JP4681739B2 - 環状装身具の留め金具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネックレス、ブレスレット、アンクレット等の環状装身具の留め金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ネックレス、ブレスレット、アンクレット等の環状装身具は、その端部同士を留め金具によって連結していた。従来の留め金具としては、特開平8−89320号公報に記載されている「止め金具」や、特開平9−215510号公報に記載されている「ネックレスチェーンの係止体」等がある。
【0003】
特開平8−89320号公報に記載されている止め金具21は、図7に示すように、基体22と、連結ピン23と、ストッパ24とから構成されている。
基体22には連結環22aが、連結ピン23には連結環23aが設けられ、連結環22aと連結環23aには環状装身具の端部(図示せず)が連結される。連結ピン23の先端部23bには切欠部23cが形成され、ストッパ24の先端部24aには連結ピン23の切欠部23cと係合する係合部24bが形成される。また、基体22には、互いに交差する縦挿入孔22bと横挿入孔22cが形成され、縦挿入孔22bにはストッパ24が収納され、横挿入孔22cには連結ピン23が挿入される。また、縦挿入孔22bの奥には、ストッパ24を上方に弾発するスプリング25が収納され、入口には、ストッパ24がスプリング25の弾発力によって縦挿入孔22bから押し出されるのを防ぐために、係止部22dが設けられる。
横挿入孔22cに連結ピン23を挿入すると、連結ピン23の先端部23bに押圧されて、ストッパ24は下降する。このとき、係合部24bも下降するので、連結ピン23の先端部23bは係合部24bに入り込む。その後、ストッパ24はスプリング25に弾発されて上昇するので、係合部24bも上昇し、係合部24bは連結ピン23の切欠部23cと係合する。また、ストッパ24をスプリング25の弾発力に抗して押圧すると、ストッパ24と共に係合部24bも下降するので、係合部24bは切欠部23cから外れる。
【0004】
特開平9−215510号公報に記載されているネックレスチェーンの係止体31(以下、単に「係止体」という)は、図8に示すように、上部半割体32と下部半割体33を軸34において回転自在に結合させると共に、両者間にばね35を介在させたものである。
上部半割体32に設けられた押圧部32aによってばね35を押圧すると、上部半割体32は下部半割体33に対して回転し、上部半割体32の一端32bが下部半割体33の一端33aに対して開くので、ネックレスチェーン36の一端に設けられた係止部36aを挿入することができる(図8(b)参照)。そして、押圧部32aの押圧をやめると、上部半割体32の一端32bが下部半割体33の一端33aに対して閉じるので、係止部36aは上部半割体32の内端32cと、下部半割体33の内端33bとによって係合される(図8(a)参照)。なお、下部半割体33の他端33cには、ネックレスチェーン36の他端に設けられた係止部36bが固定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような止め金具21では、ストッパ24とスプリング25の収納部や、ストッパ24とスプリング25のストローク長さを確保する必要があった。また、縦挿入孔22bと横挿入孔22cを、基体22内で互いに垂直に交差するように設けなければならなかった。そのため、留め金具の形状が制限されてしまうという問題があった。また、留め金具の大きさが大きくなるという問題もあった。
また、上記のような係止体31では、その主要部が上部半割体32と下部半割体33とから構成されているため、留め金具の形状が限定されてしまうという問題があった。また、構成部材も多くなるという問題もあった。
留め金具は環状装身具の一部であり、形状や大きさが制限されると、デザインの自由度が失われてしまうので、装飾性の観点から好ましくない。
本発明は、これらの課題を解決するためになされたもので、本体部の形状や大きさを自由にデザインすることができる、装飾性に優れた構造環状装身具の留め金具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る環状装身具の留め金具は、本体部と係止具とからなり、本体部と係止具には環状装身具の端部が取付けられる連結環が設けられ、本体部と係止具との係合により、環状装身具の端部同士が連結される環状装身具の留め金具であって、係止具の先端部には切欠溝が形成され、本体部は、俯仰自在に一端が固定された板ばね部材を備え、板ばね部材には弾性的に係止具の切欠溝と係脱する係合部が形成され、本体部は、板ばね部材の弾性力を付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする。
