミナリン及びイーストグルカン)の全てに反応するため、PSKに特異的な検出法ではなく、ましてや生理活性を有するPSKの量を特異的に測定することはできなかった。また、PSKに対するウサギポリクローナル抗体を用いる蛍光抗体法により、PSKを検出する方法も報告されている(非特許文献1)。しかしながら、PSKに対するウサギポリクローナル抗体を用いる蛍光抗体法も、用いられている抗体がβ1,3グルカン構造、β1,4グルカン構造、及びβ1,6グルカン構造のすべてを認識し、これらのグルカン構造を有する多糖類をすべて検出するため、PSKに特異的な検出方法ではなかった。更に、生理活性を失ったPSKも検出してしまうため、抗腫瘍剤(製剤)の品質管理等には用いることができなった。
特開昭60−45533号公報 特開平8−208704号公報
「インターナショナル・ジャーナル・オブ・イミュノファ−マコロジー(International Journal of Immunopharmacology)」(オランダ)1988年、第10巻、p.103−109
本発明の目的は、医薬品又は飲食物に含まれる生理活性を有するPSKを、簡易、且つ高精度に検出又は測定する手段を提供することである。また、PSKを服用後の生体内の血液又は組織などに含有される生理活性を有するPSKを、簡易、且つ高精度に検出又は測定する手段を提供することである。
本発明者らは、生理活性を有するPSKの量を特異的に検出又は測定することのできる方法について、鋭意検討を重ねた結果、PSKの細胞障害活性及びPSKのTGF−β1阻害活性を抑制することのできるモノクローナル抗体を取得し、このモノクローナル抗体を用いることにより、生理活性を有するPSKを簡易に検出又は測定することができることを見出した。すなわち、前記モノクローナル抗体は、PSKの細胞障害活性、又はPSKのTGF−β1阻害活性の生理活性部位又はその近傍のエピトープに結合するモノクローナル抗体であり、その抗体が結合することにより生理活性部位が阻害されることから、これらの抗体を用いることにより、生理活性部位を有するPSKの量を、容易に測定することが可能となったものである。
本発明は、このような知見に基づくものである。
従って、本発明は、PSKを認識し、PSKの抗腫瘍作用を抑制することを特徴とする抗体に関する。
本発明の抗体の好ましい態様においては、前記抗腫瘍作用の抑制がPSKの細胞障害活性の抑制である。
また、本発明の抗体の別の好ましい態様においては、前記抗腫瘍作用の抑制がTGF−β1阻害活性の抑制である。
本発明の抗体の好ましい態様においては、(1)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域1のポリペプチド、配列番号10で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び配列番号14で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む重鎖可変領域ドメイン、並びに配列番号22で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域1のポリペプチド、配列番号26で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び配列番号30で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む軽鎖可変領域ドメインを有するか、又は(2)前記配列番号6で表されるアミノ酸配列、配列番号10で表されるアミノ酸配列、配列番号14で表されるアミノ酸配列、配列番号22で表されるアミノ酸配列、配列番号26で表されるアミノ酸配列、及び配列番号30で表されるアミノ酸配列の少なくとも1以上のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたそれぞれのアミノ酸配列からなる、重鎖相補性決定領域1のポリペプチド、重鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び重鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む重鎖可変領域ドメイン、並びに軽鎖相補性決定領域1のポリペプチド、軽鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び軽鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む軽鎖可変領域ドメインを有する。すなわち、前記(2)の態様においては、前記(1)の態様の抗体を構成するアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたものである。
本発明の別の抗体の好ましい態様においては、(1)配列番号38で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域1のポリペプチド、配列番号42で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び配列番号46で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む重鎖可変領域ドメイン、並びに配列番号54で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域1のポリペプチド、配列番号58で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び配列番号62で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む軽鎖可変領域ドメインを有するか、又は
(2)前記配列番号38で表されるアミノ酸配列、配列番号42で表されるアミノ酸配列、配列番号46で表されるアミノ酸配列、配列番号54で表されるアミノ酸配列、配列番号58で表されるアミノ酸配列、及び配列番号62で表されるアミノ酸配列の少なくとも1以上のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたそれぞれのアミノ酸配列からなる、重鎖相補性決定領域1のポリペプチド、重鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び重鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む重鎖可変領域ドメイン、並びに軽鎖相補性決定領域1のポリペプチド、軽鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び軽鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む軽鎖可変領域ドメインを有する。すなわち、前記(2)の態様においては、前記(1)の態様の抗体を構成するアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたものである。
本発明の抗体の好ましい態様においては、前記の抗体とエピトープへの結合が競合する。また、本発明の抗体の好ましい態様においては、前記の抗体が結合するエピトープに結合する。更に、本発明の抗体の好ましい態様においては、IgM抗体である。
本発明の抗体の好ましい態様においては、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、又はヒト型抗体である。特には、前記キメラ抗体は、ヒト抗体とのキメラ抗体であることが好ましく、CDRグラフト化抗体はヒト抗体とのCDRグラフト化抗体であることが好ましい。またこれ以外にも、前記キメラ抗体は、IgW、IgNAR、IgX、又はIgYとのキメラ抗体であることが好ましく、CDRグラフト化抗体はIgW、IgNAR、IgX、又はIgYとのCDRグラフト化抗体であることが好ましい。
また、本発明は、前記抗体のFab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ディアボディー、単一鎖抗体分子、及びマルチ特異性抗体からなる群から選択される抗原結合性断片にも関する。
更に、本発明は、前記抗体又は抗原結合性断片を用いるPSKの分析方法にも関する。
また、本発明は、前記抗体又は抗原結合性断片を含むPSK分析用キットにも関する。
また、本発明は、前記抗体又は抗原結合性断片のPSKの分析のための使用に関する。
また、本発明は、前記抗体又は抗原結合性断片の分析用キットの製造のための使用に関する。
本発明により、生理活性を有するPSKを高精度に、且つ定量的に検出できる。本発明は、例えば、医薬品や飲食物中に含まれる生理活性を有するPSKの検出及び測定、並びに生理活性を有するPSKの服用後の体内動態の把握などに有用である。
