JP6339027B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基板処理装置に関する。
従来から、基板を収容した処理室内に、互いに反応可能な複数の処理ガスを供給して成膜を行う成膜装置において、処理室内にフィラメント状(ワイヤー状)の金属触媒を設け、金属触媒との接触により処理ガスを活性化して成膜効率を高めようとしたCVD成膜装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
具体的には、特許文献1では、タングステンワイヤーからなる熱触媒を枚様式の処理容器内に設け、CVD(Chemical Vapor Deposition)による成膜を行う薄膜作成装置が開示されている。
また、特許文献2では、ワイヤ状のタングステンをコイル状に巻回してなる触媒本体を縦型バッチ式の処理容器内に設け、CVDにより薄膜を堆積させる成膜装置が開示されている。
このような金属触媒を用いて成膜処理を安定して行うことができれば、プラズマを用いるよりも安価に成膜処理を行うことが可能となる。
特開平10−83988号公報 特開2006−179819号公報
しかしながら、上述の特許文献1、2に記載されたタングステンワイヤーからなる金属触媒を用いた場合、成膜を行った際の金属触媒の劣化が激しく、実験レベルでは実施可能であっても、実際の量産化に応用することは困難であるという問題があった。かかる問題は、白金等の他のワイヤ状の金属触媒を用いた場合でも同様であった。
そこで、本発明は、触媒を用いて処理ガスの活性化が可能であるとともに、触媒の劣化が少なく量産化が可能である基板処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る基板処理装置は、処理室と、
該処理室内に設けられ、上面に基板を載置可能なサセプタと、
該サセプタの該上面に対向して設けられ、該サセプタの該上面との対向面が触媒材料で構成された触媒プレートと、
該触媒プレートと前記基板との間に処理ガスを供給可能な処理ガス供給手段と、を有し、
前記処理ガス供給手段は、前記サセプタの外周側から中心に向かって前記サセプタの前記上面に略平行に延び、長手方向に沿って複数のガス吐出孔を有するノズルであって、
前記触媒プレートは、開口を有さず、該ノズルを覆うように設けられる。
本発明によれば、触媒を劣化させることなく、安定して安価に基板処理を行うことができる。
本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の一例の縦断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の一例の縦断面図である。 ランプユニットを含めた第1の実施形態に係る基板処理装置の横断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の周方向に沿った縦断断面図である。 触媒プレートを配置した状態における第1の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した横断面図である。 触媒プレートの一例の構成を簡略化して示した図である。 真空容器内に設置された触媒プレートを裏面から示した図である。 触媒プレートの凸状部に沿った断面図である。 最も簡素な断面構成を有する触媒プレートを示した図である。 材料の組み合わせが最も豊富な触媒プレートの断面構成例を示した図である。 吸収体を用いた触媒プレートの断面構成を示した図である。 ランプユニットの分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の一部を示す縦断面図である。 加熱ランプの配置例を示した図である。 第2の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した図である。 第2の実施形態に係る基板処理装置の処理ガスノズル付近の構成を示した拡大図である。 処理ガスボックスの一例の構成を示した断面図である。 図17とは異なる処理ガスボックスの一例の構成を示した断面図である。 図17及び図18とは異なる処理ガスボックスの一例を示した断面図である。 図17乃至図19とは異なる処理ガスボックスの一例を示した断面図である。 図19に係る処理ガスボックスにおいて触媒ワイヤの本数を2本とした例を示す断面図である。 図19に係る処理ガスボックスにおいて触媒ワイヤの本数を3本とした例を示す断面図である。 図19に係る処理ガスボックス122において触媒ワイヤをパンチングメタルに変更した例を示した断面図である。 触媒ノズルを用いた例を示した断面図である。 第3の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の一例の縦断面図であり、図2は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の一例の横断面図である。
本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置は、図1及び図2に示すように、平面形状が概ね円形である真空容器1と、この真空容器1内に設けられ、当該真空容器1の中心に回転中心を有する回転テーブル2と、を備えている。真空容器1は、基板を内部に収容して処理を行うための処理室である。真空容器1は、天板11及び容器本体12を備えており、天板11が容器本体12から着脱できるように構成されている。天板11の上面側における中央部には、分離ガス供給管40が接続されている。この分離ガス供給管40は、真空容器1内の中心部領域Cにおいて互いに異なる処理ガス同士が混ざり合うことを抑制するために、窒素(N)ガスを分離ガスとして供給するための手段である。また、容器本体12の上面の周縁部には、シール部材13がリング状に設けられる。シール部材13は、例えば、O−リングであってもよい。
