JP7000499B2 - 熱膨張性耐火シート及び建具 - Google Patents

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本発明は、熱膨張性黒鉛を含有する熱膨張性耐火シート、及び熱膨張性耐火シートを備える建具に関する。
建築分野では、防火のために、建具、柱、壁材等の建築材料に耐火材が用いられる。耐火材としては、樹脂に、無機充填剤及び熱膨張性黒鉛などが配合された耐火シート等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような耐火シートは、加熱により膨張して燃焼残渣が耐火断熱層を形成し、耐火断熱性能を発現する。
熱膨張性黒鉛を含有する耐火シートは、例えば、建築物の開口部に設けられるドア、窓などの建具と、これらを包囲するドア枠、窓枠などの枠との隙間に設けられ、火災時には該シートが厚み方向に膨張して、建具と枠材の隙間を閉塞し、延焼を防止することができる。
特開2017-141463号公報
近年、経済性の観点などから、建具に用いられる補強材などの各種部材の厚みを低減する検討がなされている。厚みを低減した場合、火災時における建具の加熱により反りが大きくなり、従来の耐火シートでは、建具の反りにより生じる隙間を十分に閉塞できない場合があった。
耐火性を向上させる観点から、耐火シートの厚みを厚くすることが考えられるが、この場合は、膨張効率が悪くなる。また、厚みが厚い分、比較的広い取り付けスペースが必要となるなどのデメリットがある。耐火性を向上させる別の方法として、耐火シートの熱膨張性黒鉛の含有量を増加させる方法も考えられるが、この場合は、熱膨張残渣の強度が低くなり、これに伴い耐火性が低下する。
そこで本発明は、建具に反りが生じた場合であったも、生じた隙間を閉塞しやすいことにより耐火性に優れる熱膨張性耐火シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者は、マトリックス樹脂、熱膨張性黒鉛を含有する熱膨張性耐火シートに、さらに一定量のクロム化合物を含有させることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]マトリックス樹脂、熱膨張性黒鉛を含有する熱膨張性耐火シートであって、クロム化合物を金属量として0.01~1質量%含む熱膨張性耐火シート。
[2]前記熱膨張性黒鉛の含有量が15質量%以上である、上記[1]に記載の熱膨張性耐火シート。
[3]前記クロム化合物が、金属クロム、酸化クロム、水酸化クロム、及び2クロム酸カリウムからなる群から選択される1種以上である、上記[1]又は[2]に記載の熱膨張性耐火シート。
[4]前記マトリックス樹脂が、ハロゲン又は芳香族成分を有する樹脂成分を含有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の熱膨張性耐火シート。
[5]前記マトリックス樹脂が、ポリ塩化ビニル系樹脂、クロロプレン系ゴム、エポキシ樹脂、及びスチレン系ゴムから選択される少なくとも1種以上である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の熱膨張性耐火シート。
[6]リン成分を含有しない、上記[1]~[5]のいずれかに記載の熱膨張性耐火シート。
[7]上記[1]~[6]のいずれかに記載の熱膨張性耐火シートを備えた建具。
本発明によれば、建具に反りが生じた場合であったも、生じた隙間を閉塞しやすいことにより耐火性に優れる熱膨張性耐火シートを提供することができる。
耐火試験に用いた試験体を模式的に示した図である。
[熱膨張性耐火シート]
本発明の熱膨張性耐火シートは、マトリックス樹脂、熱膨張性黒鉛を含有する熱膨張性耐火シートであって、クロム化合物を金属量として0.01~1質量%含む熱膨張性耐火シートである。
<クロム化合物>
本発明の熱膨張性耐火シートは、クロム化合物を金属量として0.01~1質量%含有する。ここで金属量としてとは、クロム(Cr)量としての意味であり、すなわち、本発明の熱膨張性耐火シートにおけるクロム(Cr)量は、0.01~1質量%である。
クロム化合物の含有量が金属量として0.01%未満であると、熱膨張性耐火シートの膨張倍率が低くなる傾向があり、特に耐火シートの平面方向の膨張倍率が低くなる。そのため建具に反りが生じた場合に、隙間を閉塞し難くなり耐火性が低下する。一方、クロム化合物の含有量が1質量%を超えると、耐火シートが膨張し過ぎて、熱膨張残渣の強度が低くなり耐火性が低下する。
耐火性を向上させる観点から、熱膨張性耐火シートにおけるクロム化合物の含有量は、金属量として、好ましくは0.05~1質量%であり、より好ましくは0.08~1質量%である。
クロム化合物は、クロム原子を含む化合物であり、その種類は特に限定されないが、例えば、金属クロム、酸化クロム、水酸化クロム、2クロム酸カリウム、リン酸クロム、塩化クロム、過塩素酸クロム、硫酸クロム、硝酸クロム、酢酸クロム、シュウ酸クロム、硫酸アンモニウムクロム、フッ化クロムなどが挙げられる。
