JP4693358B2 - X線検査システム及びそれを作動させる方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一般的にX線検査システムに関し、より具体的には、デジタル検出器を用いる工業用X線システムに関する。
最近の医療用X線技術における進歩は、従来の検出機器及び検出方法を凌ぐ多くの利点を有する電荷結合素子及びアモルファスシリコンアレイのような新しいデジタルX線検出器を生み出している。これらのデジタルX線検出器は、医療において一般的に用いられるよりもはるかに大きい電圧及びエネルギーを用いる工業用X線システムにおいて用いるように適合されていることが多い。医療用X線検出器を工業部品を検査するのに用いるにあたって直面する1つの問題点は、これらのより高いエネルギー及び対応する電圧では、医療においてX線源を制御するために用いられる手法を市販の工業用X線源に利用することができない点である。
X線管は、電子を高密度(一般的にはタングステン)ターゲット内へ加速することによりX線を生成する。これらの管は、電磁操向法又は静電操向法を用いて電子ビームがターゲットに衝突する位置を制御しており、従って、これらの方法は、X線の焦点の位置及び大きさを制御することになる。医療用イメージング及び工業用イメージングに用いられる幾つかの型の電子検出器は、検出器の信号が読取られて下流の計算システムに転送されている間にX線フラックスを消滅させることを必要とするか、又は検出器が上記の動作を行う場合に画質を向上させるようにするかのいずれかである。より低い、即ち約225KVより低い電圧システムにおいては、検出器のサンプリング周期に同期させて電子流を起動及び停止して管のX線フラックスを効果的にオン・オフ切換えすることによって、X線管の電子ビームを制御する。X線フラックスは、X線フォトンが検査対象を透過し次いでそれらフォトンが計数されるか又は測定可能な電荷もしくは蓄積電荷に変換される検出器へ進む時間周期の間、生成される。X線フラックスはその後、検出器が読取られる間、ターンオフされる。X線のエネルギーが増大するにつれて、この切換えを達成することがますます困難となり、そのような工業用管に対する企業の要求が全体的に低下してきている。管の電子流を停止させる簡素なチューブグリッドのような方法及び電子ビームをパルス化するのに用いられる他の方法は、より高い管電圧では利用できない。X線フラックスをこのようにパルス化することができない場合、電子検出器システムにおける画質が低下する。
米国特許第 2335014号明細書 米国特許第 2394070号明細書 米国特許第 3822410号明細書 米国特許第 4408338号明細書 米国特許第 4926452号明細書 米国特許第 6151381号明細書 米国特許第 6167110号明細書 米国特許第 6487274号明細書
このことが、より高いエネルギーを必要とする多くの工業用途にこれらの検出器技術を用いることを困難にしている。更に、検出器の耐用年数を延ばすために検出器に対して送出されるX線量を最小化することが望ましい。このことが、一部の機器及び一部の用途にとっては制約となり、アモルファスシリコン検出器における大きな問題となりつつある。
従って、工業用X線検査システムにおいてX線フラックスをパルス化する方法に対する必要性が存在する。
上述の必要性は、X線検査システムを提供する本発明により満たされ、このX線検査システムは、電子銃とビーム操向手段とを備えるX線源を含み、該ビーム操向手段は、ビームが陽極に当たってX線源を出るX線ビームを生成する第1の方向と有効なX線フラックスがX線源から出ない第2の方向とに、銃からの電子ビームを交互に向ける。更に、X線検出器及び該検出器を読取る手段が、設けられる。ビーム操向手段及び検出器読取り手段は、有効なX線フラックスが線源から出ていない周期の間に検出器の出力が読取られるように連係される。本発明はまた、X線検査システムを作動させる方法も提供する。
本発明及びその先行技術を凌ぐ利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を読めば明らかになるであろう。
本発明とみなされる主題は、同時に提出した特許請求の範囲に具体的に指摘されかつ明確に請求されている。しかしながら、本発明は、添付の図面の図と関連させてなされる以下の説明を参照することにより最もよく理解することができる。
