JP4694735B2 - 導電性パターンの作製方法 - Google Patents
導電性パターンの作製方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4694735B2 JP4694735B2 JP2001250708A JP2001250708A JP4694735B2 JP 4694735 B2 JP4694735 B2 JP 4694735B2 JP 2001250708 A JP2001250708 A JP 2001250708A JP 2001250708 A JP2001250708 A JP 2001250708A JP 4694735 B2 JP4694735 B2 JP 4694735B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- conductive
- pattern
- printing
- resin
- printed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板の回路パターンや導電性シールド部材の印刷パターンなど、導電性パターンの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコン、複写機、ファクシミリ等の各種電子機器にはプリント基板が使用されている。近年、プリント基板は、硬化性樹脂を含む導電性ペーストを印刷法により基板上に印刷した後、硬化することにより導電性回路(回路パターン)を作成することが多くなっている。
例えば、特許第2616526号公報には、銅粉末をフェノール樹脂およびポリイミド樹脂中に分散させたペーストを作製し、当該ペーストを印刷法により基板上に印刷した後、加熱・硬化することにより導電性回路を形成するプリント基板の製造方法が開示されている。
【0003】
また、特開平11−191669号公報には、(1)金属粉末と樹脂とを含む導電性ペーストを用いて、絶縁性基材上に凹版オフセット印刷法によってパターン印刷を行って形成した導電回路基部と、(2)絶縁基材表面の、上記導電性回路基部上に、電解銅メッキによって形成した銅被覆層とからなるプリント基板が提案されている。印刷法による導電性回路の作製は、サブトラクティ法(銅箔の接着、レジストを塗布、露光・現像、エッチングによる導電性回路の作製)に比べて、エッチング処理に起因する廃液汚染の心配がなく、また低価格であるなどのメリットを有する。
【0004】
一方、CRT(ブラウン管)、PDP(プラズマ・ディスプレィ・パネル)等の電子機器の表示部から照射される電磁波を遮蔽するために、導電性ペーストを使用して、透明基板の表面に、印刷パターンがストライプ状または格子状からなる電磁波シールドパターンを凹版オフセット印刷により形成した透光性電磁波シールド部材を作製するこが知られている(例えば、特開2000−286595号公報など)。このとき、凹版オフセット印刷した後、電磁波シールド部を選択的に電解メッキすることにより、さらに電気抵抗の低減化を図ることができる。
【0005】
このように、導電性パターンは、硬化性樹脂と導電性フィラーとを溶媒の存在下に混練して導電性ペーストを調製し、このペーストを印刷法とくに凹版オフセット印刷法により、絶縁性基材上に所望の導電性パターンを印刷することが行われている。凹版オフセット印刷の概要を、図2(a)に示し、またその印刷機の模式図を図2(b)に示す。パターン印刷に際して、導電性ペーストは、図2(a)における▲1▼ドクタリング工程、▲2▼オフ工程および▲3▼セット工程を支障なく行えるような印刷特性を有しなければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
導電性ペーストを用いて、回路パターンあるいは電磁波シールドパターンなどの導電性パターンを印刷する場合、導電性ペーストは印刷特性が良く、かつパターン作製後の導電性が良好であること、すなわち電気抵抗値が所期どおり制御されていることが重要となる。とりわけ、最近の各種電気機器の小型化、薄型化などの要望に応じて、線幅が100μmより小さい導電回路、好ましくは25〜50μm程度の導電回路を形成するなど、高精細化が進んでおり、そのためには導電性ペーストの印刷特性をより一層向上させることが望まれている。
【0007】
印刷特性には、導電性ペースト中の導電性フィラー量が影響し、細い線幅の印刷に際して従来どおりの導電性フィラー量を含有させると、凹版凹部より導電性ペーストが印刷用ブランケットに転写し難くなるという問題が発生する。この多くは、導電性ペーストのタックが導電性フィラー量によって影響されることに起因する。