JP4692491B2 - 接合材料 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛を含まない接合材料に関する。
回路基板上に実装される電子部品が、素子と電極とこれらを接合する接合材料とを具備する場合、接合材料には、はんだ材料が一般に用いられている。
電子部品は、更に、別の接合材料を用いて、マザーボードに実装される。例えばチップインダクタのような電子部品とマザーボードとを接合する接合材料には、一般に融点が200〜230℃のはんだ材料が用いられている。
電子部品をマザーボードに実装する際には、主に熱風方式のリフロー装置により、電子部品をマザーボードとともに加熱し、融点が200〜230℃のはんだ材料を溶融させる。このとき、電子部品の温度は230〜260℃に達するが、電子部品の内部で素子と電極とを接合しているはんだ材料が溶融すると、断線、短絡、あるいは電気特性の変化が生じて最終製品に不良が生じる可能性がある。よって、電子部品の内部に用いる接合材料は、リフロー装置内で到達する電子部品の最高温度よりも高い溶融温度を有することが要求される。そこで、電子部品の内部で素子と電極とを接合するはんだ材料には、例えば、鉛を主成分として含み、約15質量%のSnを含む、溶融温度288℃のPb−Sn合金が用いられている。
しかし、Pb−Sn合金を用いる場合、廃棄物中のはんだ材料から、鉛が土壌に溶出することが懸念される。近年、地球環境保護への関心が高まってきており、鉛を含まないはんだ(鉛フリーはんだ)の開発が進められている。例えば、溶融温度が200〜250℃のPb−Sn合金からなるはんだ材料は、Sn−Ag合金もしくはSn−Cu合金からなるはんだ材料に置き換えられつつある。溶融温度260℃以上のはんだ材料としては、主成分であるBiと少量のAgとを含むはんだ材料が提案されている。(特許文献1参照)。
特開2001−353590号公報(第5頁、表1)
上述のように、溶融温度の高いはんだ材料を得るために、Biに少量のAgを添加することが提案されている。しかし、Biに少量のAgを添加すると、BiとAgとの共晶合金(例えば97.5質量%のBiと2.5質量%のAgとを含む共晶合金(Bi−2.5%Ag))が生成する。このような共晶合金の溶融温度は比較的低く、Bi−2.5%Agの溶融温度は262℃である。
一方、電子部品とマザーボードとをはんだ材料で接合する場合、電子部品は260℃まで加熱されることがある。チップインダクタのような熱容量の小さな電子部品は、リフロー装置による加熱温度の上限よりも、10℃程度高い耐熱温度(少なくとも270℃程度)を有する必要がある。よって、Biと少量のAgとを含むはんだ材料は、熱容量の小さな電子部品には用いることができない。
BiにAg以外の元素を添加すると、更に溶融温度が低下する場合もある。例えば96質量%のBiと4質量%のZnからなる共晶合金(Bi−4%Zn)の溶融温度は255℃、58質量%のBiと42質量%のSnからなる共晶合金(Bi−42%Sn)の溶融温度は138℃、35質量%のBiと65質量%のInからなる共晶合金(Bi−65%In)の溶融温度は72℃である。これらの共晶合金は、添加元素の量が微量であっても局所的に生成するため、注意が必要である。
鉛フリーはんだの開発においては、Agの含有率を減少させることも重要である。家庭用の電化商品や電子機器は、安価に生産することが求められる。Agは1g当たりの価格が約40円と高価であるため、その使用量は少ない方が望ましい。鉛フリーはんだには、溶融温度が220〜230℃のSn−3%Ag−0.5%Cu合金が一般的に用いられている。このような合金においても、材料価格を安価にするために、Agの量を0.3質量%程度に減少させる取り組みが進められている。
本発明は、上記を鑑み、例えば270℃以上の溶融温度を有し、鉛を含まない接合材料を提供することを目的の1つとする。
本発明は、Biを主成分とした合金と、球状または針状または板状のフィラーからなる接合材料であって、前記Biを主成分とした合金は、接合材料全体の質量%で、0.2〜0.8質量%のCuと、0.02〜0.2質量%のGeとを含み、残部がBiからなる合金であり、前記フィラーは、接合材料全体の質量%で、0.05〜5.0質量%含まれる接合材料を用いる。
