JP4686382B2 - ワイヤクリップ - Google Patents

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本発明は、プリント基板に実装されて該プリント基板に沿って配設される電線類をまとめて保持するワイヤクリップに関する。
電子機器に組み込まれるプリント基板には、通常、多数の回路素子が実装される。またプリント基板に電源線や信号線等を接続したり、電子機器内に敷設された電線類をプリント基板に沿って引き回すことも多い。ちなみにこれらの多数の電線類がバラバラに敷設された場合、見栄えが悪いことのみならずプリント基板上の回路素子との間で干渉が生じたり、プリント基板に対する保守等の作業性が悪くなる要因となる。
そこで従来においては、専ら、複数本の電線をまとめて結束バンドで束ねたり、或いは予めプリント基板に実装した合成樹脂製のワイヤクリップを用いて複数本の電線をまとめて保持するようにしている(例えば特許文献1を参照)。
特開2004−247357号公報
しかしながら合成樹脂製のワイヤクリップのプリント基板への実装は、専ら、ねじ等の固定具を用いて行われており、半田付けする場合には、予め合成樹脂製のワイヤクリップに金属製の端子ピン等を装着するようにしている。この為、一旦、プリント基板にワイヤクリップを装着した後には、プリント基板からの取り外しが非常に困難である等の問題があった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、プリント基板への装脱が容易で、取り扱い性に優れたワイヤクリップを提供することにある。
上述した目的を達成するべく本発明に係るワイヤクリップは、プリント基板に実装される合成樹脂製のものであって、
<a> 基台部と、
<b> この基台部の両端にそれぞれ弾性変形可能に立設されて対向配置され、その間に電線類の保持領域を形成した一対のクリップ片と、
<c> 前記基台部の下面に弾性変形可能に突設され、支持体の透孔に着脱自在に挿入されて前記基台部との間に前記支持体を挟み込む略V字状の脚部と
を具備し
前記脚部は、
脚部本体をなす柱状の主体部と、
前記主体部の先端から折り返されて上記主体部側に向けて弾性変位可能に設けられた係合片と、
前記主体部とは反対側となる前記係合片の外面に前記基台部の下面からの距離を異ならして設けられ、前記基台部の下面との間にて前記支持体を挟み込むべく前記透孔の開口縁に係止可能な2つの段差部と
を含み、
前記開口縁に係止される段差部は前記透孔の長さに応じて選択されることを特徴としている。
ちなみに前記支持体は、前記透孔を設けたプリント基板、或いは台座の上面部に前記透孔を設けると共に、上記台座の下面側をプリント基板に対する表面実装面とした構造を有し、予めプリント基板に表面実装された表面実装型端子台、若しくは台座の上面部に前記透孔を設けると共に、上記台座の下面部にプリント基板への実装ピンを突設した構造を有し、予めプリント基板に実装されたラジアルリード型端子台からなる。これらの端子台は、例えば金属板を折り曲げ加工したチップ部品からなる。
好ましくは、前記一対のクリップ片は、その端部に、押し込み操作により弾性変形して前記保持領域への電線類の押し込みを許容し、弾性復帰した際、前記保持領域に押し込まれた電線類の抜け出しを阻止する爪部を備えたものとして実現される。
上記構成のワイヤクリップは、基台部の下面に弾性変形可能で、基台部との間に支持体を挟み込む脚部を備えているので、例えば支持体がプリント基板である場合には、脚部を弾性変形させてプリント基板の透孔に嵌め込み、選択された一方の段差部を透孔の開口縁に係止させることにより該ワイヤクリップを容易にプリント基板上に装着することができる。また逆にプリント基板に装着されたワイヤクリップの前記脚部を弾性変形させることで段差部の係止を解除し、該ワイヤクリップをプリント基板から容易に取り外すことができる。
また、前記透孔をその上面部に設けた表面実装型端子台またはラジアルリード型端子台を予めプリント基板に装着しておけば、この端子台に対して他方の段差部を使用することでワイヤクリップを容易に装脱することができ、ひいては端子台を装着したプリント基板に対するワイヤクリップの装脱を簡易に行うことが可能となる。
特に上記ワイヤクリップは、基台部の両側に一対のクリップ片を弾性変形可能に突設すると共に、上記基台部の下面側に脚部を弾性変形可能に突設した簡易な構造なので、例えば金型を用いた樹脂モールド成型等によって簡易に一体成形可能であり、その量産性を高めて安価に提供することが可能である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るワイヤクリップについて説明する。
このワイヤクリップは、プリント基板に装着されて該プリント基板に沿って敷設される電源線や各種信号線等の電線類を束ねて保持する為の、合成樹脂製のプリント基板実装用部品である。このワイヤクリップは、例えば図1にその概略構成を示すように、略直方体形状をなす肉厚の基台部1と、この基台部1の両端にそれぞれ立設されて互いに対向配置され、その間に電線類の保持領域(空間部)を形成した一対のクリップ片2a,2bと、前記基台部1の下面に突設されて、後述するように前記基台部1との間に支持体10を挟み込むことで該支持体10に着脱自在に装着される一対の脚部5a,5bとを備えて構成される。尚、上記支持体10は、後述するようにプリント基板11や、予めプリント基板11に表面実装された表面実装型端子台12、或いはラジアルリード型端子台13からなる。
上記一対のクリップ片2a,2bは、基台部1の上方に略直角方向に延びる板状の側片部3a,3bと、これらの側片部3a,3bの各上端からそれぞれ内側に延びる板状の爪部4a,4bとを備えたものである。特に爪部4a,4bの先端部は、基台部1側に向けて斜めに傾斜した形状として形成されている。このような略逆J字状の形状を有する一対のクリップ片2a,2bは、所定の隙間を隔ててその先端部を対向させて設けられており、全体的には前記基台部1とにより略矩形状の枠を形成している。この枠の内側が電線類20の保持領域(空間部)として用いられる。
尚、前記一対のクリップ片2a,2b、特に上述した爪部4a,4bは、その厚みを前記基台部1の略半分程度とすることで板厚方向に弾性変形可能に設けられている。またこの例では、一方のクリップ片2aの爪部4aの長さが、他方のクリップ片2bの爪部4bの長さよりも短く設定されており、一方の爪部4aが他方の爪部4bの先端部上方に覆い被さるように設けられている。そしてこれらの爪部4a,4bによって形成される前記基台部1に対峙する枠部分は、全体的にその中央部が浅いV字状の凹みをなすようになっている。
この凹み部分に電線類20を位置付け、枠内に向けて押し込むことにより前記爪部4a,4bが弾性変形し、これに伴って拡がる前記爪部4a,4b間の隙間を通して上記電線類20が前述した保持領域(空間部)内に押し込まれる。そして電線類20が押し込まれた後には、前記爪部4a,4bの弾性復帰に伴って該爪部4a,4b間の隙間が狭められ、また前述した如く斜めに傾斜した爪部4a,4bの形状と相俟って、電線類20の前記保持領域(空間部)からの抜け出しが阻止されるようになっている。
一方、前記一対の脚部5a,5bは、脚部本体をなす柱状の主体部6a,6bと、この主体部6a,6bの先端から略V字状に折り返されて上記主体部6a,6b側に向けて弾性変位可能に設けられた係合片7a,7bとを備えている。この主体部6a,6bおよび係合片7a,7bからなる脚部5a,5bは、全体的にはその下端部側面が斜めにテーパ加工されて、プリント基板11や表面実装型端子台12、或いはラジアルリード型端子台13等の支持体10に設けられた透孔14への挿入を容易に行い得る形状となっている。
また上記係合片7a,7bの外面側には、前記基台部1の下面からの距離(高さ位置)を異ならせて2段の段差部8a,8b,9a,9bが形成されている。これらの段差部8a,8b,9a,9bは、係合片7a,7bを弾性変形させながら前述した支持体10の透孔14に脚部5a,5bを挿入した際、透孔14の通過に伴う係合片7a,7bの弾性復帰に伴って該係合片7a,7bの縁部に契合して前記基台部1の下面との間に支持体10を挟み込む役割を担う。特に2段に亘って設けられた段差部8a,8b,9a,9bは、厚みの異なる支持体10をそれぞれ確実に挟み込むように設けられたものである。この例においては、先端部に設けられた段差部8a,8bは、図2に示すように厚みの薄い端子台13(又は12)を挟持する為に用いられ、また中腹部に設けられた段差部9a,9bは図3に示すように厚みの厚いプリント基板11を挟持する為にそれぞれ用いられる。
ここで上述したワイヤクリップが装着される支持体10について簡単に説明する。ワイヤクリップをプリント基板11に直接装着する場合には、このプリント基板11が支持体10として機能する。この場合には、プリント基板11のワイヤクリップを装着しようとする位置に、例えば図4に示すように前述した脚部5a,5bに嵌合する、例えば四角形状の透孔14を予め設けておく。そして図5に示すように上記透孔14にワイヤクリップの脚部5a,5bを嵌め込むことで該ワイヤクリップをプリント基板11に装着する。
また予めプリント基板11に実装した端子台12,13を用いてワイヤクリップをプリント基板11に装着する場合には、上記端子台12,13が支持体10として機能する。表面実装型端子台12は、図4に示すように金属板を箱形(断面四角形状の筒型)に折り曲げ加工し、その上面をワイヤクリップの装着面とすると共に、その下面側をプリント基板11に対する表面実装面とし、上記上面に前記脚部5a,5bに嵌合する、例えば四角形状の透孔16を設けたものである。このような表面実装型端子台12は、プリント基板11に形成された導体部に直接半田付けすることで表面実装される。
尚、表面実装型端子台12における上面と下面との距離(高さ)は、ワイヤクリップの脚部5a,5bの突出長(長さ)を見込んで設定されることは言うまでもない。またこの表面実装型端子台12の側部は開放されており、この側部から棒状の治具を押し込むことで前記脚部5a,5bの係合片7a,7bを弾性変形させ、段差部8a,8bと表面実装型端子台12の上面との係合を解除することで該表面実装型端子台12からのワイヤクリップの取り外しを容易に行い得るようになっている。
一方、ラジアルリード型端子台13は、図4に示すように金属板を折り曲げて、所定高さの台座を形成し、上記台座の下面部にプリント基板11への実装ピン18を突出形成すると共に、上記台座に前記脚部5a,5bに嵌合する、例えば四角形状の透孔17を設けたものである。このようなラジアルリード型端子台13は、予めプリント基板11に穿たれたスルーホールに実装ピン18を挿通させ、プリント基板11の裏面側において上記実装ピン18を折り曲げたり、或いは半田付けすることによって該プリント基板11に実装される。
尚、このラジアルリード型端子台13における台座面の高さは、同様にワイヤクリップの脚部5a,5bの突出長(長さ)を見込んで設定されることは言うまでもない。またこのラジアルリード型端子台13の側部も開放されており、この側部からペンチやピンセット等の治具を用いて前記脚部5a,5bの係合片7a,7bを弾性変形させ、段差部8a,8bとラジアルリード型端子台13の台座面との係合を解除することで該ラジアルリード型端子台13からのワイヤクリップの取り外しを容易に行い得るようになっている。
かくして上述したように基台部1の両端に一対のクリップ片2a,2bを備えると共に、上記基台部1の下面に脚部5a,5bを備えて、プリント基板11に直接、または予めプリント基板11に実装された端子台12,13を介してプリント基板11に間接的に装着されるワイヤクリップによれば、プリント基板11に簡易に取り付けて電線類20の保持に用いることができ、その取り扱い性が非常に良好である。またクリップ片2a,2bによる電線類20の保持が容易である等の効果が奏せられる。しかもプリント基板11や端子台12,13からの取り外しも容易なので、電子機器のメンテナンスを妨げる虞もない等の実用上多大なる効果が奏せられる。
しかも基台部1の両側に一対のクリップ片2a,2bを弾性変形可能に突設すると共に、上記基台部1の下面側に脚部5a,5bを弾性変形可能に突設した簡易な構造なので、例えば2つ割り構造の金型を用いた樹脂モールド成型等によって簡易に一体成形可能である。従ってその量産性を高めて安価に提供することが可能であり、実用性が高い等の効果が奏せられる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば一対のクリップ片2a,2bについては、図(a)に例示するように左右非対称な形状を有し、その一方だけを弾性変形可能に設けたものであっても良い。また図(b)に例示するように、左右対称形状のクリップ片2a,2bとしても良く、更には図(c)に例示するように、一対のクリップ片2a,2bを電線類20の挿通方向にずらして形成することも可能である。
また脚部5a,5bについても特に図示しないが、種々のラッチ機構を採用して実現することができる。また一対のクリップ片2a,2bが形成する電線類20の保持領域(空間部)の大きさも、その仕様に応じたものであれば良く、要はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明の一実施形態に係るワイヤクリップの概略構成を示す斜視図。 本発明に係るワイヤクリップのラジアルリード型端子台への装着状態を示す図。 本発明に係るワイヤクリップのプリント基板への装着状態を示す図。 本発明に係るワイヤクリップとプリント基板または端子台への装着形態を示す図。 プリント基板に装着されたワイヤクリップによる電線類の保持形態を示す図。 本発明に係るワイヤクリップにおけるクリップ片の変形例を示す図。
符号の説明
1 基台部
2a,2b クリップ片
3a,3b 側片部
4a,4b 爪部
5a,5b 脚部
6a,6b 主体部
7a,7b 係合片
8a,8b,9a,9b 段差部
10 支持体
11 プリント基板
12 ラジアルリード型端子台
13 表面実装型端子台
14,16,17 透孔

Claims (3)

  1. プリント基板に実装される合成樹脂製のワイヤクリップであって、
    基台部と、
    この基台部の両端にそれぞれ弾性変形可能に立設されて対向配置され、その間に電線類の保持領域を形成した一対のクリップ片と、
    前記基台部の下面に弾性変形可能に突設され、支持体の透孔に着脱自在に挿入されて前記基台部との間に前記支持体を挟み込む略V字状の脚部と
    を具備し
    前記脚部は、
    脚部本体をなす柱状の主体部と、
    前記主体部の先端から折り返されて上記主体部側に向けて弾性変位可能に設けられた係合片と、
    前記主体部とは反対側となる前記係合片の外面に前記基台部の下面からの距離を異ならして設けられ、前記基台部の下面との間にて前記支持体を挟み込むべく前記透孔の開口縁に係止可能な2つの段差部と
    を含み、
    前記開口縁に係止される段差部は前記透孔の長さに応じて選択されることを特徴とするワイヤクリップ。
  2. 前記支持体は、前記透孔を設けたプリント基板、台座の上面部に前記透孔を設けると共に、上記台座の下面側をプリント基板に対する表面実装面とした表面実装型端子台、または台座の上面部に前記透孔を設けると共に、上記台座の下面部にプリント基板への実装ピンを突設したラジアルリード型端子台である請求項1に記載のワイヤクリップ。
  3. 前記一対のクリップ片は、その端部に、押し込み操作により弾性変形して前記保持領域への電線類の押し込みを許容し、弾性復帰した際、前記保持領域に押し込まれた電線類の抜け出しを阻止する爪部を備えたものである請求項1に記載のワイヤクリップ。
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