これらの中でも、熱膨張性耐火シートの耐火性を向上させる観点から、クロム化合物は金属クロム、酸化クロム、水酸化クロム、及び2クロム酸カリウム(KCr)からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、中でも金属クロム及び酸化クロムからなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。上記酸化クロムは、CrO、Cr、CrO、及びCrOのいずれでもよい。また、上記水酸化クロムは、Cr(OH)、及びCr(OH)のいずれでもよい。
<マトリックス樹脂>
本発明の熱膨張性耐火シートは、マトリックス樹脂を含有し、該マトリックス樹脂中に、熱膨張性黒鉛、クロム化合物などが分散している。
マトリックス樹脂の種類は特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びゴム成分などを使用することができる。中でも、熱膨張性耐火シートの熱膨張性残渣の強度を高くし、形状保持性を向上させ優れた耐火性を得る観点から、マトリックス樹脂は、後述するように、ハロゲン原子又は芳香族成分を有する樹脂成分を含有することが好ましい。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1-)ブテン樹脂、ポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソブチレン等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の中でも、熱膨張性耐火シートの耐火性を良好とする観点から、ポリ塩化ビニル樹脂、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂が好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂がより好ましい。
ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)としては、塩化ビニルモノマーの単独重合体、塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、塩化ビニルモノマー以外の重合体又は共重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、本発明においては、ポリ塩化ビニル系樹脂の塩素化物である塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂も、ポリ塩化ビニル系樹脂に含まれるものとする。
ポリ塩化ビニル樹脂の重合度は500~2,000が好ましく、800~1500がより好ましい。このような範囲であると、樹脂成分の流動性が高まり、膨張倍率を所望の範囲に調整しやすくなる。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)としては、非架橋型のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよい。また、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体のけん化物、エチレン-酢酸ビニルの加水分解物などのようなエチレン-酢酸ビニル変性体樹脂も用いることができる。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、JIS K 6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される酢酸ビニル含量が好ましくは5~90質量%、より好ましくは8~50質量%、さらに好ましくは12~35質量%である。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の190℃におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.5~15g/10minであり、より好ましくは1~8g/10minである。なお、エチレン-酢酸ビニル共重合体の190℃におけるメルトフローレートは、荷重2.16kgにおける測定値であり、JIS K7210:1999に準拠して測定される。
熱硬化性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられ、中でも、耐火性を向上させる観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂は、芳香環を有するエポキシ樹脂でも、芳香環を有しないエポキシ樹脂でもよいが、不燃性を高める観点から、芳香環を有するエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、例えば、エポキシ基を有するエポキシ樹脂化合物と、硬化剤とを反応させることにより得られる。
