JP2011109141A - プラズマcvd装置及びプラズマcvd装置を用いたシリコン系膜の製造方法 - Google Patents

プラズマcvd装置及びプラズマcvd装置を用いたシリコン系膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
薄膜シリコン太陽電池の微結晶シリコン膜及び多結晶シリコン太陽電池のパッシベーション膜等を製造するプラズマCVD装置の応用分野においては、生産性向上及び低コスト化を図るために、大面積基板を対象に高速、高品質のシリコン系膜の形成が可能なプラズマCVD装置及びその装置を用いたシリコン系膜の製造法が求められている。特に、パウダーの発生を抑制可能なプラズマCVD技術が強く求められている。
【解決手段】
ガス噴出孔を有する電極の表面に、原料ガスのみを噴出する複数の原料ガス噴出孔と希釈ガスのみを噴出する複数の希釈ガス噴出孔を配置するとともに、該希釈ガス噴出孔を該噴出方向が基板表面の法線方向以外に向くように設置させるということを特徴とする。原料ガスのプラズマ化と希釈ガスのプラズマ化を空間的に分離し、かつ、それらを接触させて、混合させることが可能となる。これにより、高品質・高速の製膜が可能となる。
【選択図】図7

Description

本発明は、プラズマを利用して基板の表面に薄膜を形成するプラズマCVD装置及びプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法に関する。
また、本発明は、特に、薄膜太陽電池の発電膜であるアモルファスSi膜及び微結晶Si膜、並びに液晶デイスプレイの等薄膜トランジスタ等の絶縁性薄膜(窒化シリコン膜、酸化シリコン膜等)の形成に用いられるプラズマCVD装置及びプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法に関する。
また、多結晶シリコン太陽電池の反射膜及びパッシベーション膜等に用いられる窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜等の形成に用いられるプラズマCVD装置及びプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法に関する。
プラズマCVD装置及びプラズマCVD法に関する典型的な従来例を図15に示す。図15において、真空容器100にはプラズマを発生させるためのガスシャワー孔(ガス噴出孔)101を有する第1の電極102と基板103を載置する電気的に接地された第2の電極104が平行に設置されている。第1及び第2の電極102、104には、高周波電源105、インピーダンス整合器106及び同軸ケーブル107からなる電力供給系108から、例えば周波数が13.56MHzの電力が供給される。
ガスシャワー孔(ガス噴出孔)101には、ガス供給源109、第1のガス導入管110、バルブ111及び第2のガス導入管112から成るガス供給系113から、例えばシランガス(SiH4)と水素ガス(H2)の混合ガス114が供給され、該ガスシャワー孔(ガス噴出孔)101からその混合ガス114が噴出する。噴出した混合ガス114は、図示しない真空ポンプにより、排気管115a、115bを介して排気される。基板103は第2の電極に内蔵された電気ヒータ(図示しない)により所定の温度に加熱される。
図15の装置を用いて基板103の表面に、例えば微結晶Si薄膜を形成する場合、ガスシャワー孔(ガス噴出孔)101からシランガス(SiH4)と水素ガス(H2)の混合ガス114を噴出させ、第1の電極と第2の電極間に、例えば周波数が13.56MHzの電力を供給する。該電力により該一対の電極間に強い電界が発生する。強い電界が発生すると、その電界により加速された電子がシランガス(SiH4)と水素ガス(H2)の分子に衝突し、電離作用が発生する。ガス分子が電離すると、グロー放電即ちプラズマが発生する。プラズマが発生すると、プラズマ中の電子及びイオン等がシランガス(SiH4)と水素ガス(H2)の分子に衝突し、それを解離・分解させるので、種々のプラスイオン及びマイナスイオンの他に、化学的に活性で、電気的には中性の種々のラジカルが発生する。この場合、ラジカルとしては、例えば、SiH、SiH、SiH、H等が発生する。そして、ラジカルは、プラズマの中から基板表面まで拡散現象で移動し、基板の面上に堆積する。その結果、例えば、アモルファスSiあるいは微結晶Siが基板上に形成される。
なお、高品質のアモルファスSiあるいは微結晶Siを形成させる場合には、プラズマ中のSiHの濃度を増大させることと、それを実現するための条件を把握することがキーポイントであることが、一般に知られている。また、粗悪な膜が形成される場合の主たる原因は、SiHプラジカルを主体とした反応であることが、一般に知られている。また、プラズマ中のSiHの濃度が増大すると、プラズマの気相中でパウダー(パーテイクル)が発生し、そのパウダーが製膜される膜に混入し、その結果、粗悪な膜が形成されるということも、一般に知られている
製膜されたシリコン系薄膜の膜厚分布は、図15の装置を用いる場合、非特許文献1に記載のように、概略、次式で表わされる。
I(x)=cos(2πx/λ)
ただし、I(x)は膜の厚み、xは基板中央からその周辺方向への距離、λは使用電力の波長(プラズマ中での波長)である。
この式は、膜の均一性は、使用される電力のプラズマ中での波長に依存することを示している。例えば周波数が13.56MHz(真空中の波長λ=22.1m)、プラズマ中での波長短縮率λ/λが0.65の場合、cos(2πx/λ)の平坦部は基板中央点近傍のλ/8の範囲であるとすると、直径1.8m程度の面積に亘ってほぼ均一な膜が得られる、という意味である。
プラズマCVD装置及びプラズマCVD法の産業分野への応用における代表例として、薄膜太陽電池分野及び液晶デイスプレイ分野がある。そして、そのいずれの応用においても、半導体薄膜製品の高性能化及び低コスト化が求められており、そのニーズに対応するための研究開発が行われている。具体的には、大面積化、高品質化、高速製膜化が可能なプラズマCVD装置及びプラズマCVD法の実用化を目指した研究開発が行われている。
最近、高速で高品質の膜を形成するために、ホローカソード放電方式によるプラズマ生成装置の開発例が多くなっている。なお、ホローカソード放電によるプラズマ生成法は、低電力で高密度プラズマが得られるということが、一般に知られている。
しかしながら、上記ニーズに十分に対応できる装置及び方法は発表されていない。即ち、大面積基板を対象にした応用において、高速で、高品質のシリコン系膜を製造可能であるプラズマCVD装置及びプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法は、依然として実現されていない。その為、新規技術の創出が望まれている。
特許文献1には、課題として、プラズマによるイオンダメージの抑制、膜の組成比や製膜速度の制御、プラズマ生成の安定性、及びパーテイクル発生の抑制が記載されている。
そして、その課題解決のために、次の発明が記載されている。即ち、特許文献1に記載の発明は、真空排気される真空容器と、この真空容器内に収納されていて、内部にガスが導入され、かつ、下面にそのガスを噴出させる多数のガス噴出孔を有する高周波電極と、前記真空容器内に高周波電極に対向するように収納されていて、基板を載せるホルダ兼電極とを備えるプラズマCVD装置において、内部にガスが導入されるものであって、上下に貫通している多数の貫通孔と前記ホルダ兼電極の面に当該ガスを噴出させる多数のガス噴出孔とを有する中間電極を、前記高周波電極とホルダ兼電極との間に、両電極の空間を仕切るように設け、この中間電極と高周波電極との間に高周波電力を供給するようにし、しかも前記真空容器内を真空排気するための排気口を前記ホルダ兼電極の裏側のほぼ中央部に位置するように設け、かつ前記高周波電極内に、膜を形成する原料となる原料ガスを除く全てのガスを導入してそれを当該電極のガス噴出孔から噴出させ、かつ前記中間電極内に、原料ガスまたはそれと希釈ガスとの混合ガスを導入してそれを当該電極のガス噴出孔から噴出させるようにしており、更に前記高周波電極内に環状のヒータを設けていることを特徴とする。
特許文献2には、課題として次のことが示されている。薄膜シリコン太陽電池用i型微結晶シリコン薄膜の製造においては、膜厚が2.5μmの微結晶シリコン薄膜を5分程度の時間で堆積できる高速製膜(例えば、8.3nm/s以上)を実現することが求められている。従来のプラズマCVD法による微結晶シリコン薄膜の堆積法では、シランガス/水素ガスの混合ガスにおけるシランガスと水素の流量比、即ち、(SiH)/(SiH+H)を調整することによって、結晶性を制御しようとするため、膜の結晶性と堆積レートとはトレードオフの関係にある。つまり、結晶性を向上させる製膜条件として、水素の流量を増大させると(SiHの流量を減少させる)、堆積レートが大きく低下し、1nm/s程度以下になり、上記8.3nm/s以上の堆積レートが得られないという問題がある。
また、従来のプラズマCVD法による微結晶シリコン薄膜の堆積法では、堆積レートを上げる目的で高周波電力を増加させて製膜する。この場合、シランガスはプラズマ中で電子衝突によって容易に解離するために、高周波電力を増加させてプラズマの電子密度が高くなると、SiH、SiH、Siが多量に生成され、気体相中でパーテイクルが生成されてしまい、欠陥の多いシリコン膜が生成されるという問題があった。
その課題解決のために、次の発明が記載されている。即ち、成膜室内に基板ステージとプラズマ電極とが対向して配設され、前記プラズマ電極にシランガスと水素ガスとを供給するとともに、高周波電圧を印加してプラズマを生成し、前記基板ステージに保持された基板上に微結晶シリコン薄膜を形成する薄膜形成装置において、前記成膜室の外部から前記プラズマ電極に供給される前記シランガスを前記基板上に吹出させるシランガス供給手段と、前記成膜室の外部から前記プラズマ電極に供給される前記水素ガスを水素プラズマにして、前記シランガス供給手段から吹出される前記シランガスに接触させるように前記基板上に吹出させて、前記シランガスをプラズマ化させる水素供給手段と、を備えることを特徴とする。
特許文献3には、課題として次のことが示されている。従来のプラズマCVD装置においては、原料ガスの高圧・枯渇条件を作ることにより高速製膜を図ることができる。しかし、この方法は十分でなく、例えば工業における微結晶シリコン薄膜太陽電池作製に求められる製膜速度(約10nm/s)は達成できていない。また、高圧条件下においては気相中でパウダーが形成されやすく、装置の稼働率を低下させている。
そして、その課題解決のために、次の発明が示されている。即ち、特許文献3は、反応容器、該容器内に反応ガスを導入する手段、ガスを排気する手段、該容器内に収容されたカソード及びアノードから成る放電用電極並びに該電極に電力を供給する電源とを有し、反応容器内に設置された基板表面に薄膜を形成するプラズマCVD装置において、該反応ガスを該基板面内に均一に導入するシャワーヘッド型導入口と該カソード電極を一体型とし、該カソード電極表面に複数の凹部を設け、該凹部の底部に該凹部の短辺よりも小さな穴を穿ち、該穴を反応ガス導入口としたことを特徴とする。
特許文献4には、課題として、次のことが示されている。薄膜太陽電池の分野では発電能力と生産効率の向上のために大面積化が求められている。ところが、平行平板電極を有するプラズマCVD装置で製造された薄膜太陽電池の光電変換特性は基板上の局所的な平面位置に依存して変動する傾向が強くなるという事実がある。これは、製膜室内で異常放電が発生することに起因するものである。この傾向は、製膜条件として、高圧力(反応ガス圧が高い場合)、狭電極間隔(基板と対向電極との間の間隔が狭い場合)及び高パワー(高い高周波パワー密度の場合)を選定した場合に顕著となる。なお、この条件で発生するプラズマの状況は、その強度が不均一となり、電極間以外でもプラズマが発生するという異常放電となる。
そして、その課題解決のために、次の発明が示されている。即ち、特許文献4に記載の発明は、プラズマCVD反応室と、前記反応室内において成膜用基板を支持するための基板支持電極と、前記基板に対面すべき対向電極を備え、前記対向電極は中空であって、前記基板に向けて反応ガスを吹出すために、複数のガス吹出孔及び複数の差圧調整孔を有するガス吹出面板を含み、前記差圧調整孔は前記ガス吹出孔の入口側の孔径よりも大きな孔径を有し、前記ガス吹出孔の長さが前記ガス吹出面板の厚さより小さく、そのガス吹出孔の入口側が前記差圧調整孔に接続されており、前記ガス吹出面板が前記基板と対向する面において、プラズマの発生を促進するためのプラズマ促進溝が形成されていることを特徴とする。
特許文献5には、課題として、次のことが示されている。従来のホローカソード放電を用いるカソード電極は、平板のカソード電極を構成する板材を切削等の加工によって穴を形成することによって、ホローカソード電極となる凹凸部を形成している。このカソード電極の凹部の底面は一平面で形成され、凸部の端部からの距離およびアノード電極との距離を一定とする構成である。この構成では、凹部内における反応ガスのガス噴出量の分散状況やプラズマ放電の状態等は、カソード電極全面で一様とならず、場所によって異なることが予想される。
そして、その課題解決のために、次の発明が示されている。即ち、特許文献5に記載の発明は、高周波を印加して高周波容量結合型プラズマを形成する電極であって、カソード電極はアノード電極と対向して配置し、アノード電極と対向する対向面は、底面からなる凹部と、当該凹部の底面からアノード電極側に向かって突出する複数の突出部から形成される凸部とからなる凹凸形状を有し、前記凸部の少なくとも何れか一つの突出部は、側面に反応ガスの噴出を可能とする反応ガス噴出孔を少なくとも一つを有し、前記凸部を形成する全ての突出部は、アノード電極側の端部の高さレベルを同一とし、前記凹部を形成する底面は、前記突出部の端部の高さレベルからの距離を異にする複数の底面部分を含むことを特徴とする。
特許第2601127号(図1、図2) 特開2010−73970(図1〜図3) 特開2004−296526(図1、図3、図4) 特許4578693(図1−図9) 特開2009−253102(図7、図8) A.Perret、P.Chabert、J.P.Booth、J.Jolly、J.Guillon and Ph.Auvray:Applied Physics Letters、Vol.83、No.2(14 July 2003)、243−245.
