JP4688411B2 - 複合絶縁被膜 - Google Patents

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Description

本発明は、複合絶縁被膜び電子部品に関する。
LSI等の半導体素子といった電子部品(デバイス)の高集積化による配線の微細化に伴い、配線間容量の増大による信号遅延時間の増大が問題となっており、電子部品の絶縁材料に対して、耐熱性、機械特性等の他、更なる低比誘電率と熱処理工程の短縮が求められている。
一般に配線の信号伝搬速度(v)と、配線材料が接する絶縁材料の比誘電率(ε)とは、v=k/√ε(kは定数)で表される関係を有している。つまり、使用する周波数領域を高くすると共に、絶縁材料の比誘電率(ε)を低減することにより、信号伝搬の高速化が達成される。例えば、従来から、比誘電率が4.2程度のCVD法によって形成されるSiO2膜が層間絶縁膜の形成材料として用いられてきたが、デバイスの配線間容量を低減し、LSIの動作速度を向上させる観点から、更なる低誘電率を発現する材料が切望されている。
これに対し、現在実用化されている低誘電率材料としては、比誘電率が3.5程度のCVD法で形成されるSiOF膜が挙げられる。また、比誘電率が2.6〜3.0である絶
縁材料としては、有機SOG(Spin On Glass)、有機ポリマー等を例示できる。さらに、比誘電率が2.6以下の絶縁材料としては、膜中に空隙を有するポーラス材が有力と考えられており、LSIの層間絶縁膜に適用するための検討・開発が盛んに行われている。
そのようなポーラス材の形成方法として、金属アルコキシシランの加水分解縮重合物と共に加熱することにより揮発又は分解する特性を有するポリマーを含む組成物から被膜を形成し、この被膜を加熱することによって空孔を形成することにより絶縁被膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特開平11−310411号公報 特開平11−322992号公報
しかし、上記従来のポーラス化によって低誘電率化が達成される絶縁被膜は、低誘電率化が助長されるにつれて膜強度の低下を伴う傾向にあり、例えばCMP等により膜の平坦化を行う際に、膜の剥がれといった不都合が生じ易くなってしまい、プロセス応性や、かかる絶縁被膜を用いたデバイスの信頼性が低下してしまうといった大きな問題があった。
また、LSIの層間絶縁被膜に適用する材料には、低誘電率の他に優れた耐熱性及び高接着性が要求される。極微細化した次世代LSIの多層配線工程においては、グローバル平坦化のため、CMP(Chemical Mechanical Polishing)が必須であり、かかるCMPにおける耐研磨性を高めるため接着性は特に重要なファクターとなる。
これに対し、比誘電率3.0以下の低誘電率材料として有力と考えられている先述した有機SOG、有機ポリマー及びポーラス材等は、従来のCVDで形成したSiO2膜やSiOF膜に比して誘電率が低いものの、配線形成におけるトレンチ(溝)加工に必要なハードマスクといった上層膜に対する接着性が十分ではない傾向にある。このため、CMP工程において、これらの低誘電率材料で構成される絶縁被膜と上層膜との間で剥離が生じ易いことが問題となっており、低誘電率材料の接着性の改善が強く望まれている。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、十分な低誘電率化が可能であり、しかも機械強度を高めることができ且つ上層膜との接着性を向上できる複合絶縁被膜及びそれを用いた電子部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者による複合絶縁被膜は、シロキサン樹脂(ポリシロキサン)を含有して成る第1の絶縁被膜と、第1の絶縁被膜上に形成されており且つ分子構造中にボラジン骨格を有する化合物を含有して成る第2の絶縁被膜とを備えるものである。
このような構成を有する複合絶縁被膜においては、第1の絶縁被膜がシロキサン樹脂を含むので、その原料液から樹脂形成を行う際に被膜中に空孔を導入し易く、ポーラス化による低誘電率化が可能である。また、その上に形成される第2の絶縁被膜が分子構造中にボラジン骨格を含むので当該被膜の低誘電率化ひいては複合絶縁被膜全体の更なる低誘電率化が達成される。また、第2の絶縁被膜の誘電率を第1の絶縁被膜に比して小さくすることができるので、第1の絶縁被膜のポーラス化を過度に促進させなくともよい。よって、第1の絶縁被膜ひいては複合絶縁被膜全体の機械強度を高めることができる。
さらに、ボラジン含有ケイ素ポリマー層等で構成される第2の絶縁被膜は、他層への被着能、換言すれば他層との接着能に極めて優れたものである。本発明の複合絶縁被膜では、かかる高接着特性を発現する第2の絶縁被膜が第1の絶縁被膜の上に設けられているので、複合絶縁被膜上にハードマスク等の上層膜が形成される場合、その上層膜は第2の絶縁被膜に被着され、両者の固着が強固なものとなる。また、同様にして第1の絶縁被膜と第2の絶縁被膜との固着も強化される。したがって、複合絶縁被膜の内部及び複合絶縁被膜と上層膜との接着性が高められ、CMP等において層剥離が生じることが防止される。
具体的には、第1の絶縁被膜が、下記式(1);
1 nSiX2 4-n …(1)、
で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂を含むシロキサン樹脂組成物から成るものであると好ましい。式中、X1は、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、X2は加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、nが2のとき、各X1は同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各X2は同一でも異なっていてもよい。
