JP4692735B2 - ガーネット構造を有するフェライト磁性粉体及び該フェライト磁性粉体を含有する半導体封止用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
前記Y2O3、Gd2O3及びFe2O3の組成比が前記範囲外の場合には、結晶構造がガーネット型を有するフェライト磁性粉体を得ることができない。好ましくは5.5〜40.0mol%のY2O3、0〜35.5mol%のGd2O3、57.5〜65.0mol%のFe2O3である。
SiO2を含有するとフェライト磁性粉体の体積固有抵抗が高くなる傾向にある。が、SiO2の含有量が1.7mol%を超える場合、焼成時の粒子の成長が抑制され、細孔容積やBET法比表面積が増大する。そのため、フェライト磁性粉体の充填性が低下し、得られた樹脂組成物のμ”が低い傾向にあり、成形時の溶融粘度が高くなり、安定した成形が困難である。好ましくは0.3〜1.65mol%である。
即ち、酸化鉄粉末等の原料を均一に混合し、仮焼成した後、さらに粉砕して得られた粉体に水等を加えてスラリー化し、噴霧造粒・乾燥を経て、ガーネット型フェライトを含む球状造粒粉末を得る。これをさらに高温で本焼成することにより、球状に焼結したガーネット型フェライト磁性粉末が得られる。
平均粒径はレーザー回折式粒度分布装置(SYMPATEC社製、HELOS&RODOS)を用いて乾式法で測定した。体積基準の粒径であり、平均粒径には50%径を用いている。分散空気圧は3mBarに設定し、分散時間は1.5から4秒、透過率は2から50%の範囲で再現性の良い条件で測定した。
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−800)を用いて、粒子形態を観察した。
結晶構造の同定には、X線回折装置RINT2500(理学電機(株)製)を用いた。
窒素吸着法によりBET法比表面積を、水銀圧入式オートポア922(島津製作所製)によって細孔容積をそれぞれ測定した。
テフロン(登録商標)製圧力容器を用い、試験検体5gに純水5gを加え、密閉後121℃で20時間抽出して、冷却後抽出液をイオンクロマトグラフ(日本ダイオネクス社製、DX−500およびDX−AQ)を用いて各イオン種の濃度を測定し溶出量に換算した。
体積固有抵抗の測定は以下の方法で実施した。金型を用いてフェライト磁性粉体を直径25mm、厚み2〜2.5mmの円盤状に1トン/cm2の圧力で成形した後、これを本焼成して得られるフェライト焼結体の両面に、銀ペーストを塗布し、600℃で焼き付けた。超高抵抗/微少電流計(アドバンテスト製、R8340A)を用いて、印加電圧500Vで該焼結体の電気抵抗値を測定し、該焼結体の直径と厚さから次式のようにして体積固有抵抗を算出した。
体積固有抵抗(Ωm) = 電気抵抗値(Ω)×試料面積(cm2)/試料厚み(cm)×10−2
VSM(Vibrating Sample Magnetometer、振動試料型磁力計VSM−3S、東英工業(株)製)で磁気測定を行った。最大外部磁場は796kA/m(10kOe)、保磁力Hc測定時のスキャンスピードには3.98kA/m/min(50Oe/min)を用いた。
信頼性試験は以下の方法で実施した。半導体封止用樹脂組成物で10mm×10mm×厚さ0.5mmの成形体を作り、該表面に、太さ25μmのアルミニウム線を2本並べ、100μmの間隔を維持して上記成形体表面に接触させる。2本のアルミニウム線には直流30Vのバイアス電圧を負荷し、相対湿度85%、温度120℃の圧力容器の中で30時間試験を行った。電気抵抗が急激に低下したり、アルミニウム線の腐食など外観の異常を観察した。
図1に示す回路において、
1.抵抗測定:30時間、環境試験後に供試体を常温に戻し抵抗測定を行う。
・抵抗測定は、AA’&BB’は電気テスターHIOKI CE3030−10型で行う。
・AB&A’B’は超高抵抗/微少電流計アドバンテストR8340A型を用いて500V印加し、その時の電流値から抵抗値を算出する。
2.アルミニウム線と樹脂の状態観察
・抵抗測定を行った後、樹脂層を剥がし、アルミニウム線との接触面を光学顕微鏡(倍率1000)で観察する。
回路の抵抗の測定結果とアルミニウム線と樹脂の状態の観察から、表1に示す4段階の判定で評価した。
複素透磁率測定用成形体を次の様にして作成した。粒状の半導体封止用樹脂組成物を、成形圧力6.68MPa、金型温度175℃、2分の条件で直径35mmのタブレット状に成形し、更に175℃×5時間の条件で硬化させた。この成形体を超音波カッターにより、外形7mm、内径3mm、厚さ2mmのドーナッツ状の試験片に切り出した。本試験片の複素透磁率を同軸管試験法で、ネットワークアナライザー(ヒューレットパッカード社製、8720D)により、周波数1GHzで測定した。
樹脂組成物の粘度は、高化式フローテスター(島津製作所製、CFT500型)を用いて175℃の溶融粘度を測定した。
図2に概略を示すように、樹脂バリ評価用の金型を用い、キャビティから漏れた樹脂のバリの長さをノギスで測定した。バリが発生する部分のクリアランスは5〜20μmである。
原料粉末のY2O3を38.0mol%、Fe2O3を61.7mol%、SiO2を0.3mol%の組成A(表2)になるように秤量して、水を加え、混合して30重量%濃度スラリーとし、湿式アトライターで1時間微粉砕・混合した後、ろ過、乾燥する。得られた混合原料粉末を大気中、1100℃の温度で3時間 仮焼成する。得られた仮焼成物を乾式振動ミルで3時間粉砕することにより、ガーネット型フェライトを含む仮焼粒子を得た。ガーネット型フェライトを含む仮焼粒子をスラリー濃度70重量%で噴霧造粒・乾燥を行った。得られた球状の造粒粒子を大気中、1400℃の温度で2時間、本焼成を行った。本焼成した粉体は、ロールクラッシャーで解砕し、振動篩で45μm以上の粗粉を分級除去した。さらに粉体の重量の30倍のイオン交換水を用いて30分洗浄した後、120℃で5時間乾燥した。
得られた球状フェライト磁性粉体は、X線回折でガーネット型結晶構造を持つことが同定され、平均粒径27μm、細孔容積0.04l/kg、BET法比表面積0.04m2/g、可溶性イオンは検出限界以下、25℃の体積固有抵抗は2×1012Ωm、120℃の体積固有抵抗は3×109Ωm、飽和磁化は27.9Am2/kg、保磁力は159A/mであった。
シリカ粒子は、球状シリカ粉末(溶融シリカ、平均粒径10.0μm)100部に対してγ―グリシドキシプロピリトリメトキシシラン0.2部をヘンシェルミキサーにて、予め常法で混合処理して用いた。フェライト磁性粉体は、粉体100部に対してγ―グリシドキシプロピリトリメトキシシラン0.3部をヘンシェルミキサーにて、予め常法で混合処理して用いた。表2の実施例1〜3及び比較例1〜2のフェライト磁性粉体を用い、表3に示す割合でフェライト磁性粉体とシリカ粒子を配合し、球状シリカ粉末とフェライト磁性粉体を合わせたフィラー全体に対して、0.8vol%のポリエチレンワックスを加え、さらに配合の残りの体積分に合うように下記の樹脂組成の割合で樹脂成分を追加して、ヘンシェルミキサーにて混合処理し、半導体封止用樹脂組成物用混合物を得た。該混合物を温度95〜110℃に加熱した熱ロールで3分間溶融混合して冷却した後、10メッシュの篩を通過した粉末状の半導体封止用樹脂組成物を作製した。フェライト磁性粉体の密度を5.1×10−3kg/m3(5.1g/cm3)、シリカ粒子の密度を2.2×10−3kg/m3、ポリエチレンワックスの密度を0.95×10−3kg/m3、下記樹脂組成の密度を1.1×10−3kg/m3として計算する。
樹脂組成
ビフェニル型エポキシ樹脂(軟化点105℃、エポキシ当量192) 100部
フェノールアラルキル樹脂(軟化点60℃、水酸基当量169) 70部
臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(軟化点77℃、水酸基当量465) 8部
三酸化アンチモン 3部
カーボンブラック 0.5部
Claims (6)
- 組成が酸化物換算で5.5〜42.25mol%のY2O3、0〜35.5mol%のGd2O3、57.5〜67.5mol%のFe2O3及び0.25〜1.7mol%のSiO2からなり、且つ可溶性イオンが5ppm以下であることを特徴とする、ガーネット型の結晶構造を有するフェライト磁性粉体。
- 120℃における体積固有抵抗が5×107Ωm(5×109Ωcm)以上及び25℃における体積固有抵抗が3×109Ωm(3×1011Ωcm)以上であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁性粉体。
- 形状が球状であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のフェライト磁性粉体。
- 平均粒子径が5〜50μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト磁性粉体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のフェライト磁性粉体を体積基準で、少なくとも30vol%以上含むことを特徴とする半導体封止用樹脂組成物。
- シリカ粒子を含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体封止用樹脂組成物。
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