以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
図1は発電装置1を一部破断して示した斜視図である。
図1に示すように、発電装置1は、燃焼用燃料98及び発電用燃料99を貯蔵する燃料貯蔵モジュール2と、小型改質装置50を内蔵するとともに燃料貯蔵モジュール2の燃焼用燃料98及び発電用燃料99を用いて発電を行う発電モジュール3とを、備えている。
燃料貯蔵モジュール2は略円柱状の筐体4を有している。筐体4の頭頂部には二つの円形の貫通孔5,6が形成されている。筐体4の外周側には、加湿手段の一部として加湿した気体を流通させる第一流通管14と、発電モジュール3で生成された副生成物の水を流通させる第一排水管7とが、形成されている。
燃料貯蔵モジュール2の底部には、水蒸気等の加湿した気体を生成する加湿機構100が配設されており、加湿機構100に第一流通管14が通じている。
図1に示す通り、加湿手段の一部及び加湿気体生成手段としての加湿機構100は円筒状の筐体101を有している。筐体101の外周部にはスリット状の複数の吸気孔102,102,…が形成されており、各吸気孔102を通じて筐体101の内部と酸素を含む大気とが互いに通じた状態となっている。各吸気孔102の吸気部には、気体は透過するが、液体は透過しない通気シートが設けられている。筐体101の内部には、リング状の加湿マット(フィルタ)103が配されており、更に所定量の水104が貯留されている。上記の通り、各吸気孔102には通気シートが設けられているため、水104が筐体101から漏洩することはない。加湿マット103は下部が水104中に浸漬している。加湿マット103は毛細管状の吸収体から構成されており、その毛管作用により水104を吸い上げた状態(吸収した状態)を維持している。また加湿マット103は単位体積あたりの表面積が大きく、表面に付着している水を蒸発しやすい構造を有している。
加湿機構100の上部には、排水用の水を貯留する排水容器16が配設されており、当該排水容器16に上記第一排水管7が通じている。排水容器16は外周面の一部が筐体4の外部に露出している。
筐体4の内部であって排水容器16の上部には二つの第一,第二燃料タンク8,9が収納されている。第一,第二燃料タンク8,9は外周面の一部が筐体4の外部に露出している。第一燃料タンク8の内部には液体の燃焼用燃料98が貯蔵されており、第二燃料タンク9の内部には液体の発電用燃料99が貯蔵されている。燃焼用燃料98は、液状の化学燃料であり、化学燃料としてはメタノール,エタノール等のアルコール類やガソリンといった水素元素を含む化合物が適用可能である。発電用燃料99は、液状の化学燃料と水との混合液であり、化学燃料としてはメタノール,エタノール等のアルコール類やガソリンといった水素元素を含む化合物が適用可能である。本実施形態では、燃焼用燃料98としてメタノールを用いており、発電用燃料99としてメタノールと当該メタノールより高いモル比の水とを均一に混合した混合液を用いている。
第一燃料タンク8の内部には、燃焼用燃料98を発電モジュール3に供給するための第一供給管10が配設されている。第一供給管10は、第一燃料タンク8の内部から第一燃料タンク8の頭頂部を貫通して第一燃料タンク8の外部へ突出し、筐体4の貫通孔5に挿入されている。貫通孔5内であって第一供給管10より上には、閉塞膜(図示略)が貫通孔5を閉塞しており、第一燃料タンク8から外部に燃焼用燃料98が漏出することがこの閉塞膜によって防止されている。
第二燃料タンク9の内部には、発電用燃料99を発電モジュール3に供給するための第二供給管11が配設されている。第二供給管11は、第二燃料タンク9の内部から第二燃料タンク9の頭頂部を貫通して第二燃料タンク9の外部へ突出し、筐体4の貫通孔6に挿入されている。貫通孔6内であって第二供給管11より上には、閉塞膜(図示略)が貫通孔6を閉塞しており、第二燃料タンク9から外部に発電用燃料99が漏出することがこの閉塞膜によって防止されている。
以上の燃料貯蔵モジュール2は、筐体4、第一燃料タンク8,第二燃料タンク9,排水容器16,加湿機構100の筐体101等の部材が透明又は半透明の生分解性プラスチックで一体的に成形・構成されており、特に筐体4が発電モジュール3(後述の筐体30)に対し着脱自在となっている。
加湿機構100の水104及び燃焼用燃料98は、発電用燃料99が発電モジュール3で消費され尽くしても微量に残存する量だけ貯蔵されている。そのため、発電装置1は、発電用燃料99がなくなるまで発電し続けて電力を供給することが可能であり、発電用燃料99がなくなった時点で、燃料貯蔵モジュール2ごと交換すれば、再び発電に要する量の水104を含む加湿機構100及び発電に要する量の燃焼用燃料98を含む第一燃料タンク8に交換できる。
燃料貯蔵モジュール2では、上記に列記した部材が透明又は半透明であるため、第一燃料タンク8内の燃焼用燃料98,第二燃料タンク9内の発電用燃料99,排水容器16内の副生成物の水,加湿機構100内の水104等の有無や残量を目視により容易に確認することができる。
また、燃料貯蔵モジュール2では、上記に列記した部材が生分解性プラスチックで構成されているため、燃料貯蔵モジュール2の廃棄処理を環境に優しくおこなうことができる。すなわち、生分解性プラスチックは、土壌中に埋められた場合には土壌中の微生物等により最終的に水と二酸化炭素に分解され、焼却された場合には焼却時の発生熱量が低く焼却炉又は焼却施設に掛ける負荷が少ないため、燃料貯蔵モジュール2の廃棄処理を環境に優しくおこなうことができる。
次に、発電モジュール3について説明する。
発電モジュール3は、略円筒状の筐体30と、筐体30の内部に配設された小型改質装置50と、小型改質装置50の周囲であって筐体30の外周面側に配設された燃料電池91とを、備えている。
燃料電池91の外側であって筐体30の外周面には、空気中の酸素を吸気するための複数のスリット31,31,…が互いに平行に並んだ状態で形成されている。
筐体30の頭頂部には、外部のデバイスに電気エネルギーを供給するための端子32が配設されており、端子32の周囲であって筐体30の頭頂部には複数の通気孔33,33,…が形成されている。