このように構成することで、環状装身具の留め金具は、本体部の板ばね部材に形成された係合部と、係止具に形成された切欠溝との係合によって、環状装身具の端部同士を連結させることができる。本体部側の係合機構は、板ばね部材と板ばね部材に形成された係合部とから構成されるので、本体部の部品点数は少なくなる。また、本体部の小型化を図ることができる。したがって、本体部の形状や大きさを自由にデザインすることができるので、環状装身具の留め金具の装飾性を高めることができる。また、板ばね部材の弾性力を付勢することができるので、本体部と係止具を確実に係合させることができる。
【0007】
また、第2の発明に係る環状装身具の留め金具は、前記係合部は、前記板ばね部材の傾斜面を打ち抜いて形成されることを特徴とする。
このように構成することにより、係合部を板ばね部材上に設けることができるので、本体部の部品点数を少なくすることができる。
【0009】
また、第3の発明に係る環状装身具の留め金具は、本体部は、係止具を板ばね部材に案
内する案内手段を備えたことを特徴とする。このように構成することにより、係止具を板
ばね部材に確実に案内することができるので、係止具を本体部に容易に係合させることが
できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の実施の形態に係る環状装身具の留め金具1(以下、単に「留め金具」という)の構成について説明する。図1は、留め金具1を示す外観図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。また、図2(a)は、図1(a)におけるA−A線断面図、図2(b)は、図2(a)におけるB−B線断面図である。また、図3は、留め金具1の分解斜視図である。
【0011】
図1に示すように、留め金具1は、本体部2と係止具3とから構成される。本体部2には連結環2aが設けられ、連結環2aにはネックレス4の一端4aが取付けられる。また、係止具3には連結環3aが設けられ、連結環3aにはネックレス4の他端4bが取付けられる。したがって、本体部2と係止具3との係合により、留め金具1において、ネックレス4の端部4aと端部4bを連結させることができる。
【0012】
図2および図3に示すように、本体部2は、基部5と、板ばね部材6と、板ばね部材6の弾性力を付勢する付勢手段であるばね7と、係止具3を板ばね部材6に案内する案内手段であるガイド部8とから構成される。
【0013】
基部5は、一体成形された鋳造品であり、ガイド部8を保持する一対のブラケット5a、5aと、ばね7を保持するばね保持部5bと、係止具3が挿入される開口部5cとを備える(図3参照)。また、開口部5cの反対側には、前記した連結環2aが突設される。
【0014】
板ばね部材6は、金属板から曲成され、一端6aと他端6bとの間に係止具3の係脱方向に対して傾斜する傾斜面(本形態では凹形状の曲面6c)を有する。傾斜面を曲面に形成することにより、曲面6cは、後述する球面状に形成された係止具3の先端部3bとスムースに当接することができる。
板ばね部材6は、基部5上に、一端6aが基部5の開口部5c側に位置し、他端6bが開口部5cの反対側に位置するように配置される。そして、板ばね部材6は、他端6b側が俯仰自在となるように、一端6aが基板5上に固定される。
板ばね部材6の曲面6cには、後述する係止具3の先端部3bに形成された係止溝3cと係合する係合部6dが、板ばね部材6を打ち抜いて略矩形の窓状に形成される。係合部6dは、窓の下側の縁で係止具3を係合する。
なお、曲面6cは、板ばね部材6が通常の状態のときは、係止具3の先端部3bと当接し、曲面6cが係止具3に押圧されて下降したときに、係合部6dに係止具3の先端部3bを挿入できるように設けられる。
係合部6dの下方には、係合部6dに係止具3の先端部3bを挿入したときに、後述する係止具3の係止溝3cの後端側端面3eを係止する係止部6eが、板ばね部材6を打ち抜いて半円の窓状に形成される。係止部6eは、窓の上側の縁で、係止具3の係止溝3cの後端側端面3eを係止する。なお、係止部6eの形状は、特に、限定されるものではない。
また、板ばね部材6の一端6aには、後述するガイド部8の突起部8bと嵌合する嵌合孔6fが、板ばね部材6を打ち抜いてガイド部8の突起部8bの形状に適合して形成される。
【0015】
