JP4690892B2 - 脊椎・脊髄手術用癒着防止材 - Google Patents
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Description
【技術分野】
【0002】
本発明は、組織治癒を補助・促進する目的で使用するスポンジ状またはフィルム状または懸濁液状の脊椎・脊髄癒着の防止材に関するものである。
【背景技術】
【0003】
癒着とは本来は離れて存在すべき組織間の接着と定義することができる。その原因には手術による組織への直接的な外科的損傷のみならず、手術用手袋に塗布されているタルクや処置に用いられるガーゼ、コットン等の繊維片も挙げられる。癒着は外科的手術の80%以上に認められると言われており、一般外科においては内臓の運動障害や腸閉塞等を引き起こす可能性がある。また脊椎・脊髄手術においては、馬尾症、馬尾癒着によるくも膜炎あるいは神経根症等、硬膜癒着による骨髄症等の重篤な症状を引き起こす可能性が高く、また再手術が必要とされる場合には、本来必要な処置を行う前に癒着を剥離することが必要となり、術者の負担となるばかりでなく術中の瘢痕剥離操作により神経損傷を来す可能性もある。脊椎脊髄手術では外科的処置の際に神経に近接した箇所での操作を伴うために、神経周囲の硬膜などと癒着を認める場合には術中神経損傷を起こすことがある。
【0004】
例えば椎間板ヘルニアに対する除圧手術は神経組織への損傷を避けなければならないが、再発ヘルニアの場合には、初回術後に硬膜などに癒着が生じており再手術時に操作が困難なために神経損傷を起こす可能性がある。したがって脊椎・脊髄領域における術後の癒着防止は、治療を有効なものとするばかりでなく、中枢神経系への人為的な損傷を防ぎ、さらには難治性の癒着性クモ膜炎の発症の予防にもつながるものである。
【0005】
癒着は6つのステップにより形成されると考えられている(人工臓器,1994−95,282−285)。すなわち、まず手術等による損傷や炎症などによる異常をきたした部位へ体液,血液などの漏出が起き、フィブリノーゲンが滲出してフィブリンが形成されフィブリン網が形成される。この過程は分単位で進行する。次に時間単位でこのフィブリン網に白血球等の炎症細胞、マクロファージ、線維芽細胞が侵入し、これらの細胞から出される種々の酵素によりフィブリン網が溶解される。続いてこれらの細胞が出す種々の成長因子により繊維芽細胞の侵入が活発となり、細胞周囲のフィブリン網がコラーゲン繊維に置換される。
【0006】
この過程は日単位で進行するが、癒着組織の基本的構造が形成されるために不可逆的なものとなる。さらに週単位で複雑なコラーゲン走行の構築を持つ細胞線維性組織が形成され、これらの細胞による栄養要求性のために無数の毛細血管が侵入し、肉芽組織が形成される。その後月単位で一部の組織は創傷治癒の過程をたどるが、残存する組織はコラーゲン組織が大半を占めることになり、非常に強固な、丈夫な組織である瘢痕組織と称される状態となる。そして年単位で瘢痕組織のコラーゲン量の減少により周囲組織に″引きつり″現象を生じさせることになる。
【0007】
癒着を防止するためには癒着する可能性のある組織,器官の間隙を隔絶させておくこと、上述の不可逆的状態に進む前の段階でフィブリン析出,細胞侵入,コラーゲン繊維産出などの過程を抑えること、位置的に癒着しそうな組織をたびたび動かして接触状態を維持させないことなどが考えられる。一般に漿膜損傷後の中皮細胞再生には5〜8日間必要とされており、この期間損傷を受けた組織と周辺組織とを物理的に隔離して接触を遮断すれば、癒着の形成を防止・軽減することが期待できる。一方、脊椎脊髄手術の場合には、脊椎手術後の炎症の沈静化には術後最低2週間は必要であり、その間の隔離が必要と考えられる。
【0008】
癒着は組織修復という生理的現象の一つであるため、癒着を希望しない部位のみの癒着を防止することが必要である。そのためには癒着する可能性のある組織、器官の間隙を隔絶させておくことが望ましい。隔絶する方法には大きく分けて2種類、すなわち創傷を含む臓器を非特異的に浮いた状態に保つフローティング効果による方法と、創傷及びその周囲部分のみを他の組織から遮蔽するバリアー効果による方法が挙げられる。
【0009】
高分子物質を中心としたゲル状や高濃度溶液による高粘度品を腹腔内に充満させるフローティング効果による癒着防止材としては、例えば、特開昭57−167919号公報に記載されているアルギン酸ナトリウム、特許2953702号公報記載のコンドロイチン硫酸ナトリウム、高分子デキストラン(立崎達夫著「最新医学」、44巻、645頁、1989年、五味淵秀人著「産科と婦人科」、後藤幸子ら:応用薬理、35巻、359頁、1988年、特開平8−157378号公報)、特開平10−502663号公報記載のキトサン、特開平8−157378号公報記載のヒアルロン酸ナトリウム等の高分子多糖体に有効性が見出されている。
【0010】
しかし、粘度が高いために薬液注入チューブおよびカテーテル内での薬液の移動は非常に遅いために、強制的に注入しなければならない、あるいは十分には腹腔内に注入できないなどの不利な点を有する。さらに、腸等を吻合した際にできる縫合針による微小な穴″スーチャーホール(suture hole)″から漏出した腸内細菌が高粘度品を足場として腹腔内に広がり、感染症を引き起こす可能性が高く、実際の手術現場でも大きな問題となっている。これらの癒着防止材の脊椎・脊髄手術への適用は、手術部位周辺の環境から感染症の問題は少なくなるものの、操作性の悪さのために実用的とはいえない。
【0011】
これに対し創傷部及びその周辺部位に適用するバリアー効果による癒着防止材は感染症誘発の可能性が低く、一般外科に適するものと考えられている。特開平1−301624号や米国特許第5906997号等には化学的架橋剤又は化学的修飾剤を用いたカルボキシメチルセルロース組成物の癒着防止材が開示されており、また特表平5−508161号、特表平6−508169号を基に開発されたヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースをカルボジイミドで修飾したものからなる組成物でフィルム状の癒着防止剤「セプラフィルム」(Genzyme社製)が市販されている。一方架橋剤又は修飾剤を用いない、すなわち実質的に改質されていないカルボキシメチルセルロースを癒着防止材に用いる例は米国特許第5,906,997号,同第6,017,301号や同第6,034,140号に基づいて開発されたカルボキシメチルセルロースとポリエチレンオキサイドからなるフィルム状のオキシプレックス(Oxiplex;FizioMed社)が米国で市販されている。しかしながら、これらの癒着防止材が脊椎・脊髄手術においてその有効性を示した例は開示されていない。
【0012】
脊椎・脊髄手術時における癒着防止のための処置として、1970年代後半頃より患者自身の皮下脂肪の使用が提案されていた(Vopr.Neirokhir.,Jul−Aug(4),1976年等)。手術部位付近の有血管あるいは無血管皮下脂肪を手術による欠損あるいは創傷部位に適用するが、自己組織を使用することから免疫反応に対する配慮は不要であるものの皮下脂肪の採取を行うことが必要とされ、手術者にとっては組織切除のための作業が増えるといった難点があった。また、Clin.Orthop,215(1987年)にはブタ皮膚真皮の使用が報告されており、日本特許第2,905,718号及び2,905,719号にはヒト羊膜の使用が開示されている。前者は異種の組織であるために免疫反応に対する処置あるいは真皮の抗原性消失のために用いる化学物質の残存性が懸念される。一方後者は倫理的な問題も抱えており、現実的な癒着防止材とは言い難い。
【0013】
これに対し、ドイツ特許第2,722,563号記載のシリコンゴム、米国特許第5480436号記載のポリエーテルーポリエステル共重合体、J.Neurosurgery,63(3)(1985年)に報告されたバイクリル(ポリグラクチン910)メッシュ、Yonsei Med.J.,31(4)(1990年)に報告されたダクロンや、特開平10−244611号記載のポリテトラフルオロエチレン等を用いた脊椎・脊髄癒着防止材も開示あるいは報告されている。しかしながらこれらの癒着防止材は生体接着性がないか乏しいため、術部と他の組織の隔離のためにさらに縫合等の処置が必要とされる。このことは手術者の負担が増えるばかりでなく、縫合等の処置の際に出血や接着剤の使用により誘発される新たな癒着の危険性を有している。
【0014】
適用部位への接着性あるいは残存性の向上を目的として米国特許第5,056,839号にはカルボキシメチルセルロース及びポリエチレンオキサイドのジメチル尿素による架橋体、特開第2001−278984号にはエステル化カルボキシル基含有多糖とα−アミノ基を2個以上含有する化合物とからなるゲルが開示されている。これらは生体適合性高分子物質を用いていることから良好な組織親和性、組織接着性を有すると期待されるが、架橋体あるいはゲル形成の際に用いられる化学物質の残存による神経等への影響が懸念される。
【0015】
一方、コラーゲンあるいはゼラチンを用いた脊椎・脊髄領域の癒着防止材については、例えば特開2002−10376号、米国特許第6,221,109号や国際公開特許第2002−022184号にはコラーゲンを用いた癒着防止材が、米国特許第6,066,325号にはゼラチンによる癒着防止材が開示されている。また「ADCON−L」や「Gel Amidon Oxyde(GAO)」と呼ばれる物質についてもその有効性がEur.Spine J.,Vol.5(1996年)、Neurosurgery,Vol.38(1996年)、Am.J.Orthop.,Vol.27(1998年)、Neurosurgery,Vol.50(2002年)やJ.Neurosurg.,Vol.97(2002年)に報告されている。これらの癒着防止材は単体あるいは架橋剤を用いた架橋体として用いられるが、原材料であるコラーゲンあるいはゼラチンは生物由来製品であるため、規制動向等を考慮すると将来的な安定供給に難点がある。
【0016】
生体適合性を有し、実質的に化学的架橋剤や修飾剤を含まないゲルとしては、欧州特許第107,055号に記載されているポリビニルアルコールハイドロゲルや国際公開特許第99/10385号記載の水難溶性化ヒアルロン酸、国際公開特許第01/34214号記載の水難溶性化カルボキシメチルセルロースが開示されている。しかし、これらのゲルや水難溶性化物が脊椎・脊髄手術における癒着防止材として用いられた例は開示されていない。
