JP4689773B2 - 金属抽出法及び金属抽出装置 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、溶融電解質中に溶存する金属の電気化学的抽出のための方法及び装置に関するものである。更に、本発明は、冶金学的反応器における酸化物及び他のスラグのような溶融体、並びに種々のタイプの溶融ガラス中の金属種の金属組成、酸化状態及びそれらの輸送特性を測定するための装置に関する。
発明の背景
鉱石からの金属の抽出は、乾式冶金又は電気化学手段によって達成することができる。精錬は、乾式冶金精製の優れた方法である。精錬では、鉱石は還元剤及びフラックスと共に高い温度に加熱される。還元剤は典型的には鉱石中の酸素と結合し、かくして、純金属又は合金、及び固体、液体若しくはガス状の酸化物副生物を生成する。フラックスは、溶融温度において酸化物副生物と、また鉱石中の未反応成分と反応して液体スラグを生成する。また、スラグも、1種以上の不純物を組み込むことによって金属を精製する。スラグは、精製された金属から物理的に分離されることができる。精錬法は、鉄、ニッケル、銅、鉛等をそれらの鉱石から抽出するのに使用される。精錬によって、いかなる他の精製技術によるよりも多くの金属が精製される。
電気分解は、電気化学的精製の最も一般的な形態である。電気分解プロセスでは、鉱石は水性若しくは非水性溶液中に溶解され、又は電解炉において溶融される。一旦溶解又は溶融すると、鉱石は分解してイオン種になり、かくして電解質を形成する。抽出しようとする鉱石中の金属成分は正に帯電した陽イオンになる。残りの成分、典型的には、酸素、炭酸塩、硫酸塩、塩化物又は弗化物は負に帯電した陰イオンになる。鉱石から金属を抽出するために、電解質中に浸漬された2つの電極を横切って電位が適用される。これによって金属イオンは負に帯電した陰極に結合され、ここでそれらは電子と結合して金属として付着される。酸素、硫酸塩、炭酸塩、塩化物又は弗化物イオンは正に帯電した陽極に運ばれ、そして排ガスとして放出する。アルミニウム、カルシウム、マグネシウム及びベリリウムが電気化学的方法によって精製される金属の例である。電気化学的方法は、金属の迅速エネルギー効率抽出及び精製に対しては、乾式冶金法と比較して通常好ましいけれども、電解質及びプロセス装置に関する材料選択がより広い適用を妨げている。それらは、通常、鉱石が極めて安定な化合物を形成しているところの金属の抽出に制限される。
米国特許5567286において、パル氏他は、外部電位が全く適用されない化学電池(電流生成)を使用してスラグから金属の電気化学的回収の方法を記載している。精製プロセスは、スラグ内の酸素濃度と固体電解質によってスラグから分離された精製ガスとの間の化学ポテンシャルの勾配によって促進される。しかしながら、化学ポテンシャルの勾配が精製ガスによって固定されるので、電解セルは、異なる金属を含有する溶融液から所望の金属を工業的規模で抽出するには十分に適合しない。
サンメルス氏他は、酸化リチウムを含有する溶融金属塩からリチウム金属及び酸素を形成するための電解セルであって、陰極が固体電解質によって陽極から分離された溶融塩電解質中に浸漬されているところのものを記載している。サンメルス氏他は、電解反応を促進させるために高いリチウム陽イオン移動度に頼っている。サンメルス氏他によって記載されるような方法は、高いアルカリイオン伝導度を有する適当なアルカリイオン伝導性溶融塩電解質を必要とし、これによって、リチウムの移動度よりも低い移動度を有する遷移金属及び他の陽イオンを包含する用途への適用を断念している。また、サンメルス氏他が使用した固体電解質は、より高い温度で操作するには適していない。何故ならば、固体ジルコニアを基にした電解質は、高い温度において一部分電子になりそしてセルを短絡し、これによってセルの効率を低下させるからである。
金属に対する絶えず増加する需要及び有効な鉱物資源の増加する不足によって促進されるように、鉱石の精製のためのエネルギー効率的で環境に優しい方法に対する要求が存在している。従来の電解法は、(1)プロセスが電極における電荷の堆積又は極性化によって遅くされ、(2)陰極及び陽極が両方とも電解セルにあるので電解セルが電気的にショートする可能性があり、(3)多数の又は可変の原子価を有する金属を精製するときには、陽極において寄生反応が起こって電解セルの効率を低下させる可能性があり、そして(4)陽極における生成物の形成がセルの抵抗性を増大する、という点で前記の要求を満たしていない。
かくして、環境に優しく且つ経済上効率的な電解プロセスによって、非反応性金属及び可変原子価の金属、即ち、一価よりも多くの酸化状態を有する金属を含めた金属をそれらの各々の鉱石から抽出するのを可能にする方法及び装置に対する要求がなお存在している。
酸素濃度の測定用のセンサーは、解酸化、連続的鋳造及びインゴット製造プロセスの良好な制御のための製鋼法において広く使用されてきた(イワセ氏他の“Electronically Driven Transport of Oxygen from Liquid Iron to CO + CO2 Gas Mixtures Through Stabilized Zirconia”Metallurgical Transactions B12B:517(Sept.1981)を参照されたい)。金属/金属酸化物基準を利用する開回路技術を基にした電位差計形センサーが鉄鋼産業において広く使用されている。これらの開回路測定法は、製鉄業者に対してスラグ内の酸素活性度そしてFeOX活性度さえの正確な評価を提供することができる。しかしながら、電位差計形センサーは、FeOXの実際濃度を測定することができず、またスラグ内で拡散に関連する反応速度に関する情報を提供することもできない。また、著しく異なるFeOX濃度を有するスラグは、スラグの残部の構造及び特性に応じて同一の酸素電位を有する場合がある。他方、スラグ内のFeOX種の拡散は、固有のスラグ構造、塩基度及び粘度に強く依存するが、これらのどれも、ポテンチオスタット法によっていかなる態様でも直接測定されない。これらの変数は重要である。というのは、製鉄業者に興味のあるスラグ/金属反応を制御する際に重要なのはしばしば動力学であって、熱力学ではないからである。
通常の酸素センサーによって提供される酸素活性度の情報に加えて、スラグ中の金属種の実際濃度及び輸送特性を迅速且つ正確に測定する方法に対する要求がなお存在する。金属加工産業に対するかかる情報の重要性を過大評価することができない。現場でのFeOXに対する化学分析は、製鉄業者が好適なフラックスを添加しこれによって鋼中の混在物含量を下げることによってスラグ化学を制御するのを可能にし、そして輸送特性に関する情報は製鉄業者が製鉄プロセスの反応速度を向上させるのを可能にする。
本発明の目的は、従来技術の欠陥を打破する金属含有電解質からの金属の抽出法及び装置を提供することである。
本発明の他の面は、陽極及び陰極を電子的に分離する金属含有電解質からの金属の抽出法及び装置を提供することである。
本発明の他の目的は、工業的規模の加工処理に極めて効率的で、融通性で好適であり、しかも広範囲の金属の加工処理に使用することができる金属含有電解質からの金属の抽出法及び装置を提供することである。
本発明の更に他の目的は、金属含有電解質中の金属種の組成及び輸送特性の測定法及び装置を提供することである。
本発明のこれらの及び他の目的は本発明の実施によって達成される。
発明の概要
本発明の1つの面では、高い移動性を有する必要のない金属抽出用の被還元金属種である移動性金属種及び0.001(Ω−cm)-1よりも高いイオン伝導度を有する陰イオン種を含む溶融電解質を保持するための容器、陰極及び陽極、並びに陰極と陽極との間で電位を発生するための電源を含む金属抽出装置が開示される。還元しようとするる金属種は、輸率によって測定したときに0.9未満の移動度を有するのが好ましい。また、陰イオン種のイオン伝導度は0.1(Ω−cm)-1よりも高いことが好ましい。陰極は溶融電解質と電気的に接触しており、そして陰極及び溶融電解質は、電解質中の陰イオン種を膜に輸送することができるイオン膜によって陽極から分離される。
本発明の更に他の面では、酸化物スラグのような溶融電解質中の金属種の組成及び輸送特性を測定するための装置であって、金属含量及び酸化状態を輸送特性と一緒に測定しようとする溶融電解質を収容するための容器;陰極及び陽極、ここで、陰極は溶融電解質と電気的に接触しており、陰極及び溶融電解質は電解質中の金属と結合した陰イオン種を輸送することができる固体イオン膜によって陽極から分離され、陽極は固体電解質膜及び基準ガスと接触しており、;膜−基準ガス界面において電位を測定することができるように固体電解質膜と電気的接触状態で配置された第一参照電解質(REI);陰極と陽極との間で電位を発生させるための電源;並びに、第一参照電極と第二参照電極との間で電位差を測定するための手段を含む装置が提供される。
金属抽出装置の1つの具体例では、イオン膜は、溶融電解質と接触している第一膜と、それに隣接しそして実質上イオン伝導性のみを有する第二膜とから構成される。好ましい具体例では、溶融電解質は約400℃よりも高い温度にあり、好ましくは約1000℃〜2000℃そして最も好ましくは約1200℃〜1600℃の範囲内の温度にある。他の好ましい具体例では、第一膜は使用条件下に主としてイオン伝導性の特性を有する。