本発明は、Biを主成分とした合金と、球状または針状または板状のフィラーからなる接合材料であって、前記Biを主成分とした合金は、接合材料全体の質量%で、0.2〜0.8質量%のCuと、0.02〜0.2質量%のGeと、0.02〜0.08質量%のNiを含み、残部がBiからなる合金であり、前記フィラーは、接合材料全体の質量%で、0.05〜5.0質量%含まれる接合材料を用いる。
本発明によれば、例えば270℃以上の溶融温度を有し、鉛を含まない接合材料を提供することができる。本発明の接合材料を使用する電子機器は、回路基板に電子部品をはんだ付けする際の加熱で、電子部品の内部が溶融することがないため、電子機器の信頼性を高くすることができる。
(実施の形態1)
270℃以上の溶融温度を有する接合材料を得る場合、共晶点温度が270℃以上である2元合金(2種の元素からなる合金)をベース(母材)に用いることが有効である。多くの元素の中から共晶点温度が270℃以上となる元素の組み合わせを選ぶ際、重視すべき点は、元素の毒性の有無と価格である。Pb、Hg、Sb、Se等の元素は、毒性の点から除外される。
図1は、2元共晶合金の共晶点温度を示している。縦軸の元素と横軸の元素との交点に示した数値は、それら2種の元素からなる合金の共晶点温度である。図1から、例えばSn−Ag合金の共晶点温度は221℃であり、Ni−Cu合金には共晶点が存在しないことがわかる。また、BiとCuとの組み合わせ、または、BiとGeとの組み合わせが、共晶点温度が270〜300℃の合金を与えることがわかる。
ここで、BiとCuとの共晶合金は、99.5質量%のBiと0.5質量%のCuとを含む(Bi−0.5%Cu)。BiとGeとの共晶合金は、99質量%のBiと1質量%のGeとを含む(Bi−1%Ge)。しかし、Geの価格はCuの約420倍と高価である。よって、安価な材料を提供する観点からは、BiとCuとの組み合わせが有利である。
図2は、BiとCuとの二元合金(Bi−Cu合金)におけるCu含有量(質量%)と、Bi−Cu合金の融点(液相温度または固相温度)との関係を示している。図2において、Cuの含有量が0.8質量%以下では、液相温度が270〜272℃であり、固相温度との温度差が小さくなっている。一方、Cuの含有量が1.0質量%を超えると、液相温度は275℃以上となり、固相温度との温度差が5℃以上に拡大している。液相温度と固相温度との間の温度では、固相と液相が共存する。よって、液相温度と固相温度との温度差が5℃以上に大きくなると、接合材料の作業性が低下し、製造現場における生産性が低下する。以上より、Cuの含有量は0.8質量%以下であることが望ましい。一方、Cuの含有量が0.2質量%未満になると、溶融した接合材料と電極等との濡れ性が低下する。よって、Cuの含有量は0.2質量%以上であることが望ましい。また、Cuの含有量を0.4〜0.6質量%とすることにより、更に物性バランスに優れた接合材料を得ることができる。
0.2〜0.8質量%のCuを含むBi−Cu合金は、270℃未満の温度で溶融しないという点で優れた接合材料である。しかし、メニスカス法による試験では、濡れ性が低いという知見が得られている。Bi−Cu合金は、99.5質量%という多量のBiを含む。そのため、合金内における酸化物の生成量が多くなっており、このことが濡れ性に影響していると考えられる。そこで、Biよりも優先的に酸化する元素を微量添加することによりBiの酸化を抑制することとした。このような特性を持つ元素としてはGe、Al、Li、P等が挙げられる。図3は、Bi−0.5%CuにGe、Al、Li、Pを各0.05%添加して、300℃で4時間攪拌した後の酸化物生成量を測定した結果である。元素を添加していない試料と比較して、Geを添加した試料では酸化物の生成が抑制されている。これは、GeがBi−0.5%Cuの表面で優先的に酸化して酸化膜を形成するため、Bi−0.5%Cuの酸化が抑制されているためと思われる。この結果から、Bi−0.5%Cuの酸化を抑制するためにはGeの添加が適していることがわかる。
多量のBiを含む合金はPb−Snはんだと比較して強度が弱くなるが、Bi合金にフィラーを混合することにより、機械的な作用で強度を改善することが可能である。しかし、一般的なフィラーを混合すると、Bi合金の融点が大きく変化して、作業性が低下する。