上記した芳香環を有するエポキシ樹脂を得るために用いるエポキシ樹脂化合物は、例えば、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂化合物、ビスフェノールF型のエポキシ樹脂化合物、ビフェニル型のエポキシ樹脂化合物、ナフタレン型のエポキシ樹脂化合物、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂化合物、ビスフェノールAノボラック型のエポキシ樹脂化合物、テトラフェノールエタン型のエポキシ樹脂化合物、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型のエポキシ樹脂化合物、アミノフェノール型のエポキシ樹脂化合物、アニリン型のエポキシ樹脂化合物、キシレンジアミン型のエポキシ樹脂化合物などが挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂化合物、ビスフェノールF型エポキシ樹脂化合物が好ましい。
硬化剤としては、重付加型または触媒型のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が例示される。また、触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が例示される。エポキシ樹脂化合物の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。
硬化剤の含有量は、上記エポキシ樹脂化合物100質量部に対して50~150質量部の範囲内であることが好ましい。50質量部以上であると、エポキシ樹脂化合物が硬化しやすくなり、150質量部以下であると、硬化剤の配合量に応じた効果が得られる。
(ゴム成分)
ゴム成分の種類は特に限定されないが、例えば、クロロプレン系ゴム、スチレン系ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ポリオレフィン系ゴム、天然ゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、非加硫ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらの中でもクロロプレン系ゴム、スチレン系ゴム、及びポリオレフィン系ゴムが好ましく、クロロプレン系ゴム、及びスチレン系ゴムが好ましい。
上記クロロプレン系ゴムとしては、クロロプレン単独重合体(クロロプレンゴム:CR)またはクロロプレンと共重合可能なコモノマーとのクロロプレン共重合体が挙げられる。該コモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン等のモノビニル化合物、スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和基含有カルボン酸類、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の不飽和基含有カルボン酸エステル類、イソプレン、1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン等の共役ジエン化合物等があげられる。これらの中でも、クロロプレン系ゴムとしては、クロロプレン単独重合体であるクロロプレンゴム(CR)が好ましい。
上記スチレン系ゴムとしては、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(HSBR)、スチレン-エチレン-スチレンブロック共重合体(SES)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)など挙げられる。これらの中でも、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)が好ましく、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)より好ましい。
ゴム成分の中でも、耐火性を向上させる観点から、スチレン系ゴムとクロロプレン系ゴムとを併用することが好ましく、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)とクロロプレンゴム(CR)とを併用することがより好ましい。スチレン系ゴム及びクロロプレン系ゴムを併用する場合は、これらの含有量比(スチレン系ゴム/クロロプレン系ゴム)は、質量比で90/10~10/90であることが好ましく、80/20~20/80であることがより好ましい。
スチレン-ブタジエンゴム(SBR)の結合スチレン量は、特に限定されないが、耐火シートの耐寒性を向上させる観点から、例えば10~60質量%であり、好ましくは15~55質量%であり、より好ましくは20~50質量%である。なお、結合スチレン量は、H-NMRにより測定することができる。
また、スチレン-ブタジエンゴムのムーニー粘度[ML(1+4)100℃]は、特に限定されないが、耐火シートの耐寒性を向上させる観点から、例えば30~150であり、好ましくは35~70であり、より好ましくは40~60である。
クロロプレンゴム(CR)のムーニー粘度[ML(1+4)100℃]は、特に限定されないが、耐火シートの耐寒性を向上させる観点から、例えば25~150であり、好ましくは30~100であり、より好ましくは35~75である。
なお、本明細書においてムーニー粘度は、JIS K6300に準拠して測定した値である。
ポリオレフィン系ゴムとしては、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)などが挙げれれる。上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は、一般的には、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンをハードセグメントとし、EPM、EPDMなどのゴム成分をソフトセグメントとするものである。オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は、ブレンド型、動的架橋型、重合型のいずれも使用可能である。
ポリオレフィン系ゴムの中での、耐火シートの耐寒性を向上させる観点から、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、及びオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)などが好ましい。
本発明のマトリックス樹脂としては、上記した熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム成分などを特に制限なく使用できるが、熱膨張性耐火シートの熱膨張性残渣の強度を高くし、形状保持性を向上させ、優れた耐火性を得る観点から、マトリックス樹脂は、ハロゲン原子又は芳香族成分を有する樹脂成分を含有することが好ましい。
上記ハロゲン原子を有する樹脂成分としては、例えば、上記したポリ塩化ビニル系樹脂、クロロプレン系ゴム、塩素化ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴムなどを挙げることができる。これらに中でも、ポリ塩化ビニル系樹脂、クロロプレン系ゴムが好ましい。
芳香族成分を有する樹脂成分としては、例えば、芳香環を有するエポキシ樹脂、スチレン系ゴムなどを好適に使用できる。
マトリックス樹脂は、耐火性向上の観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂、クロロプレン系ゴム、エポキシ樹脂、及びスチレン系ゴムから選択される少なくとも1種以上であることが好ましい。さらに、マトリックス樹脂は、ポリ塩化ビニル系樹脂、クロロプレン系ゴム、芳香環を有するエポキシ樹脂、及びスチレン系ゴムから選択される少なくとも1種以上であることが好ましい。
これらの特定の樹脂と、上記した特定量のクロム化合物を併用することにより、本発明の熱膨張性耐火シートは、建具に反りが生じた場合に、隙間を閉塞する効果がより高まり、耐火性がより向上する。
ハロゲン原子又は芳香族成分を有する樹脂成分は、1種を単独で使用してもよいし、複数成分を併用して使用してもよい。
マトリックス樹脂全量基準に対する、ハロゲン原子又は芳香族成分を有する樹脂成分の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、あらに好ましくは100質量%である。
<可塑剤>
本発明の熱膨張性耐火シートは、可塑剤を含有してもよい。可塑剤を含有することにより、マトリックス樹脂が流動しやすくなり、耐火シートが膨張し易くなる。また、マトリックス樹脂としてポリ塩化ビニル系樹脂を用いる場合は、可塑剤を併用することが好ましい。可塑剤を併用することにより成形性が向上する。
可塑剤としては、特に制限されないが、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、ジ-2-エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル等のアジピン酸エステル可塑剤、トリー2-エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤、鉱油等のプロセスオイル等が挙げられる。可塑剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の熱膨張性耐火シートが可塑剤を含有する場合、その含有量は、マトリックス樹脂100質量部に対して10~90質量部が好ましく、20~80質量部がより好ましい。可塑剤の含有量が前記範囲内であると、押出成形性が向上する傾向があり、また成形体が柔らかくなり過ぎることを抑制することができる。