導電性フィラー量を減らすことにより、転写性がよくなるものの、電気抵抗値が増すことになり、その抵抗値を現行と同程度に維持しようとすれば、そのフィラーを減量化するにも限度がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、印刷法による導電性パターンの作製において、導電性フィラー量を従来に比して少なくして印刷特性を向上させ、しかも電気抵抗を少なくとも従来と同程度に制御することが可能な、前記パターンの作製方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、導電性フィラー量と印刷特性および電気抵抗との関係を種々検討した結果、絶縁性基板上に導電性パターンを印刷後、硬化する前に遠心力をかけて導電性フィラーを一方に偏在させることにより、導電性フィラー量を従来に比して減量すことができ、しかも遠心力の程度を変えることにより適性な電気抵抗値に制御できるという知見を見出し、これに基づきさらに検討を進めて本発明を完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明の導電性パターンの作製方法は、硬化性樹脂、導電性フィラーおよび溶剤を含有してなる導電性ペーストを用いて、絶縁性基材上に導電性パターンを印刷し、その印刷体に遠心力を付加することによりパターン印刷された導電性ペースト中の導電性フィラーを、絶縁性基材方向またはその反対方向に偏在させ、次いで硬化することを特徴とする。
本発明方法によると、導電性ペースト中の導電性フィラー量を従来に比して少なくすることができるので、印刷法によるパターン作成、とりわけ凹版印刷法を適用するに際して印刷特性が向上し、しかも作製されたパターンの電気抵抗値は遠心力を変えることにより適性に制御することが可能である。つまり、導電性フィラーの使用量を減らしても、それを偏在させることにより密度が増し導電性が良く維持される。
【0011】
本発明において、遠心力は印刷されたパターン中の導電性フィラーを前記方向に偏在させるに必要な強さを要し、通常、20〜140Gの遠心力を付加することが好ましい。具体的には、その導電性ペーストの組成や粘度等を考慮して決定する。一般に、20Gに達しないときは導電性フィラーを偏在させるには十分ではなく、また140Gを超えると印刷した導電性パターンを変形・破壊する恐れが多くなる。この範囲において、遠心力を変えることによりその強さに対応した電気抵抗値に制御することができる。
【0012】
前記導電性ペーストは、その体積抵抗率が0.01〜100Ω・cmであるものが用いられ、導電性パターンの使用目的により適宜調整する。
前記導電性フィラー量は、目的とする導電性パターンによっても異なるが、導電性ペースト中の前記樹脂100重量部に対して500〜1200重量部の割合である。
また、導電性フィラーの材質は、導電性がよいことと同時に、遠心力を付加したときにベースとなる樹脂は固定されていてその一方に導電性フィラーを偏在させるという目的上、その比重が前記樹脂よりも大きいものを選択する必要があり、通常は1.5倍以上であることが好ましく、5倍以上であればさらに好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明では、印刷法によって、下記の導電性ペーストを絶縁基材上に、導電性パターンを印刷し、次いでこの印刷体に対して絶縁性基材方向またはその反対方向に遠心力を付加して導電性フィラーを偏在させ、その後樹脂を硬化させて、導電性パターンを作製する。
(導電性ペーストの調製)
本発明で使用する導電性ペーストは、硬化性樹脂、導電性フィラーおよび溶剤をそれぞれ所定量配合して調製され、通常は3本ロール等を使用して混練・分散させて得られる。導電性フィラーの分散性を向上させるためには、3本ロールによる混練の前にあらかじめプラネタリーミキサーなどで十分に混合しておいてもよい。
【0014】
前記硬化性樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂あるいはフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が代表的なものであり、これら樹脂は1種でもよいし、2種以上を併用してもよい。また、紫外線硬化樹脂(例、アクリル系樹脂)であってもよい。
前記導電性フィラーとしては、前記したとおり、その比重が樹脂よりも1.5倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。一般に、銀、銅、金、ニッケルまたはパラジウムなどの金属粉末、または金属酸化物粉末が好ましく、これらをそれぞれ単独または2種以上を混合して用いる。これら金属粉末の中でも、とりわけ銀粉末は絶縁性の高い酸化物が生成しにくいことから好適であり、また銅粉末も好ましく用いられる。
【0015】
前記導電性フィラー粉末は、その形状において制限はなく、球状、鱗片状あるいは粟状などいずれでもよく、またその大きさも0.1〜100μmのものが使用可能であるが、一般的には金属粉末同士の接触面を大きくすることを考慮すれば0.1〜20μmの大きさで鱗片状のものが好ましく使用される。
前記溶剤は、導電性フィラーおよび硬化性樹脂を含む配合物に、印刷するために適した粘性のペーストを調製するために添加される。該溶剤としては、例えば沸点が150℃以上の溶剤が好適である。溶剤の沸点が150℃を下回ると、印刷時において乾燥しやすくなり、ペーストが経時変化を起こしやすくなる。
【0016】