更に、本発明の抗体は、PSKの細胞障害活性及びPSKのTGF−β1阻害活性を抑制することができるため、PSKの生理活性部位又はその近傍に結合すると考えられ、PSKの細胞障害活性及びPSKのTGF−β1阻害活性の活性部位の同定の研究に用いることができる。
PSKにより免疫されたBalb/cマウスのELISA法による抗体価測定の結果を示しており、グラフの横軸には血清の希釈倍率、縦軸には吸光度(力価)を表す。 マウス腹水から精製した2G9及び5G5抗体の力価を示す。グラフの横軸には抗体濃度を、縦軸には吸光度(力価)を表す。 2G9抗体及び5G5抗体の反応性を多糖類の競合試験により調べたグラフである。 2G9抗体及び5G5抗体の反応性を、タンパク質をヒドラジンで分解したPSKによる競合試験で調べたグラフである。 2G9抗体による5G5抗体のPSKへの結合の競合試験の結果を示すグラフである。 2G9抗体の重鎖可変領域ドメインのヌクレオチドの塩基配列及びアミノ酸配列を示す図である。 2G9抗体の軽鎖可変領ドメインのヌクレオチドの塩基配列及びアミノ酸配列を示す図である。 5G5抗体の重鎖可変領域ドメインのヌクレオチドの塩基配列及びアミノ酸配列を示す図である。 5G5抗体の軽鎖可変領ドメインのヌクレオチドの塩基配列及びアミノ酸配列を示す図である。 2G9抗体による、PSKの細胞障害活性の中和作用を示したグラフである。 2G9抗体により、マウスに移植されたMethA腫瘍の免疫組織染色した写真である。(上段×400、下段×900) 2G9抗体及び5G5抗体による、PSKのTGF−β1阻害活性の抑制機能を調べたグラフである。
(実施形態1)
本発明に係る抗PSK抗体の一実施形態を説明するに先立って、本発明の理解を容易にするために、抗体についての一般的な説明を以下に記載する。
抗体は、免疫グロブリンとも呼ばれ、基本的な抗体の構造単位は、テトラマーであることが知られている。各テトラマーは、ポリペプチド鎖の2つの同一のペアから構成されており、各ペアは約25kDの軽鎖(L鎖)及び約50〜70kDの重鎖(H鎖)からなる。軽鎖は、カッパ又はラムダのいずれかに分類される。一方、重鎖はガンマ、ミュー、アルファ、デルタ又はイプシロンに分類され、それぞれ重鎖のタイプにより、抗体はIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEのイソタイプに分類される。
重鎖及び軽鎖のアミノ末端側は、主として抗原認識に寄与する約100〜110、又はそれ以上のアミノ酸からなる可変領域のポリペプチドであり、各鎖のカルボキシル末端側は、主としてエフェクター機能に寄与する定常領域のポリペプチドである。軽鎖及び重鎖内で、可変領域及び定常領域は、約12又はそれ以上のアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖はまた、約10以上のアミノ酸の「D」領域を含んでいる。また、軽鎖及び重鎖のアミノ末端の可変領域は、抗体結合部位を形成しており、従ってインタクトな抗体は、2つの抗体結合部位を有している。
具体的には、重鎖はアミノ末端から、可変領域のポリペプチド(以下、重鎖可変領域ドメイン(VH)と称する)及び定常領域の3つのドメインのポリペプチド、すなわち重鎖定常領域ドメイン1(CH1)、重鎖定常領域ドメイン2(CH2)、及び重鎖定常領域ドメイン3(CH3)をその順番に有している。前記重鎖可変領域ドメインには、3つの相補性決定領域、すなわち、重鎖相補性決定領域1(以下、H−CDR1と称することがある)、重鎖相補性決定領域2(以下、H−CDR2と称することがある)、及び重鎖相補性決定領域3(以下、H−CDR3と称することがある)を含み、それら3つの相補性決定領域は、重鎖可変領域フレームワークに囲まれている。重鎖可変領域フレームワークは、具体的には4つのフレームワーク領域のポリペプチド、すなわちアミノ末端から、H−FR1、H−FR2、H−FR3、及びH−FR1からなっている。従って、重鎖可変領域ドメインは、H−FR1、H−CDR1、H−FR2、H−CDR2、H−FR3、H−CDR3、及びH−FR4をその順番に含んでいる。
一方、軽鎖はアミノ末端から、可変領域のポリペプチド(以下、軽鎖可変領域ドメイン(VL)と称する)及び定常領域のポリペプチド(以下、軽鎖定常領域ドメイン(CL)と称する)をその順番に有している。前記軽鎖可変領域ドメインには、3つの相補性決定領域、すなわち、軽鎖相補性決定領域1(以下、L−CDR1と称することがある)、軽鎖相補性決定領域2(以下、L−CDR2と称することがある)、及び軽鎖相補性決定領域3(以下、L−CDR3と称することがある)を含み、それら3つの相補性決定領域は、軽鎖可変領域フレームワークに囲まれている。軽鎖可変領域フレームワークは、具体的には4つのフレームワーク領域のポリペプチド、すなわちアミノ末端から、L−FR1、L−FR2、L−FR3、及びL−FR1からなっている。従って、軽鎖可変領域ドメインは、L−FR1、L−CDR1、L−FR2、L−CDR2、L−FR3、L−CDR3、及びL−FR4のそれぞれのポリペプチドをその順番に含んでいる。
なお、重鎖及び軽鎖の可変領域のポリペプチドにおける各ドメインを構成するアミノ酸配列からなるポリペプチドの割当は、Kabat(1991)、及び/又はChothia及びLesk、J.Mol.Biol. 196:901-917(1987);Chothiaら、Nature 342: 878-883(1989)の規定に従うものとする。
なお、本発明の抗PSK抗体の重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインのポリペプチドのアミノ酸配列は、重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインから形成される抗原結合部位がPSKに結合し、その抗原結合部位が結合したエピトープがPSKの特定のエピトープであり、その結合によりPSKの細胞障害活性を抑制することができる限り、限定されるものではない。
ここで、本明細書において「抗体」とは、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、又はヒト型抗体を含む。したがって、特に断りの無い限り、単に「抗体」と示した場合には、上記の各抗体全てを意味するものとする。
キメラ抗体は、例えばマウスの重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインをコードするDNAを、他の種類の抗体、例えばヒト抗体の定常領域のポリペプチドをコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得ることができる。キメラ化抗体に用いる重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメイン、並びに定常領域のポリペプチドの由来は、特に限定されるものではなく、それぞれ哺乳類、両生類、鳥類、軟骨魚類、及び硬骨魚類の各イソタイプのイムノグロブリンを用いることができる。例えばマウスのIgMの重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインとヒトのIgM、又はIgGの定常領域のポリペプチドとにより、キメラ抗体を得ることができる。
CDRグラフト化抗体は、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR)を、他の種類の抗体、例えばヒト抗体の相補性決定領域と入れ替え、移植したものである。具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(FR;framework region)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAを、ヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得ることができる。CDRグラフト化抗体に用いる相補性決定領域、並びにフレームワーク領域及び定常領域のポリペプチドの由来は、特に限定されるものではなく、それぞれ哺乳類、両生類、鳥類、軟骨魚類、及び硬骨魚類の各イソタイプのイムノグロブリンを用いることができる。例えばマウスのIgMの相補性決定領域とヒトのIgM、又はIgGのフレームワーク領域及び定常領域のポリペプチドとにより、CDRグラフト化抗体を得ることができ、マウスの相補性決定領域とヒトのIgM、又はIgGフレームワーク領域とにより、CDRグラフト化抗体の抗原結合性断片を得ることができる。
また、本明細書において、「ヒト型抗体」は、ヒト抗体遺伝子を導入したトランスジェニック動物から得られる抗体、及びヒトの抗体産生細胞をミエローマ細胞と細胞融合させて得ることのできるモノクローナル抗体を意味する。
[1]本発明の抗PSK抗体
(抗PSK抗体の概要)
