JP4693615B2 - 鉄骨用耐火被覆シート - Google Patents
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Description
本発明は、施工が容易で、かつ、4mm以下の厚さでも鉄骨に2時間以上の耐火性能を付与することができる鉄骨用耐火被覆シートに関する。
建築物の構造材をなす梁、柱等には、建築物の高層化にともなって軽量な鉄骨が使用されるようになっている。このような鉄骨は、火災による炎にさらされ一定温度を超えると座屈を生じて形状を保持できなくなり、建築物の崩壊を招く。従って、建築物の構造材として使用される鉄骨には、建築基準法やJIS A 1304により耐火性能基準が定められている。積載荷重の考え方から使用される階数により異なった基準が設定されており、例えば5階建て以上の建築物の場合、最上階から数えた階数が2以上で4以内の階であれば1時間の耐火性能が要求されるのに対し、最上階から数えた階数が5以上で14未満の階は2時間の耐火性能、最上階から数えた階数が15以上の階は3時間の耐火性能が求められる。また、このような耐火性能の評価基準として、ISO 834等の国際基準も定められている。
鉄骨に耐火性を付与する方法としては、耐火被覆を施す方法が一般的である。鉄骨に5階以上の高層建築物にも使用可能な2時間以上の高い耐火性能を付与する耐火被覆方法としては、例えば、無機繊維のふきつけ、マット状に加工された無機繊維の貼付、耐火塗料の厚塗り等が行われている。しかしながら、これらの方法は、人体・環境面への悪影響、施工性の問題、建築物としての省スペース化の問題等の種々の問題点があった。
一方、近年、熱膨張性樹脂組成物等からなる難燃性の高い材料が提案されている。例えば、特許文献1には、無機系膨張剤と無機系形崩れ防止剤として硼酸を含有する防火区画体の貫通口を閉塞するのに好適な熱膨張性防火用組成物が開示されており、特許文献2には、ポリマーと熱膨張性黒鉛、更にアンチモン、ビスマス、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、硼素、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群から選ばれる金属酸化物を含有する難燃性組成物が開示されており、特許文献3には、ポリオレフィン熱膨張性黒鉛、燐化合物を含有する樹脂組成物が開示されており、特許文献4や特許文献5には、熱可塑性樹脂又はゴムに対して熱膨張性黒鉛、リン化合物、無機充填材を含有した熱膨張性組成物が開示されており、特許文献6には、熱膨張性耐火層に補助断熱層及び不燃材を積層してなる耐火被覆鉄骨構造体が開示されており、特許文献7には、熱可塑性樹脂又はゴムに対して熱膨張性黒鉛、リン化合物、含水無機物及び金属炭酸塩を含有した形状保持性を有する熱膨張性シート(A)層と、熱可塑性樹脂又はゴムに対して熱膨張性黒鉛、含水無機物又は金属炭酸塩を含有した形状保持性を有さない熱膨張性シート(B)層とを積層した多層シートが開示されている。
これらの難燃性材料をシート状に加工したものを被覆材として用いれば、高い施工性で鉄骨に耐火性を付与することができる。
これらの難燃性材料をシート状に加工したものを被覆材として用いれば、高い施工性で鉄骨に耐火性を付与することができる。
しかしながら、これらの難燃性材料は、いわゆる「難燃性」を意図して開発されたものであることから、鉄骨に耐火性を付与する耐火被覆材としての性能は不充分なものであった。とりわけ鉄骨に5階以上の高層建築物にも使用可能な2時間以上の高い耐火性能を付与するためにはシートの初期の厚みを増したり、積層させる副資材の厚みを増したり、積層枚数を増やしたりする必要がある。そのため、施工時に重量が増加し、作業性が悪くなったり、工数が増加するデメリットが発生したり、省スペースのメリットが小さくなり、コストも上がるという問題があった。
特許第3455801号明細書
特開平8−302209号公報
特開平6−25476号公報
特許3299899号明細書
特開平10−7838号公報
特許3581597号明細書
特許3688508号明細書
本発明は、上記現状に鑑み、施工が容易で、かつ、4mm以下の厚さでも鉄骨に2時間以上の耐火性能を付与することができる鉄骨用耐火被覆シートを提供することを目的とする。
本発明は、形状保持性膨張層と断熱性強化層とが積層された積層体からなる鉄骨用耐火被覆シートであって、前記形状保持性膨張層は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム、熱膨張性黒鉛、ポリリン酸アンモニウム並びに炭酸カルシウムを含有するものであり、前記断熱性強化層は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム、熱膨張性黒鉛、熱重量分析により測定した2%重量減少温度が熱膨張性黒鉛の膨張開始温度以下である液状成分、並びに、JIS K 5101に準拠する方法により測定したアマニ油の吸油量が25mL/100g以上であって示差熱分析において200〜400℃に吸熱ピークを有さない無機充填材を含有し、かつ、熱膨張性黒鉛の熱膨張開始温度より20℃以上低い温度で加熱した場合の体積膨張倍率が2倍以上である鉄骨用耐火被覆シートである。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の組成からなることにより形状保持性を有したまま膨張させることができる形状保持性に特化した形状保持性膨張層と、特定の組成からなることにより高い断熱性を発揮できる断熱性に特化した断熱性強化層とを積層して用い、しかも、このような積層体を断熱性強化層側が鉄骨側に、形状保持性膨張層側が表面側になるように鉄骨に被覆することによりはじめて、耐火性能が格段に向上し、4mm以下の厚さでも鉄骨に2時間以上の耐火性能を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の鉄骨用耐火被覆シートは、形状保持性膨張層と断熱性強化層とが積層された積層体からなる。
上記形状保持性膨張層は、本発明の鉄骨用耐火被覆シートを鉄骨に被覆したときに表面側になるようにすることで、上記断熱性強化層に対する遮熱、遮炎の役割を担うものである。一方、上記断熱性強化層は、上記形状保持性膨張層から伝わってきた熱に対し、比較的低温で膨張して高い断熱性を発揮する役割を担うものである。
上記形状保持性膨張層は、本発明の鉄骨用耐火被覆シートを鉄骨に被覆したときに表面側になるようにすることで、上記断熱性強化層に対する遮熱、遮炎の役割を担うものである。一方、上記断熱性強化層は、上記形状保持性膨張層から伝わってきた熱に対し、比較的低温で膨張して高い断熱性を発揮する役割を担うものである。
上記形状保持性膨張層は、可塑性樹脂及び/又はゴム、熱膨張性黒鉛、ポリリン酸アンモニウム並びに炭酸カルシウムを含有する。
上記可塑性樹脂、ゴムとしては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブテン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂、ゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記可塑性樹脂、ゴムとしては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブテン、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂、ゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記熱可塑性樹脂、ゴムは、本発明の目的を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されていてもよい。
上記架橋としては特に限定されず、例えば、架橋剤を用いる方法、過酸化物等を用いる方法、電子照射を行う方法等の熱可塑性樹脂、ゴムについて通常行われている方法による架橋が挙げられる。
上記変性としては特に限定されず、マレイン酸変性やグラフト化等の熱可塑性樹脂、ゴムについて通常行われている方法による変性が挙げられる。
上記架橋としては特に限定されず、例えば、架橋剤を用いる方法、過酸化物等を用いる方法、電子照射を行う方法等の熱可塑性樹脂、ゴムについて通常行われている方法による架橋が挙げられる。
上記変性としては特に限定されず、マレイン酸変性やグラフト化等の熱可塑性樹脂、ゴムについて通常行われている方法による変性が挙げられる。
上記形状保持性膨張層において、上記熱膨張性黒鉛は、膨張剤としての役割を果たす。
本明細書において熱膨張性黒鉛とは、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであって、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物を意味する。
本明細書において熱膨張性黒鉛とは、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであって、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物を意味する。
上記熱膨張性黒鉛としては、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和されものが好適である。
上記脂肪族低級アミンとしては特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。上記アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物としては特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
このように中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、UCAR CARBON社製「GRAFGUARD」、東ソー株式会社製「GREP−EG」等が挙げられる。
上記脂肪族低級アミンとしては特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。上記アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物としては特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
このように中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、UCAR CARBON社製「GRAFGUARD」、東ソー株式会社製「GREP−EG」等が挙げられる。
上記熱膨張性黒鉛としては、200〜20メッシュの粒度のものが好適である。200メッシュ未満であると、熱膨張性黒鉛の膨張性が小さく、充分な耐火断熱効果が得られないことがあり、20メッシュを超えると、熱可塑性樹脂及び/又はゴムへの分散性が悪くなり、得られるシートの物性が低下することがある。
上記形状保持性膨張層における上記熱膨張性黒鉛の配合量としては特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対する好ましい下限は20重量部、好ましい上限は100重量部である。20重量部未満であると、熱膨張性が不足し、充分な遮熱機能を果たすことができないことがあり、100重量部を超えると、物性が低下して表面が割れたり、燃焼時に自重に耐えきれず途中で燃焼残渣が崩落したりすることがある。より好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は80重量部であり、更に好ましい下限は45重量部、更に好ましい上限は65重量部である。
なお、本明細書において、樹脂成分には、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴムの他、樹脂バインダーの改質のために添加する可塑剤や粘着付与剤等も含まれる。
なお、本明細書において、樹脂成分には、上記熱可塑性樹脂及び/又はゴムの他、樹脂バインダーの改質のために添加する可塑剤や粘着付与剤等も含まれる。
上記ポリリン酸アンモニウムは、上記形状保持性膨張層において形状保持剤としての役割を果たす。
上記形状保持性膨張層における上記ポリリン酸アンモニウムの配合量としては特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対する好ましい下限は20重量部、好ましい上限は200重量部である。20重量部未満であると、火災時に形状保持能力が不足し、遮熱、遮炎機能を充分に果たすことができないことがあり、200重量部を超えると、シート状成形体としての可とう性が劣り、成形が困難となることがある。より好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は150重量部であり、更に好ましい下限は60重量部、更に好ましい上限は120重量部である。
上記形状保持性膨張層における上記ポリリン酸アンモニウムの配合量としては特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対する好ましい下限は20重量部、好ましい上限は200重量部である。20重量部未満であると、火災時に形状保持能力が不足し、遮熱、遮炎機能を充分に果たすことができないことがあり、200重量部を超えると、シート状成形体としての可とう性が劣り、成形が困難となることがある。より好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は150重量部であり、更に好ましい下限は60重量部、更に好ましい上限は120重量部である。
上記形状保持性膨張層における上記熱膨張性黒鉛とポリリン酸アンモニウムとの重量比としては、熱膨張性黒鉛/ポリリン酸アンモニウムの値の好ましい下限が0.01、好ましい上限が9である。0.01未満であると、膨張性が不充分となり、充分な耐火性能を発揮できないことがあり、9を超えると、燃焼残渣が脆くなり、形状保持効果を発揮できないことがある。より好ましい下限は0.3、より好ましい上限は7であり、更に好ましい下限は0.5、更に好ましい上限は5である。
上記炭酸カルシウムは、上記形状保持性膨張層においてポリリン酸アンモニウムと相互作用することによりより強固な燃焼残渣を形成させて、形状保持性を更に向上させる役割を果たす。
上記形状保持性膨張層における上記炭酸カルシウムの配合量としては特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対する好ましい下限は20重量部、好ましい上限は200重量部である。20重量部未満であると、充分な形状保持効果が得られず、燃焼残渣が脆いものとなって充分な遮熱、遮炎効果を発揮できないことがあり、200重量部を超えると、シート状成形体としての可とう性が劣り、成形が困難となることがある。より好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は150重量部であり、更に好ましい下限は60重量部、更に好ましい上限は120重量部である。
上記形状保持性膨張層における上記炭酸カルシウムの配合量としては特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対する好ましい下限は20重量部、好ましい上限は200重量部である。20重量部未満であると、充分な形状保持効果が得られず、燃焼残渣が脆いものとなって充分な遮熱、遮炎効果を発揮できないことがあり、200重量部を超えると、シート状成形体としての可とう性が劣り、成形が困難となることがある。より好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は150重量部であり、更に好ましい下限は60重量部、更に好ましい上限は120重量部である。
上記形状保持性膨張層における上記炭酸カルシウムとポリリン酸アンモニウムの重量比としては、炭酸カルシウム/ポリリン酸アンモニウムの値の好ましい下限が0.6、好ましい上限が1.5である。0.6未満であると、火災時に燃焼残渣が粘ちょうになり、燃焼残渣のだれ等を生じたり、形状保持性が劣ることがあり、1.5を超えると、燃焼残渣が粉っぽくなり、鉄骨のたわみが生じた場合に燃焼残渣が追従できずに容易に破断してしまうことがある。より好ましい下限は0.8、より好ましい上限は1.2であり、更に好ましい下限は1.0、更に好ましい上限は1.1である。
上記形状保持性膨張層は、形状保持性の向上を目的として、セラミックファイバー、ガラスファイバー、カーボンファイバー等の繊維を含有したり、補強材として金属からなる織物・網状物等を有してもよい。
上記形状保持性膨張層は、本発明の目的を阻害しない範囲で、難燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、耐電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
上記添加剤としては特に限定されず、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、無機系リン化合物等が挙げられる。これらの添加剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記断熱性強化層は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム、熱膨張性黒鉛、液状成分、並びに、無機充填材を含有する。
上記熱可塑性樹脂、ゴムとしては特に限定されず、上記形状保持性膨張層と同様のものを用いることができる。
上記形状保持性膨張層と断熱性強化層とを構成する熱可塑性樹脂、ゴムは、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、熱可塑性樹脂又はゴムの一部でも共通する場合には、ラミネート加工、接着剤塗工による加工を行ったときに接着強度も増し、接着剤の選択の幅も広がる。また、ブチルゴムのように自己粘着性を有するゴムを用いる場合には、上記形状保持性膨張層と断熱性強化層とともに用いる方が積層加工が簡便に行える場合がある。ただし、層毎に樹脂を変えることで、各々の層が耐火性能に及ぼす効果を増長するのであれば、この限りではない。
上記熱可塑性樹脂、ゴムとしては特に限定されず、上記形状保持性膨張層と同様のものを用いることができる。
上記形状保持性膨張層と断熱性強化層とを構成する熱可塑性樹脂、ゴムは、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、熱可塑性樹脂又はゴムの一部でも共通する場合には、ラミネート加工、接着剤塗工による加工を行ったときに接着強度も増し、接着剤の選択の幅も広がる。また、ブチルゴムのように自己粘着性を有するゴムを用いる場合には、上記形状保持性膨張層と断熱性強化層とともに用いる方が積層加工が簡便に行える場合がある。ただし、層毎に樹脂を変えることで、各々の層が耐火性能に及ぼす効果を増長するのであれば、この限りではない。
上記熱膨張性黒鉛としては特に限定されず、上記形状保持性膨張層と同様のものを用いることができる。
上記断熱性強化層における上記熱膨張性黒鉛の配合量としては特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対する好ましい下限は20重量部、好ましい上限は100重量部である。20重量部未満であると、熱膨張性が不足し、充分な遮熱機能を果たすことができないことがあり、100重量部を超えると、物性が低下して表面が割れたり、燃焼時に自重に耐えきれず途中で燃焼残渣が崩落したりすることがある。より好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は80重量部であり、更に好ましい下限は45重量部、更に好ましい上限は65重量部である。
上記断熱性強化層における上記熱膨張性黒鉛の配合量としては特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対する好ましい下限は20重量部、好ましい上限は100重量部である。20重量部未満であると、熱膨張性が不足し、充分な遮熱機能を果たすことができないことがあり、100重量部を超えると、物性が低下して表面が割れたり、燃焼時に自重に耐えきれず途中で燃焼残渣が崩落したりすることがある。より好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は80重量部であり、更に好ましい下限は45重量部、更に好ましい上限は65重量部である。
上記液状成分は、上記断熱性強化層において、低温膨張性を付与して高い断熱性を発揮させるとともに、粘着性を付与する役割、耐寒性を向上させる役割、流動性を調整する役割等を果たす。
上記液状成分としては、熱重量分析により測定した2%重量減少温度(以下、TD2ともいう)が熱膨張性黒鉛の膨張開始温度以下であるものを用いる。液状成分単体での熱分解温度が熱膨張性黒鉛の膨張開始温度を上回ると、低温膨張性を付与する効果が得られない。
上記液状成分としては、熱重量分析により測定した2%重量減少温度(以下、TD2ともいう)が熱膨張性黒鉛の膨張開始温度以下であるものを用いる。液状成分単体での熱分解温度が熱膨張性黒鉛の膨張開始温度を上回ると、低温膨張性を付与する効果が得られない。
上記液状成分としては特に限定されず、例えば、フタル酸系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、サバチン酸エステル系可塑剤、リシノール酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、塩化パラフィン等が挙げられる。また、動物性油脂、植物性油脂、鉱物油、シリコーン油等の油脂類も上記液状成分として用いることができる。更に、粘度の小さい高分子低重合物も上記液状成分として用いることができる。
上記高分子低重合物としては特に限定されず、例えば、ポリブテン、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等の低重合体等が挙げられる。天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等の低重合体等が挙げられる。
上記断熱性強化層における上記液状成分の配合量としては特に限定されないが、樹脂成分100重量部中の含有量の好ましい下限は20重量%、好ましい上限は70重量%である。
20重量%未満であると、充分な低温膨張効果が得られないことがあり、70重量%を超えると、加熱時の流動性が増し、溶融だれを生じて良好な耐火性能が得られないことがある。より好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は60重量%である。
20重量%未満であると、充分な低温膨張効果が得られないことがあり、70重量%を超えると、加熱時の流動性が増し、溶融だれを生じて良好な耐火性能が得られないことがある。より好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は60重量%である。
上記無機充填材としては、JIS K 5101に準拠する方法により測定したアマニ油の吸油量が25mL/100g以上であるものを用いる。このような無機充填材は、上記熱膨張性黒鉛及び液状成分と併用することにより、著しく低温膨張を促進する。25mL/100g未満であると、このような低温膨張促進効果は得られない。好ましくは、30mL/100g以上である。
上記無機充填材による低温膨張促進効果の機構については定かではない。熱膨張性黒鉛の膨張開始温度以下の熱分解温度を有する上記液状成分が上記無機充填材に吸油されることで局在化し、樹脂組成物全体としての分解温度が低下することは確認済みである。このような樹脂組成物は加熱を行うと熱膨張性黒鉛の膨張開始温度を10〜30℃下回る温度で樹脂が鱗片状にはじけて飛散し、熱膨張性黒鉛が膨張を開始する。樹脂組成物としての局部的な分解温度の低下が、樹脂成分の物理的な膨張抑制を排除し初期に自己分解発熱を生じることで、熱膨張性黒鉛の膨張を促進しているのではないかと考えられる。
上記無機充填材としては、示差熱分析において200〜400℃に吸熱ピークを有さないものを用いる。200〜400℃に吸熱ピークが存在すると、低温膨張促進効果が小さくなり、充分な耐火性能を達成できない。
上記無機充填材としては、上記性質を満たしているものであれば特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、タルク、焼成カオリンクレー、カオリンクレー、マイカ、硫酸マグネシウム等が挙げられる。これらの無機充填材は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記断熱性強化層における上記無機充填材の配合量としては特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対する好ましい下限は50重量部、好ましい上限は400重量部である。50重量部未満であると、充分な低温膨張促進効果が得られないことがあり、400重量部を超えると、物性が低下して表面が割れたり、燃焼時に自重に耐えきれず途中で燃焼残渣が崩落したりすることがある。より好ましい下限は70重量部、より好ましい上限は300重量部であり、更に好ましい下限は100重量部、更に好ましい上限は280重量部である。
上記断熱性強化層は、形状保持性を付与する目的で、ポリリン酸アンモニウム、炭酸カルシウム、硼酸等の形状保持剤を含有してもよい。これにより、燃焼時に燃焼残渣の大きな脱落を防ぐことができる。ただし、低温膨張性及び断熱性の低下を引き起こす恐れがあることから、形状保持剤の添加量は、樹脂成分100重量部に対して30重量部未満とすることが好ましい。
上記断熱性強化層は、形状保持性の向上を目的として、セラミックファイバー、ガラスファイバー、カーボンファイバー等の繊維を含有したり、補強材として金属からなる織物・網状物等を内包してもよい。上記断熱性強化層がガラスファイバーを含有する場合には、硼酸、硼砂等の硼素含有成分を併用することでガラスファイバーの溶融が促進され、形状保持能力を向上させることが可能である。
上記断熱性強化層は、本発明の目的を阻害しない範囲で、難燃剤、酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
上記断熱性強化層は、上記熱膨張性黒鉛の熱膨張開始温度より10℃以上低い温度で加熱した場合の体積膨張倍率が2倍以上である。10℃以上低い温度で2倍以上の体積膨張倍率が得られないと、本発明が目的とする高い耐火性は得られない。
本発明の鉄骨用被覆耐火シートは、上記形状保持性膨張層及び/又は断熱性強化層の片面又は両面にアルミ基材を有することが好ましい。上記形状保持性膨張層の上記断熱性強化層とは反対側にアルミ基材を積層することにより熱反射効果が付与されるために、耐火性能を更に向上させることができる。また、上記形状保持性膨張層の上記断熱性強化層側にアルミ基材を積層することにより、比較的形状保持性に劣る上記断熱性強化層を強固に保持することができる。上記断熱性強化層の上記形状保持性膨張層とは反対側にアルミ基材を積層することで、上記断熱性強化層の燃焼残渣の大きな脱落を防ぐという効果が付与される。なお、上記形状保持性膨張層と断熱性強化層との間にアルミ基材を積層する場合は、上記形状保持性膨張層と断熱性強化層との両方にアルミ基材が積層されてもよいし、上記形状保持性膨張層と断熱性強化層との一方にのみアルミ基材が積層されてもよい。
上記アルミ基材としては特に限定されないが、例えば、アルミ箔の他、樹脂フィルムと積層したアルミラミネート基材やアルミガラスクロス基材等も用いることができる。なかでも、アルミガラスクロス基材は、火災時にアルミニウムの溶融温度以上になってアルミニウムが溶解した場合に、ガラスクロスも溶融して形状保持性膨張層の燃焼残渣の形状を保持する効果が期待できることから好適である。
本発明の鉄骨用被覆耐火シートを製造する方法としては特に限定されず、一般的な樹脂のシート成形方法が用いられ、例えば、各々の層を構成する成分をニーダーやフィーダールーダーを用いて溶融混練した後、得られた樹脂組成物をカレンダー成形法や二軸スクリュー押出機により上記アルミ基材上に塗工する方法等が挙げられる。
上記形状保持性膨張層と断熱性強化層とは、多層ラミネート機を用いてラミネートして積層してもよいし、施工時にビス等を用いて積層してもよい。
上記形状保持性膨張層と断熱性強化層とは、多層ラミネート機を用いてラミネートして積層してもよいし、施工時にビス等を用いて積層してもよい。
本発明の鉄骨用被覆耐火シートは、極めて耐火性能に優れており、鉄骨に施工することにより4mm以下の厚みであっても2時間以上の耐火性能を付与することができるものであり、優れた耐火性能と省スペースとを両立することができる。本発明の鉄骨用被覆耐火シートを、例えば1時間の耐火性能が必要な箇所に適用する場合には更に薄くしても充分な効果が得られ、高い省スペース効果を発揮できる。
本発明の鉄骨用被覆耐火シートにより鉄骨を被覆する場合には、上記断熱性強化層側が鉄骨側に、上記形状保持性膨張層側が表面側になるように鉄骨に被覆することが好ましい。このような態様で被覆した場合にはじめて、所定の耐火性向上効果を得ることができる。
本発明の鉄骨用被覆耐火シートにより鉄骨を被覆する工法であって、断熱性強化層側が鉄骨側に、形状保持性膨張層側が表面側になるように上記鉄骨用被覆耐火シートを鉄骨に被覆する鉄骨被覆工法もまた、本発明の1つである。
本発明の鉄骨用被覆耐火シートにより鉄骨を被覆する工法であって、断熱性強化層側が鉄骨側に、形状保持性膨張層側が表面側になるように上記鉄骨用被覆耐火シートを鉄骨に被覆する鉄骨被覆工法もまた、本発明の1つである。
本発明の鉄骨用被覆耐火シートは、通常、大面積では重量が大きくなり取り扱いがしづらいため、作業しやすい大きさに切断し、施工することが好ましい。しかしながら、鉄骨に対して切れ目のない1枚のシートで施工しないのであれば、必ず目地部が存在し、その目地部は耐火性上の弱点となり、目地部の処理によって大きく耐火性が左右される。本発明の鉄骨被覆工法においては、目地部を端部突きつけとし、該突きつけ部の表面にアルミテープを貼付することが好ましい。目地部をオーバーラップさせずに、端部を突きつけて、物理的に開かないようにアルミテープを貼るだけで、火災時に最も効果的に耐火性を発揮させることができる。なお、図1に、本発明の鉄骨用被覆耐火シートの施工例として端部突きつけ及びアルミテープ施工の場合を、図2に、オーバーラップ施工の場合を示した。
本発明によれば、施工が容易で、かつ、4mm以下の厚さでも鉄骨に2時間以上の耐火性能を付与することができる鉄骨用耐火被覆シートを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1〜8及び比較例1〜11)
表1及び表2に示した各配合を、ニーダーを用いて溶融混練した後、得られた樹脂組成物をカレンダー成形法によりアルミ基材上に塗工し、乾燥させることにより所定厚み形状保持性膨張層と断熱性強化層とを作製した。これらの各層を表3、4に示した構成で積層して鉄骨用耐火被覆シートを得た。
表1及び表2に示した各配合を、ニーダーを用いて溶融混練した後、得られた樹脂組成物をカレンダー成形法によりアルミ基材上に塗工し、乾燥させることにより所定厚み形状保持性膨張層と断熱性強化層とを作製した。これらの各層を表3、4に示した構成で積層して鉄骨用耐火被覆シートを得た。
表1、2中の用いた各材料は以下のようである。ブチルゴム(エクソンモービル化学社製「ブチル#065」)、メタロセンポリエチレン(ダウケミカル社製「EG8200」)、ポリブテン1(新日本石油化学社製「ポリブテンHV−100」:TD2=200℃)、ポリブテン2(新日本石油化学社製「ポリブテンHV−50」:TD2=180℃)、ポリブテン3(出光石油化学社製「ポリブテン0H」:TD2=150℃)、ポリブテン4(出光石油化学社製「ポリブテン2000H」:TD2=250℃)、水添石油樹脂(出光石油化学社製「アイマーブP−125」)ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製「EXOLIT AP422」)、熱膨張性黒鉛1(東ソー社製「フレームカットGREP−EG」)、熱膨張性黒鉛2(GrafTech社製「160−50N」)、水酸化アルミニウム(アルコア化成社製「B325」)、炭酸カルシウム(備北粉化工業社製「BF300」:JIS K 5101準拠の方法による吸油量=22mL/100g)、シリカ1(トクヤマ社製「トクシールGU−N」:JIS K 5101準拠の方法による吸油量=200mL/100g)、シリカ2(SIBELCO社製「MILLSIL M6」:JIS K 5101準拠の方法による吸油量=16mL/100g)、タルク1(日本タルク社製「タルクSW」:JIS K 5101準拠の方法による吸油量=30mL/100g)、焼成カオリンクレー(バーゲス・ピグメント社製「バーゲスKE」:JIS K 5101準拠の方法による吸油量=67mL/g)、酸化アルミニウム(日本軽金属社製「普通粒アルミナA11」:JIS K 5101準拠の方法による吸油量=22mL/100g)、炭酸マグネシウム(トクヤマ社製「粉状 炭酸ストロンチウム」:JIS K 5101準拠の方法による吸油量=140mL/100g)
なお、液状成分のTD2については、サンプルを3mg計量し、熱重量分析装置(SEIKO社製:SSC5200 TG/DTA 320)により、50mL/minの循環空気雰囲気下で室温から800℃まで10℃/minの速度で昇温させることによりを算出した。無機充填材の吸熱ピークの有無は、サンプルを10mg計量し、示差熱分析装置(SEIKO社製:SSC5200 DSC 220)により、50mL/minの循環空気雰囲気下で室温から400℃まで10℃/minの速度で昇温させる方法により確認した。熱膨張性黒鉛の熱膨張開始温度は、フレークを2g計量し、10mmφのガラス容器に入れ、平面をならし、一定温度設定の電気炉に投入し、20分後に取り出して、フレークの高さをノギスによって計測する方法により、温度設定を10℃きざみで行い、体積膨張倍率が1.5倍以上となる最低の温度を膨張開始温度とした。これにより、東ソー社製の「GREP−EG」(熱膨張性黒鉛1)は230℃、GrafTech社製の「160−50N」(熱膨張性黒鉛2)は160℃であった。
得られた形状保持性膨張層、断熱強化層、鉄骨用被覆耐火シートについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表3、4に示した。
結果を表3、4に示した。
(1)形状保持性膨張層の形状保持性
600℃に設定した電気炉中に、60×60mmの大きさにカットした表面層の熱膨張性シートを内寸60×60×80(H)mmであるSUS製金属枠中にはめ込んで30分間加熱を行った後、取り出した。この燃焼残渣を試験に供した。なお、600℃電気炉加熱の状態は、耐火試験後の表面層の状態を簡易的に再現したものである。
圧縮試験機(カトーテック社製フィンガーフィーリングテスター)を用いて、断面積直径0.25cm2の圧子にて速度0.1cm/secで燃焼残渣の圧縮試験を行い、荷重−圧縮曲線の破断を示す最大点をとり、残渣かたさ(破断点荷重)(kgf/cm2)とした。残渣かたさが大きいもの程、燃焼残渣が強固に保持されて形状保持性が高いものだと言える。
残渣かたさが0.1kgf/cm2以上である場合を○、0.1kgf/cm2未満である場合を×と評価した。
600℃に設定した電気炉中に、60×60mmの大きさにカットした表面層の熱膨張性シートを内寸60×60×80(H)mmであるSUS製金属枠中にはめ込んで30分間加熱を行った後、取り出した。この燃焼残渣を試験に供した。なお、600℃電気炉加熱の状態は、耐火試験後の表面層の状態を簡易的に再現したものである。
圧縮試験機(カトーテック社製フィンガーフィーリングテスター)を用いて、断面積直径0.25cm2の圧子にて速度0.1cm/secで燃焼残渣の圧縮試験を行い、荷重−圧縮曲線の破断を示す最大点をとり、残渣かたさ(破断点荷重)(kgf/cm2)とした。残渣かたさが大きいもの程、燃焼残渣が強固に保持されて形状保持性が高いものだと言える。
残渣かたさが0.1kgf/cm2以上である場合を○、0.1kgf/cm2未満である場合を×と評価した。
(2)断熱性強化層の低温膨張性
25×25mmの大きさにカットした断熱性強化層をアルミパンに載せた状態で、使用した熱膨張性黒鉛の膨張開始温度に合わせて150℃又は230℃に設定した電気炉中に投入し、20分間加熱をした後、取り出した。加熱前後での体積膨張倍率を下記式により算出した。
低温加熱時の膨張倍率(倍)= (加熱後の体積)/(加熱前の体積)
使用した熱膨張性黒鉛の膨張開始温度よりも10℃低い温度での体積膨張倍率が2倍以上であるものを○、2倍未満であるものを×と評価した。
25×25mmの大きさにカットした断熱性強化層をアルミパンに載せた状態で、使用した熱膨張性黒鉛の膨張開始温度に合わせて150℃又は230℃に設定した電気炉中に投入し、20分間加熱をした後、取り出した。加熱前後での体積膨張倍率を下記式により算出した。
低温加熱時の膨張倍率(倍)= (加熱後の体積)/(加熱前の体積)
使用した熱膨張性黒鉛の膨張開始温度よりも10℃低い温度での体積膨張倍率が2倍以上であるものを○、2倍未満であるものを×と評価した。
(3)形状保持性膨張層及び断熱性強化層の熱膨張性
600℃に設定した電気炉中に、60×60mmの大きさにカットした形状保持性膨張層又は断熱性強化層を内寸60×60×80(H)mmであるSUS製金属枠中にはめ込んで30分間加熱を行った後、取り出した。この燃焼残渣の膨張倍率を以下の方法で算出した。
600℃加熱時の膨張倍率(倍)=(加熱後の厚み)/(加熱前の厚み)。
600℃電気炉加熱の状態は、耐火試験後の表面層または裏面層の状態を簡易的に再現したものであるため、実際の火災時にこの程度の膨張倍率で断熱層を形成するという目安となる値である。
600℃に設定した電気炉中に、60×60mmの大きさにカットした形状保持性膨張層又は断熱性強化層を内寸60×60×80(H)mmであるSUS製金属枠中にはめ込んで30分間加熱を行った後、取り出した。この燃焼残渣の膨張倍率を以下の方法で算出した。
600℃加熱時の膨張倍率(倍)=(加熱後の厚み)/(加熱前の厚み)。
600℃電気炉加熱の状態は、耐火試験後の表面層または裏面層の状態を簡易的に再現したものであるため、実際の火災時にこの程度の膨張倍率で断熱層を形成するという目安となる値である。
(4)耐火試験
得られた鉄骨用被覆耐火シートを、図1又は図2に示す態様で、厚さ50mmのケイ酸カルシウム板面に設置したH鋼梁(サイズ400mm×200mm×8mm×13mm、長さ1200mm)の周囲に被覆したものを試験体とした。なお、鉄骨用被覆耐火シートの継ぎ目部は、表3、4中に示唆した目地処理方法にて処理を行った。
作製した試験体について、ISO 834の試験方法に準拠した方法により2時間の耐火性能試験を行い、H鋼梁表面の平均温度を測定して、載荷加熱試験における合否判定の基準である550℃以下の場合を○、550℃を超える場合を×と評価した。
得られた鉄骨用被覆耐火シートを、図1又は図2に示す態様で、厚さ50mmのケイ酸カルシウム板面に設置したH鋼梁(サイズ400mm×200mm×8mm×13mm、長さ1200mm)の周囲に被覆したものを試験体とした。なお、鉄骨用被覆耐火シートの継ぎ目部は、表3、4中に示唆した目地処理方法にて処理を行った。
作製した試験体について、ISO 834の試験方法に準拠した方法により2時間の耐火性能試験を行い、H鋼梁表面の平均温度を測定して、載荷加熱試験における合否判定の基準である550℃以下の場合を○、550℃を超える場合を×と評価した。
本発明によれば、施工が容易で、かつ、4mm以下の厚さでも鉄骨に2時間以上の耐火性能を付与することができる鉄骨用耐火被覆シートを提供することができる。
1 鉄骨用被覆耐火シート
2 鉄骨
3 アルミテープ
2 鉄骨
3 アルミテープ
Claims (6)
- 形状保持性膨張層と断熱性強化層とが積層された積層体からなる鉄骨用耐火被覆シートであって、
前記形状保持性膨張層は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム、熱膨張性黒鉛、ポリリン酸アンモニウム並びに炭酸カルシウムを含有するものであり、
前記断熱性強化層は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム、熱膨張性黒鉛、熱重量分析により測定した2%重量減少温度が熱膨張性黒鉛の膨張開始温度以下である液状成分、並びに、JIS K 5101に準拠する方法により測定したアマニ油の吸油量が25mL/100g以上であって示差熱分析において200〜400℃に吸熱ピークを有さない無機充填材を含有し、かつ、熱膨張性黒鉛の熱膨張開始温度より20℃以上低い温度で加熱した場合の体積膨張倍率が2倍以上である
ことを特徴とする鉄骨用耐火被覆シート。 - 形状保持性膨張層において、樹脂成分100重量部に対する炭酸カルシウムの含有量が20〜200重量部、ポリリン酸アンモニウムの含有量が20〜200重量部であり、かつ、炭酸カルシウムとポリリン酸アンモニウムとの重量比が炭酸カルシウム/ポリリン酸アンモニウム=0.6〜1.5であることを特徴とする請求項1記載の鉄骨用被覆耐火シート。
- 断熱性強化層において、液状成分の含有量が樹脂成分の30重量%以上であり、樹脂成分100重量部に対する無機充填剤の含有量が50重量部以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の鉄骨用被覆耐火シート。
- 形状保持性膨張層及び/又は断熱性強化層の片面又は両面にアルミ基材を有することを特徴とする請求の範囲1、2又は3記載の鉄骨用被覆耐火シート。
- 請求項1、2、3又は4記載の鉄骨用被覆耐火シートにより鉄骨を被覆する工法であって、
断熱性強化層側が鉄骨側に、形状保持性膨張層側が表面側になるように前記鉄骨用被覆耐火シートを鉄骨に被覆する
ことを特徴とする鉄骨被覆工法。 - 目地部を端部突きつけとし、前記突きつけ部の表面にアルミテープを貼付することを特徴とする請求項5記載の鉄骨被覆工法。
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