図1に示すように、回転テーブル2は、中心部にて概略円筒形状のコア部21に固定されており、このコア部21の下面に接続されると共に鉛直方向に伸びる回転軸22によって、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。回転テーブル2は、材質として石英が用いられている。駆動部23は、回転軸22を鉛直軸回りに回転させる。ケース体20は、回転軸22及び駆動部23を収納する。ケース体20は、上面側のフランジ部分が真空容器1の底面部14の下面に気密に取り付けられている。また、このケース体20には、回転テーブル2の下方領域にNガスをパージガスとして供給するためのパージガス供給管15が接続されている。真空容器1の底面部14におけるコア部21の外周側は、回転テーブル2に下方側から近接するようにリング状に形成されて突出部12aをなしている。
天板11の一部に開口部17が形成され、開口部17には透過部材6が設けられるとともに、透過部材6の上方側にはランプユニット7が配設されている。なお、ランプユニット7の詳細は後述する。
図3は、ランプユニット7を含めた第1の実施形態に係る基板処理装置の横断面図である。図2及び図3に示すように、回転テーブル2の表面部には、回転方向(周方向)に沿って複数枚、例えば5枚のウエハWを載置するための円形状の凹部24が基板載置領域として設けられている。凹部24は、ウエハWの直径に適合するように直径寸法が設定され、ウエハWを凹部24上に載置したときに、ウエハWの表面と回転テーブル2の表面(ウエハWが載置されない領域)とが揃うように、深さ寸法が設定されている。凹部24の底面には、ウエハWを下方側から突き上げて昇降させるための昇降ピン(図示せず)が貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。
図2及び図3に示すように、回転テーブル2における凹部24の通過領域と各々対向する位置には、例えば石英からなる4本のノズル31、32、41、42が設けられている。これら各ノズル31、32、41、42は、真空容器1の周方向(回転テーブル2の回転方向)に互いに間隔をおいて放射状に配置されている。また、これら各ノズル31、32、41、42は、例えば真空容器1の外周壁から中心部領域Cに向かってウエハWに対向して水平に伸びるように各々取り付けられている。この例では、後述の搬送口16から見て時計回り(回転テーブル2の回転方向)に、処理ガスノズル32、分離ガスノズル41、処理ガスノズル31、分離ガスノズル42がこの順番で配列されている。これら各ノズル31、32、41、42は、ノズル31、32、41、42の下端縁と回転テーブル2の上面との離間距離が例えば1〜5mm程度となるように配置されている。
処理ガスノズル31は第1の処理ガス供給部をなし、処理ガスノズル32は第2の処理ガス供給部をなし、分離ガスノズル41、42は各々分離ガス供給部をなしている。各ノズル31、32、41、42は、流量調整バルブを介して夫々以下の各ガス供給源(図示せず)に夫々接続されている。即ち、処理ガスノズル31は、Siを含むガス(以下「Si含有ガス」という)である第1の処理ガス、例えばDCS[ジクロロシラン:SiHCl]又は3DMAS[トリスジメチルアミノシラン:Si(N(CHH]の供給源に接続されている。この第1の処理ガスはシリコン酸化膜の原料ガスである。分離ガスノズル41、42は、分離ガスであるNガスのガス供給源に各々接続されている。
処理ガスノズル32は、原料ガスと反応して反応生成物を生成可能な反応ガスを処理ガスとして供給するノズルであり、例えば、窒化ガスや酸化ガスを成膜する膜の種類に応じて供給する。よって、処理ガスノズル32は、窒化ガス供給源又は酸化ガス供給源等の反応ガス供給源に接続される。窒化ガスは、窒化膜を成膜する場合に用いられる反応ガスであり、例えば、アンモニアガスが挙げられる。酸化ガスは、酸化膜を成膜する場合に用いられる反応ガスであり、例えば、酸素ガス、オゾンガス、水蒸気が挙げられる。
本実施形態では、以下、原料ガスとしてDCS、反応ガスとしてアンモニアガスを用いた例を挙げて説明するが、本発明の実施形態に係る基板処理装置は、他の原料ガス、反応ガスを用いた基板処理にも適用可能である。なお、ガスノズル31、32、41、42の下面側には、例えば回転テーブル2の半径方向(即ち、ガスノズル31、32、41、42の長手方向)に沿って複数箇所にガス吐出孔33(図4参照)が例えば等間隔に形成されている。
図2及び図3に示すように、処理ガスノズル31の下方領域は、第1の処理ガスをウエハWに吸着させるための第1の処理領域P1となり、処理ガスノズル32の下方側領域は、ウエハW表面に吸着した第1の処理ガスに対して第2の処理ガスを供給する第2の処理領域P2となる。分離ガスノズル41、42は、各々第1の処理領域P1と第2の処理領域P2とを分離する分離領域Dを形成するためのものである。第1の処理領域P1の回転テーブル2の回転方向下流側を第1の分離領域D1、第1の処理領域P1の回転テーブル2の回転方向上流側を第2の分離領域D2として説明を進める。これら分離領域D1、D2における真空容器1の天板11には、図2及び図3に示すように、平面視概略扇形の凸状部4が設けられている。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の周方向に沿った縦断断面図である。図4において、第1の処理領域P1、第2の分離領域D2及び第2の処理領域P2の周方向に沿った断面が示されている。
図4に示されるように、第2の処理領域P2の第2の分離領域D2に隣接した箇所には、天板11に開口部17が形成され、透過部材6が開口部17に設置される。透過部材6の下方に処理ガスノズル32が配置され、処理ガスノズル32を覆うように触媒プレート90が設けられる。触媒プレート90は、処理ガスノズル32から供給される反応ガスを活性化するための活性化手段であり、少なくとも触媒プレート90の下面は、触媒材料から構成される。即ち、処理ガスノズル32から供給される反応ガスは、触媒プレート32の下面と接触することによりラジカルが生成され、反応ガスのラジカルが原料ガスと反応し、反応生成物が生成されてウエハW上に堆積される。なお、触媒プレート90の構成の詳細は後述する。
図4に示すように、分離ガスノズル41、42は、凸状部4に形成された溝部43内に収められている。従って、分離ガスノズル41,42における回転テーブル2の周方向両側には、第1及び第2の処理ガス同士の混合を阻止するために、前記凸状部4の下面である低い天井面44(第1の天井面)が配置される。一方、天板11の凸状部4が設けられていない領域には、前記天井面44よりも高い天井面45(第2の天井面)が配置されることになる。