続いて、本発明の抗PSK抗体の一実施形態を実施形態1として以下に説明する。抗PSK抗体は、PSKを認識する。PSKは、カワラタケ菌CM101株〔FERM−P2412(ATCC20547)〕の菌糸体を水系溶媒、例えば、熱水又はアルカリ溶液(例えば、アルカリ金属の水酸化物、特には水酸化ナトリウムの水溶液)で抽出し、精製した後に乾燥して得ることができる。主要画分の糖部分はβ−D−グルカンで、このグルカン部分の構造はβ1→3、β1→4及びβ1→6結合を含む分枝構造であり、主な構成単糖はグルコースやマンノースであり、約18〜38%のタンパク質を含む。タンパク質の構成アミノ酸は、アスパラギン酸やグルタミン酸等の酸性アミノ酸と、バリンやロイシン等の中性アミノ酸が多く、リジンやアルギニン等の塩基性アミノ酸は少ない。水に可溶であるが、メタノール、ピリジン、クロロホルム、ベンゼン又はヘキサンには殆ど溶けない。
抗PSK抗体は、ラミナリン、イーストグルカン、及びデキストランには、結合しない。ラミナリンは、コンブの貯蔵性多糖であり、β−1,3結合及びβ1,6結合のグルコースを主鎖とする比較的低分子の水溶性グルカンである。また、イーストグルカンは、酵母細胞壁に存在するグルカンであり、β1,3グルカンを多く含み、わずかにβ1,6グルカンを含む。更に、デキストランは、スクロースを原料として乳酸菌が産生するグルコースのみからなる多糖類であり、α1,6グルカンを比較的多く含んでいる。抗PSK抗体は、ラミナリン、又はイーストグルカンを認識しないため、β1,3グルカン及びβ1,6グルカンを認識しない。また、デキストランを認識しないことから、α1,6グルカンを認識しない。すなわち、抗PSK抗体の結合するエピトープは、PSKのβ1,3グルカン、β1,4グルカン又はβ1,6グルカン上にある構造である。
また、抗PSK抗体は、ヒドラジンによってPSKのタンパク質部分を分解した、タンパク質分解PSKを認識することができる。すなわち、抗PSK抗体が結合するエピトープは、PSKのヒドラジン処理によって影響されないエピトープである。
(抗PSK抗体の有する作用)
PSKは、抗腫瘍作用を有しており、腫瘍の化学療法において抗腫瘍剤として用いることができる。PSKの抗腫瘍作用には、PSKの「細胞障害活性」、「TGF−β1阻害活性」、「PDGF阻害活性」、又は「サイトカイン産生誘導活性」が含まれ、それらの少なくとも1つの活性、又はそれらの組み合わせにより、PSKの抗腫瘍作用が発揮される。
抗PSK抗体が結合するPSKは、抗腫瘍作用を発揮するための主要な生理活性として細胞障害活性を有しているが、抗PSK抗体は、この細胞障害活性を抑制することができる。PSKの細胞障害活性は、in vitroでPSKと癌細胞を培養した場合に、直接的に癌細胞を傷害し死滅させる活性である。抗PSK抗体の細胞障害活性の抑制は、癌細胞とPSKとの培養中に抗PSK抗体を添加した場合に、癌細胞の生存率が改善されることにより確認することができ、その生存率の改善はわずかであっても、細胞障害活性を抑制することを意味する。具体的には、抗PSK抗体によるPSKの細胞障害活性の抑制作用は、以下のように測定することができる。
一定数のPSK感受性の癌細胞(例えば、大腸癌の細胞株Colon26)と、PSKの一定の濃度(例えば、10μg/mL、又は100μg/mLなど)とをin vitroで培養すると、癌細胞は、3日程度で傷害され死滅していく。Colon26とPSKの培養に、抗PSK抗体を一定の濃度(例えば、10μg/mL、又は100μg/mLなど)で添加することにより、PSKの細胞障害活性が抑制され、癌細胞の生存率が改善される。
例えば、後述の実施例で示すように、PSK100μg/mLの濃度で、Colon26を培養した場合、3日後のColon26の生存率は、約10%であるが、100μg/mLの抗PSK抗体を添加することにより、Colon26の生存率は80%まで回復することができる。
抗PSK抗体は、PSKの「TGF−β1阻害活性」を抑制することもできる。PSKのTGF−β1阻害活性は、in vitroにおいて、TGF−β1感受性細胞の増殖抑制を、PSKがTGF−β1の作用を中和することによって、増殖を回復させる活性である。抗PSK抗体のTGF−β1阻害活性の抑制は、前記の培養中に抗PSK抗体を添加することにより、細胞の増殖を抑制させることによって確認することができ、その細胞増殖の抑制率はわずかであっても、TGF−β1阻害活性を有していることを意味する。具体的には、抗PSK抗体によるPSKのTGF−β1阻害活性の抑制作用は、以下のように測定することができる。
一定数のTGF−β1感受性細胞(例えば、Mv1Lu細胞)と、TGF−β1の一定の濃度(例えば、1ng/mL)を培養すると、TGF−β1感受性細胞の増殖が阻害される。この培養系にPSKの一定の濃度(例えば、50μg/mL)を添加するとTGF−β1感受性細胞の増殖が回復する。更に、このTGF−β1感受性細胞、TGF−β1、及びPSKの培養に、抗PSK抗体を一定の濃度(例えば、50μg/mL)で添加することにより、PSKのTGF−β1阻害活性が抑制され、TGF−β1感受性細胞の増殖が抑制される。
例えば、後述の実施例で示すように、TGF−β1を1ng/mL、及びPSK50μg/mLの濃度で、Mv1Lu細胞を培養した場合、3日後のMv1Lu細胞の増殖率は、約80%であるが、50μg/mLの抗PSK抗体(2G9抗体又は5G5抗体)を添加することにより、Mv1Lu細胞の増殖率は50%程度まで抑制される。
(抗PSK抗体の構造)
続いて、抗PSK抗体の構造について以下に説明する。
(実施態様(A))
例えば、抗PSK抗体の第1の実施態様(以下、実施態様(A)と称する)として、以下の重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインを有する抗体を挙げることができる。この実施態様(A)の抗体は、後述の実施例に記載の2G9抗体に代表されるものである。その重鎖可変領域ドメインは、好ましくは配列番号6で表されるアミノ酸配列(SYGMS)からなるH−CDR1のポリペプチド、配列番号10で表されるアミノ酸配列(TISSGGSYTYYPDSVKG)からなるH−CDR2のポリペプチド、配列番号14で表されるアミノ酸配列(RITTVVARSFYFDY)からなるH−CDR3のポリペプチドを含む。また、この抗体の軽鎖可変領域ドメインは、好ましくは配列番号22で表されるアミノ酸配列(RASKSVSTSGYSYMH)からなるL−CDR1のポリペプチド、配列番号26で表されるアミノ酸配列(LVSNLES)からなるL−CDR2のポリペプチド、配列番号30で表されるアミノ酸配列(QHIRELTRS)からなるL−CDR3のポリペプチドを含む。
更に、実施態様(A)の抗体の重鎖可変領域ドメインは、より好ましくは、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるH−CDR1のポリペプチド、配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるH−CDR2のポリペプチド、配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるH−CDR3のポリペプチド、並びに重鎖可変領域フレームワークのポリペプチドを含み、最も好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域ドメインのポリペプチドである。また、この抗体の軽鎖可変領域ドメインは、より好ましくは配列番号22で表されるアミノ酸配列からなるL−CDR1のポリペプチド、配列番号26で表されるアミノ酸配列からなるL−CDR2のポリペプチド、配列番号30で表されるアミノ酸配列からなるL−CDR3のポリペプチド、並びに軽鎖可変領域フレームワークのポリペプチドを含み、最も好ましくは、配列番号18で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域ドメインのポリペプチドである。
(実施態様(B))
更に、抗PSK抗体の第2の実施態様(以下、実施態様(B)と称する)として、以下の重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインを有する抗体を挙げることができる。この実施態様(B)の抗体は、後述の実施例に記載の5G5抗体に代表されるものである。その重鎖可変領域ドメインは、好ましくは配列番号38で表されるアミノ酸配列(GYTMN)からなるH−CDR1のポリペプチド、配列番号42で表されるアミノ酸配列(LINPYNGGTSYNQKFKG)からなるH−CDR2のポリペプチド、配列番号46で表されるアミノ酸配列(GGKFATGTSY)からなるH−CDR3のポリペプチドを含む。また、この抗体の軽鎖可変領域ドメインは、好ましくは配列番号54で表されるアミノ酸配列(RSSTGAVTTSNYAN)からなるL−CDR1のポリペプチド、配列番号58で表されるアミノ酸配列(GTNNRAP)からなるL−CDR2のポリペプチド、配列番号62で表されるアミノ酸配列(ALWYSNHWV)からなるL−CDR3のポリペプチドを含む。
更に、実施態様(B)の抗体の重鎖可変領域ドメインは、より好ましくは、配列番号38で表されるアミノ酸配列からなるH−CDR1のポリペプチド、配列番号42で表されるアミノ酸配列からなるH−CDR2のポリペプチド、配列番号46で表されるアミノ酸配列からなるH−CDR3のポリペプチド、並びに重鎖可変領域フレームワークのポリペプチドを含み、最も好ましくは、配列番号34で表されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域ドメインのポリペプチドである。また、この抗体の軽鎖可変領域ドメインは、より好ましくは配列番号54で表されるアミノ酸配列からなるL−CDR1のポリペプチド、配列番号58で表されるアミノ酸配列からなるL−CDR2のポリペプチド、配列番号62で表されるアミノ酸配列からなるL−CDR3のポリペプチド、並びに軽鎖可変領域フレームワークのポリペプチドを含み、最も好ましくは、配列番号50で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域ドメインのポリペプチドである。
実施態様(A)及び実施態様(B)の抗PSK抗体の、H−CDR1のポリペプチド、H−CDR2のポリペプチド、H−CDR3のポリペプチド、L−CDR1のポリペプチド、L−CDR2のポリペプチド、及びL−CDR3のポリペプチドは、それぞれ1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されてもよい。それらの欠失、置換、挿入又は付加されたポリペプチドを含む重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインから形成される抗原結合部位が結合するエピトープは、2G9抗体又は5G5抗体が結合するエピトープと同一であり、その結合によりPSKの細胞障害活性を抑制することができる。
また、実施態様(A)及び実施態様(B)の抗PSK抗体の重鎖可変領域ドメイン又は軽鎖可変領域ドメインのポリペプチドも、それぞれ1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されてもよい。それらの欠失、置換、挿入又は付加されたポリペプチドを含む重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインから形成される抗原結合部位が結合するエピトープは、2G9抗体又は5G5抗体が結合するエピトープと同一であり、その結合によりPSKの細胞障害活性を抑制することができる。
より具体的には、アミノ酸の欠失、置換、挿入、又は付加は、それぞれのポリペプチドにおいて3個以下が好ましく、2個以下がより好ましく、1個が最も好ましい。またアミノ酸の置換の場合、限定されるものではないが、親水性のアミノ酸は親水性のアミノ酸と、疎水性のアミン酸は親水性のアミノ酸と、塩基性のアミノ酸は塩基性のアミノ酸と、酸性アミノ酸は酸性のアミノ酸と、置換されることが好ましい。このような性質の似たアミノ酸の置換の場合、タンパク質の立体構造が維持されることが多く、従って抗PSK抗体の抗原結合部位の立体構造も維持され、抗PSK抗体は、PSKと結合することができる。
例えば、カチオン性のアミノ酸であるロイシン、リジン、及びヒスチジンが、それぞれ置換された場合、アニオン性アミノ酸であるアスパラギン酸及びグルタミン酸が置換された場合、アロマティック疎水性アミノ酸であるフェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンがそれぞれ置換された場合、疎水性アミノ酸であるバリン、ロイシン、メチオニン、及びイソロイシンがそれぞれ置換された場合、並びに水酸基を有するアミノ酸であるセリン及びスレオニンが置換された場合、タンパク質の立体構造が維持されることが多く、抗PSK抗体の抗原結合部位の結合を維持することができる。
(実施態様(C))
抗PSK抗体の第3の実施態様〔以下、実施態様(C)と称する〕として、実施態様(A)の抗PSK抗体(例えば、2G9抗体)とエピトープへの結合が競合する抗体を挙げることができ、特には、実施態様(A)の抗PSK抗体(例えば、2G9抗体)が、結合するPSKのエピトープと同一のエピトープに結合する抗体を挙げることができる。
実施態様(A)の抗PSK抗体が結合するPSKのエピトープは、PSKの細胞障害活性を示す生理活性部位に存在するエピトープであるか、あるいはその近傍のエピトープである可能性が高く、実施態様(A)の抗PSK抗体がそのエピトープに結合することにより、PSKの細胞障害活性を示す生理活性部位の活性を抑制させることができるエピトープである。また、実施態様(A)の抗PSK抗体が結合するPSKのエピトープは、PSKのTGF−β1阻害活性を示す生理活性部位に存在するエピトープであるか、あるいはその近傍のエピトープである可能性が高く、実施態様(A)の抗PSK抗体がそのエピトープに結合することにより、PSKのTGF−β1阻害活性を示す生理活性部位の活性を抑制させることができるエピトープである。
(実施態様(D))
抗PSK抗体の第4の実施態様(以下、実施態様(D)と称する)として、実施態様(B)の抗PSK抗体(例えば、5G5抗体)とエピトープへの結合が競合する抗体を挙げることができ、特には、実施態様(B)の抗PSK抗体(例えば、5G5抗体)が、結合するPSKのエピトープと同一のエピトープに結合する抗体を挙げることができる。
実施態様(B)の抗PSK抗体が結合するPSKのエピトープは、PSKの細胞障害活性を示す生理活性部位に存在するエピトープであるか、あるいはその近傍のエピトープである可能性が高く、実施態様(B)の抗PSK抗体がそのエピトープに結合することにより、PSKの細胞障害活性を示す生理活性部位の活性を抑制させることができるエピトープである。また、実施態様(B)の抗PSK抗体が結合するPSKのエピトープは、PSKのTGF−β1阻害活性を示す生理活性部位に存在するエピトープであるか、あるいはその近傍のエピトープである可能性が高く、実施態様(B)の抗PSK抗体がそのエピトープに結合することにより、PSKのTGF−β1阻害活性を示す生理活性部位の活性を抑制させることができるエピトープである。
本明細書において、「エピトープへの結合が競合する抗体」とは、2つの抗体を用いたエピトープの競合試験において、競合作用を示したすべての抗体を含む。2つの抗体を用いたエピトープの競合試験において、競合率を計算することができ、「エピトープへの結合が競合する抗体」は、1%〜100%の競合率を示すことがあり、具体的には10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上の競合率を示す抗体を含む。
また、「同一のエピトープに結合する」とは、抗体の抗原結合部位が結合するエピトープが同一であることを意味し、この抗体は2つの抗体を用いたエピトープの競合試験において、競合作用を示す。「同一のエピトープに結合する」抗体のエピトープの競合試験における競合率は特に限定されるものではない。これは、エピトープの競合試験における競合率は、2つの抗体の力価、結合定数、解離定数、及び親和定数等により決定されるためである。従って、「同一のエピトープに結合する」抗体は、1%〜100%の競合率を示すことがあり、具体的には10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上の競合率を示す抗体を含むことができる。
エピトープの競合試験は、以下の方法により行うことができる。PSKを1μg/wellの濃度で、96ウエルプレートに4℃で一晩コート後、1%BSAでブロッキングしてPSKを固相化したプレートを作製する。例えば、0.1μg/mL、0.5μg/mL、1μg/mL、又は5μg/mLの第一の抗体を添加して、25℃で3時間インキュベートする。TBSTで各ウエルを3回洗浄した後、0.5μg/mL濃度に調製したHRP標識した第二の抗体溶液を添加して、25℃で1時間インキュベートする。TBSTで各ウエルを3回洗浄した後、基質であるABSTを加え、15分間程度発色させた。Peroxidase Stop Solutionで発色反応を停止させた後、プレートリーダーを用いて、405nmの吸光度を測定し、競合率を計算する。
(付記事項)
抗PSK抗体は、ポリクローナル抗体、モノスペシフィック抗体、モノクローナル抗体を含むが、好ましくはモノクローナル抗体である。また、抗PSK抗体を産生する動物種も限定されるものではなく、哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒト、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ラクダ、ブタ、イヌ、及びネコなど)、両生類(例えば、アフリカツメガル)、鳥類(例えば、ニワトリ)、軟骨魚類、及び硬骨魚類などを挙げることができる。