前記溶剤の具体例としては、例えばアルコール類(例、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ベンタデカノール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオールなど)や、アルキルエーテル類[エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、力ルピトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなど]等が挙げられ、印刷適性や作業性等を考慮して適宜選択される。
【0017】
前記溶剤として高級アルコールを使用する場合は、インキの乾燥性や流動性が低下する恐れがあるため、これらよりも乾燥性が良好なブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどを併用すればよい。
本発明において、導電性ペーストには、所望により上記以外の成分を添加してもよく、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラックあるいはランプブラックなどのカーボンブラックを導電性向上などを目的に添加してもよく、通常、平均粒子径が30nm以下の微粉体として用いられる。
【0018】
上記導電性フィラー粉末の使用量は、前記のとおり、樹脂100重量部に対して500〜1200重量部、好ましくは600〜1200重量部である。具体的な量は、材質やその目的とする導電性パターンなどを考慮して決められるが、本発明においては相対的に従来量よりも少なくすることができる。一般に、前記フィラー粉末の添加量が500重量部よりも少ないと、粉末同士の接触点の不足により、体積固有抵抗が大きくなる。一方、導電性フィラー粉末の添加量が1200重量部よりも多ければ、ペースト全量に対する樹脂の使用量が少な過ぎるため、粉末を結合させる力が小さくなって、印刷法よる回路形成ができなくなる。
【0019】
次に、溶剤の添加量は、前記のとおり、導電性樹脂組成物が凹版オフセット印刷法で印刷するために適した粘性を有するペースト状となるように適宜選択される。その粘度は、通常50〜2000ポイズ(P)となるように調整されるが、好ましい範囲は100〜1000Pである。粘性が上記範囲を上回ると印刷適性が低下し微細なパターンを形成できなくなり、逆に下回るとぺースト中の導電性粉末の割合が少なくなって導電性が充分満足されなくなる。
【0020】
溶剤の使用量は、得られるペーストの粘度によって決定されるが、上記導電性フィラー粉末の添加量との兼ね合いから、通常、樹脂100重量部に対して5〜50重量部、好ましくは10〜20重量部の範囲より選択される。
溶剤の使用量が上記範囲を下回る場合には、導電性フィラー粉末の添加量が最小の500重量部であっても、粘度が1000P以上となり、絶縁基材上に印刷する際にピンホールが多発してしまう。一方、上記範囲を上回る場合には導電性フィラー粉末の使用量が最大の1000重量部であっても、粘度が10P以下となり、基板への粘着不足となりペーストがはじいてしまい、良好な印刷形状を達成することができない。
【0021】
次に、前記絶縁性基材としては、導電性ペーストを印刷した後、加熱工程あるいは紫外線照射工程を経ることから、充分な耐熱性を有するものが好ましい。具体的には、ソーダライムガラス、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン(PES樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA樹脂)、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)等が挙げられるが、なかでも非常に透過性が良好であり安価であることからPETフィルムが望ましい。
【0022】
絶縁性基材の厚みは、特に限定されないが、電磁波シールド部材の透光性を維持するという観点から薄いほど好ましい。すなわち、使用時の形態(フィルム状、シート状)や必要とされる機械的強度に応じて通常0.05〜5mmの範囲で設定される。
(導電性パターンの印刷)
本発明における導電性パターンは、その目的に応じて、厚さ、線幅、線間を選択するが、例えば、厚さ1〜10μm、線幅20〜1000μm、線間50〜500μmの範囲である。
【0023】
一般に、印刷法としては、例えばスクリーン印刷法、水無しオフセット印刷法、凹版(グラビア)印刷、凹版オフセット印刷法等の従来公知の印刷法があげられる。これらの中で、凹版オフッセット印刷法が好ましく、良好なライン直線性や導電回路基部の厚みの均一性が図れる点などに優れており、また凹版印刷法と同様に、凹部の深さを導電回路基部のパターンの厚さに応じて調節することにより導電回路基部に必要な厚みを一回の印刷で形成することもできる。さらに、線幅が25〜50μm程度の超微細なパターンであっても精密に再現することが可能である。
【0024】
本発明に用いられる凹版としては、基板の表面に所定の凹部を形成した、平板状のものや、平板状のものを巻き付けたもの、円筒状のもの、あるいは円柱状のものが挙げられる。上記基材としては、例えばソーダライムガラス、ノンアルカリガラス、石英、低アルカリガラス、低膨張ガラスなどのガラス基板のほか、フッ素樹脂、ポリカーポネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエステル、ポリメタクリル樹脂等の樹脂板、ステンレス、銅、ニッケル、低膨脹合金アンバー等の金属基板などが使用可能である。なかでも、パターンのエッヂ形状が非常にシャープに形成することが可能な、ガラス製のものを用いるのが特に好ましい。