次に、触媒プレート90についてより詳細に説明する。
図5は、触媒プレート90を配置した状態における第1の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した横断面図である。図5に示すように、触媒プレート90は、第2の処理領域P2内の透過部材6と重なる位置に配置される。なお、図5においては、理解の容易のため、ランプユニット7は省略している。
図5に示されるように、触媒プレート90は、透過部材6よりは小さく、透過部材6に包含される略デルタ形又は略扇形の形状をしている。よって、触媒プレート90は、デルタプレート34と呼んでもよい。触媒プレート90は、処理ガスノズル32を覆うように設けられ、処理ガスノズル32から吐出された反応ガス、例えばアンモニアガスを触媒反応によりNHラジカル化できるような構成となっている。
図6は、触媒プレート90の一例の構成を簡略化して示した図である。図6(a)に示すように、触媒プレート90は、板状に構成され、平坦面を有する平坦部91と、処理ガスノズル32の長手方向に沿って延び、コ字型又は凸型の断面形状を有する凸状部92を有している。凸状部92は、処理ガスノズル32を収容可能な溝部93を形成する。凸状部92における長手方向に延びる2つの開口端の両側に、左右に延びるように平坦部91が形成される。少なくとも平坦部91の回転テーブル2との対向面、つまり下面は、触媒材料で構成される。触媒プレート90の全体を触媒材料で構成してもよいし、少なくとも平坦部91の下面に、触媒材料をコーティングしてもよい。なお、この点の詳細については、後述する。
図6(b)に示されるように、平坦部91は、処理ガスノズル32の中心軸に対して左右対称に形成してもよい。また、平坦部91の回転テーブル2の回転方向に沿った長さは、回転テーブル2の外周部に向かうほど長くなっており、このため、触媒プレート90は、概ね扇形状の平面形状を有している。ここで、図6(b)に点線で示す扇の開き角度は、分離領域D1、D2の凸状部4のサイズをも考慮して決定されるが、例えば5°以上90°未満であると好ましく、8°以上30°未満であると更に好ましい。
なお、図6には、平坦部91が凸状部92に関して左右対称である例を示したが、処理ガスノズル32から吐出された反応ガスが効率良くラジカル化することができれば、平坦部91は、必ずしも凸状部92に関して対称である必要は無く、用途に応じて種々の形状を採用することが可能である。
図7は、真空容器1内に設置された触媒プレート90を裏面から示した図である。図7に示すように、処理ガスノズル32は、溝部93に収容される。そして、溝部93の先端、つまり回転テーブル2の中心側には、処理ガスノズル32の先端面と対向する先端壁94が形成されている点で、図6に示した触媒プレート90の構成と若干異なっている。また、外周側には、円弧状の外周端に沿って回転テーブル2に向かって垂直に延びる外周壁95が形成されている点で、図6に示した構成と若干異なっている。更に、略扇形に左右に広がる平坦部91が、凸状部92(又は溝部93)に関して対称となっていない点で、図6に示した略式の触媒プレート90とは異なっている。
しかしながら、図7に示す触媒プレートは、平坦部91と凸状部92を主構成として有するという基本構成は図6の触媒プレート90と同様であり、図6で省略していた先端壁94と外周壁95を含めてより詳細に示している。先端壁94及び外周壁95は、処理ガスノズル32から吐出された反応ガスが中心側及び外周側に流出するのを防ぐ役割を担っている。このように、反応ガスの流出を防ぐべく、触媒プレート90の中心側に先端壁94、外周側に外周壁95を設けることが好ましい。しかしながら、これらは必ずしも必須ではなく、用途に応じて、図6に示した簡素な構成を採用してもよい。また、図7に示す触媒プレート90は、水平に左右に広がる平坦部91が凸状部92(又は溝部93)に関して対称となっていないが、処理ガスノズル32の吐出孔33から吐出された原料ガスが触媒プレート90の下面に接触可能であれば、図7に示す通り、平坦部91は真空容器1内のスペースに応じて種々の形状とすることができる。
図8は、触媒プレート90の凸状部92に沿った断面図である。処理ガスノズル32は回転テーブル2に略平行に十分に接近して設けられ、半径方向には先端壁93と外周壁94で囲まれ、周方向には十分な面積を有する板状の触媒面を構成する平坦部91が延びており、処理ガスノズル32から吐出された反応ガスは、触媒プレート90の平坦部91の少なくとも下面に設けられた触媒材料と高い確率で接触する構成となっている。
次に、図9〜図11を用いて、触媒プレート90の種々の断面構成例について説明する。図9〜図11は、触媒プレート90の種々の断面構成の例を示した図である。なお、図9〜図11において、触媒プレート90を、各断面構成を区別するために触媒プレート900、901、902として異なる参照符号を付して示すが、これらの触媒プレート900〜902は、第1の実施形態で説明した総ての触媒プレート90に適用可能であるので、触媒プレート90は、触媒プレート900〜902を総て包含しているものとする。
図9は、最も簡素な断面構成を有する触媒プレート900を示した図である。図9に係る触媒プレート900は、全体が触媒材料で構成されている。つまり、触媒材料で触媒プレート900を構成する。よって、触媒プレート900は、単一の触媒材料から構成され、触媒材料を用いて図6〜8で示した形状の触媒プレート90を構成する。触媒材料は、反応ガスを活性化可能な種々の触媒材料を用いることができ、用途に応じた種々の触媒材料を用いてよいが、本実施形態に係る基板処理装置では、金属触媒材料を用いる例を挙げて説明する。金属触媒材料は、それ自体が金属であるから、図6〜8に示した触媒プレート90の形状に加工することができる。使用可能な金属触媒材料の例としては、Pt、Ti、Re、Ru、W、Ir、Rh、Pd、Agが挙げられる。特に、Pt、Tiは、温度耐性の点からも好適に使用可能である。
図9に係る触媒プレート900は、構成が簡素であり、加工が容易である。また、全体が触媒材料で構成されているので、確実に反応ガスの活性化を行うことができる。但し、高価な貴金属からなる触媒材料が多く必要であるので、製造コストが高価になる傾向がある。
図10は、材料の組み合わせが最も豊富な触媒プレート901の断面構成例を示した図である。図10に係る触媒プレート901は、板状体9011の一方の面(下面)に触媒材料層9012をコーティングし、他方の面(上面)に黒色材料層9013をコーティングした断面構成を有する。
板状体9011は、触媒プレート901の形状を構成するために用いられる母材であり、真空容器1内で使用可能は総ての材料から構成することができ、特段の材料の限定は無い。しかしながら、半導体製造プロセスの処理室内で一般的に用いられている材料が好ましく、例えば、石英、カーボン、シリコン、アルミナ等を用いることができる。
触媒材料層9012は、板状体9011にコーティング可能な種々の触媒材料を用いてよいが、例えば、上述したPt、Ti、Re、Ru、W、Ir、Rh、Pd、Ag等の金属触媒材料を用いてもよい。特に、Pt、Tiが好ましい点も、図9で説明した通りである。触媒プレート901を真空容器1内に設置する際には、触媒材料層9012が回転テーブル2の上面に対向するように配置される。
黒色材料層9013は、熱の吸収の高い黒色で上面を覆い、触媒プレート901の熱の吸収を高めるための層である。上述の触媒材料は、触媒機能を発揮するためには、高温で用いられる必要があり、その温度は1000℃以上である場合も多い。ウエハWを加熱する温度は、250〜700℃に設定される場合が多く、真空容器1内の温度は、それよりも更に低くなる場合が多い。よって、触媒材料を単に真空容器1内に配置しただけでは、触媒材料の活性化機能が発揮されないことが想定される。そこで、本実施形態に係る基板処理装置では、赤外線による輻射熱を発するランプユニット7を触媒プレート901の上方に配置し、触媒プレート901を適温まで加熱することが可能な構成としている。しかしながら、板状体9011が透明材料で構成されていると、赤外線が透過してしまい、触媒材料層9012に十分な輻射熱を伝達できないおそれがある。そこで、板状体9011の上面に黒色材料層9013を設け、上方からの輻射熱を吸収し、板状体9011を経由して触媒材料層9012に効率的に伝達可能な構成としている。
黒色材料層9013は、黒色層を形成できる材料であれば、種々の材料を用いてよいが、例えば、タングステン、カーボン又はアルマイト処理されたアルミニウムを用いてもよい。
図10に係る触媒プレート901によれば、板状体9011、触媒材料層9012、黒色材料層9013を任意に組み合わせることができるので、用途に応じて適切な触媒プレート901とすることが可能であるとともに、触媒材料の量が少なく済むので、製造コストが安価となる。
図11は、吸収体を用いた触媒プレート902の断面構成を示した図である。図11に係る触媒プレート902では、輻射熱を吸収する吸収体を板状体9021として用い、その下面に触媒材料層9022をコーティングした構成を有する。吸収体は、輻射熱を吸収するとともに、板状体9011を形成し得る硬度を有する材料から構成される。
このような条件を満たす吸収体、つまり板状体9021を構成できる材料としては、例えば、カーボン、黒色石英等が挙げられる。触媒材料層9012は、今まで説明したのと同様の触媒材料を用いることができる。
図11に係る触媒プレート902によれば、簡素な構成で、かつあまり高コストにすることなく触媒プレート902を構成することができる。
図9〜図11において、触媒プレート90の全体が各触媒プレート900〜902の断面構成を有するものとして説明したが、少なくとも平坦部91が触媒プレート900〜902の構成を有すれば触媒プレート90の機能は果たせるので、平坦部91のみを図9〜図11で説明した構成としてもよい。
図4〜図11において説明したように、触媒プレート90は板状に構成されているので、基板処理を長く継続しても、ワイヤのようなダレ、垂れ下がり、表面の損傷が少なく、量産化に適している。また、触媒プレート90を用いることにより、プラズマを用いる必要が無くなるので、高価な高周波電源を準備する必要も無くなるし、メインテナンスも容易になる。
次に、図1の説明に戻り、他の構成要素について説明する。回転テーブル2と真空容器1の底面部14との間の空間には、図1に示すように、ヒータユニット5が設けられている。このヒータユニット5は、主加熱機構をなすものであり、回転テーブル2を加熱することにより、当該回転テーブル2を介してウエハWを下方側から加熱するように構成されている。この例では、ヒータユニット5からの輻射熱が石英である回転テーブル2に吸収されて当該回転テーブル2が加熱される。また、装置の性能上許容される回転テーブル2の最高温度(許容最高温度)は、回転テーブル2に到達する前にオゾンガスが熱分解する温度よりも低い温度に設定されている。つまり回転テーブル2をヒータユニット5により加熱したとき(後述する補助加熱機構により加熱されていないとき)に、基板載置領域の温度は、オゾンガスが当該基板載置領域に到達する前に熱分解する温度よりも低い温度に設定される。この回転テーブル2の許容最高温度は、例えばフッ素系ゴムよりなるシール部材(O−リング13)やガスノズル31、32、41、42のシール部材(図示せず)の耐熱温度を考慮して設定される温度である。ヒータユニット5の側方側にはカバー部材51が設けられ、ヒータユニット5の上方側にはこれを覆う覆い部材52が設けられる。また、真空容器1の底面部14には、ヒータユニット5の下方側において、ヒータユニット5の配置空間をパージするためのパージガス供給管53が周方向に亘って複数箇所に設けられている。
次に、ランプユニット7について詳細に説明する。図3に示すように、ランプユニット7は、処理ガスノズル32よりも回転テーブル2の回転方向下流側であって、第2の分離領域D2よりも僅かに処理ガスノズル32側に寄った位置に設けられている。
図12は、ランプユニット7の分解斜視図である。図12に示すように、天板11には、透過部材6を装着するために、例えば平面視概略扇形の開口部17が形成されている。この開口部17は、例えば回転テーブル2の回転中心から例えば60mm程度外縁側に離間した位置から、回転テーブル2の外縁よりも80mm程度外側に離れた位置までに亘って形成されている。また、開口部17は、真空容器1の中心部領域Cに設けられた後述のラビリンス構造部18と干渉しないように、平面で見た時に回転テーブル2の中心側における端部が当該ラビリンス構造部18の外縁に沿うように円弧状に窪んでいる。
図13は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の一部を示す縦断面図である。図13に示すように、開口部17には、天板11の上端側から下端側に向かって当該開口部17の開口径が段階的に小さくなるように、例えば3段の段部17aが周方向に亘って形成されている。これら段部17aのうち最下段の段部(口縁部)17aの上面には、周方向に亘って溝19aが形成されており、この溝19a内にはシール部材例えばO−リング19が配置されている。このO−リング19は耐熱性のある材料例えばパーフロロエラストマーにより構成されている。尚、図示の便宜上、図12では段部17aを2段とし、溝19a及びO−リング19、後述する押圧部65については図示を省略している。
開口部17には、赤外線光を透過する材質例えば石英により構成された透過部材6が嵌合されている。この透過部材6は、図12及び図13に示すように、水平な窓部61を備えており、この窓部61の周縁部は周方向に亘って上方側に立ち上がり、側壁部62を成している。また、側壁部62の上端は、周方向に亘って外方に向かって水平に伸び出してフランジ部63として構成され、透過部材6の下面側は、図13に示すように、外縁部が周方向に亘って下方側(回転テーブル2側)に垂直に伸び出して、ガス規制用の突起部64をなしている。この突起部64により、透過部材6の下方領域へのNガス及びアンモニアガスの侵入が阻止されるとともに、窓部61への成膜が抑制される。
透過部材6を既述の開口部17内に設置すると、フランジ部63と段部17aのうち最下段の段部17aとが互いに係止する。そしてO−リング19によって、当該段部17a(天板11)と透過部材6とが気密に接続される。透過部材6の上方側には、開口部17の外縁に沿うように枠状に形成された押圧部材65が設けられている。押圧部材65によってフランジ部63を下方側に向かって周方向に亘って押圧すると共に、押圧部材65を図示しないボルトなどにより天板11に固定することにより、真空容器1の内部雰囲気が気密に保たれる。
図3及び図13に示すように、透過部材6は、透過部材6の下方にウエハWが位置した時に、ウエハWの表面全体を覆うように、その大きさや形状が設定されている。その一例を挙げると、窓部61の厚み寸法t1は例えば20mmに設定されている。また、中心部領域C側における透過部材6の内壁面とウエハWの外縁との間の距離が70mmとなり、回転テーブル2の外縁側における透過部材6の内壁面とウエハWの外縁との間の距離が70mmとなるように構成されている。さらに、透過部材6の窓部61の下面と回転テーブル2上のウエハWの表面との間の離間寸法t2は、4mm〜60mmこの例では30mmに設定される。さらにまた、透過部材62の突起部64の下端と回転テーブル2の表面との離間寸法は、例えば0.5mm〜4mmこの例では2mmに設定されている。
ランプユニット7は多数の加熱ランプ71を備えている。この加熱ランプ71は、触媒プレート90の上面に赤外線を照射して輻射熱を伝達し、触媒プレート90の触媒機能を発現させ、アンモニアガスの活性化を促進する。
加熱ランプ71は、ランプ体72を有する。ランプ体72としては、例えば0.5μm以上3μm以下の波長の赤外線光をするハロゲンランプ等が用いられる。この例では、ランプ体72から照射される赤外の波長領域が、ウエハWを構成するシリコンには吸収され、回転テーブル2を構成する石英に対しては透過する領域に設定されている。反射体73はランプ体72からの赤外線光を回転テーブル2側(下方側)に向かうように反射させるためのものである。この反射体73は、ランプ体72からの光エネルギーが効率よく触媒プレート90に照射されるように、例えば回転テーブル2側に向けて徐々に広がる円錐形状に構成され、その内壁には例えば金メッキが施されている。反射体73によりランプ体72からの光エネルギーが触媒プレート90に照射され、輻射熱の拡散が抑えられるようになっている。
加熱ランプ71は、図13に示すように、支持部材74a,74bに支持されて、透過部材6の上方側に配列されている。具体的には、前記ランプ体72は、長さ方向の一端側に形成された電極部72cを介して第1の支持部材74aに取り付けられ、反射体73は第2の支持部材74bに取り付けられている。こうして加熱ランプ71は、ランプ体72の長さ方向が上下方向に揃うように配列される。また、各ランプ体72の電極部72cに、給電線75aを介して給電するための電源部75が設けられている。
図14は、加熱ランプ71の配置例を示した図である。この例においては、加熱ランプ71は同じ大きさ(容量)のものが用いられており、図14に示すように、回転テーブル2の回転中心を中心とする同心円のラインL1〜L5に沿って配列されている。また、ラインL1〜L5上に配列される加熱ランプ71の個数は、回転テーブル2の中心部から外縁部に向かうに連れて多くなるように設定されている。これら加熱ランプ71は、図示しない熱電対などの温度検出部の測定結果に基づいて、ウエハWを後述の加熱処理を行うために好適な処理温度に加熱できるように、個々の加熱ランプ71への電力の供給量が制御されている。
このように、加熱ランプ71の個数や配置、各加熱ランプ71への電力供給量を調整することにより、ランプユニット7の下方側に形成される加熱領域Hの温度分布を制御することができる。回転テーブル2が回転すると、中心部側に比べて外縁側では周速度が速くなる。そのためこの例では、外縁側では中心部側よりも加熱ランプ71の個数を多くして大きな熱量を確保し、回転テーブル2の半径方向においてウエハWに供給される熱量を揃えている。また、加熱ランプ71の容量を変えることによって、同じ電力を供給したときの加熱ランプ71の輻射量(出力)を変えて、前記加熱領域Hの温度分布を制御するようにしてもよい。
また、触媒プレート90に用いられている触媒材料のラジカル生成は、温度依存性を有する。よって、加熱ランプ71の輻射量(出力)を、回転テーブル2の中心からの距離に応じて制御できる構成とすることにより、回転テーブル2の半径方向においてラジカル生成量を制御することが可能となる。図14では、L1〜L5について、周方向に沿った領域L1〜L5毎に異なる温度とする制御が可能となる。
続いて、真空容器1の各部の説明に戻る。真空容器1の側壁には、図2及び図3に示すように図示しない外部の搬送アームと回転テーブル2との間においてウエハWの受け渡しを行うための搬送口16が形成されており、この搬送口16はゲートバルブGより気密に開閉自在に構成されている。また回転テーブル2の凹部24は、この搬送口16に臨む位置にて搬送アームとの間でウエハWの受け渡しが行われる。このため、回転テーブル2の下方側において当該受け渡し位置に対応する部位には、凹部24を貫通してウエハWを裏面から持ち上げるための受け渡し用の昇降ピン及びその昇降機構(いずれも図示せず)が設けられている。
回転テーブル2の外縁側において当該回転テーブル2よりも僅かに下方側の位置には、図2及び図13に示すように、サイドリング81が配置されている。このサイドリング81は、例えば装置のクリーニング時において、各処理ガスに代えてフッ素系のクリーニングガスを通流させた時に、当該クリーニングガスから真空容器1の内壁を保護するためのものである。この例では、各分離領域D及び透過部材6における外縁側の領域は、このサイドリング81の上方側に露出している。回転テーブル2の外周部と真空容器1の内壁との間には、横方向に気流(排気流)が形成される凹部状の気流通路が周方向に亘ってリング状に形成されていると言える。そのため、このサイドリング81は、気流通路に真空容器1の内壁面ができるだけ露出しないように、当該気流通路に設けられている。
サイドリング81の上面には、互いに周方向に離間するように2箇所に第1の排気口82及び第2の排気口83が夫々形成されている。言い換えると、前記気流通路の下方側に2つの排気口が形成され、これら排気口に対応する位置におけるサイドリング81に、第1及び第2の排気口82,83が夫々形成されている。前記第1の排気口82は、処理ガスノズル31と、当該処理ガスノズル31よりも回転テーブルの回転方向下流側の分離領域D1との間において、当該分離領域D1側に寄った位置に形成されている。第2の排気口83は、活性化ガスインジェクター32と、当該活性化ガスインジェクター32よりも回転テーブルの回転方向下流側の分離領域D2との間において、当該分離領域D2側に寄った位置に形成されている。第1の排気口82は、第1の処理ガス及び分離ガスを排気するためのものであり、第2の排気口83は、第2の処理ガス及び分離ガスを排気するためのものである。これら第1の排気口82及び第2の排気口83は、図1に示すように、各々バタフライバルブなどの圧力調整部85が介設された排気管84により、真空排気機構である例えば真空ポンプ86に接続されている。
上述のように、中心部領域C側から外縁側に亘って透過部材6を配置しているので、この透過部材6よりも回転テーブル2の回転方向上流側に吐出された各ガスは、当該透過部材6によって第2の排気口83に向かおうとするガス流がいわば規制されてしまう。そこで、透過部材6の外側における既述のサイドリング81の上面に、第2の処理ガス及び分離ガスが流れるための溝状のガス流路87を形成している。このガス流路87は、図3に示すように、透過部材6における回転テーブル2の回転方向上流側の端部よりも活性化ガスインジェクター32側に寄った位置から、既述の第2の排気口83までの間に亘って円弧状に形成されている。
天板11の下面における中央部には、図2に示すように、凸状部4における中心部領域C側の部位と連続して周方向に亘って概略リング状に形成されると共に、その下面が凸状部4の下面(天井面44)と同じ高さに形成された突出部10が設けられている。また、この突出部10よりも回転テーブル2の回転中心側におけるコア部21の上方側にはラビリンス構造部18が配置されている。このラビリンス構造部18は、ガスの流路を稼いで、中心部領域Cにおいて第1の処理ガスと第2の処理ガスとが互いに混ざり合うことを抑制するためのものである。このラビリンス構造部18は、図13に示すように、回転テーブル2側から天板11側に向かって垂直に伸びる第1の壁部18aと、天板11側から回転テーブル2に向かって垂直に伸びる第2の壁部18bとを備えている。前記第1の壁部18a及び第2の壁部18bは、各々周方向に亘って形成されると共に、これら壁部18a、18bが回転テーブル2の半径方向において交互に配置された構造を採っている。
本実実施形態に係る基板処理装置には、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部100が設けられており、この制御部100のメモリ内には後述の成膜処理及び改質処理を行うためのプログラムが格納されている。このプログラムは、後述の装置の動作を実行するようにステップ群が組まれており、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体である記憶部110から制御部100内にインストールされる。
次に、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の基板処理動作の一例について説明する。
先ず、回転テーブル2をヒータユニット5により加熱した状態で、ゲートバルブGを開放して、回転テーブル2を間欠的に回転させながら、図示しない搬送アームにより搬送口16を介して回転テーブル2上に例えば5枚のウエハWを順次載置する。このウエハWには、ドライエッチング処理やCVD法などを用いた配線埋め込み工程が既に施されており、当該ウエハWの内部には電気配線構造が形成されている。次いで、ゲートバルブGを閉じ、真空ポンプ86により真空容器1内を引き切りの状態にすると共に、回転テーブル2を例えば120rpmで時計回りに回転させる。また、ランプユニット7を作動させる。
ランプユニット7の下方側の加熱領域Hでは、加熱ランプ71から波長が0.5μm以上3μm以下の赤外線光が放射されている。このため、加熱ランプ71からの光エネルギーは透過部材6の窓部61は透過して、触媒プレート90に照射され、輻射熱により触媒プレート90は加熱される。つまり、ランプユニット7により触媒プレート90は個別に加熱され、NHラジカル生成の触媒機能が発揮可能な900℃以上の温度に加熱され、アンモニアガスからラジカル生成が可能な状態となる。
ウエハW表面が前記処理温度に加熱された後、処理ガスノズル31からDCSガスを所定の流量で吐出すると共に、処理ガスノズル32からアンモニアガスを所定の流量で供給する。また、分離ガスノズル41、42から分離ガスを吐出すると共に、分離ガス供給管40及びパージガス供給管15,53からもNガスを吐出する。そして、圧力調整部85により真空容器1内を予め設定した処理圧力例えば400〜500Paに調整する。
このように、第1の処理領域P1にはDCSガスが供給され、第2の処理領域P2にはアンモニアガスが供給されることになる。第2の処理領域P2に供給されたアンモニアガスは、触媒プレート90に接触し、NHラジカルが生成される。そして、回転テーブル2の回転により、ウエハWが第1の処理領域P1に至ると、第1の処理領域P1では、ウエハWの表面に、分子層が1層あるいは複数層のDCSガスが吸着される。そして、ウエハWが第2の処理領域P2に至ると、第2の処理領域P2では、ウエハWの表面に吸着されたDCSガスと、NHラジカルが反応し、SiNが反応生成物としてウエハWの表面上で生成される。かかる反応によりシリコン窒化膜(SiN膜)が成膜される。
また、NHラジカルの生成は、触媒プレート90の温度依存性を利用し、ランプユニット7の輻射量を領域毎に制御することにより、均一化を図ることが可能である。これにより、面内均一性に優れたSiN膜を成膜することが可能となる。
また、触媒プレート90は、板状であるので、プロセスを継続しても、ワイヤのようなダレ、垂れ下がりも無く、表面の劣化も少ない。
このように、第1の実施形態に係る基板処理装置によれば、触媒プレート90を用いることにより、触媒の劣化を大幅に低減させ、安価かつ容易に高品質の基板処理を行うことができる。また、プラズマを用いる必要が無くなり、メインテナンス作業も容易となる。
なお、本実施形態においては、触媒プレート90を最初から準備した例を挙げて説明したが、触媒プレート90を、真空容器1内の成膜処理により行うことも可能である。例えば、Ruを触媒にする場合には、回転テーブル2を停止させ、処理ガスノズル31からRu、処理ガスノズル32及び分離ガスノズル41、42から酸化ガスを供給して成膜処理を行うことにより、真空容器1内に配置された触媒プレート901、902の表面にRuの酸化膜を形成することができる。Ruの酸化膜は、それ自体が触媒材料であるので、触媒プレート901、902の触媒材料層9012、9022を厚くすることができる。つまり、触媒材料層9012、9013が劣化してきたら、触媒材料層9012、9013を成膜処理により容易に修復することができる。
〔第2の実施形態〕
図15は、第2の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した図である。第2の実施形態に係る基板処理装置では、処理ガスノズル32の位置が、第2の処理領域P2の上流側の分離領域D1に接近して設けられている点で、第1の実施形態に係る基板処理装置とは異なっている。なお、第2の実施形態に係る基板処理装置において、第1の実施形態に係る基板処理装置と同様の構成要素については、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
図16は、第2の実施形態に係る基板処理装置の処理ガスノズル32付近の構成を示した拡大図である。図16に示すように、処理ガスノズル32は、箱状の処理ガスボックス120に囲まれた構成となっている。
図17は、処理ガスボックス120の一例の構成を示した断面図である。図17において、処理ガスノズル32の周囲を、箱型の処理ガスボックス120が囲んでいる。処理ガスボックス120は、下面に開口部125を有する。また、処理ガスボックス120内の処理ガスノズル32の下方でかつ開口部125の上方には、触媒ワイヤ130が設けられている。かかる構成により、処理ガスノズル32から吐出された反応ガスは、処理ガスボックス120内で触媒ワイヤ130と接触し、活性化してラジカルとなって開口部125から供給され、ウエハWにラジカル化した反応ガスを供給することができる。処理ガスボックス120の開口部125は、例えば、0.3mmの直径を有して5mmのピッチで配置されてもよい。
図18は、図17とは異なる処理ガスボックス121の一例の構成を示した断面図である。図18において、処理ガスノズル32の周囲を、箱型の処理ガスボックス121が囲んでいる点は図17に係る処理ガスボックス120と同様であるが、開口部126の直径が開口部125よりも大きい点で、図17に係る処理ガスボックス120と異なっている。図18に係る処理ガスボックス121の開口部126は、例えば0.5mmの直径を有し、5mmのピッチで配列されている。このように、開口部125、126の直径、ピッチは、用途に応じて適切な寸法に設定することができる。
図19は、図17及び図18とは異なる処理ガスボックス122の一例を示した断面図である。図19において、処理ガスボックス122は、下面の全体が開口部127を形成し、開口部127の両端から水平に外側に延びる平坦部122aを有する点で、図17及び図18に係る処理ガスボックス120、121と異なっている。このように、処理ガスボックス122の内部ではなく、処理ガスボックス122の開口部127及び平坦部122aの下方全体で触媒ワイヤ130と反応ガスの接触を促進する構造としてもよい。
図20は、図17乃至図19とは異なる処理ガスボックス123の一例を示した断面図である。図20において、処理ガスボックス123は、ノズル型のボックス形状を有し、処理ガスボックス123内には処理ガスノズル32は設けられておらず、触媒ワイヤ130のみが設けられている点で、図17乃至図19に係る処理ガスボックス120〜122と異なっている。これは、処理ガスボックス123が、処理ガスノズル32を兼ねた構成となっている構造を有し、処理ガスノズル32を無くすことが可能となる。
図21は、図19に係る処理ガスボックス122において、触媒ワイヤ130の本数を2本とした例を示す断面図である。図21に示すように、触媒ワイヤ130を1本ではなく、2本としてもよい。これにより、処理ガスノズル32から吐出される反応ガスと触媒ワイヤ130との接触面積を増加させ、活性化を促進することができる。
図22は、図19に係る処理ガスボックス122において、触媒ワイヤ130の本数を3本とした例を示す断面図である。図22に示すように、触媒ワイヤ130を更に増やし、3本としてもよい。これにより、処理ガスノズル32から吐出される反応ガスと触媒ワイヤ130との接触面積を更に増加させ、活性化を更に促進することができる。
