JP4691377B2 - 薄膜形成方法 - Google Patents

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本発明は、薄膜形成方法及び電界支援型触媒化学気相成長用成膜装置に関し、特に、加熱した触媒体と原料ガスの接触分解反応により薄膜を低温で堆積するための触媒化学気相成長(Catalytic Chemical Vapor Deposition)(Cat-CVD)法における分解堆積種発生手段に、原料ガスの電子衝突による分解を加重することで、接触分解が生じ難い原料ガスの分解を促進する電界支援型触媒化学気相成長法による薄膜形成方法及びそのための成膜装置に関する。
触媒化学気相成長法は、加熱した触媒体に原料ガスを接触させることで、プラズマを用いずに薄膜を低温で堆積できると共に、プラズマによる基板への損傷を与えることなく堆積できる方法である(例えば、特許文献1参照)。この方法は、例えば、シランガスからシリコン膜を形成する場合に知られているように、ガスの利用効率が極めて高く、薄膜を高速で堆積でき、また、堆積領域の大面積化も可能であるので、太陽電池や液晶ディスプレイ用薄膜トランジスタ等の大面積デバイスの形成法として期待されており、さらにプラズマ損傷がないことから表面の脆弱な化合物半導体用の薄膜形成法として実用化されつつある。
この触媒化学気相成長法を実施する成膜装置は、減圧された堆積チャンバー内に原料ガスを導入する機構、原料ガス導入口と基板ホルダーとの間に設置される原料ガス接触分解用触媒体、ガスを堆積チャンバーから排気する機構を有するだけの極めて単純な構造である。また、その触媒体は、堆積チャンバーや基板ホルダー等の周辺部材とは電気的に遮断されており、そのため、触媒体に直に通電して加熱できる構造となっている。
特開2000−260721号公報(特許請求の範囲等)
上述のように、例えばシランガスを原料としてシリコン系薄膜を堆積する場合には、この触媒化学気相成長法では高いガス利用効率と大きな膜堆積速度を実現していた。ところが、シランガスとアンモニアガスとを混ぜてシリコン窒化物膜を作る場合のように、2種類以上のガスを分解する必要がある場合には、シランが触媒体活性点の大半を占有してしまい、シランがアンモニアに対していわゆる「触媒毒」として働き、アンモニアの分解が大きく阻害され、シランに対して20倍量ものアンモニアを供給する必要がある等の現象の見られることがあった。
このような場合に、例えば、シリコン窒化物膜の堆積速度を上げるには、触媒体上にわずかに残るアンモニア分解のための活性点数を増やすため、触媒体表面積自体を増加させることが最も単純な方法であった。しかし、この方法は、触媒体から基板への熱輻射量の増大を招き、触媒体加熱電力を増大させる等の問題を生じさせる方法であった。シリコン・ウェーハ程度の面積の基板への膜堆積の際には、これは許容できる範囲であったが、基板面積が1メートルを超えるような大面積基板への膜堆積の際には、特に、この加熱電力の増大は大きな問題となっていた。
このように、触媒体との接触分解だけに頼っていたのでは、分解が効率的に行われないガス種の組み合わせ(2種以上の原料ガス混合物)を用いて成膜する場合、又は触媒体の温度を2000℃を超える高温にしないと触媒体表面から分解された種が熱脱離しない場合等には、成膜プロセスを効率的に実施することが困難であった。換言すれば、従来からの触媒化学気相成長法の基本的原料ガス分解機構だけでは、成膜プロセスを効率的に実施することができない場合があった。すなわち、触媒体が高温に加熱されているために、原料ガスが触媒体表面に解離吸着し、その解離した形の種が熱脱離することにより、触媒体表面はもとの状態に戻って反応が継続するという従来の原料ガス分解機構以外の原理による原料ガス分解機構に基づく成膜プロセスの検討が求められていた。
従って、本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、2種以上の原料ガス混合物の場合でも、触媒化学気相成長法により効率的に成膜しうる方法及びそのための成膜装置を提供することにある。
本発明者らは、従来の触媒化学気相成長法を実施する成膜装置においては、一般的に触媒体は電気的に周辺とは絶縁されており、その触媒体に通電して加熱していることに注目し、その触媒体に周辺部材(例えば、基板ホルダーや堆積チャンバー等)に対してバイアス電圧を印加し、その電位が生み出す電界により加熱触媒体が放出する電子を加速するような機構を設ければ、その電子と原料ガス分子との衝突により、従来分解が困難であった原料ガス分子をも容易に分解できることに気がつき本発明を完成するに至った。
本発明の電界支援型触媒化学気相成長法による薄膜形成方法は、混合ガスからなる原料ガスとして、該混合ガスのうちの少なくとも1種のガスAが他の少なくとも1種のガスBの接触分解に対し触媒毒として働いて、ガスAの存在下ではガスBの触媒体上での分解が抑制されるものを用い、この原料ガスと加熱された触媒体との接触分解反応を用いて堆積種又はその誘導種を生成することにより薄膜を形成する方法において、当該触媒体に−100〜−400Vの電圧を印加することで当該触媒体にチャンバに対する負電位を付与して、触媒体表面近傍に電界を生じさせ、加熱された触媒体から放出される電子を該電界により加速し、加速された電子との衝突によりガスBの分解効率を回復させつつ堆積種又はその誘導種を生成し、次いで薄膜を形成することを特徴とする。このように、この触媒体にチャンバに対する負電位を付与することで、触媒体表面近傍に強い電界を生じさせ、この電界と放出電子との相乗作用により、触媒体に電位を付与しない場合と比べて、原料ガスの分解効率を高めて堆積種やその誘導種の発生量を増加させることができるので、所望の薄膜を効率よく形成することができる。本発明では、原料ガスのうちの少なくとも1種のガスAが他の少なくとも1種のガスBの接触分解に対し触媒毒として働いて、ガスAの存在下ではガスBの触媒体上での分解が抑制される場合に、加熱された触媒体上でのガスBの接触分解反応に加えて、触媒体表面近傍で生じる電界により加速された電子との衝突によるガスBの分解を行うことで、ガスBの分解効率を回復させるようにしたため、接触分解が生じ難い2種以上の原料ガスの組み合わせでも、効率的に分解が行われ、所望の薄膜を形成することができる。
前記加熱された触媒体は、離散的に配置された線状または箔板状の形状を有することを特徴とする。このような形状の触媒体を用いることにより、触媒体表面近傍にのみ強い強度の電界を生じさせることができる。
前記触媒体は、タングステン、トリア含有タングステン、タンタル、モリブデン、イリジウム、レニウム、炭素、ニッケル、Ni−Cr合金(例えば、ニクロム)、及びNi−Cr−Fe合金(例えば、インコネル)から選ばれた電子放出可能な導電材料の少なくとも一種からなることを特徴とする。
前記原料ガスは、アンモニア、シラン、水素、酸素、水蒸気、酸化窒素、トリメチルアルミニウム、ヘキサメチルジシラザン、及びヘキサフルオロプロピレンオキサイドから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする。例えば、原料ガスは、アンモニアとシランとの組み合わせたものである。
前記薄膜は、シリコン酸化物膜、シリコン酸窒化物膜、シリコン窒化物膜、酸化アルミニウム膜、窒化炭素膜、ボロン窒化物膜、及びシリコン炭化物膜から選ばれた無機膜、又はテフロン(登録商標)膜及びポリオリフィン膜から選ばれた有機膜であることを特徴とする。
本発明によれば、従来からの触媒化学気相成長法の基本的原料ガス分解機構による加熱された触媒体から放出される電子の作用に加えて、触媒体表面近傍に電界を生じさせる機構を設けて、生じさせた電界の作用により堆積種又はその誘導種の発生量を増加させることによって、2種以上の原料ガス混合物の場合でも、触媒化学気相成長法により効率的に成膜しうることができるという効果を奏する。