筐体30の外周側には第二排水管34,第二流通管15がそれぞれ配設されている。第二排水管34は、発電モジュール3で生成された副生成物の水を流通させるためのものであって、筐体30の底部から下方に突出して燃料貯蔵モジュール2の第一排水管7に対応する位置に配されている。加湿手段の一部としての第二流通管15は、加湿機構100で加湿した気体を、後述の燃料電池91の空気極に供給するためのものであって、筐体30の底部から下方に突出して燃料貯蔵モジュール2の第一流通管14に対応する位置に配されている。第二流通管15の中途部には、加湿手段の一部として、加湿した気体を加湿機構100から燃料電池91の空気極に送る流体送出手段としてのファン110が配されている。
筐体30の底部であってその中央部には、第一吸入ニップル部35及び第二吸入ニップル部36が下方に突出するように配設されている。第一吸入ニップル部35及び第二吸入ニップル部36それぞれには、先端から中心線に沿って貫通する流路が形成されている。第一吸入ニップル部35は、燃料貯蔵モジュール2の貫通孔5に対応する位置に配されており、第一燃料タンク8から燃焼用燃料98を吸入するためのものである。第二吸入ニップル部36は、燃料貯蔵モジュール2の貫通孔6に対応する位置に配されており、第二燃料タンク9から発電用燃料99を吸入するためのものである。
以上のような燃料貯蔵モジュール2及び発電モジュール3において、燃料貯蔵モジュール2を発電モジュール3に取り付ける(接続する)と、両モジュール2,3の接続箇所の外周側では、第二排水管34が第一排水管7と接続され、第一流通管14が第二流通管15と接続される。これにより、第二排水管34が第一排水管7に通じ合い、発電モジュール3で生成された副生成物の水を、第二排水管34から第一排水管7へと流通させて排水容器16に排出可能な状態となるとともに、第一流通管14が第二流通管15に通じ合い、燃料貯蔵モジュール2の加湿機構100で生成された加湿した気体を、第一流通管14から第二流通管15へと流通させて燃料電池91の空気極に供給可能な状態となる。
また、燃料貯蔵モジュール2を発電モジュール3に取り付けると、両モジュール2,3の接続箇所の中央部では、第一吸入ニップル部35が貫通孔5に挿入されて貫通孔5内の閉塞膜を突き破り、第二吸入ニップル部36が貫通孔6に挿入されて貫通孔6内の閉塞膜を突き破る。これにより、第一吸入ニップル部35が第一燃料タンク8の第一供給管10と通じ合い、第一燃料タンク8に貯蔵された燃焼用燃料98を第一供給管10から第一吸入ニップル部35へと供給可能な状態となるとともに、第二吸入ニップル部36が第二燃料タンク9の第二供給管11と通じ合い、第二燃料タンク9に貯蔵された発電用燃料99を第二供給管11から第二吸入ニップル部36へと供給可能な状態となる。
なお、各貫通孔5,6内の閉塞膜は、使用前に燃焼用燃料98及び発電用燃料99が第一燃料タンク8及び第二燃料タンク9から漏洩するのを防止する保護膜である。
次に、図2〜図15を用いて発電モジュール3に内蔵された小型改質装置50について説明する。
図2は発電装置1の構成を示したブロック図であり、図3は小型改質装置50の一部を破断して小型改質装置50を示した側面図である。図4〜図15は、順に図3中破断線A−A〜破断線L−Lに沿って破断して示した断面図である。
図2及び図3に示すように、小型改質装置50は、第一燃料タンク8から供給された燃焼用燃料98を蒸発させるための燃焼用燃料蒸発器51と、燃焼用燃料蒸発器51で気化した燃焼用燃料98を酸化させて燃焼させるための燃焼器52,53,54と、第二燃料タンク9から供給された発電用燃料99を蒸発させるための発電用燃料蒸発器55と、発電用燃料蒸発器55で気化した発電用燃料99を水素ガスに改質するための改質器56と、改質器56から供給された水素を含む混合気に含まれる一酸化炭素を除去して混合気を無毒化するための一酸化炭素除去器57と、これら燃焼用燃料蒸発器51、燃焼器52,53,54、発電用燃料蒸発器55、改質器56及び一酸化炭素除去器57を内包する断熱パッケージ58とを、備えている。
なお、図3において断熱パッケージ58は破断して示されている。
断熱パッケージ58は、内部空間部59を有した直方体又は立方体の箱状に形成されている。断熱パッケージ58は、ガラス、セラミック又は金属といった比較的熱伝導率が低い断熱材で形成されている。断熱パッケージ58の内部は、内部空間部59が1Pa以下の真空圧に設けられているか、又は内部空間部59にフッ素を含むメタン又はエタンの多ハロゲン化誘導体ガス(フレオン(商品名)ガス)若しくは炭酸ガスが充填されている。フッ素を含むメタン又はエタンの多ハロゲン化誘導体ガスとしては、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等がある。
断熱パッケージ58の内壁には、Au、Ag及びAlのうちの少なくとも一つで形成された輻射反射層が成膜されている。当該輻射反射層は電磁波に対して高い反射性を有している。断熱パッケージ58の内壁に輻射反射層が形成されているため、断熱パッケージ58の内部空間部59で発した電磁波が輻射反射層で反射して電磁波が断熱パッケージ58外へほとんど伝播しないから、熱輻射が抑えられている。
断熱パッケージ58の外壁下面であって図3の左右両端部には、それぞれ支持部材69,70が接合されており、断熱パッケージ58は支持部材69,70によって支持されている。支持部材69,70は、ガラス、セラミックといった比較的熱伝導率の低い断熱材で形成されている。そして図4に示す通り、支持部材69には、上下に貫通した三つの流路孔82,84,86が配管のために形成されており、支持部材70には、上下に貫通した四つの流路孔75,77,79,81が配管のために形成されている。
断熱パッケージ58内に収容された燃焼用燃料蒸発器51は、シリコン結晶,アルミニウム,ガラス等の材料で形成された二枚の基板51a,51bを重ね合わせて接合した構造を有している。そして図6に示す通り、基板51aと基板51bとの接合部には、U字状又は葛折り状の三つのマイクロ流路51c,51d,51eが内部空間として形成されている。各マイクロ流路51c,51d,51eは、高さが500μm以下であり、幅が500μm以下である。