図4はBi、CuおよびGeの三元合金(Bi−Cu―Ge合金)におけるフィラーの含有量(質量%)と、Bi−Cu―Ge合金の融点(液相温度または固相温度)との関係を示している。ここで用いるフィラーは、抗耐熱エンジニアリングプラスチックであるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)であり、球状、針状および板状の3種を用いている。各フィラーの含有量が0.05質量%以下では、液相温度が270〜272℃であり、固相温度との温度差が小さくなっている。一方、フィラーの含有量が5.0質量%を超えると、液相温度は275℃以上となり、固相温度との温度差が5℃以上に拡大している。液相温度と固相温度との間の温度では、固相と液相が共存する。よって、液相温度と固相温度との温度差が5℃以上に大きくなると、接合材料の作業性が低下し、製造現場における生産性が低下する。以上より、フィラーの含有量は5質量%以下であることが望ましい。一方、Cuの含有量が0.05質量%未満になると、溶融した接合材料と電極等との濡れ性が低下する。よって、フィラーの含有量は0.05質量%以上であることが望ましい。
フィラーの平均粒子径は、10〜60μmのものを用いた。さらに、20〜40μmが望ましい。小さいとペーストとして、回路基板に印刷する場合に、粘度が高くなり困難である。一方、大きいと強度向上の効果がなくなるためである。以下の実施形態でも同様である。
図5はBi、CuおよびGeの三元合金(Bi−Cu―Ge合金)におけるフィラーの含有量(質量%)と、Bi−Cu―Ge合金の融点(液相温度または固相温度)との関係を示している。ここで用いるフィラーは、抗耐熱エンジニアリングプラスチックであるPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PES(ポリエーテルスルホン)の針状フィラーである。各フィラー含有量が0.05質量%以下では、液相温度が270〜272℃であり、固相温度との温度差が小さくなっている。一方、フィラーの含有量が5.0質量%を超えると、液相温度は275℃以上となり、固相温度との温度差が5℃以上に拡大している。液相温度と固相温度との間の温度では、固相と液相が共存する。よって、液相温度と固相温度との温度差が5℃以上に大きくなると、接合材料の作業性が低下し、製造現場における生産性が低下する。以上より、フィラーの含有量は5質量%以下であることが望ましい。一方、Cuの含有量が0.05質量%未満になると、溶融した接合材料と電極等との濡れ性が低下する。よって、フィラーの含有量は0.05質量%以上であることが望ましい。
図6はBi、CuおよびGeの三元合金(Bi−Cu―Ge合金)におけるフィラーの含有量(質量%)と、Bi−Cu―Ge合金の融点(液相温度または固相温度)との関係を示している。ここで用いるフィラーはガラスであり、球状、針状および板状の3種を用いている。各フィラーの含有量が0.05質量%以下では、液相温度が270〜272℃であり、固相温度との温度差が小さくなっている。一方、フィラーの含有量が5.0質量%を超えると、液相温度は275℃以上となり、固相温度との温度差が5℃以上に拡大している。液相温度と固相温度との間の温度では、固相と液相が共存する。よって、液相温度と固相温度との温度差が5℃以上に大きくなると、接合材料の作業性が低下し、製造現場における生産性が低下する。以上より、フィラーの含有量は5質量%以下であることが望ましい。一方、Cuの含有量が0.05質量%未満になると、溶融した接合材料と電極等との濡れ性が低下する。よって、フィラーの含有量は0.05質量%以上であることが望ましい。
図7はBi、CuおよびGeの三元合金(Bi−Cu―Ge合金)におけるフィラーの含有量(質量%)と、Bi−Cu―Ge合金の融点(液相温度または固相温度)との関係を示している。ここで用いるフィラーは、珪酸土モリトナイトであり、各フィラー含有量が0.05質量%以下では、液相温度が270〜272℃であり、固相温度との温度差が小さくなっている。一方、フィラーの含有量が5.0質量%を超えると、液相温度は275℃以上となり、固相温度との温度差が5℃以上に拡大している。液相温度と固相温度との間の温度では、固相と液相が共存する。よって、液相温度と固相温度との温度差が5℃以上に大きくなると、接合材料の作業性が低下し、製造現場における生産性が低下する。以上より、フィラーの含有量は5質量%以下であることが望ましい。一方、Cuの含有量が0.05質量%未満になると、溶融した接合材料と電極等との濡れ性が低下する。よって、フィラーの含有量は0.05質量%以上であることが望ましい。
図8はBi、CuおよびGeの三元合金(Bi−Cu―Ge合金)におけるフィラーの含有量(質量%)と、Bi−Cu―Ge合金の融点(液相温度または固相温度)との関係を示している。ここで用いるフィラーは、シリカであり、そのシリカにAgメッキ、Auメッキ、Pdメッキを施してフィラーを用いている。各フィラー含有量が0.05質量%以下では、液相温度が270〜272℃であり、固相温度との温度差が小さくなっている。一方、フィラーの含有量が5.0質量%を超えると、液相温度は275℃以上となり、固相温度との温度差が5℃以上に拡大している。液相温度と固相温度との間の温度では、固相と液相が共存する。よって、液相温度と固相温度との温度差が5℃以上に大きくなると、接合材料の作業性が低下し、製造現場における生産性が低下する。以上より、フィラーの含有量は5質量%以下であることが望ましい。一方、Cuの含有量が0.05質量%未満になると、溶融した接合材料と電極等との濡れ性が低下する。よって、フィラーの含有量は0.05質量%以上であることが望ましい。
かかる構成によれば、Biを主成分とし、0.2〜0.8質量%のCuと、0.02〜0.2質量%のGeとを含み、また球状および/または針状および/または板状のフィラーを0.05〜5.0質量%含むことにより、はんだ付け時に270℃まで溶融せず、かつ耐衝撃性に優れた接合材料となり、チップインダクタのような電子部品の内部接合に用いた場合に、マザーボードへ実装する際の加熱で内部接合の部分が溶融せず、かつ耐衝撃で不良が生じることがない接合材料を提供することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態1の接合材料は、270℃未満では溶融しないという優れた特性を持つが、耐衝撃性がやや低いという問題点もあわせ持っている。実施の形態1の接合材料の1組成であるBi−0.5%Cu−0.04%Geで接合された、1.6mm×0.8mmサイズのチップコンデンサの側面に、60gの錘を180mmの高さから衝突させる試験を行うと、チップコンデンサは接合部で破断する。破断後の接合部の断面を観察すると、Bi比率の高いα相と、Cu比率の高いβ相との界面で破壊されているこが確認できる。
α相とβ相との均一性を示す指標として、10μm×10μmの範囲に存在するα相の外周の長さを結晶外周値として定義した。結晶外周値が大きい場合はα相とβ相との混合が十分ということであり、小さい場合はα相とβ相との混合が十分ではないということになる。破断した接合部の結晶外周値を測定すると87μmであった。
図9は、Bi−0.5%Cu−0.04%Geに添加するNi量を変化させた接合材料の結晶外周値を測定した結果である。Niを0.02%添加すると結晶外周値が増加し、0.05%、0.08%と効果が現れているが、0.11%になると結晶外周値が低下する。この結果から、Niの添加率は0.02%から0.08%の範囲が適しており、望ましくは0.02%から0.05%の範囲とするのが良い。
かかる構成によれば、Biを主成分とし、0.2〜0.8質量%のCuと、0.02〜0.2質量%のGeと、0.02〜0.08質量%のNiとを添加することにより、はんだ付け時に270℃まで溶融せず、かつ更に耐衝撃性に優れた接合材料となり、チップインダクタのような電子部品の内部接合に用いた場合に、マザーボードへ実装する際の加熱で内部接合の部分が溶融せず、かつ耐衝撃で不良が生じることがない接合材料を提供することができる。
(実施の形態3)
図10はBi、CuおよびGeの三元合金(Bi−Cu―Ge合金)におけるフィラーの含有量(質量%)と、Bi−Cu―Ge合金の融点(液相温度または固相温度)との関係を示している。ここで用いるフィラーは、抗耐熱エンジニアリングプラスチックであるPBT(ポリブチレンテレフタレート)の球状フィラーにAgめっき、Auめっき、Pdめっきを施している。各フィラー含有量が0.05質量%以下では、液相温度が270〜272℃であり、固相温度との温度差が小さくなっている。一方、フィラーの含有量が5.0質量%を超えると、液相温度は275℃以上となり、固相温度との温度差が5℃以上に拡大している。液相温度と固相温度との間の温度では、固相と液相が共存する。よって、液相温度と固相温度との温度差が5℃以上に大きくなると、接合材料の作業性が低下し、製造現場における生産性が低下する。以上より、フィラーの含有量は5質量%以下であることが望ましい。一方、Cuの含有量が0.05質量%未満になると、溶融した接合材料と電極等との濡れ性が低下する。よって、フィラーの含有量は0.05質量%以上であることが望ましい。