本発明に係わる薄膜形成方法を実施するための電界支援型触媒化学気相成長用成膜装置の一実施の形態を示す図1を参照して説明する。この成膜装置1には、堆積チャンバー(CVD反応容器)2の上方に原料ガス供給系に接続された原料ガス導入用シャワープレート3が設けられ、シャワープレート3と対向して、装置1の下方に基板Sを載置する基板ホルダー4が設けられ、シャワープレート3と基板ホルダー4との間に触媒体5が設けられている。この触媒体5には、触媒体の抵抗加熱用DC電源(定電流源)6が接続され、また、触媒体5とDC電源6と間を接続するラインには、成膜プロセス中に触媒体及び触媒体抵抗加熱用給電回路の電位を制御するための可変DC安定化電源のような定電圧源7が接続されている。この成膜装置1を用いて成膜プロセスを実施すれば、抵抗加熱用DC電源6により加熱された触媒体5から放出された電子と、定電圧源7の作用により触媒体表面近傍に生じさせた電界との作用により、2種以上の原料ガスからなる原料ガス混合物の分解を促進して堆積種やその誘導種の発生量を増加させ、所望の薄膜を形成することができる。
本発明に係わる成膜装置(例えば、図1に示す装置)を用いて実施する触媒化学気相成長法による薄膜形成方法の一実施の形態によれば、原料ガス供給系からシャワープレート3内へ供給された原料ガスは、シャワープレートのシャワーノズル8から堆積チャンバー2内へ導入され、定電流源6から通電することにより加熱された触媒体5と接触し、接触分解反応して堆積種又はその誘導種を生成する。この場合、触媒体5に付与する電位は周辺部材に対して負電位であり、この付与された電位が触媒体5の周辺に強い強度の電界を生じさせる。かくして生じた電界と加熱触媒体5から放出される電子との相乗作用により、触媒体5に電位を付与しない時に較べ、堆積種又はその誘導種の発生量を増加させることができる。その結果、原料ガスとして2種以上のガスを組み合わせて用いる場合に、その内の少なくとも1種のガスAが他の少なくとも1種のガスBの接触分解に対し触媒毒として働き、ガスAの存在下ではガスBの触媒体上での分解が著しく抑制されてしまう系において、負電位を付与することで、ガスBの分解に触媒体5上での接触分解反応以外に、触媒体表面近傍に生じる強い強度の電界で加速された電子との衝突による分解が加わることで、ガスBの分解効率が回復され、成膜プロセスを効率的に実施することができる。
上記したような加熱された触媒体の表面近傍での電界分布について、図2に基づいて以下説明する。触媒体21と基板Sとの位置関係のままでは、触媒体表面近傍の電界強度を解析的に算定できないので、1本の触媒体21の周りに半径rの同心円状に基板Sがあると近似して電界強度を算定する(図2(a)、(b)及び(c))。触媒体表面近傍の電界等高線は同心円状になる。
同心円筒の内円筒表面単位長さ当たりの電荷をQとすれば、半径rの電界強度Erは、次式:Er=Q/2πεrで示される。一方、内円筒外表面と外円筒内表面との間の電位差を200Vとすれば、
200(V) = ∫5 0.025Q/2πε0r・dr = Q/2πε0・ln[5/0.025] = 5.30・Q/2πε0
であるから、Er = (200/5.30)・1/r = 37.7・1/rとなる。
r = 0.025cm、φ = 0.5mmの触媒体の近傍では、Er = 1.5 × 103 V/cmであり、r = 5cmの基板位置相当では、Er = 7.5V/cmとなり、電界が触媒体表面近傍に集中する様子がわかる。
また、電子の触媒体表面から平均自由工程の距離1mmの間の電位差は、r = 0.25mmの触媒体表面近傍では、
V = ∫0.125 0.025Q/2πε0・1/rdr = 37.7・ln[0.125/0.025] = 60.7(V)
であり、r = 5mm程度の位置では、V = 37.7・ln[0.6/0.5] = 6.9(V)
であり、また、r = 1cm程度の位置では、V = 37.7・ln[1.1/1.0] = 3.6(V)
である。
以上述べたように、触媒体表面近傍ほど、加熱触媒体から放出される電子を加速するのに十分な電界が集中して生じている。従って、触媒体に負電位を付与すれば、一方の原料ガスが他方の原料ガスの接触分解に対して触媒毒としては働くような2種以上の原料ガスを組み合わせて成膜プロセスを実施する場合でも、効率よく成膜できることがわかる。