従来のプラズマCVD装置及びプラズマCVD法には、上記特許文献1〜5に指摘されているようないろいろな課題があり、半導体関連の産業界のニーズへの対応が十分に出来ない。特に、薄膜太陽電池分野及び液晶デイスプレイ分野でのニーズ、即ち、大面積基板に、高速で、高品質の膜を形成可能であるプラズマCVD装置及びプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法の実用化に関し、充分に対応することが出来ないという課題がある。
また、上記特許文献に記載されている発明においても、以下に示すような問題を抱えており、上記ニーズに対応することが困難である。
以下に、上記特許文献1〜5に記載の発明によるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法が抱える問題を説明する。
先ず、特許文献1に記載の発明は、原料ガスを除く全てのガス(例えば、希釈ガス、反応性ガス)を高周波電極と中間電極の間(プラズマ発生領域)でプラズマ化し、そのプラズマを中間電極に設けられた貫通孔(開口)から、該中間電極の外側(基板側)へ引き出すとともに、該中間電極の外側(基板側)に設けられた原料ガス(シランガス)またはそれと希釈ガスと混合ガスを噴出する多数のガス噴出孔から吹き出す構造になっている。そして、本発明の技術的特徴として、プラズマ発生領域で発生した励起活性腫は、該プラズマ発生領域からガスの流れによって中間電極の貫通孔を通して該中間電極の外側(基板側)、即ち、プラズマ非発生領域へ導かれるということが記載されている。また、上記中間電極の貫通孔を通して該中間電極の外側へ導かれた励起活性腫と、該プラズマ非発生領域へ導かれた原料ガス(シランガス)は、基板の表面近傍で化学反応を起こして基板の表面に膜が形成されるということが記載されている。
ここで、上記発明では、(い)基板の上に堆積される膜を形成するに必要な励起活性腫は、該中間電極の貫通孔を通して該中間電極の外側へ導かれること、(ろ)上記励起活性腫とプラズマ化されていない原料ガスが基板近傍で化学反応を起こすということを前提に考えられている。
しかしながら、励起活性腫の中の電気的に中性の励起活性腫はガスの流れには余り影響されず、拡散現象に従う。即ち、上記貫通孔を通して流れる中性励起活性腫の量は、中性励起活性腫の濃度の勾配に比例した量になる。このことは、上記発明の構成においては基板近傍に導かれる中性励起活性腫の濃度は余り高くはならないということを意味する。励起活性腫の中の電気を帯びた励起活性腫はガスの流れには余り影響されず、電気的事象に従う。即ち、上記プラズマ発生領域と上記貫通孔の内部のプラズマはそれを囲うシースで保持されているので、該貫通孔を通して流れる電気を帯びた励起活性腫の量は、著しく少ない。このことは、上記発明の構成においては、基板近傍に導かれる電気を帯びた起活性腫の密度(濃度)は余り高くないということを意味する。
したがって、上記(い)及び(ろ)を前提とする上記発明では、高品質で高速製膜が可能なプラズマCVD装置を実現することが困難である。また、上記発明、あるいは上記発明と同様な構成を有するリモートプラズマ(成膜室の外部で生成するプラズマ)を応用したプラズマCVD装置は、一般的に、高速製膜に不適である。
次に、特許文献2に記載の発明は、基板が配置される成膜室にプラズマ化された水素ガスと、プラズマ化されていないシランガス(原料ガス)を基板近傍に噴出させて接触させることにより、該水素ガスプラズマにより該シランガスをプラズマ化させ、その結果発生する水素プラズマとシランプラズマの励起活性腫で基板上にシリコン膜を形成させるものである。実施例として示されている装置の構成によれば、成膜室に基板ステージとプラズマ電極が対向して配置され、該プラズマ電極に複数の円形の貫通孔を設け、その複数の貫通孔のそれぞれの中心に、それぞれに円管を配置している。該円管の基板側の端部はシランガスの吹出し口で、貫通孔の基板側の端部は水素ガスの吹出し口である。なお、シランガスは上記複数の吹出し口から基板に向けて噴出され、水素ガスは吹出し口から基板に向けて噴出される。上記シランガスを吹出す円管と上記貫通孔のギャップ(隙間)には高周波電圧が印加され、水素プラズマを生成する。また、プラズマ電極に印加される高周波電圧により、該プラズマ電極と基板ステージの間にシランガスと水素ガスの混合ガスのプラズマが生成される。
なお、上記水素ガスの吹出し口とシランガスの吹出し口は、プラズマ電極の表面に位置しているので、その2つの吹出し口はそれぞれ、基板表面から等しい距離に位置する。また、吹出し口から噴出するガスの方向は基板の法線方向を向いている。
ここで、上記発明では、(は)基板が配置される成膜室にプラズマ化した水素と、プラズマ化されてないシランガスを導入させること、(に)水素プラズマのプラズマ密度は高く、例えば1x1010(cm−3)以上とし、シランプラズマのプラズマ密度は低く、例えば1x1010(cm−3)以下にすること、ということを前提に考えられている。
高品質で高速製膜を実現するには、高品質膜の形成に貢献するSiHラジカルの濃度を増大させ、かつ、高品質膜の形成を阻害する主要因であるSiHラジカルの発生を抑制する手段が必要である。しかしながら、SiHラジカル濃度の増大についての手段、SiHラジカル濃度の減少かあるいはその発生の抑制についての手段についての記載はない。また、それを示唆するような記載も無い。
更に、SiH及びSiHラジカル発生でのパラメータは、プラズマ密度の高低ではなく、プラズマのエネルギーの高低、あるいは電子温度の高低であるので、上記特許文献3に記載の発明の特徴、即ち上記(は)、(に)だけでは、SiHラジカルの濃度増大化、SiHの発生の抑制を行うことは困難である。
なお、粗悪膜の生成に貢献するSiHラジカルはSiHに9.47eV以上のエネルギーを持つ電子の衝突により発生し、良質膜の生成に貢献するSiHラジカルはSiHに8.75eV以上のエネルギーを持つ電子の衝突により発生するということが、一般に知られている。
更に、実施例として示されている装置構成によれば、水素プラズマは上記シランガスを吹出す円管と上記貫通孔のギャップ(隙間)と、上記プラズマ電極と基板ステージの間、即ち2つの空間で発生するので、該シランガスを吹出す円管と上記貫通孔のギャップ(隙間)での水素プラズマ生成の条件と、該プラズマ電極と基板ステージの間での水素プラズマ発生条件は著しく異なる。それ故、上記2つの空間領域で、安定したプラズマを同時生成することは困難である。このことは、上記実施例によって上記(は)及び(に)を実現することは極めて困難である、ということを意味でする。
したがって、上記発明においては高品質で高速製膜が可能なプラズマCVD装置を実現することが困難である。
更に、実施例として示されている装置構成によれば、水素プラズマを生成する空間である上記シランガスを吹出す円管と上記水素ガスを吹出す貫通孔のギャップ(隙間)を寸法を整えて製造することが技術的に困難であるとともに、特に、大面積基板を対象とする場合、製造コストが著しく高くなるということが推察される。
また、大面積基板を対象にして高品質の微結晶シリコン膜を成膜する場合、一般に、原料ガス(シランガス)の他に大量の水素ガスを供給する手法が用いられるが、上記実施例として示されている装置構成によれば、膨大な数のシランガス吹出し円管と上記水素ガス吹出し貫通孔から成る2重管の形で製造する必要があるので、技術的に困難であるとともに、製造コストが著しく高くなるということが推察される。
次に、特許文献3に記載の発明は、カソード電極に設けられた凹部の底面に有るガス噴出孔から反応ガスを噴出させ、該凹部構造が有するホローカソー放電効果により、高密度のプラズマが生成させることを想定している。
しかしながら、高速製膜条件下で高品質のシリコン系薄膜を形成するには、SiHラジカル発生とSiHラジカル発生に関する制御手段が必要である。カソード電極に設けた凹部構造が有するホローカソー放電の効果を期待するということでは、高密度プラズマの発生が可能というだけであり、典型的なガスシャワー孔付き平行平板電極を用いたプラズマ生成において投入電力を増大してプラズマ密度を増大し、その結果、高速製膜化を図るという従来の常套手段と違いがないと、言える。
また、上記特許文献3に記載の発明によれば、ホローカソー放電効果を有する凹部の底面に有るガス噴出孔から反応ガスを噴出させながら、該反応ガスを高密度プラズマ化させる。その結果、シランガスと水素ガスの混合ガスが高密度のプラズマになると、SiH、SiH、SiH、Si、及びHラジカル等のラジカルが大量に発生し、高速製膜の条件が整う。しかしながら、その条件は基板表面の近傍及び基板表面のみならず、成膜室全体に及ぶ。特に、ガスの流れに澱みが発生する上記ホローカソー放電効果を有する凹部の底面及び側面に対しても、シリコン系膜が高速で堆積する。
この場合、凹部の底面及び側面に堆積したシリコン系膜が反応ガス噴出孔から噴出するガスによって剥げ落ちて、その欠片が基板表面の膜に混入することが考えられる。仮に、凹部の底面及び側面に堆積したシリコン系膜が剥げ落ちないとしても、その場所にはシリコン膜が高速で製膜されるので、生産現場での応用に際しては、頻繁にクリニーングを実施する必要があり、装置の稼働率が落ちると、考えられる。
また、上記反応ガス噴出孔の近傍は、ホローカソー放電効果により高密度のプラズマになるので、SiHラジカルの濃度が増大し、ジシラン(SiH+SiH→Si)、トリシラン(SiH+Si→Si)及びテトラシラン(SiH+Si→Si10)等からなるパウダーが生成されるという問題がある。
したがって、上記発明では高品質で高速製膜が可能なプラズマCVD装置を実現することが困難である、と言える。
次に、特許文献4に記載の発明は、カソード電極に設けられた凹部の底面に有るガス噴出孔から反応ガスを噴出させ、該凹部構造が有するホローカソー放電効果により、高密度のプラズマが生成させることを想定している。また、プラズマ生成の促進効果のあるプラズマ促進溝を有する構造になっている。
高速製膜条件下で高品質のシリコン系薄膜を形成するには、SiHラジカル発生の増大化とSiHラジカル発生の抑制化に関する制御手段が必要である。しかしながら、カソード電極に設けた凹部構造が有するホローカソー放電の効果及びプラズマ促進溝のプラズマ生成の促進効果を期待するということでは、高密度プラズマの発生が可能というだけであり、典型的なガスシャワー孔付き平行平板電極を用いたプラズマ生成において投入電力を増大してプラズマ密度を増大し、その結果、高速製膜化を図るという従来の常套手段と違いがないと、言える。
また、特許文献4に記載の発明によれば、ホローカソー放電効果を有する凹部の底面に有るガス噴出孔から反応ガスを噴出させながら、該反応ガスを高密度プラズマ化させる。その結果、シランガスと水素ガスの混合ガスが高密度のプラズマになると、SiH、SiH、SiH、Si、及びHラジカル等のラジカルが大量に発生し、高速製膜の条件が整う。しかしながら、その条件は基板表面の近傍及び基板表面のみならず、成膜室全体に及ぶ。特に、ガスの流れに澱みが発生する上記ホローカソー放電効果を有する凹部の底面及び側面に対しても、シリコン系膜が高速で堆積する。
この場合、凹部の底面及び側面に堆積したシリコン系膜が反応ガス噴出孔から噴出するガスによって剥げ落ちて、その欠片が基板表面の膜に混入することが考えられる。仮に、凹部の底面及び側面に堆積したシリコン系膜が剥げ落ちないとしても、その場所にはシリコン膜が高速で製膜されるので、生産現場への応用に際しては、頻繁にクリニーングを実施する必要があり、装置の稼働率が落ちると、考えられる。
また、上記反応ガス噴出孔の近傍は、ホローカソー放電効果により高密度のプラズマになるので、SiHラジカルの濃度が増大し、ジシラン(SiH+SiH→Si)、トリシラン(SiH+Si→Si)及びテトラシラン(SiH+Si→Si10)等からなるパウダーが生成されるという問題がある。
したがって、上記発明では高品質で高速製膜が可能なプラズマCVD装置を実現することが困難である、と言える。
次に、特許文献5に記載の発明は、カソード電極に設けられた複数の深さが異なる凹部の側面に有るガス噴出孔から反応ガスを噴出させ、該凹部構造が有するホローカソー放電効果により、高密度のプラズマが生成させることを想定している。
高速製膜条件下で高品質のシリコン系薄膜を形成するには、SiHラジカル発生の増大化とSiHラジカル発生の抑制化に関する制御手段が必要である。しかしながら、カソード電極に設けた凹部構造が有するホローカソー放電の効果を期待するということでは、高密度プラズマの発生が可能というだけであり、典型的なガスシャワー孔付き平行平板電極を用いたプラズマ生成において投入電力を増大してプラズマ密度を増大し、その結果、高速製膜化を図るという従来の常套手段と違いがないと、言える。
また、特許文献5に記載の発明によれば、ホローカソー放電効果を有する凹部の側面にあるガス噴出孔から反応ガスを噴出させながら、該反応ガスを高密度プラズマ化させる。その結果、シランガスと水素ガスの混合ガスが高密度のプラズマになると、SiH、SiH、SiH、Si、及びHラジカル等のラジカルが大量に発生し、高速製膜の条件が整う。しかしながら、その条件は基板表面の近傍及び基板表面のみならず、成膜室全体に及ぶ。
特に、ガスの流れに澱みが発生する上記ホローカソー放電効果を有する凹部の底面及び側面に対しても、シリコン系膜が高速で堆積する。
この場合、凹部の底面及び側面に堆積したシリコン系膜が反応ガス噴出孔から噴出するガスによって剥げ落ちて、その欠片が基板表面の膜に混入することが考えられる。仮に、凹部の底面及び側面に堆積したシリコン系膜が剥げ落ちないとしても、その場所にはシリコン膜が高速で製膜されるので、生産現場への応用に際しては、頻繁にクリニーングを実施する必要があり、装置の稼働率が落ちると、考えられる。
また、上記反応ガス噴出孔の近傍は、ホローカソー放電効果により高密度のプラズマになるので、SiHラジカルの濃度が増大し、ジシラン(SiH+SiH→Si)、トリシラン(SiH+Si→Si)及びテトラシラン(SiH+Si→Si10)等からなるパウダーが生成されるという問題がある。