詳細については後述するが、マイクロ流路51cの一方の端部は流路孔75に通じており、マイクロ流路51cの他方の端部は流路孔76に通じている。マイクロ流路51dの一方の端部は流路孔77に通じており、マイクロ流路51dの他方の端部は流路孔78に通じている。マイクロ流路51eの一方の端部は流路孔79に通じており、マイクロ流路51eの他方の端部は流路孔80に通じている。
マイクロ流路51c,51d,51eは、基板51aの一方の面に形成された葛折り状(又はU字状)の三つの溝と基板51bの一方の面に形成された葛折り状(又はU字状)の三つの溝とを向かい合わせて、基板51aと基板51bとを接合することで形成されている。基板51aに形成された溝は、接合面を基準として基板51bに形成された溝に対して対称的に形成されており、これにより、基板51a,51bを接合することによってマイクロ流路51c,51d,51eが形成される。マイクロ流路51c,51d,51eとしての溝は、基板51aの一方の面及び基板51bの一方の面にフォトリソグラフィー法・エッチング法等を適宜施すことによって形成されている。なお、詳細については後述するが、燃焼用燃料98は、マイクロ流路51c,51d,52eを流動している時に気化するようになっている。燃焼用燃料98の蒸発は、80℃〜120℃で効率よく起こる。
なお、図3に示すように、燃焼用燃料蒸発器51の上面つまり基板51aの上面に、燃焼用燃料蒸発器51を加熱するために電気エネルギーにより発熱するヒータ71を接合してもよい。
燃焼用燃料蒸発器51の下面つまり基板51bの下面であって左右両端部には、二つの断熱支持部材61,62が接合されており、断熱支持部材61,62の下面は断熱パッケージ58の内壁底面に接合されている。燃焼用燃料蒸発器51は、断熱支持部材61,62に支持されて、断熱パッケージ58の内壁との間にスペース部59aを隔てて断熱パッケージ58の内壁から離れている。平面視した場合、つまり小型改質装置50を上から見た場合、断熱支持部材61が支持部材69に重なっており、断熱支持部材62が支持部材70に重なっている。各断熱支持部材61,62は、ガラス、セラミックといった比較的熱伝導率の低い断熱材で形成されている。図5に示す通り、断熱支持部材61には、上下に貫通した三つの流路孔82,84,86が配管のために形成されており、断熱支持部材62には、上下に貫通した四つの流路孔75,77,79,81が配管のために形成されている。
図3に示すように、燃焼用燃料蒸発器51の上面であって左右両端部には、発電用燃料蒸発器55を支持するための二つの支持部材63,64が断熱パッケージ58の内壁から離れるようにして接合されている。各支持部材63,64は、ガラス、セラミックといった比較的熱伝導率の低い材料で形成されている。小型改質装置50を上から見た場合、支持部材63が断熱支持部材61に重なっており、支持部材64が断熱支持部材62に重なっている。図7に示す通り、支持部材63には、上下に貫通した三つの流路孔82,84,86が配管のために形成されており、支持部材64には、上下に貫通した四つの流路孔76,78,80,81が配管のために形成されている。
図3に示すように、支持部材63,64の上には、発電用燃料蒸発器55が断熱パッケージ58の内壁から離れるようにして搭載されている。発電用燃料蒸発器55は、シリコン結晶、アルミニウム、ガラス等の材料からなる二枚の基板55a,55bを重ね合わせて接合した構造を有している。そして図8に示す通り、基板55aと基板55bとの接合部には、葛折り状のマイクロ流路55cが内部空間として形成されている。マイクロ流路55cは、高さが500μm以下であり、幅が500μm以下である。詳細については後述するが、マイクロ流路55cの一方の端部は流路孔82に通じており、マイクロ流路55cの他方の端部は流路孔83に通じている。
マイクロ流路55cは、燃焼用燃料蒸発器51のマイクロ流路51cと同様に、フォトリソグラフィー法・エッチング法等によって葛折り状の溝が形成された基板55a及び基板55bを準備して、それぞれの溝を向かい合わせて基板55aと基板55bとを接合することで形成されている。詳細については後述するが、発電用燃料99は、マイクロ流路55cを流動している時に気化するようになっている。発電用燃料99の蒸発は、100℃〜150℃で効率よく起こる。
図3に示すように、発電用燃料蒸発器55の下面、つまり基板55bの下面であってその左右両端部にはそれぞれ支持部材63,64が接合されており、発電用燃料蒸発器55が燃焼用燃料蒸発器51との間にスペース部59bを隔てて燃焼用燃料蒸発器51から離れている。
発電用燃料蒸発器55の上面、つまり基板55aの上面には、発電用燃料蒸発器55を加熱するための燃焼器52が断熱パッケージ58の内壁から離れるようにして搭載されている。図9に示す通り、燃焼器52の内部には、葛折り状のマイクロ流路52cが内部空間として形成されている。マイクロ流路52cは分岐しており、端部が三つある。マイクロ流路52cは、高さが500μm以下であり、幅が500μm以下である。詳細については後述するが、マイクロ流路52cの三つの端部のうち、第一の端部は流路孔76に通じており、第二の端部は流路孔81に通じており、第三の端部は流路孔84に通じている。
マイクロ流路52cは、フォトリソグラフィー法・エッチング等によって葛折り状の溝が形成された基板52aを準備し、基板52aの溝を発電用燃料蒸発器55の基板55aに向けて基板52aを基板55aに接合することによって形成される。ここで、基板52aに形成された溝がマイクロ流路52cとなる。詳細については後述するが、気化した燃焼用燃料98がマイクロ流路52cを流動している時に酸化して燃焼するようになっている。
なお、図3に示すように、燃焼器52の上面、つまり基板52aの上面に、燃焼器52を加熱するためのヒータ72を接合してもよい。更には、マイクロ流路52cの内壁に燃焼触媒を付着させて、気化した燃焼用燃料98を燃焼触媒で酸化させて燃焼させてもよい。
燃焼器52の上面であってその左右両端部には、一酸化炭素除去器57を支持するための二つの支持部材65,66が断熱パッケージ58の内壁から離れるようにして接合されている。支持部材65,66は、ガラス、セラミックといった比較的熱伝導率の低い材料で形成されている。小型改質装置50を上から見た場合、支持部材65は支持部材63に重なっており、支持部材66は支持部材64に重なっている。そして図10に示す通り、支持部材65には、上下に貫通した三つの流路孔83,84,86が配管のために形成されており、支持部材66には、上下に貫通した三つの流路孔78,80,81が配管のために形成されている。
図3に示すように、支持部材65,66の上には、一酸化炭素除去器57が断熱パッケージ58の内壁から離れるようにして搭載されている。一酸化炭素除去器57は、シリコン結晶、アルミニウム、ガラス等の材料からなる二枚の基板57a,57bを重ね合わせて接合した構造を有している。そして図11に示す通り、基板57aと基板57bとの接合部には、葛折り状のマイクロ流路57cが内部空間として形成されている。マイクロ流路57cは分岐しており、端部が三つある。マイクロ流路57cは、高さが500μm以下であり、幅が500μm以下である。詳細には後述するがマイクロ流路57cの三つの端部のうち、第一の端部は流路孔85に通じており、第二の端部は流路孔81に通じており、第三の端部は流路孔86に通じている。
マイクロ流路57cは、燃焼用燃料蒸発器51のマイクロ流路51cと同様に、フォトリソグラフィー法・エッチング法等によって葛折り状の溝が形成された基板57a及び基板57bを準備して、それぞれの溝を向かい合わせて基板57aと基板57bとを接合することで形成されている。マイクロ流路57cの内壁には、水性シフト反応用触媒膜及び選択酸化反応用触媒膜が形成されている。
水性シフト反応用触媒とは、化学反応式(1)のように、一酸化炭素と水を反応させて二酸化炭素と水素を生成することを促進させるものである。化学反応式(1)の水性シフト反応は、発熱反応であるので燃焼器54は必ずしも必要がないが、一酸化炭素除去器57が下方の発電用燃料蒸発器55に熱を伝搬させる機能を持っているため、一酸化炭素除去器57が120℃〜200℃の状態に加温されている必要がある。そのため、燃焼器54やヒータ73を設けてもよく、また高密度実装のために燃焼器54及びヒータ73の少なくとも一方を設けないようにしてもよい。
CO+H2O→CO2+H2 … (1)
水性シフト反応用触媒膜は、マイクロ流路57cのうち主に流路孔85から分岐した部分までの流路に形成されている。
選択酸化反応用触媒とは、化学反応式(2)のように、混合気中の一酸化炭素を選択して、一酸化炭素と酸素を反応させて二酸化炭素を生成することを促進させるものである。化学反応式(2)の選択酸化反応は、発熱反応であるので燃焼器54は必ずしも必要がないが、一酸化炭素除去器57が下方の発電用燃料蒸発器55に熱を伝搬させる機能を持っているため、一酸化炭素除去器57が120℃〜200℃の状態に加温されている必要がある。そのため、燃焼器54やヒータ73を設けてもよく、また高密度実装のために燃焼器54及びヒータ73の少なくとも一方を設けないようにしてもよい。
2CO+O2→2CO2 … (2)
選択酸化反応用触媒膜は、マイクロ流路57cのうち主に分岐した部分から流路孔86までの流路に形成されている。
図3に示すように、一酸化炭素除去器57の下面、つまり基板57bの下面であってその左右両端部にはそれぞれ支持部材65,66が接合されており、発電用燃料蒸発器55が燃焼器52との間にスペース部59cを隔てて燃焼器52から離れている。
一酸化炭素除去器57の上面、つまり基板57aの上面には、一酸化炭素除去器57を加熱するための燃焼器54が断熱パッケージ58の内壁から離れるようにして搭載されている。そして図12に示す通り、燃焼器54の内部には、葛折り状のマイクロ流路54cが内部空間として形成されている。マイクロ流路54cは、高さが500μm以下であり、幅500がμm以下である。マイクロ流路54cは分岐しており、端部が三つある。詳細については後述するが、マイクロ流路54cの三つの端部のうち、第一の端部は流路孔78に通じており、第二の端部は流路孔81に通じており、第三の端部は流路孔84に通じている。
マイクロ流路54cは、フォトリソグラフィー法・エッチング等によって葛折り状の溝が形成された基板54aを準備し、基板54aの溝を一酸化炭素除去器57の基板57aに向けて基板54aを基板57aに接合することによって形成される。詳細については後述するが、気化した燃焼用燃料98がマイクロ流路54cを流動しているときに酸化して燃焼するようになっている。
なお、図3に示すように、燃焼器54の上面、つまり基板54aの上面に、燃焼器54を加熱するためのヒータ73を接合してもよい。更には、マイクロ流路54cの内壁に燃焼触媒を付着させて、気化した燃焼用燃料98を燃焼触媒で酸化させて燃焼させてもよい。
燃焼器54の上面であってその左右両端部には、改質器56を支持するための二つの支持部材67,68が断熱パッケージ58の内壁から離れるようにして接合されている。小型改質装置50を上から見た場合、支持部材67は支持部材65に重なっており、支持部材68は支持部材66に重なっている。各支持部材67,68は、ガラス、セラミックといった比較的熱伝導率の低い材料で形成されている。そして図13に示す通り、支持部材67には、上下に貫通した三つの流路孔83,84,85が配管のために形成されており、支持部材68には、上下に貫通した二つの流路孔80,81が配管のために形成されている。
図3に示すように、支持部材67,68の上には、改質器56が断熱パッケージ58の内壁から離れるようにして搭載されている。改質器56は、シリコン結晶、アルミニウム、ガラス等の材料からなる二枚の基板56a,56bを重ね合わせて接合した構造を有している。そして図14に示す通り、基板56aと基板56bとの接合部には、葛折り状のマイクロ流路56cが内部空間として形成されている。マイクロ流路56cは、高さ500μm以下であり、幅500がμm以下である。詳細については後述するが、マイクロ流路56cの一方の端部は流路孔83に通じており、マイクロ流路56cの他方の端部は流路孔85に通じている。
マイクロ流路56cは、燃焼用燃料蒸発器51のマイクロ流路51cと同様に、フォトリソグラフィー法・エッチング法等によって葛折り状の溝が形成された基板56a及び基板56bを準備して、それぞれの溝を向かい合わせて基板56aと基板56bとを接合することで形成されている。また、マイクロ流路56cの内壁には、改質反応用触媒膜が形成されている。
改質反応用触媒とは、化学反応式(3)のように、メタノールと水とを反応させて二酸化炭素と水を生成することを促進させるものである。化学反応式(3)の改質反応は、吸熱反応であり、200℃〜300℃で効率よく起こる。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 … (3)
図3に示すように、改質器56の下面、つまり基板56bの下面であってその左右両端部にはそれぞれ支持部材67,68が接合されており、改質器56が燃焼器54との間にスペース部59dを隔てて燃焼器54から離れている。
改質器56の上面、つまり基板56aの上面には、改質器56を加熱するための燃焼器53が断熱パッケージ58の内壁から離れるように搭載されている。そして図15に示す通り、燃焼器53の内部には、葛折り状のマイクロ流路53cが内部空間として形成されている。マイクロ流路53cは、高さが500μm以下であり、幅が500μm以下である。マイクロ流路53cは分岐しており、端部が三つある。詳細については後述するが、マイクロ流路53cの三つの端部のうち、第一の端部は流路孔80に通じており、第二の端部は流路孔81に通じており、第三の端部は流路孔84に通じている。
マイクロ流路53cは、フォトリソグラフィー法・エッチング等によって葛折り状の溝が形成された基板53aを準備し、基板53aの溝を改質器56の基板56aに向けて基板56aに基板53aを接合することによって形成される。詳細については後述するが、気化した燃焼用燃料98がマイクロ流路53cを流動しているときに酸化して燃焼するようになっている。なお、マイクロ流路53cの内壁に燃焼触媒を付着させて、気化した燃焼用燃料98を燃焼触媒で酸化させて燃焼させてもよい。
図3に示すように、燃焼器53の上面、つまり基板53aの上面には、燃焼器53を加熱するためのヒータ74が接合されている。ヒータ74としては、電気抵抗性発熱体、半導体性発熱体が挙げられるが、電流が流れたり電圧が印加されたりすることによって電気エネルギーで発熱するものであればよい。
次に、配管のために形成された流路孔75〜86について説明する。
流路孔75は、支持部材70の下端から支持部材70、断熱パッケージ58及び断熱支持部材62を貫通し、燃焼用燃料蒸発器51に形成されたマイクロ流路51cの一方の端部にまで至っている。流路孔75に対しては第一吸入ニップル部35の流路が通じており、第一吸入ニップル部35から流路孔75までの間にポンプが設けられ、このポンプによって燃焼用燃料98が第一燃料タンク8から流路孔75まで供給されるようになっている。
流路孔76は、マイクロ流路51cの他方の端部から支持部材64及び発電用燃料蒸発器55を貫通し、燃焼器52に形成されたマイクロ流路52cの第一の端部にまで至っている。
流路孔77は、支持部材70の下端から支持部材70、断熱パッケージ58及び断熱支持部材62を貫通し、燃焼用燃料蒸発器51に形成されたマイクロ流路51dの一方の端部にまで通じている。流路孔77に対しては第一吸入ニップル部35の流路が通じており、第一吸入ニップル部35から流路孔77までの間にポンプが設けられ、このポンプによって燃焼用燃料98が第一燃料タンク8から流路孔77まで供給されるようになっている。
流路孔78は、マイクロ流路51dの他方の端部から支持部材64、発電用燃料蒸発器55、燃焼器52、支持部材66及び一酸化炭素除去器57を貫通し、燃焼器54に形成されたマイクロ流路54cの第一の端部にまで通じている。
流路孔79は、支持部材70の下端から支持部材70、断熱パッケージ58及び断熱支持部材62を貫通し、燃焼用燃料蒸発器51に形成されたマイクロ流路51eの一方の端部にまで通じている。流路孔79に対しては第一吸入ニップル部35の流路が通じており、第一吸入ニップル部35から流路孔79までの間にポンプが設けられ、このポンプによって燃焼用燃料98が第一燃料タンク8から流路79まで供給されるようになっている。
流路孔80は、マイクロ流路51eの他方の端部から支持部材64、発電用燃料蒸発器55、燃焼器52、支持部材66、一酸化炭素除去器57、燃焼器54、支持部材68及び改質器56を貫通し、燃焼器53に形成されたマイクロ流路53cの第一の端部にまで通じている。
流路孔81は、支持部材70の下端から支持部材70、断熱パッケージ58、断熱支持部材62、燃焼用燃料蒸発器51、支持部材64、発電用燃料蒸発器55、燃焼器52、支持部材66、一酸化炭素除去器57、燃焼器54、支持部材68及び改質器56を貫通し、燃焼器53に形成されたマイクロ流路53cの第二の端部にまで通じている。また、流路孔81は、途中の燃焼器52においてマイクロ流路52cの第二の端部に通じており、途中の一酸化炭素除去器57においてマイクロ流路57cの第二の端部に通じており、更に途中の燃焼器54においてマイクロ流路54cの第二の端部に通じている。また、流路孔81からスリット31,31,…まで通じた流路が発電モジュール3の筐体30に設けられており、スリット31,31,…から流路孔81までの間にポンプが設けられ、このポンプによって外部の空気が流路孔81まで吸引されるようになっている。
流路孔82は、支持部材69の下端から支持部材69、断熱パッケージ58、断熱支持部材61、燃焼用燃料蒸発器51及び支持部材63を貫通し、発電用燃料蒸発器55に形成されたマイクロ流路55cの一方の端部にまで通じている。流路孔82に対しては第二吸入ニップル部36の流路が通じており、第二吸入ニップル部36から流路孔82までの間にポンプが設けられ、このポンプによって発電用燃料99が第二燃料タンク9から流路孔82まで供給されるようになっている。
流路孔83は、マイクロ流路55cの他方の端部から燃焼器52、支持部材65、一酸化炭素除去器57、燃焼器54及び支持部材67を貫通し、改質器56に形成されたマイクロ流路56cの一方の端部まで通じている。
流路孔85は、マイクロ流路56cの他方の端部から支持部材67及び燃焼器54を貫通し、一酸化炭素除去器57に形成されたマイクロ流路57cの第一の端部にまで至っている。
流路孔86は、マイクロ流路57cの第三の端部から支持部材65、燃焼器52、発電用燃料蒸発器55、支持部材63、燃焼用燃料蒸発器51、断熱支持部材61、断熱パッケージ58及び支持部材69を貫通し、支持部材69の下端まで通じている。流路孔86の下端から後述する燃料電池91の燃料極まで通じている流路が発電モジュール3の筐体30に設けられている。
流路孔84は、支持部材69の下端から支持部材69、断熱パッケージ58、断熱支持部材61、燃焼用燃料蒸発器51、支持部材63、発電用燃料蒸発器55、燃焼器52、支持部材65、一酸化炭素除去器57、燃焼器54、支持部材67及び改質器56を貫通し、燃焼器53に形成されたマイクロ流路53cの第三の端部にまで通じている。更に、流路孔84は、途中の燃焼器52においてマイクロ流路52cの第三の端部に通じており、更に途中の燃焼器54においてマイクロ流路54cの第三の端部に通じている。また、この流路孔84の下端からバルブを介して通気孔33,33,…まで通じている流路が発電モジュール3の筐体30に設けられており、小型改質装置50で生成された副生成物が通気孔33,33,…を通じて排出されるようになっている。同様に、流路84の下端からバルブを介して第二排水管34まで通じている流路が筐体30に設けられており、小型改質装置50で生成された副生成物である水が第二排水管34を通じて燃料貯蔵モジュール2の排水容器16へ排水されるようになっている。
次に、燃料電池91について説明する。
燃料電池91は、改質器56から供給される水素を取り込み、触媒微粒子を含有させた又は触媒微粒子を付着させた燃料極と、スリット31,31,…側に配置され、触媒微粒子を含有させた又は触媒微粒子を付着させた空気極と、燃料極と空気極との間に挟まれた高分子フィルム状の水素イオン伝導性のイオン伝導膜とを、具備する固体高分子型燃料電池である。
燃料電池91においては、電気化学反応式(4)に示すように、燃料極に水素ガスが供給されると、燃料極の触媒により電子の分離した水素イオンが発生し、水素イオンがイオン伝導膜を通じて空気極へ伝導し、燃料極より電子が取り出されるようになっている。
3H2→6H++6e- … (4)
一方、電気化学反応式(5)に示すように、空気極に酸素ガスが供給されると、イオン導電膜を通過した水素イオンと、酸素ガスと、電子とが反応して、水が副生成物として生成されるようになっている。
6H++3/2O2+6e-→3H2O … (5)
燃料電池91で以上のような電気化学反応が起こることによって、電気エネルギーが生成されるようになっている。
上述したように、燃料電池91の燃料極から流路孔86まで通じている流路が発電モジュール3の筐体30に設けられており、流路孔86から燃料極まで水素ガス等の流体が流れるようになっている。一方、燃料電池91の空気極からスリット31,31,…まで通じた流路が設けられており、スリット31,31,…から空気極までの間にポンプが設けられ、このポンプによって外部の空気が空気極まで吸引されるようになっている。また、燃料電池91の空気極からバルブを介して第二排水管34に通じている流路が筐体30に設けられており、燃料電池91で生成された副生成物である水が第二排水管34を通じて燃料貯蔵モジュール2の排水容器16へ排水されるようになっている。
次に、図16のブロック図を用いて発電装置1の制御構成について説明する。
燃料電池91で生成された電気エネルギーは、蓄電部92に供給されるようになっている。蓄電部92に供給された電気エネルギーは、蓄電部92で貯蔵されるようになっている。蓄電部92で貯蔵されたエネルギーは、配電部93によって発電モジュール3外の外部デバイス、中央処理部95、のファン・ポンプ・バルブ駆動部94、温度制御部96に供給されるようになっている。中央処理部95は、蓄電部92に貯蔵された電気エネルギー量に基づいて、ファン・ポンプ・バルブ駆動部94に制御信号を適宜出力したり、温度制御部96に制御信号を適宜出力したりするようになっている。ファン・ポンプ・バルブ駆動部94は、中央処理部95からの制御信号に基づいて、発電モジュール3内に設けられたファン110、各ポンプ及び各バルブに電気エネルギーを供給してファン110、各ポンプ及び各バルブを駆動するようになっている。温度制御部96は、中央処理部95からの制御信号に基づいて、小型改質装置50に設けられたヒータ74に電気エネルギーを供給して、ヒータ74を発熱させるようになっている。以上の蓄電部92、配電部93、ファン・ポンプ・バルブ駆動部94、中央処理部95及び温度制御部96は、発電モジュール3に内蔵されている。
次に、以上のように構成された発電装置1の動作について説明する。
まず、発電装置1を起動させるために、予め蓄電部92に貯留された電気エネルギーによって中央処理部95が動作し、中央処理部95がファン・ポンプ・バルブ駆動部94及び温度制御部96に制御信号を出力する。これにより、蓄電部92に貯留された電気エネルギーが配電部93、温度制御部96を通じてヒータ74に供給されるとともに、蓄電部92に貯留された電気エネルギーが配電部93、ファン・ポンプ・バルブ駆動部94を通じて発電モジュール3内のファン110、各バルブ及び各ポンプに供給される。これにより、ヒータ74が発熱して、熱伝導により断熱パッケージ58の内部全体即ち燃焼用燃料蒸発器51、燃焼器52〜54、発電用燃料蒸発器55、改質器56及び一酸化炭素除去器57が加熱される。
更に、各バルブ、各ポンプの動作により、外部の空気がスリット31,31,…から吸引されて流路孔81に流れ込み、燃焼器52のマイクロ流路52c、一酸化炭素除去器57のマイクロ流路57c、燃焼器54のマイクロ流路54c及び燃焼器53のマイクロ流路53cに供給される。また、各バルブ、各ポンプの動作により、第一燃料タンク8内の燃焼用燃料98は、第一吸入ニップル部35に吸引されて流路孔75,77,79それぞれに流れ込み、燃焼用燃料蒸発器51のマイクロ流路51c,51d,51eそれぞれに供給される。また、各バルブ、各ポンプの動作により、第二燃料タンク9内の発電用燃料99は、第二吸入ニップル部34に吸引されて流路孔83に流れ込み、発電用燃料蒸発器55のマイクロ流路55cに供給される。
燃焼用燃料蒸発器51のマイクロ流路51c,51d,51eに供給された燃焼用燃料98は、マイクロ流路51c,51d,51eを流動している時に加熱される。これにより、液体であった燃焼用燃料98が吸熱を伴って気体に相変化する。マイクロ流路51cで気化した燃焼用燃料98は、流路孔76を流動して燃焼器52のマイクロ流路52cに供給され、マイクロ流路51dで気化した燃焼用燃料98は、流路孔78を流動して燃焼器54のマイクロ流路54cに供給され、マイクロ流路51eで気化した燃焼用燃料98は、流路孔80を流動して燃焼器53のマイクロ流路53cに供給される。
燃焼器52のマイクロ流路52cに供給された燃焼用燃料98がマイクロ流路52cを流動している時に同じくマイクロ流路52cに供給された空気中の酸素と酸化することで、マイクロ流路52cにおいて燃焼が生じる。この時の燃焼熱によって断熱パッケージ58の内部全体が加熱されるが、特に発電用燃料蒸発器55がよく加熱される。同様に、燃焼器53においても燃焼用燃料98が燃焼して、燃焼熱によって断熱パッケージ58の内部全体が加熱されるが、特に改質器56がよく加熱される。同様に、燃焼器54においても燃焼用燃料98が燃焼して、燃焼熱によって断熱パッケージ58の内部全体が加熱されるが、特に一酸化炭素除去器57がよく加熱される。
マイクロ流路52c,53c,54cそれぞれでの燃焼によって生成した水及び二酸化炭素は、流路孔84を流れて通気孔33,33,…を通じて外部に排出されたり、第一,第二排水管34,7を通じて排水容器16へ排出されたりする。排水容器16では水が貯留される。
発電用燃料蒸発器55のマイクロ流路55cに供給された発電用燃料99は、マイクロ流路55cを流動している時に加熱される。これにより、液体であった発電用燃料99が吸熱を伴ってメタノールと水の混合気に相変化する。マイクロ流路55cで気化した混合気は、流路孔83を流動して改質器56のマイクロ流路56cに供給される。
改質器56のマイクロ流路56cに供給された混合気は、マイクロ流路56cを流動している時に加熱されて、改質反応用触媒によって吸熱を伴って上記化学反応式(3)のような化学反応を起こす。これにより、水素ガスと二酸化炭素ガスが生成される。また、マイクロ流路56cを流れている混合気が完全に水素ガスと二酸化炭素ガスに改質されない場合もあり、化学反応式(6)のような化学反応も僅かに起こり、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス及び水素ガスが生成される。
2CH3OH+H2O→5H2+CO+CO2 … (6)
改質器56のマイクロ流路56cで生成された水素ガス、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス及び水蒸気からなる混合気は、流路孔85を流動して一酸化炭素除去器57のマイクロ流路57cに供給される。マイクロ流路57cに供給された混合気は、流路孔81からの合流点までに流れている時に加熱されて、水性シフト反応用触媒によって吸熱を伴って上記化学反応式(1)のような化学反応を起こす。これにより、混合気に含まれる一酸化炭素が減少し、混合気が無毒化される。
更に、マイクロ流路57cを流れている混合気は、流路孔81からの合流点に至るとマイクロ流路57cに供給された空気と混合する。そして、空気を含む混合気が、その合流点から流路孔86へ流れている時に加熱されて、選択酸化反応用触媒によって吸熱を伴って上記化学反応式(2)のような化学反応を起こす。ここで、選択酸化反応用触媒が化学反応式(2)の化学反応を選択的に促進するから、混合気に含まれる水素は殆ど酸化しない。
マイクロ流路57cを流れている混合気が流路孔86に至る時点では、その混合気には一酸化炭素が殆ど含まれず、水素ガス及び二酸化炭素ガスの濃度が非常に高い。そして、水素ガス及び二酸化炭素ガスの濃度が高い混合気は、流路孔86を流れて、燃料電池91の燃料極に供給される。燃料電池91では、混合気中の水素ガスが燃料極で上記電気化学反応式(4)のような反応をし、スリット31,31,…を通じて空気極に酸素ガスが供給されて空気極で上記電気化学反応式(5)のような反応をする。電気化学反応式(4)、(5)のような電気化学反応によって燃料電池91で電気エネルギーが生成され、生成された電気エネルギーは蓄電部92に蓄電され、更には配電部93を介して外部のデバイスに供給される。
また、燃料極に供給された混合気中の二酸化炭素ガスは反応せずに、通気孔33,33,…を通じて外部に排気され、空気極で生成された水は、第一,第二排水管7,34を通じて排水容器16に排水・貯留される。
ここで、発電装置1では、中央処理部95が作動してファン・ポンプ・バルブ駆動部94に制御信号を出力すると、各ポンプ及び各バルブの動作とは別に、ファン110が各ポンプ及び各バルブと同期するように作動(回転)し、加湿機構100で加湿された気体が第一,第二流通管14,15を通じて燃料電池91の空気極に供給される。詳しくは、ファン110が回転すると、当該ファン110の作用により、加湿機構100の内部に吸引圧が発生し、外気中の空気が加湿機構100の各吸引孔102から加湿マット103に吸引され、その吸引された空気が加湿マット103を通過して加湿され、その加湿された空気が第一,第二流通管14,15を通じて燃料電池91の空気極に供給される。このように燃料電池91では空気極の周囲の雰囲気が加湿されるため、燃料電池91のイオン伝導膜を加湿した気体によって湿潤状態にすることができる。そのため、燃料電池91のイオン伝導膜の水素イオン伝導性を向上させることができ、ひいては燃料電池91の発電効率を向上させることができる。
以上の発電装置1では、第一,第二流通管14,15、加湿機構100及びファン110が、加湿した気体を燃料電池91の空気極に供給する加湿手段として機能し、加湿した気体を燃料電池91の空気極に供給するようになっている。そのため、燃料電池91の発電効率を向上させることができ、ひいては発電装置1の発電効率を向上させることができる。また、発電装置1では、加湿機構100に加湿マット103が配されているため、外気中の空気が当該加湿マット103を通過するときに外気中の空気から塵や埃を除去することができ、清浄な加湿した気体を燃料電池91の空気極に供給することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更をおこなってもよい。
上記加湿機構100では、吸気孔102を設けることによって外気中の空気を筐体101内に吸引してその吸引した空気を加湿した気体の媒体としたが、吸気孔102を設けずに水104を気化した水蒸気を加湿した気体として燃料電池91の空気極に供給するようにしてもよい。この場合、燃料電池91の空気極への水蒸気の供給に伴い、水104の体積が経時的に減少して筐体101内が減圧されることになっても、筐体101の内圧に応じて水104が気化し、筐体101内の圧力が増大するように緩衝するので、筐体101内が燃料貯蔵モジュール2の第二流通管14に対して負圧になることはない。そのため、ファン110が回転することにより、水蒸気を効率よく燃料電池91の空気極に供給することができる。
また例えば、上記加湿機構100に代えて、図17(a)〜(c)に示す加湿機構200,300,400を適用してもよい。
図17(a)に示す加湿機構200は円筒状の筐体201を有している。筐体201の底部は円形の加湿フィルタ202で塞がれている。加湿フィルタ202は周知のフィルタにシリカゲルや活性炭を固着させたものであり、予め調湿した保水力のあるシリカゲルや活性炭等の保湿剤を、水分を含ませたフィルタに固着して作製されたものである。加湿機構200を適用した場合において、ファン110が回転すると、当該ファン110の作用により、加湿機構200の内部に吸引圧が発生し、外気中の空気が加湿フィルタ202から筐体201の内部に向かって吸引され、その吸引された空気が加湿フィルタ202を通過した時に保湿剤と接触して加湿され、その加湿された空気が第一,第二流通管14,15を通じて燃料電池91の空気極に供給される。加湿フィルタ202内の水分は、保湿剤によって吸水されているので筐体201の外に漏洩することはない。
図17(b)に示す加湿機構300は円筒状の筐体301を有している。筐体301の底部には円形で周知の防塵用のエアーフィルタ302が配されており、エアーフィルタ302の上部には円形の加湿フィルタ303が配されている。加湿フィルタ303は、上記加湿フィルタ202と同様のものである。加湿機構300を適用した場合において、ファン110が回転すると、当該ファン110の作用により、加湿機構300の内部に吸引圧が発生し、外気中の空気がエアーフィルタ302及び加湿フィルタ303に向かって吸引され、その吸引された空気がエアーフィルタ202及び加湿フィルタ303を通過して加湿され、その加湿された空気が第一,第二の流通管14,15を通じて燃料電池91の空気極に供給される。
なお、加湿フィルタ202,303に代えて、水分を含ませたPTFE(ポリ四フッ化エチレン,Poly Tetra Fluoro Ethylen)製フィルタを配してもよい。PTFE製フィルタは撥水性を有するが、特に当該PTFE製フィルタに衝撃を与えない限り水漏れはしないので、燃料貯蔵モジュール2に衝撃の加わる可能性がない場合に有効に使用することができる。
図17(c)に示す加湿機構400は円筒状の筐体401を有している。筐体401の内部には所定の厚みを有したリング状の中空糸脱気膜402が配されている。筐体401の内部であって中空糸脱気膜402の外側には蒸留水403が充填されている。蒸留水403は、中空糸脱気膜402と筐体401の内壁とに閉塞された状態で充填されている。中空糸脱気膜402は蒸留水403中の気体分子を選択的に透過させる性質を具備するものである。中空糸脱気膜402は疎水性の材料から構成されており、蒸留水403が当該中空糸脱気膜402から漏れ出すことはない。加湿機構400を適用した場合において、ファン110が回転すると、当該ファン110の作用により、加湿機構400の内部に吸引圧が発生し、蒸留水403中の気体分子が加湿された気体となって中空糸脱気膜402を透過し、その加湿された気体が第一,第二の流通管14,15を通じて燃料電池91の空気極に供給される。
なお、加湿機構400のように、中空糸脱気膜402と筐体401の内壁とで閉塞する水として蒸留水403を用いれば、不純物が中空糸脱気膜402の膜面に堆積することが無く、中空糸脱気膜402で閉塞する水として水道水や井戸水を用いる場合より、中空糸脱気膜402を長期間にわたって使用することができる。
以上の通り、加湿機構100に代わる加湿機構200,300,400を説明したが、水蒸気等の加湿した気体を燃料電池91の空気極に送るためのファン110は、上記の通りに発電モジュール3の第二流通管15の中途部に配してもよいし、燃料貯蔵モジュール2の第二流通管14の中途部に配してもよいし、第一,第二流通管14,15の各中途部の両方に配してもよいし、各加湿機構100,200,300,400の内部に配してもよい。また、ファン110の代替品としてエアーポンプを用いてもよい。
なお上記では、排水容器16と各加湿機構100,400とを別体としたが、排水容器16と各加湿機構100,400とを一体化し、各加湿機構100,400内の水104及び蒸留水403の供給源の一部として、発電モジュール3内で生成される副生成物の水を再利用する構成としてもよい。このような構成にすることにより、各加湿機構100,400に貯水される水104及び蒸留水403の貯水量を少なくできるので、燃料貯蔵モジュール2をより小型化することが可能となる。