図23は、図19に係る処理ガスボックス122において、触媒ワイヤ130をパンチングメタル131に変更した例を示した断面図である。このように、触媒ワイヤ130を処理ガスボックス122内に設けるのではなく、開口部127に、開口部127よりも小さい複数の開口135を有する触媒パンチングメタル131を設けるようにしてもよい。処理ガスボックス122の開口部127を塞ぐように触媒パンチングメタル131が設けられているので、確実に反応ガスと触媒パンチングメタル131とを接触させることができる。
図24は、触媒ノズル132を用いた例を示した断面図である。図24に示されるように、処理ノズル32と触媒を一体化し、触媒ノズル132として構成してもよい。この場合、反応ガス触媒の接触効率は非常に高くなり、吐出孔136から吐出される反応ガスは、既にラジカル化した反応ガスとなる。
このように、ボックス状の形状を用いて、触媒と反応ガスとの接触を行う構成としてもよい。
〔第3の実施形態〕
図25は、第3の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した図である。図25に示されるように、第3の実施形態に係る基板処理装置は、真空容器1の外部に触媒ワイヤ130を設けた構成とされている。即ち、真空容器1の外部に触媒室140が設けられ、触媒室140内に触媒ワイヤ130が複数本収容される。そして、触媒室140内に反応ガスが供給され、触媒室140で検出器160により活性化測定が行われた後、圧力調整弁150を経て圧力が制御されて活性化した反応ガスが処理ガスノズル32内に供給される。これにより、処理ガスノズル32からは、活性化した反応ガスが真空容器1内に供給され、効率的な基板処理が行われる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
1 真空容器
2 回転テーブル
31、32 処理ガスノズル
41、42 分離ガスノズル
5 ヒータユニット
7 ランプユニット
71 加熱ランプ
73 反射体
90、900、901、902 触媒プレート
91 平坦部
92 凸状部
93 溝部
9011、9021 板状体
9012、9022 触媒材料層
9013 黒色材料層
P1 第1の処理領域
P2 第2の処理領域
D1、D2 分離領域
W ウエハ

Claims (15)

  1. 処理室と、
    該処理室内に設けられ、上面に基板を載置可能なサセプタと、
    該サセプタの該上面に対向して設けられ、該サセプタの該上面との対向面が触媒材料で構成された触媒プレートと、
    該触媒プレートと前記基板との間に処理ガスを供給可能な処理ガス供給手段と、を有し、
    前記処理ガス供給手段は、前記サセプタの外周側から中心に向かって前記サセプタの前記上面に略平行に延び、長手方向に沿って複数のガス吐出孔を有するノズルであって、
    前記触媒プレートは、ガスの吐出孔を有さず、該ノズルを覆うように設けられた基板処理装置。
  2. 前記触媒プレートは、前記サセプタの前記上面と対向する板状体を有し、該板状体の前記サセプタの前記上面との対向面に前記触媒材料がコーティングされて構成された請求項1に記載の基板処理装置。
  3. 前記板状体は、熱を吸収する吸収体から構成された請求項2に記載の基板処理装置。
  4. 前記板状体は、石英、カーボン、シリコン又はアルミナからなる請求項2に記載の基板処理装置。
  5. 前記触媒プレートは、全体が前記触媒材料で構成された請求項1に記載の基板処理装置。
  6. 前記触媒プレートは、上面に黒色材がコーティングされた請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  7. 前記黒色材は、タングステン、カーボン又はアルマイト処理されたアルミニウムである請求項6に記載の基板処理装置。
  8. 前記処理室の天井面の前記触媒プレート上方の領域には、赤外線を透過する材料から構成された照射窓が設けられ、
    該照射窓より上方に輻射加熱手段が設けられた請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  9. 前記照射窓は、石英から構成された請求項8に記載の基板処理装置。
  10. 前記輻射加熱手段は、ランプヒータである請求項8又は9に記載の基板処理装置。
  11. 前記サセプタは、回転可能な回転テーブルとして構成され、回転方向に沿って複数の前記基板が載置可能であり、
    前記触媒プレートは、前記回転テーブルの一部を覆う略扇形の形状を有する請求項8乃至10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  12. 前記触媒プレートは、半径方向に延びて前記ノズルを収容可能な上に凸の溝を形成する凸状部を有し、凸状部以外の平坦部は、前記ノズルの下面よりも下方に設けられた請求項11に記載の基板処理装置。
  13. 前記輻射加熱手段は、前記回転テーブルの半径方向に沿って中心からの距離に応じて分割された領域毎に加熱温度が調整可能である請求項11又は12に記載された基板処理装置。
  14. 前記回転テーブルの上方には、前記回転方向に沿って区画されて設けられ、基板に吸着可能な原料ガスを供給する原料ガス供給領域と、該原料ガス供給領域と前記回転方向において離間して設けられ、前記原料ガスと反応して反応生成物を生成可能な前記処理ガスを供給する処理ガス供給領域と、該処理ガス供給領域と前記原料ガス供給領域との間に設けられ、前記基板をパージするパージガスを供給可能な分離領域とが設けられ、
    前記触媒プレート及び前記処理ガス供給手段は、前記処理ガス供給領域の一部に設けられた請求項11乃至13のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  15. 前記触媒材料は、Pt、Ti、Re、Ru、W、Ir、Rh、Pd又はAgを主成分とする金属触媒材料である請求項1乃至14のいずれか一項に記載の基板処理装置。
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