したがって、上記発明では高品質で高速製膜が可能なプラズマCVD装置を実現することが困難である、と言える。
以上説明したように、従来のプラズマCVD装置及びプラズマCVD法では、大面積基板に、高速で高品質の膜を形成することができない、という課題がある。
そこで、本発明は、大面積・高品質・高速製膜が可能なプラズマCVD装置及びプラズマCVD法を提供することを目的とする。
以下に、本発明を実施する為の最良の形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決する為の手段を説明する。
これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施する為の最良の形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加したものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本願に係る第1の発明のプラズマCVD装置は、排気系を備えた真空容器と、
原料ガスの供給源及び該原料ガスを希釈する希釈ガスの供給源と、
該原料ガス及び該希釈ガスを該真空容器に導入するガス導入管と、
該原料ガス及び該希釈ガスを噴出するガス噴出孔を有する電気的に非接地の平行平板型の第1の電極及び基板を載置する平行平板型の第2の電極からなる一対の電極と、
該一対の電極に高周波電力を供給する高周波電力供給系と、を具備し、
該真空容器内に設置された基板に薄膜を形成するプラズマCVD装置において、
前記ガス噴出孔は前記原料ガスのみを噴出する複数の原料ガス噴出孔(5a、5c)と前記希釈ガスのみを噴出する複数の希釈ガス噴出孔(7a、7b、7c、7d)から構成され、かつ、該原料ガス噴出孔と該希釈ガス噴出孔は互いに異なる位置に分離して配置されるということを特徴とする。
本願に係る第2の発明のプラズマCVD装置は、上記本願に係る第1の発明のプラズマCVD装置において、前記原料ガス供給源から供給される原料ガスを前記原料ガス噴出孔から前記第1及び第2の電極間に噴出させる際に、少なくとも、第1の電極の側面に配置される第1のガスヘッダー(13a)と、第1の電極の内部に配置される第1の洞穴型ガス導入路(15a)と、第1の電極の表面に配置される原料ガス噴出孔(5a、5c)が用いられるとともに、前記希釈ガスの供給源から供給される希釈ガスを前記希釈ガス噴出孔から前記第1及び第2の電極間に噴出させる際に、少なくとも、第1の電極の側面に配置される第2のガスヘッダー(13b)と、第1の電極の内部に配置される第2の洞穴型ガス導入路(15b)と、第1の電極の表面に配置される希釈ガス噴出孔
(7a、7b、7c、7d)が用いられるという構成を有することを特徴とする。
ここで、第1の洞穴型ガス導入路(15a)及び第2の洞穴型ガス導入路(15b)とは、図1、図3、図5、図6、図7に符番15a及び15bで示しているように、第1の電極(2)の内部に、第2の電極(3)側表面に略平行に洞穴のような形で設置された空洞である。第1の洞穴型ガス導入路(15a)は、第1のガスヘッダー(13a)から供給される原料ガスを原料噴出孔(5a、5c)に供給する。第2の洞穴型ガス導入路(15b)は、第2のガスヘッダー(13b)から供給される希釈ガスを希釈噴出孔(7a、7b、7c、7d)に供給する。
本願に係る第3の発明のプラズマCVD装置は、上記本願に係る第1あるいは第2の発明のいずれか一つの発明のプラズマCVD装置において、前記希釈ガス噴出孔(7b、7c、7d)は、該希釈ガス孔の方向が前記第2の電極(3)の表面の法線方向以外の方向へ向くように配置されるということを特徴とする。
ここで、第2の電極の表面の法線方向以外の方向とは、図13において、希釈ガス噴出孔(7d)の孔の向きが第1の電極2の表面の法線方向から角度αだけ、即ち、第1の電極2の表面の法線方向以外の方法を向いていると言う意味である。なお、これは、第2の電極(3)の表面の法線方向以外の方向を向いているという、意味である。
また、図11及び図12において、希釈ガス噴出孔(7b、7c)の2個を一組として、該希釈ガス噴出孔(7b、7c)が複数の原料ガス噴出孔(5a)の隣りに配置されるが、該希釈ガス噴出孔(7b、7c)の孔の向きが、第2の電極(3)の表面の法線方向と異なる方向という意味である。
本願に係る第4の発明のプラズマCVD装置は、上記本願に係る第1あるいは第2の発明のいずれか一つの発明のプラズマCVD装置において、前記原料ガス噴出孔(5c)は、該原料ガス孔の方向が前記第2の電極(3)の表面の法線方向以外の方向へ向くように配置されるということを特徴とする。
ここで、第2の電極の表面の法線方向以外の方向とは、図14において、原料ガス噴出孔(5c)の孔の向きが第1の電極(2)の表面の法線方向から角度βだけ、即ち、第1の電極(2)の表面の法線方向以外の方法を向いていると言う意味である。また、第1の電極(2)と平行に設置されている第2の電極(3)の表面の法線方向以外の方向を向いているという、意味である。
本願に係る第5の発明のプラズマCVD装置は、上記本願に係る第1から第4の発明のいずれか一つの発明のプラズマCVD装置において、前記希釈ガス噴出孔(7b、7c)は、複数個を一組として前記複数の原料ガス噴出孔(5a)の隣りに配置され、該一組を構成する複数個の希釈ガス噴出孔(7b、7c)の方向が前記第2の電極(3)の表面の法線方向以外の方向へ向くように設定されるということを特徴とする。
ここで、複数個の希釈ガス噴出孔(7b、7c)の方向が前記第2の電極(3)の表面の法線方向以外の方向へ向くように設定されるとは、図11及び図12において、希釈ガス噴出孔(7b、7c)の2個を一組として、該希釈ガス噴出孔(7b、7c)が複数の原料ガス噴出孔(5a)の隣りに配置されるが、該希釈ガス噴出孔(7b、7c)の孔の向きが、第2の電極(3)の表面の法線方向と異なる方向へ向くように設置されるという意味である。図12には、一例として、一組の希釈ガス噴出孔(7b、7c)の間の角度をθと示されている。
本願に係る第6の発明のプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法は、
排気系を備えた真空容器と、
原料ガスの供給源及び該原料ガスを希釈する希釈ガスの供給源と、
該原料ガス及び該希釈ガスを該真空容器に導入するガス導入管と、
該原料ガス及び該希釈ガスを噴出するガス噴出孔を有する電気的に非接地の平行平板型の第1の電極及び基板を載置する平行平板型の第2の電極からなる一対の電極と、
該一対の電極に高周波電力を供給する高周波電力供給系と、を具備し、
該真空容器内に設置された基板に膜を形成するプラズマCVD装置を用いてシリコン系膜を製造する方法であって、
前記ガス噴出孔を前記原料ガスのみを噴出する複数の原料ガス噴出孔(5a、5c)と前記希釈ガスのみを噴出する複数の希釈ガス噴出孔(7a、7b、7c、7d)から構成し、該原料ガス噴出孔と該希釈ガス噴出孔を第1の電極表面上の異なる位置(5a、5c)(7a、7b、7c、7d)に分離して配置させてシリコン系膜を形成させるということを特徴とする。
本願に係る第7の発明のプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法は、
排気系を備えた真空容器と、
原料ガスの供給源及び該原料ガスを希釈する希釈ガスの供給源と、
該原料ガス及び該希釈ガスを該真空容器に導入するガス導入管と、
該原料ガス及び該希釈ガスを噴出するガス噴出孔を有する電気的に非接地の平行平板型の第1の電極及び基板を載置する平行平板型の第2の電極からなる一対の電極と、
該一対の電極に高周波電力を供給する高周波電力供給系と、を具備し、
該真空容器内に設置された基板に膜を形成するプラズマCVD装置を用いてシリコン系膜を製造する方法であって、
前記ガス噴出孔を前記原料ガスのみを噴出する複数の原料ガス噴出孔(5a、5c)と前記希釈ガスのみを噴出する複数の希釈ガス噴出孔(7a、7b、7c、7d)で構成し、該複数の原料ガス噴出孔と複数の希釈ガス噴出孔を設置する際に、該原料ガス噴出孔(5c)の方向を第2の電極の表面の法線方向へ向かせ、該希釈ガス噴出孔(7b、7c、7d)の方向を該第2の電極の表面の法線方向以外の方向へ向くように配置させてシリコン系膜を形成させるということを特徴とする。
本願に係る第8の発明のプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法は、上記本願に係る第1から第5の発明のいずれか一つの発明のプラズマCVD装置を用いて、シリコン系膜を製造する方法であって、少なくともシランガスを含む原料ガス(10a)と、少なくとも水素ガスを含む希釈ガス(10b)を用いて、微結晶シリコン膜を製造することを特徴とする。
本発明によれば、一対の平行平板型電極の一方に設置されるガス噴出孔として、原料ガスのみを噴出する原料ガス噴出孔と希釈ガスのみを噴出する希釈ガス噴出孔を、第1の電極の表面の異なる位置に分離して配置し、かつ、該原料ガスの噴射方向と該希釈ガスの噴射方向が交差するように配置したプラズマCVD装置を実現化できるので、原料ガスと希釈ガスを空間的に分離した形でプラズ化し、そして、プラズマ化された後の原料ガスと希釈ガスの接触及び混合を促進することが可能である。
これにより、SiHガスのプラズマ化とHガスのプラズマ化を空間的に分離して行い、かつ、プラズマ化したSiHガスとプラズマ化したHガスの接触、混合を促進できるので、高品質膜形成に必要な多量のHと多量SiHを生成(SiH→H+SiH、H→H+H)し、かつ、粗悪な膜形成要因のSiHを消滅(SiH+H→SiH)することが可能である。これにより、従来の装置及び方法では困難視されているシリコン系膜の高品質、高速製膜が可能である。
したがって、薄膜太陽電池の発電膜である微結晶Si膜、多結晶シリコン太陽電池のパッシベーション膜、並びに液晶デイスプレイの薄膜トランジスタの絶縁性薄膜(窒化シリコン膜、酸化シリコン膜等)の製造工場におけるスループットの向上が可能となるという効果を有する。
特に、タンデム型薄膜太陽電池生産工場における大面積基板を対象にした高速、高品質シリコン系膜製造での生産性向上及び製造コストの低減に寄与できる効果は著しく大きい。
図1は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置の構成を示す模式的な説明図である。 図2は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる一対の電極の模式的概念図である。 図3は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられガス導入路を示す模式的構造図(図2のC1−C1線の断面図)である。 図4は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の電極を示す模式的な平面図(基板側から見た平面図)である。 図5は図4のA1−A1線の断面図である。 図6は図4のA2−A2線の断面図である。 図7は図4のA3−A3線の断面図である。 図8は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置によりシランガスのプラズマ生成実験をする際の典型的なデータの説明図である。 図9は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置により水素ガスのプラズマ生成実験をする際の典型的なデータの説明図である。 図10は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置によりシランガスと水素ガスを用いてプラズマ生成実験をする際の典型的なデータの説明図である。 図11は本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の電極2を示す模式的な平面図(基板側から見た平面図)である。 図12は図11のB1−B1線の断面図である。 図13は本発明の第3の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の電極2を示す模式的な断面図である。 図14は本発明の第4の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の電極2を示す模式的な断面図である。 図15は従来のプラズマCVD装置の模式的な説明図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同様の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、以下の実施例での説明では、プラズマCVD装置及びプラズマCVD装置を用いたシリコン膜の製造方法の一例として、太陽電池用のi型微結晶半導体層を製作する装置及び方法が記載されているが、本願の発明対象が下記の例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法を図1ないし図10を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置の構成を示す模式的な説明図である。図2は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる一対の電極の模式的概念図である。図3は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられガス導入路を示す模式的構造図(図2のC1−C1線の断面図)である。図4は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の電極を示す模式的な平面図(基板側から見た平面図)である。図5は図4のA1−A1線の断面図である。図6は図4のA2−A2線の断面図である。図7は図4のA3−A3線の断面図である。図8は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置によりシランガスのプラズマ生成実験をする際の典型的なデータの説明図である。図9は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置により水素ガスのプラズマ生成実験をする際の典型的なデータの説明図である。図10は本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置によりシランガスと水素ガスを用いてプラズマ生成実験をする際の典型的なデータの説明図である。