こうすれば、第1の絶縁被膜の原材料として、式(1)で表される化合物を溶媒(溶剤)に溶解させて成る液とし易く、これを塗布した後、加熱により加水分解縮合を生ぜしめてシロキサン樹脂を生成すると共に硬化することで第1の絶縁被膜を簡易に形成できる。また、原材料中に、多孔質化材、或いは上記熱硬化のための温度よりも低温で揮発する成分を含めると、第1の絶縁被膜中に微細空孔を形成し易くなる。さらに、式(1)で表される化合物の脱水縮合反応を助長する成分を含めると、Si−OH結合を減少させてシロキサン結合の密度を高め得ると共に、かかるシロキサン結合の高密度化と熱硬化によるアニール作用により第1の絶縁被膜の応力緩和を促進できる。
また、分子構造中にボラジン骨格を有する化合物が下記式(2);
Figure 0004688411
で表される繰り返し単位を有するものであると、成膜性及び化学的安定性の観点からより好ましい。
ここで、式中、R1はアルキル基、アリール基、アラルキル基又は水素原子を示し、R2はアルキル基、アリール基、アラルキル基又は水素原子を示し、R3及びR4はアルキル基、アリール基、アラルキル基及び水素原子の中から選ばれる同一又は異なる1価の基を示し、R5は置換若しくは未置換の芳香族の2価の基、オキシポリ(ジメチルシロキシ)基、又は酸素原子を示し、R6はアルキル基、アリール基、アラルキル基又は水素原子を示し、aは正の整数を示し、bは0又は正の整数を示し、pは0又は正の整数を示し、qは0又は正の整数を示す。
また、本発明による電子部品は、シリコンウェハ等の基体上に本発明による複合絶縁被膜が設けられたものである。さらに、分子構造中にボラジン骨格を含有して成る第2の絶縁被膜上に更に他の上層膜、例えばハードマスク、反射防止(AR)膜、反射膜、レジスト膜等が被着されて成る積層(構造)体も有用である。これらの上層膜のなかでも絶縁被膜上に設けられる金属配線パターンの形成に必要であり且つ強固な被着が要求されるハードマスクとの積層体が特に有用である。
以上説明したように、本発明の複合絶縁被膜及び電子部品によれば、シロキサン樹脂を含有して成る第1の絶縁被膜上に、分子構造中にボラジン骨格を有する化合物を含有して成る第2の絶縁被膜が形成されているので、十分な低誘電率化が可能であり、しかも機械強度を高めることができ且つ上層膜との接着性を格段に高めることができ、CMP等の研磨に対する耐剥離性(CMP耐性)を向上できる。
本発明の複合絶縁被膜は、シロキサン樹脂を含有して成る第1の絶縁被膜上に、分子構造中にボラジン骨格を有する化合物を含有して成る第2の絶縁被膜が形成されたものである。以下、各被膜及びその構成成分等、並びに、本発明の電子部品の好適な実施形態について説明する。
〈第1の絶縁皮膜〉
シロキサン樹脂を含有して成る第1の絶縁被膜としては、シロキサン骨格を有するポリマーを含むものであれば特に制限されないが、好ましくは、下記式(1);
1 nSiX2 4-n …(1)、
で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂を含むシロキサン樹脂組成物の硬化物である。式(1)中、X1は、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、X2は加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、nが2のとき、各X1は同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各X2は同一でも異なっていてもよい。
加水分解性基X2としては、アルコキシ基、ハロゲン基、アセトキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基等が挙げられる。これらの中では、第1の絶縁被膜を形成するための組成物の液状安定性や被膜塗布特性等の観点からアルコキシ基が好ましい。
加水分解性基X2がアルコキシ基である化合物(アルコキシシラン)としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等のテトラアルコキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−iso−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−iso−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、iso−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−iso−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−iso−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジ−iso−プロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジフェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジフェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジフェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジフェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン等が挙げられる。
また、上記のアルコキシシランの他に、上記式(1)で表される化合物として、上記のアルコキシシラン分子中のアルコキシ基がハロゲン原子で置換されたハロゲンシラン類、同アルコキシ基がアセトキシ基で置換されたアセトキシシラン類、同アルコキシ基がイソシアネート基で置換されたイソシアネートシラン類、同アルコキシ基がヒドロキシル基で置換されたシラノール類等が挙げられる。式(1)で表されるこれらの化合物は単独で用いてもよく、或いは2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、式(1)で表される化合物の加水分解縮合においては、加水分解縮合反応を促進する触媒として、酸触媒又は塩基触媒を使用できる。酸触媒としては、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸、スルホン酸、酒石酸、トリフルオロメタンスルフォン酸等の有機酸、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸等が挙げられる。また、塩基触媒としては、アンモニア、有機アミン類等を例示できる。