<熱膨張性黒鉛>
本発明の熱膨張性耐火シートは、熱膨張性黒鉛を含有する。熱膨張性黒鉛は、加熱時に膨張するものであり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、無機酸と、強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。無機酸としては、濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。また、強酸化剤としては、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。
また、上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等の中和剤で中和してもよい。脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。アルカリ金属化合物及び上記アルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
熱膨張性耐火シートの熱膨張性黒鉛の含有量は、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、そして好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。熱膨張性黒鉛の含有量がこれら下限値以上であると、火の通過を阻止するのに適した膨張を得やすくなり、これら上限値以下であると耐火シートの熱膨張残渣の強度が高くなり耐火性が向上する傾向がある。
<無機充填材>
本発明の熱膨張性耐火シートは、無機充填材を含有してもよい。無機充填剤は、加熱されて膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制しつつ、骨材的に働いて熱膨張残渣の強度を向上させる。
本発明において使用できる無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の金属水酸化物、硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩、シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルーン、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム等のリン酸金属塩、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アルミニウム等の亜リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム、オルトリン酸金属塩、メタリン酸金属塩、トリポリリン酸金属塩などが挙げられる。無機充填剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
これらの中でも、無機充填材としては、耐火性を向上させる観点から、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩などが好ましく、中でも酸化鉄、水酸化アルミニウム、及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種以上がより好ましい。より詳細には、無機充填材は、酸化鉄を少なくとも含むことがさらに好ましく、酸化鉄と炭酸カルシウムを併用することが特に好ましい。酸化鉄を用いることで、耐火シートの膨張倍率が比較的大きい場合であっても、熱膨張残渣の強度を維持しやすく、そのため耐火性が向上しやすくなる。
酸化鉄を使用する場合において、その使用量は、無機充填材全量基準において、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。
酸化鉄と炭酸カルシウムを併用する場合においてその質量比(酸化鉄/炭酸カルシウム)は、好ましくは10/90~90/10であり、より好ましくは20/80~80/20である。
熱膨張性耐火シートにおける無機充填材の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、そして好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。
<その他成分>
熱膨張性耐火シートは、上記したマトリックス樹脂、熱膨張性黒鉛、無機充填材以外にも、臭素含有難燃剤、窒素含有難燃剤、リン酸エステル化合物などの各種有機系難燃剤、着色剤、酸化防止剤などの各種添加剤を含んでもよい。
臭素含有難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフエノキシ)エタン、エチレンービス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等が挙げられる。
窒素含有難燃剤としては、例えば、メラミン、ブチルメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、リン酸メラミンなどのメラミン誘導体、シアヌル酸、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレートなどのシアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸、メチルイソシアヌレート、N,N'-ジエチルイソシアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、ビス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌル酸誘導体、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、炭酸アンモニウムなどを挙げることができる。
リン酸エステル化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3-ジブロモプロピル)-2,3-ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、トリス(2エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
<リン成分>
本発明の熱膨張性耐火シートは、リン成分を含有しないことが好ましい。リン成分を含有しないことで、耐水性が向上する。したがって、水に長期間暴露した後でも、優れた膨張倍率、残渣硬さ、及び膨張後の形状保持性を確保できるようになる。ここで、リン成分とは、リン原子を含む化合物であり、上記したマトリックス樹脂、熱膨張性黒鉛、及び必要に応じて配合される無機充填材、有機系難燃剤、着色剤、酸化防止剤などの添加剤としては、リン原子を含む化合物を用いないことが好ましい。
<膨張倍率>
熱膨張性耐火シートの厚み方向の膨張倍率Aは、好ましくは5~30倍であり、より好ましくは8~20倍であり、さらに好ましくは10~15倍である。熱膨張性耐火シートの厚み方向の膨張倍率Aがこれら下限値以上であると、建具の反りなどが生じても隙間を閉塞しやすくなる。厚み方向の膨張倍率Aがこれら上限値以下であると、熱膨張性残渣の強度が維持でき、耐火性が良好となる。
熱膨張性耐火シートの平面方向の膨張倍率Bは、好ましくは1.5~5倍であり、より好ましくは1.6~3.5倍であり、さらに好ましくは2~3.4倍である。熱膨張性耐火シートの厚み方向の膨張倍率Bがこれら下限値以上であると、建具の反りなどが生じても隙間を閉塞しやすくなる。厚み方向の膨張倍率Bがこれら上限値以下であると、熱膨張性残渣の強度が維持でき、耐火性が良好となる。
平面方向の膨張倍率Bに対する厚さ方向の膨張倍率Aの膨張倍率の比(厚さ方向の膨張倍率A/平面方向の膨張倍率B)は、好ましくは2~10であり、より好ましくは3~8であり、さらに好ましくは4~6である。熱膨張性耐火シートの膨張倍率比がこのような範囲であると、厚み方向と平面方向にバランスよく膨張し、火災時に建具の反りなどが生じる場合に隙間を閉塞しやすくなり、耐火性が向上する。
熱膨張性耐火シートの厚み方向の膨張倍率、平面方向の膨張倍率、膨張倍率の比は、マトリックス樹脂、熱膨張性黒鉛など各成分の種類、クロム化合物の配合量などにより調整することができる。
熱膨張性耐火シートの厚み方向の膨張倍率は、熱膨張性耐火シートを試験片として400℃で30分間加熱して、以下の式で求める。
厚さ方向の膨張倍率=加熱後の試験片残渣の厚さ/加熱前の試験片の厚さ
加熱後の試験片残渣の厚さは、試験片残渣において、最も厚い部分の長さをいう。
熱膨張性耐火シートの平面方向の膨張倍率は、熱膨張性耐火シートを試験片として400℃で30分間加熱して、以下の式で求める。
平面方向の膨張倍率=(加熱後の試験片残渣のX方向の長さ/加熱前の試験片のX方向の長さ)×(加熱後の試験片残渣のY方向の長さ/加熱前の試験片のY方向の長さ)
X方向とは試験片又は試験片残渣の長手方向を意味し、Y方向とはX方向と直交する方向であり、試験片又は試験片残渣の幅方向を意味する。試験片又は試験片残渣の面が正方形の場合は、該正方形における任意に選択した一辺に沿う方向を長手方向とし、長手方向に直交する方向を幅方向とすればよい。
試験片残渣のX,Y方向の長さは、X,Y方向において、最も長い部分の長さをいう。
熱膨張性耐火シートの厚さは特に限定されないが、耐火性及び取扱い性の観点から、0.2~10mmが好ましく、0.5~3.0mmがより好ましい。
本発明の熱膨張性耐火シートは、例えば下記のようにして製造することができる。