先ず、装置の全体の構成を、図1ないし図7を参照して説明する。なお、図2ないし図7において、説明の便宜上、図に示している座標(X、Y、Z)を参照する。
符番1は真空容である。この真空容器1には、後述の原料ガス及び希釈ガスをプラズマ化する一対の電極、即ち非接地の第1の電極2と図示しない基板ヒータを内臓した接地された第2の電極3が配置されている。
符番2は第1の電極で、絶縁物で製作された支持手段4を介して真空容器1に固着されている。第1の電極2は、図2に示すように矩形の形状を有し、材料はアルミニウム、アルミニウム系合金、あるいはSUS等の金属で、例えばアルミニウムである。サイズは、例えば、外寸法で、長さ1.2mx幅1.2mx高さ8cmとする。なお、図示しない冷媒を通すパイプを内蔵しており、第1の電極2の温度を制御することが可能である。
この第1の電極2の基板側表面には、後述するように、原料ガスのみを噴出する原料ガス噴出孔5aと希釈ガスのみを噴出する希釈ガス噴出孔7aが配置される。
符番3は第2の電極で、図示しない基板ヒータを内臓し、その上に設置される基板9の温度を100〜350℃の範囲で、任意の温度に設定可能である。なお、第2の電極3は基板ヒータの他に、冷媒を通すパイプを内蔵しており、基板9の温度を制御することが可能である。また、第2の電極3は、図1及び図2に示すように、矩形平板で、その材料は金属で、第1の電極2に平行に対向して設置される。その具体的なサイズは、例えば、外寸法で、長さ約1.3mx幅約1.3mx高さ約8cmとする。
符番4は第1の電極2の支持手段で、第1の電極2を真空容器1に固定する。なお、材質は絶縁物(例えば、高純度のセラミック)である。この支持手段4は、第1の電極2、第1の電極2に接続されている第1のガスヘッダー13a及び第1のガス導入管12aを、真空容器1に対し電気的に絶縁する。また、後述の第2のガスヘッダー13b、第2のガス導入管12bを、真空容器1に対し電気的に絶縁する。
符番9は基板である。基板9は、図示しない基板搬入搬出装置で、第2の電極3に設置され、また、取り出される。
第1及び第2の電極2、3の間隔は、図示しない基板リフターを上下に作動させることにより、予め、任意に設定可能であり、5mm〜50mmの範囲で、例えば10mmに設定される。
符番10aは、原料ガス供給源であり、シランガスSiHを、後述の第1のガス供給管11a、第1の絶縁性真空フランジ14a、第1のガス導入管12a、第1のガスヘッダー13a、第1の洞穴型ガス導入路15a及び原料ガス噴出孔5aを介して、第1及び第2の電極2、3間に供給する。そのガスの量は、原料ガス供給源10aに付属する流量計で制御される。
原料ガス供給源10aは、第1のガス供給管11aに供給する原料ガスの圧力を、1〜10Kg/cm程度の範囲で調整できる。ここでは、例えば3.5Kg/cmに設定する。また、原料ガスの流量は、0.5〜10SLM(標準状態換算でのガス流量:L/分)の範囲で設定される。
符番11aは第1のガス供給管で、原料ガス供給源10aから供給されるシランガスSiHを第1の絶縁性真空フランジ14aを介して第1のガス導入管12aに供給する。
符番14aは第1の絶縁性真空フランジで、原料ガス供給管11aと第1のガス導入管12aを接続し、気密性を確保する。電気的には、絶縁性が高く、第1の電極2、並びに第1の電極2に接続されている第1のガスヘッダー13a及び第1のガス導入管12aを、真空容器1に対し電気的に絶縁する。また、第2のガスヘッダー13b、第2のガス導入管12bを、真空容器1に対し電気的に絶縁する。
符番12aは第1のガス導入管で、第1のガス供給管11aから第1の絶縁性真空フランジ14aを介して供給されたシランガスSiHを第1のガスヘッダー13aに供給する。
符番13aは第1のガスヘッダーで、第1のガス導入管12aから供給されたシランガスSiHを第1の洞穴型ガス導入路15aに供給する。なお、図2及び図3(図2のC1−C1線の断面図)に示されているように、第1のガスヘッダー13aは第1の電極2の一方の側面に気密性を保持して固着されている。また、複数の第1の洞穴型ガス導入路15aに接続されている。
符番15aは第1の洞穴型ガス導入路で、第1のガスヘッダー13aから供給される原料ガスを原料ガス噴出孔5aを介して第1及び第2の電極2、3間に供給する。なお、第1の洞穴型ガス導入路15aは、深穴加工機(例えば、ガンドリル加工機)で、直径1mm〜35mm、例えば直径6mmに加工され、設定される。
符番5aは原料ガス噴出孔で、直径約0.4〜1.0mm、例えば直径約0.5mmである。ここでは、第1の電極2の表面6に、図3のY軸方向(第1の洞穴型ガス導入路15aの奥行き方向)に複数個、5mm〜20mmの範囲で、略等間隔に、例えば12mm間隔に設置される。
この原料ガス噴出孔5aは、第1の洞穴型ガス導入路15aから供給されるシランガスSiHを第1及び第2の電極2、3間に噴出する。噴出した原料ガスは、排気管16a、16bから図示しない真空ポンプにより真空容器1の外部へ排出される。
符番7aは希釈ガス噴出孔で、直径約0.4〜1.0mm、例えば直径約0.5mmで、多数個が設定される。ここでは、図3に示す第2の洞穴型ガス導入路15bの奥行き方向(Y軸方向)に複数個、5mm〜20mmの範囲で、略等間隔に、例えば12mm間隔に設置される。希釈ガス噴出孔7aは、第2の洞穴型ガス導入路15bから供給される水素ガスHを第1及び第2の電極2、3間に噴出する。噴出した希釈ガスは、排気管16a、16bから図示しない真空ポンプにより真空容器1の外部へ排出される。
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、ここでは、原料ガスが流量0.5〜2.0SLMの範囲で、希釈ガスが0.5〜8SLMの範囲の場合、圧力1.333Pa(0.01Torr)〜1333Pa(10Torr)程度に調整できる。
なお、原料ガス及び希釈ガスが無い場合、真空容器1の真空到達圧力は2.66〜3.99E−5Pa(2〜3E−7Torr)程度である。
符番10bは、希釈ガス供給源であり、水素ガスHを、後述の第2のガス供給管11b、第2の絶縁性真空フランジ14b、第2のガス導入管12b、第2のガスヘッダー13b、第2の洞穴型ガス導入路15b及び希釈ガス噴出孔7aを介して、第1及び第2の電極2、3間に供給する。そのガスの量は、希釈ガス供給源10bに付属する流量計で制御される。
希釈ガス供給源10bは、第2のガス供給管11bに供給する原料ガスの圧力を、1〜10Kg/cm程度の範囲で調整できる。ここでは、例えば3.5Kg/cmに設定する。また、希釈ガスの流量は、0.5〜30SLM(標準状態換算でのガス流量:L/分)の範囲で設定される。
符番11bは第2のガス供給管で、希釈ガス供給源10bから供給される水素ガスHを第2の絶縁性真空フランジ14bを介して第2のガス導入管12bに供給する。
符番14bは第2の絶縁性真空フランジで、第2のガス供給管11bと第2のガス導入管12bを接続し、気密性を確保する。電気的には、絶縁性が高く、第1の電極2、並びに第1の電極2に接続されている第2のガスヘッダー13b及び第2のガス導入管12bを、真空容器1に対し電気的に絶縁する。また、第1のガスヘッダー13a、第1のガス導入管12aを、真空容器1に対し電気的に絶縁する。
符番12bは第2のガス導入管で、第2のガス供給管11bから第2の絶縁性真空フランジ14bを介して供給された水素ガスHを第2のガスヘッダー13bに供給する。
符番13bは第2のガスヘッダーで、第2のガス導入管12bから供給された水素ガスHを第2の洞穴型ガス導入路15bに供給する。
符番15bは第2の洞穴型ガス導入路で、第2のガスヘッダー13bから供給される水素ガスを希釈ガス噴出孔7aを介して第1及び第2の電極2、3間に供給する。なお、第2の洞穴型ガス導入路15bは、深穴加工機(例えば、ガンドリル加工機)で、直径1mm〜35mm、例えば直径6mmに加工され、設定される。
ここで、原料ガス噴出孔5a及び希釈ガス噴出孔7aの構造上の関係並びに作用上の関係を説明する。
図7において、原料ガスは、第1の電極2に設置された第1のガス導入路15aから原料ガス噴出孔5aに供給され、その孔5aから原料ガスの噴流17として噴出される。原料ガス噴出孔5aは直径0.4〜0.8mm程度、その深さは3mm〜10mm程度の範囲に、例えば、直径0.5mm、深さ5mmとする。
複数個の原料ガス噴出孔5aから噴出するガスの全体の量は、原料ガス供給源10aに付属する流量計で制御される。
複数個ある個々の原料ガス噴出孔5aの1個当たりの噴出ガス量は、第1の洞穴型ガス導入路15aのガス圧が3Kg/cm程度以上であり、かつ、原料ガス噴出孔5aの孔の直径が0.4〜0.8mm程度、その孔の深さが3mm〜10mm程度であれば、個々の孔で違いはなく、ほぼ一定の値の値になることが、一般に知られている。また、その噴出ガスの分散状況も、個々の孔で違いはなくほぼ同じであることが、一般に知られている。
図7において、希釈ガスは、第1の電極2に設置された第2のガス導入路15bから希釈ガス噴出孔7aに供給され、その孔7aから希釈ガスの噴流18として噴出される。希釈ガス噴出孔7aは直径0.4〜0.8mm程度、その深さは3mm〜10mm程度の範囲に、例えば、直径0.5mm、深さ5mmとする。
複数個の希釈ガス噴出孔7aから噴出するガスの全体の量は、希釈ガス供給源10bに付属する流量計で制御される。
複数個ある個々の希釈ガス噴出孔7aの1個当たりの噴出ガス量は、第2の洞穴型ガス導入路15bのガス圧が3Kg/cm程度以上であり、かつ、希釈ガス噴出孔7aの孔の直径が0.4〜0.8mm程度、その孔の深さが3mm〜10mm程度であれば、個々の孔で違いはなく、ほぼ一定の値の値になることが、一般に知られている。また、その噴出ガスの分散状況も、個々の孔で違いはなくほぼ同じであることが、一般に知られている。
図7図示の原料ガスの噴流17及び希釈ガスの噴流18について説明する。
原料ガスの噴流17は、一対の電極2、3の間のガス圧が1.333Pa(0.01Torr)〜1333Pa(10Torr)程度の範囲、かつ、原料ガス噴出孔5aの直径が0.4〜0.8mm程度、その深さが3mm〜10mm程度であれば、原料ガス噴出孔5aの出口から第2の電極3の表面の法線方向の距離5mm〜10mm程度で分散し、その広がりは、直径10〜20mmm程度の面積に広がることが、一般に知られている。
他方、希釈ガスの噴流18は、原料ガスの噴流17とうほぼ同様に、一対の電極2、3の間のガス圧が1.333Pa(0.01Torr)〜1333Pa(10Torr)程度の範囲、かつ、希釈ガス噴出孔7aの直径が0.4〜0.8mm程度、その深さが3mm〜10mm程度であれば、希釈ガス噴出孔7aの出口から第2の電極3の表面の法線方向の距離5mm〜10mm程度で分散し、その広がりは、直径10〜20mmm程度の面積に広がることが、一般に知られている。
したがって、原料ガスの噴流17と希釈ガスの噴流18は、該噴出孔5a、7aの出口から第2の電極3の表面の法線方向の距離5mm〜10mm程度で、互いに重なり合い、接触し混合される。なお、ここでは、このガス混合が起こる空間を混合領域19と呼ぶ。
後述の電力供給系から第1及び第2の電極2、3に電力が供給されると、原料ガスの噴流17と希釈ガスの噴流18は噴出直後からプラズマ化され、そのプラズマ化された原料ガスと希釈ガスは混合領域19で混合する。
原料ガスと希釈ガスはプラズマ化されると、種々のプラスイオン及びマイナスイオンの他に、化学的に活性で、電気的には中性の種々のラジカルを発生する。この場合、電気的に中性のラジカル、例えば、SiH、SiH、SiH、H等は、混合領域19から基板表面まで拡散現象で移動し、基板の面上に堆積する。
上記プラズマ化された原料ガスと希釈ガス、並びに混合領域19での状況について、以下に詳しく説明する。
図7において、原料ガス噴出孔5aと希釈ガス噴出孔7aは、第1の電極2の表面6に分離して配置され、該原料ガスと希釈ガスが別々に噴出させるので、それぞれのガスは、噴出直後、別々にプラズマ化される。
すなわち、希釈ガス噴出孔7aから噴出した水素ガスは、H→H+Hの反応が主反応として、起こりやすい。なお、多量の原子状Hが生成(H原子濃度の増大)されると、一般的に、微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
他方、原料ガス噴出孔5aから噴出したシランガスは、H、H、SiH、SiH2、SiH等のラジカル腫に分解される。なお、多量のSiHが生成(SiH濃度の増大)されると、一般的に、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
図7において、シランガスと水素ガスが混合領域19に移動すると、高濃度のH原子と励起されたH分子と、プラズマ化されたシランガス (H、H、Si、SiH、SiH2、SiH等)が 反応する。この場合、H濃度とH濃度が高いので、次の反応が起こり易い。
●SiH→H、H、Si、SiH、SiH2、SiH・・・・(1)
●H+SiH→H+SiH・・・(2)
●Si+SiH→SiH+SiH・・・(3)
●SiH+H→SiH・・・(4)
上記(2)、(3)の反応により、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能である。
また、上記(4)の反応により、SiHが減少することは、パウダーの発生が減少することを意味する。即ち、SiH濃度が減少すると、ジシラン(SiH+SiH→Si)及びトリシラン(SiH+Si→Si)等のダスト(パウダー)は形成されにくくなる。
供給された原料ガス及び希釈ガスの中でプラズマ化されなかった残留ガスの中の電気的に中性のものは第1の電極2と基板9の間を周辺に向かって流れ、排出される。
符番20は発信器である。発信器20は、周波数10〜100MHzの任意の周波数の正弦波の電圧信号を発生する。
符番21は電力増幅器である。これは、発信器20の出力信号が入力されると、その電力を増幅して、1〜20KWの範囲で、例えば10KWを出力する。
符番22はインピーダンス整合器である。インピーダンス整合器22は、後述の同軸ケーブル23b、電流導入端子24、電力供給導体25及び給電点26を介して、第1及び第2の電極2、3に電力を供給する際に、その一対の電極2、3の間に発生するプラズマのインピーダンスと電力増幅器21のインピーダンスの整合を取るものである。
符番23a、23bは同軸ケーブルで、高周波数の電力を流すことができる。
符番24は電流導入端子で、真空容器1の気密を保持して、同軸ケーブル23bと電力供給導体25を接続する。
符番25は電力供給導体で、電流導入端子24と給電点26を接続し、高周波電力を送電する。
符番26は給電点で、電力供給導体25を介して送電される電力増幅器21の出力電力を給電する位置である。なお、電力増幅器21の出力電力が給電点26に給電されると、一対の電極2、3の間に、プラズマが生成される。
ここで、上記電力増幅器21の機能について、補足説明をする。
電力増幅器21には、図示しない出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターが付属している。また、その反射波による電力増幅器21の電気回路を防護するためのアイソレータが付属されている。出力値(進行波)のモニター及び下流側から反射して戻ってくる反射波のモニターは、次に示すように使われる。
先ず、例えば、電力増幅器21の最大出力の20~30%程度の出力を、インピーダンス整合器22、同軸ケーブル23b、電流導入端子24、電力供給導体25及び給電点26を介して、第1及び第2の電極2、3に供給する。
次に、電力増幅器21に付属した進行波Pf及び反射波Prのモニターを見ながら、インピーダンス整合器22のリアクタンス(LとC)を調整する。インピーダンス整合器22のリアクタンス(LとC)を調整しながら、反射波Prが最小値になる条件を選定する。そして、電力増幅器21の出力を所要の数値に設定し、その出力で、再度、インピーダンス整合器22のリアクタンス(LとC)を調整しながら、反射波Prが最小値になる条件を選ぶ。
なお、この整合器の調整、即ち、反射波Prが最小値になる条件を設定する作業は、プラズマ生成条件を変更しない限り、プラズマのインピーダンスの変化は少ないので、特に多くの時間を必要とはしない。
次に、上述のプラズマCVD装置、即ち、図1〜図7に示した構成を有するプラズマCVD装置を用いて、集積化タンデム型薄膜太陽電池用i型微結晶シリコン膜を製膜する方法を説明する。
i型微結晶シリコン膜の製膜に際し、原料ガスや希釈ガス、圧力、投入すべき電力等については、公知の製膜条件を参考に行う。
ただし、上記構成を有するプラズマCVD装置に係わる特有の諸条件は、以下に示す手順で、予め確認し、調整することが必要である。その後、目的とするi型微結晶シリコン膜の製膜を行う。
(ステップ1)では、図1〜図7に示した構成を有するプラズマCVD装置において、原料ガスだけで、例えば、シランガスのみを用いて予備的なプラズマ生成実験を行う。
(ステップ2)では、図1〜図7に示した構成を有するプラズマCVD装置において、希釈ガスだけで、例えば、水素ガスのみを用いて予備的なプラズマ生成実験を行う。
(ステップ3)では、図1〜図7に示した構成を有するプラズマCVD装置において、原料ガスを原料ガス噴出孔から噴出させるとともに、希釈ガス噴出孔から希釈ガスを噴出させて、例えば、シランガス及び水素ガスを噴出させて、目的とするi型微結晶シリコン膜の製膜実験を行う。
(ステップ4)では、上記(ステップ1)〜(ステップ3)の結果を参照して、目的とする高品質i型微結晶シリコン膜の製造を行う。
(ステップ1)
図1〜図7において、予め、基板9を第2の電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の空気及び不純物ガス等を除去した後、原料ガス供給源10aから第1のガス供給管11a、第1の絶縁性真空フランジ14a、第1のガス導入管12a、第1のガスヘッダー13a、第1の洞穴型ガス導入路15aを介して原料ガス噴出孔5aからSiH4ガスを、0.5〜10SLM(標準状態換算でのガス流量:L/分)の範囲で、例えば2SLMを供給しつつ、圧力を533.2Pa(4Torr)に維持する。基板温度は100〜350℃の範囲、例えば220℃に保持する。
なお、基板9のサイズは、第1の電極2のサイズに合わせて、長さ1mx幅1m(厚み4mm)とする。
次に、発信器20の周波数を13.56MHzとし、電力増幅器21の出力を、例えば3KWとし、インピーダンス整合器22、同軸ケーブル23b、電流導入端子24、電力供給導体26を介して、給電点26に供給する。
この場合、インピーダンス整合器22を調整することにより、その整合器22の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにすることができる。一般的には、反射波は進行波の1〜3%程度に抑えることができる。
上記の条件で、4〜6分程度の時間、プラズマを生成すると、基板9にアモルファスシリコン膜が堆積する。製膜後、真空容器1から前記基板9を取り出して、アモルファスシリコン膜の膜厚み分布を評価する。基板9に堆積されたアモルファスシリコン膜の膜厚分布は、正弦的な分布となる。即ち、製膜されたシリコン系薄膜の膜厚分布は、概略、次式で表わされる。
I(x)=cos(2πx/λ)
ただし、I(x)は膜の厚み、xは基板中央からその周辺方向への距離、λは使用電力の波長(プラズマ中での波長)である。
このような製膜実験を、原料ガスの流量と、供給電力をパラメータに行い、製膜速度と原料ガスの流量と、供給電力との関係を把握する。
この場合、例えば、図8に示すようなデータが取得される。図8は、縦軸が製膜速度(nm/s)、横軸が供給電力(KW)である。
図8は、原料ガス供給量2LSM、4LSM、及び6LSMにおいて、製膜速度は供給電力に比例して増加するが、供給電力がある値を超えると、一定の値になる。このように、製膜速度がある値で飽和するのは、製膜速度が原料ガスの供給量に依存することを示している。
また、図8のデータでは、製膜速度の最大値は、原料ガスの流量が2LSM、4LSM、及び6LSMにおいて、それぞれ、2.2nm/s、3.0nm/s及び4.2nm/sである。
また、供給電力値と製膜速度の最大値との関係は、原料ガスの流量2LSM、4LSM、及び6LSMにおいて、それぞれ、7.0KW(0.486W/cm)で2.3nm/s、8.0KWで(0.556W/cm)で3.2nm/s、及び、10.0KW(0.694W/cm)で4.2m/sである。
以上の結果から、真空容器1へ供給するガスが、シランガスのみの場合には、原料ガス供給量2LSMで、供給電力値7.0KW(0.486W/cm)以上で製膜速度2.2nm/s、原料ガス供給量4LSMで、供給電力値8.0KW(0.556W/cm)以上で製膜速度3.0nm/s、原料ガス供給量6LSMで、供給電力値10.0KW(0.694W/cm)以上で製膜速度4.2nm/sであることが判る。
なお、上記製膜データにおいて、供給電力が6KW程度以上になると、パウダー(パーテイクル)が発生することがある。
(ステップ2)
図1〜図7において、予め、基板9を第2の電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の空気及び不純物ガス等を除去した後、希釈ガス供給源10bから第2のガス供給管11b、第2の絶縁性真空フランジ14b、第2のガス導入管12b、第2のガスヘッダー13b、第2の洞穴型ガス導入路15bを介して希釈ガス噴出孔7aから水素ガスを、0.5〜30SLM(標準状態換算でのガス流量:L/分)の範囲で、例えば4SLMを供給しつつ、圧力を533.2Pa(4Torr)維持する。基板温度は100〜350℃の範囲、例えば220℃に保持する。
なお、基板9のサイズは、第1の電極2のサイズに合わせて、長さ1mx幅1m(厚み4mm)とする。
次に、発信器20の周波数を13.56MHzとし、電力増幅器21の出力を、例えば3KWとし、インピーダンス整合器22、同軸ケーブル23b、電流導入端子24、電力供給導体26を介して、給電点26に供給する。
この場合、インピーダンス整合器22を調整することにより、その整合器22の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにすることができる。一般的には、反射波は進行波の1〜3%程度に抑えることができる。
上記の条件で、10〜20分程度の時間、プラズマを生成する。そして、図示しない発光分光スペクトル測定器と測定プローブを用いて、水素プラズマ発光スペクトルの波長486nmに着目し、その強さを測定、評価する。なお、スペクトル波長486nmは一般にHβ線と呼ばれる水素プラズマ発光での代表的な波長である。
このような発光スペクトル測定実験を、圧力を533.2Pa(4Torr)一定とし、水素ガスの流量を4SLMに保ち、電力を変化させ、波長486nmの発光強度と供給電力との関係を把握する。
この場合、例えば、図9に示すようなデータが取得される。図9は、縦軸が波長486nmの発光強度(最大値で規格化)で、横軸が供給電力(KW)である。
図9は、水素ガス供給量4LSMにおいて、波長486nmの発光強度は供給電力に比例して増加することを示している。なお、このようなデータが得られれば、異常放電の発生はないと考えられる。
(ステップ3)
図1〜図7において、予め、基板9を第2の電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の空気及び不純物ガス等を除去した後、原料ガス供給源10aから第1のガス供給管11a、第1の絶縁性真空フランジ14a、第1のガス導入管12a、第1のガスヘッダー13a、第1の洞穴型ガス導入路15aを介して原料ガス噴出孔5aからSiH4ガスを、0.5〜10SLM(標準状態換算でのガス流量:L/分)の範囲で、例えば4SLMを供給しつつ、圧力を533.2Pa(4Torr)に維持する。
また、希釈ガス供給源10bから第2のガス供給管11b、第2の絶縁性真空フランジ14b、第2のガス導入管12b、第2のガスヘッダー13b、第2の洞穴型ガス導入路15bを介して希釈ガス噴出孔7aから水素ガスを、0.5〜30SLM(標準状態換算でのガス流量:L/分)の範囲で、例えば20SLMを供給しつつ、圧力を533.2Pa(4Torr)維持する。
基板温度は100〜350℃の範囲、例えば220℃に保持する。
なお、基板9のサイズは、第1の電極2のサイズに合わせて、長さ1mx幅1m(厚み4mm)とする。
次に、発信器20の周波数を13.56MHzとし、電力増幅器21の出力を、例えば3KWとし、インピーダンス整合器22、同軸ケーブル23b、電流導入端子24、電力供給導体26を介して、給電点26に供給する。
この場合、インピーダンス整合器22を調整することにより、その整合器22の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにすることができる。一般的には、反射波は進行波の1〜3%程度に抑えることができる。
なお、パウダー(パーテイクル)の発生の有無をプラズマ生成中に測定するのは、困難であるので、ここでは実施しない。パウダー(パーテイクル)の発生を抑制するために、供給電力は、電力密度0.7W/cm程度以下とする。また、シランガス供給量と水素ガス供給量の比が5倍とし、パウダーの発生を抑制する。
上記の条件で、10〜20分程度の時間、プラズマを生成すると、基板9にi型微結晶シリコン膜が堆積する。なお、大量の水素ガスが供給されるので、得られる膜はアモルファスSiではなく、微結晶膜になる。
製膜後、真空容器1から前記基板9を取り出して、該i型微結晶シリコン膜の膜厚み分布及び結晶化率を評価する。
基板9に堆積されたi型微結晶シリコン膜の膜厚分布は、正弦的な分布となる。即ち、製膜されたシリコン系薄膜の膜厚分布は、概略、次式で表わされる。
I(x)=cos(2πx/λ)
ただし、I(x)は膜の厚み、xは基板中央からその周辺方向への距離、λは使用電力の波長(プラズマ中での波長)である。
結晶化率の評価には、ラマンスペクトル分析器を用い、膜中の結晶Siピーク(517cm−1)IcとアモルファスSiピーク(470〜480cm−1)Iaを用い、結晶化率(%)=100xIc/(Ia+Ic)と定義する。
このような製膜実験を、原料ガス及び水素ガスの流量と、供給電力をパラメータに行い、製膜速度、原料ガスの流量、水素ガス及び供給電力の関係を把握する。
この場合、例えば、図10に示すようなデータが取得される。図10は、縦軸が製膜速度(nm/s)、横軸が供給電力(KW)である。
図10は、シランガス供給量4LSMで水素ガス供給量20SLMの場合、及びシランガス供給量6LSMで水素ガス供給量30SLMの場合において、製膜速度は供給電力にほぼ比例して増加するが、供給電力がある値を超えると、飽和する傾向になることを示す。
また、図10のデータでは、製膜速度の最大値、即ち、供給電力10KW(0.694W/cm)での製膜速度は、シランガス供給量4LSMで水素ガス供給量20SLMの場合、及びシランガス供給量6LSMで水素ガス供給量30SLMの場合において、それぞれ、3.2nm/s程度及び3.8nm/sである。結晶化率は、それぞれ、60〜80%程度が得られる。
なお、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いた方法に関する特徴は、次の通りである。
図1〜図7に示したプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜を製造する方法であって、少なくともシランガスを含む原料ガスと、少なくとも水素ガスを含む希釈ガスを用いて、微結晶シリコン膜を製造することを特徴とする。
ところで、上記実験では以下に示す反応(1)〜(4)が容易に起こる条件を満たしているので、パウダーの発生はほとんど無いと判断される。
図7において、原料ガス噴出孔5aと希釈ガス噴出孔7aは、第1の電極2の表面6に分離して配置され、該原料ガスと希釈ガスが別々に噴出させるので、それぞれのガスは、噴出直後、別々にプラズマ化される。
すなわち、希釈ガス噴出孔7aから噴出した水素ガスは、H→H+Hの反応が主反応として、起こりやすい。なお、多量の原子状Hが生成(H原子濃度の増大)されると、一般的に、微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
他方、原料ガス噴出孔5aから噴出したシランガスは、H、H、SiH、SiH2、SiH等のラジカル腫に分解される。なお、多量のSiHが生成(SiH濃度の増大)されると、一般的に、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
図7において、シランガスと水素ガスが混合領域19に移動すると、高濃度のH原子と励起されたH分子と、プラズマ化されたシランガス (H、H、Si、SiH、SiH2、SiH等)が 反応する。この場合、H濃度とH濃度が高いので、次の反応が起こり易い。
●SiH→H、H、Si、SiH、SiH2、SiH・・・・(1)
●H+SiH→H+SiH・・・(2)
●Si+SiH→SiH+SiH・・・(3)
●SiH+H→SiH・・・(4)
上記(2)、(3)の反応により、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能である。
また、上記(4)の反応により、SiHが減少することは、パウダーの発生が減少することを意味する。即ち、SiH濃度が減少すると、ジシラン(SiH+SiH→Si)及びトリシラン(SiH+Si→Si)等のダスト(パウダー)は形成されにくくなる。
以上の結果から、シランガス供給量4LSM、水素ガス供給量20SLMで、供給電力9KW(0.625W/cm)の場合、製膜速度3.2nm/s程度で結晶化率60〜80%程度のi型微結晶シリコン膜が得られるということが判る。
また、シランガス供給量6LSM、水素ガス供給量30SLMで、供給電力10KW(0.694W/cm)の場合、製膜速度3.8nm/s程度で結晶化率60〜80%程度のi型微結晶シリコン膜が得られるということが判る。
(ステップ4)
実際の応用においては、上記(ステップ1)〜(ステップ3)の結果を参照して、例えば、製膜条件として、シランガス供給量6LSM、水素ガス供給量30SLM、供給電力10KW(0.694W/cm)を選定し、目的とするi型微結晶シリコン膜の製造を行う。これにより、目的とする高品質i型微結晶シリコン膜の製造が行う。
ここで、上述の本発明の第1の実施形態に係るプラズマCVD装置によるシリコン系膜の製造方法としての効果を考える。
本発明の第1の実施形態に係るプラズマCVD装は、原料ガス及び希釈ガスの供給源が独立して設置され、その原料ガスの真空容器1への供給路は、第1のガス供給管11a、第1の絶縁性真空フランジ14a、第1のガス導入管12a、第1のガスヘッダー13a、第1の洞穴型ガス導入路15a及び原料ガス噴出孔5aで構成されるとともに、その希釈ガスの真空容器1への供給路は、第2のガス供給管11b、第2の絶縁性真空フランジ14b、第2のガス導入管12b、第2のガスヘッダー13b、第2の洞穴型ガス導入路15b及び希釈ガス噴出孔7aで構成されていることから、第1の電極2に原料ガス噴出孔5a及び希釈ガス噴出孔7aを分離して設置し、該原料ガスと希釈ガスを噴出させることが可能になった。
これにより、従来の装置では不可能であった原料ガスと希釈ガスを空間的に分離した形でのプラズマ化と、プラズマ化された後の原料ガスと希釈ガスの接触及び混合の促進が可能となるという効果を有する。
これにより、SiHガスのプラズマ化とHガスのプラズマ化を空間的に分離して行い、かつ、プラズマ化したSiHガスとプラズマ化したHガスの接触、混合を促進できるので、高品質膜形成に必要な多量のHと多量SiHを生成(SiH→H+SiH、H→H+H)し、かつ、粗悪な膜の形成要因のSiHを消滅(SiH+H→SiH)することが可能である。これにより、従来の装置及び方法では困難視されているシリコン系膜の高品質、高速製膜が可能である。
(実施例2)
本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法を図11及び図12を参照して説明する。図1〜図3も参照する。
図11は本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の電極2を示す模式的な平面図(基板側から見た平面図)である。図12は図11のB1−B1線の断面図である。
先ず、装置の構成を、図11及び図12を参照して説明する。なお、図11及び図12において、説明の便宜上、上述の本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置の説明と同様に、図に示している座標(X、Y、Z)を参照する。
符番5aは、実施例1と同様に、原料ガス噴出孔で、第1の電極の表面に、図4のY軸方向に複数個、5mm〜20mmの範囲で、略等間隔に、例えば12mm間隔に設置される。原料ガス噴出孔5aは、第1の洞穴型ガス導入路15aから供給されるシランガスを第1及び第2の電極2、3間に噴出する。
噴出したシランガスは、排気管16a、16bから図示しない真空ポンプにより真空容器1の外部へ排出される。
符番7b、7cは、第1の電極2の表面に設置される希釈ガス噴出孔で、図11に示すように多数設定される。希釈ガス噴出孔7b、7cは、図11に示すように、原料ガス噴出孔5aの近傍に複数個、例えば2個を1組にして設置される。なお、複数組みの希釈ガス噴出孔7b、7cの設置位置は、Y方向で見ると、図11に示すように、略等間隔に、5mm〜20mmの範囲で、例えば12mm間隔となる。
噴出した希釈ガスは、排気管16a、16bから図示しない真空ポンプにより真空容器1の外部へ排出される。
希釈ガス噴出孔7b、7cは、図12に示すように、希釈ガス噴出孔7bの噴出方向と希釈ガス噴出孔7cの噴出方向の間の角度が、例えばθになるように設置される。この角度θは、希釈ガス噴出孔7bの噴出方向と希釈ガス噴出孔7cの噴出方向の間の角度である。
角度θの具体的値は、一対の電極2a、3の間隔によるが、1〜60度の範囲に設定される。例えば角度θ=20度とする。
なお、角度θの値は第2の電極3の表面の法線より10数度傾く程度で希釈ガスと原料ガスを混合させる効果は十分に出るので、大きい値は必要ではない。10度〜60度あれば充分である。
これにより、希釈ガスの噴出方向が第2の電極の法線方向以外を向くように配置されているので、希釈ガス噴出孔7b、7cから噴出した希釈ガスは、原料ガス噴出孔5aから噴出した原料ガスを第2の電極3の表面と平行な方向へ押し出す形で接触する。その結果、原料ガスと希釈ガスの混合が促進される。
この場合、原料ガスと希釈ガスの接触の強さあるいは混合の強さは角度θに依存する。当然ながら、第1及び第2の電極2a、3の間の圧力にも依存する。
ここでは、原料ガス噴出孔5aの近傍に複数個の希釈ガス噴出孔を設置する例として、図11及び図12図示の希釈ガ希釈ガス噴出孔7b、7cを示しているが、一組2個に代えて、一組4個とすることも出来る。
この場合、例えば、図11の原料ガス噴出孔5aの隣に、合計4個を一組とした希釈ガス噴出孔を設置しても良い。なお、X方向に2個を並べ、Y方向に2個を並べるという配置である。
希釈ガス噴出孔7b、7cが角度θを持って設置されると、希釈ガス噴出孔7b、7cの有する角度θの作用が発生する。
即ち、希釈ガス噴出孔7b、7cから噴出した希釈ガスが、原料ガス噴出孔5aから噴出した原料ガスを第2の電極3の表面と平行な方向へ押し出す形で接触するので、原料ガスと希釈ガスの混合を促進させる。
この原料ガスと希釈ガスの混合促進は、次に示す反応(1)〜(4)を促進させるという作用を生む。
即ち、原料ガスと希釈ガスの混合促進の結果、従来の装置に比べて、次の反応が顕著になる。
図12において、原料ガス噴出孔5aと希釈ガス噴出孔7b、7cは、第1の電極2の表面6に分離して配置され、該原料ガスと希釈ガスが別々に噴出させるので、それぞれのガスは、噴出直後、別々にプラズマ化される。
すなわち、希釈ガス噴出孔7b、7cから噴出した水素ガスは、H→H+Hの反応が主反応として、起こりやすい。また、励起されたH分子が多数発生する。なお、多量の原子状Hが生成(H原子濃度の増大)されると、一般的に、微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
他方、原料ガス噴出孔5aから噴出したシランガスは、H、H、SiH、SiH2、SiH等のラジカル腫に分解される。なお、多量のSiHが生成(SiH濃度の増大)されると、一般的に、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
図12において、シランガスと水素ガスが混合領域19aに移動すると、高濃度のH原子と励起されたH分子と、プラズマ化されたシランガス (H、H、Si、SiH、SiH2、SiH等)が 反応する。この場合、H濃度とH濃度が高いので、次の反応が起こり易い。
●SiH→H、H、Si、SiH、SiH2、SiH・・・・(1)
●H+SiH→H+SiH・・・(2)
●Si+SiH→SiH+SiH・・・(3)
●SiH+H→SiH・・・(4)
上記(2)、(3)の反応により、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能である。
また、上記(4)の反応により、SiHが減少することは、パウダーの発生が減少することを意味する。即ち、SiH濃度が減少すると、ジシラン(SiH+SiH→Si)及びトリシラン(SiH+Si→Si)等のダスト(パウダー)は形成されにくくなる。
更に、上述の希釈ガス噴出孔7b、7cの有する角度θの作用により、プラズマ化された水素ガスとプラズマ化されたシランガスが接触し、混合が促進されるので、上記(1)〜(4)の反応が促進される。
次に、図11及び図12に示した第1の電極2を用いたプラズマCVD装置により集積化タンデム型薄膜太陽電池用i型微結晶シリコン膜を製膜する方法を説明する。
i型微結晶シリコン膜の製膜に際し、原料ガスや希釈ガス、圧力、投入すべき電力等については、公知の製膜条件を参考に行う。
ただし、上記構成を有するプラズマCVD装置に係わる特有の諸条件は、以下に示す手順で、予め確認し、調整することが必要である。その後、目的とするi型微結晶シリコン膜の製膜を行う。
(ステップ1)では、図1〜図3並びに図11、図12に示した構成を有するプラズマCVD装置において、原料ガスだけで、例えば、シランガスのみを用いて予備的なプラズマ生成実験を行う。
(ステップ2)では、図1〜図3並びに図11、図12に示した構成を有するプラズマCVD装置において、希釈ガスだけで、例えば、水素ガスのみを用いて予備的なプラズマ生成実験を行う。
(ステップ3)では、図1〜図3並びに図11、図12に示した構成を有するプラズマCVD装置において、原料ガスを原料ガス噴出孔から噴出させるとともに、希釈ガス噴出孔から希釈ガスを噴出させて、例えば、それぞれシランガス及び水素ガスを噴出させて、目的とするi型微結晶シリコン膜の製膜実験を行う。
(ステップ4)では、上記(ステップ1)〜(ステップ3)の結果を参照して、目的とする高品質i型微結晶シリコン膜の製造を行う。
(ステップ1)
図1〜図3並びに図11、図12において、予め、基板9を第2の電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の空気及び不純物ガス等を除去した後、原料ガス供給源10aから第1のガス供給管11a、第1の絶縁性真空フランジ14a、第1のガス導入管12a、第1のガスヘッダー13a、第1の洞穴型ガス導入路15aを介して原料ガス噴出孔5aからSiH4ガスを、0.5〜10SLM(標準状態換算でのガス流量:L/分)の範囲で、例えば2SLMを供給しつつ、圧力を533.2Pa(4Torr)に維持する。基板温度は100〜350℃の範囲、例えば220℃に保持する。
なお、基板9のサイズは、第1の電極2のサイズに合わせて、長さ1mx幅1m(厚み4mm)とする。
次に、発信器20の周波数を13.56MHzとし、電力増幅器21の出力を、例えば3KWとし、インピーダンス整合器22、同軸ケーブル23b、電流導入端子24、電力供給導体26を介して、給電点26に供給する。
この場合、インピーダンス整合器22を調整することにより、その整合器22の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにすることができる。一般的には、反射波は進行波の1〜3%程度に抑えることができる。
上記の条件で、4〜6分程度の時間、プラズマを生成すると、基板9にアモルファスシリコン膜が堆積する。製膜後、真空容器1から前記基板9を取り出して、アモルファスシリコン膜の膜厚み分布を評価する。基板9に堆積されたアモルファスシリコン膜の膜厚分布は、正弦的な分布となる。即ち、製膜されたシリコン系薄膜の膜厚分布は、概略、次式で表わされる。
I(x)=cos(2πx/λ)
ただし、I(x)は膜の厚み、xは基板中央からその周辺方向への距離、λは使用電力の波長(プラズマ中での波長)である。
このような製膜実験を、原料ガスの流量と、供給電力をパラメータに行い、製膜速度と原料ガスの流量と、供給電力との関係を把握する。
この場合、例えば、図8に示すようなデータが取得される。図8は、縦軸が製膜速度(nm/s)、横軸が供給電力(KW)である。
図8は、原料ガス供給量2LSM、4LSM、及び6LSMにおいて、製膜速度は供給電力に比例して増加するが、供給電力がある値を超えると、一定の値になる。このように、製膜速度がある値で飽和するのは、製膜速度が原料ガスの供給量に依存することを示している。
また、図8のデータでは、製膜速度の最大値は、原料ガスの流量が2LSM、4LSM、及び6LSMにおいて、それぞれ、2.2nm/s、3.0nm/s及び4.2nm/sである。
また、供給電力値と製膜速度の最大値との関係は、原料ガスの流量2LSM、4LSM、及び6LSMにおいて、それぞれ、7.0KW(0.486W/cm)で2.2nm/s、8.0KWで(0.556W/cm)で3.0nm/s、及び、10.0KW(0.694W/cm)で4.2nm/sである。
以上の結果から、真空容器1へ供給するガスが、シランガスのみの場合には、原料ガス供給量2LSMで、供給電力値7.0KW(0.486W/cm)以上で製膜速度2.2nm/s、原料ガス供給量4LSMで、供給電力値8.0KW(0.556W/cm)以上で製膜速度3.0nm/s、原料ガス供給量6LSMで、供給電力値10.0KW(0.694W/cm)以上で製膜速度4.2nm/sであることが判る。
なお、上記製膜データにおいて、供給電力が6KW程度以上になると、パウダー(パーテイクル)が発生することがある。
(ステップ2)
図1〜図3並びに図11、図12において、予め、基板9を第2の電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の空気及び不純物ガス等を除去した後、希釈ガス供給源10bから第2のガス供給管11b、第2の絶縁性真空フランジ14b、第2のガス導入管12b、第2のガスヘッダー13b、第2の洞穴型ガス導入路15bを介して希釈ガス噴出孔7b、7cから水素ガスを、0.5〜30SLM(標準状態換算でのガス流量:L/分)の範囲で、例えば4SLMを供給しつつ、圧力を533.2Pa(4Torr)維持する。基板温度は100〜350℃の範囲、例えば220℃に保持する。
なお、基板9のサイズは、第1の電極2のサイズに合わせて、長さ1mx幅1m(厚み4mm)とする。
次に、発信器20の周波数を13.56MHzとし、電力増幅器21の出力を、例えば3KWとし、インピーダンス整合器22、同軸ケーブル23b、電流導入端子24、電力供給導体26を介して、給電点26に供給する。
この場合、インピーダンス整合器22を調整することにより、その整合器22の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにすることができる。一般的には、反射波は進行波の1〜3%程度に抑えることができる。
上記の条件で、10〜20分程度の時間、プラズマを生成する。そして、図示しない発光分光スペクトル測定器と測定プローブを用いて、水素プラズマ発光スペクトルの波長486nmに着目し、その強さを測定、評価する。なお、スペクトル波長486nmは一般にHβ線と呼ばれる水素プラズマ発光での代表的な波長である。
このような発光スペクトル測定実験を、圧力を533.2Pa(4Torr)一定とし、水素ガスの流量を4SLMに保ち、電力を変化させ、波長486nmの発光強度と供給電力との関係を把握する。
この場合、例えば、図9に示すようなデータが取得される。図9は、縦軸が波長486nmの発光強度(最大値で規格化)で、横軸が供給電力(KW)である。
図9は、水素ガス供給量4LSMにおいて、波長486nmの発光強度は供給電力に比例して増加することを示している。なお、このようなデータが得られれば、異常放電の発生はないと考えられる。
(ステップ3)
図1〜図3並びに図11、図12において、予め、基板9を第2の電極3の上に設置し、図示しない真空ポンプを稼動させ、真空容器1内の空気及び不純物ガス等を除去した後、原料ガス供給源10aから第1のガス供給管11a、第1の絶縁性真空フランジ14a、第1のガス導入管12a、第1のガスヘッダー13a、第1の洞穴型ガス導入路15aを介して原料ガス噴出孔5aからSiH4ガスを、0.5〜10SLM(標準状態換算でのガス流量:L/分)の範囲で、例えば4SLMを供給しつつ、圧力を533.2Pa(4Torr)に維持する。
また、希釈ガス供給源10bから第2のガス供給管11b、第2の絶縁性真空フランジ14b、第2のガス導入管12b、第2のガスヘッダー13b、第2の洞穴型ガス導入路15bを介して希釈ガス噴出孔7b、7cから水素ガスを、0.5〜30SLM(標準状態換算でのガス流量:L/分)の範囲で、例えば20SLMを供給しつつ、圧力を533.2Pa(4Torr)維持する。
基板温度は100〜350℃の範囲、例えば220℃に保持する。
なお、基板9のサイズは、第1の電極2のサイズに合わせて、長さ1mx幅1m(厚み4mm)とする。
次に、発信器20の周波数を13.56MHzとし、電力増幅器21の出力を、例えば3KWとし、インピーダンス整合器22、同軸ケーブル23b、電流導入端子24、電力供給導体26を介して、給電点26に供給する。
この場合、インピーダンス整合器22を調整することにより、その整合器22の上流側に上記供給電力の反射波が戻らないようにすることができる。一般的には、反射波は進行波の1〜3%程度に抑えることができる。
なお、パウダー(パーテイクル)の発生の有無をプラズマ生成中に測定するのは、困難であるので、ここでは実施しない。パウダー(パーテイクル)の発生を抑制するために、供給電力は、電力密度0.7W/cm程度以下とする。また、シランガス供給量と水素ガス供給量の比を5倍とし、パウダーの発生を抑制する。
上記の条件で、10〜20分程度の時間、プラズマを生成すると、基板9にi型微結晶シリコン膜が堆積する。なお、大量の水素ガスが供給されるので、得られる膜はアモルファスSiではなく、微結晶膜になる。
製膜後、真空容器1から前記基板9を取り出して、該i型微結晶シリコン膜の膜厚み分布及び結晶化率を評価する。
基板9に堆積されたi型微結晶シリコン膜の膜厚分布は、正弦的な分布となる。即ち、製膜されたシリコン系薄膜の膜厚分布は、概略、次式で表わされる。
I(x)=cos(2πx/λ)
ただし、I(x)は膜の厚み、xは基板中央からその周辺方向への距離、λは使用電力の波長(プラズマ中での波長)である。
結晶化率の評価には、ラマンスペクトル分析器を用い、膜中の結晶Siピーク(517cm−1)IcとアモルファスSiピーク(470〜480cm−1)Iaを用い、結晶化率(%)=100xIc/(Ia+Ic)と定義する。
このような製膜実験を、原料ガス及び水素ガスの流量と、供給電力をパラメータに行い、製膜速度、原料ガスの流量、水素ガス及び供給電力の関係を把握する。
この場合、例えば、図10に示すようなデータが取得される。図10は、縦軸が製膜速度(nm/s)、横軸が供給電力(KW)である。
図10は、シランガス供給量4LSMで水素ガス供給量20SLMの場合、及びシランガス供給量6LSMで水素ガス供給量30SLMの場合において、製膜速度は供給電力にほぼ比例して増加するが、供給電力がある値を超えると、飽和する傾向になることを示す。
また、図10のデータでは、製膜速度の最大値、即ち、供給電力10KW(0.694W/cm)での製膜速度は、シランガス供給量4LSMで水素ガス供給量20SLMの場合、及びシランガス供給量6LSMで水素ガス供給量30SLMの場合において、それぞれ、3.2nm/s及び3.8nm/sである。結晶化率は、それぞれ、60〜80%程度が得られる。
なお、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いた方法に関する特徴は、次の通りである。
図11、図12に示すように、第1の電極の表面に配置した多数個の原料ガス噴出孔5aの近傍に、ガス噴出方向が角度θだけ異なる希釈ガス噴出孔7b、7cを配置した第1の電極2を備えたプラズマCVD装置によりシリコン系膜を製造する方法であって、少なくともシランガスを含む原料ガスと、少なくとも水素ガスを含む希釈ガスを用いて、微結晶シリコン膜を製造することを特徴とする。
ところで、上記実験では以下に示す条件を満たしているので、パウダーの発生はほとんど無いと判断される。
図12において、原料ガス噴出孔5aと希釈ガス噴出孔7b、7cは、第1の電極2の表面6に分離して配置され、該原料ガスと希釈ガスが別々に噴出させるので、それぞれのガスは、噴出直後、別々にプラズマ化される。
すなわち、希釈ガス噴出孔7b、7cから噴出した水素ガスは、H→H+Hの反応が主反応として、起こりやすい。また、励起されたH分子が多数発生する。なお、多量の原子状Hが生成(H原子濃度の増大)されると、一般的に、微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
他方、原料ガス噴出孔5aから噴出したシランガスは、H、H、SiH、SiH2、SiH等のラジカル腫に分解される。なお、多量のSiHが生成(SiH濃度の増大)されると、一般的に、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
図12において、シランガスと水素ガスが混合領域19aに移動すると、高濃度のH原子と励起されたH分子と、プラズマ化されたシランガス (H、H、Si、SiH、SiH2、SiH等)が 反応する。この場合、H濃度とH濃度が高いので、次の反応が起こり易い。
●SiH→H、H、Si、SiH、SiH2、SiH・・・・(1)
●H+SiH→H+SiH・・・(2)
●Si+SiH→SiH+SiH・・・(3)
●SiH+H→SiH・・・(4)
上記(2)、(3)の反応により、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能である。また、上記(4)の反応により、SiHが減少することは、パウダーの発生が減少することを意味する。即ち、SiH濃度が減少すると、ジシラン(SiH+SiH→Si)及びトリシラン(SiH+Si→Si)等のダスト(パウダー)は形成されにくくなる。
更に、上述の希釈ガス噴出孔7b、7cの有する角度θの作用により、プラズマ化された水素ガスとプラズマ化されたシランガスが接触し、混合が促進されるので、上記(2)〜(4)の反応が促進される。
以上の結果から、シランガス供給量4LSM、水素ガス供給量20SLMで、供給電力9KW(0.625W/cm)の場合、製膜速度3.2nm/s程度で結晶化率60〜80%程度のi型微結晶シリコン膜が得られるということが判る。
また、シランガス供給量6LSM、水素ガス供給量30SLMで、供給電力10KW(0.694W/cm)の場合、製膜速度3.8nm/s程度で結晶化率60〜80%程度のi型微結晶シリコン膜が得られるということが判る。
(ステップ4)
実際の応用においては、上記(ステップ1)〜(ステップ3)の結果を参照して、例えば、製膜条件として、シランガス供給量6LSM、水素ガス供給量30SLM、供給電力10KW(0.694W/cm)を選定し、目的とするi型微結晶シリコン膜の製造を行う。これにより、目的とする高品質i型微結晶シリコン膜の製造が行う。
ここで、上述の本発明の第2の実施形態に係るプラズマCVD装置によるシリコン系膜の製造方法としての効果を考える。
一対の平行平板型電極の一方に設置されるガス噴出孔として、図11及び図12に示すように、原料ガス噴出孔及び希釈ガス噴出孔に分離して、かつ、隣り合わせて配置し、かつ、図12に示すように、希釈ガスの噴出方向が第2の電極の法線方向以外を向くように、角度θを持って配置されているので、従来の装置では不可能であった原料ガスと希釈ガスを空間的に分離した形でのプラズマ化と、プラズマ化された後の原料ガスと希釈ガスの接触及び混合の促進が可能となるという効果を有する。
これにより、次の反応が起こり易い。
●SiH→H、H、Si、SiH、SiH2、SiH・・・・(1)
●H+SiH→H+SiH・・・(2)
●Si+SiH→SiH+SiH・・・(3)
●SiH+H→SiH・・・(4)
上記(2)、(3)の反応により、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能である。また、上記(4)の反応により、SiHが減少することは、パウダーの発生が減少することを意味する。即ち、SiH濃度が減少すると、ジシラン(SiH+SiH→Si)及びトリシラン(SiH+Si→Si)等のダスト(パウダー)は形成されにくくなる。
更に、上述の希釈ガス噴出孔7b、7cの有する角度θの作用により、プラズマ化された水素ガスとプラズマ化されたシランガスが接触し、混合が促進されるので、上記(2)〜(4)の反応が促進される。
したがって、従来の装置及び方法では困難視されているシリコン系膜の高品質、高速製膜が可能である。
また、上記の本発明の第1の実施形態に係るプラズマCVD装置には、次に示すような特徴がある。
排気系を備えた真空容器と、原料ガスの供給源及び該原料ガスを希釈する希釈ガスの供給源と、該原料ガス及び該希釈ガスを該真空容器に導入するガス導入管と、該原料ガス及び該希釈ガスを噴出するガス噴出孔を有する電気的に非接地の平行平板型の第1の電極及び基板を載置する平行平板型の第2の電極からなる一対の電極と、該一対の電極に高周波電力を供給する高周波電力供給系と、を具備し、該真空容器内に設置された基板に薄膜を形成するプラズマCVD装置において、
前記ガス噴出孔は前記原料ガスのみを噴出する複数の原料ガス噴出孔と前記希釈ガスのみを噴出する複数の希釈ガス噴出孔から構成され、かつ、該原料ガス噴出孔と該希釈ガス噴出孔は互いに異なる位置に分離して配置されるととともに、該希釈ガス噴出孔の方向が前記第2の電極の表面の法線方向以外の方向に向くように配置されるということを特徴とする。
これにより、従来の装置方法では困難視されている高品質膜シリコン系膜の形成が可能となる。
(実施例3)
本発明の第3の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法について、図13を参照して説明する。図1〜図3も参照する。
図13は本発明の第3の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の電極2を示す模式的な断面図である。
先ず、装置の構成について、図13を参照して説明する。
符番7dは、第1の電極2の表面に設置される希釈ガス噴出孔で、実施例1及び実施例2と同様に、多数設定される。希釈ガス噴出孔7dは、図13に示すように、原料ガス噴出孔5aの近傍に、角度を持って設置される。即ち、希釈ガス噴出孔7dの孔の向きが第1の電極の表面の法線方向からαの方向になるように設置される。