【0025】
凹版凹部は、従来どおり、フォトリングラフイ法及びエッチング法もしくは電鋳法等により形成される。上記凹版凹部の線幅、線間隔および深さは、導電性パターン部の形状に応じて上記記載の範図内で適宜設定される。凹版オフセット印刷に用いられる凹版は、基板の表面に導電性パターンに対応した凹部を形成したものである。前記凹版の凹部の深さは、導電性パターン厚みが乾燥後の厚さで通常3〜15μm程度となるように、前記凹部の深さを5〜30μm程度の範囲で設定される。
【0026】
凹版オフセット印刷に用いられるオフセットブランケットとしては、従来公知のものが使用できるが、その表面がシリコーンゴムからなり、ゴム硬度(JISA)が30〜80度であり、好ましくは40〜70度のブランケットを用いた場合には、ペーストの転写が良好であるために、線幅が50μm以下の微細パターンを行うには好適である。また、得られる導電性パターンの表面の平坦性をより良好なものとするためには、オフセットブランケットのゴム表面が平坦であるほど好ましく、具体的には、表面粗さ(十点平均粗さ)が0.2μm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
【0027】
最近のプリント基板は、線幅が100μm以下、好ましくは25〜80μm程度、より好ましくは25〜50μm程度の超微細なパターン印刷が要求されていることから、このような超微細な印刷においても、ライン形状や寸法精度が優れていることか必要である。
一方、電磁波シールドパターン部のパターン形状には、例えば線幅が5〜40μmであるストライプ状パターン、格子状のパターン等が挙げられる。
【0028】
電磁波シールドパターン部のパターン形状は、上記ストライプ状及び格子状のほかに、幾何学模様であっても良い。すなわち、例えば正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形;正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形;(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形等の(正)N角形;円、楕円、星型等の種種の図形単位を繰り返して得られる幾何学模様を電磁波シールドパターン部10としてもよい。かかる幾何学模様において、前記図形単位は2種以上を組み合わせたものであってもよい。また、電磁波シールド部材の除電をスムーズに行う観点から、幾何学模様中の各図形単位がそれぞれ連続していることが好ましい。
【0029】
(遠心力付加工程)
上記のとおり導電性パターンを印刷した印刷体は、遠心成形機に入れて遠心力を付加して導電性フィラーを偏在させる。遠心力を付加する方向は、絶縁性基材方向またはその反対方向のいずれかを選択する。この遠心方向と導電性フィラーの偏在方向との関係を図1に示す。ここで、図1(a)は、絶縁性基材1上にパターン2を印刷した印刷体を、その印刷面を内側にして遠心機の回転バスケットCの中に入れて遠心力を付加したとき、パターンを構成する樹脂3内での導電性フィラー4が偏在することを模式的に示した図である。一方、図1(b)は、前記印刷面を外側にして遠心機の回転バスケットの中に入れて遠心力を付加したときの導電性フィラーの偏在を模式的に示した図である。遠心力の大きさは、前記した範囲から選択することが好ましく、その程度を変えることにより、電気抵抗を制御することができる。
【0030】
このように、導電性フィラーは遠心前にはパターンの樹脂全体に分布しているが、遠心後は遠心方向に偏在することになり、この部分で導電性フィラー粒子の充填密度が増す。次いで、これを硬化させることにより、遠心力を付加せず単に硬化する場合に比べて、電気抵抗値の小さい導電性パターンが得られる。しかも、はじめの導電性ペーストにおける導電性フィラー量を少なくできることから、印刷特性がよくなり、微細なパターンであっても、抜けやエッジ欠けのない状態で印刷することが可能になる。
【0031】
前記の遠心方向は、導電性の面からはいずれであってもよいが、導電性パターンの使用目的に応じて選択することができる。例えば電磁波シールドパターンの場合、導電性フィラーである銀粉末を絶縁性基材方向に偏在させることによって、銀電極パターンの上に銅メッキするときに、メッキの付けを向上させることができる。また、例えば転写ベルト上に電極を形成させる場合、導電性フィラーを絶縁性基材方向と反対方向に偏在させることによって、電極表面が直接転写ローラ(スポンジゴム製)に接触しても、パターンの表面が樹脂リッチになっており耐磨耗性を有するものに仕上げることができる。
【0032】
(硬化工程)