まず、所定量のマトリックス樹脂、熱膨張性黒鉛、及びクロム化合物、並びに必要に応じて配合される無機充填材、その他有機系難燃剤、着色剤、酸化防止剤などの添加剤を、混練ロールなどの混練機で混練して、耐火性樹脂組成物を得る。
次に、得られた耐火性樹脂組成物を、例えば、プレス成形、カレンダー成形、押出成形等、公知の成形方法によりシート状に成形することで熱膨張性耐火シートを得ることができる。
熱膨張性耐火シートは、一戸建住宅、集合住宅、高層住宅、高層ビル、商業施設、公共施設等の各種の建築物、自動車、電車などの各種車両、船舶、航空機などの各種乗り物に使用できる。熱膨張性耐火シートは、建築物、乗り物などに火災が発生した場合に加熱されることで膨張して、空気の流れを遮断して、消火性を発揮できる。
熱膨張性耐火シートは、上記建築物、車両、船舶、航空機などを構成する部材に取り付けられて使用される。例えば、建築物では、窓、障子、ドア、戸、ふすま等の建具、柱、鉄骨コンクリート等の壁、床、屋根等に取り付けられて、火災や煙の侵入を低減又は防止することができる。これらの中では、建具に使用することが好ましい。すなわち、本発明の一実施形態は、熱膨張性耐火シートを備える建具も提供する。
熱膨張性耐火シートは、熱膨張性耐火シート単体で使用されてもよいが、適宜他の部材が取り付けられて使用されてもよい。例えば、熱膨張性耐火シートは、熱膨張性耐火シート以外の部材が積層されていてもよく、熱膨張性耐火シートの少なくとも一方の面に基材が設けられてもよい。
基材は、可燃材料層であってもよいし、準不燃材料層又は不燃材料層であってもよい。基材の厚みは特に限定されないが、例えば5μm~1mmである。可燃材料層に使用される素材としては、例えば、布材、紙材、木材、樹脂フィルム等の一種もしくは二種以上を挙げることができる。基材が準不燃材料層又は不燃材料層である場合、使用される素材としては、例えば、金属、無機材等を挙げることができ、より具体的には、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、グラファイト繊維からなる織布又は不織布などが挙げられる。
また、これら繊維と金属の複合材料であってもよく、例えば、アルミガラスクロスが好ましい。また、熱膨張性耐火シートには、粘着剤層が積層されてもよい。粘着剤層は、上記基材の上に設けられてもよいし、熱膨張性耐火シートの表面に直接形成されてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[評価方法]
(1)溶出率
得られた各実施例、比較例の熱膨張性耐火シートから作製した試験片(長さ50mm、幅50mm、厚さ1.5mm)の各々5枚を200gの純水に浸漬し、60℃で密閉容器にて1週間浸漬した後、サンプルを取り出し、浸漬した純水を60℃にて96時間、蒸発、乾燥させ、発生した析出物の質量を測定した。その値を用い溶出率を以下の式で算出して、耐水性を評価した。
溶出率(%)=[(析出物の質量)/(純水浸漬前の耐火シートの質量)]×100
(評価)
〇:溶出率が3%以下
×:溶出率が3%超
(2)膨張倍率
熱膨張性耐火シートの厚み方向の膨張倍率及び平面方向の膨張倍率は、以下のとおり測定した。
実施例及び比較例の熱膨張性耐火シートから作製した試験片(長手方向30mm、幅方向30mm、厚さ1.6mm)をステンレス製の板(98mm角・厚み0.3mm)の底面に設置し、電気炉に供給し、400℃で30分間燃焼させた。その後、加熱後の試験片残渣の厚みと、加熱後の試験片残渣のX,Y方向の長さを測定し、以下の式により求めた。なお、試験片残渣の厚みは、試験片残渣において最も厚い部分の厚さをいい、試験片残渣の長手方向の長さは、長手方向において、最も長い部分の長さをいう。
厚み方向の膨張倍率A=(加熱後の試験片残渣の厚み)/(加熱前の試験片の厚み)
平面方向の膨張倍率B=(加熱後の試験片残渣のX方向の長さ/加熱前の試験片のX方向の長さ)×(加熱後の試験片残渣のY方向の長さ/加熱前の試験片のY方向の長さ)
試験片残渣のX,Y方向の長さは、X,Y方向において、最も長い部分の長さをいう。
(3)耐火試験
各実施例、比較例で得られた熱膨張性耐火シートを用いて耐火試験を行った。耐火試験は、本発明の熱膨張性耐火シートを建具に貼付することにより、加熱後に建具の反りが生じた場合でも、反りにより生じる隙間を閉塞可能かどうか評価する観点から行った。具体的には、以下のとおり、耐火試験を行った。
耐火試験に用いた試験体10(図1に模式図を示す)を次の通り作製した。エーアンドエーマテリアル社製の厚さ50mmのケイ酸カルシウム板を1180mm×90mmに1枚切り出しケイ酸カルシウム板11を作製した、エーアンドエーマテリアル社製の厚さ25mmのケイ酸カルシウム板を1180mm×420mmのサイズに2枚切り出し、ケイ酸カルシウム板12A及び12Bを作製した。ケイ酸カルシウム板11の表面に図示しない2mmの鉄板を四隅及び各辺の中点およびその四隅と中点の中点をビスで止め補強をした。ケイ酸カルシウム板12A及び12Bのそれぞれの側面前部に厚さ1.6mm、幅10mm、長さ1180mmの熱膨張性耐火シート14をステーブルガンを用い、鉄針にて貼り付けた。鉄針の固定位置は中央部ならびに両端およびその中点、及び中点と端部の中点にて固定した。鉄枠13の中央に補強をしたケイ酸カルシウム板11を配置し、10mmの間隔を空け、両側に熱膨張性耐火シート14を貼り付けたケイ酸カルシウム板12A及び12Bを中央のケイ酸カルシウム板11に熱膨張性耐火シート14が対向するように配置した。配置した3枚のケイ酸カルシウム板の上部及び下部を図示しないコの字状の厚さ2mmの鉄板により鉄枠13に固定し、試験体10とした。この試験体を耐火炉内で、ISO834の標準加熱曲線に従い、温度を調整し、かつ、炉圧を20Paの設定で耐火試験を実施した。耐火試験中の試験体を観察し、以下の基準で耐火性を評価した。
(評価)
〇・・加熱90分の時点で非加熱面から目視し、炉内炎の貫通が確認できなかったもの
×・・加熱90分の時点で非加熱面から目視し、炉内炎の貫通を確認したもの
(実施例1)
表1に記載の組成の耐火性樹脂組成物を調製したのち、該耐火性樹脂組成物を剥離紙(リンテック社製)上に塗布した後、90℃で10時間加熱して硬化させ、剥離紙上に形成された熱膨張性耐火シートを得た。次いで、該熱膨張性耐火シートを剥離紙から剥離して、厚さ1.5mmの熱膨張性耐火シートを得た。
(実施例2~19、比較例1~6)
下記表1~3に示す配合にて、各成分をロールに投入して150℃で5分間混練して、耐火性樹脂組成物を得た。得られた耐火性樹脂組成物を、150℃で3分間プレス成形して、厚さ1.5mmの熱膨張性耐火シートを得た。
各実施例、比較例で使用した各成分は下記のとおりである。
(1)マトリックス樹脂
<エポキシ樹脂>
・エポキシ樹脂化合物(ビスフェノールF型) 三菱ケミカル社製「E-807」
・硬化剤 三菱ケミカル社製「FL-079」
<クロロプレンゴム:CR>
・CR 東ソー株式会社製「Y-20E」
ムーニー粘度[ML(1+4)100℃]:43~53
<スチレン-ブタジエンゴム:SBR>
・SBR JSR株式会社製「JSR1500」
結合スチレン量:23.5質量%、ムーニー粘度[ML(1+4)100℃]:52
<エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂:EVA>
・EVA 三井デュポンポリケミカル株式会社「EV460」
酢酸ビニル含量:19質量%、MFR(190℃):2.5g/10min
<ポリ塩化ビニル系樹脂:PVC>
・PVC 信越化学工業株式会社製「TK-1000」、平均重合度1030
(2)可塑剤
・DOP ジ-2-エチルヘキシルフタレート、株式会社ジェイプラス製「DOP」
(3)熱膨張性黒鉛
・熱膨張性黒鉛 エアウォーター社製「CA-60N」
(4)クロム化合物
・Cr 金属クロム 粉末、平均粒径45μm、純度99.5% 富士フィルム・和光純薬製
・Cr 酸化クロム 日本化学工業社製「タイカクローム100」
(4)無機充填材
・酸化鉄:チタン工業株式会社「BL-100」
・炭酸カルシウム:備北粉化工業株式会社「ホワイトンBF-300」
・ポリリン酸アンモニウム:クラリアント社「AP422」、平均粒子径15μm
Figure 0007000499000001
Figure 0007000499000002
Figure 0007000499000003
実施例に示すように、マトリックス樹脂、熱膨張性黒鉛を含有し、さらにクロム化合物を金属量として0.01~1質量%含む本発明の熱膨張性耐火シートは、耐火試験の結果が良好であり耐火性に優れていた。これに対して、クロム化合物の量が特定範囲ではない比較例の熱膨張性耐火シートは、耐火試験の結果が悪く、耐火性に劣っていた。
10 試験片
11 ケイ酸カルシウム板
12A、12B ケイ酸カルシウム板
13 鉄枠
14 熱膨張性耐火シート

Claims (4)

  1. マトリックス樹脂、熱膨張性黒鉛を含有する熱膨張性耐火シートであって、
    熱膨張性黒鉛に含まれるクロム化合物とは別に、金属クロム、酸化クロム、水酸化クロム、及び2クロム酸カリウムからなる群から選択される1種以上のクロム化合物が、熱膨張性耐火シート中に金属量として0.01~1質量%となるように配合されており、
    前記マトリックス樹脂が、クロロプレン系ゴム、及びスチレン系ゴムからなる群から選択される1種以上である、
    熱膨張性耐火シート。
  2. 前記熱膨張性黒鉛の含有量が15質量%以上である、請求項1に記載の熱膨張性耐火シート。
  3. リン成分を含有しない、請求項1又は2に記載の熱膨張性耐火シート。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の熱膨張性耐火シートを備えた建具。


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