このような加水分解縮合反応を促進する触媒は、式(1)で表される化合物1モルに対して0.0001〜1モルの範囲で使用されると好ましい。この使用量が0.0001未満であると、重合反応が十分に進行しない傾向にある。一方、この使用量が1モルを超えると、ゲル化が促進される傾向にあり好ましくない。
また、加水分解縮合反応で副生するアルコールは、必要に応じてエバポレータ等により除去してもよい。さらに、加水分解縮合反応系中の水の量は適宜決定することができ、式(1)で表される化合物1モルに対して0.5〜20モルの範囲とすることが好ましい。この水の量が0.5〜20モルの範囲を外れると、成膜性が悪化したり、保存安定性が低下するといった不都合がある。
さらに、式(1)で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂は、溶媒への溶解性、機械特性、成形性等の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算した値の重量平均分子量が、500〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であるとより好ましい。
またさらに、第1の絶縁被膜を構成するシロキサン樹脂組成物は、通常、溶媒を必須成分として含有する。かかる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、γ−ブチロラクトン等のケトン系溶媒、エチルエーテル、iso−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
シロキサン樹脂組成物における溶媒の使用量は、シロキサン樹脂の濃度が3〜25質量%となるような量とすることが好ましい。この溶媒使用量が過度に少なくシロキサン樹脂濃度が25質量%を超えると、液状安定性、成膜性等が不都合な程に劣る傾向にある。一方、この溶媒使用量が過度に多くシロキサン樹脂濃度が3質量%未満となると、所望の膜厚の第1の絶縁被膜を得ることが困難な傾向にある。
本発明のシロキサン樹脂組成物には、必要に応じて多孔質化材を添加することができる。多孔質化材の具体例としては、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、ビニルアルコール、アリルアルコールビニルエーテル系化合物、ポリエチレンオキサイド構造を有するビニル系化合物、ポリプロピレンオキサイド構造を有するビニル系化合物、ビニルピリジン系化合物、スチレン系化合物、アルキルエステルビニル系化合物、(メタ)アクリレート酸系化合物、プロピレングリコール系化合物、エチレングリコール系化合物等の重合体が挙げられる。
〈第2の絶縁被膜〉
第2の絶縁被膜は、分子構造中にボラジン骨格を有する化合物を含んでおり、この化合物としては主鎖又は側鎖に置換又は無置換のボラジン骨格を有するものであればよく、ボラジン化合物の単量体及び重合体のいずれでもよく、第2の絶縁被膜の成膜性や膜強度の観点から重合体を使用することが望ましい。このような重合体としては、例えば、Chemical Review 誌、vol 90、pp.73〜91(1990).やCHEMTECH 誌、1994年7月、pp.29〜37.記載の重合体等を挙げることができる。具体的には以下に示す重合体が好適である。
Figure 0004688411
また、好ましくは、下記式(2)又は式(3);
Figure 0004688411
Figure 0004688411
で表される繰り返し単位を有してなる有機ケイ素ボラジン系樹脂組成物の硬化物である。
なお、式(2)及び(3)において、
Figure 0004688411
は、以下のいずれかを示し、
Figure 0004688411
これと同様に、
Figure 0004688411
は、以下のいずれかを示す。
Figure 0004688411
そして、
Figure 0004688411
は、以下のいずれかを示す。
Figure 0004688411
また、式(2)における破線は、ボラジン残基におけるアルキニル基由来の炭素に結合が生じていることを意味し、式(3)における破線は、ボラジン残基におけるアルケニル基由来の炭素に結合が生じていることを意味する。
また、式(2)及び(3)において、R1はアルキル基、アリール基、アラルキル基又は水素原子を示す。この場合、アルキル基の炭素数は1〜24、好ましくは1〜12である。また、アリール基の炭素数は6〜20、好ましくは6〜10である。さらに、アラルキル基の炭素数は7〜24、好ましくは7〜12である。より具体的には、基R1として、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、水素原子等が挙げられ、これらの中では、メチル基、エチル基、フェニル基又は水素原子がより好ましい。
また、式(2)及び(3)において、R2はアルキル基、アリール基、アラルキル基又は水素原子を示し、アルキル基の炭素数は1〜24、好ましくは1〜12である。この場合、アリール基の炭素数は6〜20、好ましくは6〜10である。また、アラルキル基の炭素数は7〜24、好ましくは7〜12である。より具体的には、基R2として、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基、フルオレニル基等のアラルキル基、水素原子等が挙げられ、これらの中では、メチル基、フェニル基又は水素原子がより好ましい。
さらに、式(2)及び(3)において、R3及びR4はアルキル基、アリール基、アラルキル基又は水素原子の中から選ばれる同一又は異なる1価の基を示し、これらの中では、アルキル基、アリール基又は水素原子がより好ましい。この場合、アルキル基の炭素数は1〜24、好ましくは1〜12である。また、アリール基の炭素数は6〜20、好ましくは6〜10である。さらに、アラルキル基の炭素数は7〜24、好ましくは7〜12である。より具体的には、基R3及びR4として、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、水素原子等が挙げられ、これらの中ではメチル基、フェニル基又は水素原子がより好ましい。
またさらに、式(2)及び(3)において、R5は置換若しくは未置換の芳香族の2価の基、オキシポリ(ジメチルシロキシ)基、又は酸素原子を示す。この場合、芳香族の2価の基の炭素数は6〜24、好ましくは6〜12である。この芳香族の2価の基には、2価芳香族炭化水素基(アリーレン基等)の他、酸素等のヘテロ原子を連結基として含むアリーレン基等が含まれる。また、この芳香族の2価の基に結合していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。より具体的には、基R5として、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基、ジフェニルエーテル基等の置換アリーレン基、酸素原子等が挙げられ、これらの中ではフェニレン基、ジフェニルエーテル基又は酸素原子がより好ましい。
さらにまた、式(2)及び(3)において、R6はアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。この場合、アルキル基の炭素数は1〜24、好ましくは1〜12である。また、アリール基の炭素数は6〜20、好ましくは6〜10である。さらに、アラルキル基の炭素数は7〜24、好ましくは7〜12である。より具体的には、基R6として、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
また、式(2)及び(3)において、a及びbは、それぞれ繰り返し単位数を表し、aは正の整数であって、好ましくは1〜20000、より好ましくは3〜10000であり、特に好ましくは5〜10000である。また、bは0又は正の整数であって、好ましくは0〜1000、より好ましくは0〜100である。ただし、a及びbはそれらの構成比率を示すものであって、結合状態(ブロック共重合、ランダム共重合等)のいずれかの形態に限定されるものではない。
このような共重合体において、aとbとのそれぞれの個数の比(a:b)は特に制限されず、a/b比がより大きい、つまり高分子主鎖中の鎖状構造の割合が比較的多い場合、溶媒に対する共重合体の溶解度が高められ且つ融点が低くなることにより、共重合体の加工性が向上すると予想される。一方、a/b比がより小さい、つまり高分子主鎖中の架橋構造の割合が比較的多い場合、共重合体の耐熱性、耐燃焼性が向上すると予想される。したがって、用途等に応じて、或いは、共重合体の各モノマーユニットの構造及びその組み合わせに応じて、良好な加工性及び耐熱性、耐燃焼性を与える共重合体の最適なa/b比の範囲を適宜設定することができる。
さらに、式(2)及び(3)において、pは0又は正の整数、qは0又は正の整数を示し、後述するnとは、p+q+2=nの関係を有する。pの好ましい範囲は0〜10であり、より好ましくは1〜8である。また、qの好ましい範囲は0〜10であり、より好ましくは1〜8である。
またさらに、式(2)及び(3)において、Z1は下記式(4);
Figure 0004688411
又は下記式(5);
Figure 0004688411
で表される2価の基であり、同一分子鎖において、Z1が式(4)又は(5)のいずれか一方の構造で構成されていても、或いは、両方の構造が同一分子鎖内に含まれていても構わない。なお、式(4)及び(5)におけるR3、R4、R5、R6、p及びpは前述したものと同様である。
このようなボラジン骨格を有する重合体の分子量(Mn;ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算した値の数平均分子量)は、好ましくは500〜5000000、より好ましくは1000〜1000000である。この分子量(Mn)が過度に低く、例えば500未満の場合、耐熱性、及び第2の絶縁被膜の機械特性が劣る傾向にあり、例えば、複合絶縁被膜を層間絶縁膜として用いるときにプリベークが困難となったり、成膜後の平坦化をCMPで行うときに剥離等を生じ易くなるおそれがある。これに対し、この分子量(Mn)が過度に高く、例えば5000000を超えると、絶縁被膜の加工性が悪化し、例えば、かかる複合絶縁被膜にW等の金属プラグ形成用のヴィアホール等を所望の形状に制御し難くなるおそれがある。
また、式(2)で表される有機ケイ素ボラジン系樹脂は、B,B',B"−トリアルキニルボラジン類とヒドロシラン類とを重合溶媒中、金属含有触媒の存在下に重合させて製造することができる。さらに、重合後、その金属含有触媒を取り除くことが望ましい。或いは、B,B',B"−トリヒドロボラジン類とビス(アルキニルシラン)類とを、無触媒下でヒドロホウ素化重合させることにより製造することができる。
B,B',B"−トリアルキニルボラジン類の具体例としては、B,B',B"−トリエチニルボラジン、B,B',B"−トリエチニル−N,N',N"−トリメチルボラジン、B,B',B"−トリ(1−プロピニル)ボラジン、B,B',B"−トリフェニルエチニルボラジン、B,B',B"−トリフェニルエチニル−N,N',N"−トリメチルボラジン、B,B',B"−トリエチニル−N,N',N"−トリフェニルボラジン、B,B',B"−トリフェニルエチニル−N,N',N"−トリフェニルボラジン、B,B',B"−エチニル−N,N',N"−トリベンジルボラジン、B,B',B"−トリス(1−プロピニル)−N,N',N"−トリメチルボラジン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ヒドロシラン類には、ビス(モノヒドロシラン)類、ビス(ジヒドロシラン)類、ビス(トリヒドロシラン)類、ポリ(ヒドロシラン)類が含まれる。具体例としては、m−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、p−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ナフタレン、1,5−ビス(ジメチルシリル)ナフタレン、m−ビス(メチルエチルシリル)ベンゼン、m−ビス(メチルフェニルシリル)ベンゼン、p−ビス(メチルオクチルシリル)ベンゼン、4,4'−ビス(メチルベンジルシリル)ビフェニル、4,4'−ビス(メチルフェネチルシリル)ジフェニルエーテル、m−ビス(メチルシリル)ベンゼン、m−ジシリルベンゼン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7−テトラエチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラベンジルシクロテトラシロキサン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
有機ケイ素ボラジン系ポリマーを製造する際に使用する金属含有触媒としては、特に制限されないが、一般にアセチレン類やオレフィン類のヒドロシリル化に使用されるもので、均一系金属含有触媒や不均一系金属含有触媒を用いることができる。これらのなかでは、樹脂組成物中の金属成分濃度をより低下させることが要求される場合、不均一系金属含有触媒が特に好ましい。
均一系金属含有触媒としては、白金ジビニルテトラメチルジシロキサン、白金環状ジビニルメチルシロキサン、塩化白金酸、ジクロロ白金、トリス(ジベンジリデンアセトン)二白金、ビス(エチレン)テトラクロロ二白金、シクロオクタジエンジクロロ白金、ビス(シクロオクタジエン)白金、シクロオクタジエンジメチル白金、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロ白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金等、又は、B.Marciniec編、Comprehensive Handbook on Hydrosilylation、Pergamon Press(1992)に記載された化合物等が挙げられる。
また、不均一金属含有触媒としては、白金粉末、パラジウム粉末、ニッケル粉末等の金属単体粉末、白金炭素、白金アルミナ、白金シリカ、パラジウム炭素、パラジウムアルミナ、パラジウムシリカ、ロジウム炭素、ロジウムアルミナ、ロジウムシリカ等の坦持金属単体、ラネーニッケル、又は、B.Marciniec編、Comprehensive Handbook on Hydrosilylation、Pergamon Press(1992)やPolymer Journal、34、97−102(2002)に記載のポリマー坦持ロジウム触媒(polym−PPh2・RhCl(PPh33、polym−PPh2・RhCl3、polym−CH2Cl2・RhCl(CO)(PPh32など)やポリマー坦持白金触媒(Polym−CH2SH/H2PtCl6)(ここで、polyはポリ(スチレン−co−ジビニルベンゼン)等の主鎖骨格を意味する。)、表面官能基化シリカゲル坦持白金触媒(Silica−(CH23−SH/H2PtCl6)等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、或いは、複数を組み合わせて使用してもよい。
また、触媒の使用量としては、B,B',B"−トリアルキニルボラジン類又はヒドロシラン類のうちモル量の少ない方の原料化合物に対する金属原子のモル比が0.000001〜5の範囲であると好適である。
また、式(1)で表される有機ケイ素ボラジン系ポリマーを製造する際、系の流動性を保つこと、及び、重合後、金属含有触媒の除去を容易にすべく、重合溶媒が用いられる。重合溶媒としては、原料と反応するものを除いた種々の溶媒を用いることができる。具体的には、芳香族炭化水素系、飽和炭化水素系、脂肪族エーテル系、芳香族エーテル系等の溶媒が挙げられ、より具体的には、トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジフェニルエーテル等が挙げられる。これらの重合溶媒は単独で用いてもよく、また、複数を組み合わせて使用してもよい。
また、重合溶媒の使用量は、B,B',B"−トリアルキニルボラジン類及びヒドロシラン類の総量100重量部に対して重合溶媒を50〜100000重量部使用することが望ましい。
さらに、有機ケイ素ボラジン系樹脂を製造する際のB,B',B"−トリアルキニルボラジン類とヒドロシラン類の仕込みモル比は、B,B',B"−トリアルキニルボラジン類1モルに対して、ヒドロシラン類が0.1〜10モルの範囲であると好適であり、より好ましくは、B,B',B"−トリアルキニルボラジン類1モルに対して、ヒドロシラン類が0.2〜5モルの範囲である。
またさらに、有機ケイ素ボラジン系樹脂を製造する際の反応温度及び反応時間は、B,B',B"−トリアルキニルボラジン類とヒドロシラン類とが重合し、所望の分子量を有する有機ケイ素ボラジン系ポリマーが得られる条件であれば特に制限されない。具体的には、原料の反応性や触媒の活性によって異なるが、反応温度は−20℃〜200℃の範囲で冷却又は加熱することができる。より好ましい反応温度としては0℃〜150℃、更に好ましくは0℃〜100℃の範囲とされる。一方、反応時間は好ましくは1分〜10日であり、より好ましくは1時間〜10日、特に好ましくは2時間〜7日の範囲とされる。
なお、重合反応は乾燥窒素やアルゴン等の不活性雰囲気下で行うことが望ましく、装置構成を簡略化する観点から、大気下でも行うことが可能である。
また、重合反応後、重合系に不溶で金属触媒由来の金属成分を吸着することができる粒子(メタルスカベンジャー)を重合系(重合液)に添加し、その後、重合液中に残留する金属成分が吸着したメタルスカベンジャーを濾別してもよい。かかる処理は、特に均一系金属含有触媒を用いた場合に金属含有量を低減するのに有効である。
また、有機ケイ素ボラジン系樹脂は、以上のようにして製造した、重合溶媒中に溶解した有機ケイ素ボラジン系ポリマーである。また、重合溶媒を留去して得た固形状の有機ケイ素ボラジン系ポリマーを溶剤中に溶解することによっても調製できる。この溶剤としては、主鎖又は側鎖にボラジン骨格を有する重合体つまり有機ケイ素ボラジン系樹脂と反応せずに溶解せしめるものが挙げられる。
具体的には、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ヘキシルベンゼン、テトラリン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、キノリン等の含窒素溶剤、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらの溶剤は単独で用いてもよく、或いは、複数組み合わせて使用してもよい。また、溶剤の使用量は、有機ケイ素ボラジン系樹脂の固形分濃度が0.1〜60質量%となるような量とすることが好ましい。
〈複合絶縁被膜の形成方法〉
本発明の複合絶縁被膜を形成する方法としては、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、スピンコート(回転塗布)法等を採用することができ、これらの中では、成膜性及び膜厚均一性を考慮すると主としてスピンコート法が用いることが好ましい。
スピンコート法を用いる場合、具体的には、まず、上述したシロキサン樹脂組成物をシリコンウェハ、金属基板、セラミック基板等の基体上に好ましくは500〜5000回転/分、より好ましくは1000〜3000回転/分でスピン塗布する。スピン塗布における回転数が500回転/分を下回ると、膜厚均一性が悪化する傾向にある一方、5000回転/分を上回ると、成膜性が悪化する傾向にある。
次いで、好ましくは50〜300℃、より好ましくは100〜300℃でホットプレートを用いて溶媒を乾燥除去する。これにより、基体上に第1の絶縁被膜が形成される。この乾燥温度が50℃未満であると、溶媒の乾燥が十分に行われない傾向にある。また、乾燥温度が300℃を超えると、シロキサン樹脂組成物が熱分解揮発性化合物等の多孔質化材を含む場合に、シロキサン骨格が形成される前にこれが熱分解揮発してしまう傾向にあり、こうなると所望の誘電特性が得られないことがある。
次に、第1の絶縁被膜が形成された基体上に、有機ケイ素ボラジン系樹脂組成物を、好ましくは500〜5000回転/分、より好ましくは1000〜3000回転/分でスピン塗布し、好ましくは50〜300℃、より好ましくは100〜300℃でホットプレート又は硬化炉を用いて溶媒を乾燥除去する。これにより、第1の絶縁被膜に第2の絶縁被膜が形成される。
さらに、好ましくは60〜500℃、且つ、好ましくは10秒〜2時間程度、空気中又は窒素等の不活性ガス中で最終硬化を行い、本発明の複合絶縁被膜を得る。このとき用いる装置としては、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール等のヒーター又はランプ加熱処理装置を用いることが好ましい。
こうして得られる2層構造の複合絶縁被膜の膜厚は、0.01μm〜40μmであることが好ましく、0.1μm〜2.0μmであるとより好ましい。この膜厚が40μmを超えると応力によるクラックが発生するおそれがある一方、0.01μm未満であると、複合絶縁被膜の上下に配線層が設けられているときに、配線間のリーク特性が悪化する傾向にある。
ここで、図1は、本発明による複合絶縁被膜の一例を示す模式断面図である。同図における複合絶縁被膜は、金属配線層101が設けられたシリコン基層を有するシリコンウェハ100上に形成されたシロキサン樹脂を含む絶縁被膜102(第1の絶縁皮膜)の上に、有機ケイ素ボラジン系樹脂を含む絶縁被膜103(第2の絶縁皮膜)が被着されたものである。かかる複合絶縁被膜は、上述したスピンコート法により、簡便に形成させることが可能である。
〈電子部品〉
本発明の複合絶縁被膜を用いた本発明の電子部品としては、半導体素子、液晶素子、多層配線板等の絶縁被膜を有するもの等が挙げられる。本発明の複合絶縁被膜は、半導体素子においては、表面保護膜、バッファーコート膜、層間絶縁膜といった絶縁膜等として、液晶素子においては表面保護膜、絶縁膜等として、多層配線基板においては、層間絶縁膜として好ましく用いることができる。また、分子構造中にボラジン骨格を含有して成る第2の絶縁被膜上に更に他の上層膜、例えばハードマスク、反射防止(AR)膜、反射膜、レジスト膜等が被着されて成る積層(構造)体も有用である。特に、絶縁被膜上に設けられる金属配線パターンの形成に必要であり且つ強固な被着が要求されるハードマスクとの積層体が有望である。
具体的には、半導体素子としては、ダイオード、トランジスタ、キャパシタ、化合物半導体素子、サーミスタ、バリスタ、サイリスタ等の個別半導体素子、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ)、EPROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、マスクROM(マスク・リード・オンリー・メモリ)、EEPROM(エレクトリカル・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、フラッシュメモリー等の記憶(メモリ)素子、マイクロプロセッサー、DSP、ASIC等の理論(回路)素子、MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)に代表される化合物半導体等の集積回路素子、混成集積回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結合素子等の光電変換素子、発光素子、半導体レーザ素子等が挙げられる。また、多層配線基板としては、MCM等の高密度配線基板等が挙げられる。
ここで、図2は、本発明による電子部品の好適な一実施形態を示す模式断面図である。メモリキャパシタセル8(電子部品)は、拡散領域1A,1Bが形成されたシリコンウェハ1(基体)上に酸化膜から成るゲート絶縁膜2Bを介して設けられたゲート電極3(ワード線として機能する。)と、その上方に設けられた対向電極8Cとの間に、スピンコート法で形成された絶縁層5(第1の絶縁被膜)及び絶縁層7(第2の絶縁皮膜)から成る2層構造の層間絶縁膜(複合絶縁被膜)が形成されたものである。
また、ゲート電極3の側壁には、側壁酸化膜4A,4Bが形成されており、さらに、ゲート電極の側方における拡散領域1Bにはフィールド酸化膜2Aが形成され、素子分離がなされている。絶縁層5におけるゲート電極3近傍にはビット線として機能する電極6が埋め込まれたコンタクトホール5Aが形成されている。さらに、平坦化された絶縁層5上には平坦化された絶縁層7が被着されており、両者を貫通するように形成されたコンタクトホール7Aには蓄積電極8Aが埋め込まれている。そして、蓄積電極8A上に高誘電体から成るキャパシタ絶縁膜8Bを介して対向電極8Cが設けられている。
このように構成された本発明の絶縁被膜が形成されたメモリキャパシタセル8等の電子部品によれば、層間絶縁膜がシロキサン樹脂を含む絶縁層5及び有機ケイ素ボラジン系樹脂を含む絶縁層7から構成されるので、十分な低誘電率化が実現される。よって、信号伝搬における配線遅延時間を十分に短縮できる。また、複合絶縁被膜の膜強度が十分に高められると共に、絶縁層5,7間、並びに絶縁層7及び対向電極8C間の固着が十分に強固なものとされるので、メモリキャパシタセル8等の電子部品の製造プロセスにおけるCMP等の研磨工程において、層剥離が防止され、製品歩留まりの低下を防止できると共に、デバイスの信頼性を向上できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
(シロキサン樹脂組成物1の製造)
テトラエトキシシラン132.3gとメチルトリエトキシシラン65.1gをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)335.94gに溶解させた溶液中に、70%硝酸0.92gを溶解させた水65.8gを攪拌下で30分かけて滴下した。滴下終了後5時間反応させ、ポリシロキサン溶液を得た。この中に、メタクリル酸メチルポリマーの重合体溶液22.9gを添加し、減圧下、温浴中で生成エタノールを留去して630gのシロキサン樹脂組成物1を得た。
(有機ケイ素ボラジン系樹脂組成物1の製造)
B,B',B"−トリエチニル−N,N',N"−トリメチルボラジン0.50mmol、p−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン0.50mmolをエチルベンゼン4mlに溶解し、5%白金アルミナ(白金換算で0.1mmol)を加え、窒素下室温で7日間撹拌した。反応液の一部を取り出し、ガスクロマトグラフィー(GC)分析を行なったところ、モノマーであるB,B',B"−トリエチニル−N,N',N"−トリメチルボラジンとp−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンのピークが消失していることを確認した。また、GPC分析から生成物の分子量(標準ポリスチレン基準)は、Mn=2500(Mw/Mn=2.0)であった。白金アルミナ触媒を含む反応液をADVANTEC社製ディスポーザブルメンブランフィルターユニットで濾過し、有機ケイ素ボラジン系樹脂組成物1を得た。
(複合絶縁被膜1の形成)
まず、シロキサン樹脂組成物をフィルタ濾過し、これを低抵抗率シリコンウェハ(抵抗率<10Ωcm)上に回転数2000rpm/30秒で回転塗布した。その後、150℃/1分+250℃/1分かけて溶媒を除去し、第1の絶縁被膜を形成した。次いで、その上に有機ケイ素ボラジン系樹脂組成物を回転数1000rpm/30秒で回転塗布した。その後、200℃/10分かけて溶媒を除去し、第2の絶縁被膜を形成した。さらに、O2濃度が100ppm前後にコントロールされている石英チューブ炉で400℃/30分間かけて両絶縁被膜を最終硬化し、本発明の複合絶縁被膜1を得た。
〈実施例2〉
(シロキサン樹脂組成物2の製造)
テトラエトキシシラン132.3gとメチルトリエトキシシラン65.1gをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)335.94gに溶解させた溶液中に、70%硝酸0.92gを溶解させた水65.8gを攪拌下で30分かけて滴下した。滴下終了後5時間反応させ、ポリシロキサン溶液を得た。この中に、メタクリル酸メチルポリマーの重合体溶液22.9gを添加し、減圧下、温浴中で生成エタノールを留去して630gのシロキサン樹脂組成物2を得た。
(有機ケイ素ボラジン系樹脂組成物2の製造)
B,B’,B”−トリス(1’−プロピニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン3.6g(15mmol)、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン3.6g(15mmol)をメシチレン150mlに溶解し、白金ジビニルテトラメチルジシロキサンのキシレン溶液(白金2%含有)30μlを加え、窒素下40℃で1日間攪拌した。そこへ白金ジビニルテトラメチルジシロキサンのキシレン溶液(白金2%含有)30μlを追加し、窒素下40℃で1日間攪拌した。続いて、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン0.36g(1.5mmol)を加え、窒素下40℃で1日間攪拌した。反応液の一部を取り出し、ガスクロマトグラフィー(GC)分析を行なったところ、モノマーであるB,B’,B”−トリス(1’−プロピニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのピークが消失していることを確認した。また、GPC分析から生成物の分子量(標準ポリスチレン基準)は、Mn=11000(Mw/Mn=29)であった。
この反応液に式(6)のメタルスカベンジャー(3−メルカプトプロピル−官能基化シリカゲル、アルドリッチ社製)1.0gを加え、室温で2時間攪拌した。その後、白金が吸着したメタルスカベンジャーをADVANTEC社製PTFEメンブランフィルター上で濾過し、有機ケイ素ボラジン系樹脂組成物2を得た。
Figure 0004688411
(複合絶縁被膜2の形成)
まず、シロキサン樹脂組成物2をフィルタ濾過し、これを低抵抗率シリコンウェハ(抵抗率<10Ωcm)上に回転数2000rpm/30秒で回転塗布した。その後、150℃/1分+250℃/1分かけて溶媒を除去し、第1の絶縁被膜を形成した。次いで、その上に有機ケイ素ボラジン系樹脂組成物2を回転数1000rpm/30秒で回転塗布した。その後、200℃/10分かけて溶媒を除去し、第2の絶縁被膜を形成した。さらに、O2濃度が100ppm前後にコントロールされている石英チューブ炉で400℃/30分間かけて両絶縁被膜を最終硬化し、本発明の複合絶縁被膜2を得た。
〈比較例1〉
実施例1で製造したシロキサン樹脂組成物をフィルタ濾過し、回転数2000rpm/30秒回転塗布した。回転塗布後、150℃/1分+250℃/1分かけて溶媒を除去して被膜を形成した。次いで、O2濃度が100ppm前後にコントロールされている石英チューブ炉で400℃/30分間かけてその被膜を最終硬化し、単層から成る比較例の絶縁被膜3とした。
〈比誘電率測定〉
実施例1及び2で得た複合絶縁被膜1及び2、及び比較例1で得た絶縁被膜3の比誘電率を測定した。ここで、本発明における絶縁被膜の「比誘電率」とは、23℃±2℃、湿度40±10%の雰囲気下で測定された値をいい、Al金属とN型低抵抗率基板(Siウエハ)間の電荷容量の測定から求められる。
具体的には、各絶縁被膜を形成した後、それらの絶縁被膜上に、真空蒸着装置でAl金属を直径2mmの円で、厚さ約0.1μmになるように真空蒸着する。これにより、絶縁被膜がAl金属と低抵抗率基板との間に配置された構造が形成される。次に、この構造体の電荷容量を、LFインピーダンスアナライザー(横河電機社製:HP4192A)に誘電体テスト・フィクスチャー(横河電機製:HP16451B)を接続した装置を用い、使用周波数1MHzにて測定した。
そして、電荷容量の測定値を下記式;絶縁被膜の比誘電率=3.597×10-2×電荷容量(pF)×絶縁被膜の膜厚(μm)、に代入し、絶縁被膜の比誘電率を算出した。なお、絶縁被膜の膜厚としては、ガートナー製のエリプソメーターL116Bで測定した値を用いた。
〈ヤング率測定〉
各絶縁被膜に対して、MTS社製のナノインデンターDCMを用い、膜強度の指標としてヤング率を測定した。
〈CMP耐性の評価〉
各絶縁皮膜上にCVD法でP−TEOS膜を0.1μm積層した後、スパッタ法で成膜されるTa金属0.03μm、Cu金属0.2μmを積層した。次いで、各絶縁被膜に対し、通常はこの絶縁被膜が研磨されないと考えられる条件(Cuのみが研磨される条件)でCMPによる研磨を実施した。このとき、スラリーとして日立化成工業社製のHS−C430を用い、付加荷重を400gf/cm2で1分間研磨を行った。このCMP条件は、Cuのみが研磨される条件での研磨であるため、研磨後の被膜表面にTa金属が残存している場合、膜間の界面剥離が起こっていないことを示している。そこで、Ta金属表面が全面に認められた場合を'○'、膜間の界面剥離が生じていたか又は膜強度不足で生じる凝集破壊が見られた場合を'×'と判定した。
表1に、複合絶縁被膜1及び2、絶縁被膜3の比誘電率、ヤング率、及びCMP耐性の評価結果をまとめて示す。
Figure 0004688411
本発明による複合絶縁被膜の一例を示す模式断面図である。 本発明による電子部品の好適な一実施形態を示す模式断面図である。
符号の説明
1,100…シリコンウェハ(基体)、1A,1B…拡散領域、2A…フィールド酸化膜、2B…ゲート絶縁膜、3…ゲート電極、4A,4B…側壁酸化膜、5,7…絶縁層(絶縁被膜)、5A,7A…コンタクトホール、6…ビット線、8…メモリセルキャパシタ(電子部品)、8A…蓄積電極、8B…キャパシタ絶縁膜、8C…対向電極、101…金属配線層、102…絶縁被膜(第1の絶縁被膜)、103…絶縁被膜(第2の絶縁被膜)。

Claims (4)

  1. シロキサン樹脂を含有して成る第1の絶縁被膜と、
    前記第1の絶縁被膜上に形成されており且つ分子構造中にボラジン骨格を有する化合物を含有して成る第2の絶縁被膜と、を備え、
    前記第1の絶縁被膜と前記第2の絶縁被膜とが固着されている、複合絶縁被膜と、前記第2の絶縁被膜上に被着されてなる、ハードマスク、反射防止膜、反射膜及びレジスト膜から選ばれる他の上層膜との積層体
  2. 前記第1の絶縁被膜が、下記式(1);
    SiX 4−n …(1)、
    (式中、Xは、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、nが2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい)、
    で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂を含むシロキサン樹脂組成物から成るものである、
    請求項1記載の積層体
  3. 前記分子構造中にボラジン骨格を有する化合物が、下記式(2);
    Figure 0004688411
    (式中、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基又は水素原子を示し、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基又は水素原子を示し、R及びRはアルキル基、アリール基、アラルキル基及び水素原子の中から選ばれる同一又は異なる1価の基を示し、Rは置換若しくは未置換の芳香族の2価の基、オキシポリ(ジメチルシロキシ)基、又は酸素原子を示し、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基又は水素原子を示し、aは正の整数を示し、bは0又は正の整数を示し、pは0又は正の整数を示し、qは0又は正の整数を示す。)、で表される繰り返し単位を有するものである、請求項1又は2に記載の積層体
  4. 基体上に設けられた請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体を備える電子部品。
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