上記のとおり遠心付加工程を終えたのち、導電性パターンを硬化する。この硬化工程自体は、常法どおり実施することができる。すなわち、熱硬化型樹脂を使用の場合、80〜250℃で10〜120分間加熱し硬化することによって、導電性パターンが作製される。また紫外線硬化型樹脂を使用の場合は、紫外線を1〜10分間照射し硬化する。こうして本発明の目的物である導電性パターンが作製される。
【0033】
本発明において、導電性パターンに電解メッキを施すことによりさらに低抵抗化を図ることができ、例えば電磁波シールド性をより向上させることができる。
電解メッキとしては、抵抗、コストから考えて電解銅メッキが有効である。かかる電解銅メッキは、電気分解反応で銅メッキ液中の銅イオンを還元し、陰極に設置された導電パターン部上に銅を析出させること(電析)によって行われるが、前記導電パターン部は電気分解反応に必要な導電性を有する必要があり、電気抵抗が小さいほど電解時間が短く設定でき生産性を向上させることができる。
【0034】
上記電解銅メッキに使用する銅メッキ液は、硫酸銅メッキ液、ホウフッカ銅メッキ液などの酸性浴、あるいはピロリン酸銅メッキ液、シアン化銅メッキ液などのアルカリ性浴が挙げられる。なかでも、均一電着性および微粒子メッキに優れ、しかもメッキ液の毒性が少ないピロリン酸銅液を使用するのが好ましい。
メッキ条件は、被覆層の厚みに応じて適宜設定される。被覆層の厚みは、シールド性と生産性の両面から考慮して設定されるが、通常1μm〜10μmである。10μm以上の厚みにしても、シールド性能は、ほとんど変わらず同じである。
【0035】
【実施例】
以下に、比較例と共に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
ポリエステル樹脂100重量部に銀粉末(平均粒径:4μm)500重量部を混入し、次にブチルカルビトールを、30重量部を加えて粘度100ポイズの導電性ペーストを調製した。
【0036】
この導電性ペーストを用いて、厚み100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、凹版オフセット印刷法により、線幅1000μm、厚み5μmのストライプのパターンを印刷したところ、良好に印刷することができた。
次に、この印刷体を、印刷直後、印刷面が内側を向くようにして(図1(a)参照)、遠心機(内径168mm)に入れて、1500rpmで1時間、遠心力(54G)を付加した。その後、遠心機から取り出し、直ちに100℃で1時間加熱して、パターンを硬化させた。
【0037】
このようにして作製したストライプパターンを、長さ100mmに切断して、図3に示すとおり、端部にドータイトを塗布してテスターで電気抵抗値を測定したところ、0.957Ωであった。
実施例2
実施例1において、1000rpmで1時間、遠心力(21G)を付加した以外は同様にしてストライプパターンを作製した。この電気抵抗値を実施例1における同様の方法により電気抵抗値を測定したところ、10.5Ωであった。
【0038】
比較例1
実施例1において、印刷体に遠心力をかけることなく、直ちに加熱硬化してストライプパターンを作製した。この電気抵抗値を実施例1における同様の方法により電気抵抗値を測定したところ、2.34×107Ωであった。
比較例2
ポリエステル樹脂100重量部に銀粉末(平均粒径:4μm)3500重量部を混入し、次にブチルカルビトール30重量部を加えて導電性ペーストを調製した。このペーストを用いて、実施例1における同様にして、凹版オフセット印刷法により、線幅1000μm、厚み5μmのストライプパターンの印刷を試みたが、ペーストが凹版から印刷用ブランケットへほとんど転移することができず、印刷不可能であった。なお、この導電性ペーストの電気抵抗はバルク1Ωであった。
【0039】
比較例3
ポリエステル樹脂100重量部に銀粉末(平均粒径:4μm)1800重量部を混入し、次にブチルカルビトール30重量部を加えて導電性ペーストを調製した。このペーストを用いて、実施例1における同様にして、凹版オフセット印刷法により、線幅1000μm、厚み5μmのストライプパターンの印刷を試みたところ、ペーストが凹版から印刷用ブランケットへの転移に際して、抜けやエッジの欠けが多数あり、転移不良が認められた。この電気抵抗値を実施例1における同様の方法により電気抵抗値を測定したところ、10.3Ωであった。
以上の実施例および比較例の結果をまとめて表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
上記において、実施例1と2、および比較例1は銀粉末の使用量が比較的少ない場合である。このときパターン印刷が良好であって、実施例1と2に見られるように遠心力を付加したことにより電気抵抗値も小さく制御し得るが、比較例1(遠心力を付加せず)では大きい抵抗値を示す。とりわけ、実施例2の方が実施例1に比べて遠心力を強くしているために、電気抵抗値もより小さくなっており、遠心力の程度によって電気抵抗値を制御し得ることがわかる。
【0042】
一方、比較例3の場合、銀粉末を多くした場合であって電気抵抗値は実施例2と同程度であるが、印刷特性に難点が見られる。比較例2は、銀粉末量をさらに多くした例であるが印刷特性が非常に悪くなっている。
これらのことは、本発明によると、銀粉末の使用量を減らすことによりその分印刷特性を向上させしかも電気抵抗を適性に制御できる、ことを示すものである。
【0043】
【発明の効果】
上述のように、本発明を適用することにより、導電性パターンの印刷特性に適した導電性フィラー量を選択できて、しかも遠心力の程度によって電気抵抗値を適性に制御することが可能である。また、遠心力の方向によって、導電性フィラーの偏在方向を変えることができることから、目的に応じてメッキ付けの向上や、パターン表面に耐磨耗性を付与することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明により、パターン印刷後の印刷体に基材方向に遠心力を付加して導電性フィラーを偏在させた例を示し、一方図1(b)は、その反対方向に導電性フィラーを偏在させた例を示す。
【図2】凹版オフセット印刷による工程と印刷機の模式図を示す。
【図3】電気抵抗の測定方法を示す。
Claims (5)
- 硬化性樹脂、導電性フィラーおよび溶剤を含有してなる導電性ペーストを用いて、絶縁性基材上に導電性パターンを印刷し、その印刷体を(a)当該印刷面を内側にして遠心機の回転バスケットに入れて遠心力を付加することにより、パターン印刷された導電性ペースト中の導電性フィラーを前記絶縁性基材が位置する方向に偏在させるか、または(b)当該印刷面を外側にして遠心機の回転バスケットに入れて遠心力を付加することにより、パターン印刷された導電性ペースト中の導電性フィラーを前記絶縁性基材が位置する方向の反対方向に偏在させ、次いで硬化することを特徴とする導電性パターンの作製方法。
- 前記遠心力が20〜140Gであることを特徴とする請求項1記載の導電性パターンの作製方法。
- 前記導電性ペーストの体積抵抗率が0.01〜100Ω・cmであることを特徴とする請求項1または2記載の導電性パターンの作製方法。
- 前記導電性フィラー量が導電性ペースト中の前記樹脂100重量部に対して500〜1200重量部の割合であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性パターンの作製方法。
- 前記導電性フィラーは、その比重が前記樹脂に対して1.5倍以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性パターンの作製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001250708A JP4694735B2 (ja) | 2001-08-21 | 2001-08-21 | 導電性パターンの作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001250708A JP4694735B2 (ja) | 2001-08-21 | 2001-08-21 | 導電性パターンの作製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003069191A JP2003069191A (ja) | 2003-03-07 |
JP4694735B2 true JP4694735B2 (ja) | 2011-06-08 |
Family
ID=19079477
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001250708A Expired - Fee Related JP4694735B2 (ja) | 2001-08-21 | 2001-08-21 | 導電性パターンの作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4694735B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10335230A1 (de) * | 2003-08-01 | 2005-02-17 | Man Roland Druckmaschinen Ag | Verfahren zur Herstellung von RFID Etiketten |
JP2014017397A (ja) * | 2012-07-10 | 2014-01-30 | Ricoh Co Ltd | 金属薄膜の形成方法、金属薄膜並びに該金属薄膜を備える金属薄膜積層体、導電性パターン及びアンテナ |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10290094A (ja) * | 1997-04-11 | 1998-10-27 | Nippon Paint Co Ltd | 電磁波吸収材及びその製造方法 |
JPH11217522A (ja) * | 1998-02-04 | 1999-08-10 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 導電性ペーストとそれを用いたプリント基板、ならびにその製造方法 |
JPH11274199A (ja) * | 1998-03-19 | 1999-10-08 | Ricoh Microelectronics Co Ltd | バンプ電極形成方法及びその装置 |
