JP5104474B2 - 内燃機関の制御方法および同装置 - Google Patents

内燃機関の制御方法および同装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5104474B2
JP5104474B2 JP2008091233A JP2008091233A JP5104474B2 JP 5104474 B2 JP5104474 B2 JP 5104474B2 JP 2008091233 A JP2008091233 A JP 2008091233A JP 2008091233 A JP2008091233 A JP 2008091233A JP 5104474 B2 JP5104474 B2 JP 5104474B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
intake valve
closing timing
air amount
operation mode
intake
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008091233A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009243372A (ja
Inventor
穂 宮腰
滋 中川
宏 高木
雄一郎 津村
裕介 亀井
拓仁 奥村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2008091233A priority Critical patent/JP5104474B2/ja
Publication of JP2009243372A publication Critical patent/JP2009243372A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5104474B2 publication Critical patent/JP5104474B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

本発明は、内燃機関の制御方法および同装置に関し、概略的には内燃機関の吸気弁閉タイミング設定方法に関し、より具体的には、比較的高い圧縮比を持つ内燃機関に好適な吸気弁閉タイミング設定方法に関する。
吸気弁のバルブリフト量を運転状態に応じて変更することが、例えば特許文献1に開示されるように、知られている。機関速度が高いほど、吸気慣性力は大きい。従って、空気流量に応じて定まる所定以上のバルブリフト量があるならば、機関速度に応じて遅角する所定タイミングにおいて吸気弁が閉じるときに、充填効率が最大となる。この最大充填効率に対応する所定タイミングから吸気弁閉タイミングが離れるほど、つまり進角または遅角するほど、充填効率が少なくなる。この原理に従い、特許文献1に記載されたカム駆動式の可変動弁装置は、目標気筒空気量の増加に応じてバルブリフト量を増加するとともに、バルブリフト量の増加に応じて吸気弁閉タイミングを遅角するように構成されている。従って、特許文献1の構成では、吸気圧力を高く保った状態(吸気負圧を小さくした状態)で、気筒空気量を目標量に制御することができる。そして、このように吸気圧力を高く保つことで、ポンプ損失を低下させ、機関運転効率を向上することができる。
一方、機関運転効率を高める別の方策として、膨張比を高めることが知られている。膨張比は、ピストンが上死点にあるときの気筒容積に対するピストンが下死点にあるときの気筒容積の比である。従って、膨張比を高めるほど、混合気の持つエネルギーがピストンの仕事により高い効率で変換され、結果的に機関運転効率を向上させることができる。しかし、これは同時に圧縮比を高めることにもなる。
火花点火式内燃機関の圧縮比を高める場合、混合気の自着火やノッキング等の異常燃焼が発生する可能性が高まるという課題がある。それに対処するために、例えば、特許文献2には、自着火が生じやすい運転状態を検出した場合に、吸気弁の閉タイミングを遅角または進角させ、有効圧縮比すなわち充填効率を低減させる方法が開示されている。
特開2006−97647号公報 特開2001−159348号公報
特許文献1と特許文献2の方法を組み合わせて、高膨張比による機関運転効率を高める技術を開発する場合、目標気筒空気量が少ない運転領域では、吸気弁閉タイミングを、当該機関速度において充填効率が最大となるタイミングよりも進角側に設定し(このような設定による閉弁動作を「早閉じ」ともいう)、低負荷運転領域での機械的なロスを抑制するとともに、目標気筒空気量が多い運転領域では、吸気弁閉タイミングを、当該機関速度において充填効率が最大となるタイミングよりも遅角側に設定し(このような設定による閉弁動作を「遅閉じ」ともいう)、高負荷運転領域で充分な気筒空気量を確保することが考えられる。
ところが、早閉じ動作と遅閉じ動作との間で吸気弁閉タイミングがシフトする間は、空気過剰になる傾向が高く、特に、高圧縮比エンジンでは、プリイグニション等の異常燃焼の懸念が高まる。
そこで、吸気弁閉タイミングがシフトする間において空気過剰になる傾向が生じるときに、吸気圧力を低下させることが考えられる。ただしこの場合、吸気圧力を下げるとポンプロスが増大するので、機関運転効率の面からは、吸気圧力を低下させる期間はできるだけ短いことが望ましい。他方、運転条件によっては、例えば目標気筒空気量が急速に変化する場合などには、吸気弁閉タイミングおよび吸気圧力の制御に応答遅れが生じ易く、このような場合に異常燃焼を確実に防止するためには、早めに吸気圧力を低下させるようにすることが望ましい。
本発明は上記の事情に鑑み、早閉じ動作と遅閉じ動作との間で吸気弁閉タイミングがシフトする移行時に、気筒空気量を適切に調整し、異常燃焼を確実に防止することができるとともに、可及的にポンプ損失を低減し、機関運転効率を高めることができる内燃機関の制御方法および同装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するため、本発明の内燃機関の制御方法は、内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁を備えるとともに、該吸気弁の閉タイミングが変更可能となっている内燃機関を制御する方法であって、所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う通常制御ステップと、上記早閉じ運転モードから目標気筒空気量の増加によって上記遅閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御ステップとを有し、移行制御ステップは、目標気筒空気量が所定空気量を超えたとき、目標気筒空気量の増加に応じ、吸気弁閉タイミングを遅角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行なうものであって、この処理に際し、目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を小さくするようにしたものである。
この方法によると、所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁が早閉じとされることにより、吸気圧力を高く保った状態で気筒空気量を目標値に制御することができて、ポンプ損失を低減し得るとともに、バルブ動作量を少なくすることができて、機械損失を低減し得る。一方、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁が遅閉じとされることにより、プリイグニッション等の異常燃焼を回避しつつ、必要な気筒空気量を確保することができる。
また、目標気筒空気量の増加によって早閉じ運転モードから遅閉じ運転モードに移行するときは、吸気弁閉タイミングが早閉じから遅閉じにシフトする途中で、充填効率が最大となる閉タイミングを通過するが、この吸気弁閉タイミングのシフト途中では吸気圧力が低下することにより、気筒空気量が過大になることが防止される。
とくに、上記所定空気量を運転条件に応じて変更するようにしているため、異常燃焼を確実に防止しつつ、可及的に吸気圧力を低下させる期間を短くするように調整することができる。
より具体的に、上記方法では、目標気筒空気量の変化が大きいほど、上記所定空気量を小さくするようにしているため、目標気筒空気量の変化が大きいほど、移行制御の開始が早められて、制御の応答遅れにより異常燃焼が発生するといった事態が確実に防止される。
本発明の制御方法の別の態様は、内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁を備えるとともに、該吸気弁の閉タイミングが変更可能となっている内燃機関を制御する方法であって、所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う通常制御ステップと、上記早閉じ運転モードから目標気筒空気量の増加によって上記遅閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御ステップとを有し、移行制御ステップは、目標気筒空気量の変化を予測するステップを含み、目標気筒空気量が所定空気量を超えたとき、目標気筒空気量の増加に応じ、吸気弁閉タイミングを遅角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行なうものであって、この処理に際し、上記予測された目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を小さくするようにしたものである。
このようにすると、予測される目標気筒空気量の変化に応じて適切な制御が行われる。
本発明の制御方法の別の態様は、内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁を備えるとともに、該吸気弁の閉タイミングが変更可能となっている内燃機関を制御する方法であって、所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う通常制御ステップと、上記遅閉じ運転モードから目標気筒空気量の減少によって上記早閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御ステップとを有し、移行制御ステップは、目標気筒空気量が所定空気量以下になったときに、目標気筒空気量の減少に応じ、吸気弁閉タイミングを進角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行なうものであって、この処理に際し、目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を大きくするようにしたものである。
この態様によると、目標気筒空気量の減少によって遅閉じ運転モードから早閉じ運転モードに移行するときに、吸気弁閉タイミングのシフト途中で吸気圧力が低下することにより、気筒空気量が過大になることを防止することができる。そして、目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を大きくすることにより、異常燃焼を確実に防止しつつ、可及的に吸気圧力を低下させる期間を短くするように調整することができる。