同様に、上記電界中を平均自由工程分だけ電子が進んだ時に電子が得るエネルギーの空間分布について説明する。図3は、触媒体表面近傍に生じた電界により電子が得るエネルギー(eV)に対する、触媒体31から基板S方向に図った距離x(cm)の依存性を示す。図3において、横軸は距離xであり、縦軸は電子が印加電界から得るエネルギーである。図3から明らかなように、触媒体31と基板Sとの間の距離xが1cm以下、好ましくは0.5cm以下であれば、加熱触媒体から放出される電子が触媒体表面近傍で生じている電界から得るエネルギーは高く、電子の加速に有用である。
触媒化学気相成長法で用いる触媒体としては、通常、φ3mm程度の金属線等を用いることが多いが、本発明では、触媒体表面近傍への電界集中という点から、一般にφ3mm以下、好ましくはφ1mm以下の細い金属線や1mm以下の厚みの金属箔板を離散的に配置して用いることが好ましい。これにより、この触媒体に、周辺部材に対して負電位を付与すると、自動的に触媒体表面近傍に電界が集中し、空間的に限定されたその触媒体周辺での電界強度が飛躍的に増大する。そのため、電子が大きなエネルギーを持つのは、通常の電圧印加の条件では触媒体表面近傍に限られ、原料ガスの電子衝突による分解は触媒体表面近傍に限定される。すなわち、本発明によれば、触媒体表面近傍にプラズマが発生しているにせよ、その範囲は空間的に限定されるので、高いエネルギーを持った荷電粒子が基板まで飛来してくる心配はない。
このように、従来は電気的に浮いていた触媒体に電圧、特に直流の負電圧を印加するという簡単な手段により、触媒体上での接触分解以外の原料ガスの分解機構を触媒化学気相成長法に付与することができ、2種以上の原料ガスを用いる場合でも、効率的な成膜プロセスを実施することができるのである。
なお、プラズマ化学気相成長(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition;PECVD)法においても、電極の一部を金属線にして、これを加熱し、熱電子を放出してプラズマを安定させる方法が知られている。しかし、本発明では、加熱触媒体にのみ電圧を印加することにより、電界を触媒体表面近傍のみに集中させ、堆積チャンバー全体には高エネルギーの荷電粒子が拡がらないようにしているので、全く別異のものであり、その効果も全く異なる。
本実施例では、堆積チャンバー内へ導入するガスとして、NHガスのみを使用した場合及びNHガスとSiHガスとの2種のガスを使用した場合について、触媒体に−250〜250Vのバイアス電圧を印加し、このバイアス電圧とN−H LIF信号強度(LIFピーク強度)との関係を検討した。この結果を、それぞれ、図4(a)及び(b)に示す。
NHガスのみを導入した場合の結果を示す図4(a)から、バイアス電位の負側を触媒体電源の負側に接続した場合(Low to cat low)は、バイアス電圧−250〜−100Vの間の負電圧において、絶対値が高くなるほどLIF信号強度は高くなり、−250で−50Vの場合の5倍程度になり、負電圧の印加により堆積種の生成量が増加していることがわかる。また、バイアス電位の負側を触媒体電源の正側に接続した場合(Low to cat high)は、バイアス電圧−50〜−250Vの間の負電圧において、絶対値が高くなるほどLIF信号強度は高くなり、−250Vで0V付近の場合の5倍以上になり、負電圧の印加により地積種の生成量が増加していることがわかる。
また、NHガスとSiHガスとを導入した場合の結果を示す図4(b)から、バイアス電圧−100〜−250Vの間の負電圧において、絶対値が高くなるほどLIF信号強度は高くなり、−250Vで−50Vの場合の8倍程度になり、負電圧の印加により堆積種の生成量が増加していることがわかる。
また、触媒体に負のバイアス電圧を印加して上記成膜プロセスを実施することにより、従来の接触分解のみの場合には直接には生成されないN−H種が生成していた。