図面においては種々の図全体を通して同一の参照符号は同じ要素を示しているが、この図面を参照すると、図1及び図2は、本発明により構成された例示的なX線検査システム10を示す。検査システム10は、X線源12と、検出器14と、検出器読取り手段16と含む。検査されることになる部品18は、線源12と検出器14との間に配置される。X線源12は、公知の型の電子銃20と、電子が衝突するとX線を放出する高密度材料(タングステンのような)の陽極22と、ビーム操向手段24とを含む。線源12はまた、以下により詳細に説明するビームストップ26を含むことができる。図示した実施例において、検出器14は、線形アレイ検出器又はアモルファスシリコンアレイ検出器のような公知の型のものであるが、本発明は、線源12に同期させることができる周期的サンプリング能力を有するあらゆる電子検出器に適用することができる。検出器14は、並行して又は二次元アレイに配列された複数の隣接する検出器素子を備えることができ、例えば、検出器14は、扇形X線ビームと共に用いるために弧状(図示せず)に構成されることができる。検出器14は、イオン化した放射線が当たると光学フォトンを生成するシンチレータ要素28と、光学フォトンが当たると電気信号を生成するフォトダイオードのような光電要素30とを含むものとして概略的に示されている。この電気信号は、検出器の出力である。幾つかの型の検出器は、X線フラックスを直接電荷に変換する活性層を有しており、従って、シンチレータを必要としない。説明の目的で、例示的な検出器読取り手段16は、検出器14の信号出力のグラフ図を表示する簡単なオシロスコープとして図示されている。検出器読取り手段16は、検出器14からの信号を表示、測定、格納、分析、又は処理するための任意の公知のデバイス又はデバイスの組み合わせとすることができ、また「読取り」という用語は、上に挙げたプロセスの何れか又は全てを含むことを意図していることを理解されたい。一般的なコンピュータ断層撮影(CT)システム又はデジタル放射線撮影(DR)システムにおいては、検出器読取り手段16は、検出器14からの信号を受信しかつ格納するための公知の型のサンプリングデバイス(図示せず)、例えば、電荷統合増幅器のアレイ又は続いて統合段階を伴う電流対電圧増幅器のアレイを含むであろう。このサンプリングデバイスは、コンピュータ及びモニタのような、検出器出力から構成された画像を処理及び表示する別個の手段に接続される。以下に詳細に説明するように、検出器読取り手段16及びビーム操向手段24は、有効なX線フラックスがX線源12から出ていない周期の間に検出器14の出力が読取られるように連係されている。
図1は、X線フラックスが生成されている周期の間におけるX線検査システム10を示す。電子銃20が電子ビーム32を発射し、該電子ビーム32は第1の方向に移動し、「A」で示す選択された焦点34において陽極22に当たる。ビーム操向手段24を用いて、電子ビーム32を集束させ、該電子ビーム32を所望の焦点に合わせることができる。これに応答して、陽極22がX線ビーム36を放出し、該X線ビーム36は、線源12のハウジング39内の開口部37を通って出る。ビームが第1の位置に向けられている時のX線フラックスは、公称値にある。公称X線フラックスは、それに限定するのではないが、電子銃20の電圧、陽極22の形状、陽極22が作られている材料、及び焦点34の寸法を含む幾つかの変数により定まる。X線ビーム36は次いで、部品18を通過し、そこでX線ビーム36は減弱され、部品18の密度及び構造に応じてその度合が変えられる。X線ビーム36は次いで、検出器14のシンチレータ要素28に当たり、該シンチレータ要素28が、光学フォトン(矢印38で概略的に示す)を放出し、該光学フォトンはその後、光電要素30に当たり、該光電要素30内に電荷を蓄積させる。
多素子検出器は、共有増幅器によって、ほとんど常に連続して読取られる。これらが共有されているため、読取りプロセス中の連続フラックスは、読取りの時点において後の読取り画素より少ないフラックスを有する早期読取り画素をもたらす。更に、CCDのような幾つかのデバイスは、実際にはチャージシフト法を用いており、これらデバイスの動作中の連続X線フラックスが読取りプロセスの間に不要な電荷収集を行う結果になる。更に、全ての電子機器が迷X線による何らかのフォトン衝突を受けるため、連続X線フラックスは、システム内のノイズを増大させるおそれもある。従って、検出器14を読取っている間はX線フラックスを停止させるか又は著しく最小化させることが望ましい。
図2は、X線フラックスが生成されていない周期の間におけるX線検査システム10を示す。電子銃20は、電子ビーム32を放射し続けている。しかしながら、この状態においては、ビーム操向手段24は、電子ビーム32を「B」で示す第2の方向に向けて、X線放射の生成を減少させるか、又はX線源12のシールディンングもしくは構造により、生成されたX線が検査される部品18を直接通過するのを防止されるかのいずれかになるように、電子ビーム32が焦点34と十分に異なる又は距離を置いた位置に当たるようにする。つまり、X線フラックスは、開口部37を出ないか、又は開口部を出るフラックスは、上述の公称フラックスと比較して減少する。検出器の出力信号は、この間に読取られる。この間のX線フラックスはゼロであるのが理想的であろう。先行技術の非パルス式の使用は、検出器が読取られている間に100%の公称フラックスで対処するものであり、出力画像を解釈するにあたって受ける困難性が増大するだけである。好ましいことに、本発明の場合には、X線フラックスを公称フラックスから著しく低いレベルまで減少させる。「著しく低いレベル」という用語は、X線フラックスが検出器14に当たっている間に注目に値する向上した画質又は画像解釈の容易さで検出器14を読取ることができるのに十分なほど少ないX線フラックスを表すために用いられる。X線フラックスは、好ましくは公称値の約10%又はそれ以下まで減少され、最も好ましくは公称値の約1%又はそれ以下まで減少される。
「第2の方向」という用語は、電子ビーム32が任意の特定の角度で又はターゲット位置に偏向されることを必ずしも意味するものではなく、開口部37を出るX線フラックスが上述したように減少するのに十分なほど電子ビーム32が焦点34から外れて向けられる任意の時点における電子ビーム32の方向を表すために一般的に用いられる。電子ビーム32は、大きなエネルギー、例えば約450KV又はそれ以上のエネルギーを有することができるため、X線源12には、損傷又は劣化を生じることなく電子ビームのエネルギーを吸収することができるビームストップを組み込むことができ、その実施例を以下に説明する。ビームストップ26は、低原子番号を有する材料で作られるのが理想的であろう。これらの材料は、殆どX線を生成せず、かつX線はエネルギーが低く、その結果X線源12自体の内部により容易に捕捉される。
X線検査システム10は、検出器14及び線源12が同期した状態で律動的に作動するように、上述の状態を交互に繰り返す。例えば、公知のコンピュータシステムのような制御装置40は、周期的な一連のパルスのような制御信号を生成することができる。当初は、制御信号パルスはない(即ち、信号電圧はゼロである)。上述したように、電子ビーム32は、該電子ビームが選択された焦点34において陽極22に当たるように向けられ、開口部37を出るX線フラックス(即ち、X線ビーム36)を生成する。
制御信号パルスが開始する(即ち、信号電圧が正の値に変わる)と、上述したように、実質的にX線フラックスが開口部37を出ない位置に電子ビーム32を向けるようにビーム操向手段24が作動する。この操向機能は、種々の方法で達成することができる。例えば、電子ビーム32が第1の方向に向けられた時に電子ビーム32を整合させかつ集束させる能力を有するビーム操向手段24を用いる場合、同じビーム操向手段24を非対称的に作動させて電子ビーム32を第2の方向に偏向させることができることになる。それに代えて、単一偏向コイルのようなより簡単なビーム操向手段を用いることもでき、その場合、電子ビーム32は、ビーム操向手段24が励起された時はいつでも第2の方向に偏向されることになる。以下に詳細に説明するように、市販の管と併せて外部コイルを用いることも可能である。第2の方向への電子ビーム32の操向と同時に、検出器読取り手段16が、検出器出力を読取る。例えば、制御信号パルスの開始をトリガとして用いて、サンプリングデバイスに検出器出力信号の格納を開始させることができる。
制御信号パルスが停止される(即ち、信号電圧がゼロに戻る)と、ビーム操向手段24は、向け直されるか又は電源を遮断され、電子ビーム32は再び、該電子ビームが選択された焦点34において陽極22に当たるように向けられ、開口部37を出るX線フラックスを生成する。同時に、検出器読取り手段16がターンオフされ、検出器信号統合手段がターンオンされる。例えば、制御信号パルスの終了をトリガとして用いて、サンプリングデバイスに検出器出力信号の記録を停止させることができる。この電子ビーム移動のサイクルはその後、ビーム操向手段24及び検出器14の作動周波数と両立する周波数、例えば約15Hzから約60Hzの周波数で反復され、それによりパルス化されたX線フラックスを形成する。
X線フラックスのパルス機能の実行は、幾つかの方法で達成することができる。X線源112の第1の例示的な構成を、図3に詳細に示す。X線源112は、電子銃20と陽極22とを収容するハウジング39を含む。ハウジング39には開口部37が形成されている。開口部37は、単なる開口部であっても、X線に対して透過性の材料で覆われていてもよい。ビーム操向手段24は、電子ビーム32の方向を制御することができるようにハウジング39内に取り付けられる。例えば、電子ビーム溶接装置に用いられる電磁偏向コイルのような公知の型の複数の電磁偏向コイル46を、ハウジング39内に取り付けることができる。図示した実施例においては、第1及び第2の偏向コイル46が、電子ビーム32を垂直平面内で偏向させる電磁場を生成することができるように、該電子ビーム32に対して垂直な線に沿って互いに対向して取り付けられる。ビームを他の方向に偏向させるか又は電子ビーム32を集束させることが望ましい場合、追加の偏向コイル(図示せず)を用いることができる。偏向コイル46は、公知の型のコイル電源48のような電流源に接続される。電子ビーム32はまた、公知の方法で電源に接続された一対の偏向プレート(図示せず)の間に生成される静電場により操向されることもできる。
この実施形態においては、固定ビームストップ60が、ハウジング39内に配置される。ビームストップ60は、電子ビームを止める任意の材料で作ることができる。ビームストップ60は、黒鉛のような低原子番号の材料で作られており、この低原子番号の材料は、高原子番号の材料と比較して、電子ビーム32がビームストップ60に当たる際に生成されるX線のエネルギーレベル及びフラックスを減少させる。特に黒鉛は、低原子番号と高熱伝導性の両方を有する。低原子番号を有するストップ材料の追加の実施例には、炭素/炭素強化複合材料、ベリリウム、及びアルミニウムが含まれる。必要な場合には、後者の材料の1つを用いて、黒鉛よりも大きい構造健全性を有するビームストップ60を得ることができる。マグネシウムもまた、用いることができるであろう。これらの特性により、他の冷却装置なしで単に放射により冷却される黒鉛ビームストップを用いることを可能にすることができる。図示した実施例においては、ビームストップ60は、高密度材料(タングステンのような)の層63で裏当てされた低原子番号の材料の層61を備えており、二次スポットにおいて生成された全てのX線放射を閉じ込める。電子ビーム32が、「B」で示す第2の方向に偏向されると、該電子ビーム32は、ビームストップ60に当たる。電子ビーム32が陽極22の焦点34に当たらないため、開口部37を出るX線フラックスは大きく減少する。ビームストップ60を、随意的に冷却して、電子ビーム32による熱を放散させることができる。例えば、ビームストップ60は、それを通して冷却剤を循環させる1つ又はそれ以上の内部冷却通路の回路62を組み込まれることができる。
X線源212の第2の例示的な構成を、図4に詳細に示す。X線源212はここでもまた、上述したように、電子銃20と、陽極22と、ビーム操向手段24とを収容するハウジング39を含む。この構成においては、固定ビームストップ64は、図3に示すビームストップ60と同様に、ハウジング39内に配置される。この構成におけるビームストップ64は、電子銃20と陽極22の面との間に位置している。電子ビーム32が、「B」で示す第2の方向に偏向されると、該電子ビーム32は、ビームストップ64に当たる。電子ビーム32が陽極22の焦点34に当たらないため、開口部37を出るX線フラックスは、公称レベルから大きく減少する。このビームストップ64の位置選定により、より小さいビーム偏向の使用を可能にすることができ、或いは線源12内部の部品をよりコンパクトな配置にすることができる。
X線源312の第3の例示的な構成を、図5に詳細に示す。X線源312はここでもまた、図3に示すように、電子銃20と、陽極22と、ビーム操向手段24とを収容するハウジング39を含む。上述したように電子ビーム32が第2の方向に偏向されると、該電子ビーム32は、「B」で示す陽極22の上縁に当たる。電子ビーム32が陽極22の焦点34に当たらないため、開口部37を出るX線フラックスは、公称レベルから大きく減少する。
X線源412の第4の例示的な構成を、図6及び図7に示す。既に述べた構成の各々においては、陽極22を標準的な形状を有するものとして示してきており、該形状において、焦点34を含む表面は、図5に示す、「ヒール角」と呼ばれる角度φでカットバックされており、該角度φは、電圧、ストップ材料、及び用途に応じて、垂直方向に対して約6°から約30°の範囲とすることができる。一般的な高エネルギーの従来型の工業用X線管では、角度φは約27°である。図6及び図7の構成において、修正された陽極122は、ヒール角で傾斜がつけられた第1の表面124を有し、更に第2のカットバックされた又は傾斜がつけられた表面126が設けられている。図示した実施例において、表面124及び126は両方とも、垂直方向から同じ大きさで傾斜がつけられている。2つの傾斜表面は、交わって「V字」形又は点128を形成している。上述したように電子ビーム32が第2の位置に偏向されると、該電子ビーム32は、第2の傾斜表面126に当たる。修正された陽極の形状のため、得られるX線は、開口部37を出るためには、標準的な陽極22と比較して増大した陽極材料の厚さTを通過しなければならない。その結果生じる修正された陽極122内での減弱により、開口部37を通るX線フラックスが大きく減少する。この修正された陽極122は、本明細書で説明する全てのX線源構成において随意的に用いられることができる。