本発明の制御方法の別の態様は、内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁を備えるとともに、該吸気弁の閉タイミングが変更可能となっている内燃機関を制御する方法であって、所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う通常制御ステップと、上記遅閉じ運転モードから目標気筒空気量の減少によって上記早閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御ステップとを有し、移行制御ステップは、目標気筒空気量の変化を予測するステップを含み、目標気筒空気量が所定空気量以下になったときに、目標気筒空気量の減少に応じ、吸気弁閉タイミングを進角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行なうものであって、この処理に際し、上記予測された目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を大きくするようにしたものである。
なお、予測される目標気筒空気量の変化は、例えば、過去の目標気筒空気量の変化に基づいて求められる。
また、本発明の内燃機関の制御装置は、内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁と、該吸気弁の変位特性を調整する変位調整機構と、吸気圧力を調整する吸気圧力調整手段と、これら変位調整機構および吸気圧力調整手段を制御することによって吸気弁閉タイミングおよび吸気圧力を制御する制御器とを備え、上記制御器は、所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う手段と、上記早閉じ運転モードから目標気筒空気量の増加によって上記遅閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御手段とを有し、移行制御手段は、目標気筒空気量が所定空気量を超えたとき、目標気筒空気量の増加に応じ、吸気弁閉タイミングを遅角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行ない、かつ、この処理に際し、目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を小さくするように構成されているものである。
本発明の制御装置の別の態様は、内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁と、該吸気弁の変位特性を調整する変位調整機構と、吸気圧力を調整する吸気圧力調整手段と、これら変位調整機構および吸気圧力調整手段を制御することによって吸気弁閉タイミングおよび吸気圧力を制御する制御器とを備え、上記制御器は、所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う手段と、上記早閉じ運転モードから目標気筒空気量の増加によって上記遅閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御手段とを有し、移行制御手段は、目標気筒空気量の変化を予測する機能を備え、目標気筒空気量が所定空気量を超えたとき、目標気筒空気量の増加に応じ、吸気弁閉タイミングを遅角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行ない、かつ、この処理に際し、上記予測された目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を小さくするように構成されているものである。
本発明の制御装置の別の態様は、内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁と、該吸気弁の変位特性を調整する変位調整機構と、吸気圧力を調整する吸気圧力調整手段と、これら変位調整機構および吸気圧力調整手段を制御することによって吸気弁閉タイミングおよび吸気圧力を制御する制御器とを備え、上記制御器は、所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う手段と、上記遅閉じ運転モードから目標気筒空気量の減少によって上記早閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御手段とを有し、移行制御手段は、目標気筒空気量が所定空気量以下となったとき、目標気筒空気量の減少に応じ、吸気弁閉タイミングを進角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行ない、かつ、この処理に際し、目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を大きくするように構成されているものである。
本発明の制御装置の別の態様は、内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁と、該吸気弁の変位特性を調整する変位調整機構と、吸気圧力を調整する吸気圧力調整手段と、これら変位調整機構および吸気圧力調整手段を制御することによって吸気弁閉タイミングおよび吸気圧力を制御する制御器とを備え、上記制御器は、所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う手段と、上記遅閉じ運転モードから目標気筒空気量の減少によって上記早閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御手段とを有し、移行制御手段は、目標気筒空気量の変化を予測する機能を備え、目標気筒空気量が所定空気量以下となったとき、目標気筒空気量の減少に応じ、吸気弁閉タイミングを進角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行ない、かつ、この処理に際し、上記予測された目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を大きくするように構成されているものである。
このような制御装置によると、上記変位調整機構、吸気圧力調整手段および制御器により、上述の本発明の制御方法を効果的に実施することができる。
本発明の制御装置において、上記変位調整機構は、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変更可能にした位相可変機構と、吸気弁のリフト量を連続的に変更可能にした可変バルブリフト機構とで構成されていることが好ましい。
このようにすると、上記変位調整機構により、吸気弁閉タイミングの調整とともにバルブリフト量、開弁期間などを適切に調整することができる。
以上説明したように、本発明は、早閉じモードから遅閉じモードへの移行時、または遅閉じモードから早閉じモードへの移行時に、吸気弁閉タイミングをシフトするとともに、吸気圧力をいったん低下させることにより、移行中に気筒空気量が過大になることを防止することができ、とくに運転条件に応じ、異常燃焼を確実に防止しつつ、可及的に吸気圧力を低下させる期間を短くして、ポンプ損失を低減することができるものである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る制御装置を含む内燃機関システムの概略構成図である。
図1を参照して、内燃機関システムは、エンジン1、エンジン1に付随する様々なアクチュエータ、様々なセンサ、およびセンサからの信号に基づきアクチュエータを制御する制御器としてのエンジン制御ユニット100を有する。
エンジン1は、火花点火式内燃機関であって、第1〜第4の4つの気筒11、11、…を有するものであるが、いかなる数の気筒を有するものであってもよい。エンジン1は、自動車等の車両に搭載され、そのクランクシャフト14は、変速機を介して駆動輪に連結され、車両を推進する。
本実施形態に係るエンジン1は、13以上の幾何学的圧縮比をもち、幾何学的圧縮比は、14以上16以下であるのが好ましい。
すなわち、幾何学的圧縮比が大きいことは、膨張比が大きいことを意味するので、大きいほど、機関効率は上がる。そこで、本実施形態では、幾何学的圧縮比を13以上に設定し、高トルクと燃費の大幅な低減を図ることとしている。
尤も、圧縮比が高いほど、異常燃焼発生の可能性が高まるので、有効圧縮比を小さくして充填効率を下げる必要が生じる。そうなると、気筒容積の割りに得られる出力が低下するために、機関の重量比で見たときの効率は低下する。他方、エンジン1を自動車等の車両に搭載する際に、エンジンルーム内への搭載性に問題を生じる。従って、幾何学的圧縮比の上限は、16以下にするのが好ましい。
エンジン1は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えており、それらの内部に気筒11、11、…が形成されている。シリンダブロック12には、クランクシャフト14が回転自在に支持されており、このクランクシャフト14がピストン15に対し、コネクティングロッド16を介して連結されている。
ピストン15は、各気筒11内に摺動自在に嵌挿されて燃焼室17を区画している。シリンダヘッド13には、吸気ポート18および排気ポート19が気筒11毎に2つずつ形成され(図には各1つのみ示す)、それぞれ燃焼室17に連通している。図に示すように、吸気ポート18および排気ポート19に対し、これらを燃焼室17から遮断(閉)できるように吸気弁21および排気弁22が配設されている。吸気弁21は、動弁装置としての吸気弁駆動機構30により、排気弁22は排気弁駆動機構40により、それぞれ駆動されて、所定のタイミングで往復動し、吸気ポート18および排気ポート19を開閉するものである。
吸気弁駆動機構30は、吸気カムシャフト31を有し、排気弁駆動機構40は、排気カムシャフト41を有する。カムシャフト31、41は、クランクシャフト14により、周知のチェーン/スプロケット機構等の動力伝達機構を介して連結される。動力伝達機構は、周知のように、クランクシャフト14が二回転する間に、カムシャフト31、41が一回転するように構成される。
カムシャフトの位相角は、カム位相センサ35により検出され、その検出信号θVCT_Aがエンジン制御ユニット100に入力される。
点火プラグ51は、シリンダヘッド13に取り付けられている。点火システム52は、エンジン制御ユニット100からの制御信号SADを受けて、点火プラグ51が所望の点火タイミングで火花を発生するよう、それに通電する。
燃料噴射弁53は、シリンダヘッド13の一側(図例では吸気側)に取り付けられている。燃料噴射弁53の先端は、上下方向については2つの吸気ポート18の下方に、また、水平方向についてはそれら2つの吸気ポート18の中間に位置して、燃焼室17内に臨んでいる。
燃料供給システム54は、図示は省略するが、燃料噴射弁53に燃料を昇圧して供給する高圧ポンプと、この高圧ポンプに燃料タンクから燃料を送給する配管やホース等と、燃料噴射弁53を駆動する電気回路とを備えている。この電気回路は、エンジン制御ユニット100からの制御信号FPDを受けて燃料噴射弁53のソレノイドを作動させ、所定のタイミングで所望量の燃料を噴射させる。