他の好ましい具体例では、イオン膜は固体膜からなる。固体電解質は、部分安定化ジルコニア(PSZ)のような耐熱性金属酸化物、又は硫化カルシウムのような他の無機固体電解質を含む。イオン膜は不混和性液体電解質からなることができる。第一固体膜に隣接して第二イオン膜、例えば、CaAlSiFeOx(ここで、xは高いイオン伝導性を有しそして電子伝導性をほとんど又は全く有しない溶融金属酸化物を提供するように選択される)を含めることができる。溶融電解質を保持するための容器又はその容器の少なくとも一部分は固体電解質膜から構成することができる。第一膜又は第一−第二膜組み合わせを使用するときには、それは、0.001(Ω−cm)-1よりも大きいそして好ましくは0.1(Ω−cm)-1よりも大きいイオン伝導度を有しなければならないことに注目することができる。
他の好ましい具体例では、陽極はイオン膜と接触している。装置は、陽極においてガス状反応体生成物を除去するための手段を含むことができる。
他の好ましい具体例では、金属の精製装置は、溶融電解質−陰極界面において電位を測定することができるように陰極と電気的接触状態で配置された第一参照電極と、膜−空気又は基準ガス界面において電位を測定することができるようにイオン膜と電気的接触状態で配置された第二参照電極と、第一又は第二参照電極間の電位を測定するための手段とを追加的に含むことができる。
他の好ましい具体例では、電解質は、遷移金属、主族の金属、アルカリ土類元素、アルカリ金属又は希土類元素を含むことができる。電解質は、MeX(ここで、Meは、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、コバルト(Co)、タングステン(W)、錫(Sn)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、珪素(Si)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、硼素(B)及びチタン(Ti)よりなる群から選択される1種以上の金属種であり、そしてXは、酸化物、硫化物、ハロゲン化物及びそれらの混合物よりなる群から選択される陰イオン性種である)を含むことができる。溶融電解質は金属酸化物スラグであってよい。
本発明の1つの具体例では、電源は、溶融金属電解質中の金属種をその対応する金属に電解還元するように選択された電位を適用することができる。電位は、単一の金属種又は2種以上の金属種を一度に選択的に還元するように選択されることができる。装置は、複数の陰極及び陽極電解セルであって、各々のセルが独立して電位を適用することができるものを含むことができる。
本発明の更に他の具体例では、金属種の組成を測定するための装置は、溶融電解質の組成及び輸送特性、例えば電流−時間及び/又はi−Vプロットに特有の電気入力シグナルを受け取りそして出力シグナルを伝達するように適応された手段を更に含む。電源は、電位スイープ又はステップ電位を適用することができる。
本発明のなお他の面では、スラグのような溶融電解質中の金属種の組成及び輸送特性は、陰極と陽極との間で電位を発生させ、この場合に陰極は測定しようとする金属種を含む溶融金属電解質と電気的接触状態にあり、陰極及び溶融金属電解質は金属種と結合した陰イオンを輸送することができるイオン膜によって陽極から分離されており、これによって電流が発生されるようにし、そして得られた電流−電位プロファイルを基準ガス−イオン膜界面及び溶融電極−陰極界面において参照電極を利用して監視することによって測定されることができる。
本発明のなお他の面では、陰極及び陽極を準備し、この場合に陰極は溶融電解質と電気的接触状態にあり、溶融電解質は移動性金属種及び移動性陰イオン種を含み、陰極及び溶融電解質は電解質中の陰イオン種を輸送することができるイオン膜によって陽極から分離されるようにし、そして陰極と陽極との間で電位を発生させ、この場合に電位は電解質中の金属種を還元するように選択され、これによって電解質中の陰イオン種がイオン膜を横切って輸送されそして陽極で酸化されるようにすることによって、溶融電解質から金属を抽出することができる。電位は、単一の金属種又は2種以上の金属種を同時に還元するように選択されることができる。
用語「溶融電解質」を本明細書で使用するときには、それは、イオン性の物質であって、金属陽イオン(正に帯電した)及び陰イオン性対イオン(負に帯電した)を含有する物質を意味する。電解質は、典型的には、金属酸化物溶融体又はスラグ(より稠密な溶融金属の表面上に又は種々の金属酸化物を含む次に稠密の溶融金属の表面下に形成されたガラス質物質)であるが、しかしそれは、金属硫化物、金属塩化物、金属弗化物等の如き他の金属化合物を含むこともできる。還元しようとする金属種のイオン輸率は0.01程の低さであってよく、即ち、被還元金属種は低い移動度を有することができ、又は全電荷の1%程の低い電荷を運ぶことができる。
用語「固体電解質膜」、「イオン膜」、「液体電解質膜」等を本明細書で使用するときには、それらは、実質上非孔質のイオン膜であって、そのイオン伝導性種が溶融電解質中のイオン種と同じになるように選択されたものを意味する。加えて、膜は耐火性物質であるのが望ましく、そしてこれらの溶融酸化物系で使用される高い温度において起こりうる腐食に対して高度に抵抗性であるのが望ましい。溶融金属酸化物電解質に対して酸素伝導性固体電解質膜が典型的に使用され、例えば、一例として挙げると、ジルコニア及びその希土類元素安定化又は部分安定化誘導体が使用されるが、これらに限定されるものではない。
用語「イオン性」を本明細書で使用するときには、それは、電解媒体中に及び/又はそれを通してイオン種を輸送する電解質の能力を意味する。電解質の伝導度は0.001(Ω−cm)-1よりも大きくそして好ましくは約0.1(Ω−cm)-1であることが望ましい。電解質伝導度の少なくとも約90%がイオン伝導によるものであることが更に好ましい(即ち、個々のイオン種の輸率の合計は少なくとも0.9でなければならない)。
用語「電子性」を本明細書で使用するときには、それは、電解質媒体を通して電子を伝導又は輸送する電解質の能力を意味する。
用語「イオン移動性」を本明細書で使用するときには、それは、電場の影響下に移動するイオンの能力を意味する。
用語「拡散率」を本明細書で使用するときには、それは、溶液(ここでは、溶融電解質)中における特定の種(例えば、陰イオン)の拡散又は輸送の速度の尺度である。
本発明は、高純度金属及び/又は合金及び/又は金属化合物をそれらの各々の鉱石から抽出する際に有用である。また、それは、通常の金属加工処理において使用される廃酸化物スラグ及びフラックスの電解的再循環にも有用になりうる。また、それは、スラグのような溶融金属電解質中の金属種の組成及び輸送特性を測定するにも使用することができる。この情報は、既存の金属製造法、並びに金属及び合金の新規な電気化学的抽出法の生成物品質を改善し且つプロセス反応速度を向上させるのに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
本発明は添付図面を参照することによって更に良く理解されるが、これらの図面は単に例示のために提供されるものであって、いかなる点においても本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の電解セルの概略図である。
図2は、第一液体イオン膜を収容する本発明の金属抽出装置の概略図である。
図3は、第一固体電解質−第二液体イオン膜を収容する本発明の金属抽出装置の概略図である。
図4は、第一固体イオン膜、第二液体イオン膜及び第二固体イオン膜を収容する本発明の金属抽出装置の概略図である。
図5は、固体イオン膜が金属含有電解質の保持容器として使用されている金属精製装置の概略図である。
図6は、固体イオン膜が金属含有電解質の保持容器の一部分を構成している金属精製装置の概略図である。
図7は、陰極(カソード)が保持容器の底部に配置されている金属精製装置の概略図である。
図8は、それぞれが金属を精製できる複数の電解セルが連続して配置された金属精製装置の概略図である。
図9は、本発明のタイプII金属センサー装置の概略図である。
図10は、本発明のタイプIII金属センサー装置の概略図である。
図11は、例A〜Eから得られたスラグからイオンを抽出するためのi−V応答のプロットである。
図12は、1アンペアの定電流における図11の試料Eに関する電位−時間プロットである。
図13は、図9の電解セルを説明する等価回路である。
図14は、Fe23の量が20〜40重量%の間を変動するFe23含有スラグに関する5mV/秒でのi−Vプロットである。
図15は、図14に示されるi−V電位スイープに関するOCV回収曲線である。
図16は、ポテンチオスタット測定に関する電流−時間プロファイルである。
図17は、図16におけるポテンチオスタット測定に関するOCV回収プロファイルである。
図18は、同じ酸化鉄濃度及び異なる酸素活性度を有する2種のスラグに関するi−V曲線のプロットである。
図19は、図18に示されるi−Vプロットに関するOCV回収曲線のプロットである。
図20は、適用した電位ステップに対する電流−時間応答のプロットである。
発明の詳細な説明
ここに記載する方法及び装置は、非反応性の金属及び多酸化状態の金属を含めて広範囲の金属をそれらの各々の鉱石から環境上安全で且つ経済上有益な電解プロセスによって抽出することを可能にする。また、本発明の方法及び装置は、金属の組成、酸化状態及び輸送特性を測定するためのセンサーとして使用するために適応されることもできる。
金属抽出法及び装置 図1を説明すると、装置10は、その最も一般的な具体例では、金属含有電解質14を保持するための容器12を含む。高められた温度において、溶融電解質は、移動性金属(陽イオン性)種及び約0.001(Ω−cm)-1よりも大きいそして好ましくは0.1(Ω−cm)-1よりも大きいイオン伝導度を有する陰イオン性種の両方を含有する。溶融電解質に対するこれらの値は、可変原子価陽イオンを調節することによって定められる。還元しようとする金属種のイオン輸率は0.01程の低さであってよく、即ち、被還元金属種は低い移動度を有し又は全電荷の1%程の少量の電荷を運ぶことができる。金属含有電解質と電気的に接触している1つ又はそれ以上の陰極(カソード)16は、1個又はそれ以上のイオン膜22によって基準ガス18及び陽極(アノード)20から分離される。イオン膜又はその組み合わせは、その高いイオン性を求めて選択される。望ましくは、イオン膜は、回収しようとする金属種と結合した陰イオン種を導くことができる純粋にイオン性の輸送伝導体である。
電極16、20を横切って電位を適用することによって溶融電極と膜とを横切って電気化学電位が確定され、ここで、陰極16は金属含有電極と接触状態にあり、そして陽極20はイオン膜と基準ガスとの界面に位置されることができる。電気化学電位傾度は容易に確定され、そして金属含有電解質中の所望の金属種が陰極で還元されるように電気的に(適用電位の制御によって)制御されることができる。陰イオンは、溶融電解質からイオン膜を経て移行(拡散)し、そして陽極において酸化される。酸化生成物は典型的にはガス、例えば、O2であり、これは、陽極側から容易に除去されることができる。電解セルの半反応は、一般的には、次の如く表わされる。
Men+ + ne- → Me° (陰極) 式(1)
m- →X° + me- (陽極) 式(2)
ここで、Meは金属種であり、Xは陰イオン種であり、そしてm、nはその種の原子価と結合される。
陰イオンの拡散率が10-5cm2/secよりも大きい場合には、電解質からイオン膜への陰イオンの輸送は速度制限されない。かくして、溶融電解質/イオン膜界面では電荷の勾配は全く起こらず、このことは、時間の経過と共に電解速度を低下させる。また、溶融電解質/イオン膜界面での電荷の勾配は、溶融電解質/イオン膜界面の面積を増加させることによっても排除されることができる。それ故に、装置は、三重点(陰極/電解質/固体膜界面)での操作に限定されるのではなく、操作の拡大において極めて役立つ全陰極/電解質界面において行われる。この三重点は、陰極、溶融電解質及びイオン膜が1つの位置において互いに接触しているところの装置の各部材の配置である。これは、陰極を固体イオン膜と接触させそして前者を溶融電解質中に浸漬することによって達成することができる。すべての3つの部材が互いに接触するような点では、輸送要件は効果的に排除され、そして金属含有電解質内の電荷勾配は全く生じない。しかしながら、三重点は小さい領域の必要性によるものであり、従って、このプロセスは大規模な方法には適さない。それ故に、拡大(スケールアップ)のためには、プロセスは、陰極反応が三重点においてのみ生じないように設計される必要がある。
陽極における実際の反応生成物は陰イオン性種の性状に左右される。溶融電解質が溶融金属酸化物である場合には、陰イオン性種は酸素イオンである。酸素イオンはイオン膜を横切って輸送され、そして陽極において分子状酸素に酸化される。陰イオン性種が硫黄陰イオンの形態にある場合には、イオン膜は硫化物陰イオンを伝導するように選択され、そして陽極における反応生成物は硫黄ガス、例えば、SO2(g)(ここでは、酸素も存在する)又はS(g)(ここでは、温度は硫黄の沸点よりも高い)になりうる。
本発明で記載する方法では、両方の電極が溶融電解質と接触している従来の電解法と比較して多くのユニークな利益が提供される。それらは、(1)電極に金属を付着させることができ、これは、陰極面積を増大させそしてそれを溶融物中においてより高い濃度領域に広げ、これによってプロセスを自動触媒的にし、(2)イオン膜又は膜系が2つの電極区画室を物理的に且つ電子的に分離するために、陽極及び陰極の電気的短絡が生じない、(3)可変原子価を有する金属を付着させながら陽極において寄生的な逆反応が全く生じない、(4)陽極での生成物の形成はセル抵抗性を向上させることが予測されない、そして(5)溶融金属酸化物電解質では、プロセスでの反応生成物が金属及び酸素ガスのみであり、かくしてプロセスは環境上安全になる、ことである。
図1に記載するような装置は、陽イオン種がイオン膜中の陽イオン種の還元電位よりも低い還元電位を有するような金属の電気化学的還元に対して、特に、遷移金属、主族の金属、アルカリ金属、アルカリ土類元素又は希土類元素に対して使用されることができる。一例として、かかる装置は、溶融金属電解質から次の金属、即ち、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、コバルト(Co)、タングステン(W)、錫(Sn)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、珪素(Si)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、硼素(B)及びチタン(Ti)を還元するのに使用されることができる。
装置及び方法が産業的規模で金属抽出に実際に応用されるためには、かかる系はスケールアップできなければならない。溶融電解質/イオン膜界面における陰イオンの濃度勾配が速度制限されないように溶融電解質を選択することによって、陰イオンの拡散率は10-5cm2/secよりも高く、及び/又は溶融電解質/イオン膜界面の面積は、陰極−溶融電解質界面で還元反応が速度制限されるのに十分なだけ大きくなる。先に記載した三重点境界には何ら要件が存在しない。この特徴を使用することによって、還元反応において全陰極表面を関与させることができ、このことはプロセスの効率を大きく向上させる。大きい界面の面積を有する陰極−溶融電極(この表面積も、抽出された金属が陰極上に付着されるにつれて増大するのが好ましい)を設計することによって、プロセスは、自動触媒的に且つ極端に迅速にされることができる。このプロセスは、反応速度上(及び経済上)極めて魅力的である。
セルの生産効率は、陰極−電解質界面と電解質−イオン膜界面との間の距離を減らすことによって、電解質中の金属化合物の濃度を増大することによって、溶融体を撹拌するか又は他の物質輸送促進工程を使用することによって、複数の陰極を使用することによって、金属含有電解質の組成を化学的に変更することによって、及び/又は陰極−電解質表面積を増大させることによって向上されることができる。例えば、スラグの組成は最適な電解条件を提供するように調整されることができ、又は金属電解質組成物は個々の金属化合物を結合させることによって合成的に作ることもできる。電解質の組成は、電解質の融点を下げ、及び/又は電解質のイオン伝導度を上げるように調整されることができる。酸化物溶融体は、そのイオン伝導度が大きくそして金属イオン及び酸化物陰イオン(O2-)が電解質を通って自由に移動するときの方が効果的である。これは、電気分解の動力/収率比を向上させる傾向がある。この理由のために、塩基性金属酸化物溶融体の方が酸性金属酸化物溶融体よりも有利である。塩基性酸化物溶融体は、電子供与体として働くCaO、BaO、K2O、Na2O等のような酸化物を添加することによって作ることができる。
また、イオン膜に対する溶融金属電解質の化学的安定性及び化学的相容性も重要である。電解質の組成は、イオン膜とのその反応性を低下させるように調整されることができる。例えば、CaO−Al23−SiO2−FeOが溶融電解質を構成しそしてイットリア安定化ジルコニアがイオン膜を構成する場合には、溶融電解質とイオン膜との間の反応性は、溶融電解質中のCaO含量を低下させるか又はCaOをイオン膜に添加することによって低下させることができる。
更に、溶融電解質の組成は金属抽出プロセスが進行するにつれて変動し、そして電解質は被還元金属種がますます欠乏した状態になる。還元しようとする金属種を含有する化合物を電解質中に連続的に又はバッチ的に導入するための装置を採用することが望ましい場合がある。抽出しようとする金属種に富む電解質を確保するために、還元しようとする追加的な電解質を加えることができる。溶融電解質の輸送特性は、例えば、先に記載したように金属含有電解質の組成調整、並びに膜及び/又は陰極の近くで形成する可能性がある拡散プロファイルを減少させるための電解質のかき混ぜ又は撹拌によって連続又はバッチ態様で向上されることができる。
イオン膜は、溶融電解質を陽極から電子的に分離するように、即ち、金属含有電解質から陽極への電子移動に抵抗するように選択される。実質上完全な電子分離(例えば、≧90%)が得られない場合には、漏れ電流、例えば、イオン膜を横切る電子の輸送が生じ、かくして電荷移行反応の効率が低下される。イオン膜は高いイオン性(興味のある陰イオンに関して)及びより低い電子性を示すのが望ましい。用語「高いイオン性」を本明細書で使用するときには、それは、伝導度の少なくとも約90%がイオンの伝導によるものであることを意味する。残りは、典型的には、電子の伝導による。イオン膜は、イオン伝導性固体、溶融電解質と不混和性のイオン伝導性液体、又は、例えば、イオン伝導性で実質上電子非伝導性の液体膜によって酸性側を裏当てした固体イオン膜を含む複合体であってよい。
図1は、固体イオン膜を含むセルの概略図である。用語「固体」を本明細書で使用するときには、それは、高められた操作温度において固体であることを意味する。固体イオン膜は実質上非孔質であるべきである。というのは、膜を通るいかなる流体通路も系を短絡する可能性があるからである。安定化ジルコニアが好ましい固体イオン膜である。何故ならば、それは多くの系においてイオン膜として働くのに十分なだけ非電子伝導性であり、またそれは多くの溶融金属酸化物溶融体に対して化学的に抵抗性であるからである。安定化ジルコニアは、その物質の固体状態構造を安定化し且つ酸素イオン伝導度を向上させるためにイットリア、マグネシア、カルシア等でドーピングされたジルコニア(ZrO2)を包含する。また、固体イオン膜は、酸素イオンを伝導することが知られそして操作温度において受け入れ可能な伝導度を有するハフニア及びトリアのような他の蛍石(フルオライト)構造物を包含することができる。固体イオン膜は、任意の形状に形成されることができる。固体イオン膜は、それらが自然の障壁を形成するという点で有益である。本発明の他の具体例では、固体イオン膜は溶融電解質を保持するための容器12として使用されることができ(図5参照)、又はそれは壁若しくは床部分のような容器の一部分を構成することができる(図6参照)。
図2は液体イオン膜を含むセルの概略図であり、ここでは図1におけると同様の部材は同じ参照数字で示されている。溶融金属電解質14は、実質的なイオン性を示す液体イオン膜23によって陽極20から分離される。液体膜23は、溶融電解質中に不混和性であるのが望ましい。好適な液体イオン膜としては、CaAlSiFeOx(ここで、xは、溶融金属酸化物に好適な酸素イオン伝導度を提供するように選択される)が挙げられるが、但し、還元しようとする金属種は、鉄の還元電位よりも低い還元電位を有するものとする。CaAlSiFeOxは、操作温度に依存して液体又は固体状態のいずれかにおいてイオン膜として使用されることができる。別法として、望ましくない混合を防止するためにその2つの間に半透膜13を配置することができる。好適な半透膜は、多孔質及び非孔質ジルコニアを包含する。
図3は、第一固体イオン膜30に隣接した第二液体イオン膜32を有する金属精製装置の概略図である。かかる配置では、イオン膜30は、金属抽出プロセスを阻害することなく幾らかの電子性を有することができる。というのは、第二膜のイオン性が電流の漏れを防止するからである。好適な第二イオン膜としては、CaAlSiFeOxが挙げられる。図4は本発明の更に他の具体例の概略図であり、ここでは金属抽出装置は、第一固体イオン膜40、第二液体イオン膜42及び第二固体イオン膜44を含む。第二固体イオン膜44は、第二液体イオン膜の収容に有用になりうる。
セルを通過させようとする電流の量はイオン膜表面の所要量を決定するのを助け、そして使用する膜の位置及び表面積に影響を及ぼす。膜の厚さの減少は、より低い過電圧をもたらす場合がある。しかしながら、膜の寿命はそれに応じて短くされる可能性がある。
処理温度の増大は、溶融電解質のイオン伝導度を向上させる。しかしながら、少なくとも安定化ジルコニアの場合には、温度の増大は、イオン膜の電子伝導度を向上させる場合もあり、これは効率に有害な影響を及ぼす。電子伝導度の有害な影響は、先に記載したように厳格にイオン伝導性の第二膜と組み合わせて固体イオン膜を使用することによって減少させることができ、かくして広い操作温度範囲が提供される。第二膜は異なる電子特性及びイオン特性を有する第二固体膜であってもよく、又はそれは液体膜であってもよい。
陰極は、興味ある金属の通常の電解に使用されるものと同様であることが予測される。しかしながら、使用条件下での電解質の高温及び化学的腐食による特別の要件が存在するであろう。陰極は、生成物金属又は溶融金属電解質のどちらとも反応性であるべきでない。たいていの場合に、陰極は、生成物金属のある形態、例えばそれらの合金よりなり、そして精製金属又は合金を例えば樹枝状結晶成長によって含む可能性がある。陰極は金属酸化物溶融体と電気的接触状態にあり、そしてイオン膜に接近して置かれると電解の効率を向上させる。陰極は液体又は固体のどちらであってもよく、そしてその有効表面積は、生成物金属が例えば樹枝状結晶金属の形成又は陰極での金属プーリングによって形成されるにつれて変動する場合がある(好ましくは増加)。
工業的規模の反応では、装置は、同時に動作する幾つかの陰極及び/又はメッシュ若しくは格子の形態にある高い表面積を持つ個々の陰極を随意に含むことができる。これはセル電流を増加し、そして系の物質移動を高める。
本発明の他の具体例では、溶融電解質と電気的接触を有するがしかし物理的接触を有しない陰極が使用される。この具体例に従えば、陰極は、他の点では先に記載したものと実質上同様の電気化学セルにおいて溶融体の露出面でプラズマアークを発生する。プラズマアーク発生型陰極は、陰極電荷移行反応に対して電子の源及び領域を提供する。
陽極は、典型的には、溶融電解質とは膜の反対側に配置される。固体イオン膜を使用するような具体例では、陽極は基準ガスによって包囲される。陽極は、陽極で生成した酸化生成物(これは、たいていの場合に酸素又は硫黄のようなガスである)に対して不活性であるのが望ましい。僅かに還元性の基準ガス、例えば、窒素中の1%H2を使用することによって、膜の電子的一体性をなお維持しながら安定なニッケル又はモリブデン細目網電極又はセラミック/金属複合電極を使用することが可能である場合がある。陽極を液体イオン膜中に浸漬するときには、陽極も液体に対して不活性であるのが望ましい。
他の好ましい具体例では、精製プロセスにおいて参照電極を使用するのが望ましい場合がある。参照電極は、陰極において電位の正確な測定を与えるように位置づけされることができる。これは、電解質が1種よりも多くの金属を含有しそして単一の金属を一度に選択的に抽出することが望まれるときに有用である。参照電極の配置及び使用は、以下に金属センサーに関してより詳細に記載されている。
使用に際して、ここに記載される如くして及び/又は図1〜8のいずれかに示される如くしてセルを準備することができ、そして装置に金属酸化物スラグ又は他の電解質が充填される。スラグは、通常の金属加工処理からの廃金属酸化物スラグ又はフラックス残査であってよい。スラグは、装置に固体状態において室温で導入され、しかる後に溶融金属電解質を形成するために加熱されることができる。他の好ましい具体例では、スラグは、高められた温度において固体又は液体状態で装置の容器に導入される。溶融金属酸化物スラグは、精製プロセスの間に約400〜2000℃そして好ましくは約1200〜1600℃の範囲内の温度に維持される。実際の操作温度は、電解質の組成に一部分左右される。例えば、より低い電解温度で例えば400〜900℃で操作することが望まれる場合には、酸化ベリリウムを金属酸化物電解質に添加することができる。酸化ベリリウムは、より低い操作温度においてイオン移動度及びイオン拡散度を向上させることが分かった。安定化ジルコニアイオン膜は、約1500℃までの温度で且つ約1〜3ボルトの適用電位において金属の精製のために使用されることができる。より高い温度及び/又は電位では、電流漏れを最小限にするためのセルの改質、例えば、二重イオン膜の使用が有益である。電解質は、外部又は内部抵抗加熱又は誘導加熱のような通常の加熱技術を使用して所望の温度に維持されることができる。
次いで、陽極及び陰極を横切って電位が適用され、そしてこれは、式(1)及び(2)に総体的に示されるように半反応に従って特定の金属種を純金属に還元させる。別法として、1種よりも多くの金属種をそれらの各々の金属状態に同時に還元する電位を選択することによって2種又はそれ以上の合金を得ることができる。例えば、電位が約0.3Vであるときには、鉄及びクロムの両方を約1500℃で還元させることができ、そしてクロム−鉄合金が得られる。
本法は、バッチ法又は連続法のいずれの態様でも実施されることができる。るつぼバッチ法では、図5に示されるように、溶融金属電解質を保持するための容器として固体イオン膜50が使用される。また、図5は陰極での生成物樹枝状結晶52の形成を例示するが、これは、電荷移行反応のための陰極表面積を増大することができ、そして反応が進むにつれて溶融金属電解質中になお更に侵入することができる。金属樹枝状結晶は金属に富むスラグ中に入り、そして同時にO2-イオンがイオン膜に向かって移行するためのより短い通路を提供する。これは潜在的には自動触媒プロセスである。というのは、反応速度が金属樹枝状結晶の形成によって高められることができるからである。かかる樹枝状結晶形成の効果は、電荷移行反応のための電極表面積が増大しそして電解プロセスはあたかも反応が物資移行制限されるように挙動しないことである。この利益を得るためには、金属は、操作温度において固体として存在しなければならない。電解質が生成物金属の融点よりも高い温度に維持される場合には、図6〜8に示されるように、より密度の大きい金属の溶融金属プール54がるつぼの底部に形成する。別法として、金属が溶融金属電解質よりも小さい密度である場合には、金属は電解質の上面に集まる。電解質からの精製金属の分離は、るつぼから金属をサイホンで吸い上げることによって達成されることができる。更に他の具体例では、精製金属の沸点よりも高い操作温度では、金属は、ガスとして、例えば、亜鉛、マグネシウム等として形成することができる。このような場合には、金属は第二室において集められて凝縮されることができる。
セルを通過させるべき電流の量に依存して、イオン膜は、るつぼ表面の一部分を占めるだけでよい場合がある。例えば、図6に示されるように、炉の内部を内張りする絶縁レンガのいくらかは、イオン膜“レンガ”60で置き換えられることができる。この具体例は、興味を引く低いコストの手段方法を示す。というのは、イオン膜は、るつぼとしてよりもレンガとしての方が高価にならない場合があるからである。
本発明の他の具体例では、図7に示されるように、陰極16は容器12の底部に配置することができ、そしてイオン膜は一連のチューブ又はプレート70として上方から導入されることができる。この具体例では、溶融金属プール54は、陰極表面積を増加するのに役立つ。
本発明の更に他の具体例では、それぞれ独立して電位を電解質に適用することができる幾つかの電解セルを連結することができる。かかる装置の例は図8に例示され、ここで陽極、陰極対80、81及び90、91及び100、101はそれぞれ、独立して操作することができる。電極対の各々は、その隣接する電極から部分隔壁82、92及び102によってそれぞれ分離され、かくしてセルを形成する。この系列の電気化学セルは、電子化学シーブと同様に動作することができる。第一電極対は電解質中の最易解離性種を還元するように選択された電位を適用し、そして各々の後続の電極対は、電位系列において次の種の還元を行うことができる。流速(容器を通る物質の流量)、炉温度及び各セル内の操作電位の制御によって、電解質が次のセルに流れる前に所定の種を実質上完全に除去することが可能になる場合がある。この方法は、精製しようとする電解質が装置を連続的に流れるので有益になる場合がある。
装置に対する更なる変更修正及びその操作法は本発明の範囲内にあることが意図されている。例えば、装置の設計は、逆にしたるつぼの配置及びシャフトプロセスを包含することができる。また、例えば、容器の底部において生成物を溶融金属として集めそしてそれをそこに設けたタップ孔から連続的に取り出すことによって、装置を連続プロセスとして操作することも、本発明の範囲内である。
本発明の金属精製法は、酸化物の他に又はその代わりに陰イオン種を含有する金属含有電解質を使用して実施されることができる。例えば、溶融金属電解質が金属硫化物及び/又は金属ハロゲン化物を含む場合には、イオン膜は、硫化物及び/又はハロゲン化物陰イオンを輸送するその能力を得るように選択される。塩素イオン選択性膜の使用はアルミニウムの製造において極めて有用になりうる。また、硫黄イオン選択性膜の使用は、硫化物物質からの金属抽出に極めて有用になりうる。単なる一例として、硫化物のイオン伝導に好適なイオン膜としては、硫酸カルシウム、及びジルコニア混合硫酸カルシウムが挙げられる。安定化ジルコニアの使用は、よりコンパクトなイオン膜をもたらす。単なる一例として、弗化物の如きハロゲン化物のイオン伝導に好適なイオン膜としては、弗化カルシウムが挙げられる。他のアルカリ土類金属ハロゲン化物も、本発明に従ってイオン膜として使用することが意図されている。
金属組成の測定用センサー 本発明は、溶融金属電解質の電解のための従来の水溶液に基づく電解原理に勝る進歩を提供するものである。電解プロセスの定量的測定は、電解質電位の正確な測定のための参照電極ベースとしてイオン膜を使用しそして陽極及び陰極を電子的に分離することによって達成される。高められた温度においてスラグ中の易解離性酸化物の濃度を測定するための現場電気化学技術について説明をする。この技術は、興味あるスラグ又は金属含有電解質から基準ガス区画室を分離するために一例として安定化ジルコニア固体電解質のようなイオン膜を使用することよりなる。
スラグ相の組成及び輸送特性に関する情報を得るために3つのタイプの測定法を使用することができる。
基準ガスとスラグ相との間の開回路電圧測定法(タイプI)は系の残りの電位を与え、そしてこれは系の酸素電位についての情報を提供することができる。この情報は現在は通常の酸素センサーによって提供されるが、これは、本発明の次の電流測定法と組み合わせて使用されることができる。
本発明の1つの具体例(タイプII測定法)では、セルの内部区画室と外部区画室との間に直流電位スイープ又は電位ステップを適用するためにポテンチオスタットが使用され、しかしてスラグから酸素イオンが基準ガス中に追いやられる。参照電極を使用して測定された得られる電流−電位プロファイルは、解離性酸化物の解離電位及び濃度プロファイルを示す。電位はスラグ中に存在する陽イオンのタイプ及びその熱力学的活性度を表わし、これに対して、電流−時間プロファイルはスラグ中のかかる陽イオンの相対濃度及び輸送特性を示す。それ故に、この技術は、ただ一回の測定でもって幾つかの異なる陽イオンの多数の特性を測定することができる。
本発明の第二具体例(タイプ゜III測定法)では、溶融金属電解質(スラグ)から多量の酸素イオンを除去して基準ガス中に入れることによって既知の少容量のスラグを注意深く電解するのにポテンチオスタットが使用される。異なる適用電位における電荷のクーロン数qは、スラグ中に存在する各解離性酸化物種の濃度を直接表示するものとして使用されることができる。
本発明のセンサーは、従来の電位差測定センサーで得ることができると同じ情報を提供し(電位を開回路で測定するときに)、しかも同時に溶融金属電解質中の金属種の濃度及びその種の拡散反応速度に関するデータも提供する。
タイプI開回路電位(OCV)/酸素活性度測定装置は、電気化学セル:
陰極(作業電極)/電解質/イオン膜/陽極(対電極)/空気
によって代表される。
ここで、電極として酸化物スラグそして固体イオン膜として部分安定化ジルコニア(PSZ)を参照しながら、本発明の装置の操作について説明をする。これは単なる説明及び例示のためにすぎず、従って、本発明の原理は多数の電解質及びイオン膜系に適用されることができる。
基準酸素区画室は、固体電解質イオン膜(ここでは、PSZ)を使用して酸化物スラグから分離される。酸素の基準分圧は、金属/金属酸化物混合物によって又は既知酸素活性度の気相によってどちらでも設定されることができる。
一方の電極が基準ガス区画室においてPSZ膜と接触状態に置かれ、そして他方の電極はスラグ相と接触状態に置かれる。
スラグの酸素活性度(これは、バルクにおいて均一であるべきである)は、ネルンストの等式
Figure 0004689773
を使用して開回路電位から測定されることができる。スラグ内での酸素活性度は、次の平衡反応:
4Fe + O2 = 2Fe23
によって鉄の酸化物FeO及びFe23のような遷移金属酸化物の相対活性度に補正されることができる。次いで、ネルンストの等式は次のように修正されることができる。
Figure 0004689773
上記において、△G°は上記平衡反応の反応の標準自由エネルギーである。
スラグ電極又は陰極が純鉄から構成される場合には、スラグ内の小さな酸素活性度では、平衡反応は次のようになるであろう。
2Fe + O2 = 2FeO
これが正しいならば、ネルンストの等式は次の如く書くことができる。
Figure 0004689773
いくらかのFeO活性センサーは上記の関係を利用する。これはスラグの酸化状態に関して且つ適切な条件下で熱力学的情報をもたらす簡単な測定法であり、そして活性度即ち遷移金属種がスラグ中で酸化物として存在するときの活性度の比率をもたらすことができる。ここで、遷移金属種は、種々の原子価を有する金属種を意味する。
スラグの組成に関する更に価値ある情報は、タイプI又はタイプII電流滴定測定法を使用することによって得られる。タイプII測定法は、系の応答を測定するために作業電極WE2と接触状態のスラグの局部熱力学的状態を混乱させるのを可能にする。WE2に適用する電位を変えそしてそれを第二参照電極RE2を使用して測定することによって、スラグ内の解離性酸化物のタイプ、濃度、拡散係数、及びバルク輸率に関する情報を得ることができる。
図9には、タイプII電流測定装置が示されている。基準酸素区画室110は、センサー装置容器として、イオン膜114、例えば、部分安定化ジルコニア(PSZ)を使用して溶融酸化物スラグ相112から分離される。基準区画室は、電流がセルを通過されるときに酸素の分圧の変更を回避するために空気を収容すべきである。2つの電極116、118は、基準ガス室中に位置される。参照電極116(RE1)は陽極118又は対電極から物理的に分離され、そして陰極又は作業電極への適用電位を正確に制御するのに使用される。陰極120又は作業電極及び既知表面積の第二参照電極122(RE2)は一緒に溶接され、そして拡散プロファイルを容易にモデル化することができるようにスラグ中に配置される。RE2は、作業電極に沿ってiR電位降下を排除するのに使用される。最良の操作を得るためには、結合された陰極120及びRE2 122の電極面積は、陽極118のものよりもかなり小さくすべきである。ポテンチオスタットを使用すると、RE2及び陰極の電位は、陰極と陽極との間で電流を通すことによってRE1に関して任意の電位に正確に設定されることができる。このiR−補償−電流−中断技術は、RE2の半セル電位の高い正確さを提供するためにスラグ又はイオン膜内で生じる追加的なiR降下を検出して除去することができる。
この測定の基礎を置く熱力学原理について説明する。OVC測定法において先に記載したネルンスト平衡反応及び等式はタイプIIの測定法にも有効である。何故ならば、RE2における酸素分圧は無極性のままにとどまるRE1に関するOCV測定法によって測定されるからである。スラグ/電極界面における解離性酸化物種の活性度は、ポテンチオスタットを使用して外部で設定されることができる。
易解離性種として酸化鉄のみを含有するスラグでは、適用される電位に依存して次の反応が起こる。
陰極 RE2及び作業電極/スラグ界面
2Fe3++2e-=2Fe2+ Fe23の解離電位よりも負の電位で
Fe2++2e-=Fe FeOの解離電位よりも負の電位で
陽極 RE1 PSZ/対電極/ガス界面
O2- PSZ=1/2 O2+2e- Fe23の解離電位よりも負の電位で
接続点 PSZ/スラグ界面
O2- slag=O2- PSZ Fe23の解離電位よりも負の電位で
酸化物の解離電位の近くでRE2対RE1への電位スイープ又ステップの適用は、電極/スラグ界面とスラグバルクとの間で有意の濃度勾配を発生させる。作業電極及び対電極を通過する電流は電極/スラグ界面への解離性種の流束に正比例する。電極表面の近くで発生する拡散プロファイルは、境界層を含有する系に関するフィックスの第一法則によって、又は淀んだスラグ系に関するフィックスの第二法則によって説明されることができる。
明確な境界層を含有する系では、電流は、Fe3+及びFe2+のバルク及び電極表面濃度の両方に左右されよう。電極から離れたところでの新しく形成したFe2+の拡散が速度制限にならないと仮定して、酸化第二鉄解離電位よりも負であるがしかし酸化第一鉄解離電位よりも負でない電位を適用するときには、次の等式が成り立つ。
Figure 0004689773
上記式において、i=電流、n=電解移行数、A=電極の有効表面積、Jj=境界層を横切る種jの流束、Di=jの定常状態拡散係数、Cj=種jの濃度、及びx=境界層を横切る距離、である。
FeOの解離電位よりも負の電位を適用するときには、FeへのFe2+の追加的な還元に関連する電流の増大が測定されよう。Fe2+の還元に関連する追加的な流束は、式:
Figure 0004689773
によって概算されることができる。電解鉄の樹枝状結晶が形成される場合には、有効な電極面積は一定のままにとどまらず、しかして得られる電流の更なる増加がもたらされる。
淀んだスラグ状態下の電流の大きさはフィックスの第二法則によって説明されることができ、そしてFe3+及びFe2+のバルク及び電極表面濃度の両方に左右されよう。酸化第二鉄解離電位よりも負であるがしかし酸化第一鉄解離電位よりも負でない電位を適用するときには、次の等式が成り立ち、ここでt=時間である。
Figure 0004689773
FeOの解離電位よりも負の電位を適用すると、Fe2+の追加的な還元に関連した電流増加が測定される。淀んだスラグのFe2+の追加的な還元に関連した追加的な流束は、等式:
Figure 0004689773
によって概算されることができる。
適用した電位を易解離性酸化物の解離電位と比較することによって、得られる電流は、所定の酸化物種に割り当てられることができる。厳密に言えば、上記の等式は、小濃度の解離性酸化物に対してのみ有効である。解離性酸化物の濃度が増大するにつれて、拡散係数は除去しようとする種の局部濃度の関数になる場合があり、しかして拡散係数と濃度との間の関係が明確でないので事情を複雑にする傾向がある。分析は適度に、一定の拡散係数を想定している。更に、流束等式は、スラグのバルクにおける多数の解離性酸化物陽イオンの存在を説明応するように更に修正されるべきである。鉄及び製鋼用スラグは、典型的には、Mg2+、Ca2+、Fe3+及びFe2+のような遊離陽イオン種を含有する。Si−及びAl−含有種は考慮される必要はない。というのは、これらの陽イオンは大きい陰イオンと共に出現し、これによって低い移動度がもたらされるからである。種々の酸化鉄含有スラグの伝導度データが知られている。キュー・ジャイオ及びエヌ・シメリス両氏の“Metallur.Trans.”B19B:133(Feb,1988)を参照されたい。多数の移動性陽イオン種を含有するスラグでは、流束等式は、定係数によって修正されることができる。
Figure 0004689773
上記式において、tj=バルク内の種jの輸率、及びZj=種jの電荷であり、しかしてFe23及びFeに係わる電流規定等式は次のようになる。
Figure 0004689773
上記の等式は、一定の適用電位の結果として予測される応答を表わしている。これらの等式に対して実験的に得られる応答の比較は、系に存在する金属種のタイプ及び量、並びにそれらの輸送特性に関する情報を提供する。
別の技術は、スイープ電位を適用することである。これは、広範囲の電位をただ一回の測定で調査するのを可能にする。得られる電流−電位プロファイルは、スラグ内の酸化物の解離及びスラグ中でのその濃度に相当する各々の電位の近くの電流ピークを示す。水性化学条件におけるこれらのピークの形成を表わす完全な機械的処理については、バード及びフォールクナー氏(Electrochem.Methds Chapter 6,John Wiley and Sons,1980)が説明しており、そしてこれは、ここに記載する溶融スラグ系に適用されることができる。
タイプIII金属センサー装置は図10に示されており、ここで同じ部材は同じ参照数字で示されている。この装置はタイプIIの装置と類似しているが、但し、それは既知の小容量のスラグをスラグバルク(これは、次いで、ポーラログラフストリッピングに類似の技術を使用して電解される)から隔離するように適応されるものとする。
スラグ収容容器の内部に小さなるつぼ130を挿入することによって小さい既知容量のスラグを隔離することができる。かかるるつぼは、隔離されたスラグが作業電極に密に接近するよに配置される。作業電極の表面積は、収納されたスラグが電極から離れた容量部分を有しない程に十分なだけ大きいことが望ましい。これは、例えば、複数の作業電極を使用することによって、又は大きい表面積を有する細目網若しくはフォイル電極を使用することによって達成されることができる。次いで、RE2に電位を適用し、そしてスラグ内の最易解離性酸化物種のみを還元する。この電位にある電流はその種のみによるものとされ、そして次の電解等式が当てはまる。
Figure 0004689773
ここで、Cj=解離性酸化物jの初期重量%、Qj=種jに由来する電解間に除去される電荷、MWj=解離性酸化物jの分子量、V=初期スラグの容積、及びρ=初期スラグの密度、である。
幾つかの注意深く選択された電位におけるタイプIII測定法の適用は、スラグ内で解離性酸化物の濃度を生じる。この技術の正確さは、より高い初期濃度、解離性陽イオンのより大きい輸率、高い拡散係数、より長い測定時間、及びスラグ容量に対する作業電極表面積のより大きい比率と共に向上する。
本発明のセンサーは、金属抽出プロセスを改善するために金属精製装置及び方法と組み合わせて使用することができることが容易に明らかになる。かくして、センサーの方法及び装置は、金属電解質の組成及び電解質中のイオン輸送特性を測定するために上記の如くして使用されることができる。この情報は、金属抽出プロセスの効率を向上させるように電解質の組成を調整するのに使用されることができる。
次の実施例によって本発明を説明するが、これらの実施例は、単なる例示の目的で提供され、いかなる点においても本発明を限定するつもりはない。本発明の真の精神及び範囲は、以下の特許請求の範囲に示されている。
例1 本例は、珪酸カルシウム溶融液(スラグ)からの鉄の抽出を例示するものである。
CaO−SiO2−Al23−Fe23スラグ系は広く研究されており、それ故に、伝導度、粘度及び相状態図の如き重要なパラメーターが周知である。これらの金属の組成は、それらがPSZに対して比較的非腐食性になるように選択されることができる。Fe23濃度は、5重量%間隔で20〜40重量%の間で変動された(CaO−SiO2−Fe23系で計算された)。
この合成スラグは、CaCO3、SiO2、Fe23及びAl23粉末(アルファ・イーサー社)を適当な割合でイソプロピルアルコールと共に24時間混練することによって製造された。粉末混合物を1000℃で12時間焼成し、そしてプレスしてペレットにした。ペレットをAl23るつぼに入れ、そして空気中において1500℃で1.5時間溶融した。得られたスラグを次いで粉砕し、そして実験間にPSZセンサーにおいて再溶融した。同様の方法を使用してCaO−SiO2−Al23−FeO系のスラグを調製した。即ち、Fe23の代わりに、FeOを使用し、そして予備溶融をアルゴン下に1500℃で1.5時間行った。
酸化物スラグを含有する溶融液を、酸素イオンを伝導するイオン膜であるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)るつぼに入れた。表1は、行われた5つの異なるタイプの実験を示す。
Figure 0004689773
ポテンチオスタットを使用して、YSZるつぼの内部及び外部区画室の間に直流電流電位スイープを適用し、しかしてスラグからYSZるつぼを経て酸素イオンを基準ガス中に移行させた。開回路参照電極を使用すると、得られた実験の電流−電位プロファイルは、溶融液中の第二及び第一酸化物の解離電位を示した。低い適用電位における電流は酸化第一鉄への酸化第二鉄への解離を反映し、そしてより高い電位での突然の増大が酸化第一鉄の自動接触解離によって引き起こされて鉄の樹枝状結晶を生成した。その後に、るつぼの横断面を実験で調べると、YSZ−電極−基準ガス界面(陽極)に最も近い電極−スラグ界面(陰極位置)で鉄が生成したことを示した。更に、スラグ−電極界面で生成する鉄は樹枝状結晶性でありそしてスラグ中に広がり、かくしてスラグ−電解質界面において物質移動制限を打ち消す。スラグ中の鉄酸化物は、1アンペアの還元電流を約10分間引くことによって急冷前に実質上還元されることができる。試料Eの電圧−時間プロットが図12に示される。図12から、所要動力量は、約1.8アンペア/cm2−ZrO2の観察電流密度において鉄1kg当たり約1.4KWHであることが計算された。
例2 この例は、タイプI及びII測定法を使用して種々の鉄酸化物濃度を有するスラグの分析を示す。本発明の電気化学スラグセンサーは、次のセル:
陰極/溶融金属電解質/PSZ/陽極/空気
によって説明されることができる。
図9に示すような実験セルを使用した。興味あるスラグ相を外部の基準ガス相(空気)から分離するために酸素イオン伝導性PSZの閉端チューブを使用した。センサーにおいて使用した固体電解質は、9重量%のY23を含有するPSZ(コーズ・ストラクチャル・セラミックス社からのタイプZDY−4)であった。スラグと直接接触する区画室は、不活性環境を提供するためにアルゴン(BOCガセズ社からのグレード5)によって14ml/分の流量で連続的にフラッシングされた。電極リードは次のように位置づけられた。即ち、二重リードの対電極(CE)又は陽極(これは、S−タイプPt/Pt−Rh熱電対としても機能した)を、白金インキ(エンゲルハードインキ9626)を使用してPSZに焼結されたPt細目網に取り付けた。白金インキを使用してPSZの基準ガス側でCEの1/4”(0.625cm)上方に参照電極(RE1)を独立して取り付けた。セルの加熱間に白金インキ接点を焼結させた。作業電極(WE)又は陰極、及びPtから作った第二参照電極(RE2)を一緒に溶接した。測定の間に、WE及びRE2は、溶接ビードがPSZチューブの内部底面に触れるようにスラグ中に配置される。溶接ビードがPSZチューブ底面に触れることは必要でない。スラグに露呈されるWE及びRE2の表面は、アルミナチューブを使用して電極を遮蔽することによって制御された。これは、各電極の1/4インチ(0.625cm)が未遮蔽のままにとどまるのを可能にした。すべての実験において、未遮蔽域は一定に保たれた。
上記の4個の電解質セルは、所要の電流をWE及びCDに通すことによってRE1とRE2との間の電位を制御した「Solartron 1287」ポテンチオスタットに連結された。セルを表わすことができる等価回路が図13に示されている。
CaO−SiO2−Al23−Fe23スラグ系は広く研究されており、それ故に、伝導度、粘度及び相状態図の如き重要なパラメーターが周知である。使用したCaO−SiO2−Fe23合成スラグは、実験間にアルミナ保護チューブの溶解を防止することによってスラグセンサーの形状寸法を安定化させるためにアルミナで飽和された。これらの金属は、PSZに対して比較的非腐食性である。セルの設計によって、このような注意事項に対する必要性を排除することができる。すべてのスラグ組成においてSiO2/CaO比を一定に保った。Fe23濃度は、5重量%間隔で20〜40重量%の間で変動された(CaO−SiO2−Fe23系で計算された)。
この合成スラグは、CaCO3、SiO2、Fe23及びAl23粉末(アルファ・イーサー社)を適当な割合でイソプロピルアルコールと共に24時間混練することによって製造された。粉末混合物を1000℃で12時間焼成し、そしてプレスしてペレットにした。ペレットをAl23るつぼに入れ、そして空気中において1500℃で1.5時間溶融した。得られたスラグを次いで粉砕し、そして実験間にPSZセンサーにおいて再溶融した。同様の方法を使用してCaO−SiO2−Al23−FeO系のスラグを調製した。即ち、Fe23の代わりに、FeOを使用し、そして予備溶融をアルゴン下に1500℃で1.5時間行った。
実験i−V曲線(図14)は、スラグ内のFe23の初期濃度に対して電流の予測される依存性を示す。本発明の電流測定センサーで試験したFe23のすべての濃度では、初期のOCV値が同じであった。それ故に、典型的はOCV酸素センサーは、これらの全く異なるスラグ間の差を直接測定することができない。i−V曲線の平坦域(プラトー)は、Fe3+のFe2+への反応を表わし、これに対して縁(エッジ)は主としてFeへのFe2+の還元を表わす。図14に示されるi−Vプロットは、測定における未補償の溶液抵抗期間、即ち、i−V曲線をより負の電位に向けてシフトし、これによってi−V曲線を歪曲する期間を含む。これは、縁の相対位置がFeO解離で予測されるよりも負の電位に位置づけられるように思われる理由を説明する。
図14におけるi−VスイープのOCV回収曲線(図15)は、この系についてのより多くの情報を示す。OCVは、0.8Vに近い電位では数分間ほぼ同じのままである。この時間の間、i−Vスイープ間に形成されたFeは、徐々に平衡化するスラグによって再酸化されつつある。電解的に形成されたイオンが再酸化されると、Fe3+/Fe2+平衡は電位を決定し、かくしてより少ない負の電位への速緩和を引き起こす。最後に、約15分後に、スラグは、全スラグの新しい酸素活性度を表わす安定な電位を取得する。スラグはその酸素含量が変化した。というのは、スラグから酸素がPSZを経て除去されたからである。Fe23の異なる濃度を有するスラグの回収に関するOCVプロットでは中間平坦域のレベルに差がある。この差は、より高いFe23初期濃度を有するスラグにおいてスラグ/PSZ界面近くでのFeOのより大きい活性度を表わす。
i−Vプロットに沿って異なる電位で実施されたポテンチオスタット曲線(図16)は、i−Vスイープ(図14)間に生じる反応に対して更なる保証を提供する。ポテンチオスタット曲線は長時間(50秒)後にほぼ一定の電流をもたらし、これはスイープ間に発生された平坦域及び縁レベルに十分に対応した。i−Vスイープの縁(<−1V)に相当する電位にあるポテンチオスタット曲線はそれらのOCV回収曲線におけるFeに相当する平坦域を例示し(図17)、そして有意に大きい電流も例示する(図16)。これらの詳細は、FeO解離が縁で起こりそしてFe23解離がi−V曲線の平坦域に沿って起こるという理論を更に強化するものである。
異なる初期酸素活性度を有するがしかし同じ全イオン濃度を有する2種のスラグに関するi−V曲線が図18に示される。初期のタイプ1のOCV差は、スラグ中のFe3+/Fe2+比によって測定された。より高いFeO含量を有するスラグでの酸素活性度の低下が初期の開回路値によって見つけられた。予測されるように、i−V曲線の平坦域は、Fe23のより低い初期濃度の故に他のスラグと比較したより低い電流を例証した。両方のスラグについてのOCV回収曲線が図19に示される。
例3 本例は、アルミナ不含スラグに対するタイプII測定法を例示する。この構成は、例2及び図9に記載したセルと同様であった。かかるスラグはアルミナに対して極めて腐食性であり、従って、遮蔽チューブ124は溶融液中に浸漬されなかった。
30重量%のFe23を含有する合成スラグを使用した。このスラグは、PSZに対して比較的非腐食性であることが分かった。スラグは、CaO、SiO2及びFe23粉末(アルファ・イーサー社)を適当な割合でイソプロピルアルコールと共に24時間混練することによって製造された。次いで、粉末混合物をプレスしてペレットにした。ペレットを空気中において1000℃で6時間焼結した。得られたペレットを粉砕し、そしてセルにおいて溶融した。
セルを4°/分で1510℃(1783K)に加熱し、そしてスラグを15分間放置して平衡化した。平衡化の間に、WE及びRE2組立体をスラグの2.54cm(1”)上方に位置づけた。次いで、WE及びRE2をスラグ中に浸漬し、そして10分タイプI開回路測定(OCV)を行って酸素活性度を測定した。しかる後、タイプII−0.3V適用電位ステップを回路に90秒間適用した。この直後に、10分タイプI開回路回収測定を実施した。他のタイプII−0.3V適用電位ステップを回路に90秒間適用した。この直後に、10分タイプI開回路回収測定を実施した。最後に、タイプII−0.5V適用電位ステップを回路に90秒間適用した。この直後に、10分タイプI開回路回収測定を実施した。すべての電位測定はRE1に関して行われた。
3つの適用電位ステップで得られた電流−時間プロファイルを図20に示す。電流−時間応答は線状であることが分かり、これは、速度制限輸送プロセスが作業電極において拡散極性化であるという仮定を裏付ける。
例4 この例は、タイプIII測定法を使用して種々の酸化鉄濃度を有するスラグの分析を例示する。
この例のための実験セルは図10に示されているが、これは例2において先に記載した装置と同様なものである。6個の追加的な1”PtワイヤをRE2−WE内部電極に溶接して表面積対容積比を有意に増大させた。「Solartron 1287」ポテンチオスタットを使用する代わりに、「Hewlett−Packard 6033A」電源を使用してCE及びWEを横切って電流を送り、そしてデジタル電圧計を使用してRE1及びRE2を横切る電位を監視した。この電源は、それが「Solartron 1287」ポテンチオスタットよりも高い出力電流容量を有していたので使用された。この実験で使用したスラグは、例2に使用したスラグと同様のものであった。
セルを4°/分で1525℃(1800K)まで加熱し、そしてスラグを15分間放置して平衡化した。平衡化の間に、WE及びRE2組立体をスラグの2.54cm(1”)上方に位置づけた。次いで、WE及びRE2をスラグ中に浸漬し、そして10分タイプI開回路測定法(OCV)を使用して酸素活性度を測定した。次いで、RE2の電位を10分間にわたってRE1に関してOCVから−0.5Vに傾斜させ、そして電流プローブを使用して得られた電流を測定した。次いで、RE2の電位を10分間の期間にわたってRE1に関して徐々に−1.0Vに向上させ、そして得られた電流を再び測定した。次いで、セルを急冷しそして区画した。
表2は、Cグループで行ったタイプIII電解測定の間に得あられた結果を要約したものである。酸化第一鉄への酸化第二鉄の還元に関連する全電荷(QFe2O3)は予想値の約70%であった。この差違は、3つの可能性のある理由、即ち、a)電解測定を行う前にスラグから酸素が脱ガスしてアルゴン遮蔽ガス中に入ること、b)−0.5Vの適用は、スラグからFe23の全部の完全除去のために十分な強い推進力を提供しないこと、c)WE−RE2電極から離れた位置では還元することができないFe23の残留量がスラグ中に残ること、の組み合わせによって説明されよう。
Figure 0004689773
電解鉄への酸化第一鉄の還元に関連する全電荷(QFeO)は予測値の103%であった。これが予測差よりも大きいのは、初期電解の間に完全には還元されなかった残留第二鉄種によって引き起こされたようである。
電解鉄への酸化第一鉄の還元に関連する全電荷(QFeO)は予測値の91.5%であった。残留するすべての鉄酸化物が第一鉄状態にあると仮定すると、これは、スラグ中に残る残留FeOは約4.7重量%になることを示す。スラグ色彩における有意の変化は、より低い酸化鉄含量を表わした。白金ワイヤの付近に鉄の樹枝状結晶が見出された。

Claims (48)

  1. 溶融電解質から金属を抽出する方法において、
    金属抽出用の被還元金属陽イオンである少なくとも1の移動性金属陽イオン及び0.001(Ω−cm)-1よりも大きいイオン伝導度を有する少なくとも1の陰イオンを含み、1000〜2000℃に加熱された溶融電解質と電気的接触状態にある陰極を準備し、
    イオン膜によって陰極及び溶融電解質から分離された陽極を準備し、そして
    陰極と陽極との間で電位を発生させ、これによって、溶融電解質中の少なくとも1の移動性金属陽イオンを陰極において還元し、電解質中の少なくとも1の陰イオンをイオン膜を横切って輸送し、少なくとも1の陰イオンを陽極で酸化し、そして
    還元された金属を収集する、
    ことを含む溶融電解質からの金属抽出法。
  2. 還元しようとする少なくとも1の金属陽イオンが輸率で測定して0.9未満のイオン移動度を有する請求項1記載の方法。
  3. イオン伝導度が0.1(Ω−cm)-1よりも大きい請求項1記載の方法。
  4. 溶融電解質を金属抽出の前に分析してその組成及び電解質中のイオンの輸送特性を測定し、
    測定された組成及び輸送特性を基にして、電解質中に材料を追加するか、電解質中から材料を取り除くか、又は電解質を化学的に変更するかの何れか少なくとも1つを実施することにより電解質の組成を調整して、陰イオン拡散率及びイオン移動度を向上させる、
    ことを更に含む請求項1記載の方法。
  5. 電位が、単一の金属元素を選択的に還元するように選択される請求項1記載の方法。
  6. 電位が、2種又はそれ以上の金属元素を選択的に還元するように選択される請求項1記載の方法。
  7. 溶融電解質を撹拌することを更に含む請求項1記載の方法。
  8. 溶融電解質が塩基性酸化物を含む請求項1記載の方法。
  9. 陰極と陽極との間で電位を発生させる間に、還元される金属の樹枝状結晶成長を陰極において形成するように、溶融電解質が、還元される金属の融点よりも低い温度で操作される請求項1記載の方法。
  10. 陰極と陽極との間で電位を発生させる間に、溶融電解質が1000℃〜1600℃の範囲内の温度にある請求項1記載の方法。
  11. イオン膜がイオン伝導性を有する請求項1記載の方法。
  12. イオン膜が非孔質である請求項1記載の方法。
  13. イオン膜が液体電解質からなる請求項1記載の方法。
  14. イオン膜が、溶融電解質と接触している第一膜、及び陽極への電子伝導を抑制するための手段を含む請求項1記載の方法。
  15. 陽極への電子伝導を抑制するための手段が、第一膜に隣接する第二膜であって、イオン伝導性のみを有するものからなる請求項14記載の方法。
  16. 溶融電解質を収容するための容器を準備する工程を更に含み、イオン膜が固体電解質膜を含み、溶融電解質を収容するための容器の少なくとも一部が固体電解質膜によって規定される請求項1記載の方法。
  17. 容器のすべてが固体電解質膜によって規定される請求項16記載の方法。
  18. 陽極においてガス状反応体生成物を除去することを更に含む請求項1記載の方法。
  19. 溶融電解質を金属抽出の前に分析してその組成及び電解質中のイオンの輸送特性を測定する工程が、
    基準ガスを準備し、
    陰極及び溶融電解質の両方と電気的に接触し、イオン膜により基準ガスから分離された第参照電極を準備し、
    イオン膜及び基準ガスと電気的に接触し、イオン膜により溶融電解質から分離された第参照電極を準備し、そして
    第一及び第二参照電極間で電位を測定する、
    を含む請求項4記載の方法。
  20. 電解質中の少なくとも1の金属陽イオンが、遷移金属、主族金属、希土類元素、アルカリ金属及びアルカリ土類元素よりなる群から選択される請求項1記載の方法。
  21. 電解質が、少なくとも1の金属酸化物、金属硫化物及び金属ハロゲン化物を含み、少なくとも1の金属酸化物、金属硫化物及び金属ハロゲン化物の金属陽イオンが金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、コバルト(Co)、タングステン(W)、錫(Sn)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、珪素(Si)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、硼素(B)及びチタン(Ti)よりなる群から選択される請求項1記載の方法。
  22. 溶融電解質が金属酸化物スラグを含む請求項1記載の方法。
  23. 陰極が、陰極と陽極との間に電位を発生させる間に、溶融電解質の少なくとも一部にプラズマアークを発生させる請求項1記載の方法。
  24. 陰極、陽極及びイオン膜のセットを複数準備する工程を更に備え、各陰極が溶融電解質と電気的に接続されており、各陽極がその対応するイオン膜によってその対応する陰極と溶融電解質とから分離されており、各陰極とその対応する陽極とが独立した電位を有する請求項1記載の方法。
  25. 溶融電解質と電気的に接触する複数の陰極を準備する工程を更に備える請求項1記載の方法。
  26. 溶融電解質からの金属抽出装置において、
    金属抽出用の被還元金属陽イオンである少なくとも1の移動性金属陽イオン及び0.001(Ω−cm)-1よりも大きいイオン伝導度を有する少なくとも1の陰イオンを含み、1000〜2000℃に加熱された溶融電解質を収容するための容器、
    陰極及び陽極、ここで、陰極は溶融電解質と電気的に接触しており、陰極及び溶融電解質は電解質中の少なくとも1の陰イオンを輸送するイオン膜によって陽極から分離されており、及び
    陰極と陽極との間で電位を発生させるための電源、
    を含む金属抽出装置。
  27. イオン膜が、溶融電解質と接触状態にある第一膜、及び陽極への電子伝導を抑制するための手段を含む請求項26記載の装置。
  28. 陽極への電子伝導を抑制するための手段が、第一膜に隣接する第二膜であって、実質上イオン伝導性のみを有するものからなる請求項26記載の装置。
  29. 溶融電解質内で物質輸送を向上させるための撹拌手段を更に含む請求項26記載の装置。
  30. 溶融電解質が塩基性酸化物を含む請求項26記載の装置。
  31. 陰極と陽極との間で電位を発生させる間に、還元される金属の樹枝状結晶成長を陰極において形成するように、溶融電解質が、還元される金属の融点よりも低い温度にある請求項26記載の装置。
  32. 陰極と陽極との間で電位を発生させる間に、溶融電解質が1000℃〜1600℃の範囲内の温度にある請求項26記載の装置。
  33. イオン膜がイオン伝導性を有する請求項26記載の装置。
  34. イオン膜が固体電解質からなる請求項26記載の装置。
  35. 固体電解質が安定化ジルコニア(SZ)、弗化カルシウム及び硫化カルシウムよりなる群から選択される請求項34記載の装置。
  36. イオン膜が液体電解質からなる請求項26記載の装置。
  37. 液体電解質が、CaAlSiFeOX(ここで、xは、溶融金属酸化物に高い酸素伝導度及び0.1未満のイオン輸率に相当する電子伝導度を提供するように選択される)からなる請求項36記載の装置。
  38. イオン膜が固体電解質膜であり、溶融電解質を収容するための容器の少なくとも一部分が固体電解質膜によって規定される請求項26記載の装置。
  39. 容器のすべてが固体電解質膜により規定される請求項38記載の装置。
  40. イオン膜により溶融電解質から分離された基準ガス
    オン膜及び基準ガスと電気的に接触し、イオン膜により溶融電解質から分離された第参照電極
    陰極及び溶融電解質の両方と電気的に接触し、イオン膜により基準ガスから分離された第二参照電極、及び
    第一及び第二参照電極間で電位を測定するための手段、
    を更に含む請求項26記載の装置。
  41. 電解質中の少なくとも1の金属陽イオンが、遷移金属、主族金属、希土類元素、アルカリ金属及びアルカリ土類元素よりなる群から選択される請求項26記載の装置。
  42. 電解質が、少なくとも1の金属酸化物、金属硫化物及び金属ハロゲン化物を含み、少なくとも1の金属酸化物、金属硫化物及び金属ハロゲン化物の金属陽イオンが金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、コバルト(Co)、タングステン(W)、錫(Sn)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、珪素(Si)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、硼素(B)及びチタン(Ti)よりなる群から選択される請求項26記載の装置。
  43. 溶融電解質が金属酸化物スラグを含む請求項26記載の装置。
  44. 電源が、溶融電解質中の少なくとも1の金属陽イオンをその対応する金属に電解還元するように選択される電位を適用する請求項26記載の装置。
  45. 電位が、複数の金属元素を同時に電解還元させるように選択される請求項44記載の装置。
  46. 陰極が、陰極と陽極との間に電位を発生させる間に、溶融電解質の少なくとも一部にプラズマアークを発生させる請求項26記載の装置。
  47. 陰極、陽極及びイオン膜のセットを複数準備する工程を更に備え、各陰極が溶融電解質と電気的に接続されており、各陽極がその対応するイオン膜によってその対応する陰極と溶融電解質とから分離されており、各陰極とその対応する陽極とが独立した電位を有する請求項26記載の装置。
  48. 溶融電解質と電気的に接触する複数の陰極を更に含む請求項26記載の装置。
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