JP2006100371A (ja) * | 2004-09-28 | 2006-04-13 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 配線基板とそれを用いた電子機器およびその製造方法 |
-
2001
- 2001-08-21 JP JP2001250708A patent/JP4694735B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10290094A (ja) * | 1997-04-11 | 1998-10-27 | Nippon Paint Co Ltd | 電磁波吸収材及びその製造方法 |
JPH11217522A (ja) * | 1998-02-04 | 1999-08-10 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 導電性ペーストとそれを用いたプリント基板、ならびにその製造方法 |
JPH11274199A (ja) * | 1998-03-19 | 1999-10-08 | Ricoh Microelectronics Co Ltd | バンプ電極形成方法及びその装置 |
JP2006100371A (ja) * | 2004-09-28 | 2006-04-13 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 配線基板とそれを用いた電子機器およびその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003069191A (ja) | 2003-03-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3017987B1 (ja) | 透光性電磁波シ―ルド部材およびその製造方法 | |
JP3017988B1 (ja) | 透光性電磁波シ―ルド部材およびその製造方法 | |
JP2002133944A (ja) | 導電性インキ組成物とそれを用いた微細パターンの印刷方法および透光性電磁波シールド部材の製造方法 | |
JP4694735B2 (ja) | 導電性パターンの作製方法 | |
JP3532146B2 (ja) | 透光性電磁波シールド部材とその製造方法 | |
JP4801855B2 (ja) | 導電性ペーストとそれを用いた導電性パターンの形成方法 | |
JP2002111278A (ja) | 透光性電磁波シールド部材の製造方法 | |
JP3241348B2 (ja) | 透光性電磁波シールド部材の製造方法 | |
JP3544498B2 (ja) | 透光性電磁波シールド部材とその製造方法 | |
JP2003266583A (ja) | 導電性シートおよびその製造方法 | |
JP2000269682A (ja) | 透光性電磁波シールド部材の製造方法 | |
JP3425400B2 (ja) | 透光性電磁波シールド部材およびその製造方法 | |
JP3904317B2 (ja) | プリント基板の製造方法 | |
JP2000269683A (ja) | 透光性電磁波シールド部材の製造方法 | |
JP3040395B1 (ja) | 透光性電磁波シ―ルド部材の製造方法 | |
JP3398092B2 (ja) | 透光性電磁波シールド部材およびその製造方法 | |
JP4709437B2 (ja) | 導電性パターンの形成方法 | |
JP2005063843A (ja) | プラズマディスプレイパネル用電極パターンの印刷方法 | |
JP3904433B2 (ja) | 導電性ペーストとそれを用いた導電パターンの形成方法 | |
JP4015406B2 (ja) | 異方性導電フィルムの製造方法 | |
JP2000174484A (ja) | 透光性電磁波シールド部材およびその製造方法 | |
JPH11217522A (ja) | 導電性ペーストとそれを用いたプリント基板、ならびにその製造方法 | |
JP2003046292A (ja) | 透光性電磁波シールド部材およびその製造方法 | |
JP2004345134A (ja) | 凹版オフセット印刷方法 | |
JP2004181671A (ja) | 導電性パターンの印刷方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080718 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101118 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110111 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110203 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110224 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140304 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |