JP4690575B2 - 他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置および製造方法 - Google Patents
他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置および製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂発泡体は軽量であるとともに柔軟性、緩衝性、断熱性、吸音性及び賦形性などに優れているため、各種梱包材や住宅用部材、吸音材、自動車用内装材などに幅広く用いられている。
その中で特に住宅用部材や自動車内装材などは3次元的な形状が要求されるため、多様な賦形方法が検討・開発されている分野である。これらの分野では発泡体に溝形状や穴形状または貫通孔などを設け、この溝形状部分や穴形状または貫通孔などに挿入あるいは嵌合することによって他材料を装着複合化することが図られている。
【0003】
因みに、他材料とは、例えば、住宅床部材であれば床暖房用として温水が流れる管が挙げられ、壁部材では通信ケーブルや電気配線が挙げられ、自動車天井材の場合には、ルームランプやハンドルグリップなどが挙げられる。
【0004】
また、他材料の装着溝を熱可塑性樹脂発泡体に形成する方法としては、溝に挿入される銅管を熱可塑性樹脂発泡体の溶融温度以上に加熱し、この加熱された銅管を熱可塑性樹脂発泡体の溝形成部に押し当てて熱可塑性樹脂発泡体の溝形成部を溶融して溝を形成すると同時に銅管を溝内に挿入する方法(特開昭61−140727号公報参照)や、上型の熱可塑性樹脂発泡体の溝形成部に当たる部分に断面略円形をした凸部を形成し、熱可塑性樹脂発泡体の溝形成面を溶融温度以上に加熱状態した状態で上型と下型との間で熱可塑性樹脂発泡体をプレスし、プレス状態で溶融した樹脂を冷却したのち、型を開き他部材としての配管を挿入する溝を形成する方法(特開平11−44081号公報)等が既に提案されている。
【0005】
しかし、前者の方法では、銅管などのように熱可塑性樹脂発泡体の溶融温度以上に加熱可能な部材しか装着溝に装着することができない。すなわち、この方法では、樹脂被覆された電線や樹脂管等を装着することができない。
一方、後者の方法では溝に装着される部材を選ばないものの、溝が深さ方向に同じ幅に全長にわたって形成されているので、たとえば、管などを溝に嵌め込んだ場合、管自身が記憶している出荷時の巻き癖による浮き上がりを防止することが困難であるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、巻き癖などのある管でも浮き上がったりすることなく容易に装着可能な他部材の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の熱可塑性発泡樹脂成形品の製造装置(以下、「請求項1の製造装置」と記す)は、他材料の装着部が装着される装着溝を有する装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置であって、下端部の幅が装着部の最大幅部より狭くなった断面形状をし、加熱状態で上方から押し当てられた原料熱可塑性樹脂発泡体の所定部分を溶融させる加熱部材と、この加熱部材の下面に接する加熱部材受部および加熱部材との間に間隔を開けて前記加熱部材受部の形成面から加熱部材を幅方向の両側から挟むように立ち上がる立ち上がり壁とを有し、加熱部材で溶融された樹脂の一部を加熱部材との間に形成され、溝の開口部を両側から塞ぐように突出して設けられる係止部形状をした隙間形状に加熱部材との間で賦形する賦形部材とを備える構成とした。
【0008】
本発明の請求項2に記載の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置(以下、「請求項2の製造装置」と記す)は、請求項1の製造装置において、加熱部材が管状体で形成されている構成とした。
【0009】
本発明の請求項3に記載の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置(以下、「請求項3の製造装置」と記す)は、請求項1または請求項2の製造装置において、加熱部材が少なくとも金属部を有しているとともに、この金属部を誘導加熱して加熱部材を原料熱可塑性樹脂発泡体の溶融温度以上に加熱可能な誘導加熱手段を備えている構成とした。
【0010】
本発明の請求項4に記載の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置(以下、「請求項4の製造装置」と記す)は、請求項1〜請求項3のいずれかの製造装置において、加熱手段および/または賦形部材の溶融樹脂当接面をポリテトラフルオロエチレンで形成した。
【0011】
本発明の請求項5に記載の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置(以下、「請求項5の製造装置」と記す)は、請求項1〜請求項4のいずれかの製造装置において、加熱手段および/または賦形部材の溶融樹脂当接面が高低差10μm以上100μm以下の凹凸形状に形成されている構成とした。
【0012】
本発明の請求項6に記載の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置(以下、「請求項6の製造装置」と記す)は、請求項1〜請求項5のいずれかの製造装置において、賦形部材が加熱部材の長手方向に間欠的に設けられている構成とした。
【0013】
本発明の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法は、請求項1〜請求項6のいずれかの製造装置の加熱部を原料熱可塑性樹脂発泡体の溶融温度以上に加熱した状態で、原料熱可塑性樹脂発泡体を上方から押し当てて、原料熱可塑性樹脂発泡体の加熱部材当接部を溶融させるとともに、溶融樹脂の一部を賦形部材の賦形部に沿うように賦形する工程と、この賦形状態で樹脂を溶融温度未満まで冷却する工程とを備えている構成とした。
【0014】
本発明において、加熱部材の形状としては特に限定されないが、たとえば、請求項2のように管状体で形成することが好ましい。
すなわち、加熱手段を管状体とすることによって、加熱手段の加熱媒体や溶融樹脂の冷却固化の際の冷却媒体の流路とすることができる。また、電気で発熱するヒータを内蔵させることができる。
【0015】
加熱手段管状体の材質としては、特に限定されないが、概ね比熱の小さい金属で形成されていることが好ましく、請求項3の製造装置のように誘導加熱によって加熱しようとする場合、特に金属部を備えていなければならない。
加熱部材を構成する金属材料としては、比熱の小さな物であればよく特に限定されないが、例えば、鉄、銅、白銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、金、銀等が挙げられる。
【0016】
賦形部材の材質としては、特に限定されないが、加熱部材と同様の材質が挙げられる。
【0017】
なお、誘導加熱とは電気導体を交流電界中におくことで電磁誘導作用で発生するジュール熱により物質が加熱される現象のことをいう。
具体的には、変化する磁界中におかれた電気導電性物質内に誘導電流が流れ、その結果ジュール熱が発生し、発熱の現象が起こる。
【0018】
また、得られた成形品の離型性(加熱部材および賦形部材からの離脱性)を向上させるためには、特に限定されないが、請求項4の製造装置のように、加熱部材および賦形部材の溶融樹脂接触面をポリテトラフルオロエチレンで形成したり、請求項5の製造装置のように、加熱部材および賦形部材の溶融樹脂接触面を高低差10μm以上100μm以下のミクロな凹凸形状に形成することが好ましい。
【0019】
すなわち、ポリテトラフルオロエチレンは表面エネルギーが低く、疎水性、親水性の樹脂両方に対して高い離型性を確保できる。ポリテトラフルオロエチレンの被覆量は離型性を確保できる程度であればよく、特に限定されない。
一方、溶融樹脂接触面を高低差10μm以上100μm以下のミクロな凹凸形状に形成すると加熱部材および賦形部材と樹脂との接触面積が低減でき、除去する際、小さな力で除去できる。しかも、溶融樹脂が隙間に入り込んで賦形成形された成形部を破損する確率が低くなる。
【0020】
加熱部材および賦形部材の表面に上記のようなミクロな高低差を設ける方法は限定されないが、材質が鋳物の場合、鋳物型表面にミクロな高低差を設けておく方法、加熱部材および賦形部材の表面を粗く研磨してミクロな高低差を形成する方法が挙げられる。
【0021】
賦形部材の形状は、特に限定されないが、加熱部材が円柱状または円筒状をしている場合、中央部の加熱部材受部の厚みに比較して立ち上がり壁形成部の厚みが厚くなった、例えれば鉄道線路のコンクリート枕木状の断面形状が挙げられる。
賦形に用いる加熱部材は、賦形後の熱可塑性樹脂発泡成形品の装着溝に装着される他材料の装着部の断面形状と同じ断面をしていることが好ましい。すなわち、同じ断面とすることによって、装着部をよりしっかりと装着溝に装着することができる。
【0022】
さらに、加熱部材および賦形部材は、特に限定されないが、一般に板状をした基板の所定の位置に所定の間隔で支持固定されるようになっている。
上記のような基板は、賦形に用いる加熱部材を加熱する際の温度で溶融せず、かつ熱伝導率が低い物である必要があり、具体的にはフェノール樹脂やメラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂板が挙げられる。
【0023】
本発明において用いられる原料熱可塑性樹脂発泡体としては、特に限定されず、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン発泡体の他、ポリスチレン発泡体、ポリエチレンテレフタレート発泡体、ポリアミド(デュポン社商標「ナイロン」)発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、変性ポリフェニレンオキシド(ゼネラルエレクトリック社商標「ノリル」)発泡体等が挙げられる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかる他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置の1つの実施の形態をあらわし、図2〜図4は、図1の製造装置を用いた他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法を工程順にあらわしている。
【0025】
図1に示すように、この製造装置Aは、加熱部材1a、複数の賦形部材2、および、基板3とを備えている。
【0026】
加熱部材1aは、図2及び図3に示すように、周面11が高低差10μm以上100μm以下の凹凸形状となるように粗面化され、後述する装着溝51に装着される他材料としての樹脂管7の外径と略同径の円筒状の鉄製管状体から形成されていて、加熱部材1aを後述する原料熱可塑性樹脂発泡体6の溶融温度以上に加熱する加熱媒体と、溶融樹脂を冷却時に加熱部材1aを冷却する冷却媒体とを切り替えて内部に通せるようになっている。
【0027】
各賦形部材2は、図1に示すように、鉄で形成され、その溶融樹脂接触面が高低差10μm以上100μm以下の凹凸形状となるように粗面化されていて、加熱部材1aと基板3との間で加熱部材1aの軸方向に間欠的に配置されている。
また、各賦形部材2aは、図示していないが基板3にビス固定され、図2および図3に示すように、加熱部材1aの下方から受ける加熱部材受部21と、加熱部材1aとの間に間隔を開けて加熱部材受部21の形成面から加熱部材1aを幅方向の両側から挟むように傾斜して立ち上がる立ち上がり壁22、22とを有したコンクリート枕木状に形成され、後述するように溶融された樹脂の一部を加熱部材1aとの間に形成される隙間4形状に賦形するようになっている。
【0028】
なお、加熱部材1aと賦形部材2aとは、その接点で溶接されることによって固定されている。
基板3は、熱伝導性が低く、加熱部材1aによる加熱温度に耐える熱硬化性樹脂によって形成されている。
【0029】
そして、この製造装置Aを用いることによって、以下のようにして、図4に示すような装着溝51付きの熱可塑性樹脂発泡成形品5を製造することができる。
【0030】
(1)図2に示すように加熱部材1aの内部に加熱媒体を通し、加熱部材1aを原料熱可塑性樹脂発泡体6の溶融温度以上に加熱した状態で、原料熱可塑性樹脂発泡体6をその溝形成部が加熱部材1aを上方から臨む位置に配置する。
【0031】
(2)図3に示すように、加熱部材1aが当接する部分およびその近傍を加熱溶融させながら、原料熱可塑性樹脂発泡体6の下面が賦形部材2aの上面に接する位置まで押し下げる。
すなわち、この押し下げ状態で賦形部材2a部分に臨む位置で溶融状態になった溶融樹脂Pは、隙間4内に入り込み、図3(a)に示すように、隙間4の形状に賦形される。一方、賦形部材2aが設けられていない部分に臨む位置で溶融状態になった溶融樹脂P'は、図3(b)に示すように、ビード状に垂れさがった状態となる。
【0032】
(3)加熱部材1aの加熱媒体を冷却媒体に切り替え、加熱部材1aを冷却し、溶融樹脂P,P'を強制的に冷却し溶融温度未満の温度まで冷却する。
(4)冷却完了後、図4に示すように得られた装着溝51付きの熱可塑性樹脂発泡成形品5を上方に引き上げ、加熱部材1aから取り外す。
【0033】
すなわち、上記製造装置Aを用いれば、図4(a)に示すように、賦形部材2aが設けられた部分では、開口部幅を装着しようとする他材料である樹脂管7の直径より狭めるように、装着溝51の両側壁から内側に向かって係止部52、52が延出し、賦形部材2aの設けられていない部分では、図4(b)に示すように、開口部53'が樹脂管7の直径と略同じとなった装着溝51を備えた熱可塑性樹脂発泡成形品5が得られる。
【0034】
したがって、この熱可塑性樹脂発泡成形品5によれば、この図4(a)に示すように、装着溝51に巻き癖の付いた樹脂管7を装着しても、係止部52,52が樹脂管7の浮き上がりを防止することができる。また、係止部52,52が間欠的に設けられているので、全長にわたって係止部52,52を設けるより装着を容易に行うことができる。
【0035】
さらに、上記の製造装置Aは、加熱部材1aの表面および賦形部材2aの溶融樹脂接触面が高低差10μm以上100μm以下の凹凸形状となるように粗面化されているので、加熱部材1aおよび賦形部材2aと、樹脂との接触面積を少なくすることができる。すなわち、結果として賦形し冷却後、熱可塑性樹脂発泡成形品5を取り外す際、小さな力で除去できる。したがって、溶融樹脂が隙間に入り込んで賦形成形された係止部52を取り外しの際に破損する確率が低くなり、製造ロスを少なくすることができる。
【0036】
また、加熱媒体を冷却媒体と切り替えて加熱部材1a内に通せるようにしたので、賦形後溶融樹脂を素早く冷却することができ、製造速度を上げることができる。
さらに、賦形部材2aが熱伝導性に優れた鉄で形成されているので、賦形部材2aに加熱手段や冷却手段を設けなくても加熱部材1aに通される加熱媒体および冷却媒体によって、加熱および冷却を行えることができる。ただし、賦形部材2aは、加熱および冷却の効率を高めるためにできるだけ小さなものとすることが好ましい。
【0037】
なお、上記係止部52の肉厚、すなわち、加熱部材1aと賦形部材2aとの間に形成される隙間4の厚みは賦形後の熱可塑性樹脂発泡成形品5に埋設される樹脂管7の浮き上がりを防止できる程度のものであればよく、特に限定されないが、0.5mm〜3.0mmの範囲であることが好ましい。また、賦形部材2aの立ち上がり壁22の高さは、賦形する熱可塑性樹脂発泡体6の厚みや加熱部材1aの直径にもよるが、加熱部材受部21より1.0mm〜5.0mmの範囲で高くなっていることが好ましい。すなわち、低過ぎると係止部52が形成されず、大き過ぎると立ち上がり壁22の上縁が原料熱可塑性樹脂発泡体6の加熱溶融させる必要のない部分に接触し、得られる熱可塑性樹脂発泡成形品5の表面に大きな窪みが形成され外観状の不具合が発生する恐れがある。
【0038】
図5は、本発明にかかる他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置の他の実施の形態をあらわしている。
【0039】
図5に示すように、この製造装置Bは、加熱部材1bの表面および賦形部材の樹脂接触面を粗面化に代えて、ポリテトラフルオロエチレンによって被覆し、加熱部材1bの内部に冷却媒体のみ通せるようにするとともに、加熱部材1bおよび賦形部材2aの鉄の部分を誘導加熱装置8で誘導加熱することによって加熱部材1bおよび賦形部材2aを原料熱可塑性樹脂発泡体6の溶融温度以上に加熱できるようにした以外は上記の実施の形態と同様になっている。なお、図5中、81は誘導コイルであって、この誘導コイル81を流れる交流電流が変化する磁界を生み出し、それによって加熱部材1bの金属管部分および賦形部材2bの金属部分が誘導電流のジュール熱により加熱される。
【0040】
この製造装置Bは、上記のように、加熱部材1bおよび賦形部材2bを誘導加熱装置8によって誘導加熱するようにしたので、加熱部材1bおよび賦形部材2の温度を瞬時に効率よく均一に溶融温度以上に加熱することができる。また、加熱部材1bの表面および賦形部材2bの樹脂接触面をポリテトラフルオロエチレンによって被覆するようにしたので、表面エネルギーが低く、疎水性、親水性の樹脂両方に対して高い離型性を確保することができる。
【0041】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、加熱部材1a(1b)が円筒状の管状体で形成されていたが、下端部が断面半円形、半楕円形で上端部が同じ幅でも構わない。すなわち、加熱部材と賦形部材との間に係止部形成用の隙間4が形成されればその形状は特に限定されない。
また、上記の実施の形態では他材料として樹脂管7が装着されるようになっていたが、金属管を装着するようにしても構わないし、電線等を装着するようにしても構わない。
【0042】
さらに、上記の実施の形態では、加熱部材1a(1b)が1本であったが、複数本平行に配置されていても構わないし、蛇行や渦巻き状など加熱部材の配置パターンは必要に応じて適宜変更できる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の非限定的な実施例、及び比較例を挙げることにより、本発明の効果を明らかにする。
【0044】
(実施例1)
フェノール樹脂製の基板3の上に粗面化をしていない鉄製の賦形部材(立ち上がり壁22の高さ1.8mm,立ち上がり壁22の傾斜角31°,加熱部材受部21形成面の幅6mm)2aを150mm間隔で設置し、さらにその上に外径7.2mm、内径5mm、長さ950mmの粗面化していない中空鉄管からなる加熱部材1aとを備えた図1に示すような装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置Aを用意した。
【0045】
上記加熱部材1aの内部に170℃に温調したシリコーンオイルを通し、加熱部材1aの温度を30秒かけて160℃に上昇させた。
【0046】
つぎに、160℃に加熱された加熱部材1aの上方から原料熱可塑性樹脂発泡体6としての寸法が縦600mm×横900mm×厚み8mmのポリエチレン発泡体を20秒間、0.2kg/cm2の圧力で押し付けた後、20℃に温調したシリコーンオイルを通して加熱部材1aを30℃に冷却し、熱可塑性樹脂発泡成形品5を得た。その後、上記熱可塑性樹脂発泡成形品5を加熱部材1aから取り外したところ、図6に示す各部の寸法が以下のとおりである熱可塑性樹脂発泡成形品5が得られた。
L1=8mm
L2=2mm
L3=2mm
L4=2mm
r=7.2mm
【0047】
(実施例2)
実施例1において加熱部材をシリコーンオイルで加熱するのに代えて図4に示す誘導加熱装置8で160℃まで加熱した以外は、実施例1と同様にして、図6に示すような熱可塑性樹脂発泡成形品5を得た。なお、この場合、誘導加熱装置8の出力10アンペアで加熱部材1aの加熱は20秒で終了した。
【0048】
(実施例3)
加熱部材および賦形部材の表面をポリテトラフルオロエチレンで被覆するとともに高低差500μmのミクロな凹凸形状とした以外は実施例2と同様にして図6に示すような装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品5を得た。
【0049】
(比較例1)
フェノール樹脂板と上記加熱部材との間に金具を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品を得た。
【0050】
上記実施例1〜3および比較例1において、それぞれ加熱部材の長手方向(軸方向)に200mm間隔で5点の温度測定点を設け、加熱時の温度分布を調べその結果を表1に示すとともに、得られた装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の装着溝に、外径7.2mm、内径5mmの架橋ポリエチレンパイプを嵌合装着してからパイプが溝から浮き上がって外れるまでの時間を計測し、その結果を表2に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
上記表1から、誘導加熱により加熱部材を加熱するようにすれば、加熱部材を短時間で均一に加熱できることがよくわかる。
また、表2から本発明の製造装置を用いた製造方法によれば、巻き癖のある樹脂管でもしっかりと装着できることがよくわかる。しかも、実施例3のように、表面をポリテトラフルオロエチレンで被覆するとともに高低差500μmのミクロな凹凸形状とすればより賦形精度があがり、よりしっかりとした装着状態を得られることがよくわかる。
【0054】
【発明の効果】
本発明にかかる他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置および製造方法は、以上のように構成されているので、巻き癖などのある管でも浮き上がったりすることなく装着可能な他部材の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品を容易に製造することができる。
【0055】
また、請求項2の製造装置のようにすれば、内部に加熱媒体を通したり、ヒータを内蔵させることによって、加熱部材の加熱を行なうことができるとともに、加熱部材内に冷却媒体を通すことによって、賦形後に溶融樹脂の強制冷却を図ることができるようになり、製造速度を上げることができる。
【0056】
請求項3の製造装置のようにすれば、加熱手段を短時間で加熱することができ、製造速度を上げることができるとともに、均一に加熱することができるので、より精密に装着溝を形成することができる。
【0057】
請求項4および請求項5の製造装置のようにすれば、得られた装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品を小さな力で容易に加熱部材および賦形部材から取り外すことができる。
【0058】
請求項6の製造装置のようにすれば、係止部が間欠的に設けられ、溝の他の部分の開口幅が溝の最大幅と同じになるので、他部材の装着部の装着が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置の1つの実施の形態をあらわす斜視図である。
【図2】 図1の製造装置の原料熱可塑性樹脂発泡体を加熱部材に押しつける直前状態の図1X―X線断面図である。
【図3】 図1の製造装置の原料熱可塑性樹脂発泡体を加熱部材に押しつけた状態を説明する図であって、同図( a) は図1の製造装置の原料熱可塑性樹脂発泡体を加熱部材に押しつけた直後状態の図1X―X線断面図、同図( b) は図1Y―Y線断面図である。
【図4】図1の製造装置を用いて製造された装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の断面図であって、同図(a)はその係止部が設けられた装着溝部断面図、同図(b)は係止部が設けられていない部分の装着溝部断面図である。
【図5】本発明にかかる他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置の他の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図6】実施例1〜3で得られた装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の各部寸法を説明する斜視図である。
【符号の説明】
A,B 製造装置
1a,1b 加熱部材
2a,2b 賦形部材
4 隙間
5 熱可塑性樹脂発泡成形品
51 装着溝
52 係止部
6 原料熱可塑性樹脂発泡成形体
7 樹脂管(他部材)
8 誘導加熱装置
Claims (7)
- 他材料の装着部が装着される装着溝を有する装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置であって、
下端部の幅が前記装着部の最大幅部より狭くなった断面形状をし、加熱状態の時、上方から押し当てられた原料熱可塑性樹脂発泡体の所定部分を溶融させる加熱部材と、
この加熱部材の下面に接する加熱部材受部および加熱部材との間に間隔を開けて前記加熱部材受部の形成面から加熱部材を幅方向の両側から挟むように立ち上がる立ち上がり壁とを有し、加熱部材で溶融された樹脂の一部を加熱部材との間に形成され、溝の開口部を両側から塞ぐように突出して設けられる係止部形状をした隙間形状に加熱部材との間で賦形する賦形部材と
を備えることを特徴とする他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置。 - 加熱部材が管状体で形成されている請求項1に記載の他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置。
- 加熱部材が少なくとも金属部を有しているとともに、この金属部を誘導加熱して加熱部材を原料熱可塑性樹脂発泡体の溶融温度以上に加熱可能な誘導加熱手段を備えている請求項1または請求項2に記載の他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置。
- 加熱部材および/または賦形部材の溶融樹脂当接面がポリテトラフルオロエチレンで形成されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置。
- 加熱部材および/または賦形部材の溶融樹脂当接面が高低差10μm以上100μm以下の凹凸形状に形成されている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置。
- 賦形部材が加熱部材の長手方向に間欠的に設けられている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置。
- 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造装置の加熱部を原料熱可塑性樹脂発泡体の溶融温度以上に加熱した状態で、原料熱可塑性樹脂発泡体を上方から押し当てて、原料熱可塑性樹脂発泡体の加熱部材当接部を溶融させるとともに、溶融樹脂の一部を賦形部材の賦形部に沿うように賦形する工程と、
この賦形状態で樹脂を溶融温度未満まで冷却する工程と、
を備えている他材料の装着溝付き熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法。
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