ばね7はコイルばねであり、基部5のばね保持部5bに保持されて、基部5と板ばね部材6の他端6bとの間に介在し、板ばね部材6の他端6bを上方に弾発する。つまり、ばね7は、板ばね部材6自体が有する弾発力を付勢する。したがって、金属疲労により板ばね部材6の弾発力が衰え弱まった際にも、ばね7によって板ばね部材6の他端6bを常時上方に弾発することができる。なお、ばね7の代わりに、ゴム等の弾性体を用いることもできる。
【0016】
ガイド部8は、基部5にブラケット5a、5aに固定されて、板ばね部材6の一端6a側に、板ばね部材6の曲面6cと接するように配置される。ガイド部8をブラケット5a、5aに固定する際は、ガイド部8の胴部をブラケット5a、5aの間に圧入し、ブラケット5a、5aの上部に形成された係止爪5d、5dによってガイド部8の胴部を係止させる。
ガイド部8は、係止具3が挿入される案内孔8aを有し、案内孔8aは、係止具3を板ばね部材6の曲面6cに案内する。なお、ガイド部8の板ばね部材6の曲面6c側に臨む面は、板ばね部材6の曲面6cの形状に適合する形状に、つまり、図2(a)からも判るように、曲面6cの曲率半径と略同寸の曲率半径をもって凸面形状に形成されている。
また、ガイド部8の下部には、図2(a)に示すように、突起部8bが設けられる。突起部8bは、板ばね部材6の一端6aに形成された嵌合孔6fと嵌合して、板ばね部材6の一端6aを固定する。
ガイド部8を以上のように構成することにより、ガイド部8は基部5に固定され、そのガイド部8には板ばね部材6が固定される。また、ばね7は基部5に固定される。したがって、基部5を覆う蓋は不要となる。
また、必要に応じて、基部5を覆う蓋を設けることもできる。なお、その際は、蓋は、板ばね部材6の他端6bが露出し、他端6bを押圧することができる形状に形成する必要がある。
【0017】
係止具3は、ピン状の形状を有する。係止具3の先端部3bは、係止具3のガイド部8の案内孔8aへの挿入を容易にするために、先端が球面状に形成される。また、先端部3bの周面には、円周方向に係止溝3cが形成される。また、係止具3の後端部3dには、前記した連結環3aが設けられる。
【0018】
次に、本体部2と係止具3の係脱方法について説明する。図4は、本体部2と係止具3を係合させる方法の説明図である。また、図5は、本体部2と係止具3との係合を解除する方法の説明図である。
【0019】
本体部2と係止具3を係合させる方法を、図4を参照して説明する。
まず、図4(a)に示すように、ガイド部8の案内孔8aに、係止具3の先端部3bを挿入する。
続いて、図4(b)に示すように、係止具3を図中の矢印a方向にさらに挿入すると、係止具3の先端部3bが板ばね部材6自身の弾性力とばね7の弾性力に抗して板ばね部材6の曲面6cを押圧し、曲面6cを下降させる。このとき、曲面6cに形成された係合部6dも下降するので、係止具3の先端部3bを係合部6dに挿入することができる。
係止具3の先端部3bが係合部6dに挿入されると、係止具3の先端部3bの曲面6cに対する押圧力は解除されるので、板ばね部材6は、自身の弾性力とばね7の弾性力によって上方に弾発されて、元の状態に戻る(図4(c))。
このとき、係止具3の係止溝3cの後端側端面3eは、板ばね部材6の係止部6eの上側の縁に係止されるので、係合部6dに係止具3をそれ以上挿入することはできなくなる。
そして、図4(d)に示すように、係止具3を図中の矢印b方向に引くと、係止具3の係止溝3cの先端側端面3fは、板ばね部材6の係合部6dの下側の縁に係合され、係止具3を位置決めする。
以上のようにして、板ばね部材6の係合部6dと係止具3の係止溝3cは互いに係合される。なお、板ばね部材6は、自身の弾性力とばね7の弾性力によって常に上方へ弾発されているので、係合部6dと係止溝3cは係合した状態に保たれる。
【0020】
本体部2と係止具3との係合を解除する方法を、図5を参照して説明する。
まず、図5(a)に示すように、板ばね部材6の他端6bを板ばね部材6自身の弾性力とばね7の弾性力に抗して図中の矢印c方向に押圧し、板ばね部材6の曲面6cを下降させる。
このとき、曲面6cに形成された係合部6dも下降するので、係合部6dから係止具3の係止溝3cが外れる。つまり、係合部6dと係止溝3cの係合は解除される。
次に、図5(b)に示すように、板ばね部材6の他端6bを押圧したままの状態で、係止具3を図中の矢印d方向に引くと、板ばね部材6の係合部6dから係止具3を引き抜くことができる。
そして、図5(c)に示すように、板ばね部材6の他端6への押圧をやめて、係止具3を図中の矢印d方向にさらに引いて、係止具3をガイド部8の案内孔8aから引き抜く。
以上のようにして、本体部2と係止具3との係合を解除することができる。