第5の例示的な構成を、図8に示す。X線源512は、全体的には上述したものと同様である。この構成においては、X線フラックスが中断されることになる周期の間、電子ビームは、「B」、「C」、及び「D」で示すように、ハウジング39内部の、焦点34から外れた様々な位置に対してあちこちに操向される。電子ビーム32は、逐次的な状態で個別の位置に向けられることができ、又は連続スイープ状態で操向されることができる。いずれの場合でも、ハウジング39内部の任意の特定の位置への入熱は減少する。電子ビーム32を操向させるこの方法は、別個のビームストップを有する代わりに用いることができる。この方法と組み合わせて、電子ビーム32が操向されている間に該電子ビーム32が当たる可能性が高い表面部分を覆って表面層の形態で、随意的にハウジング39にライニング41を設けることができる。上述した黒鉛又は他の材料のような低原子番号の材料を用いてライニング41を作ることができる。低原子番号の材料を用いることにより、放出されたX線のフラックス及びエネルギーレベルが減少する。黒鉛は、低原子番号と高熱伝導性の両方を有しているので、ライニング41用の材料として特に有効である。このライニングは、強いシールディングを必要とすることなく、ハウジング39内へのX線放射の閉じ込めを改善する別の実施形態である。一例として、ライニング41は、厚さが数センチメートル、例えば約1cm〜約3cm(約0.4インチ〜約1.2インチ)厚さの黒鉛層で作ることができる。
外部コイルと組み合わせて市販のX線管を用いて本発明を実施することも可能である。この構成の実施例を、図9に示す。X線源612はここでもまた、電子銃20と陽極22とを収容するハウジング39を含む。ビーム操向手段24は、ハウジング39の外側に取り付けられている。図示した実施例において、ビーム操向手段は、ハウジングの外側に取り付けられた第1及び第2の偏向コイル46を含み、該偏向コイルは、公知の型のコイル電源48のような電流源に接続される。X線フラックスを中断することが望ましい時、外部コイル46を用いて電子ビーム32を単に焦点34から外れるように操向することができ、或いは随意的に電子ビーム32が偏向される位置に合わせてハウジング39の外側にビームストップ60を取り付けることができる。この構成は、基礎となるX線管自体を特別に作るか又はそれに修正を加える必要がないという利点を提供する。
上述の例示的な構成の各々では、固定陽極と移動電子ビームとを有するX線源を説明してきた。しかしながら、X線フラックスをパルス化するために固定ビームと移動陽極22とを有するX線源を設けることにより、本発明を実施することも可能である。その実施例を、図10に示す。X線源712は、電子銃20と陽極22とを収容するハウジング39を含む。陽極22は、アクチュエータ35に取り付けられる。図示した実施例において、アクチュエータ35は、例えばサーボ油圧シリンダのような直進型アクチュエータとして示されている。例えば線形電気モータのような他の公知の型のアクチュエータを用いることができ、或いはクランク機構又はカム機構に接続された回転式モータでさえ用いることができる。アクチュエータ35は、所望の検出器サンプリング周期で陽極22を移動させることができる。陽極22が、「E」で示す第1の位置にある時、電子銃20からの電子ビーム32は焦点34に当たり、X線ビーム36が開口部37を出る。X線フラックスを中断することが望ましい時、陽極22は、「F」で示す第2の位置に移動される。この位置では、電子ビーム32は、焦点34に対向する陽極22の表面に当たり、従って、開口部37を出るX線フラックスは消滅するか又は公称出力と比較して大きく減少する。また、移動範囲は、位置「E」における電子ビームの経路から完全に外れるように陽極22が移動するのに十分な範囲とすることができる。アクチュエータ35は、位置「E」と位置「F」との間で陽極22を所望の周期で交互に移動させるように、公知の方法で制御される。
以上、X線検査システムを説明したが、該X線検査システムは、電子銃とビーム操向手段とを備えるX線源を含み、該ビーム操向手段は、ビームが陽極に当たって、X線源を出るX線ビームを生成する第1の方向と有効なX線フラックスがX線源から出ない第2の方向とに、銃からの電子ビームを交互に向ける。更に、X線検出器及び該検出器を読取る手段が設けられる。ビーム操向手段及び検出器読取り手段は、有効なX線フラックスが線源から出ていない周期の間に検出器の出力が読取られるように連係されている。X線検査システムを作動させる方法もまた説明した。なお、特許請求の範囲に記載された符号は、理解容易のためであってなんら発明の技術的範囲を実施例に限縮するものではない。
