JP4681551B2 - カテーテルに使用するガイドワイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、外科的もしくは他の手順処置で、対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位にアクセスするために使用するガイドワイヤに関し、また、これに限定するものではないが、カテーテルに使用するガイドワイヤに関する。また、本発明は、ガイドワイヤ成形する方法、カテーテルとガイドワイヤとの組立体、および対象生体であるヒトまたは動物の体内の遠隔部位にアクセスするためのガイドワイヤに関する。
対象生体であるヒトまたは動物の体内の遠隔部位において、カテーテルの末端部の位置決めを行うためのガイドワイヤは既知である。この種のガイドワイヤは一般的に、心臓血管の処置を行うことができるようにするために、細い血管に沿ってカテーテルを対象生体の心臓血管系内の目的部位まで案内するのに使用する。一般的に、ガイドワイヤは、対象生体の大腿部もしくは腕の適切な血管にカニューレを介して導入し、心臓血管系内の目的部位まで血管中に挿通する。ガイドワイヤが目的部位に到達すると、カテーテルをガイドワイヤ上に沿って目的部位まで前進させる。ガイドワイヤは、脈管系の他の部位、腎臓系の部位、ならびに、対象生体であるヒトもしくは動物のその他の系の部位にカテーテルを導くためにも広く使用されている。
ガイドワイヤを通過させなければならない血管の直径が比較的狭いため、また、特に血管系および他の器官系における血管が曲がりくねっており、ガイドワイヤは多くの血管の分岐を通らなくてはならないので、ガイドワイヤは、脈管やその他の器官系を通過する際に、血管の分岐のうち適切なものを通るようにガイドワイヤを容易に整列できる構造にすることが重要である。整列が行われた結果、ガイドワイヤをさらに押し進めることによって、ガイドワイヤは所要の分岐血管に進入し、それを通り抜けることができる。
分岐血管内に、即座にかつ容易に、整列し、押し進めることができるガイドワイヤを得るためのさまざまな試みが行われてきた。例えば、シャンク氏(Shank)の米国特許第5,365,942号明細書は、コアワイヤを有するガイドワイヤについて記載しており、コアワイヤの末端部分は平坦化し、対象生体の体内にガイドワイヤを挿入する前に外科医または医療補助員によって、ガイドワイヤの末端部分を手で容易に曲げることが出来るようにしている。これによって、末端部分を曲げてガイドワイヤの末端チップをオフセットし、例えば、血管系にガイドワイヤを前進させている際に、ガイドワイヤを回転させることにより、オフセットした末端チップを分岐する血管に整列させてガイドワイヤを通過させることができる。このようにして、ガイドワイヤを脈管系内にさらに押し進めることによって、ガイドワイヤは分岐脈管に進入する。シャンク氏(Shank)の米国特許の開示では、コアワイヤの末端部分を平坦化したことによって、その平坦部分の平面からコアワイヤを容易に曲げ出すことができる。しかしながら、末端部分を平坦化することは、コアワイヤの柱強度を低下させがちであり、ガイドワイヤにおいては、脈管からその分岐した脈管に押し進めるときに、ガイドワイヤはよじれたままになる傾向がある。このように末端部が分岐脈管に進入した後に末端部がよじれたままの状態であることは、ガイドワイヤを血管系内にさらに押し進める際に、末端部が分岐脈管から抜け出る恐れがある。さらに、このようなよじれはガイドワイヤを捻転させることがあり、一般的にはこれによって、ガイドワイヤは使用不能になる。
したがって、外科的もしくは他の処置において対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位にアクセスするために使用するガイドワイヤに対する要望がある。
本発明の目的は、このようなガイドワイヤを得るにあり、またカテーテルとガイドワイヤの組立体を得るにあり、さらに従来技術によるガイドワイヤの課題を解決するガイドワイヤの形成方法を得るにある。さらにまた本発明の目的は、対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位にアクセスするために使用するガイドワイヤを得るにある。
本発明によれば、、対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位にアクセスするよう外科手術もしくは他の処置に使用する細長いガイドワイヤであって、長手方向に延びる中心軸線を画定し、遠隔部位にアクセスする末端部と、この末端部から離れている基端部との間で軸線方向に延在し、前記末端部に隣接するガイドワイヤの末端部分は、1対の互いに離れる大表面、およびこれら大表面間に延在する1対の小表面を画定するほぼ長方形横断面を有し、前記末端部分は、さらに、大表面間に存在しかつ小表面を二分する中心大平面、および小表面間に存在しかつ大表面を二分する中心小平面を画定する該ガイドワイヤにおいて、前記末端部分を前記中心大平面上で湾曲した形状の湾曲部を生ずるよう屈曲させて、前記中心大平面上に存在しかつ前記湾曲部から前記中心軸線に対して0゜を含まない、0゜よりも大きい角度をなして延在するアライメント部分を形成し、対象生体の分岐した脈管内にガイドワイヤを案内し易くしたことを特徴とする。
本発明の利点は多い。本発明によるガイドワイヤは、良好な柱強度を有しており、特に、コアワイヤが平坦化した末端部分で終端するガイドワイヤから得られるよりもかなり大きい柱強度を有する。末端部分によって画定される仮想的な中心大平面において末端部分が屈曲している構造により、そのガイドワイヤの柱強度は相当向上する。したがって、末端部分のアライメント部分を分岐脈管内に押し進めるとき、脈管もしくはその他の器官系内にガイドワイヤのさらに押し進めることにより、ガイドワイヤのよじれを生ずる危険性なくガイドワイヤを分岐脈管に挿通することができる。
中心大平面上における湾曲部を形成するよう末端部分を屈曲させる(この屈曲は代表的には向上で形成する)ことにより、一般的に、外科医は末端部分をさらに屈曲させる必要はないはずである。したがって、末端部分は、他の方法で得られるよりも大きい長方形横断面にすることができる。しかし、必要であれば、末端部分によって画定される中心小平面における屈曲を行えるような大きさの長方形横断面であってもよい。この中心小平面における屈曲は、ガイドワイヤを対象生体の脈管系もしくはその他の系に挿入する前に、外科医もしくは医療補助員によって行うことができる。しかしながら、末端部分の長方形の横断面が、末端部分によって規定される中心小平面上での末端部分の後から行う屈曲を容易にするような大きさであっても、末端部分は、末端部分によって規定される中心大平面上で屈曲しているので、末端部分に隣接するガイドワイヤのよじれを回避するのに十分な柱強度をもたらすことができる。
さらに、ガイドワイヤの末端部分を、末端部分によって規定される中心小平面において手で屈曲するのに適した長方形横断面にすることで、末端部分の中心大平面に形成する湾曲を同様に、末端部分は、対象生体の脈管系もしくはその他の系にガイドワイヤを挿入する前に外科医もしくは医療補助員によって、末端部分によって画定される中心小平面において後から手で屈曲することが可能になり、ガイドワイヤを脈管系もしくはその他の系内に押し進めるときに、分岐脈管においてガイドワイヤのアライメント部分を脈管に整列することがさらに容易になる。したがって、本発明によるガイドワイヤは、アライメント部分の三次元的な形成を容易にするように設けることができる。
実際、末端部分によって画定される中心小平面において末端部分を後から屈曲することを容易にするために、末端部分を長方形の横断面を持つように設けることの利点は、末端部分がその中心大平面および中心小平面の両方で屈曲しているとき、末端部分はを脈管系もしくはその他の系内に押し進める際に、末端部分がコークスクリューもしくはらせん型効果の作用を生ずるようになる点である。
本発明の一実施例においては、アライメント部分を、中心軸線に対して最大90°の角度をなして延在する構成とする。
本発明の他の実施例においては、アライメント部分を、中心軸線に対して最大60°の角度をなして延在する構成とする。
本発明のさらに他の実施例においては、アライメント部分を、中心軸線に対して最大45°の角度をなして延在する構成とする。
本発明のさらにまた他の実施例においては、アライメント部分を、中心軸線に対して最大30°の角度をなして延在する構成とする。
本発明の一実施例においては、アライメント部分を、中心軸線に対して30°〜90°の範囲の角度をなして延在する構成とする。
望ましくは、ガイドワイヤの末端部分を、屈曲による末端部分の湾曲形状を保持する材料で形成する。またガイドワイヤの末端部分を、屈曲による末端部分の湾曲形状を維持できる寸法にすると有利である。
本発明の一実施例においては、ガイドワイヤの末端部分を中心小平面上で屈曲可能にし、それによって、対象生体の分岐した脈管内にガイドワイヤを案内し易くするために、前記アライメント部分の少なくとも一部を中心大平面から曲げ出す前記末端部分の屈曲を容易にする。好ましくは、ガイドワイヤの末端部分を中心小平面中上で屈曲可能にし、それによって、対象生体の分岐した脈管内にガイドワイヤを案内し易くするために、前記アライメント部分を中心大平面から曲げ出す前記末端部分の屈曲を容易にする。
本発明の一実施例においては、ガイドワイヤの末端部分を、中心小平面上における末端部分の手操作屈曲が容易な材料で形成する。ガイドワイヤの末端部分を、中心小平面上における末端部分の手操作屈曲が容易となる寸法にすると有利である。
本発明の他の実施例においては、ガイドワイヤの末端部分をステンレス鋼材料で形成する。
好ましくは、ガイドワイヤの末端部分の大表面相互が、末端部に向かって互いに収斂する構成とする。ガイドワイヤの末端部分の小表面相互が、末端部に向かって互いに拡開する構成とすると有利である。代案として、ガイドワイヤの末端部分の小表面相互を互いに平行あれば都合がよいにする。