【0021】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにおいて、種々の変形が可能である。
例えば、図6に示すように、板ばね部材6の他端6bに耳部6gを設けると、ばね7が板ばね部材6の他端6bを上方に弾発した際に、ばね7が板ばね部材6の他端6bの下面から外れるのを防ぐことができる。
図6(a)に示すように、耳部6gは、板ばね部材6の他端6bの下面を取り囲むように、他端6bの右側端部、左側端部および後側端部から所定の長さに形成される。そして、図6(b)に示すように、耳部6gは、ばね7が板ばね部材6の他端6bの下面と当接した際に、ばね7の上部側方を覆い、ばね7が板ばね部材6の他端6bから外れるのを防ぐ。
【0022】
また、複数の環状装身具を装着する際に、複数の留め金具1を本体部2と係止具3の係合方向に対して並列に連結すると、複数の環状装身具の留め金具1をまとめることができるので、複数の環状装身具を係脱するのに便利である。また、複数の環状装身具の留め金具1がまとまると、複数の環状装身具を美しく装着することができる。なお、複数の留め金具1を連結する際は、それぞれの本体部2の基部5をまとめて一つの部品として一体に成形することが、留め金具1の装飾面からも好ましい。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、環状装身具の留め金具は、本体部の板ばね部材に形成された係合部と、係止具に形成された切欠溝との係合によって、環状装身具の端部同士を連結させることができる。本体部側の係合機構は、板ばね部材と板ばね部材に形成された係合部とから構成されるので、本体部の部品点数は少なくなる。また、本体部の小型化を図ることができる。したがって、本体部の形状や大きさを自由にデザインすることができるので、環状装身具の留め金具の装飾性を高めることができる。
また、係合部は、板ばね部材の曲面を打ち抜いて形成した。このように構成することにより、係合部を板ばね部材上に設けることができるので、本体部の部品点数を少なくすることができる。
また、本体部は、板ばね部材の弾性力を付勢する付勢手段を備える構成とした。このように構成することにより、板ばね部材の弾性力を付勢することができるので、環状装身具の使用時に、留め金具の本体部と係止具との係合を維持させることができる。
また、本体部は、係止具を板ばね部材に案内する案内手段を備える構成とした。このように構成することにより、係止具を板ばね部材に確実に案内することができるので、係止具を本体部に容易に係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明に係る環状装身具の留め金具の平面図である。
(b)は、本発明に係る環状装身具の留め金具の正面図である。
【図2】図1(a)のA−A線断面図である。
図2(a)のB−B線断面図である。
【図3】環状装身具の留め金具の分解斜視図である。
【図4】本体部と係止具を係合させる方法の説明図である。
【図5】本体部と係止具との係合を解除する方法の説明図である。
【図6】(a)は、板ばね部材の他端に耳部を設けた状態を示す斜視図である。
(b)は、図6(a)の板ばね部材とばねが当接する状態を示す横断面図である。
【図7】従来の留め金具を示す断面図である。
【図8】他の従来の留め金具を示す断面図である。
【符号の説明】
1 留め金具
2 本体部
3 係止具
3b 先端部
3c 係止溝
5 基部
6 板ばね部材
6a 一端
6b 他端
6c 曲面
6d 係合部
7 ばね
8 ガイド部
Claims (3)
- 本体部と係止具とからなり、前記本体部と前記係止具には環状装身具の端部が取付けられる連結環が設けられ、前記本体部と前記係止具との係合により、前記環状装身具の端部同士が連結される環状装身具の留め金具であって、
前記係止具の先端部には切欠溝が形成され、
前記本体部は、俯仰自在に一端が固定された板ばね部材を備え、前記板ばね部材には弾性的に前記係止具の切欠溝と係脱する係合部が形成され、
前記本体部は、前記板ばね部材の弾性力を付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする環状装身具の留め金具。 - 前記係合部は、前記板ばね部材の傾斜面を打ち抜いて形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の環状装身具の留め金具。
- 前記本体部は、前記係止具の先端部を前記板ばね部材の傾斜面に案内する案内手段を備えたことを特徴とする、請求項1または2に記載の環状装身具の留め金具。
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