吸気ポート18は、吸気マニホールド55内の吸気経路55bによってサージタンク55aに連通している。図示しないエアクリーナからの吸気流はスロットルボデー56を通過してサージタンク55aに供給される。スロットルボデー56にはスロットル弁57が配置されており、周知のようにサージタンク55aに向かう吸気流を絞って、その流量を調整する。スロットルアクチュエータ58が、エンジン制御ユニット100からの制御信号TVODを受けて、スロットル弁57の開度を調整する。
排気ポート19は、排気マニホールド60内の排気経路によって周知のように排気管内の通路に連通している。排気マニホールド60よりも下流の排気通路には、一つ以上の触媒コンバータ61を有する排気ガス浄化システムが配置される。触媒コンバータ61は、周知の三元触媒、リーンNOx触媒、酸化触媒等とすることができ、それ以外にも、特定の燃料制御手法による排気ガス浄化の目的にかなうものであれば、いかなるタイプの触媒としてもよい。
エンジン制御ユニット100には、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央算出処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラムおよびデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスとを備えている。
エンジン制御ユニット100は、エアフローセンサ71から吸気流量AF、吸気圧センサ72から吸気マニホールド圧MAP、クランク角センサ73からクランク角パルス信号、というように種々の入力を受け入れる。エンジン制御ユニット100は、例えば、クランク角パルス信号に基づいて、エンジン回転速度NENGを計算する。また、エンジン制御ユニット100は、酸素濃度センサ74から排気ガスの酸素濃度EGOについての入力も受け入れる。さらに、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ75からのアクセル制御信号αを受け入れる。またエンジン制御ユニット100は、変速機の出力軸の回転速度を検出する車速センサ76からの車速信号VSPを受け入れる。
より具体的に、エンジン制御ユニット100は前記のような入力に基づいて、以下のようなエンジン1の制御パラメータを計算する。例えば、所望のスロットル開度TVO、燃料噴射量FP、点火タイミングSA、バルブ位相角θVCT、バルブリフト量θVVL等である。そして、それら制御パラメータに基づいて、対応する制御信号として、スロットル制御信号TVOD、燃料噴射パルス信号FPD、点火パルス信号SAD、バルブ位相角信号θVCT_D、バルブリフト量信号θVVL_D等を、スロットルアクチュエータ58、燃料供給システム54、点火システム52および吸気カムシャフト位相可変機構32等に出力する。
次に、図2以下を参照して、本実施形態に係る吸気弁駆動機構30の詳細について説明する。図2は、図1の実施形態に係る吸気弁駆動機構30の具体的な構成を示す斜視図であり、図3は、図1の吸気弁駆動機構30の要部を示す断面図である。図3において、(A)は大リフト制御状態においてバルブリフト量が0のときを示し、(B)は大リフト制御状態においてバルブリフト量が最大のときを示し、(C)は小リフト制御状態においてバルブリフト量が0のときを示し、(D)は小リフト制御状態においてバルブリフト量が最大のときを示している。
本実施形態の吸気弁駆動機構30は、吸気弁21の変位特性を調整する変位調整機構を備えている。この変位調整機構は、クランクシャフト14に対するカムシャフト31の回転位相を変更可能にした位相可変機構(VCT機構)32と、吸気弁のリフト量を連続的に変更可能にした可変バルブリフト機構(VVL機構)33とで構成されている。
上記VCT機構32はチェーンドライブ機構によってクランクシャフト14に駆動連結されている。チェーンドライブ機構は、ドリブンスプロケット104の他に、図示しないが、クランクシャフト14のドライブスプロケットと、それら両スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備える。
VCT機構32は、ドリブンスプロケット104に一体に回転するように固定されたケースと、それに収容されるとともにインナシャフト105に一体に回転するように固定されたロータとを有する。ケースとロータとの間には複数の液圧室が、中心軸X(図3に示す)の周りに(周方向に)並んで形成される。そして、ポンプにより加圧された液体(例えばエンジンオイル)が各々の液圧室に選択的に供給されて、互いに対向する液圧室の間に圧力差を形成する。
VCT制御ユニットとしてのエンジン制御ユニット100がVCT機構32の電磁バルブ32aに制御信号(バルブ位相角信号)θVCT_Dを出力し、この制御信号θVCT_Dを受けて、電磁バルブ32aが液圧のデューティ制御をすることで、前記液圧室に供給する液体の流量や圧力等を調整する。これによりスプロケット104とインナシャフト105との間の実際の位相差が変更され、それによって、周知のようにインナシャフト105の所望の回転位相が達成される。なお、エンジン制御ユニット100と別構成のユニットでVCT制御ユニットを構成してもよい。
VVL機構33は、図3(A)〜(D)に示すように各々の気筒11に対応してインナシャフト105に設けられたディスク形状のカム106を有する。このカム106は、インナシャフト105の軸芯から偏心して設けられ、VCT機構32により規定される位相で回転する。この偏心カム106の外周にはリング状アーム107の内周が回転自在に嵌め合わされており、インナシャフト105がその中心軸X周りに回転すると、リング状アーム107は、同じ中心軸Xの回りを公転しながら偏心カム106の中心の周りを回動する。
また、前記インナシャフト105には、気筒11毎にロッカーコネクタ110が配設されている。このロッカーコネクタ110は円筒状で、インナシャフト105に外挿されて同軸に軸支され、換言すれば、その中心軸X周りに回動可能に支持されている一方、該ロッカーコネクタ110の外周面はベアリングジャーナルとされ、シリンダヘッド13に配設されたベアリングキャップ(図示せず)によって回転可能に支持されている。
前記ロッカーコネクタ110には、第1および第2のロッカーカム111、112が一体的に設けられている。両者の構成は同じなので、図3(A)〜(D)にはロッカーカム111について示すが、このロッカーカム111は、カム面111aと円周状のベース面111bとを有し(図3(D)参照)、それらはいずれもタペット115の上面に摺接するようになっている。ロッカーカム111は、連続的には回転せず、揺動運動することを除いては、一般的な吸気弁駆動機構のカムと同様にタペット115を押圧してバルブを開くものである。タペット115はバルブスプリング116で支えられている。バルブスプリング116は、周知のように保持器117、118の間に支持されている。
再度、図2を参照すると、インナシャフト105およびロッカーカム部品110〜112の組立体と並んで、その上方にコントロールシャフト120が配置されている。このコントロールシャフト120は、図示しないベアリングによって回転可能に支持されており、その長手方向の中央付近には、外周面から突出する同軸状のウォームギヤ121が一体的に設けられている。
ウォームギヤ121はウォーム122と噛合している。このウォーム122は、VVL機構33のアクチュエータである例えばステッピングモータ123の出力軸に固定されている。よって、エンジン制御ユニット100からの制御信号(バルブリフト量信号)θVVL_Dを受けたステッピングモータ123の作動により、コントロールシャフト120を所望の位置に回動させることができる。こうして回動されるコントロールシャフト120には、気筒11毎のコントロールアーム131が取り付けられており、これらコントロールアーム131は、コントロールシャフト120の回動によって一体的に回動される。
また、そうして回動されるコントロールアーム131は、コントロールリンク132によってリング状アーム107に連結されている。すなわち、コントロールリンク132の一端部はコントロールピボット133によってコントロールアーム131の先端部に回転自在に連結され、該コントロールリンク132の他端部はコモンピボット134によってリング状アーム107に回転自在に連結されている。
ここで、コモンピボット134は、前記のようにコントロールリンク132の他端部をリング状アーム107に連結するとともに、このリング状アーム107を貫通してそれをロッカーリンク135の一端部にも回転自在に連結している。そして、このロッカーリンク135の他端部がロッカーピボット136によってロッカーカム111に回転自在に連結されており、これによりリング状アーム107の回転がロッカーカム111に伝えられるようになっている。
より具体的に、インナシャフト105が回転して、これと一体に偏心カム106が回転するとき、図3(A)(C)に示すように偏心カム106が下側に位置すれば、リング状アーム107も下側に位置するようになり、一方、図3(B)(D)に示すように偏心カム106が上側に位置すれば、リング状アーム107も上側に位置するようになる。
その際、リング状アーム107とコントロールリンク132とを連結するコモンピボット134の位置は、コントロールピボット133の位置と、偏心カム106およびリング状アーム107の共通中心位置との、3者相互の位置関係によって規定されるから、図示のようにコントロールピボット133の位置が変化しない(コントロールシャフト120が回動しない)とすれば、コモンピボット134は、偏心カム106およびリング状アーム107の共通中心周りの回転のみに対応して概略上下に往復動作するようになる。
そのようなコモンピボット134の往復動作はロッカーリンク135によって第1のロッカーカム111に伝えられ、該第1のロッカーカム111を、ロッカーコネクタ110で連結された第2のロッカーカム112と共に中心軸X周りに揺動させる。こうして揺動するロッカーカム111は、図3(B)(C)に示すように、カム面111aがタペット115の上面に接触する間は、当該タペット115をバルブスプリング116のばね力に抗して押し下げ、このタペット115が吸気弁21を押し下げて、吸気ポート18を開かせる。
一方、図3(A)(C)に示すように、ロッカーカム111のベース面111bがタペット115の上面に接触するとき、タペット115は押し下げられない。これは、中心軸Xを中心とするロッカーカム111のベース面111bの半径が、その中心軸Xとタペット115の上面との間隔以下に設定されているからである。
上述の如きコントロールピボット133と、コモンピボット134と、偏心カム106およびリング状アーム107の共通中心との相互の位置関係において、コントロールピボット133の位置が変化すれば、これにより3者相互の位置関係に変化が生じ、コモンピボット134は前記とは異なる軌跡を描いて往復動作するようになる。
