JP4682697B2 - エンジンの吸気制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの運転状態に応じて吸気弁のリフト量を変化させるようにしたエンジンの吸気制御装置に関し、特にノッキングに対処するための制御技術の分野に属する。
従来より、例えば特許文献1などに開示されるように、エンジンの動弁系に、吸気弁のリフト量や開閉時期を連続的に変化させるリフト可変機構を設けたものは知られている。このものでは、吸気側カムシャフトの偏心カムの動作をリンクを介して揺動カムに伝達し、この揺動カムによって吸気弁を開閉するようにしている。そして、前記リンクの支点の位置を変更することによって揺動カムの揺動軌跡を可変とし、これにより前記吸気弁のリフト量などを連続的に変化させるようにしている。
すなわち、同文献の図5などに示されているように、前記のリフト可変機構では、吸気弁のリフト量の増大とともに開弁期間も広がって、その閉時期が遅角するようになっている。そして、そのようなリフト可変機構は、エンジンの運転状態に応じて通常、出力要求の高い高負荷乃至高回転側ほどリフト量が大きくなるように制御される。
一方、上記のように動弁系に可変機構を備えたエンジンにおいて、加速運転に伴いノッキングが発生したときに、吸気弁のリフト量を減少させたり、吸排気弁の開閉時期を変更したりすることで、気筒の有効圧縮比を低下させ、或いは残留ガス量を増やして、ノッキングを抑制するという技術も知られている(例えば特許文献2を参照)。
特開2004−301058号公報 特開2004−052677号公報
ところが、前記前者の従来例(特許文献1)のようなリフト可変機構を備えたエンジンにおいて、その加速運転による負荷及び回転数の上昇に応じて吸気弁のリフト量を増大させるときに、それを一時的とはいえ減少させると、これによりノッキングを抑制することはできても、その後、再びリフト量を増大させるのに余分な時間が掛かってしまい、その分、エンジン回転の吹け上がりが鈍くなって加速フィーリングを損なうことになる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンの運転状態に応じて吸気弁のリフト特性を変更するようにした吸気制御装置において、加速運転時のノッキングを抑制しながら、これに伴う出力の低下を最小限に抑えて、良好な加速フィーリングを得ることにある。
前記の目的を達成するために、本願の発明者は、前記前者の従来例(特許文献1)のようなリフト可変機構を備えたエンジンがノッキングの発生しやすい運転状態、即ち例えば低回転域において全負荷状態となったときには、全負荷であっても吸気弁は最大リフトにはなっておらず、そのため、吸気弁のリフト量を減少させるのと同じように、リフト量を増大させることによっても気筒の有効圧縮比が低下することに着目した。
詳しくは、前記従来例のように吸気弁のリフト量の増大とともに、開弁期間も広がって閉時期が遅角するリフト可変機構では、エンジン負荷の増大に応じてリフト量を大きくすることは勿論であるが、それだけではなくて、エンジン回転の上昇に応じて開弁期間を拡大するとともに、閉時期を下死点以降まで遅角させるのがよい。これは、エンジン回転数が高いときにはクランク角で見た開弁期間が同じであっても、その時間は短くなるからであり、また、高回転域では吸気流の慣性が大きくて、下死点以降でも気筒に吸気が流入するからである。
一方、低回転域では吸気流の慣性が小さいため、下死点以降まで吸気弁を開いていても気筒に吸気が流入し難く、むしろ吸気ポートへ吸気が吹き戻されて、充填効率が低下する虞れがある。従って、低回転域でエンジン出力を高めるためには吸気弁を気筒の下死点近傍で閉じるのがよく、そのために、リフト量を最大にはせずに、最大及び最小の中間的なリフト量とするのである。
言い換えると、前記のようなリフト可変機構を備えたエンジンが低回転域で急加速運転に対応して例えば全負荷状態になり、ノッキングの発生が懸念されるような状況では、吸気弁のリフト量を前記中間のリフト量から増大させることによって、その閉時期が下死点よりも遅角側に移行し、これにより吸気の充填効率を低下させることができ、これにより有効圧縮比が低下して、ノッキングが抑制されるものである。
そこで、本発明は、エンジンの吸気弁のリフト特性を、リフト量の増大とともに開弁期間も広がって閉時期が遅角するように変更するリフト可変機構と、エンジンの運転状態に応じて、高負荷乃至高回転側ほどリフト量が増大するように前記リフト可変機構を制御するリフト制御手段と、を備えたエンジンの吸気制御装置を前提として、
エンジンの加速運転に伴うノッキングを判定する判定手段と、この判定手段によりノッキングが判定され、かつ吸気弁の閉時期が下死点よりも進角側に設定されている場合に、前記リフト制御手段によるリフト可変機構の制御目標値を、吸気弁の閉時期が下死点よりも遅角側に設定される高回転側のリフト特性に基づく値へシフトする補正制御手段とを備える構成としたものである。
前記の構成により、エンジンの定常的な運転状態では、その運転状態に応じてリフト制御手段によるリフト可変機構の制御が行われて、高負荷乃至高回転側ほど相対的に吸気弁のリフト量が大きくなるとともに、そのリフト量の増大とともに開弁期間が広がって、吸気弁の閉時期が遅角するようになる。
ここで、「高負荷乃至高回転側ほど、」というのは、同じ回転数で比べれば高負荷側ほど、また、同じ負荷状態で比べれば高回転側ほど、という意味であり、そのようにエンジンの負荷及び回転数に応じて吸気弁のリフト特性が変更されることにより、エンジンへの出力要求に対応する分量の空気が気筒へ充填されるようになる。
すなわち、相対的に出力要求の低い低負荷低回転側では、吸気弁のリフト量及び開弁期間(クランク角)が相対的に少なくなり、これにより気筒への吸気の充填効率も低下する。この際、吸気弁の閉時期を気筒の下死点前とすれば、ポンピングロスを低減できる。一方、相対的に出力要求の高い高負荷高回転側では、リフト量及び開弁期間の増大によって充填効率が高くなり、さらに、気筒の下死点以降も吸気弁が開かれていると、吸気流の慣性によっても充填効率が向上する。
そのようなリフト可変機構の基本的な制御においては、上述したが、エンジンの低回転域においては全負荷であっても吸気弁は最大リフトにはせずに、最大及び最小の中間のリフト状態として、吸気弁が気筒の下死点近傍で閉じるようにするのがよい。こうすれば、下死点後に気筒内から吸気ポートへ吸気が吹き戻されることがなくなり、充填効率が高くなるからである。
そうすると、エンジンの全負荷状態における吸気弁のリフト特性は、低回転域においては前記中間のリフト量となって気筒の略下死点で閉じるようになり(最低回転数では下死点よりもやや進角側で閉じる場合もあり)、それからエンジン回転数が高くなるほど、リフト量が増大するとともに、その閉時期が遅角側に変化することになる。
そのような構成のエンジンが低回転域において所定以上の急加速状態になり、その結果としてノッキングが発生したとき(請求項1)には、そのことが判定手段により判定され、これに応じて補正制御手段により、前記リフト制御手段によるリフト可変機構の制御目標値が高回転側へ、即ち吸気弁のリフト量が大きくなり、開弁期間が広くなって閉時期が遅角するように、シフトされる。
ここで、そのようにリフト可変機構の制御を高回転側へシフトするということは、加速運転によってエンジンの運転状態が変化する向きに吸気弁のリフト特性を補正するということであるから、従来までのように一旦、減少させたリフト量をノッキング抑制後に急に増大させる必要がなくなり、リフト量はそのままでも、エンジン回転の上昇とともに自然に出力が高まるようになる。
つまり、従来までのように加速中にも拘わらず吸気弁のリフト量を減らすのではなく、その反対にリフト量を増大させてノッキングを抑制するようにしたから、エンジン出力は一瞬、低下するものの、その後のエンジン回転の上昇とともにリフト量の変化を待つことなく出力が高まり、エンジンの吹け上がりにもたつきを生じることがなくなって、良好な加速フィーリングが得られるのである。
上述した構成のエンジンの吸気制御装置において、リフト可変機構は、吸気弁のリフト特性を、リフト量の小さいときほどリフトピークの時期が進角するように変更するものとするのがよい(請求項5)。こうすれば、エンジンの低負荷乃至低回転側で吸気弁のリフト量を小さくしたときに、その閉時期が特に早くなり、ポンピングロスの低減作用が大きくなるからでる。
また、そのようなリフト特性では、上述した補正制御によってリフト可変機構の制御目標値を高回転側にシフトしたときに、これによる吸気弁の閉時期の遅角割合が相対的に大きくなるから、効率良く充填効率を低下させることができ、相対的に小さな補正量でもって前記した発明の作用を十分に得ることができる。
以上、説明したように、本願発明に係るエンジンの吸気制御装置によると、エンジンの運転状態に応じて変更する吸気弁のリフト特性を、基本的にはリフト量の大きなときほど開弁期間も広がって閉時期が遅角するようにして、スロットル弁なしでも、エンジンへの出力要求に対応する分量の空気が気筒へ充填されるようにすることができる。これによりポンピングロスを減らして、エンジンの燃費を低減できる。
その上で、例えば低回転域からの全開加速時などにおいてノッキングが判定されたときに吸気弁の閉時期が下死点よりも進角側に設定されていれば、前記の基本的なリフト特性を補正して高回転側へシフトすることで、必要最小限だけ充填効率を低下させて、加速フィーリングを損なうことなく、ノッキングを抑制できる。
特に、前記基本的なリフト特性として、リフト量の小さなときの吸気弁の閉時期をできるだけ進角させるようにすれば、ポンピングロスをさらに減少させて、燃費の低減効果を高めることができるとともに、前記補正のための制御量はあまり大きくしなくても、ノッキングを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(吸気制御装置の基本構成)
図1は、本発明を適用したエンジンの吸気側動弁系の実施形態の構成を示す。このエンジンは、図示は省略するが、4つの気筒が一列に並んだ直列4気筒エンジンであり、その各気筒毎に2つの吸気弁1,2と2つの排気弁(図示せず)とを有する4弁式のダブルオーバヘッドカム方式を採用している。同図において、符号3は、前記4つの気筒が並ぶエンジン前後方向(図の左右方向)に延びるように配設されていて、エンジンのクランク軸によりカムチェーン(図示せず)を介して回転駆動される吸気側のカムシャフトである。
前記カムシャフト3の前端部には、該カムシャフト3のクランク軸に対する回転位相を所定の角度範囲内で変更可能な公知の位相可変機構18(Variable Cam Timing:以下、VCTと略称する)が付設されている。詳しい説明は省略するが、このVCT18は、スプロケット19の中心孔を貫通するカムシャフト3の前端に固定されたロータと、このロータをエンジン前方から覆うように配置されてスプロケット19に固定されたケーシングとからなり、このロータ及びケーシングの間には周方向に並んで複数の油圧作動室が形成されている。
そして、コントローラ17からの制御信号の入力に応じて、電磁弁20の位置が切換えられることにより、前記VCT18の油圧作動室に供給される作動油圧の方向が切換えられて、前記ロータ及びケーシング、即ちカムシャフト3とスプロケット19とが相対的に回動され、これにより、カムシャフト3のクランク軸に対する回転位相が変更されて、吸気弁1,2の作動時期が変更されるようになっている。
また、前記カムシャフト3には、各気筒毎に一対の揺動カム4,5が揺動自在に支持されている。これら一対の揺動カム4,5は、前記2つの吸気弁1,2にそれぞれ対応するように配置され、円筒状の連結部9によって互いに連結されて、カムシャフト3の周りに一体に揺動するようになっている。これにより、各気筒毎2つの吸気弁1,2が同時にリフトされる。尚、前記連結部9の外周面は、カム軸受面と摺接するカムジャーナル部とされている。
前記の如く揺動カム4,5を動作させるために、前記カムシャフト3には、その軸心X(カムシャフト3の回転中心:図2等参照)から偏心した4つの円形の偏心カム6が互いに間隔を空けて一体に設けられている。この各偏心カム6にはそれぞれ回転自在に外輪7が外嵌めされていて、この外輪7の外周に突出するように設けられた偏心凸部に、連結リンク8を介して前記揺動カム5が連結されている。すなわち、前記外輪7は、一端側が前記カムシャフト3の偏心カム6に回転自在に嵌合され、他端部(偏心凸部)が連結リンク8によって揺動カム5に連結されたリンク(以下、オフセットリンクという)である。
また、前記カムシャフト3の斜め上方には、これと平行にコントロールシャフト11が設けられている。このコントロールシャフト11には4つのコントロールアーム12がそれぞれ結合固定されており、該各コントロールアーム12の先端部と前記オフセットリンク7の他端部とが規制リンク13によって連結されている。この規制リンク13は、前記偏心カム6の回転に伴いオフセットリンク7の一端側がカムシャフト3の周りを公転するときに、このオフセットリンク7の変位を規制してその他端部を往復運動させるものであり、これにより、そのオフセットリンク7の他端部に連結された前記連結リンク8が揺動カム4,5を揺動させることになる。
さらに、前記コントロールシャフト11には、円周の一部のみに歯が形成されたウォーム歯車14が結合され、このウォーム歯車14の歯に、モータ15で回転駆動されるウォーム16が噛み合っている。そうして、コントローラ17からの制御信号の入力に応じてモータ15が作動し、コントロールシャフト11が回動してコントロールアーム12の位置が変わることによって、オフセットリンク7の他端部の往復運動の軌跡、即ち前記連結リンク8の揺動軌跡が変更され、これにより揺動カム4,5の揺動角などが変化して、吸気弁1,2のリフト量や開閉時期などのリフト特性が変化するようになっている。
言い換えると、前記連結リンク8及び規制リンク13は、揺動カム5とオフセットリンク7とを連結するとともに、前記偏心カム6の回転に伴う該オフセットリンク7の動作を、揺動カム5(及び揺動カム4)が揺動するように規制するリンク機構を構成している。また、そのリンク機構を含めて、前記カムシャフト3の偏心カム6、オフセットリンク7、コントロールシャフト11、コントロールアーム12等により、吸気弁1,2のリフト量を連続的に変更可能なリフト可変機構(Variable Valve Lift:以下、VVLともいう)が構成されている。
そのVVLの構成についてより具体的には、まず、図2(b)に示すように、吸気弁2のステム上端には直動式タペット21が設けられ、このタペット21に揺動カム5が当接している。吸気弁2は、タペット21内部に設けられたリテーナ22とシリンダヘッドに設けられたリテーナ23との間に配設されたバルブスプリング24によって、吸気ポート25を閉じる方向(吸気弁1,2リフト方向とは反対方向)に付勢されている。尚、吸気弁1についても前記吸気弁2と同様の構成になっている。
前記連結リンク8の一端部は、揺動カム5にピン31により回動自在に連結され、一方、規制リンク13の一端部は、コントロールアーム12の先端部にピン32により回動自在に連結されている。そうして、この連結リンク8と規制リンク13とは、オフセットリンク7の両側にそれぞれ配設されて、該オフセットリンク7を中間に挟んで連係している。すなわち、連結リンク8及び規制リンク13の各々の他端部は、オフセットリンク7の他端部に連結ピン33によって同軸に且つ回動自在に連結されている。尚、前記ピン31〜33はいずれもカムシャフト3と平行に延びている。
図示の如く、前記オフセットリンク7と連結リンク8との連結ピン33はカムシャフト3の上方に位置しており、その側方にはコントロールアーム12の回動中心(コントロールシャフト11の軸心)が位置している。コントロールアーム12の先端のピン32は規制リンク13の回動軸であり、そのピン32の位置を変更することによって規制リンク13及び連結ピン33の揺動軌跡を変化させ、これにより、吸気弁1,2のリフト量を変更することができる。
すなわち、各リンクやピンの具体的な動作については以下に詳述するが、モータ15によりコントロールシャフト11及びコントロールアーム12を回動させて、図2に示すようにピン32をコントロールシャフト11の下方に位置づけると、揺動カム4,5の揺動角が大きくなり、リフトピークにおける吸気弁1,2のリフト量が最も大きな大リフト制御状態になる。また、そこからコントロールアーム12などの回動によってピン32を上方へ移動させると、これに応じて揺動カム4,5の揺動角は小さくなり、図3に示すようにピン32をカムシャフト3の上方に位置付けると、吸気弁1,2のリフト量が最も小さな小リフト制御状態になる。
前記図2に示す大リフト制御状態において、揺動カム5は、同図(b)に示すようにカムノーズの先端側で直動式タペット21を押圧し、該タペット21を介して吸気弁2を大きくリフトさせたリフトピークの状態(揺動カム4が直動式タペットを介して吸気弁1を大きくリフトさせた状態)と、同図(a)に示すように吸気弁2(吸気弁1)がリフトしないゼロリフトの状態との間で揺動する。小リフト制御状態である図3の場合も同様にリフトピークの状態(カムノーズの基端側でタペット21を押圧)とゼロリフトの状態との間で揺動する(同図(a)及び(b)参照)。
(リフト可変機構の動作)
以下、そのようなリンクやカムの動作を、図4及び図5を参照して具体的に説明する。この両図では、コントロールアーム12、連結リンク8及び規制リンク13については簡略に直線で表しており、また、偏心カム6の中心(オフセットリンク7の外輪の中心)の回転軌跡を符号T0として示している。尚、上述の如く吸気弁1と揺動カム4との関係は吸気弁2と揺動カム5との関係と同じであって、揺動カム4は揺動カム5と同様に働くので、以下では、吸気弁2と揺動カム5との関係について説明する。
まず、図4を参照して揺動カム5自体のプロファイルを説明すると、この揺動カム5の周面には、曲率半径が所定角度範囲一定の基円面(ベースサークル区間)θ1と、該θ1に続いて曲率半径が漸次大きくなっているカム面(リフト区間)θ2とが形成されている。同図は、前記図2の大リフト制御状態を表しており、コントロールアーム12は大リフト制御位置にある。
同図に実線で示すのは吸気弁2がリフトピーク近傍にある図2(b)の状態であり、このときには、連結リンク8によってピン31が最も上方に引き上げられ、揺動カム5は、カム面θ2のカムノーズ先端側がタペット21に当接した状態になっている。一方、仮想線で示すのはゼロリフトの状態(図2(a))であり、このときには揺動カム5の基円面θ1がタペット21に接していて、吸気弁2はリフトしていない(吸気弁2は閉じている)。
そして、カムシャフト3(偏心カム6)が図の時計回りに回転すると、これに伴いオフセットリンク7の一端側(図の下端側)は、図に矢印で示すようにカムシャフト3の軸心X周りを公転することになるが、このときにはオフセットリンク7の他端部の変位は、そこに連結されている規制リンク13によって規制される。すなわち、規制リンク13は、コントロールシャフト11の下方に位置付けられたピン32を中心に図の実線の位置と仮想線の位置との間を揺動し、これに伴い、オフセットリンク7の他端側(連結ピン33)は、偏心カム6が1回転する度に、ピン32を中心として往復円弧運動をすることになる(この連結ピン33の運動軌跡をT1として示す)。
前記連結ピン33の往復円弧運動T1に伴い、この同じ連結ピン33によって一端部がオフセットリンク7に連結されている連結リンク8の他端部(ピン31)は、図にT2として示す軌跡で往復円弧運動し、そのピン31によって連結リンク8に連結されている揺動カム5が図の実線の位置と仮想線の位置との間で揺動運動をする。すなわち、前記連結ピン33が上方に移動するときには、連結リンク8によってピン31が上方に引き上げられて、揺動カム5のカムノーズがタペット21を押し下げ、これによりバルブスプリング24(図2参照)を押し縮めながら、吸気弁2をリフトさせる。
一方、連結ピン33が下方に移動するときには、連結リンク8によってピン31が下方に押し下げられて、揺動カム5のカムノーズが上昇することになるので、前記のようにして圧縮されたバルブスプリング24の反力によってタペット21が押し上げられて、前記カムノーズの上昇に追従するように上方に移動し、そのタペット21内のリテーナ22によって吸気弁2が引き上げられて、吸気ポート25が閉じられる。
つまり、大リフト制御状態では、揺動カム5がその周面の基円面θ1及びカム面θ2の略全体によってタペット21を押圧するように大きく揺動し、このように大きな揺動角に対応して吸気弁2のリフト量が大きくなるのである。
次に、前記の大リフト制御状態から、コントロールアーム12をコントロールシャフト11の軸心回りに上方へ略水平になるまで回動させると、図3や図5に示すように、規制リンク13の回動軸であるピン32が前記大リフト制御状態よりもカムシャフト3の回転方向の手前側に位置して、リフト量の小さな小リフト制御状態になる。この図5においても前記図4と同様に吸気弁2がリフトピーク近傍にある状態を実線で示し、ゼロリフトの状態を仮想線で示している。
同図において、カムシャフト3(偏心カム6)が回転すると、前記大リフト制御状態と同様にオフセットリンク7の連結ピン33は規制リンク13によって変位が規制され、コントロールシャフト11の側方に位置するピン32を中心として、往復円弧運動T3をする(規制リンク13は図の実線位置と仮想線位置との間で往復回動する)。そして、その連結ピン33の往復円弧運動T3に伴って連結リンク8のピン31が往復円弧運動T4をし、そのピン31によって連結リンク8に連結されている揺動カム5が、図の実線の位置と仮想線の位置との間で揺動運動をして、吸気弁2を開閉するようになる。
つまり、小リフト制御状態では、前記大リフト制御状態と比べて揺動カム5の揺動角が小さくなり、この揺動カム5が、その周面の基円面θ1及びこれに連続するカム面θ2の一部分のみによってタペット21を押圧するようになって、吸気弁2のリフト量が小さくなるのである。
(リフト特性の変化)
次に、上述のようなリフト可変機構の動作によって大リフト制御状態から小リフト制御状態まで連続的に変更される吸気弁1,2のリフトカーブを、図6に示す。同図においてリフトカーブL1は、揺動カム5が図4の実線位置(大リフト制御状態のリフトピーク近傍)と仮想線位置(ゼロリフト)との間で揺動する大リフト制御状態を示し、一方、L2は、揺動カム5が図5の実線位置(小リフト制御状態のリフトピーク近傍)と仮想線位置(ゼロリフト)との間で揺動する小リフト制御状態を示している。
図の例では、大リフト制御状態のリフト量は約8.5mmであり、小リフト制御状態のリフト量は約1.0mmである。また、この実施形態では、詳しい説明は省略するが、アイドル運転時には燃焼安定性を高めるためにVCT18の作動により吸気弁1,2の開閉期間全体を遅角させるようにしており、図に仮想線で示すリフトカーブL3は、そのようにして小リフト制御状態のリフトカーブを遅角させた状態を示している。
図示の如く、この実施形態のリフト可変機構VVLでは、吸気弁1,2のリフト量の増大とともに開弁期間(開時期から閉時期までのクランク角期間であって、緩衝区間を含まない)も広がって、当該吸気弁1,2の閉時期が遅角するようになっている。これは、上述したように、揺動カムの揺動角の変化に対応して吸気弁1,2のリフト量が変更されるようになっているからであるが、このようなリフト特性の変化は一般的なエンジンの吸気の特性に合致している。
すなわち、一般的にエンジンの負荷が高くなるのは高回転側であることが多いが、高回転側ではクランク角で見た吸気弁1,2の開弁期間が同じであっても、その時間間隔は短くなるので、リフト量の増大によって吸気の流路断面積を拡大するだけでなく、開弁期間(クランク角)の増大によって吸気時間を確保する必要がある。また、吸気弁1,2を気筒の下死点以降の適当な時期に閉じるようにすれば、吸気流の慣性によって充填効率を高めることができるからである。
そして、前記のような吸気弁1,2のリフト特性の変化を利用すれば、吸気通路にはスロットル弁を設けず、或いはこれを略全開としたままで、エンジンへの出力要求に対応する分量の空気を気筒へ充填することができ、この吸気充填量の調整によってエンジンの出力を制御することが可能になる。このことで、エンジン出力制御のためにスロットル弁によって吸気通路を絞る必要がなくなり、スロットル弁を廃止するか、或いは部分負荷域でもスロットル弁を全開とすることによって、エンジンのポンピングロスを減らすことができる。
また、この実施形態では、図示の如く、吸気弁1,2のリフト量が小さいときほど、リフトピークの時期(クランク角位置)が進角している。これは、上述したように、大リフト制御状態から小リフト制御状態への移行にあたって、コントロールアーム12などの回動により規制リンク13の位置をカムシャフト3の回転方向手前側に移動させており、これにより、連結ピン33の往復円弧運動の軌跡が図4のT1の位置から図5のT3の位置へと、カムシャフト3の回転方向手前側に移動するからである。
すなわち、前記図4に示す大リフト制御状態においては、吸気弁1,2がリフトピーク近傍にあるときの偏心カム6の中心は、その回転軌跡T0上の点Taに位置するが、前記図5に示す小リフト制御状態においてはリフトピーク近傍での偏心カム6の中心位置は同図に示す点Tbに移動する。つまり、大リフト制御状態から小リフト制御状態に移行すると、吸気弁1,2のリフトピークは、図5に示すように前記回転軌跡T0上の点Ta、Tbの中心角θ3だけ進角するのである。
そのようにリフト量が小さくなるに従ってリフトピーク時期が進角することから、前記図6に明らかなように、吸気弁1,2の開時期はリフト量が変化してもあまり変化せず、概ね気筒の圧縮上死点(TDC)付近になる一方、該吸気弁1,2の閉時期はリフト量の変化に伴い大きく変化するようになる。そのため、相対的にリフト量の大きいときには、吸気弁1,2の閉時期を気筒の下死点(BDC)以降まで大きく遅角させることができ、前記吸気流の慣性によって充填効率を十分に高めることができる。
逆にいえば、リフト量の小さなときには、前記のようにリフトピーク時期が進角している分だけ早く、吸気弁1,2が閉じられるようになり、所謂吸気早閉じの特性が強くなることで、ポンピングロスを効果的に減少させて、燃費の低減効果を高めることができる。
そして、この実施形態では、前記のようなリフト可変機構VVLによる吸気弁のリフト特性の変更を、基本的にエンジンの運転状態に応じて行うようにしている。例えば図7に示すような制御マップを参照して、エンジンの目標トルク(エンジンの負荷状態)及びエンジン回転数に対応する適切なリフト量を制御目標値として求め、この値(目標リフト量)になるように、コントローラ17によってモータ15の作動量を制御する。このモータ15の作動によりコントロールシャフト11が回動して、コントロールアーム12の回動位置が大リフト制御位置及び小リフト制御位置の間の適切な位置に制御される。
より詳しくは、前記図7の制御マップによれば、コントローラ17は、エンジンの目標トルク及び回転数に基づいて、同じ目標トルクであれば高回転側ほどリフト量が大きくなるように、また、同じエンジン回転数であれば目標トルクが高いほどリフト量が大きくなるように、即ち、高負荷乃至高回転側ほどリフト量が大きくなるように、コントロールアーム12の回動位置を変更する。言い換えると、コントローラ17は、図1に仮想線で示すように、エンジンの運転状態に応じてリフト可変機構VVLを制御して、吸気弁1,2を低負荷乃至低回転側で相対的に小リフトとし、高回転乃至高負荷側で相対的に大リフトとするリフト制御部17a(リフト制御手段)をプログラムの形態で備えている。
そのように目標トルクだけでなく、エンジン回転数に応じてリフト量を変更するのは、上述したVVLによるリフト量の変更特性によるものである。すなわち、上述したように、この実施形態のVVLでは、吸気弁1,2のリフト量の増大とともに開弁期間が広がって、閉時期が遅角するようになっており、これにより、エンジンの高回転域においては、吸気弁1,2の閉時期が気筒の下死点以降まで大幅に遅角し、高速の吸気流の慣性によって充填効率が高められる。
一方で、エンジン回転数が低いときには吸気流の慣性が小さくなるので、下死点以降は吸気弁1,2を開いていても気筒に効率良く吸気を流入させることができず、むしろ吸気ポートへ吸気が吹き戻されて、充填効率が低下する虞れがある。すなわち、低回転域でエンジン出力を高めるためには、吸気弁1,2のリフト量を大きくすることよりも、その閉時期を適切に設定することの方が重要であり、そのために、全負荷であっても目標リフト量は最大値とはせずに、最大及び最小の中間の値に設定している。
具体的にこの実施形態では、前記図7の制御マップに示すように、エンジン回転数が最も低いとき(例えば650rpm)には、全負荷状態であっても目標リフト量は5mmくらいにしており、このときに吸気弁1,2は、前記図6に示すように気筒の略下死点で閉じるようになる。そして、その全負荷状態のままエンジン回転数が上昇すれば、これに連れて徐々に吸気弁1,2のリフト量が大きくなるとともに、その閉時期が遅角側に変化し、高回転域ではリフト量が最大になって、その閉時期は下死点から大幅に遅角するようになっている。
つまり、前記図7の制御マップによれば、エンジンの全負荷状態ではその回転数の上昇に伴う吸気流の慣性の増大によって、下死点後も気筒に吸気流が効率良く流入するように、目標リフト量がエンジン回転数毎に最適に設定されており、言い換えると、エンジンの全負荷状態では、最低回転数から最高回転数まで常に吸気の充填効率が最高となるように目標リフト量が設定されている。この結果として、全負荷状態における吸気弁1,2の閉時期は気筒の略下死点乃至それ以降となっている。
図8は、吸気弁1,2のリフト量を4〜7mmまで段階的に変更して、それぞれ、エンジン回転数によって変化する気筒の充填効率を測定した実験結果の一例を示す。同図によれば、エンジン回転数が1000〜1600rpmくらいでは5mmリフトが最も充填効率が高く、1600〜2200rpmくらいでは5.5mmリフトが、2200〜4000rpmくらいでは6mmリフトが、・・・というように回転数の上昇に連れて、充填効率の最高になるリフト量が増大しており、概ねこのような特性に合わせて、前記図7の制御マップが作られていることが分かる。尚、図8において2000〜4000rpmで全体的に充填効率の低下が見られるのは、この実験に供したエンジンの吸気系に固有の動的効果によるものである。
(ノック判定時のリフト特性の補正)
ところで、一般に、気筒内の均一混合気に点火して燃焼させるようにしたガソリンエンジンにおいては、例えば急加速時のように低回転域でありながら負荷が所定以上に高くなり、吸気の充填効率が高くなると、その気筒内の温度及び圧力が非常に高くなることから、点火後に火炎面が伝播する前に混合気が自着火して、急激な圧力上昇と、これによる不快な振動・騒音、即ちノッキングが発生する虞れがある。
これに対し、一般には気筒の点火時期を遅らることで(点火リタード)対処するようにしているが、大幅な点火リタードは機関効率を低下させることになり、好ましくない。また、従来より、この実施形態のエンジンのように吸気弁のリフト特性を変更可能な場合には、ノッキングの発生に対応して一時的に吸気弁のリフト量を減少させて、充填効率を低下させるという提案もなされているが(特許文献2)、リフト量を減少させることは、加速運転時の通常のリフト量の制御とは相反するものなので、エンジンの吹け上がりにもたつきを生じ、加速フィーリングを損なうことは避けられない。
この点、この実施形態では、前記図7の制御マップに示すように、エンジンの低回転域では、たとえ全負荷状態であっても吸気弁1,2は大リフト制御状態にはなっておらず、概ね5〜6mmという中間的なリフト状態になっており、しかもこのときに吸気の充填効率が概ね最も高くなっていることに着目して、ノッキングを判定したときには吸気弁1,2のリフト量を一瞬、増大させることによって充填効率を低下させ、これによりノッキングを抑制するようにしている。
以下、前記のようなノック判定時の補正制御を中心に、コントローラ17によるVVLの具体的な制御手順を図9のフローチャート図に沿って説明する。まず、スタート後のステップS1では主にエンジンの運転状態を検出するための各種センサからの信号を入力するとともに、メモリに記憶されているデータを読み込む。続くステップS2において、例えばアクセルペダルの踏み操作量を検出するセンサからの信号と、エンジン回転数センサ(クランク角センサでもよい)からの信号とに基づいて、エンジンの目標トルクを算出し、この目標トルクとエンジン回転数とから図7の制御マップを参照して、エンジンの運転状態に対応するリフト量を設定する(目標リフト量の設定)。
次いで、ステップS3において、ノックセンサ26からの信号によりノッキングの判定を行う。そして、エンジンの通常の運転状態であれば、ノッキングが発生していない(NO)と判定してステップS4に進み、前記ステップS2にて設定した目標リフト量に対応する制御信号をモータ15へ出力して、コントロールシャフト11及びコントロールアーム12を回動させ、しかる後にリターンする。
こうしてコントローラ17によりモータ15が制御されて、VVLにおけるリンク機構の相対位置が変更されることにより、吸気弁2のリフトカーブがエンジンの運転状態(目標トルク及びエンジン回転数)に応じて図6のように連続的に変更される。これにより、各気筒毎にエンジンへの出力要求に対応する分量の空気を充填して、その出力を制御することができる。
一方、例えば前記図7の制御マップ上に白抜きの矢印で示すように、エンジンがアイドルに近い低負荷で且つ低回転(例えば1000rpmくらい)の運転状態Aにあるときにアクセルペダルが全開にされて(急加速運転)、エンジン回転数は略そのままで全負荷の運転状態Bまでエンジン負荷が急上昇したとする。このときに前記基本的なリフト特性によれば、マップ上の運転状態Bに対応して吸気弁1,2の目標リフト量は5mmとされるが、そうなると、充填効率が高くなってノッキングが発生し易くなる。
そうしてノッキングが発生すれば、ノックセンサ26からの信号に基づいて前記ステップS3においてノッキング発生(YES)と判定し、ステップS5に進んで、まず、そのときのエンジンの運転状態(目標トルク及びエンジン回転数)に対応する目標リフト量を高回転側へシフトするための補正量(エンジン回転数のシフト量)を、予め設定されているマップから読み込む。そして、そのシフト量だけ高回転側のエンジン運転状態B’に対応する目標リフト量を前記図7の制御マップから読み込んで、これを目標トルク量として再設定する。
そして、前記ステップS4に進んで前記再設定した目標リフト量に対応する制御信号をモータ15へ出力して、コントロールシャフト11及びコントロールアーム12を回動させ、しかる後にリターンする。
前記のように目標リフト量を高回転側にシフトするということは、目標リフト量をやや大きくなるように補正するということである。このことを前記図6のような吸気弁1,2のリフトカーブで見ると、図10に示すように、加速運転によるA→Bの運転状態の変化に伴い、まず、前記基本的なリフト特性によれば、吸気弁1,2のリフト量は図に実線で示す5mmリフトになる。このときには図示の如く、吸気弁1,2の閉時期が略下死点(BDC)になるから、吸気流の慣性が小さい低回転域においては最も充填効率が高くなって、ノッキングが発生し易くなる。
しかし、前記の補正によって吸気弁1,2のリフト量が図に破線で示す5.5mmリフトになると、その閉時期が下死点よりも遅角するので、そうして下死点以降も吸気弁1,2の開いている気筒から吸気ポートへ吸気が吹き戻されるようになり、該吸気弁1,2のリフト量や開弁期間が増大していても、気筒への吸気の充填効率は低下する。すなわち、前記図8に示すように、エンジン回転数が約1000rpmであれば、5mmリフトのときに充填効率が最大になっており、このときにリフト量を5.5mmに増大させると、これを仮に4mmに減少させたのと同程度まで充填効率が低くなって、ノッキングを略確実に抑制することができる。
そうして一瞬、充填効率が低下して、ノッキングが抑制された後に、エンジン回転数が上昇して例えば1600〜2000rpmになると、前記図8から分かるように、5.5mmリフトの場合には充填効率が最高になって、高いエンジン出力が得られる。これは、吸気弁1,2のリフト特性を高回転側にシフトするということは、加速運転によってエンジンの運転状態が変化する向きに吸気弁1,2のリフト特性を変更するということであり、その後にエンジン回転数が上昇すれば、自然に図7の制御マップ上の運転状態B’の設定になるからである。
すなわち、この実施形態のようにリフト特性を高回転側にシフトするようにすれば、これにより瞬間的に充填効率を低下させて、ノッキングを抑制することができるとともに、その後はエンジン回転の上昇に伴い充填効率が高くなって、リフト量の変化を待つことなく直ちにエンジン出力が高まり、エンジンが速やかに吹け上がるようになるのである。尚、前記図8から、仮に4mmリフトとした場合にはエンジン回転数の上昇に伴い、充填効率が急激に低下して、エンジン出力が落ち込んでしまうことが分かる。
したがって、この実施形態に係るエンジンの吸気制御装置によると、まず、吸気側の動弁系に設けたリフト可変機構VVLをエンジンの運転状態(負荷及び回転数)に応じて制御して、吸気弁1,2のリフト量を連続的に変更することにより、各気筒に必要な分量の空気を充填することができるので、スロットル弁を廃止してもエンジン出力を制御することができる。よって、ポンピングロスを減らして燃費を低減することができる。
また、前記リフト可変機構VVLの構成により、吸気弁1,2のリフト量が小さい低負荷低回転側の常用運転域では吸気早閉じの特性になって、このことによっても燃費の低減が図られる一方、リフト量が大きくなる高負荷高回転域では、そのリフト期間(クランク角期間)も十分に長くなり、吸気流の慣性も有効利用して充填効率を十分に高くすることができ、これにより高いエンジン出力が得られる。
さらに、エンジンが低回転域で急加速運転状態になり、ノッキングが発生したときには、吸気弁1,2のリフト特性を一時的に高回転側、即ち加速運転によってエンジンの運転状態が変化する側へ補正することで、吸気の充填効率を必要最小限の期間だけ低下させた後に速やかに高めることができ、これにより、加速フィーリングを損なうことなく、ノッキングを抑制することができる。
上述した実施形態では、前記図9に示すフローのステップS3により、ノックセンサ26からの信号によってノッキングの発生を判定するコントローラ17のノック判定部17b(判定手段)が構成される。また、ステップS5により、前記ノック判定部17bにおいてノッキングが判定されたとき、リフト制御部17aによるリフト可変機構VVLの制御目標値(目標リフト量)を高回転側の値へシフトするように補正する補正制御部17c(補正制御手段)が構成される。言い換えると、この実施形態のコントローラ17は、図1に仮想線で示すように、前記ノック判定部17b及び補正制御部17cをそれぞれプログラムの形態で備えている。
以上の説明では、VVLの基本的なリフト特性として、エンジンが全負荷状態であれば、最低回転数でも吸気弁1,2のリフト量が5mm程度の中間リフトとなり、吸気弁1,2が気筒の略下死点で閉じるように設定しているが、本発明としては、吸気弁1,2の閉時期は気筒の下死点よりもやや進角側である場合を対象としており、ノッキングが判定され、かつ吸気弁1,2の閉時期が下死点よりも進角側に設定されている場合に、リフト可変機構VVLの制御目標値を、吸気弁1,2の閉時期が下死点よりも遅角側に設定される高回転側のリフト特性に基づく値へシフトするものである。
尚、本発明の構成は上述した実施形態ものに限定されず、その他の種々の構成をも包含する。すなわち、例えばエンジンの動弁系に設けるリフト可変機構の具体的な構成は、前記実施形態のものに限定されない。リフト可変機構は、吸気弁1,2のリフトカーブが図6に示すように変化するものであればよいし、或いは、例えば図11に示すようにリフト量が変化してもリフトピークの時期は変化せず、リフト量の増大に応じて開時期が進角し且つ閉時期が遅角するようなものであってもよい。
本発明は、エンジンの吸気弁のリフト特性を可変としたエンジンの吸気制御装置であって、加速運転時のノッキングを抑制しながら、良好な加速フィーリングが得られるものなので、高い商品性を要求される自動車用エンジンの動弁装置として特に有用である。
本発明の吸気制御装置を直列4気筒エンジンに適用した実施形態を示す斜視図である。 リフト可変機構の大リフト制御状態を示す断面図であり、(a)はゼロリフトの状態を示し、(b)はリフトピークの状態を示す。 小リフト制御状態を示す図2相当図である。 大リフト制御状態の作動の説明図である。 小リフト制御状態に係る図4相当図である。 リフト可変機構によるリフトカーブの変化を示す特性図である。 リフト特性の基本的な制御マップの一例を示す図である。 リフト量を4〜7mmまで段階的に変更して、それぞれ、エンジン回転数によって変化する気筒の充填効率を測定した実験結果のグラフ図である。 VVLの制御手順を示すフローチャート図である。 補正制御による加速運転時のリフトカーブの変化を示す説明図である。 リフト特性の異なる他の実施形態に係る図6相当図である。
1,2 吸気弁
3 カムシャフト
4,5 揺動カム(リフト可変機構)
6 偏心カム(リフト可変機構)
7 オフセットリンク(リフト可変機構)
8 連結リンク(リフト可変機構)
11 コントロールシャフト(リフト可変機構)
12 コントロールアーム(リフト可変機構)
13 規制リンク(リフト可変機構)
17 コントローラ
17a リフト制御部(リフト制御手段)
17b ノック判定部(判定手段)
17c 補正制御部(補正制御手段)

Claims (2)

  1. エンジンの吸気弁のリフト特性を、リフト量の増大とともに開弁期間も広がって閉時期が遅角するように変更するリフト可変機構と、エンジンの運転状態に応じて、高負荷乃至高回転側ほどリフト量が増大するように前記リフト可変機構を制御するリフト制御手段と、を備えたエンジンの吸気制御装置において、
    エンジンの加速運転に伴うノッキングを判定する判定手段と、
    前記判定手段によりノッキングが判定され、かつ吸気弁の閉時期が下死点よりも進角側に設定されている場合に、前記リフト制御手段によるリフト可変機構の制御目標値を、吸気弁の閉時期が下死点よりも遅角側に設定される高回転側のリフト特性に基づく値へシフトする補正制御手段と、を備えることを特徴とするエンジンの吸気制御装置。
  2. 請求項1の吸気制御装置において、
    リフト可変機構は、吸気弁のリフト特性を、リフト量の小さいときほどリフトピークの時期が進角するように変更するものであることを特徴とするエンジンの吸気制御装置
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