抗PSK抗体は、哺乳類においては、前記のようにH鎖のクラスにより、5つのイソタイプ(IgG、IgA、IgM、IgD、又はIgE)に分けられ、抗PSK抗体の特徴を有する限り、そのイソタイプは限定されるものではないが、好ましくは、IgG又はIgMであり、最も好ましくは、IgMである。免疫グロブリンの分子量が大きく、PSKの抗腫瘍作用に関与する細胞障害活性を誘導する部位、TGF−β1結合活性を示す部位、サイトカイン産生を誘導する部位などを確実に抑制することができるからである。
また、抗PSK抗体は、ディアボディー、単一鎖抗体分子、及び抗体断片から形成されたマルチ特異性抗体を含む。単一鎖抗体分子は、重鎖および軽鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)であり、ディアボディー(diabody)とは、その断片が同一のポリペプチド鎖(V−V)で、軽鎖可変ドメイン(V)と連結された重鎖可変ドメイン(V)を含む、2つの抗原結合性部位を持つ抗体小断片である。更に、公知方法により種々の標識物を結合させた標識抗体、他の物質(例えばポリペプチド)との融合抗体及びイムノトキシン等も本発明に係る抗PSK抗体の範疇に含まれる。
抗PSK抗体の親和定数は、特に限定されるものではないが、少なくとも10〜10−1の親和定数を有するものが好ましく、最も好ましくは10以上の親和定数を有するものである。結合親和性は、例えばMunson et al., Anal. Biochem. 107:220 (1980)のスキャッチャード(Scatchard)アッセイにより測定することができる。
(抗PSK抗体の製造方法)
抗PSK抗体は、免疫抗原としてPSKを用いること以外は、公知の方法によって作製することが可能であり、例えば、モノクローナル抗体は、KoehlerとMilsteinの方法(Nature 256:495−497,1975)に従って、作製することができる。抗PSK抗体を取得するための免疫抗原は、カワラタケ菌CM101株〔FERM−P2412(ATCC20547)〕の菌糸体を水系溶媒、例えば、熱水又はアルカリ溶液(例えば、アルカリ金属の水酸化物、特には水酸化ナトリウムの水溶液)で抽出し、精製した後に乾燥して得たものであり、抗腫瘍活性を有するものであれば、特に限定せずに用いることができる。
抗PSK抗体を産生するハイブリドーマは、前記抗原により免疫を行った動物から取得することができる。例えば、BALB/Cマウスに、PSKを用い定期的に、免疫を行う。抗体価の上昇を確認し、尾静脈からリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)等に溶解したPSKを接種する。その2〜3日後に、マウスから抗体を産生するリンパ球を含む脾臓を無菌的に摘出する。このリンパ球を、例えば、ポリエチレングリコールの存在下で、ミエローマ細胞と細胞融合させる方法により、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマとして樹立可能である。
細胞融合を行う場合は、例えば、ポリエチレングリコールの存在下で、リンパ球及びミエローマ細胞を融合させる。ミエローマ細胞は、各種の公知の細胞を用いることができるが、例えば、SP2/0−Ag14、又はP3U1などの細胞を挙げることができる。融合した細胞は、選択培地、例えばHAT培地を用いて、融合しなかった細胞を死滅させることによって選択する。次に、増殖してきたハイブリドーマの培養上清中の抗体産生の有無をスクリーニングする。スクリーニングは、PSKに対する特異抗体の産生を固相酵素免疫測定法(ELISA法)によって測定することによって実施することができる。
前記ハイブリドーマは、公知の任意の培地、例えば、RPMI1640で継代培養することができる。モノクローナル抗体は、得られたハイブリドーマを培養することによって、調製することができるが、例えば、RPMI1640培地に10%ウシ胎児血清を加え、5%CO存在下、37℃で培養することによって、培養上清中に抗体が産生される。また、マウスの腹腔内にハイブリドーマを接種し、腹水を回収することによって、腹水中に抗体を産生させることが可能である。モノクローナル抗体は、公知の方法により精製することができるが、例えば、PSKを結合させたアフィニティーカラムを用いる方法、イオン交換カラムクロマトグラフィー、又はProteinGを用いた精製法、あるいは、それらを組み合わせた方法などを用いて精製することができる。
更に、抗PSK抗体は、例えば、2G9抗体の重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインのポリペプチドをコードするDNAを用いて、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の定常領域のDNAと組み合わせることにより、遺伝子工学的に作製することもできる。更に、抗PSK抗体は、後述のPSKの分析方法及びPSKの分析キットにおいて有効に用いることができる。
(キメラ抗体およびCDRグラフト化抗体の作製方法)
キメラ抗体は、抗PSK抗体の重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインを、ヒト抗体以外の哺乳類の定常領域のポリペプチドと結合させることによって作製することもできる。更には、抗PSK抗体の重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインを、IgW、IgNAR、IgX、又はIgYの定常領域のポリペプチドと結合することによっても作製することができる。また、CDRグラフト化抗体は、抗PSK抗体の3つの重鎖相補性決定領域及び3つの軽鎖相補性決定領域を、ヒト抗体以外の哺乳類のフレームワーク領域と結合させることによって作製することもできる。更には、抗PSK抗体の重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインを、IgW、IgNAR、IgX、又はIgYのフレームワーク領域のポリペプチドと結合することによっても作製することができる。
(抗原結合性断片)
本発明の抗原結合性断片は、前記の各抗PSK抗体のFab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片を意味する。これらの抗原結合性断片は、例えば、抗体を常法によりタンパク質分解酵素(例えば、ペプシン又はパパイン等)によって消化し、続いて、常法のタンパク質の分離精製の方法により精製することにより、得ることができる。なお、本明細書において、「抗原結合性断片」とは、PSKのエピトープに結合することのできる抗体の断片を意味する。また、遺伝子組換えにより調製される、前記ディアボディー、単一鎖抗体分子、及び抗体断片から形成されたマルチ特異性抗体も、抗原結合性断片に分類されることがある。
(実施形態2)
[2]PSKの分析方法
本発明のPSKの分析方法および分析キットについて、実施形態2として以下に説明する。なお、本実施形態において用いられる用語は、特に断りのない限り、実施形態1において用いた意味と同様の意味で用いられている。まず、PSKの分析方法について以下に説明する。
本実施形態に係るPSKの分析方法は、実施形態1において説明した抗PSK抗体又はそれらの抗体の抗原結合性断片を用いることを特徴とする免疫学的分析方法である。具体的には、PSKに対するポリクローナル抗体、モノスペシフィック抗体、若しくはモノクローナル抗体、又はそれらのキメラ抗体、CDRグラフト化抗体、若しくはヒト型抗体、あるいはそれらの抗体のFab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ディアボディー、単一鎖抗体分子、又はマルチ特異性抗体の1つ以上を用いて、本実施形態に係るPSKの分析方法を行うことができる。本実施形態に係るPSKの分析方法を用いることにより、生理活性を示すPSKを分析することができる。PSKを分析する方法としては、抗PSK抗体を用いて、PSKを定量的又は半定量的に決定することができるか、あるいは、PSKの存在の有無を判定することができる限り、特に限定されるものではない。例えば、酵素免疫測定法、免疫組織染色法、表面プラズモン共鳴法(SPR法:Biacore法)、ラテックス凝集免疫測定法、化学発光免疫測定法、蛍光抗体法、放射免疫測定法、免疫沈降法、又はウエスタンブロット法を挙げることができる。
なお、本明細書における「分析」には、分析対象物質の量を定量的又は半定量的に決定する「測定」と、分析対象物質の存在の有無を判定する「検出」との両方の意味が含まれる。
分析方法として、酵素免疫測定法、例えば固相酵素免疫測定法(ELISA法)を用いる場合、実施形態1において説明した抗PSK抗体を、捕捉用抗体及び検出用抗体に用いることにより、PSKを、定量的かつ高精度に検出することができる。
具体的には、抗体を反応場の所定表面に固相化させる捕捉用抗体固相化手順、目的の試料を反応場に供給する抗原供給手順、検出用酵素と結合できるように修飾された抗体を反応場に供給する検出用抗体供給手順、反応場に検出用酵素の発色基質を供給する発色基質供給手順、検出用酵素と発色基質との反応を検出する発色反応検出手順、などを含む。
以下に具体的な、サンドイッチELISA法の手順を示す。まず、マイクロプレートやビーズなどの不溶性担体に、PSKに結合する抗体(捕捉抗体、又は一次抗体)を固相化する。次に、捕捉抗体や不溶性担体への非特異的な吸着を防ぐために、適当なブロッキング剤(例えば、牛血清アルブミン又はゼラチン等)で不溶性担体をブロッキングする。捕捉抗体が固相化された不溶性担体(プレート又はビーズ)に、PSKが含まれる可能性のある被検試料を一次反応液と一緒に加え、捕捉抗体とPSKを接触させ、結合させる(一次反応工程)。この後、捕捉抗体に結合しなかった抗原や夾雑物を適当な洗浄液(例えば、界面活性剤を含むリン酸緩衝液)で洗浄する。次に、捕捉されたPSKと結合する抗体と西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)などの酵素とが結合した標識抗体(2次抗体)を添加し、捕捉された抗原に標識抗体を結合させる(二次反応工程)。この反応により、捕捉抗体−PSK−標識抗体の免疫複合体がマイクロプレート等の担体上に形成される。結合しなかった標識抗体を洗浄液で洗浄し、標識抗体の酵素に対する発色基質や発光基質を添加し、酵素と基質を反応させることによりシグナルを検出する。
また、前記サンドイッチELISA法においては、1種類の抗体(例えば、2G9抗体)を、捕捉抗体(1次抗体)及び標識抗体(2次抗体)として用いることもできる。すなわち、1分子のPSKに、複数個存在するエピトープに対する抗体の場合は、1種類の抗体で、サンドイッチELISA法を構築することができる。
分析方法として、免疫組織染色法を用いる場合は、抗PSK抗体を用いることを除いては、公知の免疫組織染色法に従って検出を行うことが可能である。例えば、PSKが投与された患者から得られる組織切片を常法により調製し、ビオチン化標識した抗PSK抗体を結合させる。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識したストレプトアビジンを加え、反応させ、更にDAB基質(DAKO社)を加え発色させる。
あるいは、組織切片に抗PSK抗体を結合させた後、HRP標識した抗マウスIgM抗体を二次抗体として抗PSK抗体に結合させ、3,3’−ジアミノベンジジン(3,3'-diaminobenzidine)処理を施して染色する。染色後顕微鏡観察を行い、褐色に染色された領域がPSKの発現している領域であることを判断することができる。
分析方法として、表面プラズモン共鳴法を用いる場合、抗PSK抗体を用いることを除いては、公知の表面プラズモン共鳴法に従って検出を行うことが可能である。具体的には、Surface Plasmon Resonance センサー(SPR センサー)を用い、抗PSK抗体をセンサーチップ表面に固定化し、このセンサーチップにPSKを含む可能性のある被検試料を接触させ、抗原抗体反応を起こさせる。そして、抗体と抗原とが結合することにより生じる微妙な金属表面の変化を、表面プラズモン共鳴という光学現象を用いて検出し、センサグラムにより表示する。表面プラズモン共鳴法は、光学的な変化を直接検出する手法であるため、抗PSK抗体の標識を行う必要が無い。また、短時間で測定できるとともに、少量の被検試料で検出することが可能である。測定装置としては、例えばBiacore 3000(ビアコア社製)を使用することができ、センサーチップとしては、カルボキシルメチル基が導入されたCM5チップを用いることができる。
PSKの分析方法に用いることのできる被検試料としては、PSK、特には生理活性を有するPSKを含有する可能性のある医薬品若しくは飲食物、又はPSKが投与された患者の生体試料又は生体由来試料を挙げることができる。医薬品又は飲食物としては、具体的には、医薬組成物、若しくは医薬製剤、又はそれらの原料となる菌類由来の熱水・アルカリ抽出物、あるいは健康食品、若しくは機能性食品、又はそれらの原料となる菌類由来の熱水・アルカリ抽出物を挙げることができる。また、生体試料又は生体由来試料としては、例えば、尿、血液、血清、血漿、便、髄液、唾液、細胞、組織、若しくは器官、又はそれらの調整物(例えば、生検標本)等を挙げることができる。
PSKの分析方法を用いることにより、医薬品や飲食物並びにPSKを服用後の血液や組織などから、特定の熱水・アルカリ抽出物を定性的・定量的に検出できる。従って、生理活性を有するPSKの摂取量(投与量)を把握できるために大変有用である。例えば、PSK投与後の血中濃度や腫瘍へのPSKの到達度合を簡易かつ高精度に判別できるため、体内動態や薬効を簡易かつ高精度に評価できる。
[3]PSKの分析キット
本実施形態のPSKの分析キットは、実施形態1において説明した抗PSK抗体又はそれらの抗体の抗原結合性断片を含むことを特徴とする分析キットである。PSKの分析キットは、特に、生理活性を示すPSKを分析することができる。また、PSKの分析キットは、酵素免疫測定法、免疫組織染色法、表面プラズモン共鳴法(SPR法:Biacore法)、ラテックス凝集免疫測定法、化学発光免疫測定法、蛍光抗体法、放射免疫測定法、免疫沈降法、又はウエスタンブロット法などに用いるキットが含まれる。
PSKの分析キットが、酵素免疫測定法、〔例えば固相酵素免疫測定法(ELISA法)〕のキットの場合、抗PSK抗体が捕捉用抗体として、表面に固相化された担体(例えば、マイクロプレート、マイクロチューブ、紙)、検出用抗体として検出用酵素と結合された抗PSK抗体(修飾抗体)、検出用酵素、その発色基質、及びその他のELISA試薬(例えば、洗浄液)などを適宜組み合わせた構成にすることができる。
PSKの分析キットが、免疫組織染色法のキットの場合、ビオチン化標識した本発明の抗PSK抗体、(HRP)標識したストレプトアビジン、DAB基質、あるいは、未標識の抗PSK抗体、HRP標識した抗マウスIgG抗体、基質などを含むことができる。
PSKの分析キットが、SPR分析法のキットの場合、本発明の抗PSK抗体が固定化されたセンサーチップなどを含む。
従って、PSKの分析キットは、用いる免疫学的手法に応じて、所望の形態で抗PSK抗体、あるいはその断片を含むことができる。例えば、標識物質の具体例としては、酵素としてペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、又はグルコースオキシダーゼ等を、蛍光物質としてフルオレセインイソチアネート又は希土類金属キレート等を、放射性同位体としてH、14C、又は125I等を、その他、ビオチン、アビジン、又は化学発光物質等を挙げることができる。酵素又は化学発光物質等の場合には、それ自体単独では測定可能なシグナルをもたらすことはできないことから、それぞれ対応する適当な基質等を選択して含むことが好ましい。
PSKの分析キットは、生理活性を有するPSKを分析することができるものであり、そのことが記載された使用説明書などを含むことができ、キットの包装などに生理活性を有するPSKを分析することができることが記載されていてもよい。
本発明は上述した各実施形態に検討されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態について本発明の範疇に含まれる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:PSKに対する抗体の作製》
抗体の作製は、(1)抗原の免疫、(2)抗血清の抗体価の測定、(3)抗PSKモノクローナル抗体の作製の順に行った。以下、順に手順の概要を説明する。
(1)抗原の免疫:第1回免疫として、PSKのリン酸緩衝化生理食塩水(phosphate buffered saline;以下、「PBS」とする。)溶液とFreund’s Complete Adjuvant(シグマ−アルドリッチ社製)とを等量混合し、超音波発生器を用いて高粘性のエマルジョン液を調製した。6週齢の雌性Balb/cマウス(オリエンタル酵母株式会社)に、このエマルジョン液をPSK量が0.1mg/匹となるように、皮下注射した。1週間後に第2回目の免疫を行った。PSKのPBS溶液とFreund’s Incomplete Adjuvant(シグマ−アルドリッチ社製)とを混合してエマルジョン液を調製した。PSK量が0.1mg/匹となるように腹腔内注射した。1週間ごとに同じ手順で免疫を行い、第8回目の免疫後、尾静脈より採血して力価の測定を行った。抗体価の上昇が認められた個体について、PSKを腹腔内注射することによりブーストを行った後に、ハイブリドーマ取得のために細胞融合を行った。
(2)抗血清の抗体価の測定:前記八回目の免疫後に、Balb/cマウスから得られたそれぞれの血清(抗血清)の抗体価測定を、ELISA法により行った。手順を以下に示す。96ウエルプレートに、PSK溶液を1μg/ウエル分注し、4℃、一晩反応させてPSKを固相化した。1%BSAでブロッキング後、得られた血清の1,000倍希釈液を各ウエルに50μLずつ分注し、25℃で3時間反応させた。次に、0.05% Tween 20添加TBS(以下、「TBST」とする)で、各ウエルを3回洗浄した後、1μg/mL濃度に調製したホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識抗マウスIgM抗体溶液を50μL各ウエルに分注し、25℃で1時間反応させた。TBSTで各ウエルを3回洗浄した後、基質であるABST(KPL社)を加え、15分間発色させた。50μLのPeroxidase Stop Solution(KPL社)で発色反応を停止させた後、プレートリーダーを用いて、405nmの吸光度を測定した。図1に、ELISA法による抗体価測定の結果を示しており、グラフの横軸には血清の希釈倍率、縦軸には吸光度(力価)を表す。
(3)抗PSKモノクローナル抗体の作製:PSKの免疫により、抗体の力価の上昇が認められた個体については、定法にてモノクローナル抗体作製を進めた。すなわち、ブーストの7日後、マウスの脾臓を摘出し脾細胞をマウスミエローマ細胞株P3U1と細胞融合させた。HAT選択培養液の中で2〜3週間培養し、ハイブリドーマコロニーを得た。これらの培養上清を回収して、前記(2)に記載のELISA法を用いて、ハイブリドーマのスクリーニングを行った。得られたPSK抗体を産生している陽性ハイブリドーマについては、同様のスクリーニングを二回繰り返し、抗体産生能や増殖性に優れたハイブリドーマを選抜した。その結果、約100個の陽性ハイブリドーマから、2G9抗体及び5G5抗体を産生する2つのハイブリドーマを選択した。なお、2G9抗体及び5G5抗体はIgM抗体であることを確認した。
抗体の大量調製はマウス腹水で行った。具体的には500μLのプリスタンを雌性Balb/cマウスの腹腔内に投与して、7〜10日後、マウス一匹あたり約10個のハイブリドーマを移植した。1〜2週間後、腹水が溜まってきたら随時回収し、精製まで−80℃で保存した。腹水からの抗体精製は以下のように行った。回収した腹水に最終濃度が25mMになるようにリン酸バッファー(pH7.5)を加え、0.45μmのフィルターに通過させた。これをProteinGカラムにアプライしてフロースルーを回収した。その後、定法によりHiTrap IgMカラム(アマシャム)あるいはSepharose HPカラム(アマシャム)でIgM画分を回収した。更にそのIgM画分をSepharose 200pgカラムで分画し、5量体のIgMを精製した。得られた2G9抗体及び5G5抗体の力価を図2に示す。
《実施例2:2G9抗体及び5G5抗体の特異性の検討》
2G9抗体及び5G5抗体の特異性を調べるために、多糖類であるラミナリン、イーストグルカン、及びデキストラン、並びにPSK及びカワラタケ熱水・アルカリ抽出物を用いて競合ELISAを行った。なお、ラミナリン、イーストグルカン、及びデキストランはシグマ社から購入したものを用いた。
PSKを1μg/wellの濃度で、96ウエルプレートに4℃で一晩コート後、1%BSAでブロッキングしてPSKを固相化したプレートを作製した。0.5μg/mLの2G9抗体、又は5G5抗体と、5μg/mLのラミナリン、イーストグルカン、又はデキストランとを37℃で3時間反応させた。固相化プレートのそれぞれのウエルに、前記の抗体と多糖類とを反応させた反応液を加えて、25℃、3時間インキュベートした。TBSTで各ウエルを3回洗浄した後、1μg/mL濃度に調製したHRP標識抗マウスIgM抗体溶液を50μLずつ、各ウエルに分注し、25℃で1時間インキュベートした。TBSTで各ウエルを3回洗浄した後、基質であるABSTを加え、15分間程度発色させた。50μLのPeroxidase Stop Solutionで発色反応を停止させた後、プレートリーダーを用いて、405nmの吸光度を測定した。その結果、図3に示すように、PSK及びカワラタケ熱水・アルカリ抽出物によって、2G9抗体及び5G5抗体の反応性は阻害されたが、ラミナリン、イーストグルカン、及びデキストランは、2G9抗体及び5G5抗体の反応性を阻害せず、2G9抗体及び5G5抗体は、ラミナリン、イーストグルカン、及びデキストランに存在せず、PSKに存在するエピトープを認識することが分かった。
更に、PSKをヒドラジンで処理してPSKのタンパク質部分が分解された、タンパク質分解PSKを用いて、競合ELISAを行った。タンパク質分解PSKは、10mgの真空乾燥させたPSKに、無水ヒドラジンを2mL添加し、100℃で12時間処理することによって得た。0.5μg/mLの2G9抗体、又は5G5抗体と、5μg/mLのタンパク質分解PSKを37℃で3時間反応させ、前記と同様の方法で競合ELISAを行った。タンパク質分解PSKによって、2G9抗体及び5G5抗体のPSKに対する反応性は阻害された(図4)。従って2G9抗体及び5G5抗体は、タンパク質部分が分解されたタンパク質分解PSKを認識することができると考えられた。
《実施例3:2G9抗体及び5G5抗体のエピトープ競合試験》
2G9抗体及び5G5抗体のエピトープの競合試験を行った。PSKを1μg/wellの濃度で、96ウエルプレートに4℃で一晩コート後、1%BSAでブロッキングしてPSKを固相化したプレートを作製した。0.1、0.5、1、5μg/mLの2G9抗体を添加して、25℃で3時間インキュベートした。TBSTで各ウエルを3回洗浄した後、0.5μg/mL濃度に調製したHRP標識5G5抗体溶液を添加して、25℃で1時間インキュベートした。TBSTで各ウエルを3回洗浄した後、基質であるABSTを加え、15分間程度発色させた。Peroxidase Stop Solutionで発色反応を停止させた後、プレートリーダーを用いて、405nmの吸光度を測定した。その結果、図5に示すように、5G5抗体の結合は2G9抗体により抑制されなかったことから、2G9抗体と5G5抗体のエピトープは近傍に存在しないことが分かった。
《実施例4:2G9抗体及び5G5抗体の可変領域の配列決定》
2G9抗体又は5G5抗体を産生するハイブリドーマから、定法によりtotal RNAを抽出し、オリゴdTプライマーを用いて逆転写反を行いcDNAを作製した。得られたcDNAから、可変領域遺伝子を増幅するためにmouse Ig primer set(Novagen社)を用いて、そのプロトコールに従いPCRを行った。得られた抗体可変領域遺伝子はpCR2.1ベクターにTAクローニングしてシーケンスの決定を行った。2G9抗体の重鎖可変領域ドメイン、及び軽鎖可変領域ドメインのヌクレオチドの塩基配列、及び5G5抗体の重鎖可変領域ドメイン、及び軽鎖可変領域ドメインのヌクレオチドの塩基配列を図6に示す。また、それぞれの抗体のH−FR1、H−CDR1、H−FR2、H−CDR2、H−FR3、H−CDR3、及びH−FR4、並びにL−FR1、L−CDR1、L−FR2、L−CDR2、L−FR3、L−CDR3、及びL−FR4のアミノ酸配列を以下に示す。
2G9抗体の重鎖可変領域ドメインのアミノ酸配列
H−FR1 :GVQCEVQLVESGGDLVKPGGSLKLSCAASGFTFS(配列番号4)
H−CDR1:SYGMS(配列番号6)
H−FR2 :WVRQTPDKRLEWVA(配列番号8)
H−CDR2:TISSGGSYTYYPDSVKG(配列番号10)
H−FR3 :RFTISRDNAKNTLYLQMSSLKSEDTAMYYCAR(配列番号12)
H−CDR3:RITTVVARSFYFDY(配列番号14)
H−FR4 :WGQG(配列番号16)
2G9抗体の軽鎖可変領域ドメインのアミノ酸配列
L−FR1 :GSTGDIVLTQSPASLAVSLGQRATISY(配列番号20)
L−CDR1:RASKSVSTSGYSYMH(配列番号22)
L−FR2 :WNQQKPGQPPRLLIY(配列番号24)
L−CDR2:LVSNLES(配列番号26)
L−FR3 :GVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYYC(配列番号28)
L−CDR3:QHIRELTRS(配列番号30)
L−FR4 :EGGP(配列番号32)
5G5抗体の重鎖可変領域ドメインのアミノ酸配列
H−FR1 :GVHSEVQLQQSGPELVKPGASMKISCKASGYSFT(配列番号36)
H−CDR1:GYTMN(配列番号38)
H−FR2 :WVKQSHGKNLEWIG(配列番号40)
H−CDR2:LINPYNGGTSYNQKFKG(配列番号42)
H−FR3 :KATLTVDKSSSTAYMELLSLTSEDSAVYYCAR(配列番号44)
H−CDR3:GGKFATGTSY(配列番号46)
H−FR4 :WGQG(配列番号48)
5G5抗体の軽鎖可変領域ドメインのアミノ酸配列
L−FR1 :GAISQAVVTQESALTTSPGETVTLTC(配列番号52)
L−CDR1:RSSTGAVTTSNYAN(配列番号54)
L−FR2 :WVQEKPDHLFTGLIG(配列番号56)
L−CDR2:GTNNRAP(配列番号58)
L−FR3 :GVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFC(配列番号60)
L−CDR3:ALWYSNHWV(配列番号62)
L−FR4 :FGGG(配列番号64)
《実施例5:PSKの細胞障害活性に対する中和作用》
PSKは、直接的に癌細胞を傷害する作用を有する。本実施例では、2G9抗体及び5G5抗体のPSK細胞障害活性の中和活性について検討した。PSK感受性の癌細胞株Colon26(1×10/well)を96ウエルプレートで一晩培養した後、PSK(0、10、又は100μg/mL)と、2G9抗体又は5G5抗体(0、10、又は100μg/mL)とを加えて更に3日間培養した。培養後の細胞数を、MTTアッセイにより評価した。その結果、Colon26細胞の増殖は、PSKの濃度依存的に抑制されたが、2G9抗体又は5G5抗体の添加により濃度依存的に回復した。この結果は、2G9抗体及び5G5抗体に、PSKの生理活性(細胞障害活性)を抑制する作用があることを示している。図7に2G9抗体での結果を示す。
《実施例6:PSK経口投与後の腫瘍組織を用いた免疫組織染色》
実施例1で作製した2G9抗体及び5G5抗体のビオチンで標識した。ビオチン標識は、Sulfo−OSu Biotinylation Kit(株式会社同仁化学研究所)を用い、付属のプロトコールに従い行った。具体的には、サンプルチューブに、実施例1で得られた抗体液を入れ、炭酸水素ナトリウム緩衝液を加え、塩濃度が50mM、タンパク質濃度が5.0mg/0.5mLになるように調製した後、ボルテックミキサーを用いてよく混和した。次に、Biotin−(AC5)2Sulfo−OSuを10mg/750μLに調製し、その溶液17.5μLを抗体溶液に添加し、ボルテックスミキサーを用いてよく混和した後、25℃で2時間、反応させた。その後、反応液をゲルろ過カラムで精製してビオチン標識抗体溶液を回収した。
癌細胞であるMethA細胞(1×10cells)を6週齢の雌性Balb/cマウスに皮下移植して一ヵ月後、PSKを経口投与(1000mg/kg、週3回)した。コントロール群は生理食塩水を投与した。24時間後に腫瘍組織を採取し、定法によりホルマリン固定切片を作製して、ビオチン化標識した2G9抗体又は5G5抗体を用いて定法により免疫組織染色を行った。すなわち、1μg/mLの2G9抗体又は5G5抗体を400μLずつ標本に添加し、室温で1時間インキュベートした。切片をTBSで洗浄後、0.1μg/mLのストレプトアビジン−HRPを加え、1時間インキュベートした。切片をTBSで洗浄後、DAB基質(DAKO社)を加え発色を行い、ヘマトキシリンで核染色を行った。2G9抗体又は5G5抗体ともに、腫瘍組織が染色され、腫瘍組織にPSKが集積していることが確認された。図8に、2G9抗体を用いた免疫組織染色の顕微鏡写真を示す。
《実施例7:抗PSK抗体によるPSKのTGF−β1阻害活性の抑制》
PSKは、免疫抑制物質であるTGF−β1に結合して、その活性を中和することが報告されている。本実施例では、PSKのTGF−β1阻害活性を、2G9抗体又は5G5抗体が抑制するかを調べた。TGF−β1感受性株でTGF−β1により増殖が抑制されるMv1Lu細胞を用いて検討した。
PSK(50μg/mL)及び抗PSK抗体(50μg/mL)を37℃、3時間インキュベートした。その後、hTGF−β1(1ng/mL)を加えて更に3時間インキュベートし、Mv1Lu細胞(3×10cells)を培養している96ウエルプレートに添加した。3日間培養した後、MTTアッセイにより細胞数を測定した。その結果、2G9抗体及び5G5抗体は、PSKのTGF−β1阻害活性を抑制することが示された(図9)。
本発明の抗PSK抗体、並びにPSKの分析方法及びPSKの分析キットは、生理活性を示すPSKを分析することができるため、PSKを含む医薬、又は食品中の活性を有するPSKを分析することができる。それによって、それらの医薬、又は食品の品質管理などに用いることができる。

Claims (13)

  1. (1)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域1のポリペプチド、配列番号10で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び配列番号14で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む重鎖可変領域ドメイン、並びに配列番号22で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域1のポリペプチド、配列番号26で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び配列番号30で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む軽鎖可変領域ドメイン、又は
    (2)配列番号38で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域1のポリペプチド、配列番号42で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び配列番号46で表されるアミノ酸配列からなる重鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む重鎖可変領域ドメイン、並びに配列番号54で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域1のポリペプチド、配列番号58で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域2のポリペプチド、及び配列番号62で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖相補性決定領域3のポリペプチドを含む軽鎖可変領域ドメイン
    を有し、PSKを認識し、PSKの抗腫瘍作用を抑制することを特徴とする抗体。
  2. 前記抗腫瘍作用がPSKの細胞障害活性である、請求項1に記載の抗体。
  3. 前記抗腫瘍作用がTGF−β1阻害活性である、請求項1に記載の抗体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体と、エピトープへの結合が競合し、且つPSKの抗腫瘍作用を抑制する抗体。
  5. IgM抗体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の抗体。
  6. キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、又はヒト型抗体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の抗体。
  7. 前記キメラ抗体がヒト抗体とのキメラ抗体であり、CDRグラフト化抗体がヒト抗体とのCDRグラフト化抗体である、請求項に記載の抗体。
  8. 前記キメラ抗体が、IgW、IgNAR、IgX、又はIgYとのキメラ抗体であり、CDRグラフト化抗体がIgW、IgNAR、IgX、又はIgYとのCDRグラフト化抗体である請求項に記載の抗体。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の抗体のFab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ディアボディー、単一鎖抗体分子、及びマルチ特異性抗体からなる群から選択される抗原結合性断片。
  10. 請求項1〜に記載の抗体又は抗原結合性断片を用いるPSKの分析方法。
  11. 請求項1〜に記載の抗体又は抗原結合性断片を含むPSK分析用キット。
  12. 請求項1〜に記載の抗体又は抗原結合性断片のPSKの分析のための使用。
  13. 請求項1〜に記載の抗体又は抗原結合性断片のPSK分析用キットの製造のための使用。
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