よって、モータ123の作動によりコントロールシャフト120およびコントロールアーム131を回転させて、コントロールピボット133の位置を変えることにより、ロッカーカム111、112の揺動範囲を変更することができる。例えば、コントロールアーム131を図3において時計回りに回動させて、コントロールピボット133を図3(A)に示す位置から図3(C)に示すように左斜め上側にずらすと、ロッカーカム111の揺動範囲は、相対的にベース面111bがタペット115の上面に接触する傾向の強いものとなる。
図4は、本実施形態に係る吸気弁駆動機構30の設定例を示す図である。
この図に示すように、本実施形態では、上述した吸気弁駆動機構30およびこれに関連する構成部品により、バルブリフト量θVVLは、例えばθVVL_minからθVVLmaxまでの範囲で、目標気筒空気量(各気筒11に充填される空気量の目標値)の増加に応じて増加するように制御されるとともに、吸気弁閉タイミングは、バルブリフト量θVVLの増加に応じてθVCT_minからθVCTmaxの範囲で遅角する。
本実施形態では、例えばエンジン回転速度(機関速度)NENGが1500rpmの時の吸気行程において吸気弁21を開閉する際、吸気弁21の開タイミングについては、殆どの運転領域で排気上死点直前から開弁を開始し、要求トルクに応じて閉タイミングを変更するようにしている。
ここで、本実施形態では、吸気弁21の閉タイミングとして、当該エンジン回転速度(機関速度)NENGにおいて充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側に設定される第1閉弁タイミング範囲IVC1stと、当該エンジン回転速度(機関速度)NENGにおいて充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側に設定され、且つ第1閉弁タイミング範囲IVC1stから離間した第2閉弁タイミング範囲IVC2ndとが設定されており、吸気弁21が第1閉弁タイミング範囲IVC1stで閉じるように運転される早閉じ運転モードMEIVCと、吸気弁21が第2閉弁タイミング範囲IVC2ndで閉じるように運転される遅閉じ運転モードMLIVCとを設定可能に構成されている。
早閉じ運転モードMEIVCは、気筒空気量(気筒に充填される空気量)が少ない低負荷時に選択されるモードである。他方、遅閉じ運転モードMLIVCは、気筒空気量が多い高負荷時に選択されるモードである。
ここで、本実施形態において、遅閉じ運転モードMLIVCが設定される第2閉弁タイミング範囲IVC2ndは、早閉じ運転モードMEIVCが設定される第1閉弁タイミング範囲IVC1stよりも遅角し且つ離間している。従って、各閉弁タイミング範囲IVC1st、IVC2ndの間には、定常運転時であれば吸気弁21が閉じることのない中間閉弁タイミング範囲(異常燃焼懸念範囲)IVCIMがあり、この中間閉弁タイミング範囲IVCIMの中の下死点BDC付近に、充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングが存在している。
次に、上述のような運転モードを設定している理由について説明する。
エンジン1の出力を高め、燃費を低減するために、吸気弁21の閉タイミングを吸気下死点よりも進角または遅角させて、膨張比を高くする方法として、吸気弁21の閉タイミングを吸気下死点よりも進角する早閉じでエンジン1を運転制御する場合には、図3(C)(D)から明らかなように、ロッカーカム111の揺動量は、小さくなり、バルブスプリング116の抵抗も小さくなるので、低負荷側では好ましいものとなる。しかし、要求負荷の増加に応じて、吸気弁21の閉タイミングを吸気下死点付近まで遅角すると、上述のような高圧縮比に設定されたエンジン1では、プリイグニション等の異常燃焼が生じる可能性が高まる。また、単に、異常燃焼が懸念される運転領域を回避して吸気弁21の早閉じ制御をすれば、要求負荷が高くなるにつれて気筒空気量を確保できなくなり、必要な出力を得ることができなくなる。
他方、吸気弁閉タイミングIVCを、当該エンジン回転速度NENGにおいて充填効率が最大となるタイミングよりも遅角側に設定した場合、ピストン15が下死点に移動するまで気筒11内に空気を導入することができるため、有効圧縮比が低減するところで吸気弁21を閉じても比較的充分な気筒空気量を確保することができる反面、図3(A)(B)に示したように、低速低負荷時の目標気筒空気量が小さい運転領域では、吸気弁21のバルブリフト量、動弁範囲を最大値近傍まで大きく設定する必要があり、機械的損失が大きくなる等の不具合を回避することができない。
そこで、本実施形態では、高圧縮比エンジンにおいて、可及的に連続的な運転領域で膨張比を高めつつ、ノッキングを回避するとともに、ポンプ損失低減、目標気筒空気量が小さい運転領域での機械的損失の低減、目標気筒空気量が大きい運転領域での出力確保等のため、上記のように第1閉弁タイミング範囲IVC1stと第2閉弁タイミング範囲IVC2ndとを設定している。
また、第1閉弁タイミング範囲IVC1stとされる早閉じ運転モードMEIVCから第2閉弁タイミング範囲IVC2ndとされる遅閉じ運転モードMLIVCへの移行、あるいは遅閉じ運転モードMLIVCから早閉じ運転モードMEIVCへの移行が行われるときには、吸気弁閉タイミングが中間閉弁タイミング範囲IVCIMを通るが、このときには吸気圧力が低くされることにより、空気過剰になる傾向が抑制される。
図5は、運転モード設定のための運転領域の例を示す特性図である。
この図に示すように、本実施形態では、高負荷側の特性L1以上の高負荷側である運転領域RLIVCでは遅閉じ運転モードMLIVCが、低負荷側の特性L2以下の低負荷側である運転領域REIVCでは、早閉じ運転モードMEIVCが、それぞれ選定されるように設定されている。図示の例において、特性L1と特性L2の間の運転領域RTRは、ヒステリシスを設けて運転モードの切換に用いられる領域であり、運転領域REIVCから要求負荷が高くなっても、特性L1を越えるまでは、運転モードは早閉じ運転モードMEIVCが維持され、運転領域RLIVCから要求負荷が低くなっても、特性L2を越えるまでは、運転モードは運転領域RLIVCが維持される。
運転モードM_nowが早閉じ運転モードMEIVCである場合、例えば図6(A)(B)に示す制御例で吸気弁閉タイミングIVCやスロットル開度TVOが制御される。
すなわち、早閉じ運転モードMEIVCの場合の吸気弁閉タイミングIVCの制御としては、第1閉弁タイミング範囲IVC1stの範囲内で、図6(A)のように、エンジン回転速度NENGが高くなるほど、吸気弁21の閉タイミングは遅角する。また、目標気筒空気量が増加するほど、吸気弁21の閉タイミングは遅角する。この結果、第1閉弁タイミング範囲IVC1stで運転される場合では、吸気弁21の閉タイミングが遅角することによって、充填効率を増加させ、要求トルクに見合うトルクを出力できるようになっている。
早閉じ運転モードMEIVCの場合のスロットル開度TVOの制御としては、図6(B)のように、特性L1と平行にエンジン回転速度NENGに比例する特性L3が低負荷側に設定され、この特性L3よりも低負荷側の運転領域では、スロットル開度TVOは、全開もしくは全開相当になっており、気筒空気量(気筒に充填される空気量)は、専ら、吸気弁21の閉タイミングで制御されるようになっている。このため、気筒空気量を調整しつつ、ポンプ損失が生じないように制御することが可能になる。他方、特性L1から特性L3の間では、要求負荷が高まるにつれて、或いはエンジン回転速度NENGが低減するにつれて、スロットル開度TVOを小さくするように制御される。このため、運転状態が、中高速低中負荷運転領域から運転モードMを遅閉じ運転モードMLIVCに設定する必要のある低速高負荷運転領域に近づくにつれて、気筒空気量を低減することができるので、高圧縮比エンジンを採用した本実施形態において、運転モードMの切り換え点に近い不安定な運転領域であっても、プリイグニション等の異常燃焼を回避しつつ、気筒空気量を調整することができる。なお、特性L3は、図5の特性L2よりも低負荷側であってもよく、特性L2以上であってもよい。
また、運転モードM_nowが遅閉じ運転モードMLIVCである場合、例えば図7(A)(B)に示す制御例で吸気弁閉タイミングIVCやスロットル開度TVOが制御される。
すなわち、遅閉じ運転モードMLIVCの場合の吸気弁閉タイミングIVCの制御としては、第2閉弁タイミング範囲IVC2ndの範囲内で、図7(A)のように、エンジン回転速度NENGが高くなるほど吸気弁21の閉タイミングは遅角し、また、目標気筒空気量が増加するほど吸気弁21の閉タイミングは進角する。一方、スロットル開度TVOの制御としては、図7(B)のように、目標気筒空気量の変化に対してはスロットル開度TVOを一定とし、エンジン回転速度NENGが増加するにつれてスロットル開度TVOを大きくしている。
このようにして遅閉じ運転モードMLIVCでは、遅閉じによってノッキングを抑制しつつ、所要の気筒空気量を確保することができるようにしている。
図8は、エンジン制御ユニット100による制御のアルゴリズムを示すブロック図である。
この図に示すように、エンジン制御ユニットは、目標トルク(TQ)演算部201、目標燃焼トルク(Pi_t)演算部202、運転領域切換しきい値演算部203および制御量演算部204を有する。
上記目標トルク演算部201は、アクセル開度センサ75からのアクセル制御信号α、クランク角パルス信号に基づくエンジン回転速度NENG、および車速センサ76からの車速信号VSPに基づいて、目標トルクTQを演算する。目標燃焼トルク演算部202は、上記目標トルクTQに、トルク損失要素pfを加えて、実際にエンジンが発生すべきトルクである目標燃焼トルクPi_tを演算する。この目標燃焼トルクPi_tは、具体的には図示平均有効圧力Piの目標値であり、目標気筒空気量に相当する。
運転領域切換しきい値演算部203は、前述の図5に示す運転領域のマップ中の運転領域RLIVC、RTR、REIVCの境界に相当するしきい値、つまり、この図の中の特性ラインL1および特性ラインL2上でその時のエンジン回転速度NENGに応じた値を演算する。
そして、制御量演算部204では、運転領域切換しきい値演算部203により求められたしきい値と、上記目標燃焼トルクPi_tとから、目標運転領域R_tを算出するとともに、その目標運転領域R_tおよび上記目標燃焼トルクPi_t等に基づき、目標ブーストBt_tおよび目標吸気弁閉タイミングIVC_tを算出する。
さらに、エンジン制御ユニットは、運転モード判別部205、移行時制御量演算部207、および制御信号出力処理部208を有する。
上記運転モード判別部205は、現在の運転モードおよび目標運転モードを判別するとともに、運転モードの切換えが必要かどうかを判断する。
運転モードの切換えが必要となったときは、移行時制御量演算部207により、目標燃焼トルクPi_t、目標ブーストBt_t、目標吸気弁閉タイミングIVC_t、吸気マニホールド圧MAP、バルブ位相角θVCTおよびバルブリフト量θVVL等の信号に基づき、運転モード移行時における制御量の演算を行う。この場合、目標燃焼トルクPi_tについては後述のように応答制限処理を行い、この応答制限処理後の目標燃焼トルクPi_tに応じて目標ブーストBt_t、目標吸気弁閉タイミングIVC_t等の制御量が演算される。そして、移行時制御量演算部207により演算された運転モード移行時の目標ブーストBt_t、目標吸気弁閉タイミングIVC_t等の制御量が制御信号出力処理部208に与えられる。なお、運転モード移行時以外は、制御量演算204で演算された制御量が制御信号出力処理部208に与えられる。