これにより、希釈ガスの噴流17bは、希釈ガス噴出孔7dから噴出後、原料ガスの噴流18と交叉する。希釈ガス噴出孔7dから噴出した希釈ガスは、原料ガス噴出孔5aから噴出した原料ガスを第2の電極3の表面と平行な方向へ押し出す形で接触する。その結果、原料ガスと希釈ガスの混合が促進される。なお、原料ガスと希釈ガスが混合される領域を混合領域19bと呼ぶ。
この場合、原料ガスと希釈ガスの接触の強さあるいは混合の強さは角度αに依存する。当然ながら、第1及び第2の電極2、3の間の圧力にも依存する。
噴出した希釈ガスは、排気管16a、16bから図示しない真空ポンプにより真空容器1の外部へ排出される。
希釈ガス噴出孔7dが角度αを持って設置されると、希釈ガス噴出孔7dの有する角度αの作用が発生する。
即ち、希釈ガス噴出孔7dから噴出した希釈ガスが、原料ガス噴出孔5aから噴出した原料ガスを第2の電極3の表面と平行な方向へ押し出す形で接触するので、原料ガスと希釈ガスの混合を促進させる。
この原料ガスと希釈ガスの混合促進は、次に示す反応(1)〜(4)を促進させるという作用を生む。
即ち、原料ガスと希釈ガスの混合促進の結果、従来の装置に比べて、次の反応が顕著になる。
図13において、原料ガス噴出孔5aと希釈ガス噴出孔7dは、第1の電極2の表面6に分離して配置され、該原料ガスと希釈ガスが別々に噴出させるので、それぞれのガスは、噴出直後、別々にプラズマ化される。
すなわち、希釈ガス噴出孔7dから噴出した水素ガスは、H→H+Hの反応が主反応として、起こりやすい。また、励起されたH分子が多数発生する。なお、多量の原子状Hが生成(H原子濃度の増大)されると、一般的に、微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
他方、原料ガス噴出孔5aから噴出したシランガスは、H、H、SiH、SiH2、SiH等のラジカル腫に分解される。なお、多量のSiHが生成(SiH濃度の増大)されると、一般的に、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
図13において、シランガスと水素ガスが混合領域19bに移動すると、高濃度のH原子と励起されたH分子と、プラズマ化されたシランガス (H、H、Si、SiH、SiH2、SiH等)が 反応する。この場合、H濃度とH濃度が高いので、次の反応が起こり易い。
●SiH→H、H、Si、SiH、SiH2、SiH・・・・(1)
●H+SiH→H+SiH・・・(2)
●Si+SiH→SiH+SiH・・・(3)
●SiH+H→SiH・・・(4)
上記(2)、(3)の反応により、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能である。
また、上記(4)の反応により、SiHが減少することは、パウダーの発生が減少することを意味する。即ち、SiH濃度が減少すると、ジシラン(SiH+SiH→Si)及びトリシラン(SiH+Si→Si)等のダスト(パウダー)は形成されにくくなる。
更に、上述の希釈ガス噴出孔7dの有する角度αの作用により、プラズマ化された水素ガスとプラズマ化されたシランガスが接触し、混合が促進されるので、上記(1)〜(4)の反応が促進される。
次に、図13に示した第1の電極2を用いたプラズマCVD装置により集積化タンデム型薄膜太陽電池用i型微結晶シリコン膜を製膜する方法であるが、実施例1及び実施例2と同様であるので、説明を省略する。
(実施例4)
本発明の第4の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法について図14を参照して説明する。図1〜図3も参照する。
図14は本発明の第4の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の電極2を示す模式的な断面図である。
先ず、装置の構成について、図14を参照して説明する。
符番5cは、第1の電極2の表面に設置される原料ガス噴出孔で、実施例1及び実施例2と同様に、多数個設置される。原料ガス噴出孔5cは、図14に示すように、希釈ガス噴出孔7aの近傍に、角度βを持って設置される。即ち、原料ガス噴出孔5cの孔の向きが第1の電極の表面の法線方向からβの方向になるように設置される。
これにより、原料ガスの噴流18cは、原料ガス噴出孔5cから噴出後、希釈ガスの噴流17と交叉する。原料ガス噴出孔5cから噴出した原料ガス18cは、希釈ガス噴出孔7aから噴出した希釈ガス17を第2の電極3の表面と平行な方向へ押し出す形で接触する。その結果、原料ガスと希釈ガスの混合が促進される。なお、原料ガスと希釈ガスが混合される領域を混合領域19cと呼ぶ。
この場合、原料ガスと希釈ガスの接触の強さあるいは混合の強さは角度βに依存する。当然ながら、第1及び第2の電極2、3の間の圧力にも依存する。
噴出した希釈ガスは、排気管16a、16bから図示しない真空ポンプにより真空容器1の外部へ排出される。
原料ガス噴出孔5cが角度βを持って設置されると、原料ガス噴出孔5cの有する角度βの作用が発生する。
即ち、原料ガス噴出孔5cから噴出した原料ガス18cが、希釈ガス噴出孔7aから噴出した希釈ガス17を第2の電極3の表面と平行な方向へ押し出す形で接触するので、原料ガスと希釈ガスの混合を促進させる。
この原料ガスと希釈ガスの混合促進は、次に示す反応(1)〜(4)を促進させるという作用を生む。
即ち、原料ガスと希釈ガスの混合促進の結果、従来の装置に比べて、次の反応が顕著になる。
図14において、原料ガス噴出孔5cと希釈ガス噴出孔7aは、第1の電極2の表面6に分離して配置され、該原料ガスと希釈ガスが別々に噴出させるので、それぞれのガスは、噴出直後、別々にプラズマ化される。
すなわち、希釈ガス噴出孔7aから噴出した水素ガスは、H→H+Hの反応が主反応として、起こりやすい。また、励起されたH分子が多数発生する。なお、多量の原子状Hが生成(H原子濃度の増大)されると、一般的に、微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
他方、原料ガス噴出孔5cから噴出したシランガスは、H、H、SiH、SiH2、SiH等のラジカル腫に分解される。なお、多量のSiHが生成(SiH濃度の増大)されると、一般的に、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能であると、言われている。
図14において、シランガスと水素ガスが混合領域19cに移動すると、高濃度のH原子と励起されたH分子と、プラズマ化されたシランガス (H、H、Si、SiH、SiH2、SiH等)が 反応する。この場合、H濃度とH濃度が高いので、次の反応が起こり易い。
●SiH→H、H、Si、SiH、SiH2、SiH・・・・(1)
●H+SiH→H+SiH・・・(2)
●Si+SiH→SiH+SiH・・・(3)
●SiH+H→SiH・・・(4)
上記(2)、(3)の反応により、高品質の微結晶シリコン膜の形成が容易に可能である。
また、上記(4)の反応により、SiHが減少することは、パウダーの発生が減少することを意味する。即ち、SiH濃度が減少すると、ジシラン(SiH+SiH→Si)及びトリシラン(SiH+Si→Si)等のダスト(パウダー)は形成されにくくなる。
更に、上述の原料ガス噴出孔5cの有する角度βの作用により、プラズマ化された水素ガスとプラズマ化されたシランガスが接触し、混合が促進されるので、上記(1)〜(4)の反応が促進される。
次に、図14に示した第1の電極2を用いたプラズマCVD装置により集積化タンデム型薄膜太陽電池用i型微結晶シリコン膜を製膜する方法であるが、実施例1及び実施例2と同様であるので、説明を省略する。
1・・・真空容器、
2・・・第1の電極、
3・・・第2の電極、
4・・・第1の電極2の支持手段、
5a・・・原料ガス噴出孔、
6・・・第1の電極の第2の電極側の表面
7a・・・希釈ガス噴出孔、
9・・・基板、
10a・・・原料ガス供給源、
10b・・・希釈ガス供給源、
11a・・・第1のガス供給管、
11b・・・第2のガス供給管、
12a・・・第1のガス導入管、
12b・・・第2のガス導入管、
13a・・・第1のガスヘッダー、
13b・・・第2のガスヘッダー、
14a・・・第1の絶縁性真空フランジ、
14b・・・第2の絶縁性真空フランジ、
15a・・・第1の洞穴型ガス導入路、
15b・・・第2の洞穴型ガス導入路、
17・・・原料ガスの噴流、
18、18a、18b・・・希釈ガスの噴流、
19、19a、19b、19c・・・混合領域、
20・・・発信器、
21・・・電力増幅器、
22・・・インピーダンス整合器、
23a、23b・・・同軸ケーブル、
24・・・電流導入端子、
25・・・電力供給導体、
26・・・給電点。

Claims (8)

  1. 排気系を備えた真空容器と、
    原料ガスの供給源及び該原料ガスを希釈する希釈ガスの供給源と、
    該原料ガス及び該希釈ガスを該真空容器に導入するガス導入管と、
    該原料ガス及び該希釈ガスを噴出するガス噴出孔を有する電気的に非接地の平行平板型の第1の電極及び基板を載置する平行平板型の第2の電極からなる一対の電極と、
    該一対の電極に高周波電力を供給する高周波電力供給系と、を具備し、
    該真空容器内に設置された基板に薄膜を形成するプラズマCVD装置において、
    前記ガス噴出孔は前記原料ガスのみを噴出する複数の原料ガス噴出孔と前記希釈ガスのみを噴出する複数の希釈ガス噴出孔から構成され、かつ、該原料ガス噴出孔と該希釈ガス噴出孔は互いに異なる位置に分離して配置されるということを特徴とするプラズマCVD装置。
  2. 請求項1に記載のプラズマCVD装置において、前記原料ガス供給源から供給される原料ガスを前記原料ガス噴出孔から前記第1及び第2の電極間に噴出させる際に、少なくとも、第1の電極の側面に配置される第1のガスヘッダーと、第1の電極の内部に配置される第1の洞穴型ガス導入路と、第1の電極の表面に配置される原料ガス噴出孔が用いられるとともに、前記希釈ガスの供給源から供給される希釈ガスを前記希釈ガス噴出孔から前記第1及び第2の電極間に噴出させる際に、少なくとも、第1の電極の側面に配置される第2のガスヘッダーと、第1の電極の内部に配置される第2の洞穴型ガス導入路と、第1の電極の表面に配置される希釈ガス噴出孔が用いられるという構成を有することを特徴とするプラズマCVD装置。
  3. 請求項1あるいは2のいずれか一つに記載のプラズマCVD装置において、前記希釈ガス噴出孔は、該希釈ガス孔の方向が前記第2の電極の表面の法線方向以外の方向へ向くように配置されるということを特徴とするプラズマCVD装置。
  4. 請求項1あるいは2のいずれか一つに記載のプラズマCVD装置において、前記原料ガス噴出孔は、該原料ガス孔の方向が前記第2の電極の表面の法線方向以外の方向へ向くように配置されるということを特徴とするプラズマCVD装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一つに記載のプラズマCVD装置において、前記希釈ガス噴出孔は、複数個を一組として前記複数の原料ガス噴出孔の隣りに配置され、該一組を構成する複数個の希釈ガス噴出孔の方向が前記第2の電極の表面の法線方向以外の方向へ向くように設定されるということを特徴とするプラズマCVD装置。
  6. 排気系を備えた真空容器と、
    原料ガスの供給源及び該原料ガスを希釈する希釈ガスの供給源と、
    該原料ガス及び該希釈ガスを該真空容器に導入するガス導入管と、
    該原料ガス及び該希釈ガスを噴出するガス噴出孔を有する電気的に非接地の平行平板型の第1の電極及び基板を載置する平行平板型の第2の電極からなる一対の電極と、
    該一対の電極に高周波電力を供給する高周波電力供給系と、を具備し、
    該真空容器内に設置された基板に膜を形成するプラズマCVD装置を用いてシリコン系膜を製造する方法であって、
    前記ガス噴出孔を前記原料ガスのみを噴出する複数の原料ガス噴出孔と前記希釈ガスのみを噴出する複数の希釈ガス噴出孔から構成し、該原料ガス噴出孔と該希釈ガス噴出孔を第1の電極表面上の異なる位置に分離して配置させてシリコン系膜を形成させるということを特徴とするプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法。
  7. 排気系を備えた真空容器と、
    原料ガスの供給源及び該原料ガスを希釈する希釈ガスの供給源と、
    該原料ガス及び該希釈ガスを該真空容器に導入するガス導入管と、
    該原料ガス及び該希釈ガスを噴出するガス噴出孔を有する電気的に非接地の平行平板型の第1の電極及び基板を載置する平行平板型の第2の電極からなる一対の電極と、
    該一対の電極に高周波電力を供給する高周波電力供給系と、を具備し、
    該真空容器内に設置された基板に膜を形成するプラズマCVD装置を用いてシリコン系膜を製造する方法であって、
    前記ガス噴出孔を前記原料ガスのみを噴出する複数の原料ガス噴出孔と前記希釈ガスのみを噴出する複数の希釈ガス噴出孔で構成し、該複数の原料ガス噴出孔と複数の希釈ガス噴出孔を設置する際に、該原料ガス噴出孔の方向を第2の電極の表面の法線方向へ向かせ、該希釈ガス噴出孔の方向を該第2の電極の表面の法線方向以外の方向へ向くように配置させてシリコン系膜を形成させるということを特徴とするプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法。
  8. 請求項1から5のいずれか一つに記載のプラズマCVD装置を用いて、シリコン系膜を製造する方法であって、少なくともシランガスを含む原料ガスと、少なくとも水素ガスを含む希釈ガスを用いて、微結晶シリコン膜を製造することを特徴とするプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法。
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