図11はBi、CuおよびGeの三元合金(Bi−Cu―Ge合金)におけるフィラーの含有量(質量%)と、Bi−Cu―Ge合金の融点(液相温度または固相温度)との関係を示している。ここで用いるフィラーは、抗耐熱エンジニアリングプラスチックであるPES(ポリエーテルスルホン)の球状フィラーにAgめっき、Auめっき、Pdめっきを施している。各フィラー含有量が0.05質量%以下では、液相温度が270〜272℃であり、固相温度との温度差が小さくなっている。一方、フィラーの含有量が5.0質量%を超えると、液相温度は275℃以上となり、固相温度との温度差が5℃以上に拡大している。液相温度と固相温度との間の温度では、固相と液相が共存する。よって、液相温度と固相温度との温度差が5℃以上に大きくなると、接合材料の作業性が低下し、製造現場における生産性が低下する。以上より、フィラーの含有量は5質量%以下であることが望ましい。一方、Cuの含有量が0.05質量%未満になると、溶融した接合材料と電極等との濡れ性が低下する。よって、フィラーの含有量は0.05質量%以上であることが望ましい。
かかる構成によれば、接合材料に含まれるフィラーが樹脂または無機物または金属であり、および/またはこれらをAg、Pd、Au、Snでめっきした構造であるため、はんだ付け時に270℃まで溶融せず、かつ耐衝撃性に優れた接合材料となり、チップインダクタのような電子部品の内部接合に用いた場合に、マザーボードへ実装する際の加熱で内部接合の部分が溶融せず、かつ耐衝撃で不良が生じることがない接合材料を提供することができる。
(実施の形態4)
本実施形態の電化商品および電子機器の制御に用いられる回路基板の構成要素である接合構造体は、電子部品と、前記電子部品を搭載する基板と、前記電子部品と前記基板とを接合する第1の接合材料とを具備し、前記第1の接合材料は、第1の合金を含み、前記電子部品は、電子素子と、前記電子素子と接続される電極と、前記電子素子と前記電極とを接合する第2の接合材料とを具備し、前記第2の接合材料は、Biを主成分とする第2の合金を含み、前記第2の合金は、0.2〜0.8質量%のCuと、0.02〜0.2質量%のGeを含み、また前記第2の合金は、0.2〜0.8質量%のCuと、0.02〜0.2質量%のGeと、0.02〜0.08質量%のNiとを含み、また球状およびまたは針状およびまたは板状のフィラーを0.05〜5.0質量%を含む接合材料である。また前記第2の合金のフィラーとしては樹脂または無機物または金属であり、およびまたはこれらをAg、Pd、Au、Snでめっきしたフィラーを混合した接合材料である。前記第2の合金は、前記第1の合金よりも高い溶融温度を有する、接合構造体により構成された回路基板で制御される電子機器である。
このような電子機器は、回路基板に電子部品をはんだ付けする際の加熱で、電子部品の内部が溶融することがないため、例えば薄型テレビ、HDDレコーダ(ハードディスクレコーダ)、DSC(デジタルカメラ)、ノートパソコン、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの耐久年数の長い製品に用いるのに適している。また、大型コンピュータ、産業用ロボット、航空機搭載機器などの高い信頼性が求められる製品にも用いることもできる。
本願発明の接合方法を用いた回路基板を図12(a)に示す。また、その回路基板を用いた電子機器である薄型テレビについて、図12(b)に示す。その要部を拡大したものを図13に示す。以下に説明する。
薄型テレビ10は、プラズマディスプレーパネル11と、筐体12と、筐体12に内蔵される回路基板13とを具備する。回路基板13は、電気配線が施されたガラスエポキシ基板14と、電子部品内部ではんだ接合されている電子部品15Aと、電子部品内部ではんだ接合されていない電子部品15Bと、ガラスエポキシ基板14と電子部品内部ではんだ接合されている電子部品15Aおよび電子部品内部ではんだ接合されていない15Bとを接合する接合材料16とで構成される。ここで、電子部品内部ではんだ接合されている電子部品15Aは、電子部品内部ではんだ接合されている電子部品15Aの内部に電子素子17と、電子素子17と接合される電極18と、電子素子17と電極18とを接合する第2の接合材料19とを具備する。また、電子部品内部ではんだ接合されていない電子部品15Bは、電子部品15Bの内部ではんだ接合されていない構造である。
電子部品内部ではんだ接合されている電子部品15Aの内部に用いられている第2の接合材料19の溶融温度が高いため、リフロー装置を用いて電子部品内部ではんだ接合されている電子部品15Aをガラスエポキシ基板14に実装する際に電子部品内部ではんだ接合されている電子部品15A内部の接合部が溶融することはない。
かかる構成によれば、電子部品と、前記電子部品を搭載する基板と、前記電子部品と前記基板とを接合する第1の接合材料とを具備し、前記第1の接合材料は、第1の合金を含み、前記電子部品は、電子素子と、前記電子素子と接続される電極と、前記電子素子と前記電極とを接合する第2の接合材料とを具備し、前記第2の接合材料は、Biを主成分とし、0.2〜0.8質量%のCuと、0.02〜0.2質量%のGeと、0.02〜0.08質量%のNiを含み、更に樹脂または無機物または金属であり、Ag、Pd、Au、Snでめっきした構造の球状および/または針状および/または板状のフィラーを0.05〜5.0質量%含む接合材料であり、前記第2の合金は、前記第1の合金よりも高い溶融温度を有する接合構造体により構成された回路基板で制御される電子機器であるため、はんだ付け時に270℃まで溶融せず、かつ耐衝撃性に優れた電子機器を提供することができる。
本発明は、270℃以上の溶融温度と、優れた耐衝撃性とを有し、かつ環境基準にも適合する鉛を含まない接合材料で接合された構造を有する回路基板で制御される電子機器を安価で提供するものである。本発明の電子機器は、薄型テレビ、DSC(デジタルカメラ)、HDDレコーダ(ハードディスクレコーダ)、ノートパソコン、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの耐久年数の長い製品に用いることができ、大型コンピュータ、産業用ロボット、航空機搭載機器などの高い信頼性が求められる製品にも適用することができる。
2元合金の共晶点温度を示す図 Bi−Cu合金におけるCu含有量と、Bi−Cu合金の融点との関係を示す図 Bi−0.5%Cuに、0.05質量%のGe、Al、LiまたはPを添加した場合の酸化物生成量を示す図 Bi、CuおよびGeの三元合金におけるPEEKフィラーの含有量と融点との関係を示している図 Bi、CuおよびGeの三元合金における針状樹脂フィラーの含有量と融点との関係を示す図 Bi、CuおよびGeの三元合金におけるガラスフィラーの含有量と融点との関係を示す図 Bi、CuおよびGeの三元合金における珪酸土モリナイトフィラーの含有量と融点との関係を示す図 Bi、CuおよびGeの三元合金におけるメッキしたフィラーの含有量と融点との関係を示す図 Bi−0.5%Cu−0.04%GeにNiを添加した場合の結晶外周値測定結果の図 Bi、CuおよびGeの三元合金におけるPBTフィラーの含有量と融点との関係を示す図 Bi、CuおよびGeの三元合金におけるPESフィラーの含有量と融点との関係を示す図 (a)本願発明の接合材料を用いた電子回路を示す図(b)本願発明の接合材料を用いた電子回路を用いた電子機器を示す図 図12の要部拡大図
10 薄型テレビ
11 プラズマディスプレーパネル
12 筐体
13 回路基板
14 ガラスエポキシ基板
15A 電子部品内部ではんだ接合されている電子部品
15B 電子部品内部ではんだ接合されていない電子部品
16 接合材料
17 電子素子
18 電極
19 第2の接合材料

Claims (2)

  1. Biを主成分とした合金と、球状または針状または板状のフィラーからなる接合材料であって、前記Biを主成分とした合金は、接合材料全体の質量%で、0.2〜0.8質量%のCuと、0.02〜0.2質量%のGeとを含み、残部がBiからなる合金であり、前記フィラーは、接合材料全体の質量%で、0.05〜5.0質量%含まれることを特徴とする接合材料。
  2. Biを主成分とした合金と、球状または針状または板状のフィラーからなる接合材料であって、前記Biを主成分とした合金は、接合材料全体の質量%で、0.2〜0.8質量%のCuと、0.02〜0.2質量%のGeと、0.02〜0.08質量%のNiを含み、残部がBiからなる合金であり、前記フィラーは、接合材料全体の質量%で、0.05〜5.0質量%含まれることを特徴とする接合材料。
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