制御信号出力処理部208は、制御量演算部204または移行時制御量演算部207により演算された制御量と、エンジン回転数NENGおよび目標燃焼トルクPi_tに基づいて求められる燃料噴射量や点火時期の制御量等に基づき、制御信号FPD、SAD、θVVL-D、θVCT-D、TVODをそれぞれに応じたアクチュエータに出力する。
上記移行時制御量演算部207において行われる運転モード移行時の演算処理を、図9を参照しつつ説明する。
図9は、本実施形態による場合の運転モード移行時の処理を示すものであり、目標トルクTQ、エリア判定フラグ、目標トルク応答限界、目標トルクの変化率(傾き)dTQ、燃焼トルクPi、スロットル開度TVO、ブーストBt、吸気弁閉タイミングIVC、バルブリフト量θVVLおよびバルブ位相角θVCTの時間的変化を示している。燃焼トルクPiについては一点鎖線が応答制限処理を施す前の目標値、破線が応答処理を施した後の目標値、実線が実際値である。また、スロットル開度TVO、ブーストBt、吸気弁閉タイミングIVC、バルブリフト量θVCT、バルブ位相角θVVLについては、破線が目標値、実線が実際値である。
この図のように、早閉じ運転モードでは、ポンプ損失低減のため、スロットル開度が一定開度(低速域では全開と同等の吸気流通量を確保し得る開度)に保たれ、ブーストは0(大気圧)とされ、吸気弁閉タイミングIVCは第1タイミング(早閉じ)の範囲内で目標トルク等に応じて調整されている。
早閉じ運転モードにある運転領域からアクセルペダルが踏み込まれることによって目標トルクTQが増加すると、それに対応して燃焼トルクPiの目標値が増加するが、この目標値が設定値Pi0に達すると、移行制御手段の機能を果たす処理(移行制御ステップ)が開始される。
移行制御の処理としては、吸気弁閉タイミングIVCが次第に遅角されるとともに、ブーストBtが所定圧力までいったん低下し、それから上昇するように制御される。
この場合、燃焼トルクPiの変化には応答限界があり、とくに上記の移行制御でブーストBtが低くされるときにはトルク応答限界が低下し、目標トルクの変化率dTQよりも低くなるため、目標トルクTQの変化に対応させて燃焼トルクPiの目標値を変化させても、実際の燃焼トルクPiは目標値に追随し得ず、目標値に対する実際値の応答遅れが大きくなる。
そこで、トルク応答限界が目標トルクの変化率dTQよりも低くなる期間は、燃焼トルクPiの目標値の変化が制限され(破線)、つまり、燃焼トルクPiの目標値が目標トルクTQに対応した値(一点鎖線)よりも緩やかに変化するように制限される。
移行制御の処理を具体的に説明すると、先ず、ブーストBtを低下させるためにスロットル開度TVOは小さくされる。なお、本実施形態では、スロットル制御の応答性を高めるため、スロットル開度TVOの目標値は進み補正される。
また、ブーストBtの目標値が所定圧力まで低下するとともに、吸気弁閉タイミングIVCの目標値は遅角され、それに対応してバルブリフト量θVVLおよびバルブ位相角θVVLの目標値が変化する。この場合に、応答制限処理が施された燃焼トルクPiに対応してブーストBt、吸気弁閉タイミングIVC、バルブリフト量θVVLおよびバルブ位相角θVVLの各目標値が変化するため、これらの目標値(破線)に対する実際値(実線)の追随性が高められる。
吸気弁閉タイミングIVCが所定タイミング(充填効率が最大となる閉タイミング)になるとともに、ブーストBtが所定圧力まで低下すると、この制限解除条件が成立したとき、エリア判定フラグが遅閉じに切換えられるとともに、上記応答制限が解除されて、燃焼トルクPiの目標値が急速に増加する。そして、スロットル開度TVOの目標値が大きくされ、ブーストBtの目標値が上昇されるとともに、吸気弁閉タイミングIVCが上記所定タイミングよりもさらに遅角される。そして、燃焼トルクPi、ブーストBt、吸気弁閉タイミングIVC等が移行後の運転モードにおける目標トルク等に応じた値に達すれば、移行制御の処理が終了する。
このような移行制御の処理において、移行制御の開始条件を与える目標燃焼トルクPi_tの設定値Pは、前述の図5中の、特性L1に相当するしきい値付近に設定されるが、運転条件に応じて変更される。これに伴い、目標ブーストおよび目標吸気弁閉タイミングの時間的変化の特性も、運転条件に応じて変更される。
以上のようなエンジン制御ユニット100により行われる処理をフローチャートで示すと、図10および図11のようになる。
まず、図10を参照して、エンジン制御ユニット100は、各種信号を読み込み(ステップS1)。次いで、アクセル制御信号α、車速信号VSPおよびエンジン回転速度NENGに基づいて、目標トルクTQを算出する(ステップS2)。さらに、算出された目標トルクTQと、予め想定されているトルク損失要素pfとに基づき、目標燃焼トルクPi_tを算出する(ステップS3)。このトルク損失要素pfは、機械抵抗やポンプ損失であり、運転状態(エンジン回転速度NENGや、筒内温度等)に基づいて予め実験等で求められたデータをマップ化したものである。
次いで、エンジン制御ユニット100は、エンジン回転速度NENGに基づき、運転領域切換しきい値L1、L2を算出する(ステップS4)。そして、この運転領域切換しきい値L1、L2と目標燃焼トルクPi_t等に基づき、目標運転領域を算出するとともに、目標運転領域に応じた運転モードを判別する(ステップS5)。さらに、運転モードと目標燃焼トルクPi_t、エンジン回転速度NENG等に基づき、目標ブーストBt_tおよび目標吸気弁閉タイミングIVC_tを算出する(ステップS6)。
次いで、エンジン制御ユニット100は、算出されたパラメータに基づき、運転モードの切換が必要か否かを判定する(ステップS7)。すなわち、現在の運転モードが早閉じモードであって、目標トルクTQの増加により遅閉じモードにすべき運転領域に移行することが予測される場合、あるいは逆に、現在の運転モードが遅閉じモードであって、目標トルクTQの減少により早閉じモードにすべき運転領域に移行することが予測される場合には、運転モードの切換が必要と判断する。
運転モードの切換が不要である場合(ステップS7においてNOの場合)、エンジン制御ユニット100は、通常制御ステップに相当する処理として、現在の運転モードM_nowに対応する制御信号FPD、SAD、θVVL-D、θVCT-D、TVODを出力することによって、吸気弁駆動機構30やスロットル弁57の各アクチュエータを制御する(ステップS8)。その後、リターンし、ステップS1からの処理を繰り返す。
一方、ステップ7で運転モードの切換が必要であると判定した場合(ステップS7においてYESの場合)、エンジン制御ユニット100は、移行制御ステップとしての処理(ステップS9〜S14)を行なう。
この処理は、概略的には、目標燃焼トルクPi_t(目標気筒空気量に相当)が所定値(所定空気量)を超えたとき、目標燃焼トルクPi_tの増加に応じて吸気弁閉タイミングIVCを遅角させるとともに、ブーストBtをいったん低下させてその後上昇させるようにし、この処理に際して上記所定値を運転条件に応じて変更するものである。
この処理においては運転条件として目標燃焼トルクPi_tの変化(目標気筒空気量の変化)を予測するステップを含み、本実施形態では過去の目標燃焼トルクPi_tの変化から今後の目標燃焼トルクPi_tの変化を予測すべく、過去の所定期間における目標燃焼トルクPi_tの変化率の最大値を演算する(ステップS9)。
そして、本実施形態では、エンジン制御ユニット100は、後に詳述するように、上記目標燃焼トルクPi_tの変化率の最大値に応じ、目標ブーストおよび目標吸気弁閉タイミングについてそれぞれ内分係数を演算し(ステップS10)、予め設定されている第1,第2の目標ブーストテーブル(図13中のBtT1,BtT2)から読み出した値と上記内分係数とから目標ブーストBt_tを演算し(ステップS11)、また、第1,第2目標IVCテーブル(図13中のIVCT1,IVCT2)から読み出した値と上記内分係数とから目標吸気弁閉タイミングIVC_tを演算する(ステップS12)。そして、ステップS11,S12で求められた移行制御中の目標燃焼トルクPi_t、目標ブーストBt_tおよび目標吸気弁閉タイミングIVC_tやその他の制御量に基づき、制御信号FPD、SAD、θVVL-D、θVCT-D、TVODを各アクチュエータに出力する(ステップS13)。
次いで、エンジン制御ユニット100は、モード移行が終了したか否かを判定し(ステップS14)、終了していなければステップS11からの処理を繰り返し、終了すればリターンする。
図12は、上記フローチャートのステップS9〜S14で行われる移行制御ステップとしての処理の具体的なアルゴリズムを、ブロック図で示している。
この図に示すように、エンジン制御ユニット100は、目標Pi変化率演算部211、タイマリセット判定部212、目標Pi変化率最大値演算部213、目標ブースト内分係数演算部214、目標IVC内分係数演算部215、目標ブースト演算部216および目標IVC演算部217を機能的に含んでいる。さらにエンジン制御ユニット100は、第1目標ブーストテーブルBtT1、第2目標ブーストテーブルBtT2、第1目標IVCテーブルIVCT1および第2目標IVCテーブルIVCT2を有している。
第1,第2目標ブーストテーブルBtT1,BtT2は、図13の上側に示すように、早閉じモードから遅閉じモードへの移行時における目標燃焼室トルク(目標Pi)に対する目標ブーストの特性を定めたものであり、また、第1,第2目標IVCテーブルIVCT1,IVCT2は、図13の下側に示すように、早閉じモードから遅閉じモードへの移行時における目標燃焼トルク(目標Pi)に対する目標吸気弁閉タイミング(目標IVC)の特性を定めたものである。
これらのテーブルBtT1,BtT2,IVCT1,IVCT2で与えられる特性は、図13に示すように、目標燃焼トルクの増加に応じ、目標燃焼トルクが所定値を超えると、目標吸気弁閉タイミングが早閉じの範囲から充填効率が最大となる閉タイミングを経て遅閉じの範囲まで遅角するとともに、目標ブーストがいったん所定圧力まで低下してその後上昇するように設定されている。
これらの特性うち、図13中に破線で示す第1目標ブーストテーブルBtT1および第1目標IVCテーブルIVCT1は、燃費重視の特性を示すものであり、移行制御開始点(目標ブーストの圧力低下および吸気弁閉タイミングの遅角が始まる点)の目標燃焼トルクPi01が、早閉じから遅閉じへの切換わり点の目標燃焼トルクPiXに近い、比較的高トルク側に設定されている。そして、Pi01からPiXまで目標燃焼トルクが変化する間に、目標ブーストが所定圧力まで低下するとともに、目標吸気弁閉タイミングが所定閉タイミング(充填効率が最大となる閉タイミング)まで遅角するようにそれぞれの特性が設定されている。
一方、図13中に実線で示す第2目標ブーストテーブルBtT2および第2目標IVCテーブルIVCT2は、レスポンス重視の特性を示すものであり、移行開始点の目標燃焼トルクPi02が、第1のテーブルBtT1,IVCT1での移行開始点の目標燃焼トルクPi01と比べて低く設定され、そのPi02からPiXまで目標燃焼トルクが変化する間に、目標ブーストが所定圧力まで低下するとともに、目標吸気弁閉タイミングが所定閉タイミング(充填効率が最大となる閉タイミング)まで遅角するようにそれぞれの特性が設定されている。
図12に戻って、目標Pi変化率演算部211は、目標燃焼トルクPi_tからその変化率を演算し、タイマリセット判定部212は所定時間を設定する図外のタイマがリセットされたときにこれを判定する。また、目標Pi変化率最大値演算部213は、過去の目標Pi変化に基づいて今後の目標Piの変化を予測するものであり、本実施形態では直前の所定時間中の目標Pi変化率の最大値を演算するようにしている。
図14によって具体的に説明すると、車速、アクセル開度および目標トルクが同図中に示すように変化する場合、その目標トルクに応じて目標トルク変化率(目標トルク変化率の微分値)が同図中に示すように変化する。そして、算出タイマの値は時間経過に伴って次第に増加し、これが所定の判定値に達したとき(前回リセット時から所定時間が経過したとき)にタイマがリセットされるが、この時点で、リセット直前の所定時間中の目標Pi変化率の最大値が読み取られて、次のタイマリセット時まで保存され、タイマリセット毎に目標Pi変化率の最大値が更新される。
こうして、目標Pi変化率最大値演算部213では、直前の所定時間中の目標Pi変化率の最大値が求められる。
図12中の目標ブースト内分係数演算部214および目標IVC内分係数演算部215では、目標Pi変化率最大値演算部213で求められた目標Pi変化率から、目標ブーストの内分係数および目標IVCの内分係数をそれぞれ演算する。そして、目標ブースト演算部216では、第1,第2目標ブーストテーブルBtT1,BtT2から目標Piに応じて求められる値と目標ブーストの内分係数とから目標ブーストを演算する。また、目標IVC演算部217では、第1,第2目標IVCテーブルIVCT1,IVCT2から目標Piに応じて求められる値と目標IVCの内分係数とから目標IVCを演算する。
具体的に説明すると、第1,第2目標ブーストテーブルBtT1,BtT2から求められる値をBtt1,Btt2、内分係数をα(ただし0≦α≦1)とすると、目標ブーストは[α・Btt1+(1−α)・Btt2]となる。また、第1,第2目標IVCテーブルIVCT1,IVCT2から求められる値をIVCt1,IVCt2、内分係数をβ(ただ0≦β≦1)とすると、目標IVCは[β・IVCt1+(1−β)・IVCt2]となる。
そして、目標Pi変化率の最大値が小さいときは、内分係数α,βが1若しくはそれに近い値とされることにより、目標ブーストおよび目標IVCは、第1目標ブーストテーブルBtT1および第1目標IVCテーブルIVCT1から求められる値若しくはそれに近い値となり、目標Pi変化率の最大値が大きくなるほど、内分係数α,βが小さくされることにより、目標ブーストおよび目標IVCは、第2目標ブーストテーブルBtT2および第2目標IVCテーブルIVCT2から求められる値に近づくようにしている。
以上のような本実施形態の方法および装置によると、目標気筒空気量が所定空気量よりも小さいときは、早閉じ動作によって第1閉弁タイミング範囲IVC1st内で吸気弁21が閉じられる一方、目標気筒空気量が所定空気量以上のときは、遅閉じ動作によって第1閉弁タイミング範囲IVC1stよりも遅角し、且つ離間した第2閉弁タイミング範囲IVC2nd内で吸気弁21が閉じられる。従って、目標気筒空気量が比較的小さい運転領域では、早閉じ動作によって、要求される気筒空気量に相応した小さな開弁量によって内燃機関を運転し、過大な動弁動作による機械損失を低減することができるとともに、スロットル弁57が全開若しくは全開相当の開度とされて吸気圧力が大気圧程度に高くされることでポンプ損失が低減される。
一方、目標気筒空気量が高い運転領域では、遅閉じ動作によって、プリイグニション等の異常燃焼を回避しつつ、必要な気筒空気量を確保し、高い機関出力を得ることができる。また、目標気筒空気量の高い機関高負荷状態では、機関出力が高まるので、その後エンジン回転速度NENGが上昇する可能性が高く、エンジン回転速度NENGが高いほど一定の充填効率を得る吸気弁閉タイミングIVCが遅くなるので、遅閉じとすることは高速域での気筒空気量の確保に有利である。また、遅閉じとすることで有効圧縮比を低下させて、ポンプ損失を低減するとともに、高圧縮比に伴う問題の発生を防止しつつ、膨張比を高めて、機関運転効率を向上させることができる。
また、運転モード移行時、例えば早閉じ運転モードから遅閉じ運転モードへの移行時には、移行制御として、目標気筒空気量に相当する目標燃焼トルクPi_tが所定値を超えたときに、目標燃焼トルクPi_tの増加に応じ、吸気弁閉タイミングIVCを遅角させるとともに、ブーストBtをいったん低下させてその後上昇させるようにしているため、吸気弁閉タイミングが所定タイミング(充填効率が最大となる吸気弁閉タイミング)を通過するときに気筒空気量が増大する傾向をブーストBtの低下により打ち消して、プリイグニッション等の異常燃焼を防止することができる。
とくに本実施形態では、運転条件に応じて上記所定値を変更し、具体的には運転条件として今後の目標燃焼トルクPi_tの変化を予測すべく直前の所定期間における目標燃焼トルクPi_tの変化率の最大値を調べ、その値に応じ、上記所定値を含む目標ブーストの変化の特性および目標IVCの変化の特性を変更している。
すなわち、目標燃焼トルクPi_tの変化率の最大値が比較的小さいときは、目標ブーストおよび目標IVCが第1のテーブルBtT1,IVCT1の特性若しくはこれに近い特性で目標燃焼トルクPi_tに応じて変化するため、第2のテーブルBtT2,IVCT2の特性若しくはこれに近い特性が用いられる場合と比べ、ブーストが低下している期間が短くなり、ポンプ損失が低減され、運転効率が高められ、燃費性能が向上される。
一方、目標燃焼トルクPi_tの変化率の最大値が大きいときは、もし目標ブーストおよび目標IVCが第1のテーブルBtT1,IVCT1の特性若しくはこれに近い特性にされると、目標燃焼トルクPi_tの変化に対して実ブーストおよび実吸気弁閉タイミングの応答遅れが生じ、モード切換点の目標燃焼トルクに達しても実ブーストが充分に低下していない等により異常燃焼を防止する作用が損なわれる懸念がある。
これに対し、本実施形態では、目標燃焼トルクPi_tの変化率の最大値が大きいとき、目標ブーストおよび目標IVCが第2のテーブルBtT2,IVCT2の特性若しくはこれに近い特性にされることにより、目標燃焼トルクPi_tの変化に応じた目標ブーストおよび目標IVCの変化に対して実ブーストおよび実IVCの変化の追随性が高められ、異常燃焼を防止する作用が確実に達成される。
このように、目標ブーストおよび目標IVCの変化の特性が運転条件(目標燃焼トルクPi_tの変化率の最大値)に応じて変更されることにより、可及的にポンプ損失を低減しつつ、異常燃焼を確実に防止することができる。
なお、上記の図9〜図13に基づくモード移行時の制御についての説明では、早閉じモードから遅閉じモードに移行する場合を例示したが、遅閉じモードから早閉じモードに移行する場合もこれに準ずる。すなわち、遅閉じモードから早閉じモードに移行する場合、目標燃焼トルクPi_tが所定値Pi0(所定空気量)以下となったときに、目標燃焼トルクPi_tの減少に応じ、吸気弁閉タイミングを進角させるとともに、ブーストをいったん低下させてその後に上昇させる処理を行ない、この処理の際に、上記所定値Pi0を運転条件、例えば目標燃焼トルクの変化率の最大値に応じて変更するようにし、目標燃焼トルクの変化率の最大値が大きいほど上記所定値Pi0を大きくする。例えばこの場合も、目標ブーストについて燃費重視とレスポンス重視の2つのテーブルを予め設定し、吸気閉タイミングについても燃費重視とレスポンス重視の2つのテーブルを設定しておいて、目標燃焼トルクの変化率の最大値に応じて求めた内分係数と上記各テーブルとから、目標ブーストおよび目標吸気弁閉タイミングを求めるようにすればよい。
また、本発明は上記実施形態に限定されず、種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、モード移行に際し、直前の所定期間内における目標燃焼トルクの変化率の最大値を演算し(図12、図13参照)、これもって、予想される今後の目標燃焼トルクの変化に相当する値としているが、上記最大値の代わりに目標燃焼トルクの変化率の平均値等を求めるようにしてもよい。
また、目標燃焼トルクの変化等の運転条件に応じて目標ブーストおよび目標吸気弁閉タイミングを求める手法として、上記実施形態では、ブーストおよび吸気弁閉タイミングについてそれぞれ内分係数を求め、これと第1,第2のテーブルとから目標ブーストおよび目標吸気弁閉タイミングを演算するようにしているが、演算の仕方はこれに限らず、例えば基本的な目標ブーストおよび目標吸気弁閉タイミングの変化を示すテーブルと目標燃焼トルクの変化等に基づいて求められる補正係数とから目標ブーストおよび目標吸気弁閉タイミングを演算するようにしてもよい。
本発明の実施の一形態に係る内燃機関の概略構成図である。 図1の実施形態に係る吸気弁駆動機構の具体的な構成を示す斜視図である。 図2の吸気弁駆動機構の要部を示す断面図であり、(A)は大リフト制御状態においてバルブリフト量が0のときを示し、(B)は大リフト制御状態においてバルブリフト量が最大のときを示し、(C)は小リフト制御状態においてバルブリフト量が0のときを示し、(D)は小リフト制御状態においてバルブリフト量が最大のときを示している。 本実施形態に係る吸気弁駆動機構の設定例を示す図である。 運転領域の設定例を示す特性図である。 早閉じ運転モードでの制御例を示す図であり、(A)は、吸気弁閉タイミングの制御例、(B)はスロットル開度の制御例である。 遅閉じ運転モードでの制御例を示す図であり、(A)は、吸気弁閉タイミングの制御例、(B)は、スロットル開度の制御例である。 エンジン制御ユニットによる制御の具体的なアルゴリズムの一例を示すブロック図である。 移行制御ステップを実行した場合の一例を示すタイミングチャートである。 エンジン制御ユニットにより行われる演算制御処理の一例を示すフローチャートである。 エンジン制御ユニットにより行われる演算制御処理の一例を示すフローチャートである。 図11のフローチャートのステップS9〜S14で行われる移行制御ステップとしての処理の具体的なアルゴリズムを示すブロック図である。 目標ブーストテーブルおよび目標IVCテーブルを示す図である。 目標Pi変化率最大値の演算のための処理を示すタイムチャートである。
1 エンジン(内燃機関)
11 シリンダ
21 吸気弁
30 吸気弁駆動機構
32 位相可変機構
33 可変バルブリフト機構
57 スロットル弁
100 エンジン制御ユニット(制御器)
IVC1st 第1閉弁タイミング範囲
IVC2nd 第2閉弁タイミング範囲
IVCIM 中間閉弁タイミング範囲
EIVC 早閉じ運転モード
LIVC 遅閉じ運転モード
EIVC 早閉じモード運転領域
LIVC 遅閉じモード運転領域
BtT1 第1目標ブーストテーブル
BtT2 第2目標ブーストテーブル
IVCT1 第1目標IVCテーブル
IVCT2 第2目標IVCテーブル

Claims (10)

  1. 内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁を備えるとともに、該吸気弁の閉タイミングが変更可能となっている内燃機関を制御する方法であって、
    所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う通常制御ステップと、
    上記早閉じ運転モードから目標気筒空気量の増加によって上記遅閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御ステップとを有し、
    移行制御ステップは、目標気筒空気量が所定空気量を超えたとき、目標気筒空気量の増加に応じ、吸気弁閉タイミングを遅角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行なうものであって、この処理に際し、目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を小さくすることを特徴とする内燃機関の制御方法。
  2. 内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁を備えるとともに、該吸気弁の閉タイミングが変更可能となっている内燃機関を制御する方法であって、
    所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う通常制御ステップと、
    上記早閉じ運転モードから目標気筒空気量の増加によって上記遅閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御ステップとを有し、
    移行制御ステップは、目標気筒空気量の変化を予測するステップを含み、目標気筒空気量が所定空気量を超えたとき、目標気筒空気量の増加に応じ、吸気弁閉タイミングを遅角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行なうものであって、この処理に際し、上記予測された目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を小さくすることを特徴とする内燃機関の制御方法。
  3. 内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁を備えるとともに、該吸気弁の閉タイミングが変更可能となっている内燃機関を制御する方法であって、
    所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う通常制御ステップと、
    上記遅閉じ運転モードから目標気筒空気量の減少によって上記早閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御ステップとを有し、
    移行制御ステップは、目標気筒空気量が所定空気量以下になったときに、目標気筒空気量の減少に応じ、吸気弁閉タイミングを進角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行なうものであって、この処理に際し、目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を大きくすることを特徴とする内燃機関の制御方法。
  4. 内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁を備えるとともに、該吸気弁の閉タイミングが変更可能となっている内燃機関を制御する方法であって、
    所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う通常制御ステップと、
    上記遅閉じ運転モードから目標気筒空気量の減少によって上記早閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御ステップとを有し、
    移行制御ステップは、目標気筒空気量の変化を予測するステップを含み、目標気筒空気量が所定空気量以下になったときに、目標気筒空気量の減少に応じ、吸気弁閉タイミングを進角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行なうものであって、この処理に際し、上記予測された目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を大きくすることを特徴とする内燃機関の制御方法。
  5. 請求項2又は4記載の内燃機関の制御方法において、予測される目標気筒空気量の変化は、過去の目標気筒空気量の変化に基づいて求められることを特徴とする内燃機関の制御方法。
  6. 内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁と、該吸気弁の変位特性を調整する変位調整機構と、吸気圧力を調整する吸気圧力調整手段と、これら変位調整機構および吸気圧力調整手段を制御することによって吸気弁閉タイミングおよび吸気圧力を制御する制御器とを備え、
    上記制御器は、
    所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う手段と、
    上記早閉じ運転モードから目標気筒空気量の増加によって上記遅閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御手段とを有し、
    移行制御手段は、目標気筒空気量が所定空気量を超えたとき、目標気筒空気量の増加に応じ、吸気弁閉タイミングを遅角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行ない、かつ、この処理に際し、目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を小さくするように構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  7. 内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁と、該吸気弁の変位特性を調整する変位調整機構と、吸気圧力を調整する吸気圧力調整手段と、これら変位調整機構および吸気圧力調整手段を制御することによって吸気弁閉タイミングおよび吸気圧力を制御する制御器とを備え、
    上記制御器は、
    所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う手段と、
    上記早閉じ運転モードから目標気筒空気量の増加によって上記遅閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御手段とを有し、
    移行制御手段は、目標気筒空気量の変化を予測する機能を備え、目標気筒空気量が所定空気量を超えたとき、目標気筒空気量の増加に応じ、吸気弁閉タイミングを遅角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行ない、かつ、この処理に際し、上記予測された目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を小さくするように構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  8. 内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁と、該吸気弁の変位特性を調整する変位調整機構と、吸気圧力を調整する吸気圧力調整手段と、これら変位調整機構および吸気圧力調整手段を制御することによって吸気弁閉タイミングおよび吸気圧力を制御する制御器とを備え、
    上記制御器は、
    所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う手段と、
    上記遅閉じ運転モードから目標気筒空気量の減少によって上記早閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御手段とを有し、
    移行制御手段は、目標気筒空気量が所定空気量以下となったとき、目標気筒空気量の減少に応じ、吸気弁閉タイミングを進角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行ない、かつ、この処理に際し、目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を大きくするように構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  9. 内燃機関のクランクシャフトの回転に同期して往復動して吸気通路を気筒から開閉遮断する吸気弁と、該吸気弁の変位特性を調整する変位調整機構と、吸気圧力を調整する吸気圧力調整手段と、これら変位調整機構および吸気圧力調整手段を制御することによって吸気弁閉タイミングおよび吸気圧力を制御する制御器とを備え、
    上記制御器は、
    所定の低負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも進角側の第1閉タイミング範囲内に設定する早閉じ運転モードとし、所定の高負荷側の運転領域では、吸気弁閉タイミングを充填効率が最大となる吸気弁閉タイミングよりも遅角側の第2閉タイミング範囲内に設定する遅閉じ運転モードとして、運転モードに応じた吸気弁閉タイミングの制御を行う手段と、
    上記遅閉じ運転モードから目標気筒空気量の減少によって上記早閉じ運転モードへ移行するときの制御を行う移行制御手段とを有し、
    移行制御手段は、目標気筒空気量の変化を予測する機能を備え、目標気筒空気量が所定空気量以下となったとき、目標気筒空気量の減少に応じ、吸気弁閉タイミングを進角させるとともに、吸気圧力をいったん低下させてその後上昇させる処理を行ない、かつ、この処理に際し、上記予測された目標気筒空気量の変化が大きいほど上記所定空気量を大きくするように構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  10. 請求項6乃至9のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置において、上記変位調整機構は、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変更可能にした位相可変機構と、吸気弁のリフト量を連続的に変更可能にした可変バルブリフト機構とで構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
JP2008091233A 2008-03-31 2008-03-31 内燃機関の制御方法および同装置 Expired - Fee Related JP5104474B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008091233A JP5104474B2 (ja) 2008-03-31 2008-03-31 内燃機関の制御方法および同装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008091233A JP5104474B2 (ja) 2008-03-31 2008-03-31 内燃機関の制御方法および同装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009243372A JP2009243372A (ja) 2009-10-22
JP5104474B2 true JP5104474B2 (ja) 2012-12-19

Family

ID=41305555

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008091233A Expired - Fee Related JP5104474B2 (ja) 2008-03-31 2008-03-31 内燃機関の制御方法および同装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5104474B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6994176B2 (ja) 2019-09-19 2022-01-14 株式会社安川電機 搬送システム、搬送方法、ロボット

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5759106B2 (ja) * 2010-02-25 2015-08-05 本田技研工業株式会社 内燃機関の制御装置
JP5483119B2 (ja) 2011-07-07 2014-05-07 アイシン精機株式会社 弁開閉時期制御装置及び弁開閉時期制御機構
WO2013008710A1 (ja) 2011-07-12 2013-01-17 アイシン精機株式会社 弁開閉時期調整システム
JP5803363B2 (ja) 2011-07-12 2015-11-04 アイシン精機株式会社 弁開閉時期調整システム
CN111448378B (zh) * 2017-11-29 2022-07-22 沃尔沃卡车集团 用于控制内燃发动机装置的方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3577745B2 (ja) * 1994-06-23 2004-10-13 マツダ株式会社 可変動弁機構を備えたエンジンの制御装置
JP3508218B2 (ja) * 1994-07-07 2004-03-22 マツダ株式会社 可変動弁機構を備えたエンジンの制御装置
JP2004036575A (ja) * 2002-07-05 2004-02-05 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置
JP2006207433A (ja) * 2005-01-26 2006-08-10 Toyota Motor Corp 内燃機関の制御装置
JP2006274951A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Mazda Motor Corp 4サイクル火花点火式エンジン
JP4403122B2 (ja) * 2005-09-15 2010-01-20 株式会社日立製作所 内燃機関の制御装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6994176B2 (ja) 2019-09-19 2022-01-14 株式会社安川電機 搬送システム、搬送方法、ロボット

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009243372A (ja) 2009-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2096281B1 (en) Internal combustion engine control method, internal combustion engine system and corresponding computer program product
US8768601B2 (en) Control device for internal combustion engine having variable valve mechanism
JP5104474B2 (ja) 内燃機関の制御方法および同装置
WO2019035312A1 (ja) 内燃機関の可変動作システム及びその制御装置
JP2010025061A (ja) 内燃機関の点火時期制御装置及び点火時期制御方法
US8271180B2 (en) Intake control system and method for internal combustion engine
US7121238B2 (en) Intake valve control system and method for internal combustion engine
JP4506414B2 (ja) 内燃機関のバルブ特性制御装置
JP5530790B2 (ja) 内燃機関の吸入空気量制御装置
JP2006037812A (ja) エンジンのバルブ特性制御装置
JP5446579B2 (ja) 内燃機関システムの制御方法および内燃機関システム
JP5029423B2 (ja) 内燃機関の制御方法
JP2007162664A (ja) 内燃機関のバルブ作用角可変制御装置
JP5251787B2 (ja) 内燃機関システムの制御方法および内燃機関システム
JP5310392B2 (ja) 内燃機関システムの制御方法及び内燃機関システム
JP5092956B2 (ja) 車両用の内燃機関を制御する方法及び内燃機関システム
JP5446580B2 (ja) 内燃機関システムの制御方法および内燃機関システム
JP5104473B2 (ja) 内燃機関の制御方法および同装置
JP5304530B2 (ja) 内燃機関システムの制御方法および内燃機関システム
JP5012565B2 (ja) 内燃機関の制御方法および内燃機関システム
JP5316129B2 (ja) 吸気量制御装置
JP5151613B2 (ja) 内燃機関の制御方法および内燃機関システム
JP5169682B2 (ja) 内燃機関を制御する方法及び内燃機関システム
JP5041167B2 (ja) エンジンの制御装置
RU2442002C2 (ru) Двигатель внутреннего сгорания с искровым зажиганием

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110217

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110413

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120508

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120614

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120904

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120917

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5104474

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151012

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees