JP7549361B2 - アクアポリン3(aqp3)の細胞外ドメインに特異的に結合する抗aqp3モノクローナル抗体及びその使用 - Google Patents

アクアポリン3(aqp3)の細胞外ドメインに特異的に結合する抗aqp3モノクローナル抗体及びその使用 Download PDF

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Description

本発明は、アクアポリン3(AQP3)の細胞外ドメインに特異的に結合する抗AQP3抗体に関連し、さらには前記抗体の使用に関連する。
生体膜は、脂質二重層から構成されるため、水分子に対する透過性が低い。それゆえ、生体膜を横断して水分子を速やかに、かつ大量に輸送すること(透過させること)が望まれるときには、膜蛋白質から構成される水チャネルが必要である。水チャネルとしてのアクアポリン(AQP)は、水分子のみを通過させる微細な孔(ポア)を有する膜蛋白質であり、Peter Agreのグループによって1992年に赤血球膜から発見された。それ以降、アクアポリンが、様々な細菌、動物及び植物において発見されており、アクアポリンは、生物学的系に一般に存在する水チャネルであることが知られている。多数のAQP分子種(遺伝子)が1つの生物種においてさえ存在することもまた確認されている。例えば、AQP0からAQP12までの13種類のアクアポリン分子種がヒトにおいて確認されている。加えて、水分子を選択的に通過させる分子種(AQP1等)、また、水分子、グリセリン又は過酸化水素等の低分子量物質を通過させる分子種(AQP3等)のように、分子種の間での機能分化が認められている。これら13種類のAQP分子種は様々な発現パターンを多くの臓器において示すことが明確に示されており、水輸送が盛んに行われる腎臓のような臓器では、1つの臓器における複数分子種のアクアポリンの発現が認められる。
アクアポリンの異常な発現及び/又は機能が、ある種の障害と関連することが徐々に明らかにされてきた。例えば、AQP0の欠損により、先天性白内障が生じることがあることが知られている。AQP2の発現/機能の低下は尿崩症に関連することが知られており、その一方で、AQP2の機能亢進は、妊娠に伴う浮腫、高血圧症及びうっ血性心不全に関連することが示唆されている。脱髄性障害としての視神経脊髄炎の場合には、抗AQP4自己抗体がその病態形成と関係することが知られている。また、AQP5の変異と掌蹠角化症との関連が報告されている(Verkman et al.,Nat.Rev.Drug Discov.(2014)vol.13,pp.259-277)。
アクアポリンは、細胞膜を6回横切る膜蛋白質であり、6つの膜貫通ドメインと、膜貫通ドメインを繋ぐ5つのループ(ループA~ループE)とを有する。細胞膜に存在するAQPにおけるAQPポリペプチドの中で、N末端領域、ループB、ループD及びC末端領域のそれぞれが細胞質側に存在する一方、ループA、ループC及びループEのそれぞれが細胞外側に存在する(図1)。この6回膜貫通構造がすべてのAQP分子種において共通して見出される。
1分子のアクアポリンが1つの通過路を有するが、アクアポリンは生体膜において多量体(ホモ四量体)として存在する。加えて、アクアポリンは、水分子、グリセロール、過酸化水素、二酸化炭素、アンモニア及び尿素のような低分子量物質を、通過路を介して受動的に輸送する機能を担っている。
様々な分析がアクアポリンの各分子種の発現特性又は機能に関して行われてきているが、十分な解明には未だ至っていない。十分な解明が得られていない理由の1つとして、それぞれの分子種を同定する十分な特性を有する抗アクアポリン抗体が得られていないことを挙げることができる。現在、抗AQP抗体の取得に関する報告がいくつかあり、市販されている抗AQP抗体もまた存在する。しかしながら、そのような抗体のほとんどがポリクローナル抗体であり、AQPの細胞内ドメインをエピトープとしている。ポリクローナル抗体に関しては、特異的同定性が十分でない場合が多く、精度の高い検出又は測定ができないという点で限界もまた存在する。さらには、ポリクローナル抗体に関しては、AQP発現細胞の単離及び精製を行うことが現実的に不可能であった。関連技術分野の抗AQP抗体のほとんどが、細胞内に存在するエピトープを認識する抗体であるので、様々な制約もまた、生細胞を分析するときには存在する。
アクアポリンの細胞外ドメインを特異的に認識する抗体の取得例が極めて限られていることの理由は明らかにされていないが、アクアポリンのような膜蛋白質は免疫原として取り扱いにくく、膜蛋白質を特異的に認識する抗体の取得は一般に容易でない。生物種の間では配列の保存が比較的高いため、アクアポリン蛋白質又はその断片を免疫原として使用することによって異種の動物を免疫化したときには所望の特異的抗体を産生させることが困難であることもまた考えられる。
アクアポリン3(AQP3)は、AQPの他の分子種と同様、生体膜に局在化し、αへリックスからそれぞれが構成される6つの膜貫通領域(膜貫通領域I~VI)と、それらをつなぐ5つのループ(ループA~ループE)とから形成される水チャネル蛋白質であり、N末端及びC末端領域がともに細胞質側に存在する構造を有する。生体膜を横切るαへリックスは、水分子又は他の低分子量成分(グリセロール及び過酸化水素)の通過を可能にする微細な孔(ポア)を形成する。
AQP3は、上皮細胞、免疫細胞及びガン細胞を含めて様々な細胞で発現することが知られている。ケラチノサイトが、AQP3を多く発現する細胞の1つである。AQP3は、水及びグリセロールの輸送を促進するため、皮膚の生理的保湿及び皮膚創傷の回復において重要な役割を果たしていると考えられている(特開2011-32191号公報)。一方、乾癬、光線性角化症、魚鱗癬及び脂漏性皮膚炎のような、異常なケラチノサイト増殖を伴う皮膚障害については、ケラチノサイトの細胞増殖を調節するための因子としてのAQP3を標的とすることによるAQP3機能の抑制に基づく治療法が提案されている(国際公開第2014/013727号)。皮膚の腫瘍形成との関連もまた報告されている。それぞれのAQP3が、皮膚における保湿、腫瘍形成及びバリア機能回復のためのグリセロール輸送活性に基づいて、又は傷ついた皮膚の回復のための水分子輸送活性に基づいてその生理的活性を果たすメカニズムが提唱されている(Hara-Chikuma et al.,J.Invest.Dermatol.(2008)vol.128,pp.2145-2151)。
AQP3とガンとの関係性に関しては、皮膚ガンに限らず多くの事例が報告されている。結腸直腸ガン、子宮頸ガン、肝ガン、肺ガン、食道ガン、腎臓ガン、胃ガン及び舌ガン等の組織において、それぞれのAQP3の増大した発現レベルが確認されている。さらには、それらのガンでは、AQP3の機能が、ガンの進行度、予後、腫瘍血管形成、浸潤、転移、及びガン組織のエネルギー代謝などに関連することが示唆されている。そのような理由から、AQP3(の発現量を低下させること)がそれらのガンのための治療標的として示唆されているにもかかわらず、有望な結果が実際の治験から未だ得られていない(Verkman et al.,Nat.Rev.Drug Discov.(2014)vol.13,pp.259-277;Papadopoulos and Saadoun,Biochem.Biochim.Acta(2015)vol.1848,pp.2576-2583;及びWang et al.,J.Transl.Med.(2015)vol.13:96)。
大腸は、AQP3が発現する他の主要な組織の1つとして知られており、腸管上皮におけるAQP3の発現レベルと生理学的状態との関係性が報告されている。この報告によると、大腸におけるAQP3の発現レベルがいくつかの緩下剤によって低下することが明白である。モルヒネによって引き起こされる重度の便秘には、大腸におけるAQP3の増大した発現レベルが伴う(Ikarashi et al.,Int.J.Mol.Sci.(2016)vol.17,1172)。
AQP3の分析のために、水分子又はグリセロールを透過させるチャネルの活性を抑制する化合物が、AQP3阻害剤として報告されている(Zelenina et al.,J.Biol.Chem.(2004)vol.279,pp.51939-51943;及びMartins et al.,PLoS ONE(2012)7(5):e37435)。このAQP3阻害剤に限らず、ほとんどのAQP阻害剤が、水銀、銅又は金のような金属を含有する金属化合物である。金属化合物であることは、細胞毒性を示す可能性が高いということを意味する。そのような理由から、ある一定の有用性がこのAQP阻害剤には認められるが、このAQP阻害剤は、培養細胞を用いた機能分析、及び実験動物への投与が行われる試験の両方においてその適用の面で制約されている。さらには、金属化合物としてのこのAQP阻害剤の、AQPに対する分子種特異性が一般に高くない。例えば、AQP3に対する阻害だけでなく、AQP1及びAQP4のような他のAQP分子種の機能的阻害もまた引き起こすという問題が報告されている。そのようなものとして、このAQP3阻害剤を臨床応用としてヒトに投与することが実際には実施できない。
AQP3の機能分析の別のアプローチとして、AQP3欠損細胞又はAQP3ノックダウン細胞を使用する事例が報告されている(Hara-Chikuma et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.(2016)vol.471,pp.603-609)。AQP3欠損細胞又はAQP3ノックダウン細胞では、細胞増殖性又は細胞遊走が低下し、炎症によって引き起こされる応答(炎症性応答)が低下することが見出される。アトピー性皮膚炎、乾癬又は喘息などのような炎症性障害を惹起する処置をAQP3ノックアウトマウスについて行ったときには、それらの炎症性障害の発症が、野生型マウスを用いた対照と比較して抑制されることもまた報告されている。ヒト由来ガン細胞のマウスへの移植実験において、ガン悪性度がAQP3の発現又は機能のノックダウンに応じて抑制され得ることもまた報告されている。このノックダウンについては、siRNA、shRNA及びmiRNAを用いた例が報告されている。しかしながら、それらの研究のすべてが基礎研究段階にあるにすぎず、臨床応用可能なAQP3発現調節剤は未だ開発されていない。
AQP3の分析を進めるためには、AQP3の発現部位又は発現レベルを精度良く検出することが、必要な手段の1つである。AQP3特異的な検出が、特異的なプローブ又はプライマーを使用することによってAQP3mRNAの蓄積レベルを検出することに基づいて広く行われている。しかしながら、核酸レベルでの分析に従えば、AQP3蛋白質がどのような分布で、また、どのような量で実際に存在しているかを知ることができない。一方、抗AQP3抗体が確立され、また、数種類の抗体が市販されているので、AQP3の発現分析もまた行うことができる。しかしながら、市販の抗AQP3抗体のすべてがポリクローナル抗体であり、高い精度の分析のためには十分に特異的でない。さらに、市販の抗AQP3抗体のすべてが、AQP3のN末端部分又はC末端部分に存在する細胞内ドメインをエピトープとする抗体であるため、生細胞を使用する実験によってAQP3の検出を行うこと、又は抗体を使用してAQP3発現細胞を選択し、精製するために使用されることが、困難である。このような事情から、AQP3に対するモノクローナル抗体、特に、AQP3の細胞外ドメインを特異的に認識するモノクローナル抗体が切望されていた。
特開2011-32191号公報 国際公開第2014/013727A1号 国際公開第98/13388A1号 国際公開第91/09967A号 米国特許第5,530,101A号明細書 米国特許第5,585,089A号明細書 米国特許第5,693,761A号明細書 米国特許第5,693,762A号明細書 米国特許第6,180,370B1号明細書 米国特許第5,225,539A号明細書 欧州特許出願公開第239400A2号明細書 欧州特許出願公開第592106A1号明細書 欧州特許出願公開第519596A1号明細書 米国特許第5,565,332A号明細書
Verkman et al.,Nat.Rev.Drug Discov.(2014)vol.13,pp.259-277 Hara-Chikuma et al.,J.Invest.Dermatol.(2008)vol.128,pp.2145-2151 Papadopoulos and Saadoun,Biochem.Biochim.Acta(2015)vol.1848,pp.2576-2583 Wang et al.,J.Transl.Med.(2015)vol.13:96 Ikarashi et al.,Int.J.Mol.Sci.(2016)vol.17,1172 Zelenina et al.,J.Biol.Chem.(2004)vol.279,pp.51939-51943 Martins et al.、PLoS ONE(2012)7(5):e37435 Hara-Chikuma et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.(2016)vol.471,pp.603-609 Riechmann et al.,1988,Nature 332:323-7 Padlan、1991,Mol.Immunol.,28:489-498 Studnicka et al,1994,Prot.Eng.7:805-814 Roguska et al,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.91:969-973
本発明の1つの目的が、水チャネル蛋白質の一種であるアクアポリン3(AQP3)の細胞外ドメインを特異的に認識する抗AQP3抗体を提供することである。
本発明者らは、AQP3の細胞外ドメインを特異的に認識する抗AQP3抗体を提供するために、AQP3の構造について、特に、細胞外ドメインを構成するループA、ループC及びループEの構造について鋭意研究を行い、ループC(細胞外の2番目のループ)の一部を構成する、免疫原としての断片(オリゴペプチド)を時にはAQP3過剰発現細胞と一緒に使用することによって宿主動物を免疫化することに従って、AQP3を100pM以上の親和性で特異的に認識する所望の抗体を得ることができること、ファージクローンに由来する複数の抗AQP3モノクローナル抗体(抗AQP3mAb)を、前記ペプチドにより免疫化される動物の脾臓及び/又は骨髄から得ることができること、抗AQP3mAbはAQP3ポリペプチド及び前記断片に特異的に結合すること、そして、抗AQP3mAbは、AQP3に基づくチャネル機能、AQP3発現細胞の増殖活性、及び/又はAQP3発現細胞の遊走活性を特異的に阻害する活性を有することを見出した。それらの発見に基づいて、本発明者らは本発明を完成させた。
本発明によれば、AQP3の細胞外ドメインを特異的に認識する抗AQP3抗体が提供される。さらには、本発明の抗AQP3抗体を含む組成物、本発明の抗AQP3抗体を含むAQP3検出用試薬、本発明の抗AQP3抗体を含むAQP3発現細胞同定・分離用試薬、及び本発明の抗AQP3抗体を含むAQP3測定用試薬が提供される。さらには、そのような試薬のいずれかを含むキットが提供される。さらには、AQP3の細胞外ドメインに特異的に結合し、かつ、AQP3のチャネル機能等に対する阻害活性を有する抗AQP3モノクローナル抗体(阻害性抗AQP3mAb)が提供される。さらには、本発明の阻害性抗AQP3mAbを含む組成物、本発明の阻害性抗AQP3mAbを含むAQP3阻害剤、及び本発明の阻害性抗AQP3mAbを含む医薬組成物が提供される。さらには、本発明の抗AQP3抗体と、細胞傷害性薬剤とを含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)、及びADCを含む医薬組成物が提供される。さらには、本発明の抗AQP3抗体又はAQP3検出用試薬を使用することによってAQP3を検出するための方法、本発明の抗AQP3抗体又はAQP3同定・分離用試薬を使用することによってAQP3発現細胞を分離・精製するための方法、及び本発明の抗AQP3抗体又はAQP3検出用試薬を使用することによってAQP3を測定するための方法が提供される。さらには、本発明の阻害性抗AQP3mAb、本発明の阻害性抗AQP3mAbを含む組成物、又は本発明のAQP3阻害剤を使用することによってAQP3の機能(チャネル機能等)を阻害するための方法、及び、本発明の阻害性抗AQP3mAb、本発明の阻害性抗AQP3mAbを含む組成物、又は本発明のAQP3阻害剤を使用することによって、生体膜を横断する低分子量物質(水、グリセロール又は過酸化水素等)の輸送を阻害するための方法が提供される。なおもさらには、本発明の阻害性抗AQP3mAb、本発明の阻害性抗AQP3mAbを含む組成物、又は本発明の阻害性抗AQP3mAbを含む医薬組成物を使用することによってAQP3関連障害を予防/処置するための方法が提供される。
1つの態様において、本発明は、アミノ酸配列がATYPSGHLDM(配列番号1)からなるオリゴペプチドに100pM以上の親和性により特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片を提供する。
別の態様において、本発明は、表6に示される配列から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、重鎖相補性決定領域2(HCRD2)、重鎖相補性決定領域3(HCDR3)、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)及び軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)を含む抗AQP3抗体又はその機能的断片を提供する。様々なCDR配列が、表6に示される配列及び実施例17に記載されるような配列を使用するアミノ酸配列に由来する。上記に記載されるCDR配列を有する抗AQP3抗体又はその機能的断片についてのフレームワーク配列はマウスのフレームワーク配列又はヒトのフレームワーク配列であることが可能である。
いくつかの実施形態において、抗体又はその機能的断片は、AQP3に対する結合について、例えば、HaCat細胞の表面に発現するヒトAQP3、或いはPAM212細胞又はマウスマクロファージ細胞の表面に発現するマウスAQP3に対する結合について、本発明の別の抗AQP3抗体又はその機能的断片と競合することができる。競合を測定するために使用することができるアッセイには、ELISAアッセイ及びFACSアッセイが含まれる。
競合アッセイの一例において、AQP3をその表面に発現する細胞(例えば、HaCat細胞)が固体表面に、例えば、マイクロウエルプレートに、プレートをAQP3発現細胞の懸濁物と(例えば、4℃で一晩)接触させることによって付着させられる。プレートを洗浄し(例えば、PBSにおける0.1%Tween20)、ブロッキング処理が(例えば、Superblock(Thermo Scientific、Rockford、IL)において行われる。亜飽和量のビオチン化一次抗体(80ng/mL)(「参照」抗体)又は競合する抗AQP3抗体(「試験」抗体)の、ELISA緩衝液(例えば、PBSにおける1%BSA及び0.1%Tween20)における連続希釈での(例えば、2.8μg/mL、8.3μg/mL又は25μg/mLの濃度での)混合物をウエルに加え、プレートを穏やかに振とうしながら1時間インキュベーションする。参照抗体は本発明の抗体であることが可能である。プレートを洗浄し、ELISA緩衝液で希釈される1μg/mLのHRPコンジュゲート化ストレプトアビジンをそれぞれのウエルに加え、プレートを1時間インキュベーションする。プレートを洗浄し、結合した抗体を基質(例えば、TMB、Biofx Laboratories Inc.、Owings Mills、MD)の添加によって検出する。反応を停止緩衝液(例えば、Bio FX Stop Reagents、Biofx Laboratories Inc.、Owings Mills、MD)の添加によって停止させ、吸光度を、マイクロプレートリーダー(例えば、VERSAmax、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を使用して650nmで測定する。この競合アッセイでの様々な変法もまた、本発明の第1の抗AQP3抗体と、本発明の第2のAQP3抗体との間における競合を調べるために使用することができる。競合アッセイのための他の様々な形式がこの技術分野では知られており、これらを使用することができる。
上記競合アッセイの様々な実施形態において、本発明の参照AQP3抗体と競合する本発明の試験抗AQP3抗体は、試験抗AQP3抗体が、0.08μg/mL、0.4μg/mL、2μg/mL、10μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、又は前述の値のいずれかの間の範囲での濃度(例えば、2μg/mLから10μg/mLにまで及ぶ濃度)で使用されるとき、参照抗AQP3抗体の結合を、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は前述の値のいずれかの間の範囲での割合で低下させる(例えば、本発明の試験抗AQP3抗体は本発明の標識された参照抗AQP3抗体の結合を50%~70%低下させる)。
上記競合アッセイの様々な実施形態において、本発明の参照AQP3抗体と競合する本発明の試験抗AQP3抗体は、試験抗AQP3抗体が2pM、10pM、50pM、100pM、又は前述の値のいずれかの間の範囲での濃度(例えば、2pM~10pMの範囲での濃度)で使用されるとき、参照抗AQP3抗体の結合を少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は前述の値のいずれかの間の範囲での割合で低下させる(例えば、本発明の試験抗AQP3抗体は本発明の標識された参照抗AQP3抗体の結合を50%~70%低下させる)。
上記競合アッセイの他の実施形態において、本発明の試験抗AQP3抗体は、試験抗AQP3抗体が、0.4μg/mL、2μg/mL、10μg/mL、50μg/mL、250μg/mL、又は前述の値のいずれかの間の範囲での濃度(例えば、2μg/mLから10μg/mLにまで及ぶ濃度)で使用されるとき、標識された参照抗AQP3抗体の結合を、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は前述の値のいずれかの間の範囲での割合で低下させる(例えば、本発明の試験抗AQP3抗体は本発明の標識された参照抗AQP3抗体の結合を50%~70%低下させる)。
ある特定の実施形態によれば、本発明には、a)アミノ酸配列X1FSLX2X3YA(配列番号3)(式中、X1はG又はRであり、X2は、S、Y又はNであり、X3は、S、G、N又はTである)を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)と、b)アミノ酸配列INNDX4X5X6ST(配列番号4)(式中、X4は、G、I又はVであり、X5は、R、V、I又はSであり、X6はS又はGである)を含む重鎖相補性決定領域2(HCRD2)と、c)アミノ酸配列ARGGTSGYDI(配列番号5)を含む重鎖相補性決定領域3(HCDR3)と、d)アミノ酸配列X7SVYKNY(配列番号6)(式中、X7はP又はQである)を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)と、e)アミノ酸配列X8AS(配列番号7)(式中、X8はG又はKである)を含む軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)と、f)アミノ酸配列AGGYX9GX10X11DIFX12(配列番号8)(式中、X9はR又はIであり、X10はS又はYであり、X11は、S、G又はRであり、X12はA又はSである)を含む軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)とを含む抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれ、この場合、特に、X1はGである、X1はRである、X2はSである、X2はYである、X2はNである、X3はSである、X3はGである、X3はNである、X3はTである、X4はGである、X4はIである、X4はVである、X5はRである、X5はVである、X5はIである、X5はSである、X6はSである、X6はGである、X7はPである、X7はQであり、X8はGである、X8はKである、X9はRである、X9はIである、X10はSである、X10はYである、X11はSである、X11はGである、X11はRである、X12はAである、X12はSである。
さらなる実施形態によれば、本発明には、a)アミノ酸配列X13FSLX14X15YA(配列番号9)(式中、X13はG又はRであり、X14は、S、Y又はNであり、X15は、S、N又はTである)を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)と、b)アミノ酸配列INNDX16ISST(配列番号10)(式中、X16はG又はVである)を含む重鎖相補性決定領域2(HCRD2)と、c)アミノ酸配列ARGGTSGYDI(配列番号5)を含む重鎖相補性決定領域3(HCDR3)と、d)アミノ酸配列PSVYKNY(配列番号11)を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)と、e)アミノ酸配列GAS(配列番号12)を含む軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)と、f)アミノ酸配列AGGYX17GSX18DIFX19(配列番号13)(式中、X17はR又はIであり、X18はS又はRであり、X19はA又はSである)を含む軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)とを含む抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれ、この場合、特に、X13はGである、X13はRである、X14はSである、X14はYである、X14はNである、X15はSである、X15はNである、X15はTである、X16はGである、X16はVである、X17はRである、X17はIである、X18はSである、X18はRである、X19はAである、又はX19はSである。
さらにさらなる実施形態によれば、本発明には、表7に示される結合抗体の1つのHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列を含む上記で記載されるような抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれ、この場合、特に、抗AQP3抗体又はその機能的断片は、表7に示されるようなBC-B10のHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列;表7に示されるようなBC-H9のHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列;表7に示されるようなSC-B6のHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列;又は表7に示されるようなSC-F8のHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列を含む。
なおさらにさらなる実施形態によれば、本発明には、表8に示される結合抗体の1つの可変重鎖(VH)配列及び可変軽鎖(VL)配列を含む上記で記載されるような抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれ、この場合、特に、VH及びVLは、BC-B10のVH配列及びVL配列、BC-H9のVH配列及びVL配列、SC-B6のVH配列及びVL配列、又はSC-F8のVH配列及びVL配列を含む。
ある特定の実施形態によれば、本発明には、アミノ酸配列がATYPSGHLDM(配列番号1)を含むオリゴペプチド、又はATYPSGHLDM(配列番号1)からなるオリゴペプチドに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれ、この場合、特に、抗AQP3抗体又はその機能的断片はヒトAQP3及び/又はマウスAQP3に特異的に結合し、さらに、抗AQP3抗体又はその機能的断片はヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の細胞外部分に特異的に結合し、とりわけ、AQP3は、細胞表面に発現するヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の細胞外部分に結合し、特に、細胞はHaCaT細胞又はPAM212細胞である。さらなる実施形態によれば、本発明には、アミノ酸配列がATYPSGHLDM(配列番号1)を含むオリゴペプチド、又はATYPSGHLDM(配列番号1)からなるオリゴペプチドに特異的に結合し、かつ、100pMを超える親和性により結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれ、この場合、特に、抗AQP3抗体又はその機能的断片はループCに特異的に結合する、或いは抗体又はその機能的断片はヒトAQP3及び/又はマウスAQP3に結合する。
ある特定の実施形態によれば、本発明には、アミノ酸配列が配列番号1を含むオリゴペプチド、又は配列番号1からなるオリゴペプチドに対する結合について、前記抗体又はその機能的断片と競合する抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれる。さらなる実施形態によれば、本発明には、ヒトAQP3又はマウスAQP3のループCに対する結合について前記抗体又はその機能的断片と競合する抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれる。さらにさらなる実施形態によれば、本発明には、ヒトAQP3又はマウスAQP3に対する結合について前記抗体又はその機能的断片と競合する抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれ、この場合、とりわけ、AQP3は細胞表面に発現し、より具体的にはHaCaT細胞又はPAM212細胞で細胞表面に発現する。
ある特定の実施形態によれば、本発明には、ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の少なくとも1つの機能に対する阻害活性を有する抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれ、この場合、具体的には、ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の少なくとも1つの機能の阻害活性はH輸送における低下であり、特に、阻害活性はH輸送における少なくとも50%の低下であり、具体的には、H輸送における低下は、実施例14に記載されるアッセイに従って測定される。
ある特定の実施形態によれば、本発明には、ATYPSGHLDM(配列番号1)に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれ、この場合、抗AQP3抗体又はその機能的断片は、Hの輸送に依存しているケラチノイド細胞又は免疫細胞(例えば、マクロファージ及びT細胞)の機能的応答を阻害し、特に、機能的応答が非AQP3抗体と比較して少なくとも50%阻害され、特に、H輸送における低下は、実施例14に記載されるアッセイに従って測定される。
ある特定の実施形態によれば、本発明には、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片が含まれ、この場合、抗体又はその機能的断片は、Hの輸送に依存している免疫細胞の機能的応答を阻害し、特に、低下は、実施例14に記載されるアッセイに従って測定される場合、少なくとも50%である。
ある特定の実施形態によれば、本発明には、抗AQP3抗体を産生させるための方法であって、a)動物に配列番号1を注射する工程と、b)1つ又は複数の臓器を、抗体を産生する細胞を含む前記動物から採取する工程と、c)mRNAを前記臓器から単離する工程と、d)抗体ファージライブラリーを、前記mRNAを使用して作製する工程と、e)工程d)で作製される抗体ファージライブラリーを、配列番号1に結合する1つ又は複数の抗体を同定するためにスクリーニングする工程とを含む方法、特に、前記臓器が脾臓及び骨髄から選択される方法が含まれる。さらなる実施形態によれば、本発明には、AQP3の少なくとも1つの機能を阻害するための方法であって、AQP3含有サンプルを、配列番号1に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。さらにさらなる実施形態によれば、本発明には、AQP3の少なくとも1つの機能を阻害するための方法であって、AQP3含有サンプルを、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。なおさらにさらなる実施形態によれば、本発明には、AQP3の少なくとも1つの機能を阻害するための方法であって、AQP3含有サンプルを、ヒトAQP3の細胞外部分に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。
ある特定の実施形態によれば、本発明には、膜を横断するHの輸送を阻害するための方法であって、AQP3を含む膜を有するサンプルを、配列番号1に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。さらなる実施形態によれば、本発明には、膜を横断するHの輸送を阻害するための方法であって、AQP3を含む膜を有するサンプルを、ヒトAQP3の細胞外部分に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。さらにさらなる実施形態によれば、本発明には、膜を横断するHの輸送を阻害するための方法であって、AQP3を含む膜を有するサンプルを、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。
ある特定の実施形態によれば、本発明には、AQP3発現細胞の分離及び/又は精製のための方法であって、細胞を含むサンプルを、配列番号1に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。さらなる実施形態によれば、本発明には、AQP3発現細胞の分離及び/又は精製のための方法であって、細胞を含むサンプルを、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。さらにさらなる実施形態によれば、本発明には、AQP3発現細胞の分離及び/又は精製のための方法であって、細胞を含むサンプルを、ヒトAQP3の細胞外部分に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。
ある特定の実施形態によれば、本発明には、AQP3を測定するための方法であって、サンプルを、配列番号1に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。さらなる実施形態によれば、本発明には、AQP3を測定するための方法であって、サンプルを、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。さらにさらなる実施形態によれば、本発明には、AQP3を測定するための方法であって、サンプルを、ヒトAQP3の細胞外部分に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含む方法が含まれる。
いくつかの態様において、本発明は以下の(1)~(69)に関する。
(1)アクアポリン3(AQP3)の細胞外ドメインを特異的に認識する抗AQP3抗体、又はその機能的断片。
(2)細胞外ドメインがループCである、上記(1)に記載の抗体又はその機能的断片。
(3)膜貫通領域IVとの境界に隣接するループCのC末端側の10アミノ酸残基から構成されるオリゴペプチドに特異的に結合する、上記(1)又は(2)に記載の抗体又はその機能的断片。
(4)膜貫通領域IVとの境界に隣接するループCのC末端側の10アミノ酸残基から構成されるオリゴペプチドのアミノ酸配列がATYPSGHLDM(配列番号1)である、上記(3)に記載の抗体又はその機能的断片。
(5)マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、モルモット抗体、ヒツジ抗体、ヤギ抗体、ロバ抗体、ニワトリ抗体又はラクダ抗体である、上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片。
(6)マウス抗体である、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片。
(7)レポーター物質により標識される、上記(1)~(6)のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片。
(8)レポーター物質が、放射性同位体、金属微粒子、酵素、蛍光物質及び発光物質からなる群から選択される、上記(7)に記載の抗体又はその機能的断片。
(9)固体支持体に固定化される、上記(1)~(8)のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片。
(10)固体支持体が、マイクロプレート、ガラスプレート、プラスチックプレート、シリンジ、バイアル、カラム、磁性粒子、樹脂製マイクロビーズ、多孔性メンブラン、多孔性担体及びマイクロチップからなる群から選択される、上記(9)に記載の抗体又はその機能的断片。
(11)ヒト及び/又はマウスに由来するAQP3に特異的に結合する、上記(1)~(10)のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片。
(12)ヒトに由来するAQP3に特異的に結合する、上記(1)~(11)のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片。
(13)上記(1)~(12)のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片であって、抗体がIgG又はIgMの免疫グロブリン分子である、抗体又はその機能的断片。
(14)上記(1)~(13)のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片であって、抗体がIgGの免疫グロブリン分子である、抗体又はその機能的断片。
(15)AQP3の機能に対する阻害活性を有する、上記(1)~(14)のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片。
(16)AQP3の機能が、低分子量物質をAQP3によって輸送する(透過させる)活性、AQP3発現細胞の細胞増殖を促進させる活性、AQP3発現細胞の細胞遊走を促進させる活性、並びに炎症性応答及びAQP3関連障害応答を誘発する活性からなる群から選択される少なくとも1つの活性である、上記(15)に記載の抗体又はその機能的断片。
(17)上記(1)~(16)のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片であって、抗体がモノクローナル抗体である、抗体又はその機能的断片。
(18)重鎖のCDR1、CDR2及びCDR3が、配列番号3、配列番号4及び配列番号5によってそれぞれ表されるアミノ酸配列から構成され、軽鎖のCDR1、CDR2及びCDR3が、配列番号6、配列番号7及び配列番号8によってそれぞれ表されるアミノ酸配列から構成される、上記(17)に記載の抗体又はその機能的断片。
(19)重鎖可変領域が、表8に示される重鎖可変領域についての配列のいずれかによって表されるアミノ酸配列から構成され、軽鎖可変領域が、表8に示される軽鎖可変領域についての配列のいずれかによって表されるアミノ酸配列から構成される、上記(17)又は(18)に記載の抗体又はその機能的断片。
(20)重鎖のCDR1、CDR2及びCDR3が、配列番号9、配列番号10及び配列番号5によってそれぞれ表されるアミノ酸配列から構成され、軽鎖のCDR1、CDR2及びCDR3が、配列番号11、配列番号12及び配列番号13によってそれぞれ表されるアミノ酸配列から構成される、上記(17)に記載の抗体又はその機能的断片。
(21)重鎖可変領域が、表8に示される重鎖可変領域についての配列のいずれかによって表されるアミノ酸配列から構成され、軽鎖可変領域が、表8に示される軽鎖可変領域についての配列のいずれかによって表されるアミノ酸配列から構成される、上記(17)又は(20)に記載の抗体又はその機能的断片。
(22)ヒト抗体の定常領域を有するキメラ抗体又はヒト化抗体である、上記(1)、(7)、(18)、(20)及び(21)のいずれか1つに記載のモノクローナル抗体。
(23)上記(1)~(22)のいずれか1つに記載の抗体又はその断片を含む組成物。
(24)AQP3検出用試薬である、上記(23)に記載の組成物。
(25)AQP3発現細胞の同定、分離又は精製のための試薬である、上記(23)に記載の組成物。
(26)AQP3発現量測定用試薬である、上記(24)又は(25)に記載の組成物。
(27)上記(23)~(26)のいずれか1つに記載の組成物を含むキット。
(28)上記(17)~(21)のいずれか1つに記載のモノクローナル抗体又はその断片を含む組成物であって、前記モノクローナル抗体又はその機能的断片がAQP3の機能に対する阻害活性を有する、組成物。
(29)AQP3の機能が、低分子量物質をAQP3によって輸送する活性、AQP3発現細胞の細胞増殖を促進させる活性、及びAQP3発現細胞の細胞遊走を促進させる活性からなる群から選択される少なくとも1つの活性である、上記(28)に組成物。
(30)薬学的に許容されるキャリアをさらに含む医薬組成物である、上記(28)又は(29)に記載の組成物。
(31)ガンの処置において使用するための上記(29)又は(30)に記載の組成物。
(32)ガンが、結腸直腸ガン、子宮頸ガン、肝ガン、肺ガン、食道ガン、腎臓ガン、胃ガン、舌ガン、皮膚ガン及び乳ガンからなる群から選択されるガンである、上記(31)に記載の組成物。
(33)処置が、ガンの進行(増殖)の抑制、腫瘍血管形成の抑制、浸潤の抑制、転移の抑制、ガン組織におけるエネルギー代謝の抑制、及び患者の予後の改善からなる群から選択される、上記(31)又は(32)に記載の組成物。
(34)皮膚障害の予防及び/又は処置において使用するための上記(28)又は(29)に記載の組成物。
(35)皮膚障害が、乾癬、光線性角化症、魚鱗癬及び脂漏性皮膚炎からなる群から選択される、上記(34)に記載の組成物。
(36)炎症性障害の予防及び/又は処置において使用するための上記(29)又は(30)に記載の組成物。
(37)炎症性障害が、アトピー性皮膚炎、乾癬、喘息、慢性閉塞性肺疾患及び肝炎(例えば、急性肝炎又は急性肝障害)からなる群から選択される、上記(36)に記載の組成物。
(38)便通異常の処置において使用するための上記(29)又は(30)に記載の組成物。
(39)便通異常が便秘である、上記(38)に記載の組成物。
(40)サンプルを上記(1)~(22)のいずれか1つに記載の抗体若しくはその断片と、又は上記(23)若しくは(24)に記載の組成物と接触させる工程を含む、AQP3を検出するための方法。
(41)上記(27)に記載のキットを使用することによって行われる、上記(40)に記載の方法。
(42)サンプルが、細胞、生体組織、臓器又は個体対象を含む、上記(40)又は(41)に記載の方法。
(43)サンプルが、細胞、生体組織又は臓器を含み、インビトロで行われる、上記(42)に記載の方法。
(44)インビボで行われる(但し、必要に応じて、ヒト個体又は動物個体をサンプルとする場合が除外される)、上記(42)に記載の方法。
(45)AQP3発現細胞を、AQP3発現細胞を含むサンプルから分離及び/又は精製するための方法であって、サンプルを上記(1)~(22)のいずれか1つに記載の抗体若しくはその機能的断片と、又は上記(23)若しくは(25)に記載の組成物と接触させる工程を含む、方法。
(46)上記(27)に記載のキットを使用することによって行われる、上記(45)に記載の方法。
(47)サンプルが、生細胞を含むサンプルである、上記(45)又は(46)に記載の方法。
(48)サンプルを上記(1)~(22)のいずれか1つに記載の抗体若しくはその機能的断片と、又は上記(23)、(24)若しくは(26)に記載の組成物と接触させる工程を含む、AQP3を測定するための方法。
(49)上記(27)に記載のキットを使用することによって行われる、上記(44)に記載の方法。
(50)サンプルが細胞又は細胞抽出物を含む、上記(48)又は(49)に記載の方法。
(51)AQP3の少なくとも1つの機能の阻害するための方法であって、AQP3を含むサンプルを上記(1)~(22)のいずれか1つに記載の抗体若しくはその機能的断片と、又は上記(23)に記載の組成物と接触させる工程を含む、方法。
(52)AQP3を含むサンプルが、組換え体AQP3を含む再構成膜、又はAQP3発現細胞を含む細胞群、生体組織、臓器若しくは個体である、上記(51)に記載の方法。
(53)接触させる工程が、サンプルを上記(17)~(22)のいずれか1つに記載のモノクローナル抗体若しくはその機能的断片と、又は上記(17)~(22)のいずれか1つに記載のモノクローナル抗体を含む組成物と接触させる工程である、上記(51)又は(52)に記載の方法。
(54)上記(17)~(22)のいずれか1つに記載のモノクローナル抗体又はその機能的断片が、AQP3の少なくとも1つの機能を阻害する活性を有する、上記(53)に記載の方法。
(55)AQP3の機能が、低分子量物質をAQP3によって輸送する活性、AQP3発現細胞の細胞増殖を促進させる活性、AQP3発現細胞の細胞遊走を促進させる活性、並びに炎症性応答及びAQP3関連障害応答を誘発する活性からなる群から選択される少なくとも1つの活性である、上記(54)に記載の方法。
(56)膜を横断する低分子量物質の輸送を阻害するための方法であって、AQP3を含む膜を有するサンプルを上記(1)~(22)のいずれか1つに記載の抗体若しくはその機能的断片と、又は上記(23)に記載の組成物と接触させる工程を含む、方法。
(57)AQP3を含む膜が、組換え体AQP3を含む再構成膜、又はAQP3発現細胞の生体膜である、上記(56)に記載の方法。
(58)接触させる工程が、上記(17)~(22)のいずれか1つに記載のモノクローナル抗体若しくはその機能的断片と、又は上記(17)~(22)のいずれか1つに記載のモノクローナル抗体を含む組成物と接触させる工程である、上記(56)又は(57)に記載の方法。
(59)上記(17)~(22)のいずれか1つに記載のモノクローナル抗体又はその機能的断片が、AQP3の機能を阻害する活性を有する、上記(58)に記載の方法。
(60)AQP3の機能が、低分子量物質をAQP3によって輸送する活性である、上記(59)に記載の方法。
(61)低分子量物質が、水分子、グリセロール及び過酸化水素からなる群から選択される、上記(56)~(60)のいずれか1つに記載の方法。
(62)AQP3関連障害の予防及び/又は処置のための方法であって、処置を必要としている対象に対して上記(28)~(37)のいずれか1つに記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
(63)AQP3関連障害には、AQP3の増大した発現レベルが伴う、上記(62)に記載の方法。
(64)AQP3関連障害が、ガン、皮膚障害及び炎症性障害からなる群から選択される、上記(63)に記載の方法。
(65)便通異常を改善する方法であって、便通異常を有し、便通異常が便秘である対象に対して、上記(28)~(30)、(38)又は(39)に記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
(66)AQP3関連障害を処置する方法において使用するためのものである、上記(29)又は(30)に記載の組成物。
(67)AQP3関連障害を処置する方法において使用するためのものである、上記(17)~(22)のいずれか1つに記載のモノクローナル抗体又はその機能的断片。
(68)AQP3関連障害の予防及び/又は処置のための医薬組成物を製造するための、上記(29)又は(30)に記載の組成物の使用。
(69)AQP3関連障害の予防及び/又は処置のための医薬組成物を製造するための、上記(17)~(22)のいずれか1つに記載のモノクローナル抗体又はその機能的断片の使用。
AQP3の細胞外ドメインを特異的に認識する本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片により、AQP3発現細胞の検出又はAQP3発現レベルの測定を行うことができる。さらには、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片は、生細胞の細胞膜に存在するAQP3に特異的に結合することができるので、AQP3発現細胞を含む組織又は臓器の染色、或いはAQP3発現細胞の分離及び精製を行うことができる。さらには、いくつかの実施形態において、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片は、AQP3のループCに含まれるペプチドを特異的に認識することができるだけでなく、AQP3に特異的に結合することができるので、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片はAQP3の1つ又は複数の機能を阻害することもできる。AQP3の1つ又は複数の機能を阻害することによって、AQP3発現レベルの上昇が伴うAQP3関連障害を予防及び/又は処置することが可能である。AQP3関連障害がガンである場合には、ガンの進行(増殖)の抑制、腫瘍血管形成の抑制、浸潤の抑制、転移の抑制、ガン組織におけるエネルギー代謝の抑制、ガン患者の予後改善、又は前記の組合せを行うことが可能である。AQP3発現レベルの上昇が伴う便通異常を緩和することもまた可能である。
図1は、アクアポリンの分子構造を例示する図である。アクアポリンは、N末端からC末端まで膜を6回横切る膜貫通構造を有しており、膜貫通ドメインIから膜貫通ドメインVIまでの6つの膜貫通ドメインの間でつながれる5つの領域において、5つのループ(ループA~ループE)が含まれる。それらのループの中で、ループA、ループC及びループEがそれぞれ細胞外側に存在し、一方、ループB及びループDが細胞内側にそれぞれ存在する。N末端領域及びC末端領域がすべて、細胞内ドメインに含まれる。図に示される2つのNPAは、アスパラギン-プロリン-アラニンの3アミノ酸残基からなるNPAボックスを示している。NPAボックスはアクアポリン分子の内部に存在しており、生物種の間で広く保存されていることが知られている。 図2は、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドに対する抗AQP3抗体の結合性を試験した結果を示す図である。左側パネルは、抗体C、抗体E、抗体H、抗体J、及び陰性対照のIgG抗体(IgG)についての結果を示す。右側パネルは、抗体B、抗体G、抗体K、抗体A、抗体D及び抗体Fについての結果を示す。 図3は、AQP3を過剰発現しているHEK293T細胞(AQP3)の細胞溶解物に対する抗AQP3抗体の結合性を試験した結果を示す図である。AQP3を過剰発現していないHEK293T細胞からの細胞溶解物を対照として使用した(N.C.)。 図4は、抗AQP3抗体(抗体J)の結合性を試験した結果を示す図である。 図5Aは、マウス上皮細胞(PAM212細胞)に対する抗AQP3抗体(抗体J)の結合性を試験した結果を示す図である。 図5Bは、抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、抗体E、抗体F、抗体G、抗体H及び抗体Jの、マウス上皮細胞(PAM212細胞)に対する結合性を試験した結果を示す図である。 図5Cは、抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、抗体E、抗体F、抗体G、抗体H及び抗体Jの、ヒト上皮細胞(HaCaT細胞)に対する結合性を試験した結果を示す図である。 図6Aは、ヒト上皮細胞(HaCaT細胞)に対する抗体Gの結合性を試験した結果を示す図である。 図6Bは、ヒト上皮細胞(HaCaT細胞)に対する抗体Hの結合性を試験した結果を示す図である。 図6Cは、ヒト上皮細胞(HaCaT細胞)に対する抗体Jの結合性を試験した結果を示す図である。 図6Dは、マウスAQP3を過剰発現するHEK293細胞に対する抗体Eの結合性を試験した結果を示す図である。 図6Eは、マウスAQP3を過剰発現するHEK293細胞に対する抗体Hの結合性を試験した結果を示す図である。 図6Fは、マウスAQP3を過剰発現するHEK293細胞に対する抗体Jの結合性を試験した結果を示す図である。 図6Gは、マウスAQP3を過剰発現するHEK293細胞に対する抗体Eの結合性を試験した結果を示す図である。 図6Hは、ヒトAQP3を過剰発現するHEK293細胞に対する抗体Eの結合性を試験した結果を示す図である。 図7Aは、抗AQP3抗体H及び抗AQP3抗体Jを使用することによってAQP3発現細胞(マウスマクロファージ)についての免疫染色を行った結果を示す図である。 図7Bは、抗AQP3抗体(抗体J)を使用することによってAQP3発現細胞(マウスマクロファージ)(上段パネル)及びAQP3ノックアウト細胞についての免疫染色を行った結果を示す図である。 図8Aは、マウス上皮細胞(PAM212細胞)を使用することによって抗AQP3抗体(抗体G又は抗体J)の細胞増殖に対する活性を試験した結果を示す図である。 図8Bは、マウス上皮細胞(PAM212細胞)を使用することによって抗AQP3抗体(抗体J)の細胞増殖に対する活性を試験した結果を示す図である。 図8Cは、抗AQP3抗体(抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、抗体E、抗体F、抗体G、抗体H又は抗体J)の細胞増殖に対する活性を試験した結果を示す図である。 図9は、ヒト上皮細胞(HaCaT細胞)を使用して抗AQP3抗体(抗体G、抗体H又は抗体J)の細胞増殖に対する活性を試験した結果を示す図である。 図10は、ヒト上皮様ガン細胞(A431細胞)を使用することによって抗AQP3抗体(抗体G、抗体H及び抗体J)の細胞増殖に対する活性を試験した結果を示す図である。 図11は、AQP3発現細胞としてのマウスマクロファージ細胞における過酸化水素透過機能に対する抗AQP3抗体(抗体J)の機能的阻害作用を試験した結果を示す図である。 図12は、AQP3発現細胞としてのマウスマクロファージ細胞における過酸化水素透過機能に対する抗AQP3抗体(抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、抗体E、抗体F、抗体G、抗体H及び抗体J)の機能的阻害作用を試験した結果を示す図である。 図13は、AQP3発現細胞としてのマウスマクロファージ細胞におけるLPS応答性のp65活性化(p65リン酸化)に対する抗AQP3抗体(抗体J)の機能的阻害作用を試験した結果を示す図である。 図14Aは、四塩化炭素処置によってマウスにおいて引き起こされた急性肝障害(炎症性応答及び障害応答)に対する抗AQP3抗体(抗体J)の抑制作用を試験した結果を示す図である。試験を、血清中のASTレベルを指標とすることによって行った。 図14Bは、四塩化炭素処置によってマウスにおいて引き起こされた急性肝障害(炎症性応答及び障害応答)に対する抗AQP3抗体(抗体J)の抑制作用を試験した結果を示す図である。試験を、血清中のALTレベルを指標とすることによって行った。 図15Aは、四塩化炭素処置によってマウスにおいて引き起こされた急性肝障害(炎症性応答及び障害応答)に対する抗AQP3抗体(抗体J)の抑制作用を試験した結果を示す図である。試験を、肝臓に由来するRNAサンプルにおけるTNF-αのmRNA発現レベルを指標とすることによって行った。 図15Bは、四塩化炭素処置によってマウスにおいて引き起こされた急性肝障害(炎症性応答及び障害応答)に対する抗AQP3抗体(抗体J)の抑制作用を試験した結果を示す図である。試験を、肝臓に由来するRNAサンプルにおけるIL-6のmRNA発現レベルを指標とすることによって行った。 図16Aは、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドに対する、抗AQP3抗体(抗体C(菱形)及び抗体J(黒四角))と比較される抗AQP3抗体のSC-F8(丸)、BC-H9(灰色四角)、BC-B10(三角)及びSC-B6(X印)の結合性を試験したELISA分析の結果を示すグラフである。SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6についての50%結合応答を示す破線もまた示される。50%結合応答のために必要とされる抗体量が、抗体Cについてのおよそ0.1μg/mLの50%結合応答、及び抗体Jについての1.0μg/mL超と比較して、SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6については0.01μg/mLである。 図16Bは、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド、すなわち、ループAペプチドに対する、抗AQP3抗体(抗体C(菱形)及び抗体J(黒四角))と比較される抗AQP3抗体のSC-F8(丸)、BC-H9(灰色四角)、BC-B10(三角)及びSC-B6(X印)の結合性を試験したELISA分析の結果を示すグラフである(図16B)。 図17Aは、増大する濃度(1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL又は10μg/mL)の本発明の抗AQP3抗体のマウスケラトサイト(PAM212細胞)に対する結合性を試験したELISA分析の結果を示すグラフである。図17Aは、PAM212細胞に対するBC-H9及びBC-B10の結合を示す。 図17Bは、増大する濃度(1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL又は10μg/mL)の本発明の抗AQP3抗体のマウスケラトサイト(PAM212細胞)に対する結合性を試験したELISA分析の結果を示すグラフである。図17Bは、PAM212細胞に対するSC-F8及びSC-B6の結合を示す。 図18Aは、増大する濃度(1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL又は10μg/mL)の本発明の抗AQP3抗体のヒトケラトサイト(HaCaT細胞)に対する結合性を試験したELISA分析の結果を示すグラフである。図18Aは、HaCaT細胞に対するBC-H9及びBC-B10の結合を示す。 図18Bは、増大する濃度(1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL又は10μg/mL)の本発明の抗AQP3抗体のヒトケラトサイト(HaCaT細胞)に対する結合性を試験したELISA分析の結果を示すグラフである。図18Bは、HaCaT細胞に対するSC-F8及びSC-B6の結合を示す。 図19は、AQP3に対するsiRNA、又はsiRNA対照によりトランスフェクションされているマウスケラトサイト(PAM212細胞)に対する抗AQP3抗体(SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6)の結合性を試験したELISA分析の結果を示すグラフである。 図20は、1μg/mL及び10μg/mLの2つの濃度における抗AQP3抗体のSC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6、抗AQP3抗体C、並びにAQP3に結合しない対照抗体の、マウスケラトサイト(PAM212細胞)における過酸化水素透過機能に対する機能的阻害効果を試験した結果を示す図である。 図21は、増大する濃度(1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL又は10μg/mL)におけるBC-B10及びSC-B6の、マウスケラトサイト(PAM212細胞)における過酸化水素透過機能に対する機能的阻害効果を試験した結果を示す図である。 図22は、1μg/mL及び10μg/mLの2つの濃度における抗AQP3抗体のSC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6の、ヒトケラトサイト(HaCaT細胞)における過酸化水素透過機能に対する機能的阻害効果を試験した結果を示す図である。対照抗体と比較したとき、前記クローンの3つがH透過をおよそ50%以上阻害したことを示す破線もまた示される。 図23は、増大する濃度(1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL又は10μg/mL)における前記抗AQP3抗体の2つ(BC-B10及びSC-B6)の、ヒトケラトサイト(HaCaT細胞)における過酸化水素透過機能に対する機能的阻害効果を試験した結果を示す図である。 図24は、マウスケラトサイト(PAM212細胞)における過酸化水素透過機能に対する、抗AQP3抗体(SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6)によるAQP3の存在下及び非存在下での機能的阻害効果の結果を示すグラフである。AQP3に対するsiRNA(AQP3非存在の場合)、又はsiRNA対照(AQP3存在の場合)によりトランスフェクションされているPAM212細胞。
下記の実施例が、本開示の特定の実施形態を明らかにするために含まれる。当業者は、多くの変化が、本明細書中に開示される具体的な実施形態に対して行われ得ること、また、多くの変化により、同じような結果又は類似する結果が依然として、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく得られ得ることを、本開示に照らして認識しなければならない。
上記課題のための解決策を提供するために、抗AQP3抗体を、新規な抗体製造方法を使用して製造した。
[実施形態の説明]
(1)AQP3の細胞外ドメインを特異的に認識する抗AQP3抗体の調製
3つの細胞外ドメインがAQP3には存在するので(例えば、ループA、ループC及びループEなど)、それらの少なくとも1つのAQP3断片を免疫原とすることによって宿主動物を免疫化することができる。ヒトAQP3の場合、全長292アミノ酸残基からなるポリペプチド(UniProtアクセッション:Q92482)において、50位~53位(ループA)、131位~157位(ループC)及び210位~244位(ループE)(すべての位置がN末端側からの位置を表す)が細胞外ドメインのそれぞれを形成する。免疫原は好ましくはループCのAQP3断片である。特に好ましくは、ループCのC末端部分であり、かつ、膜貫通ドメインIVとの境界に隣接する10アミノ酸残基から構成されるポリペプチドが免疫原として使用される。膜貫通ドメインIVの境界に隣接するループCのC末端部分はヒト及びマウスの両方においてアミノ酸配列ATYPSGHLDM(配列番号1)を有する。
様々なオリゴペプチドを周知の標準的な方法によって化学合成することができる。さらには、様々なオリゴペプチドを、商業的に利用可能である受託合成サービスを利用することによって簡単に得ることができる。
免疫原に関しては、オリゴペプチドそのものを免疫化のために使用することができ、又は、免疫化が、当該オリゴペプチドを含むポリペプチドを膜に与える再構成膜又は組換え体細胞を使用することによって行われ得ることもまた可能である。免疫原が、当該オリゴペプチド部分を含む膜貫通蛋白質の形態で調製されるときには、当該調製は好ましくは、バキュロウイルスディスプレイ法を使用することによって行われる。その場合、当該オリゴペプチドを含むポリペプチドをバキュロウイルスの膜表面に発現させることができ、宿主動物の免疫化を、このバキュロウイルスそのものを抗体誘発のための免疫原として使用することによって行うことができる。それらの免疫原は単独で免疫化のために使用しても良いし、又はそれらの組合せを同時に使用しても良い。
いくつかの実施形態において、宿主動物は、アミノ酸配列が配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを用いて、又は配列番号1をAQP3過剰発現細胞との組合せで用いて免疫化される。例えば、AQP3過剰発現細胞は、AQP3を過剰発現するHaCaT細胞、PAM212細胞、マウスマクロファージ又はHEK293細胞、或いはそれらの組合せが可能である。別の実施形態において、AQP3過剰発現細胞はAQP3過剰発現のCHO細胞であり、例えば、マウス又はヒトのAQP3をCMVプロモーターの制御下で発現するCHO細胞である。使用することができる例示的なベクターには、pCMV6-AC(Origene sc322406)(ヒトAQP3)及びpCMV6-Entry-Myc-DDK(Origene MR203989)(マウスAQP3)が含まれる。いくつかの実施形態において、AQP3過剰発現細胞は、マウスAQP3を過剰発現するCHO細胞と、ヒトAQP3を過剰発現するCHO細胞との組合せを含む。
免疫化されることになる宿主動物の好ましい例には、特に限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒツジ、ヤギ、ロバ、ニワトリ及びラクダのような動物が挙げられる。より好ましくは、宿主動物はマウス又はラットであり、特に好ましくはマウスである。例えば、国際公開第2015/179360A号に記載される方法を参照することができる。抗AQP3抗体を含む抗血清を周知の標準的な方法によって産生させることができる。抗AQP3抗体は、5種類の免疫グロブリン分子(IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE)のどのクラスであっても可能である。抗AQP3抗体は好ましくはIgG又はIgMであり、より好ましくはIgGである。IgGサブクラスの中で、IgG2はADCC活性がより低く、IgG4はCDC活性がより低い。そのようなものとして、細胞損傷性が低い抗体を使用したいときには、IgGの中でも、IgG2又はIgG4のサブクラスの抗体を使用することが好ましい。
(2)抗AQP3モノクローナル抗体(抗AQP3mAb)の調製
抗AQP3mAbを、上記(1)で記載されるような調製プロセスの期間中に得られる抗体産生細胞をミエローマ細胞と融合させた後でのクローン化によってモノクローナル抗体として作製することができる。代替では、遺伝子工学的方法に従って、抗AQP3mAbを、化学合成した抗体遺伝子を大腸菌などにおいて発現させることによって作製することができる。抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合するための方法、融合細胞を含む細胞群から所望の細胞をスクリーニングするための方法、スクリーニングによって選抜される細胞を単クローン化するための方法、及びmAbをクローンから作製するための方法はすべて、周知の標準的な方法に従って行うことができる。配列情報に基づく所望のmAbの合成もまた、周知の標準的な方法に従って行うことができる。後述の実施例において詳述されるように、本発明の抗AQP3mAbの代表的な例であるモノクローナル抗体は、具体的に開示される重鎖CDR及び軽鎖CDRのアミノ酸配列、又は具体的に開示される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する。mAbはまた、シグナル配列を重鎖及び軽鎖のそれぞれの可変領域から除くことによって得られるアミノ酸配列からなる非分泌型の組換えmAbとして調製することができる。シグナル配列が除かれた組換えmAbは、当該組換えmAbを発現する宿主細胞から培養上清に分泌されることなく当該宿主細胞内に蓄積することができる。シグナル配列はアミノ酸配列情報から予測することができ、例えば、シグナル配列予測ソフトウェアを使用することによって予測することができる。例示的なシグナル配列予測ソフトウェアには、Signal P、及びPRORT IIなどが含まれる。
(3)阻害性抗AQP3mAbの調製
抗AQP3抗体の中で、AQP3の機能についての阻害活性を有する抗体が本明細書中では阻害性抗AQP3抗体として示される。モノクローナル抗体の場合には、そのような抗体は、特に阻害性抗AQP3mAbとして示される。本明細書中において、AQP3の機能は、低分子量物質をAQP3によって輸送する(透過させる)活性、AQP3発現細胞の細胞増殖を促進させる活性、及びAQP3発現細胞の細胞遊走を促進させる活性からなる群から選択される少なくとも1つの活性を示している。本明細書中において、低分子量物質は、水分子、グリセロール及び過酸化水素からなる群から選択される少なくとも1つの物質を示している。抗AQP3抗体の所望の阻害活性の有無を、AQP3を構成的に発現する細胞(PAM212細胞、HaCaT細胞又はA431細胞等)に十分量の抗AQP3抗体を細胞外に添加することに従って、非添加対照と比較して、細胞遊走活性及び/又は細胞増殖活性の少なくとも一方が10%以上、20%以上、又は30%以上低下することを指標とすることによって判定することができる。代替では、この判定を、AQP3を構成的に発現する細胞(マウスマクロファージ細胞等)に十分量の抗AQP3抗体を細胞外に添加することに従って、非添加対照と比較して、細胞の過酸化水素透過活性が10%以上、20%以上、又は30%以上、40%以上、50%以上、60%以上低下することを指標とすることによって行うことができる。
(4)抗体の機能的断片
AQP3についての十分な特異性及び親和性を示す限り、本発明の抗体は、免疫グロブリン分子の完全な構造を維持することが必ずしも要求されず、当該抗体の機能的断片(抗原結合性断片)であることが可能である。抗体の抗原結合性が抗体の可変部分によって決定されるので、免疫グロブリン分子の定常領域部分は必ずしも存在していなくてもよい。そのようなものとして、本発明の抗体の機能的断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2(これらは、免疫グロブリン分子の可変部分からなる断片である)、VLをFabから除くことによって得られるFd、単鎖Fv断片(scFv)及びその二量体(すなわち、ダイアボディ)が含まれる。代替では、VLをscFvから除くことによって得られる単一ドメイン抗体(sdAb)などもまた使用することができ、しかし、抗体の機能的断片はそれらに限定されない。
抗体の機能的断片を公知の技術によって調製することができる。例えば、断片化を免疫グロブリン分子の酵素処理によって行うことができる。パパインを用いた免疫グロブリン分子の分解に従って、Fabが得られる。ペプシンを用いた分解に従って、F(ab’)2が得られ、F(ab’)2の還元処理に従って、Fab’が得られる。さらには、遺伝子工学技術に従って、十分な可動性を有するリンカーペプチドを介して抗体の重鎖可変部分(VH)を軽鎖可変部分(VL)に連結することによってscFvを作製することもまた可能である。
(5)レポーター物質により標識される抗体
所与の場合に応じて、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片は、レポーター物質により標識される状態で使用される。レポーター物質は、抗AQP3抗体又はその機能的断片を標識することができ、一方で、所望の機能が維持される限り、どのような種類であっても可能である。AQP3の存在を定量的に測定するためのシグナルを生じさせることができる物質がより好ましい。その例には、放射性同位体、金属微粒子、酵素、蛍光物質及び発光物質が含まれる。放射性同位体、蛍光物質又は発光物質がレポーター物質として使用されるときには、それらから生じる放射能、蛍光又は発光をシグナルとして定量的に測定することができる。レポーター物質が酵素であるときには、好適な基質に加えた後で、最終的に生じる色素、蛍光物質又は発光物質に由来する色、蛍光又は発光をシグナルとして測定することができる。放射性同位体の例には、3H及び125Iが含まれる。蛍光物質の例には、フルオレセイン及びその誘導体(例えば、FITC)、テトラメチルローダミン(TAMRA)及びその誘導体(例えば、TRITC)、Cy3、Cy5、Texas Red、フィコエリトリン(PE)、並びに量子ドットが含まれる。発光物質の例には、ルミノール誘導体、アクリジニウム誘導体、エクオリン及びルテニウム錯体が含まれる。金属微粒子の例には、金ナノ粒子、並びに金及び白金の合金から構成されるナノ粒子が含まれる。レポーター酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、β-ガラクトシダーゼ(β-GAL)、アルカリホスファターゼ(ALP)、グルコースオキシダーゼ(GOD)、ルシフェラーゼ及びエクオリンが含まれる。それぞれの酵素を好適な基質との組合せで使用することによって、発光法、比色法又は蛍光法に基づく分析を行うことができる。定量的分析のためには、レポーター物質により標識される本発明の抗体又はその機能的断片が好ましくは使用される。
(6)固体支持体に固定化される抗体
所与の場合に応じて、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片は、固体支持体に固定化される状態で使用することができる。固体支持体は、抗体又はその機能的断片を固定化することができ、一方で、所望の活性を維持する状態のままである限り、どのような物質であっても可能である。固体支持体は、抗体を用いた生物学的分析に対する影響を何ら有しない不活性な材質から構成される物質であることが好ましい。固体支持体の例には、マイクロプレート、ガラスプレート、プラスチックプレート、シリンジ、バイアル、カラム、磁性粒子、樹脂製マイクロビーズ、多孔性メンブラン、多孔性担体及びマイクロチップが含まれる。マイクロプレート、シリンジ、バイアル、カラム及びマイクロチップはすべてが好ましくは、不活性な樹脂から作製される。固体支持体はまた、ガラス製であることが可能である。
(7)ヒト及び/又はマウスに由来するAQP3に特異的に結合する抗体
本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片はAQP3の細胞外ドメインに結合し、いくつかの実施形態においては特にループC(2番目の細胞外ドメイン)に結合する。ループCのアミノ酸配列は生物種の間での高い保存を示す。ヒトのループCのアミノ酸配列と、マウスのループCのアミノ酸配列との両方(ヒト及びマウスの両方についてN末端側から131位~157位)が、下記に記載されるように高い相同性を有する。
ヒト:ADNQLFVSGPNGTAGIFATYPSGHLDM(配列番号65)
マウス:ANNELFVSGPNGTAGIFATYPSGHLDM(配列番号66)
上記理由により、細胞外ドメインとしてのループCに結合する本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片は、ヒトAQP3に対して、また、マウスAQP3に対しても特異的に結合する可能性が高い。いくつかの態様において、本発明は、ループCのC末端側の10アミノ酸残基から構成されるポリペプチド(オリゴペプチド)を免疫原として使用することによって得ることができる抗体に関する。10アミノ酸残基から構成されるこのオリゴペプチドは、ATYPSGHLDM(配列番号1)からなるアミノ酸配列を有しており、ヒト配列及びマウス配列はその部分において完全に一致している。このため、本発明の実施例に従って得られる抗AQP3抗体又はその機能的断片はヒトAQP3を特異的に認識するだけでなく、マウスAQP3を特異的に認識する可能性が高い。実際、実施例に記載される個々のmAbに関して実施される試験によれば、本開示のmAbは一般にはそれらの両方を認識することができるようである。さらには、本発明の阻害性抗AQPmAb及びその機能的断片はいくつかの実施形態においては、ヒトAQP3及びマウスAQP3の両方についてAQP3の機能を阻害する。ある特定の実施形態によれば、同じことが、ループCの他のオリゴペプチドから作製された抗体、並びにループA及びループEのオリゴペプチドから作製された抗体について当てはまる。
いくつかの実施形態において、抗AQP3抗体及びその機能的断片は、AQP3以外の1つ又は複数のヒトアクアポリンに対しては、例えば、AQP0(アクセッション番号NP_036196.1)、APQ1(アクセッション番号NP_932766.1)、AQP2(アクセッション番号NP_000477.1)、AQP4(アクセッション番号NP_001641.1)、AQP5(アクセッション番号NP_001642.1)、AQP6(アクセッション番号NP_001643.2)、AQP7(アクセッション番号NP_001161.1)、AQP8(アクセッション番号NP_001160.2)、AQP9(アクセッション番号NP_066190.2)、AQP10(アクセッション番号NP_536354.2)、AQP11(アクセッション番号NP_766627.1)及びAQP12(アクセッション番号NP_945349.1)の1つ又は複数に対しては特異的に結合しない。
(8)抗体分子の可変領域、及び可変領域における相補性決定領域
免疫グロブリン分子は、2つの重鎖ポリペプチドと、2つの軽鎖ポリペプチドとから基本的には構成されるヘテロ四量体分子である。重鎖及び軽鎖のそれぞれが、可変領域と、定常領域とを含む。抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、3つのCDR(相補性決定領域)と、4つのFR(フレームワーク領域)とからなり、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4が、アミノ末端からカルボキシ末端にこの順で配置される。抗体分子のアミノ酸配列情報が公知の技術によって決定されるとき、可変領域又は定常領域の所在を当該配列情報に基づいて推定することができる。さらには、可変領域におけるCDR1、CDR2及びCDR3の配列を推定することもまた、公知の方法によって同様に行うことができる。
(9)抗体分子の調製
本発明の代表的な抗AQP3mAbは、重鎖可変領域が配列番号15によって表されるアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖可変領域が配列番号16によって表されるアミノ酸配列からなるmAb、重鎖可変領域が配列番号45によって表されるアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖可変領域が配列番号46によって表されるアミノ酸配列からなるmAb、又は重鎖可変領域が配列番号49によって表されるアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖可変領域が配列番号50によって表されるアミノ酸配列からなるmAbである。
本発明の抗AQP3抗体は、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングした後、又は抗体遺伝子を抗体ポリペプチドのアミノ酸配列情報に基づいて人工合成した後、抗体遺伝子を好適な発現ベクターに導入し、発現ベクターを、遺伝子組換え技術を使用して宿主に導入することによってモノクローナル抗体として産生させることができる。
その場合には、プロモーター、エンハンサー又はポリアデニル化シグナル等をベクターにおいて適宜配置することができる。ベクターに関しては、細菌、酵母及び動物細胞のような複製可能な宿主細胞が使用される限り、どのようなベクターであっても使用することができ、また、市販のベクターを、宿主に応じて適宜使用することができる。発現ベクターは、宿主細胞を形質転換するための公知の方法によって宿主細胞に導入することができる。当該方法の例には、エレクトロポレーション法、DEAE-デキストラン法及びリン酸カルシウム法が含まれる。
宿主細胞は特に限定されず、しかし、真核生物細胞を使用することが好ましい。その例には、酵母、及び動物由来の培養細胞(HEK293細胞、CHO細胞、COS細胞及びMEF等)が含まれる。
産生された抗体の精製を、蛋白質のために一般に用いられる分離及び精製のための方法を使用することによって行うことができる。例えば、産生された抗体の精製を、アフィニティークロマトグラフィー、他のクロマトグラフィー、ろ過、限外ろ過、塩析及び透析等を適宜組み合わせることによって適宜行うことができる。
(10)抗体の改変産物
本発明の抗AQP3mAbは、上記節に記載されるアミノ酸配列を有する抗体の配列改変された産物である場合がある。例えば、重鎖可変領域が所与のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖可変領域が所与のアミノ酸配列からなる抗体を改変のための出発点とすることによって、また、AQP3の細胞外ドメインに対する特異的結合性が実質的に維持される範囲(元の抗体の特異的結合性と実質的に同等である特異的結合性が維持される範囲)の範囲内で、改変が重鎖及び軽鎖のそれぞれの可変領域に存在する場合がある。上記のアミノ酸配列のそれぞれにおいて、1つ若しくは数個のアミノ酸残基が、例えば、1個~10個、好ましくは1個~5個、より好ましくは1個又は2個、一層より好ましくは1個のアミノ酸残基が欠失され、置換され、挿入され、又は付加されることもまた可能である。さらには、計算が、BLASTのようなツールを使用することによって行われるとき、改変が、少なくとも85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の配列相同性が存在する範囲の範囲内で存在する場合がある。しかしながら、どのような改変産物についても、CDRのアミノ酸配列の改変は、(それぞれのCDRが、改変前の抗体のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有するように)存在しないことが好ましい。
CDRの配列が、抗体のエピトープを決定するための主要な要因であることが広く受け入れられている。本発明の抗AQP3mAbは好ましくは、上記の配列改変された産物についてでさえ、完全に保存されたCDRが、重鎖及び軽鎖に含まれるように総数6で存在する。そのようなものとして、配列改変された産物は、改変前の抗AQP3mAbと同じエピトープについての特異的結合性を有することが無理なく予想される。さらには、同じエピトープに結合する限り、抗AQP3mAbが上記の配列改変された産物であるときでさえ、配列改変された産物は、改変前の抗体のようなAQP3の機能を阻害する活性を有することもまた、無理なく予想される。
(11)キメラ抗体及びヒト化抗体
本発明の抗AQP3mAbは、ヒト等に対する異種抗原性を低下させるという目的のための人為的に改変された遺伝子組換え型の抗体であることが可能である。そのような抗体の例には、キメラ抗体及びヒト化抗体が含まれる。これらの改変された抗体は公知の方法によって作製することができる。
キメラ抗体は、本発明の抗AQP3mAbの可変領域(V)をコードするDNAを、ヒト抗体の定常(C)領域をコードするDNAに連結し、得られた構築物を発現ベクターに導入し、このベクターを宿主に導入することによって調製することができる。
ヒト化抗体は、ヒト以外の哺乳動物の抗体のCDR(例えば、マウス抗体のCDRなど)をヒトのアクセプター抗体に接ぐこと(CDRグラフティング)によって得ることができる。その作製を、遺伝子組換えのための一般的な技術を適用することによって適宜実施することができる。例えば、マウス抗AQP3mAbのそれぞれのCDRと、ヒト抗体のフレームワーク領域とを連結するためのアミノ酸配列をコードするように設計されるDNA配列を、CDR及びFRの両方の末端領域における重複領域を有するように調製されているいくつかのオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用することによってPCR法により合成することが可能である。例えば、これを国際公開第98/13388A号に記載される方法によって行うことができる。ヒト抗体の可変領域のFRは、公開されているDNAデータベースなどから得ることができる。
キメラ抗体及びヒト化抗体の定常領域に関しては、ヒト抗体の定常領域を使用することができる。例えば、Cγ1、Cγ2、Cγ3及びCγ4が重鎖のために使用されることが好ましく、一方、Cκ及びCλが軽鎖のために使用されることが好ましい。
キメラ抗体及びヒト化抗体は、ヒト体内における異種抗原性が低下しているため、ヒトの生体における半減期が長く、本発明の医薬組成物の有効成分(予防及び/又は処置のための作用因)として有用である。抗体ヒト化の様々な方法がこの技術分野では知られている。例えば、Riechmann他、1988、Nature 332:323-7;米国特許第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号及び同第6,180,370号(Queen他);欧州特許出願公開第239400号;PCT出願国際公開第91/09967号;米国特許第5,225,539号;欧州特許出願公開第592106号;欧州特許出願公開第519596号;Padlan、1991、Mol.Immunol.、28:489-498;Studnicka他、1994、Prot.Eng.7:805-814;Roguska他、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.91:969-973;並びに米国特許第5,565,332号を参照のこと。
いくつかの実施形態において、抗AQP3抗体及びその機能的断片は、対応する野生型配列と比較して、少なくとも1つの定常領域媒介生物学的エフェクター機能を変化させるために配列が改変されている抗体又は抗体断片であることが可能である。
例えば、いくつかの実施形態において、本発明の抗AQP3抗体は、非改変の抗体と比較して、少なくとも1つの定常領域媒介生物学的エフェクター機能を低下させるために改変することができる(例えば、Fc受容体(FcγR)に対する低下した結合)。FcγR結合を、FcγR相互作用のために必要である特定の領域で抗体の免疫グロブリン定常領域セグメントを変異させることによって低下させることができる(例えば、Canffeld及びMorrison、1991、J.Exp.Med.173:1483-1491;及びLund他、1991、J.Immunol.147:2657-2662を参照のこと)。抗体のFcγR結合能における低下はまた、FcγR相互作用に依拠する他のエフェクター機能、例えば、オプソニン作用、食作用及び抗原依存性細胞傷害性(「ADCC」)などを低下させることができる。
他の実施形態において、本発明の抗AQP3抗体は、非改変の抗体と比較して、少なくとも1つの定常領域媒介生物学的エフェクター機能を獲得するために、又は改善するために、例えば、FcγR相互作用を強化するために改変することができる(例えば、米国特許出願公開第2006/0134709号を参照のこと)。例えば、本発明の抗AQP3抗体は、対応する野生型定常領域よりも大きい親和性で、FcγRIIA、FcγRJIB及び/又はFcγRIIIAと結合する定常領域を有することができる。
したがって、本発明の抗体は、オプソニン作用、食作用又はADCCの増大又は低下をもたらす生物学的活性における変化を有することができる。そのような様々な変化がこの技術分野では知られている。例えば、ADCC活性を低下させる抗体における様々な改変が米国特許第5,834,597号に記載される。ADCCを低下させる例示的な変異体の1つが、米国特許第5,834,597号の図4に示される「変異体3」に対応しており、この場合、「変異体3」は、残基236が欠失され、かつ、残基234、残基235及び残基237(これらはEU番号表記を使用する)がアラニンにより置換される。
(12)AQP3検出用試薬
本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片はAQP3特異的結合能を有するという観点から、当該抗体又はその機能的断片を含む組成物が提供され得る。この組成物はAQP3検出用試薬として提供され得る。本明細書中において、試薬に含まれることになる抗AQP3抗体又はその機能的断片はまた、上記(5)で記載されたようなレポーター物質により標識される場合がある。試薬に含まれることになる抗AQP3抗体又はその機能的断片がレポーター物質により標識されるときには、検出を、二次抗体を使用することなく行うことができる。別の実施形態として、試薬に含まれることになる抗体又はその機能的断片は固体支持体(例えば、磁性微粒子など)に結合又は吸着させられる場合がある。本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片が試薬における溶液として含有される場合、その濃度を試薬の目的又は使用様式に応じて適宜設定することができる。例えば、その濃度を、1ng/mL~10mg/mL、100ng/mL~1mg/mL、又は1μg/mL~300μg/mLの範囲で設定することができる。さらには、試薬がストック溶液としてそのまま使用される場合があるが、ストック溶液はまた、目的に応じて、希釈された状態(10倍~10,000倍)で使用することができる。溶媒に関しては、水又は緩衝剤溶液を適宜使用することができる。
(13)AQP3発現細胞の同定、分離及び精製のための試薬
本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片は、AQP3の細胞外ドメイン、より具体的には、いくつかの実施形態においてはループCの内部のエピトープを特異的に認識し、これに結合する。本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片はAQP3分子の細胞外ドメインに結合することができるという観点から、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片はまた、生細胞がサンプルとして用いられるシステムのために使用することができる。免疫組織化学的染色を行う場合についてさえ、組織又は細胞の固定化又は透析を行うことは必要ない。それによれば、サンプルとなる細胞の状態に関わらず、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片はAQP3発現細胞の同定のために使用することができる。特に、血球細胞のような単離された生細胞がサンプルとして用いられるときには、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片は、フローサイトメーターのような好適な機器との組合せに従ってAQP3発現細胞の分離又は精製のために使用することができる。本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片がAQP3発現細胞の分離又は精製のために使用されるときには、上記(5)で記載されるようなレポーター物質により標識される抗AQP3抗体又はその機能的断片が適宜使用される。レポーター物質に関しては、蛍光性色素が好ましい。その例には、FITC、PE/RD1、ECD、PC5、PC7及びAPC/Cy3が含まれる。代替において、AQP3発現細胞の分離又は精製のために、固相(例えば、磁性微粒子など)に固定化される抗AQP3抗体又はその機能的断片もまた使用することができる。固相に固定化される抗AQP3抗体又はその機能的断片に結合した後で、AQP3発現細胞を、磁力等を利用することによって特異的に分離することができる。分離後、抗体又はその機能的断片を塩強度の調節などに基づいて細胞から解離させることができる。そのようなものとして、この順序に従って、AQP3発現細胞の分離又は精製を完了させることができる。AQP3発現細胞の同定、分離又は精製のために、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片を含む組成物が、AQP3検出用試薬として提供される。試薬は、上記(12)で記載されるように作製され、使用される場合がある。
(14)AQP3発現量測定用試薬
本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片は、上記(12)で記載されるようなAQP3検出用試薬の成分として使用することができる。本明細書中において、抗AQP3抗体又はその機能的断片が上記(5)に記載されるようなレポーター物質により標識され、レポーター物質が、定量的測定を可能にするシグナルを生じさせるならば、標的としてのAQP3の存在の有無だけでなく、AQP3の発現量もまた定量的に測定することができる。さらには、レポーター物質により標識される抗AQP3抗体、又はその機能的断片が使用されない場合でさえ、定量的測定を可能にするシグナルを生じさせるレポーター物質により標識される二次抗体を併用することによって、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片はAQP3発現量の測定のために使用することができる。この目的のために、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片を含む組成物がAQP3発現量測定用試薬として提供される。試薬は、上記(12)の例で記載されるように適宜作製され、使用される場合がある。
(15)抗体薬物コンジュゲート
本発明は、細胞傷害性薬剤にコンジュゲート化される本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)を提供する。ADCを作製するための様々なリンカー及びプロセスがこの技術分野では知られており、これらを、本発明のADCを作製するために使用することができる。例えば、Tsuchikama及びAn、2018、Protein&Cell、9(1):33-46;Deonarain他、2015、Expert Opin Drug Discov.10(5):463-81;Singh他、2015、Pharm Res.2015 Nov;32(11):3541-71を参照のこと。本開示のADCは、ガンの処置において使用するための医薬組成物に含めることができる。
例示的な細胞傷害性薬剤には、例えば、アウリスタチン類、カンプトテシン類、カリケアミシン類、デュオカルマイシン類、エトポシド類、メイタンシノイド類(例えば、DM1、DM2、DM3、DM4)、タキサン類、ベンゾジアゼピン類(例えば、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン類、インドリノベンゾジアゼピン類及びオキサゾリジノベンゾジアゼピン類、並びにピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン二量体及びオキサゾリジノベンゾジアゼピン二量体)、及びビンカアルカロイドが含まれる。
治療剤を蛋白質にコンジュゲート化するための、特に抗体にコンジュゲート化するための様々な技術が周知である。(例えば、Alley他、2010、Current Opinion in Chemical Biology、14:1-9;Senter、2008、Cancer J.、14(3):154-169を参照のこと。)典型的には、治療剤はリンカーユニットを介して抗体にコンジュゲート化される。リンカーユニットは切断可能又は非切断性であることが可能である。例えば、治療剤を、AQP3発現ガン細胞の細胞内環境における切断に対して感受性があり、しかし、細胞外環境に対しては実質的に感受性がない切断可能なリンカーを用いて抗体に取り付け、その結果、(例えば、エンドソーム環境、リソソーム環境において、又はカベオラ環境において)AQP3発現ガン細胞によって内在化されたときにコンジュゲートが抗体から切断されるようにすることができる。別の例において、治療剤は非切断性のリンカーを介して抗体にコンジュゲート化することができ、薬物放出が、AQP3発現ガン細胞による内在化の後での完全な抗体分解によってもたらされる。
典型的には、ADCはリンカー領域を細胞傷害性薬剤と抗AQP3抗体との間に含むであろう。上記のように、典型的には、リンカーは、リンカーの切断により、治療剤が細胞内環境において(例えば、リソソーム又はエンドソーム又はカベオラの内部で)抗体から放出されるように、細胞内条件のもとで切断可能であることが可能である。リンカーは、例えば、リソソーム又はエンドソームのプロテアーゼを含めて細胞内のペプチダーゼ酵素又はプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチジルリンカーであることが可能である。切断作用因として、カテプシンB及びカテプシンD、並びにプラスミンを挙げることができる(例えば、Dubowchik及びWalker、1999、Pharm.Therapeutics 83:67-123を参照のこと)。最も典型的なものが、AQP3発現細胞に存在する酵素によって切断可能であるペプチジルリンカーである。例えば、ガン性組織において高発現するチオール依存性プロテアーゼのカテプシン-Bによって切断可能であるペプチジルリンカーを使用することができる(例えば、Phe-Leuペプチド又はVal-Citペプチドを含むリンカー)。リンカーはまた、細胞内のグリコシダーゼによって切断される糖リンカー(例えば、グルクロニダーゼによって切断可能であるグルクロニドリンカー)を含めて炭水化物リンカーであることが可能である。
リンカーはまた、非切断性リンカーであることが可能であり、例えば、治療剤に直接に取り付けられ、抗体の蛋白質分解によって放出されるマレイミド-アルキレン-リンカー又はマレイミド-アリールリンカーなどであることが可能である。
抗AQP3抗体は抗体のヘテロ原子を介してリンカーにコンジュゲート化することができる。これらのヘテロ原子はその自然の状態で抗体に存在し得るか、又は抗体に導入することができる。いくつかの態様において、抗AQP3抗体はリジン残基の窒素原子を介してリンカーにコンジュゲート化されるであろう。他の態様において、抗AQP3抗体はシステイン残基のイオウ原子を介してリンカーにコンジュゲート化されるであろう。システイン残基は、天然に存在するもの、又は操作によって抗体に導入されるものが可能である。リンカー及び薬物-リンカーを、リジン残基及びシステイン残基を介して抗体にコンジュゲート化する様々な方法が、この技術分野において知られている。
例示的な抗体-薬物コンジュゲートには、アウリスタチンに基づく抗体-薬物コンジュゲートが含まれる(すなわち、薬物成分がアウリスタチン薬物である)。アウリスタチンはチューブリンと結合し、微小管の動力学、並びに核及び細胞の分裂を妨害することが示されており、抗ガン活性を有する。典型的には、アウリスタチンに基づく抗体-薬物コンジュゲートはリンカーをアウリスタチン薬物と抗AQP3抗体との間に含む。リンカーは、例えば、切断可能なリンカー(例えば、ペプチジルリンカー、炭水化物リンカー)又は非切断性のリンカー(例えば、抗体の分解によって放出されるリンカー)であることが可能である。アウリスタチンとして、MMAF及びMMAEが挙げられる。例示的なアウリスタチンの合成及び構造が、米国特許第7,659,241号、同第7,498,298号、米国特許出願公開第2009-0111756号、同第2009-0018086号及び米国特許第7,968,687号に記載される。
他の例示的な抗体-薬物コンジュゲートには、メイタンシノイド抗体-薬物コンジュゲート(すなわち、薬物成分がメイタンシノイド薬物である)、及びベンゾジアゼピン抗体薬物コンジュゲート(すなわち、薬物成分がベンゾジアゼピン系化合物(例えば、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体(PBD二量体)、インドリノベンゾジアゼピン二量体及びオキサゾリジノベンゾジアゼピン二量体)である)が含まれる。
(16)抗AQP3抗体又はその機能的断片を含む組成物を含むことによって得られるキット
上記(12)~(14)で記載されるように、本発明の抗AQP3抗体又はその機能的断片を使用することによって、AQP3検出用試薬、AQP3発現細胞の同定、分離又は精製のための試薬、及びAQP3発現量測定用試薬を調製することができる。それぞれの目的に従って、それらの試薬は、キットを形成するために、さらなる成分と一緒に使用することができる。キットは、陽性対照としてのAQP3又はその断片、標準物質としての既知濃度のAQP3、二次抗体、酵素基質、補因子、補助成分、陰性対照としての非特異的な蛋白質サンプル、緩衝剤溶液、保存剤、希釈剤、或いは使用者説明書等の構成要素と適宜組み合わされる。ブロッキング処理又は洗浄のための緩衝剤溶液もまた、キットの好適な構成要素として加えることができる。
(17)阻害性抗AQP3mAb又はその機能的断片を含む組成物、及びAQP3阻害剤としての組成物
本発明の抗AQP3抗体、その機能的断片、又はADCは、AQP3の細胞外ドメイン、特に、いくつかの実施形態においてはループCにおけるエピトープを特異的に認識し、これに結合する。下記で示される実施例において具体的に記載されるように、当該エピトープに結合する本発明の抗AQP3mAbは、AQP3の少なくとも1つの機能、例えば、AQP3のチャネル機能(例えば、過酸化水素透過性)、又はAQP3発現細胞におけるAQP3の細胞増殖促進機能などを阻害することができる。すなわち、本発明の抗AQP3抗体は阻害性抗AQP3抗体と見なすことができる。そのようなものとして、本発明の阻害性抗AQP3mAb又はその機能的断片を含む組成物を提供することが可能である。さらには、この組成物はAQP3阻害剤として使用することができる。
(18)ガン処置用組成物
AQP3の増大した発現レベルが、皮膚ガン、結腸直腸ガン、子宮頸ガン、肝ガン、肺ガン、食道ガン、腎臓ガン、胃ガン及び舌ガン等のそれぞれで確認されている。さらには、下記で示される実施例において記載されるように、AQP3を発現するヒトガン細胞株の増殖を阻害することができる。それに従えば、本発明の阻害性抗AQP3mAb又はその機能的断片、本発明のADC、或いはAQP3阻害剤を含む組成物を、上記ガンのいずれか1つを処置するための組成物として使用することができる。さらには、AQP3の機能が、ガンの進行度、腫瘍の血管形成、浸潤性、転移、及びガン組織のエネルギー代謝などに関連することが示唆されてきたように、ガン処置用組成物はまた、ガン増殖抑制用組成物、ガンにおける血管形成の抑制用組成物、ガン浸潤抑制用組成物、及び/又はガン転移抑制/防止用組成物と見なすことができる。
本発明のガン処置用組成物は注射用溶液などの配合物で調製することができる。基本的には、そのようなガン処置用組成物は注射又は点滴によって全身投与することができる。しかしながら、ガン処置用組成物が、ガンの処置又は転移の防止などを目的として使用される場合には、局所投与もまた行うことができる。それらの製剤は公知の方法によって調製することができる。例えば、製剤が注射用製剤で調製されるときには、製造を、無菌的に保存されている本発明の阻害性抗AQP3mAb又はその機能的断片或いは本発明のADCを注射用の水、生理食塩水又は緩衝剤溶液に溶解し、又は希釈することによって行うことができる。
本発明の処置用組成物の有効成分となる本発明の阻害性抗AQP3mAb又はその機能的断片或いは本発明のADCの効果的な用量が好適には、患者の状態又は症状などを含めて様々な事情に依存して変化する。一般には、単回用量が、1kgの体重あたり0.1mg~10mgの抗AQP3mAbの範囲内で決定され、皮下注射、静脈内注射又は腹腔内注射等によって投与される。投与間隔もまた好適には、患者の状態又は症状などを含めて様々な事情に依存して変化する。一般には、投与は1週間~4週間にわたって1回行われる。しかし、数回の毎週の投与を行った後で、ある一定の期間にわたって投与が行われないこと、又は、1回~数回の最初の投与の後で、投与が、用量を半減するなどしながら、同じペースで継続され得ることもまた可能である。
(19)皮膚障害の予防及び/又は処置のための組成物
本発明の阻害性抗AQP3mAb又はその機能的断片或いはAQP3阻害剤を含む組成物は、ケラチノサイトのような皮膚組織の細胞におけるAQP3の機能を阻害するメカニズムに基づいて、皮膚障害の予防及び/又は処置のための組成物として使用することができる。皮膚障害の具体的な例には、乾癬、光線性角化症、魚鱗癬及び脂漏性皮膚炎が含まれる。それ以外に、ケラチノサイト増殖性の皮膚異常を治癒させるために、又は改善するために、本発明の阻害性抗AQP3mAb又はその機能的断片を含む組成物、或いはAQP3阻害剤を含むことによって得られる本発明の処置用組成物を使用することができる。
(20)炎症性障害の予防及び/又は処置のための組成物
本発明の阻害性抗AQP3mAb又はその機能的断片、或いはAQP3阻害剤を含む組成物は、AQP3の機能を阻害することに従って炎症性応答を軽減するメカニズムに基づいて、炎症性障害の予防及び/又は処置のための組成物として使用することができる。炎症性障害の具体的な例には、アトピー性皮膚炎、乾癬、喘息及び慢性閉塞性肺疾患、並びに肝炎が含まれる。肝炎の例には、急性肝炎及び急性肝障害が含まれる。それ以外に、AQP3の増大した発現を伴う炎症性障害を防止するために、治癒させるために、又は改善するために、本発明の阻害性抗AQP3mAb又はその機能的断片を含む組成物、或いは本発明のAQP3阻害剤を含むことによって得られる炎症性障害の予防及び/又は処置のための組成物を使用することができる。
(21)便通異常の緩和のための組成物
AQP3が腸管の上皮細胞で発現していることが広く知られており、AQP3の発現レベルが腸管の内外における水分の移動量に影響していることが示唆されている。具体的には、AQP3の発現レベルの低下が、腸管内の水分を増大させることによって下痢を引き起こすことがあり、一方、AQP3の発現レベルの増大が、腸管内の水分を低下させることによって便秘を引き起こすことがあることが示唆されている。そのようなものとして、本発明の阻害性抗AQP3mAb又はその機能的断片、或いはAQP3阻害剤を含む組成物は、AQP3の機能を阻害するメカニズムに基づいて、便通異常を緩和するための組成物として、特に便秘を緩和するための組成物として使用することができる。当該組成物は、例えば、腸溶性錠剤又は座剤の形態で調製され、使用される場合がある。腸溶性錠剤又は座剤は公知の技術によって適宜調製することができる。投与を継続的又は定期的に行うことは必要でなく、投与は、症状における変化などに応じて適した間隔により行うことができる。
(22)本発明の皮膚障害又は炎症性障害の予防及び/又は処置のための組成物の調製
本発明の阻害性抗AQPmAb又はその機能的断片は、薬学的に許容されるキャリアなどと一緒に、予防及び/又は処置のための組成物として提供することができる。同様に、皮膚障害又は炎症性障害が対象となっている場合について、当該組成物は基本的には、また、好適には、上記(18)で記載されるガン処置用組成物のような医薬組成物(予防及び/又は処置のための組成物)として調製することができる。医薬組成物は、注射液などのような配合物とすることができる。医薬組成物はまた、水溶液、懸濁物又はエマルションのような形態を有する場合がある。医薬組成物は、塩、緩衝剤又は補助剤等を含めて、薬学的に許容される希釈剤、助剤又はキャリア等を含む場合がある。それらの製剤は公知の方法によって調製することができる。医薬組成物が注射用製剤の形態で調製されるとき、その製造を、無菌的に保存されている阻害性抗AQPmAb又はその機能的断片の乾燥製造物又は保存溶液を、皮下注射又は静脈内注射のための生理食塩水又は緩衝剤溶液を用いて溶解又は希釈することによって行うことができる。代替として、阻害性抗AQPmAb又はその機能的断片をシクロデキストリン類によって封入することにより水溶性を高めることもまた可能である。
(23)本発明の皮膚障害又は炎症性障害の予防及び/又は処置のための組成物のための補助成分
本発明の阻害性抗AQP3mAb又はその機能的断片を含む組成物、或いは阻害性AQP3mAbを含む予防及び/又は処置のための組成物は、他の抗体製剤が開発され、同時に、製剤が液体製剤であり、有効成分の濃度が高いときなどにおいては問題として現れることが多いように、抗AQP3mAb又はその機能的断片の凝集又は沈殿を起こす可能性があるかもしれない。凝集又は沈殿を防止するという目的のために、1つ又は2つ以上の補助成分が組成物に含まれる場合がある。補助成分の例には、糖類(例えば、単糖、二糖又はオリゴ糖など)、糖アルコール、塩及び界面活性剤が含まれる。そのより具体的な例には、スクロース、塩化ナトリウム及びポリオキシエチレンソルビタンモノラウラートが含まれる。
(24)本発明の皮膚障害又は炎症性障害の予防及び/又は処置のための組成物の投与形態
本発明の予防及び/又は処置のための組成物の有効成分となる阻害性抗AQPmAb又はその機能的断片の効果的な用量が好適には、患者の状態又は症状などを含めて様々な事情に依存して変化する。投与用量が好適には、患者の状態又は症状などを含めて様々な事情に依存して変化する。しかしながら、例えば、上記(18)で例示されるような用量を設定することができる。投与間隔もまた、上記(18)の例と同様に設定することができ、しかし、投与を継続的又は定期的に行うことは必要でなく、投与は、症状における変化などに応じて適した間隔により行うことができる。治癒又は寛解が1回だけの投与によって達成されるならば、複数回の投与は必要でないであろうことは、言うまでもないことである。症状の再発又は悪化が認められるときには、投与を再開することができる。
投与期間を患者の疾患状態に応じて適宜調節することができる。投与期間中の投与用量が適宜調節され得るが、一定量が継続的に投与されることが好ましく、又は、比較的大きい用量を初期の投与段階でのみ投与した後で、維持のためのより少ない量の絶え間ない投与に移行する投与形態とすることが好ましい。
本発明を説明するという状況において(とりわけ以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される、用語「a」、用語「an」、用語「the」及び類似の指示対象は、本明細書中に別途示されている場合又は文脈によって明らかに矛盾する場合を除き、単数及び複数の両方を包含するように解釈されるものとする。本明細書中における値の様々な範囲の列挙は、範囲に含まれるそれぞれの別々の値を個々に参照する簡略法として役立つために単に意図されるだけである。本明細書中に提供されるありとあらゆる例又は例示的言語(例えば、「such as」(など))の使用は、単に本発明をよりよく明らかにするためだけに意図され、別途主張される本発明の範囲に対する限定とならない。本明細書における術語のどれも、本発明の実施に不可欠である主張されていない要素をどのようなものであれ示しているとして解釈してはならない。
本明細書中に開示される本発明の代替要素又は代替実施形態のグループ化は限定として解釈されることはない。それぞれのグループ構成要素が個々に参照され、主張される場合があり、或いはどのような組合せであれ当該グループの他の構成要素又は本明細書中に見出される他の構成要素との組合せで参照され、主張される場合がある。グループの1つ又は複数の構成要素が便宜及び/又は特許性の理由からグループに含まれる場合があること又はグループから削除される場合があることが予想される。そのような包含又は削除がどのようなものであれ行われるとき、本明細書は、添付の特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュ群の記述内容を満たすそのように修正されるようなグループを含むと見なされる。
本発明を実施するための本発明者らに知られている最良の形態を含めて、本発明のある特定の実施形態が本明細書中に記載される。当然のことながら、これらの記載された実施形態に関する様々な変形が、前述の説明を読んで理解すると、当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形を適切に用いると予想しており、また、本発明者らは、本明細書中に具体的に記載されるのとは異なる方法で本発明が実施されることを意図する。したがって、本発明には、適用法によって許容されるような、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載される主題のすべての改変及び均等物が含まれる。そのうえ、それらのすべての可能な変形における上記要素の組合せはどれも、本明細書中に別途示されている場合又は文脈によって明らかに矛盾する場合を除き、本発明によって包含される。
最後に、本明細書中に開示される本発明の様々な実施形態は本発明の原理の例示であることが理解されなければならない。用いられることがある様々な他の改変が本発明の範囲内である。このように、限定ではなく例として、本発明の代替構成が本明細書中の教示に従って利用される場合がある。したがって、本発明は、正確に示され、かつ記載されるような発明に限定されない。
本明細書中に示される詳細は例としてであり、かつ、本発明の好ましい実施形態の例示的議論のためであるにすぎず、本発明の様々な実施形態の原理及び概念的態様の最も有用であるかつ容易に理解された説明であると考えられるものを提供するために呈示される。これに関連して、本発明の基本的な理解のために必要であるよりも詳しく本発明の構造的細部を示す試みは何らなされておらず、説明は実施例と一緒になって、本発明のいくつかの形態が実施においてどのように具体化され得るかを当業者に明らかにする。
[実施例1]
免疫原として使用されるオリゴペプチドの配列決定
AQP3の細胞外ドメインを特異的に認識する抗AQP3抗体を得るために、本発明者らは、AQP3の構造に関して、特に、細胞外ドメインを構成するループA、ループC及びループEの構造に関して多数回のコンピューターモデリング研究を行い、結果として、ループC(細胞外の2番目のループ)の一部を構成する配列番号1のアミノ酸配列から構成される断片(オリゴペプチド)を免疫原として選択した。配列番号1のアミノ酸配列は、ヒトAQP3ポリペプチドの148位~157位に対応する配列であり、膜貫通ドメインIVとの境界に隣接するループCのC末端側の10アミノ酸残基から構成される。
[実施例2]
マウスにおける抗AQP3抗体の作製
アミノ酸配列が配列番号1のアミノ酸配列からなるオリゴペプチドを合成ペプチドとして作製した。さらには、そのアミノ酸配列を含むAQP3ポリペプチドを過剰発現する細胞(AQP3過剰発現細胞)を別途作製した。その後、合成ペプチドをAQP3過剰発現細胞と一緒にし、免疫原として使用した。
上記免疫原の懸濁物による免疫化をC57BL/6系統のマウスの腹腔内にアジュバンドと一緒に行った。その後、免疫細胞を免疫されたマウスから集め、抗体遺伝子ファージライブラリーを構築した。このファージライブラリーをCHO-K1細胞に導入し、組換え体抗体を形質転換されたCHO-K1細胞の細胞膜に呈示させた。最初のパターン化もまた、形質転換細胞及び合成ペプチドを使用することによって行い、AQP3可溶性蛋白質を使用するパターン化を続いて行った。数回のスクリーニングを使用して、AQP3結合コロニーを選択した。最後に、AQP3特異的結合活性を有するクローンを免疫グロブリン化(IgG)して、10個のクローンと、それら10個のクローンに由来する10個の抗AQP3mAb(抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、抗体E、抗体F、抗体G、抗体H、抗体J及び抗体K)とを得た。
ループEに由来するオリゴペプチドを免疫原として使用したときには、AQP3についての有意な結合活性を示すクローンが得られなかった。
[実施例3]
AQP3に対する抗AQP3抗体(A、B、C、D、E、F、G、H、J及びK)の結合性
A.免疫原ペプチドに対する抗体結合
免疫化のために使用されるペプチド(配列番号1)に対する抗体(A、B、C、D、E、F、G、H、J及びK)の結合をELISAアッセイで調べた。結果を図2に示す。抗体B、抗体C、抗体E、抗体G、抗体H、抗体J、抗体Kがペプチドと結合することが認められた。抗体A、抗体D及び抗体Fは、それら以外の抗体とは対照的に、このアッセイでは当該ペプチドと強く結合しなかった。このように、したがって、抗体A、抗体D及び抗体Fは、異なるエピトープでAQP3に結合するかもしれない。
B.ELISAによって測定されるAQP3含有細胞溶解物に対する抗体結合
マウスAQP3及びmycビオチン化タグを過剰発現するHEK293T細胞からの細胞溶解物をELISAアッセイで使用して、AQP3に対する抗体(A、B、C、D、E、F、G、H、J及びK)の結合を測定した。AQP3ではなくmyc-ビオチン化タグを過剰発現するHEK293T細胞からの細胞溶解物を対照として使用した。結果を図3に示す。抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、抗体E、抗体F、抗体G、抗体H、抗体J及び抗体Kのそれぞれが、AQP3に対する結合を示した。
C.AQP3発現細胞に対する抗体結合
マウス上皮細胞(PAM212)、マウスマクロファージ細胞、ヒト上皮細胞(HaCaT)及びHEK293細胞をAQP3発現細胞として使用することによって、細胞に対する抗AQP3抗体(A、B、C、D、E、F、G、H、J、及びK)の結合性を測定した。
PAM212細胞及びマクロファージ細胞を4℃で1時間、それぞれの抗AQP3抗体(0.1μg/mL、1μg/mL又は10μg/mL)と反応させた。細胞を洗浄した後、蛍光標識された二次抗体を加え、反応をさらに1時間行わせた(4℃)。蛍光強度を測定することによって、細胞に対するそれぞれの抗AQP3抗体の結合性を得た。
マウスマクロファージ細胞と抗体Jとを使用することによって得られた結果を図4に示す。
試験をまた、溶媒(Veh)又は非特異的IgG(IgG)対照を使用して行った。図4において、縦軸は蛍光強度を表し、それぞれのサンプルの平均蛍光強度が標準誤差と一緒に棒の高さによって表される。抗体Jが、0.1μg/mL、1μg/mL及び10μg/mLのどのような濃度でも使用されたすべての場合から、有意に増大した蛍光強度が、対照(Veh及びIgG)と比較して認められた(図において、**は、P<0.01の有意差が存在することを表す)。抗体Jが細胞表面のマウスAQP3を特異的に認識し、その結果、抗体Jとマウスマクロファージ細胞とが相互に結合することが見出された。
PAM212細胞(これはマウス上皮細胞である)と抗体Jとを使用することによって得られた結果を図5Aに示す。
試験をまた、溶媒(Veh)又は非特異的IgG(IgG)対照を使用して行った。図5Aにおいて、縦軸は蛍光強度を表し、それぞれのサンプルの平均蛍光強度が標準誤差と一緒に棒の高さによって表される。抗体Jが、0.1μg/mL、1μg/mL及び10μg/mLのどのような濃度でも使用されたすべての場合から、有意に増大した蛍光強度が、対照(Veh及びIgG)と比較して認められた(図において、**は、P<0.01の有意差が存在することを表す)。抗体Jが細胞表面のマウスAQP3を特異的に認識し、その結果、抗体JとPAM212細胞とが相互に結合することが見出された。
アッセイをまた、PAM212細胞と、10μg/mLの濃度での抗体(A、B、C、D、E、F、G、H及びJ)とを使用して行った。結果を図5Bに示す。抗体C、抗体D、抗体E、抗体G及び抗体JのPAM212細胞に対する結合は統計学的に有意であった。
アッセイをまた、HaCaT細胞と、10μg/mLの濃度での抗体(A、B、C、D、E、F、G、H及びJ)とを使用して行った。結果を図5Cに示す。抗体C、抗体D、抗体E、抗体H及び抗体JのHaCaT細胞に対する結合は統計学的に有意であった。HaCaT(これはヒト上皮細胞である)と、抗体G、抗体H又は抗体Jとを使用してFACSアッセイを行うことによって得られた結果を図6A~図6Cにそれぞれ示す。
HaCaT細胞を37℃で30分間、細胞解離緩衝液で処理し、その後、取り出し、集めた。その後、細胞を4℃で1時間、10μg/mLの抗AQP3抗体と反応させた。細胞を洗浄した後、蛍光標識された二次抗体を加え、反応をさらに1時間行わせた(4℃)。その後、フローサイトメーターを使用することによって、蛍光強度を測定した(図6A~図6C)。図6Aは、抗体Gが使用された場合の結果を表す。図6Bは、抗体Hが使用された場合の結果を表す。図6Cは、抗体Jが使用された場合の結果を表す。それぞれのパネルが、横軸が蛍光強度を表し、縦軸が、最頻値を100とするときの細胞数分布を表すヒストグラムを示す。濃い線により表されるヒストグラムは、抗AQP3抗体が使用された場合を表し、一方、薄い点線により表されるヒストグラムは、抗AQP3抗体が使用されなかった対照としての場合(非特異的IgGの添加)を表す。図において、水平の棒によって表される範囲は、AQP3抗体陽性細胞群によって示される蛍光強度を示している。この範囲に含まれる細胞(=抗AQP3抗体による陽性染色を示す細胞)の割合(%)もまた、図に示される。
抗体G、抗体H及び抗体Jのいずれかが使用されたすべての場合から、蛍光強度における明らかな増大が、対照と比較して認められ、したがって、これらの抗AQP3抗体が細胞表面のヒトAQP3について結合活性を有することが見出された。
FACSアッセイもまた、マウスAQP3を安定的に過剰発現するHEK293細胞を使用して行った。細胞を10μg/mLの濃度での抗体(E、H、J)又は陰性対照IgGと1時間インキュベーションし、その後、FACSによって選別した。これとは別に、ヒトAQP3を安定的に過剰発現するHEK293細胞を10μg/mLの濃度での抗体Eと1時間インキュベーションし、その後、FACSによって選別した。結果を図6D~図6Hに示す。抗体E、抗体H及び抗体Jのそれぞれが、HEK293細胞の表面に過剰発現するAQP3に結合することが見出された。
上記から、いくつかの抗AQP3抗体が、マウスマクロファージ細胞、マウス上皮細胞(PAM212細胞)及びヒト上皮細胞(HaCaT細胞)に結合することが見出された。
[実施例4]
免疫染色
マウスマクロファージ細胞をAQP3発現細胞として使用することによって、免疫組織化学分析を行って、抗AQP3抗体が免疫染色のために使用できるか否かを調べた。
ブロッキング処理を、マウスマクロファージ細胞が付着したプレートについて行い、その後、10μg/mLの抗AQP3抗体との反応を4℃で1時間行った。細胞を洗浄した後、蛍光標識された二次抗体を加え、反応をさらに1時間行わせた(4℃)。対照として、抗AQP3抗体を使用しない試験もまた行った。さらには、細胞核の場所を明確にするために、DAPIを使用する染色もまた行った。蛍光染色の観察を共焦点蛍光顕微鏡によって行った。抗体H及び抗体Jを使用することによって得られた結果を、抗体を有しない対照の結果と一緒に図7Aに示す。図7Aにおいて、左側パネルは、抗体が存在しなかった場合(抗AQP3抗体が存在せず、二次抗体のみが存在した場合)の観察像を示し、中央パネルは、抗体Hが使用された場合の観察像を示し、右側パネルは、抗体Jが使用された場合の観察像を示す。すべてのパネルから、ドット様形状が細胞核の場所を示すDAPI由来のシグナルが認められた。一方、抗体H又は抗体Jが使用されたときには、DAPI染色に起因するドット様形状のシグナルを囲むことによって細胞形状の縁に巻きつくように見えるシグナルもまた認められた。しかしながら、抗体が存在しなかったときには、DAPI染色に起因するドット様形状のシグナルを囲むように見えるシグナルが全く認められなかった。
かすかなシグナルのみが、抗体Jと、AQP3ノックアウトマウス(Ma他、2000、PNAS、97(8):4386-4391)からのマウスマクロファージ細胞とを使用して免疫染色を行ったときには認められ、このことは、抗体JがAQP3発現マクロファージ細胞に特異的に結合することを示した(図7B)。
上記から、試験された抗AQP3抗体は、免疫組織化学分析のために使用することができる抗体であることが示された。
[実施例5]
細胞増殖阻害活性
マウス上皮細胞(PAM212)、マウスAQP3発現細胞としてのマウスマクロファージ、ヒト上皮細胞(HaCaT)、又はヒト上皮様ガン細胞(A431)を使用することによって、抗AQP3抗体による細胞増殖阻害活性を測定した。
PAM212、HaCaT及びA431のそれぞれを、1%のFBSを含有するDMEM培地に懸濁し、96ウエルプレートに播種した(5,000細胞/ウエル)。播種の翌日に、抗AQP3抗体(0.1μg/ml、1μg/ml又は10μg/ml)を含有するDMEM培地を加え、培養をさらに2日間続けた。細胞数を、生細胞測定用試薬(ナカライテスク株式会社)を使用し、吸光度を450nmで測定することによって比較した。
図8A及び図8Bは、PAM212 AQP3発現細胞が使用された場合から得られる結果を表す。抗体G又は抗体Jを使用することによって得られた結果を、非特異的IgGを対照として試験した結果(非特異的IgGを10μg/mLで加えた;対照)と一緒に図8Aに示す。図8Aにおいて、縦軸は450nmでの吸光度を示し、吸光度レベルを標準誤差と一緒に棒の高さによって表した(図8B、図9及び図10についても同じ)。図におけるアスタリスク()は、対照と比較して、P<0.01の有意差が認められることを示している。抗体G又は抗体J(10μg/mL)が使用されたとき、PAM212細胞増殖についての有意な阻害活性が認められた。
PAM212細胞増殖についての阻害活性に対する抗AQP3抗体Jの濃度依存的影響を分析し、図8Bに示す。抗体Jが、0.1μg/mL、1μg/mL又は10μg/mLで使用されたときの生細胞の数を、対照としての非特異的IgGの結果(非特異的IgGを10μg/mLで加えた;Ct)と一緒に図8Bに示す。細胞増殖についての阻害活性が濃度依存的様式で抗体Jによって増大した。図8Bにおいて、抗体Jが1μg/mL及び10μg/mLで使用された場合について記載されるアスタリスク()は、対照と比較して、P<0.01の有意差が認められることを示している。
図8Cは、PAM212細胞成長に対する10μg/mLの濃度での抗体(A、B、C、D、E、F、G、H、J)及び陰性対照IgG抗体の影響を示す。試験濃度において、抗体B、抗体C、抗体E及び抗体Jが細胞成長を有意に抑制した。
図9は、HaCaT細胞がヒトAQP3発現細胞の材料として使用された場合から得られる結果を表す。抗体G、抗体H又は抗体Jを使用することによって得られた結果を、非特異的IgGを対照として試験した結果(非特異的IgGを10μg/mLで加えた;対照)と一緒に図9に示す。図9において、アスタリスク()及び(**)は、対照と比較して、P<0.05又はP<0.01の有意差が認められることをそれぞれ示している。抗体G、抗体H又は抗体Jが使用されたとき(10μg/mL)、HaCaT細胞増殖についての有意な阻害活性が示された。
図10は、A431細胞がヒトAQP3発現細胞の材料として使用された場合から得られる結果を表す。抗体G、抗体H又は抗体Jを使用することによって得られた結果を、非特異的IgGを対照として試験した結果(非特異的IgGを10μg/mLで加えた;対照)と一緒に図10に示す。図10において、アスタリスク()は、対照と比較して、P<0.05の有意差が認められることを示している。抗体G、抗体H又は抗体Jが使用されたとき(10μg/mL)、A431細胞増殖についての有意な阻害活性が認められた。A431細胞はヒト扁平上皮ガン細胞株であるので、これらの抗AQP3抗体によるAQP3発現ガン細胞の増殖抑制効果が示された。
上記から、少なくとも抗体G、抗体H及び抗体Jに関しては、ガン細胞を含むAQP3発現細胞における細胞増殖に対する有意な阻害活性が、抗AQP3抗体とAQP3発現細胞との共培養が行われるときに示されることが明確に示された。
[実施例6]
過酸化水素透過阻害活性
マウスマクロファージをマウスAQP3発現細胞として使用することによって、過酸化水素透過性(取り込み性)の抗AQP3抗体による阻害活性を測定した。
マウスマクロファージを、1%のFBSを含有するDMEM培地に懸濁し、96ウエルプレートに播種した(10,000細胞/ウエル)。播種の翌日に、抗AQP3抗体としての抗体J(10μg/mL)、又は10μg/mLの対照IgG抗体(Ct-IgG:AQP3に対する特異的結合性を有しないIgG抗体)を含有するDMEM培地を加え、共培養をさらに一晩行った。培養物に対して、過酸化水素(100μM)又はリポ多糖(LPS)(300ng/mL)を加え、細胞内の活性酸素種(ROS)の量を測定した。細胞内のROS量を、CM-H2DCFDA試薬の添加(Invitrogen、50μM、20分間)により細胞を染色した後、CM2DCF由来の蛍光強度を添加の前後で測定することによって評価した。ROSの一種としての過酸化水素が細胞内へ透過するならば、増大した蛍光強度が細胞内の増大したROS量の指標として解釈される測定を行うことが可能である。LPSの添加は、細胞内のROS量を人為的に増大させる機能を有する。
図11は、過酸化水素が共培養系に加えられた場合(H)、リポ多糖が共培養系に加えられた場合(LPS)、又は、H及びLPSの両方が共培養系に加えられなかった場合(Ct)について、抗体Jが共培養系に加えられたとき(Ab)、又は溶媒が共培養系に加えられたとき(Veh)のCM2DCF由来の蛍光強度を示す。縦軸は蛍光強度の相対的値を表す。溶媒を、Ct-IgG抗体が加えられている細胞に加えた場合(図における左側の棒)を100%で設定し、それぞれの条件における相対的蛍光強度が標準誤差と一緒に棒の高さによって表される。図において、アスタリスク(**)は、P<0.01の有意差が比較物の間で認められることを示しており、過酸化水素添加時又はLPS添加時には、細胞内のROS量が、溶媒が添加されたVeh群と比較して有意に増大したこと、そして、過酸化水素を加える、又はLPSを加えるどのような条件においてでも、抗体Jが共培養時に存在するならば、細胞内のROS量が、抗体Jが存在しない場合と比較して有意に低下したことが明確に示される。
図12は、抗体(A、B、C、D、E、F、G、H及びJ)を使用して行われたH202輸送アッセイの結果を示す。
抗体C、抗体D、抗体E、抗体H及び抗体Jが、AQP3発現細胞の内部への過酸化水素の取り込みを著しく抑制する活性を有する。
[実施例7]
細胞シグナル阻害活性
マウスマクロファージでは、p65/NFκBがLPSによる刺激に応じてリン酸化され、活性化されることが知られている。LPSに応答する細胞シグナルが、マウスAQP3発現細胞であるマウスマクロファージにおいて抗AQP3抗体によって阻害されるか否かを明らかにするために、試験を行った。
マウスマクロファージを、1%のFBSを含有するDMEM培地に懸濁し、60mmディッシュに播種した(2x10細胞/ディッシュ)。播種の翌日に、抗AQP3抗体としての抗体J(10μg/mL)、又は10μg/mLの対照IgG抗体(非特異的IgG抗体)を含有するDMEM培地を加え、共培養をさらに一晩続けた(結果を示す図13において、前者の条件を「抗AQP3+」として記載し、後者の条件を「抗AQP3-」として記載した)。両方の条件のもとでのそれぞれの培養産物をLPS処理(100ng/mL、1時間)又はLPS非処理に供した(結果を示す図13において、前者の条件を「LPS+」として記載し、一方、後者の条件を「LPS-」として記載した)。抗AQP3抗体の添加の有無及びLPS処理の有無に従って、4つの処理群を、マウスマクロファージをサンプルとして設けた。これら4つの処理群のそれぞれの細胞から蛋白質を抽出し、p65/NFκBのリン酸化状態をそれぞれの群について免疫ブロッティングによって求めた。
図13は、非リン酸化p65(p65)及びリン酸化p65(P-p65)のそれぞれに対して特異的である抗体を使用することによって免疫ブロッティングを行った結果を示す。
リン酸化p65が、「抗AQP3-」の条件でのLPS処理によって強く誘導された(最も左側のカラムの上段パネルのシグナルを右側から2番目のカラムの上段パネルのシグナルと比較のこと)。その一方で、抗AQP3抗体が存在する「抗AQP3+」の条件では、LPS処理によるリン酸化p65(P-p65)の誘導が阻害された(左側から2番目のカラムの上段パネルのシグナルを最も右側のカラムの上段パネルのシグナルと比較のこと、また、LPS添加に関する条件の間での比較については、右側の2つのカラムの上段パネルのシグナルを比較のこと)。
LPS誘導のp65/NFκBがAQP3発現細胞におけるリン酸化及び活性化に関わる細胞内シグナルについて、抗体Jは阻害活性を有している。
[実施例8]
肝障害(急性肝炎及び急性肝障害)に対する阻害活性
試験を、抗AQP3抗体の抗炎症活性(炎症阻害活性及び障害阻害活性)を動物対象において明らかにするために行った。
マウスを試験材料として使用した。マウスに抗AQP3抗体(抗体J)(5μg/g体重)を静脈内投与した。投与の翌日に、肝障害(急性肝炎及び急性肝障害)を誘発させるための化学物質である四塩化炭素(CCl4)を投与した(0.5μ/g体重)。四塩化炭素を投与した24時間後に、血清と、肝臓のRNAサンプルとを採取した。肝障害の程度の指標として、血清AST値、血清ALT値、肝臓TNF-α mRNAの蓄積レベル、及び肝臓IL-6 mRNAの蓄積レベルを評価した。血液サンプルを使用する分析結果、及び肝臓RNAサンプルを使用する分析を図14及び図15にそれぞれ示す。
図14Aは血清ASTレベルの分析結果を示す。図において、縦軸はASTレベル[IU/L]を表し、「〇」によって表されるそれぞれの点が個々の測定値を示し、水平の棒が中央値を示している。Ctは、四塩化炭素処置を受けなかった対照を意味する。四塩化炭素処置群(CCl4)において、Abは、事前に抗AQP3抗体(抗体J)により処理されている群を表し、Vehは、抗AQP3抗体により処理されていない群を表す。図において、アスタリスク()は、p<0.01の有意差が四塩化炭素処置群(Veh群及びAb群の両方)と対照群(Ct)との間で認められること、また、同様に、p<0.01の有意差が四塩化炭素処置群の中においてVeh群とAb群との間で認められることを示している。
図14Bは血清ALTレベルの分析結果を示す。図において、縦軸はALTレベル[IU/L]を表し、「〇」によって表されるそれぞれの点が個々の測定値を示し、水平の棒が中央値を示している。Ctは、四塩化炭素処置を受けなかった対照を意味する。四塩化炭素処置群(CCl4)において、Abは、事前に抗AQP3抗体(抗体J)により処理されている群を表し、Vehは、抗AQP3抗体により処理されていない群を表す。図において、アスタリスク()は、p<0.01の有意差が四塩化炭素処置群(Veh群及びAb群の両方)と対照群(Ct)との間で認められること、また、同様に、p<0.01の有意差が四塩化炭素処置群の中においてVeh群とAb群との間で認められることを示している。
血清AST値及び血清ALT値の両方が肝障害(急性肝炎及び急性肝障害)の指標となり得ることが広く知られている。上記の試験結果から、抗AQP3抗体により事前に処理されているマウスでは、四塩化炭素によって後で引き起こされる肝障害及び/又は肝臓炎症反応が防止され得る又は抑制され得ることが理解される。
図15Aは、肝臓ホモジネートにおけるTNF-α mRNAの蓄積レベルの分析結果を示す。図において、縦軸は、TNF-α mRNAの蓄積レベルを、対照としての18s rRNAレベルによって除することによって得られたTNF-α発現レベルを表す。図において、TNF-α発現レベルが標準誤差と一緒に棒の高さによって示される。Ctは、四塩化炭素処置を受けなかった対照を意味する。四塩化炭素処置群(CCl4)において、Abは、事前に抗AQP3抗体(抗体J)により処理されている群を表し、Vehは、抗AQP3抗体により処理されていない群を表す。図において、アスタリスク()は、p<0.01の有意差がVeh群と対照(Ct)群との間で、また、同様に、Veh群とAb群との間で認められることを示している。
図15Bは、肝臓ホモジネートにおけるIL-6 mRNAの蓄積レベルの分析結果を示す。図において、縦軸は、IL-6 mRNAの蓄積レベルを、対照としての18s rRNAレベルによって除することによって得られたIL-6発現レベルを表す。図において、IL-6発現レベルが標準誤差と一緒に棒の高さによって示される。Ctは、四塩化炭素処置を受けなかった対照を意味する。四塩化炭素処置群(CCl4)において、Abは、事前に抗AQP3抗体(抗体J)により処理されている群を表し、Vehは、抗AQP3抗体により処理されていない群を表す。図において、アスタリスク()は、p<0.01の有意差がVeh群と対照(Ct)群との間で、また、同様に、Veh群とAb群との間で認められることを示している。
肝臓におけるTNF-α又はIL-6の発現が肝障害(急性肝炎及び急性肝障害)の指標であることが広く知られている。上記の試験結果から、抗AQP3抗体により事前に処理されているマウスでは、四塩化炭素によって後で引き起こされる肝障害及び/又は肝臓炎症反応が防止され得る又は抑制され得ることが理解される。
肝障害(急性肝炎及び急性肝障害)を有し得る動物個体の場合について、肝障害又は炎症応答の発生を抗AQP3抗体によって防止することができ、又は抑制することができる。
[実施例9]
抗AQP3抗体の配列分析
重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を、抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、抗体E、抗体F、抗体G、抗体H、抗体J及び抗体Kのそれぞれについて決定した。重鎖及び軽鎖の配列(但し、抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、抗体E、抗体F、抗体G、抗体H、抗体J及び抗体Kについて同じである予測されたシグナル配列は含まれない)を表1に示す。

抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、抗体E、抗体F、抗体G、抗体H、抗体J及び抗体KのそれぞれについてのCDR配列、VH配列及びVL配列を表2に示す。















[実施例10]
ウサギにおける抗AQP3抗体の作製
本実施例10では、抗AQP3抗体を、AQP3の細胞外部分に位置する8つのオリゴペプチドによりウサギを免疫化することによって作製した。表3は、これらのオリゴペプチドの配列、それらのそれぞれの配列番号、及びAQP3におけるそれらの所在位置を示す。

これら8つのオリゴペプチドを標準的な方法に従って合成オリゴペプチドとして作製した。これら8つのペプチドの混合物を、AQP3を過剰発現する細胞と一緒に使用して、ウサギを免疫化した。
ウサギへの接種を、ペプチドとAQP3過剰発現細胞との混合物を用いて標準的な手順に従って行った。およそ2週間後、ウサギを同じ免疫原により追加免疫し、2回のさらなる同様な追加免疫の後、ウサギを屠殺し、脾臓及び骨髄をmRNA単離のために採取した。抗体遺伝子ファージライブラリーを、このmRNAを使用して構築し、AQP3ファージ結合抗体について、具体的には、ペプチドと、AQP3を過剰発現する細胞とに対する結合によって富化した。抗体断片(Fab)を富化ライブラリーから作製し、ELISAペプチド結合研究及びフローサイトメトリー分析(FACS)に供した。ELISA研究を既知の手順に従って行い、ELISA研究では、8つのペプチドのそれぞれを、Fab結合を試験するための試薬として個々に使用した。FACS分析を、AQP3発現CHO細胞を使用して標準的な手順に従って行った。
この抗体産生計画により、配列番号1及び細胞発現AQP3に結合するFabを産生する28個のクローンを得た。4つのクローンを、さらなる結合実験(実施例11~13)及び活性実験(実施例14及び15)を行うために選択した。これら4つのクローンはELISAスクリーニングにおいて配列番号1に特異的に結合し、FACSスクリーニングにおいてAQP3発現CHO細胞に特異的に結合した。
[実施例11]
様々な抗AQP3抗体がAQP3の細胞外部分由来のオリゴペプチドに結合した
実施例10からの4つのクローン、すなわち、SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6を結合研究に供した。これらのクローンを最初に免疫グロブリンG(IgG)に変換し、配列番号1に対するそれらの結合を、ELISAを使用して確認した。
図16は、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチド(図16A)、又は対照ペプチド(配列番号2)、すなわち、ループAペプチド(図16B)に対する、抗AQP3抗体(抗体C(菱形)及び抗体J(黒四角))と比較されるSC-F8(丸)、BC-H9(灰色四角)、BC-B10(三角)及びSC-B6(X印)の結合性を試験したELISA分析の結果を示すグラフである。両方のオリゴペプチドがAQP3の細胞外部分の一部であるが、オリゴペプチド5はループCに位置し、オリゴペプチド1はループAに位置する。
SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6についての50%結合応答を示す破線もまた示される。50%結合応答は、抗体がそのエピトープに対して有する親和性にほぼ等しい。より具体的には、また、ある特定の実施形態によれば、親和性は、ペプチドを用いた生化学的なプレート型結合アッセイにおける50%の最大結合応答によって定義される。
より具体的には、図16Aに示されるように、50%結合応答のために必要とされる抗体量が、抗体Cについてのおよそ0.1μg/mLの50%結合応答、及び抗体Jについての1.0μg/mL超と比較して、SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6については0.01μg/mLである。したがって、SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6は、IgGについては約0.06nM(60pM)に変換されるほぼ0.01μg/mLの濃度において50%応答で配列番号1に結合する。ある特定の実施形態によれば、これら4つのクローンのそれぞれが、100pMよりも強固な親和性により結合する。
したがって、これら4つのクローンは、AQP3の細胞外部分のループC由来のペプチドに特異的に結合し、ループA由来のペプチドには結合しなかった。
[実施例12]
様々な抗AQP3抗体がAQP3発現細胞に結合した
本実施例では、AQP3発現細胞としてのマウスケラチノサイト(PAM212)及びヒトケラチノサイト(HaCaT)を、4つのクローン(SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6)の結合性を試験するために使用した。
PAM212細胞を、非存在、1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL又は10μg/mLの濃度でのそれぞれの抗AQP3抗体と4℃で1時間反応させた。細胞を洗浄した後、蛍光標識された二次抗体を加え、反応を(4℃で)さらに1時間行わせた。蛍光強度を測定することによって、細胞に対するそれぞれの抗AQP3抗体の結合性を得た。
上記実験の結果をBC-H9及びBC-B10のクローンについては図17Aに示し、SC-F8及びSC-B6については図17Bに示す。図17A、図17Bにおいて、縦軸は蛍光強度を表し、それぞれのサンプルの平均蛍光強度が標準誤差と一緒に棒の高さによって表される。
それぞれの抗AQP3抗体クローンが、BC-B10、SC-F8及びSC-B6の10μg/mLの濃度が抗体非存在よりも少なくとも2倍の強度により結合する点にまで濃度が増加するにつれて増大する強度を伴ってPAM212細胞に結合した(図において、抗体非存在の対照と比較したとき、は、P<0.05の有意差が存在することを表し、**は、P<0.01の有意差が存在することを表す)。
次に、本実施例では、HaCaT細胞を、これら4つのクローン(SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6)の結合性を試験するために使用した。
HaCaT細胞を、非存在、1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL又は10μg/mLの濃度でのそれぞれの抗AQP3抗体と4℃で1時間反応させた。細胞を洗浄した後、蛍光標識された二次抗体を加え、反応を(4℃で)さらに1時間行わせた。蛍光強度を測定することによって、細胞に対するそれぞれの抗AQP3抗体の結合性を得た。
上記実験の結果をBC-H9及びBC-B10のクローンについては図18Aに示し、SC-F8及びSC-B6については図18Bに示す。図18A、図18Bにおいて、縦軸は蛍光強度を表し、それぞれのサンプルの平均蛍光強度が標準誤差と一緒に棒の高さによって表される。
それぞれの抗AQP3抗体クローンが、BC-B10、SC-F8及びSC-B6の10μg/mLの濃度が抗体非存在よりも2倍を優に超える強度により結合する点にまで濃度が増加するにつれて増大する強度を伴ってHaCaT細胞に結合した(図において、抗体非存在の対照と比較したとき、は、P<0.05の有意差が存在することを表し、**は、P<0.01の有意差が存在することを表す)。
これらのクローンに由来する抗体のいずれかが使用されたすべての場合から、蛍光強度における明らかな増大が、対照と比較して認められた。したがって、上記に記載される実験から、本発明のいくつかの抗AQP3抗体がマウスケラチノサイト細胞(PAM212細胞)及びヒトケラチノサイト細胞(HaCaT細胞)に結合することが見出された。
[実施例13]
様々な抗AQP3抗体がAQP3発現細胞に特異的に結合した
本実施例では、マウスケラチノサイト(PAM212)に結合する抗AQP3抗体の特異性を、AQP3の発現をAQP3mRNAに特異的な低分子干渉RNA(siRNA)により阻止することによって試験した。PAM212細胞を、siRNA AQP3又は対照siRNAのいずれかによりトランスフェクションした。siRNAの調製及びトランスフェクションをこの分野において知られているそれらの技術に従って行った。より具体的には、本実施例13のために、AQP3 siRNAを含むPAM212細胞株と、対照siRNAを含むPAM212細胞株とを、マウスAQP3 siRNA又は非標的化siRNAのいずれかを、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を(ON-TARGET plus SMARTプール、Thermo Scientific)とともに使用してトランスフェクションすることによって構築した。マウスAQP3 siRNA SMARTプールは下記の4つのRNAを含んだ:UCGUUGACCCUUAUAACAA(配列番号111);GGGCUUCAAUUCUGGCUAU(配列番号112);CAUUAGGCGAUGUGAGGUU(配列番号113);GCUGAAGUCCAGGUCGUAA(配列番号114)。非標的化siRNA SMARTプールは下記の4つのRNAを含んだ:UGGUUUACAUGUCGACUAA(配列番号115);UGGUUUACAUGUUGUGUGA(配列番号116);UGGUUUACAUGUUUUCUGA(配列番号117);UGGUUUACAUGUUUUCCUA(配列番号118)。
得られたsiRNA AQP3細胞株は、対照siRNA細胞株と比較してAQP3発現が10%であった。siRNA AQP3 PAM212細胞、及び対照siRNA PAM212細胞を、1μg/mLの選ばれた濃度でのSC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6と4℃で1時間反応させた。細胞を洗浄した後、蛍光標識された二次抗体を加え、反応を(4℃で)さらに1時間行わせた。蛍光強度を測定することによって、これら2つの細胞株に対するそれぞれの抗AQP3抗体の結合性を得た。
上記実験の結果を図19に示す。図において、縦軸は蛍光強度を表し、それぞれのサンプルの平均蛍光強度が標準誤差と一緒に棒の高さによって表される。
1μg/mLの濃度におけるそれぞれの抗AQP3抗体クローンが、実施例12で認められるのと類似する強度によりPAM212細胞に結合した。特に、抗体クローンのそれぞれの結合が、抗体非存在の対照を超えて統計学的に有意なより高い結合を有した。図において、抗体非存在の対照と比較したとき、は、P<0.05の有意差が存在することを表し、**は、P<0.01の有意差が存在することを表す。さらに、ダウンレギュレーションされたAQP3 PAM212細胞において、図19は、蛍光強度が1つのクローン(BC-B10)ではおよそ半減していること、及びSC-F8クローンの結合が統計学的に有意に低下していることを示している(下線付きは、siRNA AQP3 PAM212細胞の結合をsiRNA対照PAM212細胞に対して比較したとき、P<0.05の有意差が存在することを表す)。
したがって、抗AQP3抗体クローンの結合が、AQP3の完全な発現を有する細胞株と比較したとき、AQP3の発現が10%であるマウスケラチノサイト細胞株において有意に低下している。
[実施例14]
抗AQP3抗体により過酸化水素透過が阻害された
上記4つのAQP3抗体クローン(SC-F8、BC-H9、BC-B10、SC-B6)及び抗体Cが過酸化水素(H)の細胞透過を阻害することができるかを、マウスケラトサイト(PAM212)及びヒトケラトサイト(HaCaT)の両方において試験した。
[マウスケラトサイト]
96ウエルプレートに播種されたPAM212細胞を、1μg/mL、10μg/mLの濃度でのそれぞれの抗AQP3抗体、又は10μg/mLでの非特異的抗体と反応させ、共培養をさらに一晩続けた。培養物にH(100μM)を加え、細胞を37℃で1時間インキュベーションした後、細胞内の活性酸素種(ROS)の量を測定した。細胞内のROS量を、CM-H2DCFDA試薬の添加(Invitrogen、50μM、20分間)により細胞を染色した後、CM2DCF由来の蛍光強度を添加の前後で測定することによって評価した。過酸化水素がROSの一種として、細胞内へ透過するならば、増大した蛍光強度が細胞内の増大したROS量の指標として解釈される測定を行うことが可能である。
上記実験の結果を図20に示す。図において、縦軸は蛍光強度を表し、それぞれのサンプルの平均蛍光強度が標準誤差と一緒に棒の高さによって表される。上記4つのクローンのそれぞれについて1μg/mL及び10μg/mLの濃度の両方で、ROSからの蛍光強度が統計学的に有意に低下した(図において、抗体非存在の対照と比較したとき、は、P<0.05の有意差が存在することを表し、**は、P<0.01の有意差が存在することを表す)。したがって、この実験は、対照抗体と比較して、上記4つのAQP3抗体クローン(SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6)により、PAM212細胞内へのHの透過が阻害されたことを示す。
図21は、PAM212細胞における上記AQP3抗体クローンの2つ(BC-B10及びSC-B6)の一桁ずつ段階的に増大する濃度を使用するH取り込み阻害研究からの結果を示す。この図のために使用される濃度が、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL又は10μg/mLであった。実験の詳細は上記と同じであり、図20に示される実験結果について記載されるのと同じであった。SC-B6抗AQP3抗体クローンは、抗体非存在の対照と比較したとき、H取り込みが10ng/mLの濃度でほぼ半減した。さらに、SC-B6抗AQP3抗体クローンについては抗体濃度のすべてで、また、BC-B10については1つを除くすべての抗体濃度で、ROSからの蛍光強度が、抗体非存在の対照と比較して統計学的に有意に低下した(図において、抗体非存在の対照と比較したとき、は、P<0.05の有意差が存在することを表し、**は、P<0.01の有意差が存在することを表す)。したがって、この実験は、BC-B10及びSC-B6により、PAM212細胞内へのHの透過が実質的に阻害されたことを示す。
[ヒトケラトサイト]
96ウエルプレートに播種されたHaCaT細胞を、1μg/mL、10μg/mLの濃度でのそれぞれの抗AQP3抗体、又は10μg/mLでの非特異的抗体と反応させ、共培養をさらに一晩続けた。培養物にH(100μM)を加え、細胞を37℃で1時間インキュベーションした後、細胞内の活性酸素種(ROS)の量を測定した。細胞内のROS量を、CM-H2DCFDA試薬の添加(Invitrogen、50μM、20分間)により細胞を染色した後、CM2DCF由来の蛍光強度を添加の前後で測定することによって評価した。過酸化水素がROSの一種として、細胞内へ透過するならば、増大した蛍光強度が細胞内の増大したROS量の指標として解釈される測定を行うことが可能である。
上記実験の結果を図22に示す。図において、縦軸は蛍光強度を表し、それぞれのサンプルの平均蛍光強度が標準誤差と一緒に棒の高さによって表される。上記4つのクローンのそれぞれについて1μg/mL及び10μg/mLの濃度の両方で、ROSからの蛍光強度が統計学的に有意に低下した(図において、抗体非存在の対照と比較したとき、は、P<0.05の有意差が存在することを表し、**は、P<0.01の有意差が存在することを表す)。したがって、この実験は、上記4つのAQP3抗体クローン(SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6)により、HaCaT細胞内へのHの透過が阻害されたことを示す。この図にはまた、抗体非存在の対照と比較して、上記抗AQP3抗体により処理される細胞でのH取り込みにおける50%の低下を示す50%破線が示される。上記クローンの2つ(BC-B10及びBC-H9)が、抗体非存在の対照と比較したとき、10ng/mL濃度でヒトケラトサイトにおいてH取り込みの50%超を阻止する。さらに、SC-B6抗AQP3抗体クローンは、抗体非存在の対照と比較したとき、H取り込みが10ng/mLの濃度でほぼ50%低下した。
図23は、HaCaT細胞におけるBC-B10及びSC-B6の一桁ずつ増大する濃度を使用するH取り込み阻害研究からの結果を示す。この図のために使用される濃度が、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL又は10μg/mLであった。実験の詳細は上記と同じであり、図22に示される実験結果について記載されるのと同じであった。図23に示されるように、SC-B6抗AQP3抗体クローンについては抗体濃度のすべてで、また、BC-B10については1つを除くすべての抗体濃度で、ROSからの蛍光強度が、抗体非存在の対照と比較して統計学的に有意に低下した(図において、抗体非存在の対照と比較したとき、は、P<0.05の有意差が存在することを表し、**は、P<0.01の有意差が存在することを表す)。
したがって、本実施例は、BC-B10、BCH9及びSC-B6により、HaCaT細胞内へのHの透過が実質的に阻害されたことを示す。
[実施例15]
実施例14において認められる過酸化水素透過の阻害はAQP3の存在に対して特異的であった
本実施例では、上記抗AQP3抗体(SC-F8、BC-H9、BC-B10及びSC-B6)がH取り込みをマウスケラチノサイト(PAM212)において阻害することができるかを、AQP3の発現をAQP3mRNAに特異的な低分子干渉RNA(siRNA)により低下させることによって試験した。
PAM212細胞を、siRNA AQP3又は対照siRNAのいずれかによりトランスフェクションした。siRNAの調製及びトランスフェクションをこの分野において知られているそれらの技術に従って行った。より具体的には、本実施例15のために、AQP3 siRNAを含むPAM212細胞株と、対照siRNAを含むPAM212細胞株とを、マウスAQP3 siRNA又は非標的化siRNAのいずれかを、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を(ON-TARGET plus SMARTプール、Thermo Scientific)とともに使用してトランスフェクションすることによって構築した。マウスAQP3 siRNA SMARTプールは下記の4つのRNAを含んだ:UCGUUGACCCUUAUAACAA(配列番号111);GGGCUUCAAUUCUGGCUAU(配列番号112);CAUUAGGCGAUGUGAGGUU(配列番号113);GCUGAAGUCCAGGUCGUAA(配列番号114)。非標的化siRNA SMARTプールは下記の4つのRNAを含んだ:UGGUUUACAUGUCGACUAA(配列番号115);UGGUUUACAUGUUGUGUGA(配列番号116);UGGUUUACAUGUUUUCUGA(配列番号117);UGGUUUACAUGUUUUCCUA(配列番号118)。
得られたsiRNA AQP3細胞株は、対照siRNA細胞株と比較してAQP3発現が10%であることが示された。siRNA AQP3 PAM212細胞、及び対照siRNA PAM212細胞を、1μg/mLの選ばれた濃度でのそれぞれの抗AQP3抗体と4℃で1時間反応させた。H取り込み透過性を実施例14に記載されるように行った。
上記実験の結果を図24に示す。図において、縦軸は蛍光強度を表し、それぞれのサンプルの平均蛍光強度が標準誤差と一緒に棒の高さによって表される。結果について特筆すべき興味深い点がいくつかある。第1に、siRNA AQP3が使用されたとき、siRNA対照群と比較して、H透過性が統計学的に有意に低下した(**は、透過性をこれら2つの群の間で比較したとき、P<0.01の有意差が存在することを表す)。このことは、このアッセイにおけるH透過性がAQP3依存性であることを示している。第2に、また、実施例14の繰り返しとして、SC-F8、BC-B10及びSC-B6はHの取り込みを統計学的に有意な様式で低下させた(図において、抗体非存在の対照と比較したとき、は、P<0.05の有意差が存在することを表し、**は、P<0.01の有意差が存在することを表す)。第3に、上記抗AQP3抗体は、AQP3発現が低下した細胞において、有意な影響をH透過に及ぼさなかった:このことは、上記抗体の効果がAQP3とのその相互作用に起因することを示している。
したがって、H透過性が、上記抗AQP3抗体クローンを使用するときには、AQP3 siRNAの存在に起因する既により低い取り込みを超えて有意に低下しなかった。
[実施例16]
抗AQP3抗体クローンに対する結合のために重要である配列番号1の特異的なアミノ酸配列の結合分析
特異的なAQP3抗体クローンに対する結合に関与するループCにおけるエピトープの重要なアミノ酸残基を決定するために、様々な長さのペプチドを作製した。これらのペプチドの配列を表4の第2列に示す。
様々なペプチド及びAQP3抗体クローンをELISA結合分析に供した。沈殿を示した配列番号97を除いてそれぞれのペプチドを水で1mg/mLに希釈し、そのため、配列番号97は最初にDMSOで希釈し、その後、すべてをさらにPBSで1μg/mLに希釈した。マイクロタイターウエル(Costar2690)を50μLのそれぞれのペプチドにより4℃で一晩被覆した。ウエルをPBSにより3回洗浄し、100μLの1%BSA/PBSにより37℃で1時間にわたってブロッキング処理した。それぞれの抗体を上記のように1%SBA/PBSにおいて1μg/mLに調節し、その後、1%BSA/PBSにおいて1:5で連続希釈した。ブロッキング処理液を捨て、ウエルを50μLの抗体と37℃で1.5時間インキュベーションしたウエルをPBSにより3回洗浄し、マウス抗体を50μLのヤギ抗マウスIgG(H+L)HRPコンジュゲート(ThermoFisher 31438)(1%BSA/PBSにおける1:5,000)により37℃で1時間にわたって検出し、ウサギ抗体を50μLのヤギ抗ウサギIgG(H+L)HRPコンジュゲート(ThermoFisher 31462)(1%BSA/PBSにおける1:5,000)により37℃で1時間にわたって検出したウエルをPBSにより3回洗浄し、50μLのHRP基質を用いてRTで5分間発色させ、その後、50μLの2N硫酸により停止させ、結合をプレートリーダーにより測定した。
表4は、それぞれのペプチドの名称(第1列)、ペプチド配列(第2列)、及びプレートリーダーによって測定されるようなそれぞれの抗体クローンからの結合シグナルの量を示す。より高い値は、抗体結合がより多いことに対応する(クローン(左から右に):抗体C、抗体J、SC-F8、BC-H9、BC-B10、SC-B6及びSC-B10)。
表4に示されるように、AQP3抗体クローンはクローン毎に、ペプチドに対する結合パターンが異なっていた。特に、そして、要約した表(表5)に示されるように、YPSGH(配列番号90)残基が上記5つの抗体クローンのうちの3つ(SC-F8、BC-H9及びSC-B6)のために重要であり、PS残基が上記抗体クローンの1つ(BC-B10)のために重要であり、GHLDM(配列番号91)残基が上記抗体クローンの別の1つ(SC-B10)のために重要であった。抗体Cの抗体については、FATYPSGHLD(配列番号67)は主要な接触アミノ酸を含み、TAGIF(配列番号92)がN末端に加わると、結合がある程度増強された。抗体Jの抗体もまた、結合が非常に弱いにもかかわらず、同じ傾向を示す。
興味深いことに、結合データによれば、BC-B10抗体クローンは、結合するために2つのアミノ酸残基(PS)を要求するだけであり、これらの2つの残基がループC内に含まれる。同様に興味深いことが、SC-B10抗体は、それ以外の抗体クローンと比較したとき、ループCの完全な特有のアミノ酸配列に結合するということであった。
結論として、上記抗体クローンの3つが、表4及び表5に示されるように、配列番号1に対する特有の結合パターンをELISA研究において有した。表5は結合データの要約であり、結合のための重要な残基を太字で強調する。




[実施例17]
抗AQP3抗体クローンの配列分析
重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、重鎖相補性決定領域2(HCDR2)、重鎖相補性決定領域3(HCDR3)、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)及び軽鎖相補性決定領域3(LCDR1)のアミノ酸配列を、実施例10に記載されるプロトコルを使用して発見された、すべてが配列番号1の結合抗体である28個のクローンのそれぞれについて決定した。CDRコンセンサス配列を表6に示す。これらのクローンのそれぞれについての個々のCDR配列を表7に示す。これらのクローンのそれぞれについての重鎖可変(VH)配列及び軽鎖可変(VL)配列を表8に示す。
















具体的な実施形態
様々な具体的な実施形態が説明され、記載されているが、様々な変化が、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるであろう。本開示は、以下に示される番号付き実施形態によって例示される。
1.下記の領域:
(a)アミノ酸配列XFSLXYA(配列番号3)(式中、XはG又はRであり、Xは、S、Y又はNであり、Xは、S、G、N又はTである)を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、
(b)アミノ酸配列INNDXST(配列番号4)(式中、Xは、G、I又はVであり、Xは、R、V、I又はSであり、XはS又はGである)を含む重鎖相補性決定領域2(HCRD2)、
(c)アミノ酸配列ARGGTSGYDI(配列番号5)を含む重鎖相補性決定領域3(HCDR3)、
(d)アミノ酸配列XSVYKNY(配列番号6)(式中、XはP又はQである)を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、
(e)アミノ酸配列XAS(配列番号7)(式中、XはG又はKである)を含む軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)、及び
(f)アミノ酸配列AGGYXGX1011DIFX12(配列番号8)(式中、XはR又はIであり、X10はS又はYであり、X11は、S、G又はRであり、X12はA又はSである)を含む軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)
を含む抗AQP3抗体又はその機能的断片。
2.XがGである、実施形態1に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
3.XがRである、実施形態1に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
4.XがSである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
5.XがYである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
6.XがNである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
7.XがSである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
8.XがGである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
9.XがNである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
10.XがTである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
11.XがGである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
12.XがIである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
13.XがVである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
14.XがRである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
15.XがVである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
16.XがIである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
17.XがSである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
18.XがSである、実施形態1~17のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
19.XがGである、実施形態1~17のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
20.XがPである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
21.XがQである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
22.XがGである、実施形態1~21のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
23.XがKである、実施形態1~21のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
24.XがRである、実施形態1~23のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
25.XがIである、実施形態1~23のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
26.X10がSである、実施形態1~25のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
27.X10がYである、実施形態1~25のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
28.X11がSである、実施形態1~27のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
29.X11がGである、実施形態1~27のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
30.X11がRである、実施形態1~27のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
31.X12がAである、実施形態1~30のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
32.X12がSである、実施形態1~30のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
33.下記の領域:
(a)アミノ酸配列X13FSLX1415YA(配列番号9)(式中、X13はG又はRであり、X14は、S、Y又はNであり、X15は、S、N又はTである)を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、
(b)アミノ酸配列INNDX16ISST(配列番号10)(式中、X16はG又はVである)を含む重鎖相補性決定領域2(HCRD2)、
(c)アミノ酸配列ARGGTSGYDI(配列番号5)を含む重鎖相補性決定領域3(HCDR3)、
(d)アミノ酸配列PSVYKNY(配列番号11)を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、
(e)アミノ酸配列GAS(配列番号12)を含む軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)、及び
(f)アミノ酸配列AGGYX17GSX18DIFX19(配列番号13)(式中、X17はR又はIであり、X18はS又はRであり、X19はA又はSである)を含む軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)
を含む抗AQP3抗体又はその機能的断片。
34.X13がGである、実施形態33に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
35.X13がRである、実施形態33に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
36.X14がSである、実施形態33~35のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
37.X14がYである、実施形態33~35のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
38.X14がNである、実施形態33~35のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
39.X15がSである、実施形態33~38のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
40.X15がNである、実施形態33~38のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
41.X15がTである、実施形態33~38のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
42.X16がGである、実施形態33~41のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
43.X16がVである、実施形態33~41のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
44.X17がRである、実施形態33~43のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
45.X17がIである、実施形態33~43のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
46.X18がSである、実施形態33~45のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
47.X18がRである、実施形態33~45のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
48.X19がAである、実施形態33~47のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
49.X19がSである、実施形態33~47のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
50.表7に示される結合抗体の1つのHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列を含む、実施形態1に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
51.表7に示されるようなBC-B10のHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列を含む、実施形態50に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
52.表7に示されるようなBC-H9のHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列を含む、実施形態50に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
53.表7に示されるようなSC-B6のHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列を含む、実施形態50に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
54.表7に示されるようなSC-F8のHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列を含む、実施形態50に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
55.表8に示される結合抗体の1つの可変重鎖(VH)配列及び可変軽鎖(VL)配列を含む、実施形態1に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
56.BC-B10のVH配列及びVL配列を含む、実施形態55に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
57.BC-H9のVH配列及びVL配列を含む、実施形態55に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
58.SC-B6のVH配列及びVL配列を含む、実施形態55に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
59.SC-F8のVH配列及びVL配列を含む、実施形態55に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
60.アミノ酸配列が、ATYPSGHLDM(配列番号1)、SGPNGTAGIFATYPS(配列番号94);YPSGH(配列番号90);PS(配列番号93);又はGHLDM(配列番号91)を含むオリゴペプチド、或いはATYPSGHLDM(配列番号1)、SGPNGTAGIFATYPS(配列番号94);YPSGH(配列番号90);PS(配列番号93);又はGHLDM(配列番号91)からなるオリゴペプチドに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片。
61.アミノ酸配列がATYPSGHLDM(配列番号1)からなるオリゴペプチドに特異的に結合する、実施形態1~60のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
62.表1に示される重鎖(HC)配列及び軽鎖(LC)配列のいずれかを含むHC配列及びLC配列を含まない、実施形態1~61のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
63.IMGT(Lefranc他、2003、Dev Comparat Immunol、27:55~77)、Kabat(Kabat他、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.)又はChothia(Al-Lazikani他、1997、J.Mol.Biol、273:927~948)によって定義されるような、抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、抗体E、抗体F、抗体G、抗体H、抗体J及び抗体Kのいずれか1つのHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列を含まない、実施形態1~61のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
64.国際出願PCT/JP2018/038220(その内容はその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載される抗体又は機能的断片ではない、実施形態1~61のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
65.表2A~表2Jのいずれかに示されるHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列を含むHCDR1配列、HCDR2配列、HCDR3配列、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列を含まない、実施形態1~61のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
66.表2A~表2Jのいずれかに示されるVH配列及びVL配列を含むVH配列及びVL配列を含まない、実施形態1~61のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
67.XDPEXGGT(配列番号225)(式中、XはV又はIであり、XはT又はSである)を含むHCDR2配列を含まない、実施形態1~61のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
68.GXDPEXGGTXYNQKFXG(配列番号229)(式中、XはV又はIであり、X=T又はSであり、X=G又はAであり、X=R又はKである)を含むHCDR2配列を含まない、実施形態1~61のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
69.DPEXGG(配列番号230)(式中、XはT又はSである)を含むHCDR2配列を含まない、実施形態1~68のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
70.ISRXSIYT(配列番号231)(式中、XはG又はRである)を含むHCDR2配列を含まない、実施形態1~69のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
71.TISRXSIYTYYPDSVXG(配列番号232)(式中、XはG又はRであり、XはK又はQである)を含むHCDR2配列を含まない、実施形態1~70のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
72.SRXSIY(配列番号233)(式中、XはG又はRである)を含むHCDR2配列を含まない、実施形態1~71のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
73.IXPGSGXT(配列番号234)(式中、XはY又はFであり、XはN又はSである)を含むHCDR2配列を含まない、実施形態1~72のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
74.XIXPGSGXTYYNEKXKG(配列番号235)(式中、XはE又はWであり、XはY又はFであり、XはN又はSであり、XはL又はFである)を含むHCDR2配列を含まない、実施形態1~73のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
75.アミノ酸配列が表4に示されるオリゴペプチドの少なくとも1つに特異的に結合する、実施形態1~74のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
76.配列番号94のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
77.配列番号94のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
78.配列番号94のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
79.配列番号1のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~78のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
80.配列番号1のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~78のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
81.配列番号1のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~78のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
82.配列番号96のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~81のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
83.配列番号96のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~81のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
84.配列番号96のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~81のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
85.配列番号97のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~84のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
86.配列番号97のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~84のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
87.配列番号97のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~84のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
88.配列番号98のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~87のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
89.配列番号98のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~87のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
90.配列番号98のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~87のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
91.配列番号99のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~90のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
92.配列番号99のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~90のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
93.配列番号99のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~90のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
94.配列番号100のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~93のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
95.配列番号100のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~93のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
96.配列番号100のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~93のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
97.配列番号101のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~96のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
98.配列番号101のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~96のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
99.配列番号101のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~96のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
100.配列番号102のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~99のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
101.配列番号102のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~99のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
102.配列番号102のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~99のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
103.配列番号103のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~102のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
104.配列番号103のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~102のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
105.配列番号103のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~102のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
106.配列番号104のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~105のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
107.配列番号104のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~105のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
108.配列番号104のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~105のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
109.配列番号105のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~108のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
110.配列番号105のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~108のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
111.配列番号105のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~108のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
112.配列番号106のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~111のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
113.配列番号106のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~111のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
114.配列番号106のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~111のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
115.配列番号107のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~114のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
116.配列番号107のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~114のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
117.配列番号107のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~114のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
118.配列番号108のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いはv SC-B10の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~117のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
119.配列番号108のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~117のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
120.配列番号108のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~117のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
121.配列番号109のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも25%である結合シグナルを示す、実施形態75~120のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
122.配列番号109のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも50%である結合シグナルを示す、実施形態75~120のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
123.配列番号109のペプチドを用いて行われたとき、実施例16のELISAアッセイにおいて、抗体SC-F8のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-H9のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体BC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、抗体SC-B6のVH及びVLを含むウサギIgG抗体、並びに/或いは抗体SC-B10のVH及びVLを含むウサギIgG抗体の結合シグナルの少なくとも75%である結合シグナルを示す、実施形態75~120のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
124.オリゴペプチドSGPNGTAGIFATYPS(配列番号94)に特異的に結合する、実施形態75~123のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
125.オリゴペプチドATYPSGHLDM(配列番号1)に特異的に結合する、実施形態75~124のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
126.オリゴペプチドTYPSGHLDM(配列番号96)に特異的に結合する、実施形態75~125のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
127.オリゴペプチドYPSGHLDM(配列番号97)に特異的に結合する、実施形態75~126のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
128.オリゴペプチドPSGHLDM(配列番号98)に特異的に結合する、実施形態75~127のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
129.オリゴペプチドSGHLDM(配列番号99)に特異的に結合する、実施形態75~128のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
130.オリゴペプチドGHLDM(配列番号100)に特異的に結合する、実施形態75~129のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
131.オリゴペプチドATYPSGHLD(配列番号101)に特異的に結合する、実施形態75~130のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
132.オリゴペプチドATYPSGHL(配列番号102)に特異的に結合する、実施形態75~131のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
133.オリゴペプチドATYPSGH(配列番号103)に特異的に結合する、実施形態75~132のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
134.オリゴペプチドATYPSG(配列番号104)に特異的に結合する、実施形態75~133のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
135.オリゴペプチドTAGIFATYPSGHLDM(配列番号105)に特異的に結合する、実施形態75~134のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
136.オリゴペプチドAGIFATYPSGHLDM(配列番号106)に特異的に結合する、実施形態75~135のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
137.オリゴペプチドGIFATYPSGHLDM(配列番号107)に特異的に結合する、実施形態75~136のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
138.オリゴペプチドIFATYPSGHLDM(配列番号108)に特異的に結合する、実施形態75~137のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
139.オリゴペプチドFATYPSGHLDM(配列番号109)に特異的に結合する、実施形態75~138のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
140.ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3に特異的に結合する、実施形態1~139のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
141.ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の細胞外部分に特異的に結合する、実施形態1~140のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
142.細胞表面に発現するヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の細胞外部分に特異的に結合する、実施形態141に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
143.HaCaT細胞の表面に発現するヒトAQP3の細胞外部分及び/又はPAM212細胞の表面に発現するマウスAQP3の細胞外部分に特異的に結合する、実施形態142に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
144.100pMを超える親和性により配列番号1に結合する、実施形態1~143のいずれか記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
145.100pMを超える親和性によりヒトAQP3及び/又はマウスAQP3のループCに結合する、実施形態1~144のいずれかに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
146.100pMを超える親和性によりヒトAQP3及び/又はマウスAQP3に結合する、実施形態1~145のいずれかに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
147.抗体である、実施形態1~146のいずれかに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
148.IgG抗体である、実施形態1~147のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
149.マウスFc配列を含むIgG抗体である、実施形態1~実施形態148のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
150.ヒトFc配列を含むIgG抗体である、実施形態1~実施形態148のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
151.ウサギFc配列を含むIgG抗体である、実施形態1~実施形態148のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
152.アミノ酸配列が配列番号1を含むオリゴペプチド、又は配列番号1からなるオリゴペプチドに対する結合について、実施形態1~151のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片と競合する抗AQP3抗体又はその機能的断片。
153.ヒトAQP3のループCに対する結合について実施形態1~151のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片と競合する抗AQP3抗体又はその機能的断片。
154.マウスAQP3のループCに対する結合について実施形態1~151のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片と競合する抗AQP3抗体又はその機能的断片。
155.ヒトAQP3に対する結合について実施形態1~151のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片と競合する抗AQP3抗体又はその機能的断片。
156.競合が、細胞表面に発現するヒトAQP3に対する結合についてである、実施形態155に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
157.競合が、HaCat細胞の表面に発現するヒトAQP3に対する結合についてである、実施形態156に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
158.マウスAQP3に対する結合について実施形態1~151のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片と競合する抗AQP3抗体又はその機能的断片。
159.競合が、細胞表面に発現するマウスAQP3に対する結合についてである、実施形態158に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
160.競合が、PAM212細胞の表面に発現するマウスAQP3に対する結合についてである、実施形態159に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
161.ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の少なくとも1つの機能に対する阻害活性を有する、実施形態1~160のいずれかに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
162.ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の少なくとも1つの機能の阻害活性がH輸送における低下を含む、実施形態1~161のいずれかに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
163.ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の少なくとも1つの機能の阻害活性がH輸送における少なくとも50%の低下を含む、実施形態1~162のいずれかに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
164.H輸送における低下が、実施例5に記載されるアッセイに従って測定される、実施形態162~163のいずれかの抗AQP3抗体又はその機能的断片。
165.Hの輸送に依存しているケラチノイド細胞の機能的応答を阻害する、ATYPSGHLDM(配列番号1)に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片。
166.Hの輸送に依存しているケラチノイド細胞の機能的応答を少なくとも50%阻害する、実施形態165に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
167.Hの輸送に依存している免疫細胞の機能的応答を阻害する、ATYPSGHLDM(配列番号1)に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片。
168.Hの輸送に依存している免疫細胞の機能的応答を少なくとも50%阻害する、実施形態167に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
169.免疫細胞がマクロファージ及びT細胞から選択される、実施形態167~168のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
170.ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の少なくとも1つの機能に対する阻害活性を有する、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片。
171.ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の少なくとも1つの機能の阻害活性がH輸送における低下を含む、実施形態170に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
172.ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の少なくとも1つの機能の阻害活性がH輸送における少なくとも50%の低下を含む、実施形態170~171のいずれかに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
173.H輸送における低下が、実施例5に記載されるアッセイに従って測定される、実施形態171~172のいずれかに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
174.Hの輸送に依存しているケラチノイド細胞の機能的応答を阻害する、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片。
175.Hの輸送に依存しているケラチノイド細胞の機能的応答を少なくとも50%阻害する、実施形態174に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
176.Hの輸送に依存している免疫細胞の機能的応答を阻害する、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片。
177.Hの輸送に依存している免疫細胞の機能的応答を少なくとも50%阻害する、実施形態176に記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
178.免疫細胞がマクロファージ及びT細胞から選択される、実施形態176~177のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片。
179.細胞傷害性薬剤にコンジュゲート化される実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体又はその機能的断片を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)。
180.細胞傷害性薬剤がアルキル化剤を含む、実施形態179に記載のADC。
181.アルキル化剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、メクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ブスルファン、N-ニトロソ-N-メチルウレア(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、ホテムスチン、ストレプトゾトシン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、チオテパ、マイトマイシン、ジアジクオン(AZQ)、プロカルバジン又はヘキサメチルメラミンを含む、実施形態180に記載のADC。
182.細胞傷害性薬剤が代謝拮抗剤を含む、実施形態179に記載のADC。
183.代謝拮抗剤が、メトトレキサート、ペメトレキセド、カペシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン又はペントスタチンを含む、実施形態182に記載のADC。
184.細胞傷害性薬剤が抗微小管剤を含む、実施形態179に記載のADC。
185.抗微小管剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンフルニン、モノメチルアウリスタチンE又はモノメチルアウリスタチンFを含む、実施形態184に記載のADC。
186.細胞傷害性薬剤がトポイソメラーゼ阻害剤を含む、実施形態179に記載のADC。
187.トポイソメラーゼ阻害剤が、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロン又はアクラルビシンを含む、実施形態186に記載のADC。
188.細胞傷害性薬剤が細胞傷害性抗生物質を含む、実施形態179に記載のADC。
189.細胞傷害性抗生物質が、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、ミトキサントロン又はブレオマイシンを含む、実施形態188に記載のADC。
190.ガンを有する対象を処置する方法であって、実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗AQP3抗体若しくはその機能的断片又は実施形態179~189のいずれか1つに記載のADCの治療効果的な量を対象に投与することを含む、方法。
191.ガンが、結腸直腸ガン、子宮頸ガン、肝ガン、肺ガン、食道ガン、腎臓ガン、胃ガン、舌ガン、皮膚ガン及び乳ガンからなる群から選択されるガンである、実施形態190に記載の方法。
192.対象における皮膚障害を予防及び/又は処置する方法であって、実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片の治療効果的な量を対象に投与することを含む、方法。
193.皮膚障害が、乾癬、光線性角化症、魚鱗癬及び脂漏性皮膚炎からなる群から選択される、実施形態192に記載の方法。
194.皮膚障害を処置する方法である、実施形態192又は実施形態193に記載の方法。
195.対象における炎症性障害を予防及び/又は処置する方法であって、実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片の治療効果的な量を対象に投与することを含む、方法。
196.炎症性障害が、アトピー性皮膚炎、乾癬、喘息、慢性閉塞性肺疾患及び肝炎からなる群から選択される、実施形態195に記載の方法。
197.炎症性障害を処置する方法である、実施形態195又は実施形態196に記載の方法。
198.抗AQP3抗体を産生させるための方法であって、a)動物に配列番号1を注射する工程と、b)1つ又は複数の臓器を、抗体を産生する細胞を含む前記動物から採取する工程と、c)mRNAを前記臓器から単離する工程と、d)抗体ファージライブラリーを、前記mRNAを使用して作製する工程と、e)工程d)で作製される抗体ファージライブラリーを、配列番号1に結合する1つ又は複数の抗体を同定するためにスクリーニングする工程とを含む方法。
199.動物がマウスである、実施形態198に記載の方法。
200.動物がウサギである、実施形態198に記載の方法。
201.臓器が脾臓及び骨髄から選択される、実施形態198~200のいずれか1つに記載の方法。
202.AQP3の少なくとも1つの機能を阻害するための方法であって、AQP3含有サンプルを、配列番号1に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。
203.AQP3の少なくとも1つの機能を阻害するための方法であって、AQP3含有サンプルを、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。
204.AQP3の少なくとも1つの機能を阻害するための方法であって、AQP3含有サンプルを、ヒトAQP3の細胞外部分に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。
205.膜を横断するHの輸送を阻害するための方法であって、AQP3を含む膜を有するサンプルを、配列番号1に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。
206.膜を横断するHの輸送を阻害するための方法であって、AQP3を含む膜を有するサンプルを、ヒトAQP3の細胞外部分に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。
207.膜を横断するHの輸送を阻害するための方法であって、AQP3を含む膜を有するサンプルを、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。
208.AQP3発現細胞を分離及び/又は精製するための方法であって、細胞を含むサンプルを、配列番号1に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。
209.AQP3発現細胞を分離及び/又は精製するための方法であって、細胞を含むサンプルを、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。
210.AQP3発現細胞を分離及び/又は精製するための方法であって、細胞を含むサンプルを、ヒトAQP3の細胞外部分に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。
211.AQP3を測定するための方法であって、サンプルを、配列番号1に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。
212.AQP3を測定するための方法であって、サンプルを、ヒトAQP3のループCに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。
213.AQP3を測定するための方法であって、サンプルを、ヒトAQP3の細胞外部分に特異的に結合する抗AQP3抗体又はその機能的断片と接触させる工程を含み、必要に応じて、前記抗体又はその機能的断片が実施形態1~178のいずれか1つに記載の抗体又はその機能的断片である、方法。

Claims (21)

  1. 軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)、軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、重鎖相補性決定領域2(HCRD2)、及び重鎖相補性決定領域3(HCDR3)として、それぞれ以下に示されるアミノ酸配列を含む、抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片:
    (1)配列番号68、70、72、76、83、5;
    (2)配列番号68、70、73、77、84、5;
    (3)配列番号68、70、72、78、84、5;
    (4)配列番号68、70、73、79、84、5;
    (5)配列番号68、70、73、80、85、5;
    (6)配列番号68、70、73、80、86、5;
    (7)配列番号68、70、73、81、84、5;
    (8)配列番号68、70、73、76、87、5;
    (9)配列番号68、70、73、76、84、5;
    (10)配列番号68、70、73、76、86、5;
    (11)配列番号68、71、73、76、84、5;
    (12)配列番号68、71、73、76、86、5;
    (13)配列番号68、70、74、76、86、5;
    (14)配列番号69、70、74、76、84、5;
    (15)配列番号68、70、74、79、84、5;
    (16)配列番号68、70、73、77、84、5;
    (17)配列番号68、70、73、82、88、5;又は
    (18)配列番号68、71、75、80、89、5。
  2. 重鎖可変領域(VH)、及び、軽鎖可変領域(VL)として、それぞれ以下に示されるアミノ酸配列を含む、抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片:
    (1)配列番号95、119;
    (2)配列番号120、121;
    (3)配列番号122、14;
    (4)配列番号15、16;
    (5)配列番号17、18;
    (6)配列番号19、20;
    (7)配列番号21、22;
    (8)配列番号23、24;
    (9)配列番号25、26;
    (10)配列番号27、28;
    (11)配列番号29、30;
    (12)配列番号31、32;
    (13)配列番号33、34;
    (14)配列番号35、36;
    (15)配列番号37、38;
    (16)配列番号39、40;
    (17)配列番号41、42;
    (18)配列番号43、44;
    (19)配列番号45、46;
    (20)配列番号47、48;
    (21)配列番号49、50;
    (22)配列番号51、52;
    (23)配列番号53、54;
    (24)配列番号55、56;
    (25)配列番号57、58;
    (26)配列番号59、60;
    (27)配列番号61、62;又は
    (28)配列番号63、64。
  3. アミノ酸配列がATYPSGHLDM(配列番号1)からなるオリゴペプチドに特異的に結合する、請求項1又は2に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片
  4. ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3に特異的に結合する、請求項1~のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片
  5. ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の細胞外部分に特異的に結合する、請求項1~のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片
  6. 細胞表面に発現するヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の細胞外部分に特異的に結合する、請求項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片
  7. HaCaT細胞の表面に発現するヒトAQP3の細胞外部分及び/又はPAM212細胞の表面に発現するマウスAQP3の細胞外部分に特異的に結合する、請求項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片
  8. 100pMを超える親和性により配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する、請求項1~のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片
  9. 100pMを超える親和性によりヒトAQP3及び/又はマウスAQP3のループCに結合する、請求項1~のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片
  10. 100pMを超える親和性によりヒトAQP3及び/又はマウスAQP3に結合する、請求項1~のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片
  11. ヒトAQP3及び/又はマウスAQP3の 輸送機能に対する阻害活性を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片
  12. の輸送に依存しているケラチノイド細胞の機能的応答を阻害する、ATYPSGHLDM(配列番号1)のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合する請求項1又は2に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片
  13. の輸送に依存している免疫細胞の機能的応答を阻害する、ATYPSGHLDM(配列番号1)のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合する請求項1又は2に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片
  14. 細胞傷害性薬剤にコンジュゲート化される請求項1~13のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)。
  15. ガンを有する対象を処置するための医薬組成物であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体若しくはその抗原結合性断片又は請求項14に記載のADCの治療効果的な量を含む、医薬組成物
  16. 対象における皮膚障害を予防及び/又は処置するための医薬組成物であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片の治療効果的な量を含む、医薬組成物
  17. 対象における炎症性障害を予防及び/又は処置するための医薬組成物であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片の治療効果的な量を含む、医薬組成物
  18. 抗AQP3抗体を産生させるための方法であって、a)非ヒト動物に配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチドを注射する工程と、b)1つ又は複数の臓器を、抗体を産生する細胞を含む前記非ヒト動物から採取する工程と、c)mRNAを前記臓器から単離する工程と、d)抗体ファージライブラリーを、前記mRNAを使用して作製する工程と、e)工程d)で作製される前記抗体ファージライブラリーを、配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する1つ又は複数の抗体を同定するためにスクリーニングする工程とを含む、方法。
  19. 膜を横断するHの輸送を阻害するための方法であって、AQP3を含む膜を有するサンプルを、配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片と接触させる工程を含み、前記抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片が請求項1~13のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片である、方法。
  20. AQP3発現細胞を分離及び/又は精製するための方法であって、細胞を含むサンプルを、配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片と接触させる工程を含み、前記抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片が請求項1~13のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片である、方法。
  21. AQP3を測定するための方法であって、サンプルを、配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合する抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片と接触させる工程を含み、前記抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片が請求項1~13のいずれか一項に記載の抗AQP3抗体又はその抗原結合性断片である、方法。
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