以上のことから、触媒体に負のバイアス電圧を印加することにより、生成する堆積種の発生量が増加することがわかる。
本実施例では、原料ガスとして、NHガス300sccm及びSiHガス4.6〜4.7sccmを堆積チャンバー内へ導入し、15Paの圧力下、触媒温度1700℃で、触媒体に−400〜300Vのバイアス電圧を印加して成膜プロセスを実施し、SiN膜を形成した。かくして得られた膜の屈折率を測定し、その数値により、NHの分解がどの程度進んで窒化が進行しているかを検討した。これは、NHの分解が進むと、得られた膜の屈折率が低下するという性質を利用したものである。得られた結果を図5に示す。図5では、横軸にバイアス印加電圧(V)をとり、縦軸に屈折率をとってある。
図5から、−400〜−100Vの負のバイアス電圧を印加することにより、NHの分解が進んで、窒化が進行し、目的とするSiN膜が得られていることがわかる。
本実施例では、−400〜200Vのバイアス電圧を印加することによる堆積種の量について検討した。LIF測定によるイオン化していないN−Hラジカル種の量に関する実験結果に基づき、NHガスとSiHガスとを組み合わせてSiN膜を形成した場合について同様に検討した。この場合、各バイアス電圧で、得られるSiN膜の屈折率が2となるように各ガスの流量を調整して成膜した。
図6に、バイアス電圧(V)と成膜速度(Å/s)との関係を示す。NHガスの場合、N−Hのイオン種、N−Hのイオン種、N−Hの非イオン種の合計は、母体ガス分子から2つのH原子がはずれるN−Hラジカル密度の5倍になることから、N−H種密度が増大する印加電圧にあわせてSiN膜の成膜速度(堆積速度)が5倍に向上することが、図6からわかる。すなわち、−400Vのバイアス印加電圧において得られる成膜速度は、−100Vのバイアス電圧の場合に得られる成膜速度の5倍になっている。
本実施例では、触媒体として、φ0.5mmのタングステン(W)からなる触媒線の複数本を離散的に配置したものを用い、原料ガスとしてNHガス及びSiHガスを用いて、−600〜500Vのバイアス電圧を印加し、圧力15Pa、触媒体温度1700℃で成膜プロセスを実施し、触媒体の挙動をWの原子数を測定することにより検討した。図7に、印加バイアス電圧(V)と単位面積当たりのWの原子数(Atoms/cm)との関係を示す。図7から、−600Vのバイアス電圧を印加した場合、Wがの原子数が極めて多く生じていることがわかる。これは、プラズマが立ってしまうため、触媒体のWが飛んでしまうことを示している。従って、本発明において負のバイアス電圧を印加する場合は、絶対値で500V程度以下の負電圧を印加することが好ましいことがわかる。
上記したように、本発明によれば種々の異なるラジカル種が多量に生じることから、本発明の薄膜形成方法及び成膜装置は、NHやNによる窒化処理やH処理等のウエハ表面処理においても利用できる。
本発明によれば、加熱した触媒体と原料ガスとの接触分解反応により薄膜を低温で堆積する公知の技術である触媒化学気相成長法における分解堆積種発生手段に、原料ガスの電子衝突による分解を加重することで、接触分解の困難な原料ガスの分解を促進し、よって触媒化学気相成長法の機能の向上を達成することができる。
本発明によれば、従来の触媒化学気相成長法における基本的原料ガス分解機構による加熱された触媒体から放出される電子の作用に加えて、触媒体表面近傍に電界を生じさせる機構により生じさせた電界の作用により、堆積種又はその誘導種の発生量を増加させることができる。かくして、従来不十分な接触分解しかできなかった2種以上の原料ガス混合物の場合でも、触媒化学気相成長法により効率的に成膜しうることができる。ガスの利用効率が極めて高く、薄膜を高速で堆積でき、また、堆積領域の大面積化も可能である。従って、本発明は、太陽電池や液晶ディスプレイ用薄膜トランジスタ等の大面積デバイスの形成を要求される分野等において適用可能である。
また、本発明は、半導体デバイスのみならず食品包装等に多用される高機能薄膜の堆積技術にも適用可能である。
さらに、本発明によれば、多種類のガスの分解効率を向上させることができるので、シリコン窒化物膜等の無機質膜のみならず、テフロン(登録商標)膜、有機質膜の形成をも容易に行える。これらの膜の一部は、例えば、機械部品の表面被覆法として従来から広く用いられてきたメッキ法による表面被覆に変わり得る機能を有し、また、繊維に被覆してその機能を飛躍的に向上させることもできるので、本発明は、各種基体の表面被覆産業分野や繊維産業等にも適用可能である。
上記のように、本発明は極めて広い産業分野にまたがるため、本発明は広い範囲の産業の基幹技術に適用可能である。
本発明に係わる薄膜形成方法を実施するための成膜装置の一実施の形態を示す模式的構成図。 本発明による加熱された触媒体表面近傍での電界分布を説明するための模式図。 本発明における触媒体から基板方向へ測った距離と電子が得るエネルギーとの関係を説明するためのグラフ。 NHガスのみを使用した場合のバイアス電圧(V)とN−H LIF信号強度(LIFピーク強度)との関係を示すグラフ(a)、及びNHガスとSiHガスとを使用した場合のバイアス電圧とN−H LIF信号強度(LIFピーク強度)との関係を示すグラフ(b)。 SiN膜に関して、印加バイアス電圧(V)と膜の屈折率との関係を示すグラフ。 SiN膜に関して、印加バイアス電圧(V)と成膜速度(Å/s)との関係を示すグラフ。 本発明によるバイアス電圧(V)と原料ガスの分解中に得られた原子数(Atoms/cm)との関係を示すグラフ。
符号の説明
1 成膜装置 2 堆積チャンバー
3 原料ガス導入用シャワープレート 4 基板ステージ
5 触媒体 6 定電流源
7 定電圧源 8 シャワーノズル
S 基板 21 触媒体
31 触媒体

Claims (6)

  1. 混合ガスからなる原料ガスとして、該混合ガスのうちの少なくとも1種のガスAが他の少なくとも1種のガスBの接触分解に対し触媒毒として働いて、ガスAの存在下ではガスBの触媒体上での分解が抑制されるものを用い、この原料ガスと加熱された触媒体との接触分解反応を用いて堆積種又はその誘導種を生成することにより薄膜を形成する方法において、
    当該触媒体に−100〜−400Vの電圧を印加することで当該触媒体にチャンバに対する負電位を付与して、触媒体表面近傍に電界を生じさせ、加熱された触媒体から放出される電子を該電界により加速し、加速された電子との衝突によりガスBの分解効率を回復させつつ堆積種又はその誘導種を生成し、次いで薄膜を形成することを特徴とする電界支援型触媒化学気相成長法による薄膜形成方法。
  2. 前記加熱された触媒体が、離散的に配置された線状または箔板状の形状を有することを特徴とする請求項1記載の薄膜形成方法。
  3. 前記触媒体が、タングステン、トリア含有タングステン、タンタル、モリブデン、イリジウム、レニウム、炭素、ニッケル、Ni−Cr合金、及びNi−Cr−Fe合金から選ばれた電子放出可能な導電材料の少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜形成方法。
  4. 前記原料ガスが、アンモニア、シラン、水素、酸素、水蒸気、酸化窒素、トリメチルアルミニウム、ヘキサメチルジシラザン、及びヘキサフルオロプロピレンオキサイドから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の薄膜形成方法。
  5. 前記原料ガスが、アンモニアとシランとの組み合わせたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜形成方法。
  6. 前記薄膜が、シリコン酸化物膜、シリコン酸窒化物膜、シリコン窒化物膜、酸化アルミニウム膜、窒化炭素膜、ボロン窒化物膜、及びシリコン炭化物膜から選ばれた無機膜、又はテフロン(登録商標)膜及びポリオリフィン膜から選ばれた有機膜であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の薄膜形成方法
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