以下、本発明の液晶表示装置用構成物の製造方法を中心に詳細に説明することとし、該説明を通じて液晶表示装置用構造物及び液晶表示装置についても詳述する。
本発明の液晶表示装置用構成物の製造方法は、基体上に、第1のネガ型感光性樹脂層を設ける工程Aと、第1のネガ型感光性樹脂層の上に更に、第2のネガ型感光性樹脂層を設ける工程Bと、設けられた第1のネガ型感光性樹脂層及び第2のネガ型感光性樹脂層の両層を同時に、2値以上の異なるエネルギー量でレーザー露光する工程Cと、露光後の前記両層を現像する工程Dと、を有し、第1のネガ型感光性樹脂層の光感度h1と第2のネガ型感光性樹脂層の光感度h2との比h1/h2が1より大きく、第1のネガ型感光性樹脂層を露光するレーザー露光量a及び第2のネガ型感光性樹脂層を露光するレーザー露光量bと、前記光感度h1及びh2との関係が、h1≦1/a、かつh2≦1/bの関係を満たすようにして構成したものである。
基体上に光感度の異なる2層の感光性樹脂層を積層して感光の程度をコントロールしながら露光しさらに現像することにより、層厚を変化させて構成された構造物を簡易に形成することが可能である。そして、特に本発明では、積層された2層に対し、エネルギー量を変えたレーザー光の照射により同時露光を行なうため、表示上一画素をなす領域内に厚みの異なる複数の構造物を同時にかつ簡易に、つまり低コストに、しかも高解像度、高精細に形成することができる。
本発明に係る「工程A」では、画像の被形成材料である所望の基体上に、第1のネガ型感光性樹脂層を形成する。第1のネガ型感光性樹脂層は、該層を設けるために調製された調製液を、所望の基体上に直接塗布する塗布法や予め所定の厚みで形成されたネガ型感光性樹脂層を基体上に転写する転写法など、適宜選択した方法によって設けることができる。本発明においては、均一な厚みに構成でき、構造物の高解像度化、高精細化が可能である等の観点から、転写法による態様が好適である。転写には、予め少なくともネガ型感光性樹脂層を有して作製された転写材料(例えば転写シート)を用いて行なうことができるが、この転写材料及び転写過程の詳細については後述する。なお、基体と第1のネガ型感光性樹脂層との間には更に他の層が更に設けられていてもよい。
基体としては、透明で光学的等方性があって、十分な耐熱性を有する光透過性の基体(特に基板)が好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ポリアリレート、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、石英、等が挙げられる。基体の表面は、必要に応じて下塗り処理されてもよく、さらにグロー放電、コロナ放電、紫外線(UV)照射等の処理を施してもよい。
基体は、板状、シート状あるいはフィルム状など所望の形態とすることができる。基体の厚さは、用途及び材質に合わせて適宜に選択でき、一般には0.01〜10mmが好ましい。例えばガラス基板の場合には、0.3〜3mmの範囲の厚みとするのが望ましい。
なお、反射・透過両用LCDパネルにおける反射表示の場合は、外部より入射する外光を反射するための反射層が形成された光透過性の基体(特に基板)が望ましく、反射層としてはAl、Mo等が好適である。また、反射層の厚さは、100〜10000Å程度が好ましい。反射層の形成方法は特に限定されないが、例えば、蒸着スパッタ法により形成することができる。
本発明に係る「工程B」では、基体上の第1のネガ型感光性樹脂層の上に更に、第2のネガ型感光性樹脂層を形成する。本工程においても、工程Aと同様に塗布法や転写法など適宜選択した方法によって形成することが可能であり、特に転写材料を用いた転写法による態様が好ましい。後述するように、転写材料(例えば転写シート)がネガ型感光性樹脂層と共に熱可塑性樹脂層や中間層を有してなる場合、第2のネガ型感光性樹脂層を設けると同時に熱可塑性樹脂層や中間層をも転写するようにしてもよい。本工程Bでは特に、上記の熱可塑性樹脂層及び中間層を有する転写シートを用いることで好適に行なえる。
本発明においては、下層に位置する第1のネガ型感光性樹脂層の光感度h1と、第1のネガ型感光性樹脂層の上層に位置する第2のネガ型感光性樹脂層の光感度h2との比h1/h2が1より大きくなる、すなわち同一波長のもと下層側が上層側より照射光に対し高感度となるように構成する。ここでの光感度は、後述の工程Cにおいて各層に対応する波長でレーザー露光したときの光に感応して硬化もしくは不溶化する度合いである。
以上の工程A〜Bによって、基体と該基体上に設けられた第1のネガ型感光性樹脂層(光感度h1)と該第1のネガ型感光性樹脂層上に設けられた第2のネガ型感光性樹脂層(光感度h2;h1/h2>1)とで構成された液晶表示装置用基板を作製することができる。この液晶表示装置用基板は、未露光・未現像の状態のものであって、液晶表示装置用カラーフィルタ、液晶表示装置用スペーサ、及び液晶配向制御用突起などの液晶表示装置用構造物を、部分的に厚みを変化させてなる像構造に簡易かつ高い解像度で形成するのに好適である。なお、ネガ型感光性樹脂層については後述するものとし、第1及び第2のネガ型感光性樹脂層間には更に、後述の中間層や熱可塑性樹脂層等を介挿して構成することもできる。
本発明の液晶表示装置用構成物の製造方法においては、別の形態として、前記工程A及び前記工程Bに代えて、基板上に光感度h1のネガ型感光性樹脂層と光感度h2のネガ型感光性樹脂層の両層を転写形成する工程ABを設けて構成された形態も好適である。この工程ABでは、画像の被形成材料である所望の基体上に、第1のネガ型感光性樹脂層と第2のネガ型感光性樹脂層とを同時に形成する。転写は、予め少なくとも光感度h2のネガ型感光性樹脂層と光感度h1(h1/h2>1)のネガ型感光性樹脂層とを有して作製された転写材料(例えば転写シート)を用いて行なうことができる。この転写材料及び転写過程の詳細については後述する。
上記の工程B又は工程ABの後、本発明に係る「工程C」では、基体上に該基体側から順に設けられた前記第1のネガ型感光性樹脂層及び前記第2のネガ型感光性樹脂層の両層に対し同時に2値以上の異なるエネルギー量でレーザー露光する。工程Cでは、レーザー光のエネルギー量を2値以上に変化、すなわち非露光以外に例えば2値のときにはエネルギーaでの露光とエネルギーbでの露光とを行なう。この場合、単一のレーザー光源を画像情報に応じて高速にエネルギー制御するようにしてもよいし、複数(例えば二つ)のレーザー光源を設け、一方はエネルギーaでの露光を、他方はエネルギーbでの露光を行なうように制御するようにしてもよい。
第1のネガ型感光性樹脂層に対するレーザー露光量a及び第2のネガ型感光性樹脂層に対するレーザー露光量bと、既述の光感度h1及びh2との関係は、h1≦1/a、かつh2≦1/bを満たす関係を有している。a/bはh1/h2とすればよい。
レーザー光源には、例えば、アルゴンレーザー、He−Neレーザー、半導体レーザー、炭酸ガスレーザー、YAGレーザーなどの公知のレーザー光源を利用できる。特に、工程のオンデマンド化、マスクレス化によるコスト低減、層間位置合わせ精度などの点からレーザー光を用いたデジタル露光によるのが好ましい。
また、レーザー光の波長は、300〜500nmの波長域から選択されるのが好ましく、405±15nmのレーザー光を利用するのが好適である。複数のレーザー光による場合は、例えば、レーザー光源波長が350〜380nmのものと385〜430nmのものとを用いることができ、具体的には、波長405±15nmのレーザー光とそれとは異なる前記波長域から選択される他の波長の単一若しくは複数のレーザー光とによって好適に露光することができる。
本発明に係る工程Cでは、特にレーザー露光を、レーザー光を照射するレーザー装置と、各々制御信号に応じて光変調状態が変化する多数の画素部が基板上に2次元状に配列され、前記レーザー装置から照射されたレーザー光を変調する空間光変調素子と、前記基板上に配列された画素部の全個数より少ない個数の複数の画素部の各々を、露光情報に応じて生成した制御信号によって制御する制御手段と、各画素部で変調されたレーザー光を被露光面上に結像させる光学系とを備えた露光ユニット(以下、「本発明に係る露光ユニット」ということがある。)を用い、被露光面に対して所定方向と交差する方向に相対移動させて行なうようにして最も好適に行なうことができる。
この露光ユニットは、レーザー光源と共に、入射されたレーザビーム(レーザービーム径としては好ましくは1/e2で1〜50μm)を画像データに応じて変調する空間光変調素子であるデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)を設けて構成されており、任意の被露光面に対し露光量を変化させて露光することが可能であり、工程を簡便に構成することができる。DMDを備えていない一般のレーザー露光装置でも書き込み速度を変えることにより露光量を変化させ得るが、本発明のように3次元にパターン形成を行なう場合には特に、パターン間の合わせ精度が不充分となりやすいのに対し、本発明に係る露光ユニットによると高解像度、高精度での作製を容易に行なうことが可能となる。また、被露光材料をドラムに巻き付けた状態でレーザー露光する形態では、被露光面に対して部分的に露光量を多くしたり少なくしたりするのは困難であるのに対し、本発明に係る露光ユニットでは1スキャニングで露光エネルギー量や露光波長を簡便に変化させた露光が可能となる。
以下、本発明において最も好ましい露光形態、すなわち本発明に係る露光ユニットの構成を図1〜17を参照して具体的に説明する。露光ユニットでは、光のエネルギー量や波長、走査速度、露光位置を任意かつ簡便に選択して露光を行なうことができ、一回の露光作業で特に、表示上一画素をなす領域内に位置精度の良好なパターンを形成することができる。なお、下記感光材料には、ネガ型感光性樹脂層が設けられた基体が用いられる。
露光ユニットは、図1に示すように、シート状の感光材料150を表面に吸着して保持する平板状のステージ152を備えている。4本の脚部154に支持された厚い板状の設置台156の上面には、ステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド158が設置されている。ステージ152は、その長手方向がステージ移動方向を向くように配置されると共に、ガイド158によって往復移動可能に支持されている。なお、この露光装置には、ステージ152をガイド158に沿って駆動するための図示しない駆動装置が設けられている。