X線フラックスが生成されている状態における、本発明により構成されたX線検出システムの概略側面図である。 有効なX線フラックスが生成されていないか又はそのようなフラックスがシールディングの使用により管内に閉じ込められている状態における、図1のX線検出システムの概略側面図である。 本発明に用いるX線源の第1の例示的な構成の概略図である。 本発明に用いるX線源の第2の例示的な構成の概略図である。 本発明に用いるX線源の第3の例示的な構成の概略図である。 本発明に用いるX線源の第4の例示的な構成の概略図である。 図6に示す陽極の拡大図である。 本発明に用いるX線源の第5の例示的な構成の概略図である。 外部偏向コイルを有するX線源の概略図である。 本発明に用いる移動陽極を有する例示的なX線源の概略図である。
符号の説明
10 X線検査システム
12 X線源
14 検出器
16 検出器出力読取り手段
18 検査される部品
20 電子銃
22 陽極
24 ビーム操向手段
26 ビームストップ
28 シンチレータ要素
30 光電要素
32 電子ビーム
34 焦点
36 X線ビーム
37 開口部
38 光学フォトン
39 ハウジング
40 制御装置
46 偏向コイル
48 電源

Claims (13)

  1. ハウジング(39)と、
    電子ビームを生成する電子銃(20)と、
    前記電子ビームが当たるとX線を生成する材料を含む陽極(22)と、
    公称値にある公称フラックスを有するX線ビームを生成するように前記電子ビームが前記陽極(22)に当たる第1の方向と前記X線フラックスが前記公称フラックスと比較して減少する第2の方向とに、前記電子ビームを交互に向ける手段(24)と、
    前記ビームが前記第2の方向に向けられている間に該電子ビームを受けるためのビームストップ(26)と
    を含み、
    前記ビームストップ(26)が、前記電子ビームに曝される低原子番号の材料を含む第1の層(61)と、前記第1の層に隣接して配置された高密度材料の層(63)とを含むことを特徴とするX線源(12)。
  2. 前記第1の層(61)が、黒鉛を含むことを特徴とする、請求項1に記載のX線源(12)。
  3. 前記ビームストップ(26)を冷却する手段(62)を更に含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のX線源(12)。
  4. 前記電子ビームを向ける前記手段(24)が、少なくとも1つの電磁場を生成する手段(46)を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のX線源(12)。
  5. 前記少なくとも1つの電磁場が、少なくとも1つの偏向コイル(46)により生成されることを特徴とする、請求項4に記載のX線源(12)。
  6. 前記少なくとも1つの偏向コイル(46)が、前記ハウジング(39)の外側に配置されることを特徴とする、請求項5に記載のX線源(12)。
  7. 前記電子ビームを向ける前記手段(24)が、少なくとも1つの静電場を生成する手段を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のX線源(12)。
  8. 前記少なくとも1つの静電場が、少なくとも一対の偏向プレートにより生成されることを特徴とする、請求項7に記載のX線源(12)。
  9. 前記偏向プレートが、前記ハウジング(39)の外側に配置されることを特徴とする、請求項8に記載のX線源(12)。
  10. 前記陽極(22)が、第1の角度で配置された第1の表面と、第2の角度で配置された第2の表面とを含み、前記第1及び第2の表面は、交わって、断面で「V字」形を形成することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のX線源(12)。
  11. 前記電子ビームが、前記第2の方向において前記ハウジングに向けられ、前記ハウジング(39)の内面上に配置された低原子番号の材料のライニングを更に含むことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のX線源(12)。
  12. 前記ライニングが、黒鉛を含むことを特徴とする、請求項11に記載のX線源(12)。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載のX線源(12)と、
    前記X線ビームを受けるように配置されたX線検出器(14)と、
    前記検出器(14)の出力を読取る手段(16)と、
    前記電子ビームを操向する前記手段(24)と前記検出器(14)を読取る前記手段(16)とを、前記電子ビームが前記第2の方向に向けられている時に前記検出器(14)の前記出力が読取られるように連係させる手段(40)と、
    を含むことを特徴とするX線検査システム(10)。
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