【0017】
神経の中枢としての役割を担う脊髄は軟膜,くも膜及び硬膜に包まれ、その外側を脂肪層と骨膜に覆われ、椎体と椎弓とで構成される脊柱管の中に納められており、硬膜と椎弓との間には一定の空間が保たれている。したがって用いられる癒着防止材は外科的処置後においてもこの空間を保持しつつ癒着を防止することが重要であり、加えて硬膜や骨膜の肥厚化を抑制することも要求される。また除圧手術等の際には既に手術対象部位に炎症が起きている場合が多く、抗炎症作用を有することが望ましい。しかしながらこれらの性能を有する脊椎脊髄領域の癒着防止材はこれまでに見いだされていない。
【0018】
一方、手術現場での医療用具の適用を見てみると、適用部位識別のために着色されているものが見受けられる。縫合糸はその代表的なものであり、例えばジョンソン・エンド・ジョンソン社のコーテッドバイクリルやサージカルシルクには紫色や黒色、青色といった着色がなされており、血液や体液の存在下でも縫合部位の識別を容易なものとしている。特表平3−502704号にはヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースをカルボジイミドで修飾しブリリアントブルーRで着色されたフィルムが開示されているが、市販されている癒着防止材で着色されているものは見あたらず適用部位の識別が容易なものが望まれていた。
【発明の概要】
本発明者らは、生体適合性が高く安全な脊椎・脊髄領域での癒着防止材について鋭意検討してきた。その結果、実質的な改質を行わずに架橋した酸性多糖類による脊椎・脊髄領域での癒着防止効果を見出し、本発明を完成させるに至った。また架橋した酸性多糖類を着色することにより、本発明品の手術部位への適用状態の観察を容易なものとすることが可能となった。
【0019】
すなわち、本発明は、下記の要旨を有する。
1.脊椎・脊髄手術により生ずる癒着の程度を軽減あるいは癒着を防止するために用いられる、自己架橋エステル結合した架橋構造を有するヒアルロン酸及び/又はカルボキシメチルセルロースである酸性多糖類を含み、かつ、この酸性多糖類の60℃のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中での溶解率が50%になるまでの時間が15時間以上であることを特徴とする脊椎・脊髄手術用癒着防止材。
2.スポンジの乾燥時の厚みが2mm〜10mm、ポアサイズが50μm〜200μmのスポンジ状である上記1に記載の脊椎・脊髄手術用癒着防止材。
3.フィルムの乾燥時の厚みが50μm〜1mmのフィルム状である上記1に記載の脊椎・脊髄手術用癒着防止材。
4.酸性多糖類の平均粒子径が100μm〜1mmの懸濁液状である上記1に記載の脊椎・脊髄手術用癒着防止材。
5.癒着防止材の適用部位の識別を容易にするために着色されている上記1〜4のいずれか1項に記載の脊椎・脊髄手術用癒着防止材。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、術後2週間のコントロール部のヘマトキシリン・エオジン染色像の写真である。
【図2】図2は、術後2週間のスポンジ状の架橋したヒアルロン酸適用部位のヘマトキシリン・エオジン染色像の写真である。
【図3】図3は、術後におけるコントロール部及びスポンジ状の架橋したヒアルロン酸適用部位の瘢痕組織と硬膜との間隙である。
【図4】図4は、術後におけるコントロール部及びスポンジ状の架橋したヒアルロン酸適用部位の組織標本の高倍率における単位面積当たりの炎症性細胞数である。
【図5】図5は、術後におけるコントロール部及びスポンジ状の架橋したヒアルロン酸適用部位の組織標本における硬膜厚である。
【符号の説明】
【0062】
1.椎弓の残り
2.椎弓切除後の瘢痕形成
3.脊髄
4.残存するヒアルロン酸ゲル
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する
本発明でいう癒着防止材とは、脊椎・脊髄手術の際に切開または切除した部分に貼付あるいは留置することにより、手術部位やその周辺等に生ずる癒着の程度を軽減あるいは癒着を防止するものを意味する。例えば、椎間板ヘルニア手術の場合には、ヘルニアによる炎症に加え、椎間板や神経組織に施された外科的損傷部位及びその周辺に対して適用することを指す。さらに体内に適用されるものであることから生体適合性のあるものであることを意味する。
【0022】
本発明に用いられる酸性多糖類とは、組織への炎症性や障害性等の有害作用を有さない高分子化合物を指す。酸性多糖類は、天然品あるいは合成品を問わず用いることができ、架橋による水難溶性化が可能であり生体適合性を有するものであれば何ら制限されるものではない。
【0023】
用いられる天然酸性多糖類の代表例としては、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸塩、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸塩を除くグリコサミノグリカン類(ヘパリン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸等)、コンドロイチン硫酸塩(コンドロイチン−6−硫酸等)、ケラチン硫酸塩、ポリ乳酸等が挙げられる。また、合成酸性多糖類としては、医薬品の懸濁剤や粘性剤としても使用されているカルボキシメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース塩が代表例である。なお、本発明は、これらの高分子化合物に何ら制限されないものである。
【0024】
本発明でいうスポンジ状の癒着防止材とは、得られた架橋した酸性多糖類を減圧凍結乾燥により乾燥して得られる癒着防止材であることをいい、またフィルム状の癒着防止材とは、得られた架橋した酸性多糖類を室温から50℃の範囲の常圧下で乾燥して得られる癒着防止材であることをいう。さらに懸濁液状の癒着防止材とは、得られた架橋した酸性多糖類を薬理学的に許容される水性溶媒中でホモジナイザーや超音波処理等により破砕して得られる癒着防止材であることをいう。
【0025】
本発明に用いられるリン酸緩衝生理食塩水とは、架橋した酸性多糖類が生体に適用されることを考慮し、薬理学的に許容される溶液が好ましく、具体的には細胞培養の際に一般的に用いられるカリウム−ナトリウム系リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)が好ましい。
【0026】
本発明における架橋した酸性多糖類の溶解率が50%になるまでの時間とは、架橋した酸性多糖類を60℃のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中に静置するとき、架橋した酸性多糖類から溶出した酸性多糖類の量が溶解前の架橋した酸性多糖類量の50%になるまでの時間をいう(以下、「溶解性半減期」とよぶ)。
【0027】
溶解性半減期が短い場合には適用部位における貯留性が短く、癒着形成ステップのうちの不可逆的状態に進む前の段階での組織あるいは器官の間隙の隔絶が困難となるため、癒着防止効果は期待できない。一方、溶解性半減期が長すぎる場合には、炎症細胞、マクロファージや繊維芽細胞が架橋した酸性多糖類内に侵入し、癒着組織の基本的構造が形成される不可逆的状態を維持することになるため、逆に癒着形成を助長することとなる。溶解性半減期の調整は、架橋した酸性多糖類を得るための反応条件を選択することにより容易であり、例えば酸性多糖類の溶液中の濃度、反応時間、反応温度等を変えることにより希望の溶解性半減期を有する架橋した酸性多糖類を得ることができる。周囲組織の動きが少ない部位に適用するので本発明品に必要な貯留性を得るための溶解性半減期は、15時間以上であり、好ましくは20時間〜30時間である。
【0028】
本発明における架橋した酸性多糖類の架橋構造がエステル結合であるとは、多価アルコールとカルボキシル基のエステル、多価カルボン酸と水酸基とのエステル、多価エポキシ化合物とカルボキシル基とのエステル等が挙げられる。
【0029】
本発明における架橋した酸性多糖類の架橋構造が自己架橋エステル結合であるとは、形成されるエステル結合が架橋前の生体適合性物質が本来有する分子間で直接形成されることを意味する。自己架橋エステル結合体の製造方法としては、ヒアルロン酸を例にとると、一部または全てのカルボキシル基が同一の多糖鎖または他の多糖鎖のアルコール基でエステル化された自已架橋エステル結合ヒアルロン酸が欧州特許第341745B1に、ヒアルロン酸の水溶液を酸性条件下で凍結し、ついで解凍することを少なくとも1回行うことによって生成する自己架橋エステル結合ヒアルロン酸が国際公開特許WO99/10385に、凍結を行うことなく5%以上の濃度となるようにヒアルロン酸と酸性溶液を混合・共存させることにより生成する自己架橋エステル結合ヒアルロン酸が国際公開特許WO01/57093に開示されている。ヒアルロン酸の水溶液を酸性条件下で凍結する方法では、凍結時間が長くなるにつれて溶解性半減期も長くなるが、過度の凍結時間ではヒアルロン酸の低分子量化が生じ溶解性半減期が逆に短くなることが認められる。
【0030】
本発明におけるスポンジ状の癒着防止材の厚みについては、薄い場合にはスポンジの強度が弱くなるためにピンセット等を用いた適用において癒着防止材の破れや曲がりが生じる可能性が高い。また厚い場合には強度は保てるものの欠損部位の大きさへの調整が困難になることが予想され、あるいは体液の吸収による容積変化により欠損部位にわたる適用が不十分となるか必要のない部分にまでまたがって適用する可能性がある。したがってスポンジ状の癒着防止材の厚みは乾燥時において2mm〜10mmが好ましい。なお厚みの薄い本発明品を重ねて適用することも何ら問題ではない。
【0031】
本発明におけるスポンジのポアサイズが小さい場合には、生体適合性物質の密度が高いために硬いスポンジとなり、神経に与える影響を考慮すると好ましくない。一方ポアサイズが大きい場合には柔らかいスポンジとなるが、厚みの場合と同様にハンドリング性能が低下する。このため、スポンジの乾燥時のポアサイズは50μm〜200μmが好ましい。
【0032】
本発明におけるフィルム状の癒着防止材の厚みについてもスポンジ状の癒着防止材の場合と同様に考えることができる。すなわち、薄い場合にはフィルム強度が低いためにハンドリング性能が低下し、厚い場合にはフィルム強度が高いために適用時に神経等に損傷を与える可能性が高い。したがって乾燥時におけるフィルム状の癒着防止材の厚みは、50μm〜1mmが好ましい。さらに厚みの薄いフィルム状の癒着防止材を重ねて適用することも可能である。
【0033】
懸濁液状の癒着防止材に含まれる架橋した酸性多糖類の平均粒子径は、適用時の操作性や組織に対する接着性、また製造工程での容易性等から決められる。平均粒子径が小さい場合には高い架橋した酸性多糖類濃度においても適用時の操作性が良好であるが、複数種の破砕操作が必要となるケースが多い。一方、平均粒子径が大きい場合にはカップ式ミキサー等の破砕のみで調製が可能であるが、高濃度での適用時の操作性が悪いことが予想される。また組織への接着性は平均粒子径の大きさのみならず含有される生体適合性物質の種類、濃度等により影響を受けるものであり、これらの要因を調整しやすいことが望ましい。したがって平均粒子径は製造が容易であり、適用時の操作性も良好である100μm〜1mmが好ましい。
【0034】
懸濁液中の架橋した酸性多糖類の濃度については特に規定されるものではないが、濃度が低い場合にはゲル部分と溶液部分との分離のために適用が不均一になる可能性があり、また架橋した酸性多糖類の適用部位への接着性が十分でないことが懸念される。一方濃度が高い場合には、適用に術斜の力を要することが考えられ、手術時の操作性に支障を来す可能性がある。したがって濃度は用いる酸性多糖類の種類、架橋された酸性多糖類の平均粒子径、溶液に用いる塩の種類やその濃度によって適宜決められる。
適用の形態としては、製造工程の容易さ、適用時の扱い易さ及び組織への接着性の点から、懸濁液よりもフィルムが好ましく、さらにスポンジより好ましい。
【0035】
本発明に用いられるヒアルロン酸は、動物組織から抽出したものでも、また発酵法で製造したものでもその起源を問うことなく使用できる。しかしながら、生物由来製品の範疇に入らない発酵法で製造したヒアルロン酸が望ましい。
発酵法で使用する菌株は自然界から分離されるストレプトコッカス属等のヒアルロン酸生産能を有する微生物、又は特開昭63−123392号公報に記載したストレプトコッカス・エクイFM−100(微工研菌寄第9027号)、特開平2−234689号公報に記載したストレプトコッカス・エクイFM−300(微工研菌寄第2319号)のような高収率で安定にヒアルロン酸を生産する変異株が望ましい。上記の変異株を用いて培養、精製されたものが用いられる。
【0036】
また、本発明に用いられるヒアルロン酸の分子量(重量平均分子量、以下同じ)は、約1×105〜約1×107ダルトンの範囲内のものが好ましく、上記範囲内の分子量をもつものであれば、より高分子量のものから、加水分解処理等をして得た低分子量のものでも同様に好ましく使用できる。なお、本発明にいうヒアルロン酸は、そのアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等の塩をも包含する概念で使用される。
【0037】
本発明に用いられるカルボキシメチルセルロースの分子量は、特に規定される物ではないが、約1×104〜約5×105ダルトンの範囲内のものが好ましい。また、上記範囲内の分子量をもつものであれば、より高分子量のものから、加水分解処理等をして得た低分子量のものでも同様に好ましく使用できる。
また、カルボキシメチルセルロースのもうひとつのパラメーターであるエーテル化度については、水難溶性化が起こる範囲のものであればその利用に関し何ら制限されない。なお、本発明にいうカルボキシメチルセルロースは、そのアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等の塩をも包含する概念で使用される。
【0038】
架橋した酸性多糖類は、上述のヒアルロン酸の例のように、酸性多糖類の酸性溶液の凍結・解凍を用いる方法、酸性多糖類を5質量%以上になるように酸溶液と混和し非凍結温度下で放置する方法等により得ることが可能である。このうち酸性溶液の凍結・解凍を用いる方法は簡便で多量の架橋した酸性多糖類の取得が可能である。この方法では用いる酸性多糖類の分子量、酸性溶液中の酸性多糖類濃度、凍結時間あるいは放置時間等の条件を適宜選択することにより架橋した酸性多糖類の溶解性半減期を制御することが可能であり、さらに凍結時の容器形態を選択することにより得られる架橋した酸性多糖類を種々の形態に形成しやすいという利点を有する。また複数の形状のものを組み合わせて使用しても何ら問題はない。
【0039】
次に、医療用具として必要な滅菌処理について述べる。ヒアルロン酸は放射線に対する感受性が強いために、架橋したヒアルロン酸からなるスポンジの滅菌はオートクレーブ処理を用いることができる。またヒアルロン酸溶液を高温条件下で短時間に滅菌し、酸性化以降の工程を無菌条件下で行うことも可能である。一方、カルボキシメチルセルロースの糖鎖構造は熱や放射線等に比較的安定であるために、架橋したカルボキシメチルセルロースからなるスポンジにはγ線滅菌、電子線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、プラズマガス滅菌あるいはオートクレーブ滅菌などの種々の滅菌方法が採用できる。こうした滅菌という過酷な処理により架橋したヒアルロン酸あるいは架橋したカルボキシメチルセルロースのin vitroでの溶解性ひいては生体内貯留性が変化する現象が確認されるが、製造条件を変化させてあらかじめより安定な、すなわちより溶解性半減期の長い架橋したヒアルロン酸あるいは架橋したカルボキシメチルセルロースを製造しておき、滅菌処理後の生体内貯留性を制御することも可能である。
【0040】
本発明品を着色する場合には、非経口的に投与された場合での安全性が確認されている色素を用いることが必要である。例えば医薬品添加物事典(日本医薬品添加剤協会編集)に記載されているカンゾウエキス、三二酸化鉄、銅クロロフィリンナトリウム、パーマネントバイオレット−R−スペシャル、ベンガラ、薬用炭、また実際に縫合糸の着色に用いられている通称「紫2015」による着色が可能である。色については適用部位や適用方法によって任意に決められ何ら制限されるものではない。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、以下において、例1、例2、例5及び例6は、本発明の実施例であり、例3及び例4は比較例である。
【0042】
例1
分子量が2×106ダルトンのヒアルロン酸ナトリウムを蒸留水に溶解し、2質量%のヒアルロン酸の水溶液を調製した。この水溶液のpHを1mol/l塩酸でpH1.5に調整した。ヒアルロン酸の酸性水溶液を9cm×9cm×1cmの角形ポリスチレンシャーレに入れ、−20℃に設定した冷凍庫に10日間静置した後、25℃で解凍した。その後蒸留水及び100mmol/l濃度のリン酸緩衝液(pH6.8)による洗浄を行い、凍結乾燥による乾燥を行った。その結果、乾燥時の厚み約4mm、ポアサイズ120±45μmのスポンジ状の架橋したヒアルロン酸を得た。
【0043】
例2
例1において、ヒアルロン酸の酸性水溶液を−20℃に設定した冷凍庫に20日間静置し、乾燥時の厚み約4mm、ポアサイズ100±40μmのスポンジ状の架橋したヒアルロン酸を得た。
【0044】
例3
例1において、ヒアルロン酸の酸性水溶液を−20℃に設定した冷凍庫に30日間静置し、乾燥時の厚み約7mm、ポアサイズ135±45μmのスポンジ状の架橋したヒアルロン酸を得た。
【0045】
例4
25℃での1%粘度1000〜2800mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度0.65〜0.95、換算分子量約3.0×105ダルトン、ハーキュレス社製)を蒸留水に溶解し、2質量%のカルボキシメチルセルロースの水溶液を調製した。この水溶液のpHを1mol/l塩酸でpH1.5に調整した。
カルボキシメチルセルロースの酸性水溶液を9cm×9cmの角形ポリスチレンシャーレに入れ、−20℃に設定した冷凍庫に1日間静置した後、25℃で解凍した。その後蒸留水及び100mmol/l濃度のリン酸緩衝液(pH6.8)による洗浄を行い、凍結乾燥による乾燥を行った。その結果、乾燥時の厚み約4mm、ポアサイズ125±45μmのスポンジ状の架橋したカルボキシメチルセルロースを得た。
【0046】
例5
例4において、カルボキシメチルセルロースの酸性水溶液を−20℃に設定した冷凍庫に3日間静置し、乾燥時の厚み約3mm、ポアサイズ120±35μmのスポンジ状の架橋したカルボキシメチルセルロースを得た。
【0047】
試験例1:架橋した酸性多糖類の溶解性試験
次の組成からなるpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水を調製した。
【0048】
リン酸緩衝生理食塩水
塩化カリウム 0.02質量%
リン酸一カリウム 0.02質量%
リン酸二ナトリウム12水和物 0.29質量%
塩化ナトリウム 0.81質量%
例1、例2、例3、例4及び例5で得られた架橋したヒアルロン酸または架橋したカルボキシメチルセルロースを、乾燥重量で50mgのヒアルロン酸またはカルボキシメチルセルロースを含む架橋したヒアルロン酸または架橋したカルボキシメチルセルロースに対して50mlのリン酸緩衝生理食塩水の割合で、リン酸緩衝生理食塩水中に浸漬した。60℃の静置下でリン酸緩衝生理食塩水中に溶出するヒアルロン酸またはカルボキシメチルセルロースの割合を、リン酸緩衝生理的食塩水中のヒアルロン酸濃度またはカルボキシメチルセルロース濃度から求めた。
従って、中性の60℃の水溶液中での架橋した酸性多糖類の溶解性は、上記試験により規定されるものである。
【0049】
酸性多糖類の濃度の測定
リン酸緩衝生理食塩水中のヒアルロン酸またはカルボキシメチルセルロースの濃度は、ゲルろ過クロマトグラフ法(GPC)を使って示差屈折率検出器のピーク面積から求めた。すなわち経時的に採取したリン酸緩衝生理食塩水を孔経が0.45μmのフィルターでろ過後GPCに注入し、得られたピーク面積と既知量のヒアルロン酸またはカルボキシメチルセルロースのピーク面積を比較することにより算出した。
その結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
例えば、実験No.1の例1で得られた架橋したヒアルロン酸については、ヒアルロン酸の溶解が3時間後では認められず、5時間後では3質量%、10時間後では20質量%、15時間後では48質量%であった。すなわち5時間後においては97質量%が、15時間後においても52質量%が架橋したヒアルロン酸として残存していた。他の例で得られた架橋したヒアルロン酸及び架橋したカルボキシメチルセルロースについても同様であり、凍結時間により溶解性を制御できることが明らかとなった。またこれらの溶解率より例1〜例5で得られた架橋したヒアルロン酸及び架橋したカルボキシメチルセルロースの溶解性半減期はそれぞれ約15時間、約28時間、約10時間、約8時間及び約18時間であった。
【0052】
試験例2:ウサギによるスポンジ状の架橋したヒアルロン酸の癒着防止試験
体重2.0〜2.5kgの日本白色ウサギを用いた。背面正中切開により胸腰椎を露出させ、2椎体に椎弓切除を10mm×5mmの大きさで行った。一方の切除部位は硬膜を露出させたままとし(コントロール部位)、他方の切除部位には例1、例2あるいは例3で得られたスポンジ状の架橋したヒアルロン酸を適用した。2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後及び6ヶ月に屠殺し、椎弓切除部分につき組織切片の作成及びヘマトキシリン・エオジン染色を行い、周囲との癒着状況等を確認した。
【0053】
術後2週間のコントロール部においては炎症性細胞や線維芽細胞などの浸潤を伴う瘢痕組織が切除部位に侵入していることが観察され、硬膜との接着が確認された(図1参照)。これに対し、例1あるいは例2で得られたスポンジ状の架橋したヒアルロン酸適用部位では架橋したヒアルロン酸の残存が認められ(図2参照)、切除部位への炎症性細胞の浸潤はコントロール部と比較して有意に低下していた。
【0054】
術後2ヶ月ではいずれの部位においても椎弓の修復が確認されたが、コントロール部位及び例3で得られたスポンジ状の架橋したヒアルロン酸適用部位では硬膜と修復組織との癒着が認められたのに対し、例1あるいは例2で得られたスポンジ状の架橋したヒアルロン酸適用部位では当該部位での癒着が防止された。なお癒着防止効果が認められた部位について、架橋したヒアルロン酸の残存は確認されなかった。例2で得られたスポンジ状の架橋したヒアルロン酸適用部位を例にとると、瘢痕組織と硬膜との間隙は、術後4、8週目でスポンジ状の架橋したヒアルロン酸を使用したものが、コントロール群よりも有意に間隙が広かった(図3参照)。
また、組織標本において高倍率における単位面積当たりの炎症性細胞数は術後4、8週目でスポンジ状の架橋したヒアルロン酸を使用したものが、コントロール群よりも有意に浸潤細胞数が減少していた(図4参照)。さらに、組織標本において硬膜厚は術後4、8週目でスポンジ状の架橋したヒアルロン酸を使用したものが、コントロール群よりも有意に薄かった(図5参照)。以上のことより、スポンジ状の架橋したヒアルロン酸を適用することにより、瘢痕組織と硬膜との間隙を保つことが可能であり、炎症性細胞の浸潤及び硬膜の肥厚を抑制できることが明らかとなった。
【0055】
試験例3:ウサギによるスポンジ状の架橋したカルボキシメチルセルロースの癒着防止試験
試験例2において、椎弓の切除部分に例4あるいは例5で得られたスポンジ状の架橋したカルボキシメチルセルロースを適用し、2ヶ月後に屠殺して同様の観察を行う。
例4で得られたスポンジ状の架橋したカルボキシメチルセルロースを適用した部位では硬膜と修復組織との間に癒着が認められ、その程度は試験例2におけるコントロール部位と同等である。一方、例5で得られたスポンジ状の架橋したカルボキシメチルセルロースの適用部位では、例1あるいは例2で得られたスポンジ状の架橋したヒアルロン酸を適用した場合と同様に、癒着が認められない。
【0056】
試験例4:細胞毒性試験
例1、例2及び例5で得られたスポンジ状の架橋したヒアルロン酸及びスポンジ状の架橋したカルボキシメチルセルロースにつき細胞毒性試験を行う。すなわち、CCL1(NCTC clone 929)細胞の培養において本発明で得られた架橋したヒアルロン酸及び架橋したカルボキシメチルセルロースを共存させ、細胞増殖挙動の観察によりその細胞毒性を評価する。本発明で得られたスポンジ状の架橋したヒアルロン酸あるいはスポンジ状の架橋したカルボキシメチルセルロースを細胞毒性試験用培地に浸漬し、機械的に粉砕したもの20mgをファルコン社製のセルカルチャーインサート(ポアサイズ:3μm)中に入れ、細胞を播種した培地に浸す。また、細胞毒性試験用培地のみでの培養をコントロールとする。
培養条件プレート:細胞培養用12ウェルプレート
培地 :DMEM培地+10%ウシ胎児血清,2ml/ウェル
温度 :37℃(5%CO2下)
播種細胞数 :1×102個/ウェル
培養開始後2日、5日及び8日後に、倒立顕微鏡を用いて細胞密度を観察する。細胞は架橋したヒアルロン酸あるいは架橋したカルボキシメチルセルロースが共存していてもコントロールと同様に良好な増殖を示し、本発明で得られた架橋したヒアルロン酸及び架橋したカルボキシメチルセルロースには細胞毒性作用がないことが見出される。
【0057】
例6:着色スポンジの効果
例2で得られたスポンジ状の架橋したヒアルロン酸を質量比で20分の1となるようにアルシアンブルーを含む水溶液に浸漬し、これを真空乾燥して着色スポンジを得た。
この着色スポンジにつき試験例2に記載したウサギによる癒着防止試験を行い、2ヶ月後に観察を行った。
適用時には、血液存在下においても着色によりスポンジ状の架橋したヒアルロン酸の識別が容易であった。また硬膜と修復組織との間に癒着は認められず、着色による影響は観察されなかった。
【0058】
試験例5:ウサギによる懸濁液状の架橋した酸性多糖類の癒着防止試験
試験例2において、椎弓の切除部分に例6で得られた懸濁液状の架橋したヒアルロン酸を0.5ml適用し、1ヶ月及び2ヶ月後に屠殺して同様の観察を行う。1ヶ月後の適用部位の瘢痕組織と硬膜との間隙は架橋したヒアルロン酸適用群では0.2±0.1、架橋したカルボキシメチルセルロース適用群では0.3±0.1であり、2ヶ月後では架橋したヒアルロン酸適用群では0.4±0.1、架橋したカルボキシメチルセルロース適用群では0.4±0.1である。また2ヶ月後の適用部位には癒着形成が認められない。このことより懸濁液状の架橋したヒアルロン酸及び懸濁液状の架橋したカルボキシメチルセルロースにおいて、スポンジ状あるいはフィルム状の場合と同様に癒着防止効果が確認される。
【0059】
試験例6:ウサギ炎症モデルによるスポンジ状の架橋したヒアルロン酸の癒着防止試験
体重2.0〜2.5kgの日本白色ウサギを用いた。背面正中切開により胸腰椎を露出させ、2椎体に椎弓切除を10mm×5mmの大きさで行った。椎弓切除部位にヒトリコンビナントTNF−α(腫瘍壊死因子−α)を10ng/0.5mlずつ適用し炎症を惹起した。一方の切除部位は硬膜を露出させたままとし(コントロール部位)、他方の切除部位には例2で得られたスポンジ状の架橋したヒアルロン酸を適用した。2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後に屠殺し、椎弓切除部分につき組織切片の作成及びヘマトキシリン・エオジン染色を行い、周囲との癒着状況等を確認した。
【0060】
瘢痕組織と硬膜との距離は、適用2週間後においては0.15±0.15mmであったが、適用1ヶ月後には0.4±0.1mm(コントロール部位0.02±0.01mm)、適用2ヶ月後には0.5±0.15mm(コントロール部位0.3±0.02mm)とコントロール部と比較して有意な差が認められた。組織標本において高倍率(40倍)における単位面積あたりの炎症性細胞数は、適用2週間後には1200個(コントロール部2000個)、1ヶ月後には800個(コントロール部1800個)、2ヶ月後には500個(コントロール部900個)であり、適用2週間後で既に有意な炎症抑制効果が認められた。さらに硬膜の厚さは、適用2週間後には60μm(コントロール部80μm)、1ヶ月後には45μm(コントロール部75μm)、2ヶ月後には40μm(コントロール部55μm)であり、適用2週間後で既に有意な肥厚化抑制効果が認められた。
以上のように、本発明品は炎症部位に対して適用した場合にも癒着防止効果が認められることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上、本発明によれば、なんら化学的架橋剤や化学的修飾剤を使用することなく得られるスポンジ状またはフィルム状または懸濁液状の架橋した酸性多糖類、特に架橋したヒアルロン酸及び/又は架橋したカルボキシメチルセルロースはin vitroでの溶解性を制御することにより脊椎・脊髄領域での癒着防止効果が得られる。化学的架橋剤や化学的修飾剤を使用することに起因する生体適合性への悪影響が避けられ、さらに適用部位に沿った形へ切断が容易なため手術時における癒着防止材に有用である。
また、着色により適用部位の識別が容易となり、脊椎・脊髄手術の最終段階における術者の負担軽減にも有効である。
Claims (5)
- 脊椎・脊髄手術により生ずる癒着の程度を軽減あるいは癒着を防止するために用いられる、自己架橋エステル結合した架橋構造を有するヒアルロン酸及び/又はカルボキシメチルセルロースである酸性多糖類を含み、かつ、この酸性多糖類の60℃のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中での溶解率が50%になるまでの時間(溶解性半減期)が15時間以上であることを特徴とする脊椎・脊髄手術用癒着防止材。
- スポンジの乾燥時の厚みが2mm〜10mm、ポアサイズが50μm〜200μmのスポンジ状である請求項1に記載の脊椎・脊髄手術用癒着防止材。
- フィルムの乾燥時の厚みが50μm〜1mmのフィルム状である請求項1に記載の脊椎・脊髄手術用癒着防止材。
- 酸性多糖類の平均粒子径が100μm〜1mmの懸濁液状である請求項1に記載の脊椎・脊髄手術用癒着防止材。
- 癒着防止材の適用部位の識別を容易にするために着色されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の脊椎・脊髄手術用癒着防止材。
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