設置台156の中央部には、ステージ152の移動経路を跨ぐようにコ字状のゲート160が設けられている。コ字状のゲート160の端部の各々は、設置台156の両側面に固定されている。このゲート160を挟んで一方の側にはスキャナ162が設けられ、他方の側には感光材料150の先端及び後端を検知する複数(例えば、2個)の検知センサ164が設けられている。スキャナ162及び検知センサ164はゲート160に各々取り付けられて、ステージ152の移動経路の上方に固定配置されている。なお、スキャナ162及び検知センサ164は、これらを制御する図示しないコントローラに接続されている。
スキャナ162は、図2及び図3(B)に示すように、m行n列(例えば、3行5列)の略マトリックス状に配列された複数(例えば、14個)の露光ヘッド166を備えている。この例では、感光材料150の幅との関係で、3行目には4個の露光ヘッド166を配置した。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドを示す場合は、露光ヘッド166mnと表記する。
露光ヘッド166による露光エリア168は、副走査方向を短辺とする矩形状である。従って、ステージ152の移動に伴い、感光材料150には露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドによる露光エリアを示す場合は、露光エリア168mnと表記する。
また、図3(A)及び(B)に示すように、帯状の露光済み領域170が副走査方向と直交する方向に隙間無く並ぶように、ライン状に配列された各行の露光ヘッドの各々は、配列方向に所定間隔(露光エリアの長辺の自然数倍、ここでは2倍)ずらして配置されている。このため、1行目の露光エリア16811と露光エリア16812との間の露光できない部分は、2行目の露光エリア16821と3行目の露光エリア16831とにより露光することができる。
露光ヘッド16611〜166mn各々は、図4、図5(A)及び(B)に示すように、入射された光ビームを画像データに応じて各画素毎に変調する空間光変調素子として、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)50を備えている。このDMD50は、データ処理部とミラー駆動制御部とを備えた図示しないコントローラに接続されている。このコントローラのデータ処理部では、入力された画像データに基づいて、各露光ヘッド166毎にDMD50の制御すべき領域内の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。なお、制御すべき領域については後述する。また、ミラー駆動制御部では、画像データ処理部で生成した制御信号に基づいて、各露光ヘッド166毎にDMD50の各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。なお、反射面の角度の制御に付いては後述する。
DMD50の光入射側には、光ファイバの出射端部(発光点)が露光エリア168の長辺方向と対応する方向に沿って一列に配列されたレーザ出射部を備えたファイバアレイ光源66、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光を補正してDMD上に集光させるレンズ系67、レンズ系67を透過したレーザ光をDMD50に向けて反射するミラー69がこの順に配置されている。
レンズ系67は、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光を平行光化する1対の組合せレンズ71、平行光化されたレーザ光の光量分布が均一になるように補正する1対の組合せレンズ73、及び光量分布が補正されたレーザ光をDMD上に集光する集光レンズ75で構成されている。組合せレンズ73は、レーザ出射端の配列方向に対しては、レンズの光軸に近い部分は光束を広げ且つ光軸から離れた部分は光束を縮め、且つこの配列方向と直交する方向に対しては光をそのまま通過させる機能を備えており、光量分布が均一となるようにレーザ光を補正する。
また、DMD50の光反射側には、DMD50で反射されたレーザ光を感光材料150の走査面(被露光面)56上に結像するレンズ系54、58が配置されている。レンズ系54及び58は、DMD50と被露光面56とが共役な関係となるように配置されている。
DMD50は、図6に示すように、SRAMセル(メモリセル)60上に、微小ミラー(マイクロミラー)62が支柱により支持されて配置されたものであり、画素(ピクセル)を構成する多数の(例えば、600個×800個)の微小ミラーを格子状に配列して構成されたミラーデバイスである。各ピクセルには、最上部に支柱に支えられたマイクロミラー62が設けられており、マイクロミラー62の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。なお、マイクロミラー62の反射率は90%以上である。また、マイクロミラー62の直下には、ヒンジ及びヨークを含む支柱を介して通常の半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのSRAMセル60が配置されており、全体はモノリシック(一体型)に構成されている。
DMD50のSRAMセル60にデジタル信号が書き込まれると、支柱に支えられたマイクロミラー62が、対角線を中心としてDMD50が配置された基板側に対して±α度(例えば±10度)の範囲で傾けられる。図7(A)は、マイクロミラー62がオン状態である+α度に傾いた状態を示し、図7(B)は、マイクロミラー62がオフ状態である−α度に傾いた状態を示す。従って、画像信号に応じて、DMD50の各ピクセルにおけるマイクロミラー62の傾きを、図6に示すように制御することによって、DMD50に入射された光はそれぞれのマイクロミラー62の傾き方向へ反射される。
なお、図6には、DMD50の一部を拡大し、マイクロミラー62が+α度又は−α度に制御されている状態の一例を示す。それぞれのマイクロミラー62のオンオフ制御は、DMD50に接続された図示しないコントローラによって行われる。なお、オフ状態のマイクロミラー62により光ビームが反射される方向には、光吸収体(図示せず)が配置されている。
また、DMD50は、その短辺が副走査方向と所定角度θ(例えば、1°〜5°)をなすように僅かに傾斜させて配置するのが好ましい。図8(A)はDMD50を傾斜させない場合の各マイクロミラーによる反射光像(露光ビーム)53の走査軌跡を示し、図8(B)はDMD50を傾斜させた場合の露光ビーム53の走査軌跡を示している。
DMD50には、長手方向にマイクロミラーが多数個(例えば、800個)配列されたマイクロミラー列が、短手方向に多数組(例えば、600組)配列されているが、図8(B)に示すように、DMD50を傾斜させることにより、各マイクロミラーによる露光ビーム53の走査軌跡(走査線)のピッチP1が、DMD50を傾斜させない場合の走査線のピッチP2より狭くなり、解像度を大幅に向上させることができる。一方、DMD50の傾斜角は微小であるので、DMD50を傾斜させた場合の走査幅W2と、DMD50を傾斜させない場合の走査幅W1とは略同一である。
また、異なるマイクロミラー列により同じ走査線上が重ねて露光(多重露光)されることになる。このように、多重露光されることで、露光位置の微少量をコントロールすることができ、高精細な露光を実現することができる。また、主走査方向に配列された複数の露光ヘッドの間のつなぎ目を微少量の露光位置制御により段差無くつなぐことができる。
なお、DMD50を傾斜させる代わりに、各マイクロミラー列を副走査方向と直交する方向に所定間隔ずらして千鳥状に配置しても、同様の効果を得ることができる。
ファイバアレイ光源66は、図9(A)に示すように、複数(例えば、6個)のレーザモジュール64を備えており、各レーザモジュール64には、マルチモード光ファイバ30の一端が結合されている。マルチモード光ファイバ30の他端には、コア径がマルチモード光ファイバ30と同一で且つクラッド径がマルチモード光ファイバ30より小さい光ファイバ31が結合され、図9(C)に示すように、光ファイバ31の出射端部(発光点)が副走査方向と直交する主走査方向に沿って1列に配列されてレーザ出射部68が構成されている。なお、図9(D)に示すように、発光点を主走査方向に沿って2列に配列することもできる。
光ファイバ31の出射端部は、図9(B)に示すように、表面が平坦な2枚の支持板65に挟み込まれて固定されている。また、光ファイバ31の光出射側には、光ファイバ31の端面を保護するために、ガラス等の透明な保護板63が配置されている。保護板63は、光ファイバ31の端面と密着させて配置してもよく、光ファイバ31の端面が密封されるように配置してもよい。光ファイバ31の出射端部は、光密度が高く集塵し易く劣化し易いが、保護板63を配置することにより端面への塵埃の付着を防止することができると共に劣化を遅らせることができる。
ここでは、クラッド径が小さい光ファイバ31の出射端を隙間無く1列に配列するために、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30の間にマルチモード光ファイバ30を積み重ね、積み重ねられたマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の出射端が、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の2つの出射端の間に挟まれるように配列されている。
このような光ファイバは、例えば、図10に示すように、クラッド径が大きいマルチモード光ファイバ30のレーザ光出射側の先端部分に、長さ1〜30cmのクラッド径が小さい光ファイバ31を同軸的に結合することにより得ることができる。2本の光ファイバは、光ファイバ31の入射端面が、マルチモード光ファイバ30の出射端面に、両光ファイバの中心軸が一致するように融着されて結合されている。上述した通り、光ファイバ31のコア31aの径は、マルチモード光ファイバ30のコア30aの径と同じ大きさである。
また、長さが短くクラッド径が大きい光ファイバにクラッド径が小さい光ファイバを融着させた短尺光ファイバを、フェルールや光コネクタ等を介してマルチモード光ファイバ30の出射端に結合してもよい。コネクタ等を用いて着脱可能に結合することで、クラッド径が小さい光ファイバが破損した場合等に先端部分の交換が容易になり、露光ヘッドのメンテナンスに要するコストを低減できる。なお、以下では、光ファイバ31を、マルチモード光ファイバ30の出射端部と称する場合がある。
マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31としては、ステップインデックス型光ファイバ、グレーテッドインデックス型光ファイバ、及び複合型光ファイバの何れでもよい。例えば、三菱電線工業(株)製のステップインデックス型光ファイバを用いることができる。ここでは、マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31は、ステップインデックス型光ファイバであり、マルチモード光ファイバ30は、クラッド径=125μm、コア径=25μm、NA=0.2、入射端面コートの透過率=99.5%以上であり、光ファイバ31は、クラッド径=60μm、コア径=25μm、NA=0.2である。
一般に、赤外領域のレーザ光では、光ファイバのクラッド径を小さくすると伝搬損失が増加する。このため、レーザ光の波長帯域に応じて好適なクラッド径が決定されている。しかしながら、波長が短いほど伝搬損失は少なくなり、GaN系半導体レーザから出射された波長405nmのレーザ光では、クラッドの厚み{(クラッド径−コア径)/2}を800nmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の1/2程度、通信用の1.5μmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の約1/4にしても、伝搬損失は殆ど増加しない。従って、クラッド径を60μmと小さくすることができる。
但し、光ファイバ31のクラッド径は60μmには限定されない。従来のファイバ光源に使用されている光ファイバのクラッド径は125μmであるが、クラッド径が小さくなるほど焦点深度がより深くなるので、マルチモード光ファイバのクラッド径は80μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましい。一方、コア径は少なくとも3〜4μm必要であることから、光ファイバ31のクラッド径は10μm以上が好ましい。
レーザモジュール64は、図11に示す合波レーザ光源(ファイバ光源)によって構成されている。この合波レーザ光源は、ヒートブロック10上に配列固定された複数(例えば、7個)のチップ状の横マルチモード又はシングルモードのGaN系半導体レーザLD1,LD2,LD3,LD4,LD5,LD6,及びLD7と、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々に対応して設けられたコリメータレンズ11,12,13,14,15,16,及び17と、1つの集光レンズ20と、1本のマルチモード光ファイバ30と、から構成されている。なお、半導体レーザの個数は7個には限定されない。例えば、クラッド径=60μm、コア径=50μm、NA=0.2のマルチモード光ファイバには、20個もの半導体レーザ光を入射することが可能であり、露光ヘッドの必要光量を実現して、且つ光ファイバ本数をより減らすことができる。
GaN系半導体レーザLD1〜LD7は、発振波長が総て共通(例えば、405nm)であり、最大出力も総て共通(例えば、マルチモードレーザでは100mW、シングルモードレーザでは30mW)である。なお、GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、350nm〜450nmの波長範囲で、上記の405nm以外の発振波長を備えるレーザを用いてもよい。
上記の合波レーザ光源は、図12及び図13に示すように、他の光学要素と共に、上方が開口した箱状のパッケージ40内に収納されている。パッケージ40は、その開口を閉じるように作成されたパッケージ蓋41を備えており、脱気処理後に封止ガスを導入し、パッケージ40の開口をパッケージ蓋41で閉じることにより、パッケージ40とパッケージ蓋41とにより形成される閉空間(封止空間)内に上記合波レーザ光源が気密封止されている。
パッケージ40の底面にはベース板42が固定されており、このベース板42の上面には、前記ヒートブロック10と、集光レンズ20を保持する集光レンズホルダー45と、マルチモード光ファイバ30の入射端部を保持するファイバホルダー46とが取り付けられている。マルチモード光ファイバ30の出射端部は、パッケージ40の壁面に形成された開口からパッケージ外に引き出されている。
また、ヒートブロック10の側面にはコリメータレンズホルダー44が取り付けられており、コリメータレンズ11〜17が保持されている。パッケージ40の横壁面には開口が形成され、この開口を通してGaN系半導体レーザLD1〜LD7に駆動電流を供給する配線47がパッケージ外に引き出されている。
なお、図13においては、図の煩雑化を避けるために、複数のGaN系半導体レーザのうちGaN系半導体レーザLD7にのみ番号を付し、複数のコリメータレンズのうちコリメータレンズ17にのみ番号を付している。
図14は、上記コリメータレンズ11〜17の取り付け部分の正面形状を示すものである。コリメータレンズ11〜17の各々は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取った形状に形成されている。この細長形状のコリメータレンズは、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することによって形成することができる。コリメータレンズ11〜17は、長さ方向がGaN系半導体レーザLD1〜LD7の発光点の配列方向(図14の左右方向)と直交するように、上記発光点の配列方向に密接配置されている。
一方、GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、発光幅が2μmの活性層を備え、活性層と平行な方向、直角な方向の拡がり角が各々例えば10°、30°の状態で各々レーザビームB1〜B7を発するレーザが用いられている。これらGaN系半導体レーザLD1〜LD7は、活性層と平行な方向に発光点が1列に並ぶように配設されている。
従って、各発光点から発せられたレーザビームB1〜B7は、上述のように細長形状の各コリメータレンズ11〜17に対して、拡がり角度が大きい方向が長さ方向と一致し、拡がり角度が小さい方向が幅方向(長さ方向と直交する方向)と一致する状態で入射することになる。つまり、各コリメータレンズ11〜17の幅が1.1mm、長さが4.6mmであり、それらに入射するレーザビームB1〜B7の水平方向、垂直方向のビーム径は各々0.9mm、2.6mmである。また、コリメータレンズ11〜17の各々は、焦点距離f1=3mm、NA=0.6、レンズ配置ピッチ=1.25mmである。
集光レンズ20は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取って、コリメータレンズ11〜17の配列方向、つまり水平方向に長く、それと直角な方向に短い形状に形成されている。この集光レンズ20は、焦点距離f2=23mm、NA=0.2である。この集光レンズ20も、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することにより形成される。
次に、上記露光装置の動作について説明する。
スキャナ162の各露光ヘッド166において、ファイバアレイ光源66の合波レーザ光源を構成するGaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々から発散光状態で出射したレーザビームB1,B2,B3,B4,B5,B6,及びB7の各々は、対応するコリメータレンズ11〜17によって平行光化される。平行光化されたレーザビームB1〜B7は、集光レンズ20によって集光され、マルチモード光ファイバ30のコア30aの入射端面に収束する。
ここでは、コリメータレンズ11〜17及び集光レンズ20によって集光光学系が構成され、その集光光学系とマルチモード光ファイバ30とによって合波光学系が構成されている。即ち、集光レンズ20によって上述のように集光されたレーザビームB1〜B7が、このマルチモード光ファイバ30のコア30aに入射して光ファイバ内を伝搬し、1本のレーザビームBに合波されてマルチモード光ファイバ30の出射端部に結合された光ファイバ31から出射する。
各レーザモジュールにおいて、レーザビームB1〜B7のマルチモード光ファイバ30への結合効率が0.85で、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各出力が30mWの場合には、アレイ状に配列された光ファイバ31の各々について、出力180mW(=30mW×0.85×7)の合波レーザビームBを得ることができる。従って、6本の光ファイバ31がアレイ状に配列されたレーザ出射部68での出力は約1W(=180mW×6)である。
ファイバアレイ光源66のレーザ出射部68には、この通り高輝度の発光点が主走査方向に沿って一列に配列されている。単一の半導体レーザからのレーザ光を1本の光ファイバに結合させる従来のファイバ光源は低出力であるため、多数列配列しなければ所望の出力を得ることができなかったが、合波レーザ光源は高出力であるため、少数列、例えば1列でも所望の出力を得ることができる。
例えば、半導体レーザと光ファイバを1対1で結合させた従来のファイバ光源では、通常、半導体レーザとしては出力30mW(ミリワット)程度のレーザが使用され、光ファイバとしてはコア径50μm、クラッド径125μm、NA(開口数)0.2のマルチモード光ファイバが使用されているので、約1W(ワット)の出力を得ようとすれば、マルチモード光ファイバを48本(8×6)束ねなければならず、発光領域の面積は0.62mm2(0.675mm×0.925mm)であるから、レーザ出射部68での輝度は1.6×106(W/m2)、光ファイバ1本当りの輝度は3.2×106(W/m2)である。
これに対して上述した通り、マルチモード光ファイバ6本で約1Wの出力を得ることができ、レーザ出射部68での発光領域の面積は0.0081mm2(0.325mm×0.025mm)であるから、レーザ出射部68での輝度は123×106(W/m2)となり、従来に比べ約80倍の高輝度化を図ることができる。また、光ファイバ1本当りの輝度は90×106(W/m2)であり、従来に比べ約28倍の高輝度化を図ることができる。
ここで、図15(A)及び(B)を参照して、従来の露光ヘッドと本発明に係る露光ヘッドとの焦点深度の違いについて説明する。従来の露光ヘッドのバンドル状ファイバ光源の発光領域の副走査方向の径は0.675mmであり、本発明に係る露光ヘッドのファイバアレイ光源の発光領域の副走査方向の径は0.025mmである。図15(A)に示すように、従来の露光ヘッドでは、光源(バンドル状ファイバ光源)1の発光領域が大きいので、DMD3へ入射する光束の角度が大きくなり、結果として走査面5へ入射する光束の角度が大きくなる。このため、集光方向(ピント方向のずれ)に対してビーム径が太りやすい。
一方、図15(B)に示すように、本発明に係る露光ヘッドでは、ファイバアレイ光源66の発光領域の副走査方向の径が小さいので、レンズ系67を通過してDMD50へ入射する光束の角度が小さくなり、結果として走査面56へ入射する光束の角度が小さくなる。即ち、焦点深度が深くなる。この例では、発光領域の副走査方向の径は従来の約30倍になっており、略回折限界に相当する焦点深度を得ることができる。従って、微小スポットの露光に好適である。この焦点深度への効果は、露光ヘッドの必要光量が大きいほど顕著であり、有効である。この例では、露光面に投影された1画素サイズは10μm×10μmである。なお、DMDは反射型の空間変調素子であるが、図15(A)及び(B)は、光学的な関係を説明するために展開図とした。
露光パターンに応じた画像データが、DMD50に接続された図示しないコントローラに入力され、コントローラ内のフレームメモリに一旦記憶される。この画像データは、画像を構成する各画素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。
感光材料150を表面に吸着したステージ152は、図示しない駆動装置により、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。ステージ152がゲート160下を通過する際に、ゲート160に取り付けられた検知センサ164により感光材料150の先端が検出されると、フレームメモリに記憶された画像データが複数ライン分ずつ順次読み出され、データ処理部で読み出された画像データに基づいて各露光ヘッド166毎に制御信号が生成される。そして、ミラー駆動制御部により、生成された制御信号に基づいて各露光ヘッド166毎にDMD50のマイクロミラーの各々がオンオフ制御される。
ファイバアレイ光源66からDMD50にレーザ光が照射されると、DMD50のマイクロミラーがオン状態のときに反射されたレーザ光は、レンズ系54、58により感光材料150の被露光面56上に結像される。このようにして、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光が画素毎にオンオフされて、感光材料150がDMD50の使用画素数と略同数の画素単位(露光エリア168)で露光される。また、感光材料150がステージ152と共に一定速度で移動されることにより、感光材料150がスキャナ162によりステージ移動方向と反対の方向に副走査され、各露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。
図16(A)及び(B)に示すように、DMD50には、主走査方向にマイクロミラーが800個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に600組配列されているが、ここではコントローラにより一部のマイクロミラー列(例えば、800個×100列)だけが駆動されるように制御する。
図16(A)に示すように、DMD50の中央部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよく、図16(B)に示すように、DMD50の端部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよい。また、一部のマイクロミラーに欠陥が発生した場合は、欠陥が発生していないマイクロミラー列を使用するなど、状況に応じて使用するマイクロミラー列を適宜変更してもよい。
DMD50のデータ処理速度には限界があり、使用する画素数に比例して1ライン当りの変調速度が決定されるので、一部のマイクロミラー列だけを使用することで1ライン当りの変調速度が速くなる。一方、連続的に露光ヘッドを露光面に対して相対移動させる露光方式の場合には、副走査方向の画素を全部使用する必要はない。
例えば、600組のマイクロミラー列の内、300組だけ使用する場合には、600組全部使用する場合と比較すると1ライン当り2倍速く変調することができる。また、600組のマイクロミラー列の内、200組だけ使用する場合には、600組全部使用する場合と比較すると1ライン当り3倍速く変調することができる。即ち、副走査方向に500mmの領域を17秒で露光できる。更に、100組だけ使用する場合には、1ライン当り6倍速く変調することができる。即ち、副走査方向に500mmの領域を9秒で露光できる。
使用するマイクロミラー列の数、即ち、副走査方向に配列されたマイクロミラーの個数は、10以上で且つ200以下が好ましく、10以上で且つ100以下がより好ましい。1画素に相当するマイクロミラー1個当りの面積は15μm×15μmであるから、DMD50の使用領域に換算すると、12mm×150μm以上で且つ12mm×3mm以下の領域が好ましく、12mm×150μm以上で且つ12mm×1.5mm以下の領域がより好ましい。
使用するマイクロミラー列の数が上記範囲にあれば、図17(A)及び(B)に示すように、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光をレンズ系67で略平行光化して、DMD50に照射することができる。DMD50によりレーザ光を照射する照射領域は、DMD50の使用領域と一致することが好ましい。照射領域が使用領域よりも広いとレーザ光の利用効率が低下する。
一方、DMD50上に集光させる光ビームの副走査方向の径を、レンズ系67により副走査方向に配列されたマイクロミラーの個数に応じて小さくする必要があるが、使用するマイクロミラー列の数が10未満であると、DMD50に入射する光束の角度が大きくなり、走査面56における光ビームの焦点深度が浅くなるので好ましくない。また、使用するマイクロミラー列の数が200以下が変調速度の観点から好ましい。なお、DMDは反射型の空間変調素子であるが、図17(A)及び(B)は、光学的な関係を説明するために展開図とした。
スキャナ162による感光材料150の副走査が終了し、検知センサ164で感光材料150の後端が検出されると、ステージ152は、図示しない駆動装置により、ガイド158に沿ってゲート160の最上流側にある原点に復帰し、再度、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。
以上説明した通り、本発明に係る露光ユニット(露光装置)は、主走査方向にマイクロミラーが800個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に600組配列されたDMDを備えているが、コントローラにより一部のマイクロミラー列だけが駆動されるように制御するので、全部のマイクロミラー列を駆動する場合に比べて、1ライン当りの変調速度が速くなる。これにより高速での露光が可能になる。
また、DMDを照明する光源に、合波レーザ光源の光ファイバの出射端部をアレイ状に配列した高輝度のファイバアレイ光源を用いているので、高出力で且つ深い焦点深度を備えた露光装置を実現することができる。更に、各ファイバ光源の出力が大きくなることで、所望の出力を得るために必要なファイバ光源数が少なくなり、露光装置の低コスト化が図られる。
本発明に係る「工程D」では、上記の工程Cで露光した後の第1及び第2のネガ型感光性樹脂層の両層を現像する。露光の後、現像を行なうことによって、基体上の熱可塑性樹脂層、中間層、及び不要な(未硬化部分の)ネガ型感光性樹脂層を除去する。
現像に用いる現像液には、無機系又は有機系の現像液を用いることができる。例えば、ガラス基板上にカラーフィルタを形成するような場合は、いずれの現像液も使用することができるが、COA(カラーフィルタ オン アレイ)すなわち、TFT(薄膜トランジスタ)アクティブマトリックス基板上にカラーフィルタを形成するような場合は、無機系の現像液(例えば無機アルカリ現像液)中のNa+やK+がコンタミ(汚染)の原因になるので、有機系の現像液(例えば有機アルカリ現像液)を使用することが好ましい。
無機系現像液にはアルカリ現像液が挙げられ、アルカリ性物質の希薄水溶液が好ましく、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加したものも好適である。アルカリ性物質の濃度としては0.01〜30質量%が好ましく、更にpHとしては8〜14が好ましい。また、上記の有機アルカリ現像液としては、pKa=7〜13の有機化合物を0.05〜5mole/Lの濃度含むものが好ましく、さらに水と混和性を有する有機溶剤を少量添加されたものでもよく、pHは8〜13が好ましい。
前記「水と混和性を有する有機溶剤」には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が含まれる。有機溶剤の濃度は、0.1〜30質量%が好ましい。また、公知の種々の界面活性剤を添加することもでき、この場合の界面活性剤の濃度は0.01〜10質量%が好ましい。
現像は、公知の方法により行なえ、例えば、(a)露光後、基体と共に現像浴中に浸漬する、(b)露光後にスプレー等により現像液を噴霧する、等の方法によって、更に必要に応じ溶解性を高める目的で、回転ブラシや湿潤スポンジ等で擦ったり、超音波を照射しながら行なうことができる。露光後のネガ型感光性樹脂層の不要な可溶部分の除去には、現像液中で回転ブラシで擦るか湿潤スポンジで擦る等の方法を組合せることが好適である。また、現像液の温度は20〜40℃が好ましい。
現像後には、一般に蒸留水、イオン交換水、超純水等による水洗工程を設けることが好ましい。また、現像後には更に、200〜260℃でベーク処理するのが好ましい。
次に、本発明の液晶表示装置用構成物の製造方法に係るネガ型感光性樹脂層、該ネガ型感光性樹脂層及び必要に応じて他の層を有する転写材料(転写シートを含む。以下同様)、現像液などの詳細を説明する。
〈ネガ型感光性樹脂層〉
ネガ型感光性樹脂層は、少なくとも150℃以下の温度で軟化もしくは粘着性になる層であるのが好ましく、熱可塑性の層に好適に構成することができる。このネガ型感光性樹脂層は、公知の光重合性組成物を用いて構成することができ、この光重合性組成物で構成された層の大部分は上記のような性質を有する。また、熱可塑性結合剤の添加あるいは相溶性の可塑剤の添加によって更に改質することも可能である。
ネガ型感光性樹脂層を構成する素材としては公知の、例えば特開平3−282404号公報に記載のネガ型感光性樹脂を全て使用することができる。具体的には、ネガ型ジアゾ樹脂とバインダーとからなる感光性樹脂、光重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーとを含む光重合性樹脂、アジド化合物とバインダーとからなる感光性樹脂組成物、桂皮酸型感光性樹脂組成物等が挙げられる。中でも特に好ましいのは光重合性樹脂である。また、感光性樹脂層にはアルカリ水溶液により現像可能なものと有機溶剤により現像可能なものとが知られているが、公害防止、作業環境の良化、安全性等の確保の観点から、アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましい。
本発明においては、第1のネガ型感光性樹脂層及び第2のネガ型感光性樹脂層の間で光に対する感度差(光感度)を設けることによって、第1のネガ型感光性樹脂層のみからなるパターンと、第1及び第2のネガ型感光性樹脂層からなるパターンとを同時形成が可能となる。
本発明において、光感度とは、感光性樹脂層の硬化反応を完了させるために必要なエネルギー量の逆数であり、光感度が高いと少ない光エネルギー量で感光性樹脂層が硬化する。第1のネガ型感光性樹脂層の光感度h1が第2のネガ型感光性樹脂層の光感度h2より大きいとは、第1のネガ型感光性樹脂層の硬化が第2のネガ型感光性樹脂層よりも少ない光エネルギー量で完了することを意味する。
感度差を設けない場合には、露光装置側で露光量が調節されるものの、第1及び第2のネガ型感光性樹脂層からなる積層パターンが形成されるのみで、第1のネガ型感光性樹脂層(下層)のみからなるパターンは原理的に形成できない。したがって、上記のように第1のネガ型感光性樹脂層のみ並びに第1及び第2のネガ型感光性樹脂層からなるパターンを同時に形成するには、第1のネガ型感光性樹脂層の光感度h1と第2のネガ型感光性樹脂層の光感度h2との間の光感度比h1/h2が1よりも大きくし、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、特に好ましくは8以上とする。
本発明に係るネガ型感光性樹脂層は、例えば光重合性樹脂層に構成する場合は、重合性モノマー、光重合開始剤、バインダー、及び顔料や染料等の着色剤などを用いて構成することができる。そして、ネガ型感光性樹脂層の光感度は、層中に含有される、顔料等の着色剤の含有量や光重合開始剤の含有量、重合性モノマーの含有量などによってコントロールすることができる。第1及び第2のネガ型感光性樹脂層間における感度差を光重合開始剤によって調整する場合は、第1のネガ型感光性樹脂層と第2のネガ型感光性樹脂層とにおける光重合開始剤量の比率(第1:第2)を2:1〜100:1の範囲で調整することが好ましい。
ネガ型感光性樹脂層は、例えば重合性モノマー、光重合開始剤、バインダー、及び場合により顔料や染料等の着色剤や必要に応じ他の成分を有機溶剤に溶解して塗布液を調製し、これを例えば、スピンコート法等の公知の塗布法により(例えば転写シートとするときは仮支持体上に)塗布等して層形成することができる。ネガ型感光性樹脂層に着色剤として顔料を含有する場合、含有された顔料はネガ型感光性樹脂層中に均一に分散され、その粒径としては5μm以下が好ましく、特に1μm以下が好ましい。カラーフィルタ作製用に調製する場合には、顔料は粒径が0.5μm以下であるのが好ましい。
好ましい染料及び顔料の例としては、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・イエローGT(C.I.ピグメントイエロー12)、パーマネント・イエローGR(C.I.ピグメント・イエロー17)、パーマネント・イエローHR(C.I.ピグメント・イエロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)、ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)、モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、及びカーボンを挙げることができる。
さらに、カラーフィルターの作製に好適な顔料として、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64、等を挙げることができる。
本発明の液晶表示装置用構成物の製造方法において基体上にネガ型感光性樹脂層を設ける場合、基体上に直接、ネガ型感光性樹脂層形成用に調製した調製液(例えば塗布液)を例えば公知の塗布法により塗布等して設ける以外に、予め仮支持体上にネガ型感光性樹脂層が設けられた転写シート等の転写材料を用いた転写法により、そのネガ型感光性樹脂層を基体上に転写して設けることもできる。後者で用いる転写材料(転写シートを含む)は、仮支持体上に少なくとも一層のネガ型感光性樹脂層及び必要に応じて他の層やカバーフィルムを設けて構成することができ、更には仮支持体及びネガ型感光性樹脂層の間に、熱可塑性樹脂層と中間層とを設けて仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/ネガ型感光性樹脂層/カバーフィルムの積層構造に構成されたものも好適である。
具体的には、本発明に係る工程A及び工程Bにおいて、仮支持体上に少なくともネガ型感光性樹脂層を有する転写材料(転写シートを含む)、あるいは仮支持体上に該仮支持体側から順に熱可塑性樹脂層と中間層とネガ型感光性樹脂層とを少なくとも有する転写材料(転写シートを含む)を用いて、少なくとも前記ネガ型感光性樹脂層を転写して基体上に設けることができる。また、工程Aでは、仮支持体上に少なくともネガ型感光性樹脂層を有する転写材料を用い、工程Bでは仮支持体上に該仮支持体側から順に熱可塑性樹脂層と中間層とネガ型感光性樹脂層とを少なくとも有する転写材料を用いて、基体上にネガ型感光性樹脂層を転写形成するのも好適である。
また、仮支持体上に該仮支持体側から順に、光感度h2のネガ型感光性樹脂層と光感度h1(h1/h2>1)のネガ型感光性樹脂層とを少なくとも有する転写材料(転写シートを含む。)、例えば、仮支持体/光感度h2のネガ型感光性樹脂層/光感度h1のネガ型感光性樹脂層/カバーフィルムの積層構造や、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/光感度h2のネガ型感光性樹/光感度h1のネガ型感光性樹/カバーフィルムの積層構造などに構成されたものも好適である。このような転写材料による場合、既述の工程A及び工程Bを同時に行なう工程ABによって、基体上に少なくとも前記第1及び第2のネガ型感光性樹脂層を転写して設けることができる。これにより、上記した液晶表示装置用基板を簡易に得ることができ、また、液晶表示装置用カラーフィルタ、液晶表示装置用スペーサ、及び液晶配向制御用突起等の液晶表示装置用構造物の形成用途に好適に用いることができる。
以下、転写材料(転写シートを含む)のネガ型感光性樹脂層以外の構成層について述べる。
〈熱可塑性樹脂層〉
熱可塑性樹脂層は、転写時の気泡混入を避ける目的で、一般に仮支持体の表面に第一層目として設けられ、主として熱可塑性樹脂を含んでなり、必要に応じて他の成分を含んでなるものである。本発明の工程Aでは、基体上に第1のネガ型感光性樹脂層のみを設けることが好ましいことから、仮支持体上に必ずしも熱可塑性樹脂層を設ける必要はないが設けた構成とすることも可能である。一方、工程A後の工程Bにおいて第2のネガ型感光性樹脂層を設けるにあたっては、転写時の気泡混入防止等の点で熱可塑性樹脂層が設けられていることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、転写後のアルカリ現像を可能とし、あるいは転写時の転写条件によっては熱可塑性樹脂が周囲にはみ出して被転写体(例えばITO等の導電膜)の表面を汚染してしまう場合の除去処理を可能とする観点から、アルカリ性水溶液に可溶な樹脂が好適である。さらに熱可塑性樹脂層は、被転写体上に転写、例えば導電膜が存在する基板の表面に転写する際など、導電膜からなるパターンで形成された凹凸に起因して生ずる転写不良を防止するクッション材として機能させる観点から、転写時の加熱、密着の過程で凹凸に応じて変形し得る充分な可塑性を有することが好ましい。
上記の点から、前記熱可塑性樹脂としては、アルカリ可溶性であって、実質的な軟化点が80℃以下の樹脂が好ましい。転写材料は既述のように、仮支持体上に熱可塑性樹脂層以外に、後述する中間層やネガ型感光性樹脂層を順次積層して構成することができるが、熱可塑性樹脂層と仮支持体との間の接着強度は他の層間における接着強度よりも小さくすることが必要となる場合があり、この場合には貼り合せた後仮支持体を容易かつ熱可塑性樹脂層表面の破壊を伴なうことなく除去することができる。これにより、仮支持体除去後のネガ型感光性樹脂層への露光を均一に行なうことが可能となる点で重要である。
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂及び必要に応じ他の成分を有機溶剤に溶解して調製液(例えば熱可塑性樹脂層形成用の塗布液)とし、これを例えば、スピンコート法等の公知の塗布法により仮支持体上に塗布等して形成することができる。熱可塑性樹脂層の層厚は6〜100μmが好ましく、6〜50μmがより好ましい。層厚を上記範囲とすることにより、1μm以上の凹凸をも完全に吸収して転写を良好に行なうことが可能となり、現像性、製造適性が低下することもない。
〈中間層〉
中間層は、ネガ型感光性樹脂層及び熱可塑性樹脂層には有機溶剤が用いられるため、両層が互いに混ざり合うのを防止する目的で設けることができる。本発明の工程Aでは、基体上に第1のネガ型感光性樹脂層のみを設けることが好ましいことから、仮支持体上に必ずしも中間層を設ける必要はないが設けた構成とすることも可能である。一方、工程A後の工程Bにおいて第2のネガ型感光性樹脂層を設けるにあたっては、中間層が設けられていることが好ましい。
中間層は、水もしくはアルカリ水溶液に分散、溶解するものであればよく、酸素透過性の低いものが好ましい。また、中間層は、水もしくはアルカリ水溶液に分散、溶解可能な樹脂成分を主に構成することができ、必要に応じて界面活性剤等の他の成分を用いて構成できる。中でも特に、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを組合せてなる層が特に好ましい。前記ポリビニルアルコールとしては、鹸化率が80%以上のものが好ましい。また、ポリビニルピロリドンを含む場合の含有量は、中間層の固形体積の1〜75%が好ましく、1〜60%がより好ましく、10〜50%が最も好ましい。
中間層はその酸素遮断能が低下すると、ネガ型感光性樹脂層の重合感度が低下して露光時の光量を上げる必要が生じたり、露光時間を長くする必要が生ずるばかりか、解像度の低下をも招来するため、酸素透過率の小さいことが好ましい。
前記中間層の層厚としては0.1〜5μm程度が好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。該層厚を上記範囲にすることにより、酸素透過性が高すぎてネガ型感光性樹脂層の重合感度が低下することがなく、現像や中間層除去時に長時間を要することもない。
〈仮支持体〉
転写シートを構成する仮支持体は、ネガ型感光性樹脂層又は中間層との間で容易に剥離可能な性状を有するものが好ましい。かかる観点からは、例えばゼラチン、SBRレジン等が下塗りされてなるものが好適であり、中でもゼラチン層が設けられてなるものが最も好ましい。また、コロナ表面処理された仮支持体も使用できる。また、熱可塑性樹脂層が設けられる場合には、熱可塑性樹脂層に対し転写の支障とならない程度の剥離性があるものが好ましい。かかる観点からは、仮支持体と熱可塑性樹脂層との間に良好な剥離性を確保する目的で、グロー放電等の表面処理や、ゼラチン等の下塗りが施されていないものが好ましい。
上記以外に、仮支持体は化学的、熱的に安定で可撓性を有するものが好ましく、具体的には、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄膜シート又はこれらの積層体が好適に挙げられる。仮支持体の厚みとしては、5〜300μmが好ましく、10〜150μmがより好ましい。
〈カバーフィルム〉
ネガ型感光性樹脂層の露出面には、保管等の際の汚れや損傷から保護する目的で、カバーフィルムを設けることが好ましい。カバーフィルムは、ネガ型感光性樹脂層から容易に剥離可能なものの中から選択でき、前記仮支持体と同一又は類似の材料からなるものであってもよい。具体的には、例えばシリコーン紙、ポリオレフィン又はポリテトラフルオロエチレンシート等が好ましく、中でもポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムがより好ましい。
カバーフィルムの厚みとしては、約5〜100μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
液晶表示装置用構造物は、上記した本発明の液晶表示装置用構成物の製造方法によって形成されたものであり、例えば、液晶表示装置用カラーフィルタ、液晶表示装置用スペーサ、及び液晶配向制御用突起が含まれる。
以下、前記液晶表示装置用構造物として、液晶表示装置用カラーフィルタ、液晶表示装置用スペーサ、及び液晶配向制御用突起を例に図面を参照して述べる。
図18に液晶表示装置用カラーフィルタの構成例を示す。このカラーフィルタは、転写シートを光透過性基板10Aと接するように貼り合わせてラミネートすることにより、光透過性基板10A上に順次、光感度の高い第1のネガ型感光性着色樹脂層(第1着色層)とこれに対し相対的に光感度の低い第2のネガ型感光性着色樹脂層(第2着色層)とを設けた後、上記した工程Cにおいて光透過性基板10Aの着色層が設けられた側から、反射型液晶表示部位となる領域には低エネルギー量にて、透過型液晶表示部位となる領域には高エネルギー量にてレーザー露光し、その後現像することによって得られたものである。すなわち、反射型液晶表示部位となる領域は第1着色層のみが残って画素部14Bで構成され、透過型液晶表示部位となる領域は第1及び第2着色層が残って画素部14Aで構成されており、画素部14Aとこれを挟む二つの画素部14Bとで着色画素(R,G,又はB)14が形成されている。図18のように、第1着色層と第2着色層とが残った画素部14Aは、第1着色層のみが残った画素部14Bに比して厚みが第2着色層の厚み分だけ厚くなっており、画素部14Aは透過型に、画素部14Bは反射型に好適な膜厚で形成されている。
液晶表示装置用スペーサ、及び液晶配向制御用突起は、液晶表示装置の内部である液晶層に配設して利用されるものである。液晶表示装置は一般に、例えばカラーフィルタ及び該カラーフィルタ上に設けられる導電層(例えば透明画素電極)を備えたフィルタ側基板と、これと向き合うように対向配置される導電層(例えば透明共通電極)付き対向基板との2枚の基板(フィルタ側基板及び対向基板のいずれかに薄膜トランジスタ(TFT)等の駆動素子が設けられていてもよい)によって液晶層を狭持するようにして構成されている。
本発明では、基体上に設けられる第1及び第2のネガ型感光性樹脂層を透明の感光性樹脂材料を用いて構成し、既述の工程A及び工程B(又は工程AB)、工程C、並びに工程Dを経ることによって、液晶表示装置用スペーサ及び液晶配向制御用突起を同時に設けることができる。スペーサは、液晶層の厚み(セルギャップ)を一定間隔に保持するための柱状構造物であり、表示領域の全域に一定に設けられる。また、液晶配向制御用突起は、液晶層中の液晶分子の配向の向きを規制し、表示面の観察位置(視野角)に依存しない広視野角を確保するための構造物である。具体的には、以下のようにして作製できる。
ガラス基板に予め形成されたカラーフィルタ膜上に、ITO膜をスパッタリングにより形成し、仮支持体上に熱可塑性樹脂層と中間層と第1の感光性透明樹脂層(光感度h1)とカバーフィルムとが順次積層された感光性転写材料Aのカバーフィルムを剥離し、第1の感光性透明樹脂層の表面がITO膜の膜面と接するようにラミネータを用いて加圧、加熱して貼り合わせ(ラミネート)、カラーフィルタ膜上に第1の感光性透明樹脂層のみを転写する。続いて、仮支持体上に熱可塑性樹脂層と中間層と第2の感光性透明樹脂層(光感度h2)とカバーフィルムとが順次積層された感光性転写材料Bのカバーフィルムを剥離し、第1の感光性透明樹脂層表面に第2の感光性透明樹脂層の表面が接するように貼り合わせ(ラミネート)、仮支持体と熱可塑性樹脂層との界面で剥離して、第1の感光性透明樹脂層/第2の感光性透明樹脂層/中間層/熱可塑性樹脂層の積層状態となるように転写する。この場合、第1の感光性透明樹脂層と第2の感光性透明樹脂層の光感度が異なっており、既述のように光感度比h1/h2>1であり、好ましくは2以上である。そして、露光、現像して熱可塑性樹脂層及び中間層と感光性透明樹脂層の不要部とを除去し、ITO上に第1の感光性透明樹脂層のみからなる透明凸状の配向制御用パターンと、第1及び第2の両層が積層されてなる透明柱状のスペーサパターンとを形成する。その後必要に応じ、200〜260℃で20〜150分ベーク処理する。これにより、ITO上に配向制御用突起とスペーサとを同時に形成できる。
また、感光性転写材料A及びBに代えて、仮支持体上に熱可塑性樹脂層と第1の中間層と第2の感光性透明樹脂層(光感度h2)と第2の中間層と第1の感光性透明樹脂層(光感度h1;光感度比h1/h2>1であり、好ましくは2以上である。)とカバーフィルムとが順次積層された感光性転写材料を用いることもでき、この場合には、第1及び第2の感光性透明樹脂層を一工程で形成できると共に、前記同様にITO上に配向制御用突起とスペーサとを同時に形成できる。
図19に液晶表示装置用スペーサ及び液晶配向制御用突起の構成例を示す。これらは、転写シートを10Bのカラーフィルタ膜14上の導電性膜(不図示)と接するように貼り合わせてラミネートすることにより、導電性膜側から順次、光感度の高い第1のネガ型感光性透明樹脂層(第1透明層)とこれに対し相対的に光感度の低い第2のネガ型感光性透明樹脂層(第2透明層)とを設けた後、上記した工程Cにおいて光透過性基板10Bの透明層が設けられた側から、配向制御用突起部位となる領域には低エネルギー量にて、スペーサ部位となる領域には高エネルギー量にてレーザー露光し、その後現像することによって同時に形成されたものである。すなわち、配向制御用突起部位となる領域は第1透明層のみが残った凸部24で構成され、スペーサ部位となる領域は第1及び第2透明層が残った柱部22で構成されている。図19のように、第1透明層と第2透明層とが残った柱部22は、第1透明層のみが残った凸部24に比して厚みが第2透明層の厚み分だけ厚くなっている。ネガ型感光性透明樹脂層の各々の厚みを適宜所望に応じて選択することで、好適な厚み、つまり高さを持つ配向制御用突起あるいはスペーサを形成することができる。
前記液晶表示装置は、上記した前記液晶表示装置用構造物を設けて構成されたものである。本発明の液晶表示装置用構成物の製造方法により得られた液晶表示装置用構造物を用いるので、製造を簡便に低コストで行なえ、高い解像度を有するものである。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1) :カラーフィルタ
−転写シートの作製−
厚さ0.2μmのゼラチン層が下塗りされた、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)のゼラチン層の表面に、下記の処方H1よりなる塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥層厚20μmの熱可塑性樹脂層を塗設した。
〔熱可塑性樹脂層の処方H1〕
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 …15部
(共重合比[モル比]=55/4.5/11.7/28.8、重量平均分子量90000)
・ポリプロピレングリコールジアクリレート(平均分子量=822)
… 6.5部
・テトラエチレングリコールジメタクリレート … 1.5部
・p−トルエンスルホンアミド … 0.5部
・ベンゾフェノン … 1.0部
・メチルエチルケトン …30部
次に、塗設した熱可塑性樹脂層上に下記処方B1よりなる塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥層厚1.6μmの中間層を塗設した。
〔中間層の処方B1〕
・ポリビニルアルコール … 130部
(PVA−205(鹸化率=80%)、(株)クラレ製)
・ポリビニルピロリドン … 60部
(K−90、GAFコーポレーション社製)
・フッ素系界面活性剤 … 10部
(サーフロンS−131、旭硝子(株)製)
・蒸留水 …3350部
上記のようにして、予め熱可塑性樹脂層及び中間層を設けたPET仮支持体を3枚用意し、それぞれの中間層上に、下記表1に示す処方よりなる赤色層(R1層)用、緑色層(G1層)用、又は青色層(B1層)用のネガ型感光性樹脂溶液をさらに塗布、乾燥させて、層厚1.2μmのネガ型感光性樹脂層R1,B1,G1を塗設し、塗設された各色のネガ型感光性樹脂層(R1,B1又はG1)上に更に、ポリプロピレン(厚さ12μm)のカバーフィルムを圧着し、熱可塑性樹脂層/中間層/ネガ型感光性樹脂層(R1、B1又はG1)が積層されてなる3種の感光性転写シートR1,B1,G1を作製した。
次に、上記とは別に厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体を用意し、そのPET面に前記処方H1よりなる塗布液を塗布、乾燥させて乾燥層厚20μmの熱可塑性樹脂層を塗設し、更にこの熱可塑性樹脂層上に前記処方B1よりなる塗布液を塗布、乾燥させて乾繰層厚1.6μmの中間層を塗設した。このように、熱可塑性樹脂層及び中間層が設けられた仮支持体を3枚用意し、それぞれの中間層上に、下記表2に示す処方よりなる赤色層(R2層)用、緑色層(G2層)用、又は青色層(B2層)用のネガ型感光性樹脂溶液をさらに塗布、乾燥させ、層厚1.2μmのネガ型感光性樹脂層を塗設した。その後、各色のネガ型感光性樹脂層上に更にポリプロピレン(厚さ12μm)のカバーフィルムを圧着し、熱可塑性樹脂層/中間層/ネガ型感光性樹脂層(R2、B2又はG2)が積層されてなる3種の感光性転写シートR2,B2,G2を作製した。
上記において、感光性転写シートR1,B1,G1の各ネガ型感光性樹脂層の光感度h1と感光性転写シートR2,B2,G2の各ネガ型感光性樹脂層の光感度h2との、各色間における光感度比h1/h2は10となるように調整してある。
−露光装置の準備−
既述したように、図1〜図17に示すように、405nmのレーザ光の出射が可能なファイバアレイ光源66と入射されたレーザビームを画像データに応じて変調する空間光変調素子であるデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)50とデータ処理部及びミラー駆動制御部を有し、DMDと繋がる図示しないコントローラとDMDで反射されたレーザー光を被露光面に結像するレンズ系54とを設けて構成され、図示しないコントローラにより制御して被露光面に対して所定方向と交差する方向に相対移動させて露光する露光ヘッド(本発明に係る露光ユニット)166を備えた露光装置を準備した。
−カラーフィルタの作製−
上記より得た6種の感光性転写シートを用いて、次のようにしてカラーフィルタを作製した。
まず、感光性転写シートR1のカバーフィルムを剥離し、露出したネガ型感光性樹脂層R1の表面を透明なガラス基板(厚さ1.1mm)にラミネーター(VP−II、大成ラミネータ(株)製)を用いて加圧(0.8kg/cm2)、加熱(130℃)しながら貼り合わせ、続いて中間層とネガ型感光性樹脂層R1との界面で剥離し、ガラス基板上に赤色のネガ型感光性樹脂層R1のみを転写した(工程A)。引き続いて、感光性転写シートR2のカバーフィルムを剥離し、ネガ型感光性樹脂層R1の表面に露出したネガ型感光性樹脂層R2が接するように上記と同様にして貼り合わせた後、仮支持体と熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、ガラス基板上にネガ型感光性樹脂層R1/ネガ型感光性樹脂層R2/中間層/熱可塑性樹脂層となるように転写した(工程B)。
次に、既述のように構成された露光装置により、波長405nmのレーザ光で4mJ/cm2、40mJ/cm2のエネルギー量にて露光した(工程C)。露光は、1画素として40mJ/cm2での露光を200×300μmの領域に、4mJ/cm2での露光をその中央部(100×200μm)に行なった。その後、現像液PD2(富士写真フイルム(株)製)を用いて熱可塑性樹脂層及び中間層を除去した。この際、ネガ型感光性樹脂層は実質的に現像されていなかった。次いで、CD1(富士写真フイルム(株)製)を用いてネガ型感光性樹脂層の不要部を現像除去し、更にSD1(富士写真フイルム(株)製)を用いて仕上げ処理(ブラシ処理)を行なうことによって(工程D)、ガラス基板上にネガ型感光性樹脂層R1のみの赤色パターン(反射表示部)と、ネガ型感光性樹脂層R1及びR2が積層された赤色パターン(透過表示部)とを形成した。
引き続き、赤色パターンが形成されたガラス基板上に、感光性転写シートG1、G2を上記と同様に順次貼り合わせ、剥離、露光、現像(工程A〜D)を繰り返し行なって、ネガ型感光性樹脂層G1のみの緑色パターン(反射表示部)と、ネガ型感光性樹脂層G1及びG2が積層された緑色パターン(透過表示部)とを形成した。また、感光性転写シートB1、B2を用いて上記同様の操作(工程A〜D)を繰り返し、赤色パターン及び緑色パターンが形成された透明ガラス基板上にネガ型感光性樹脂層B1のみの青色パターン(反射表示部)と、ネガ型感光性樹脂層B1及びB2が積層された青色パターン(透過表示部)とを形成し、RGBよりなる反射・透過両用のカラーフィルタを得た。
以上のように、表示上一画素をなす領域内に、各色ごとに部分的に厚みを異にして反射表示部と透過表示部とが設けられてなる色画素(R,G,B)で構成されたカラーフィルタを簡便にかつ高い解像度で形成することができた。
(実施例2) :カラーフィルタ
実施例1において、「−転写シートの作製−」で用いたPET仮支持体を下塗りが施されていない厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体に代え、この仮支持体の表面に熱可塑性樹脂層及び中間層を予め塗設せず直接、前記表1に示す処方よりなる赤色層(R1層)用、緑色層(G1層)用、又は青色層(B1層)用のネガ型感光性樹脂溶液を塗布し、乾燥させて層厚1.2μmのネガ型感光性樹脂層R1,B1,G1を塗設するようにしたこと以外、実施例1と同様にして、カラーフィルタを作製した。
(実施例3) :スペーサ及び液晶配向制御用突起
−転写シートの作製−
厚さ0.2μmのゼラチン層が下塗りされた、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)のゼラチン層の表面に、実施例1と同様に調製した処方H1よりなる塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥層厚20μmの熱可塑性樹脂層を塗設し、更にこの熱可塑性樹脂層上に実施例1と同様に調製した処方B1よりなる塗布液を塗布、乾燥させて乾繰層厚1.6μmの中間層を塗設した。このように、熱可塑性樹脂層及び中間層が設けられた仮支持体の中間層上に、下記表3に示す処方よりなる透明層(A1層)用のネガ型感光性透明樹脂溶液をさらに塗布、乾燥させ、層厚1.2μmのネガ型感光性透明樹脂層A1を塗設した。その後、ネガ型感光性透明樹脂層A1上に更にポリプロピレン(厚さ12μm)のカバーフィルムを圧着し、熱可塑性樹脂層/中間層/ネガ型感光性透明樹脂層A1が積層されてなる感光性転写シートA1を作製した。
次に、上記とは別に厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体を用意し、そのPET面に上記同様に前記処方H1よりなる塗布液を塗布、乾燥させて乾燥層厚20μmの熱可塑性樹脂層を塗設し、更に同様にこの熱可塑性樹脂層上に前記処方B1よりなる塗布液を塗布、乾燥させて乾繰層厚1.6μmの中間層を塗設した。このように、熱可塑性樹脂層及び中間層が設けられた仮支持体の中間層上に、下記表4に示す処方よりなる透明層(P1層)用のネガ型感光性透明樹脂溶液をさらに塗布、乾燥させ、層厚4.0μmのネガ型感光性透明樹脂層P1を塗設した。その後、ネガ型感光性透明樹脂層P1上に更にポリプロピレン(厚さ12μm)のカバーフィルムを圧着し、熱可塑性樹脂層/中間層/ネガ型感光性透明樹脂層P1が積層されてなる感光性転写シートP1を作製した。
上記において、感光性転写シートA1のA1層の光感度h1と感光性転写シートP1のP1層の光感度h2との光感度比h1/h2は10となるように調整してある。
−スペーサ及び液晶配向制御用突起の作製−
これらの感光性転写シートを用いて、予めガラス基板(0,7mm厚のガラス)上に形成しておいたカラーフィルタ上に、実施例1と同様の露光装置による下記方法でスペーサと液晶配向制御用突起を形成した。
まず、予め形成されたカラーフィルタ上にITO膜を20Ω/□となるようにスパッタリングにより形成した。感光性転写シートA1のカバーフィルムを剥離し、露出したネガ型感光性透明樹脂層A1の表面をITO膜にラミネーター(VP−II、大成ラミネータ(株)製)を用いて加圧(0.8kg/cm2)、加熱(130℃)しながら貼り合わせ、続いて中間層とネガ型感光性透明樹脂層A1との界面で剥離し、ガラス基板上に透明のネガ型感光性透明樹脂層A1のみを転写した(工程A)。引き続いて、感光性転写シートP1のカバーフィルムを剥離し、ネガ型感光性透明樹脂層A1の表面に、露出したネガ型感光性透明樹脂層P1が接するように上記と同様にして貼り合わせた後、仮支持体と熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、ガラス基板上にネガ型感光性透明樹脂層A1/ネガ型感光性透明樹脂層P1/中間層/熱可塑性樹脂層となるように転写した(工程B)。
次に、既述のように構成された露光装置により、波長405nmのレーザ光で4mJ/cm2、40mJ/cm2のエネルギー量にて露光した(工程C)。その後、現像液PD2(富士写真フイルム(株)製)を用いて熱可塑性樹脂層及び中間層を除去した。この際、ネガ型感光性透明樹脂層は実質的に現像されていなかった。次いで、CD1(富士写真フイルム(株)製)を用いてネガ型感光性透明樹脂層の不要部を現像除去し、更にSD1(富士写真フイルム(株)製)を用いて仕上げ処理(ブラシ処理)を行なうことによって(工程D)、ガラス基板上にネガ型感光性透明樹脂層A1のみの透明パターン(液晶配向制御用突起部)と、ネガ型感光性透明樹脂層A1及びP1が積層された透明パターン(スペーサ部)とを形成した。
次いで、240℃で50分間ベーキングし、ITO膜上に高さ3.7μmのスペーサと高さ1.0μmの液晶配向制御用突起を形成した。
以上のように、高さ(厚み)の異なるスペーサ及び液晶配向制御用突起を簡易かつ同時に形成することができ、形成されたスペーサ及び液晶配向制御用突起は高精細であった。
(実施例4) :スペーサ及び液晶配向制御用突起
実施例3において、「−転写シートの作製−」で用いたPET仮支持体を下塗りが施されていない厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体に代え、この仮支持体の表面に熱可塑性樹脂層及び中間層を予め塗設せず直接、前記表3に示す処方よりなる透明層(A1層)用のネガ型感光性樹脂溶液を塗布し、乾燥させて層厚1.2μmのネガ型感光性透明樹脂層A1を塗設するようにしたこと以外、実施例3と同様にして、スペーサ及び液晶配向制御用突起を形成した。
(実施例5)
実施例3において、露光装置のファイバアレイ光源66を405nmのレーザ光と365nmのレーザ光の出射が可能なように構成すると共に、「−スペーサ及び液晶配向制御用突起の作製−」の、2値のエネルギー量でレーザー露光する工程Cに代え、工程Bの後に露光装置によりネガ型感光性透明樹脂層P1を波長405nmのレーザ光で40mJ/cm2のエネルギー量にて露光すると同時に、ネガ型感光性透明樹脂層A1を波長365nmのレーザ光で4mJ/cm2のエネルギー量にて露光する(工程E)ようにしたこと以外、実施例3と同様にして、スペーサ及び液晶配向制御用突起を形成した。
なお、実施例3において、ネガ型感光性透明樹脂層A1は330〜390nmの波長領域に実質的な感度を有するように構成されており、ネガ型感光性透明樹脂層P1は、330〜415nmの波長領域に実質的な感度を有するように構成されている。
現像後のガラス基板上には、ネガ型感光性透明樹脂層A1のみの透明パターン(365nmのレーザ光による硬化部;液晶配向制御用突起部)と、ネガ型感光性透明樹脂層A1及びP1が積層された透明パターン(405nmのレーザ光による硬化部;スペーサ部)とが形成された。
本実施例でも、高さ(厚み)の異なるスペーサ及び液晶配向制御用突起を簡易かつ同時に形成することができ、形成されたスペーサ及び液晶配向制御用突起は高精細であった。
(実施例6) :カラーフィルタ
−転写シートの作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)に、実施例1と同様の処方H1、処方B1よりなる塗布液を用いて、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂層及び中間層を塗設した。
次に、前記中間層の上に、実施例1における前記表2に示す処方よりなる赤色層(R2層)用、緑色層(G2層)用、又は青色層(B2層)用のネガ型感光性樹脂溶液をそれぞれ層厚1.2μmとなるように塗布して、ネガ型感光性樹脂層R2,B2又はG2を塗設した。このとき、PET仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/ネガ型感光性樹脂層(R2、B2又はG2)の積層構造に構成されている。
続いて、下記の処方M2なる第2中間層用の塗布液を調製し、これをネガ型感光性樹脂層(R2、B2又はG2)の各々の上に更に塗布し、乾燥させて、厚み1.0μmの第2中間層を設けた。
〔第2中間層の処方M2〕
・ポリビニルアルコール … 130部
(PVA−205(鹸化率=80%)、(株)クラレ製)
・ポリビニルピロリドン … 90部
(K−90、GAFコーポレーション社製)
・フッ素系界面活性剤 … 10部
(サーフロンS−131、旭硝子(株)製)
・蒸留水 …3350部
この第2中間層上に更に、実施例1における前記表1に示す赤色層(R1層)用、緑色層(G1層)用、又は青色層(B1層)用のネガ型感光性樹脂溶液をそれぞれ層厚1.2μmとなるように塗布して、ネガ型感光性樹脂層R1,B1又はG1を塗設した。そして、塗設された各色のネガ型感光性樹脂層(R1,B1又はG1)上に更に、厚さ12μmのポリプロピレンフィルムを圧着し、カバーフィルムを設けた。
以上のようにして、PET仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/ネガ型感光性樹脂層(R2、B2又はG2)/第2中間層/ネガ型感光性樹脂層(R1、B1又はG1)の積層構造に構成された3種の感光性転写シートR,B,Gを作製した。
上記において、感光性転写シートR,B,Gの、R1、G1、B1の各ネガ型感光性樹脂層の光感度h1と、R2,B2,G2の各ネガ型感光性樹脂層の光感度h2との、各色における光感度比h1/h2が10となるように調整してある。
−露光装置の準備−
既述したように、図1〜図17に示すように、405nmのレーザ光の出射が可能なファイバアレイ光源66と入射されたレーザビームを画像データに応じて変調する空間光変調素子であるデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)50とデータ処理部及びミラー駆動制御部を有し、DMDと繋がる図示しないコントローラとDMDで反射されたレーザー光を被露光面に結像するレンズ系54とを設けて構成され、図示しないコントローラにより制御して被露光面に対して所定方向と交差する方向に相対移動させて露光する露光ヘッド(本発明に係る露光ユニット)166を備えた露光装置を準備した。
−カラーフィルタの作製−
上記より得た3種の感光性転写シートを用いて、次のようにしてカラーフィルタを作製した。
まず、感光性転写シートRのカバーフィルムを剥離し、露出したネガ型感光性樹脂層R1の表面を透明なガラス基板(厚さ1.1mm)にラミネーター(VP−II、大成ラミネータ(株)製)を用いて加圧(0.8kg/cm2)、加熱(130℃)しながら貼り合わせ、続いて仮支持体と熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、ガラス基板上にネガ型感光性樹脂層R1/第2中間層/ネガ型感光性樹脂層R2/中間層/熱可塑性樹脂層となるように転写した(工程AB)。
次に、既述のように構成された露光装置により、波長405nmのレーザ光で4mJ/cm2、40mJ/cm2のエネルギー量にて露光した(工程C)。露光は、1画素として40mJ/cm2での露光を200×300μmの領域に、4mJ/cm2での露光をその中央部(100×200μm)に行なった。その後、現像液PD2(富士写真フイルム(株)製)を用いて熱可塑性樹脂層及び中間層を除去した。この際、ネガ型感光性樹脂層は実質的に現像されていなかった。次いで、CD1(富士写真フイルム(株)製)を用いてネガ型感光性樹脂層の不要部を現像除去し、更にSD1(富士写真フイルム(株)製)を用いて仕上げ処理(ブラシ処理)を行なうことによって(工程D)、ガラス基板上にネガ型感光性樹脂層R1のみの赤色パターン(反射表示部)と、ネガ型感光性樹脂層R1、第2中間層、及びネガ型感光性樹脂層R2が積層されてなる赤色パターン(透過表示部)とを形成した。
引き続き、赤色パターンが形成されたガラス基板のパターン形成面側に、感光性転写シートGを上記と同様にして貼り合わせると共に、剥離、露光、現像(工程AB〜D)を繰り返し行なって、ネガ型感光性樹脂層G1のみの緑色パターン(反射表示部)と、ネガ型感光性樹脂層G1、第2中間層及びネガ型感光性樹脂層G2が積層されてなる緑色パターン(透過表示部)とを形成した。さらに、感光性転写シートBを用いて上記と同様の操作(工程AB〜D)を繰り返して、赤色パターン及び緑色パターンが形成されたガラス基板のパターン形成面側に更に、ネガ型感光性樹脂層B1のみの青色パターン(反射表示部)と、ネガ型感光性樹脂層B1、第2中間層及びネガ型感光性樹脂層B2が積層されてなる青色パターン(透過表示部)とを形成し、RGBよりなる反射・透過両用のカラーフィルタを得た。
以上のように、表示上一画素をなす領域内に、各色ごとに部分的に厚みを異にして反射表示部と透過表示部とが設けられてなる色画素(R,G,B)で構成されたカラーフィルタを簡便にかつ高い解像度で形成することができた。
(実施例7) :スペーサ及び液晶配向制御用突起
−転写シートの作製−
厚さ0.2μmのゼラチン層が下塗りされた、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)のゼラチン層の表面に、実施例1と同様の処方H1よりなる塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥層厚20μmの熱可塑性樹脂層を塗設し、更にこの熱可塑性樹脂層上に実施例1と同様の処方B1よりなる塗布液を塗布、乾燥させて乾繰層厚1.6μmの中間層を塗設した。
このように、熱可塑性樹脂層及び中間層が設けられた仮支持体の中間層上に、実施例3における前記表4に示す処方よりなる透明層(P1層)用のネガ型感光性透明樹脂溶液をさらに塗布、乾燥させ、層厚4.0μmのネガ型感光性透明樹脂層P1を塗設した。その後、このネガ型感光性透明樹脂層P1上に、実施例6における前記処方M2よりなる第2中間層用の塗布液を塗布し、乾燥させて、厚み1.0μmの第2中間層を設置した。次に、実施例3における前記表3に示す処方よりなる透明層(A1層)を乾燥層厚1.2μmにて設けた。その後、透明層上に厚さ12μmのポリプロピレンフィルムを圧着し、カバーフィルムを設けた。
以上のようにして、PET仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/ネガ型感光性透明樹脂層P1/第2中間層/ネガ型感光性透明樹脂層A1の積層構造に構成された感光性転写シートを作製した。
上記において、感光性転写シートのA1層の光感度h1と感光性転写シートのP1層の光感度h2との光感度比h1/h2が10となるように調整してある。
−スペーサ及び液晶配向制御用突起の作製−
上記より得た感光性転写シートを用いて、予めガラス基板(0,7mm厚のガラス)上に形成しておいたカラーフィルタ上に、実施例1と同様の露光装置を用いた下記方法によりスペーサと液晶配向制御用突起を形成した。
まず、予め形成されたカラーフィルタ上にITO膜を、20Ω/□となるようにスパッタリングにより形成した。感光性転写シートのカバーフィルムを剥離し、露出したネガ型感光性透明樹脂層A1の表面をITO膜にラミネーター(VP−II、大成ラミネータ(株)製)を用いて加圧(0.8kg/cm2)、加熱(130℃)しながら貼り合わせた後、仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、ガラス基板上にネガ型感光性透明樹脂層A1/第2中間層/ネガ型感光性透明樹脂層P1/中間層/熱可塑性樹脂層となるように転写した(工程AB)。
次に、既述のように構成された露光装置により、波長405nmのレーザ光で4mJ/cm2、40mJ/cm2のエネルギー量にて露光した(工程C)。その後、現像液PD2(富士写真フイルム(株)製)を用いて熱可塑性樹脂層及び中間層を除去した。この際、ネガ型感光性透明樹脂層は実質的に現像されていなかった。次いで、CD1(富士写真フイルム(株)製)を用いてネガ型感光性透明樹脂層の不要部を現像除去し、更にSD1(富士写真フイルム(株)製)を用いて仕上げ処理(ブラシ処理)を行なうことによって(工程D)、ガラス基板上にネガ型感光性透明樹脂層A1のみの透明パターン(液晶配向制御用突起部)と、ネガ型感光性透明樹脂層A1、第2中間層、及びネガ型感光性透明樹脂層P1が積層された透明パターン(スペーサ部)とを形成した。
次いで、240℃で50分間ベーキングし、ITO膜上に高さ4.7μmのスペーサと高さ1.0μmの液晶配向制御用突起を形成した。
以上のように、高さ(厚み)の異なるスペーサ及び液晶配向制御用突起を簡易かつ同時に形成することができ、形成されたスペーサ及び液晶配向制御用突起は高精細であった。