本発明の一実施例においては、中心小平面上での末端部分の屈曲を最小にするためにガイドワイヤの末端部分に補強手段を設ける。好ましくは、補強手段を、アライメント部分の少なくとも一部に沿って末端部分の基端部から延在させる。補強手段が少なくともアライメント部分の一部に沿って延在させると有利であり、また理想的には、補強手段をアライメント部分の末端部から離れた位置で終端させる。
本発明の一実施例においては、補強手段を、末端部分によって画定される中心小平面とほぼ一致して存在させる。
本発明の他の実施例においては、補強手段を、端部分の大表面のうち一方の大表面に沿って延びている細長い補強材有するものとして構成する。
本発明の一実施例においては、ガイドワイヤを、基端部から末端部分まで延びる細長いコアワイヤを有するものとして構成する。
本発明の他の実施例においては、コアワイヤを、末端部分で終端させる。
本発明のさらに他の実施例においては、ガイドワイヤの末端部分を、コアワイヤと一体的に形成する。
好ましくは、ガイドワイヤの末端部分をコアワイヤによって形成する。代案として、ガイドワイヤの末端部分をコアワイヤとは個別に形成し、コアワイヤに固定する。
本発明の一実施例においては、脈管を傷つけることなく対象生体の脈管内に案内し易くするために、ガイドワイヤの末端部分を、ガイドワイヤの末端部の球状部分で終端させる。好ましくは、球状部分に丸みを持たせる。そして球状部分はガイドワイヤの末端部を画定し、かつ末端部を半球状にすると有利である。
本発明の他の実施例においては、ガイドワイヤは、球状部分から基端部方向に延びるスリーブを有するものとし、また、コアワイヤをスリーブ内に貫通させる。
好ましくは、スリーブを、ガイドワイヤの末端部分を越えて、基端部の方向にコアワイヤに沿って延在させる。スリーブをガイドワイヤの末端部分および基端部の中間の位置で終端させると有利である。
理想的には、スリーブの一方の端部を、前記ガイドワイヤの球状部分に固定し、また、スリーブの他方の端部を、コアワイヤに固定する。
本発明の一実施例においては、スリーブを、ガイドワイヤにはんだ付けによって固定する。
本発明の他の実施例においては、スリーブを、その外周縁が球状部分の横断面によって画定される外周縁にほぼ一致するような横断面を有するものとして構成する。
本発明の他の実施例においては、スリーブの末端部を、X線不透過性材料で形成する。好ましくは、スリーブを、X線不透過材料で形成する。
本発明の一実施例においては、スリーブを、以下の金属、すなわち、プラチナ、プラチナ合金、金、タンタルのうち1個またはそれ以上から選択した選択した金属で形成する。
本発明の他の実施例においては、スリーブを、らせん状に巻回したヘリカルコイルにより構成する。好ましくは、スリーブを、緊密に巻回したヘリカルコイルにより構成する。
代案として、もしくは付加的に、スリーブをプラスチック材料で形成する。
本発明の一実施例においては、スリーブは、長手方向に延びる少なくとも2個のスリーブ部分を有するものとし、その一方のスリーブ部分をプラスチック材料により形成し、他方のスリーブ部分を緊密に巻回したヘリカルコイルにより形成する。
さらに、本発明は、対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位にアクセスするため、本発明によるガイドワイヤを提供する。
本発明はまた、外科的またはその他の処置で、対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位にアクセスするためのカテーテルと細長いガイドワイヤとの組立体も提供する。
さらに本発明は、対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位にアクセスするために、外科的もしくはその他の処置において使用されるカテーテルと細長いガイドワイヤとの組立体を提供する。このガイドワイヤは、長手方向に延びる中心軸線を画定し、遠隔部位にアクセスする末端部と、この末端部から離れている基端部との間で軸線方向に延在し、末端部に隣接するガイドワイヤの末端部分は、一対の互いに離れる大表面、およびこれら大表面間に延在する一対の互いに離れる小表面を画定するほぼ長方形横断面を有し、末端部分はさらに、大表面間に存在しかつ小表面を二分する仮想的な中心大平面、および小表面間に存在しかつ大表面を二分する仮想的な中心小平面を画定する該組立体において、末端部分を中心大平面上で湾曲した形状の湾曲部を生ずるよう屈曲させて、前記中心大平面上に存在しかつ湾曲部から中心軸線に対して0゜を含まない、0゜よりも大きい角度をなして延在するアライメント部分を形成し、対象生体の分岐した脈管内にガイドワイヤを案内し易くする。
本発明は、外科的もしくは他の処置で、対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位にアクセスするために使用する細長いガイドワイヤを形成するための方法も提供する。この方法は以下のステップよりなる。
1対の互いに離れる大表面、およびこれら大表面間に延在する1対の小表面を画定するほぼ長方形横断面を有し、前記末端部分は、さらに、大表面間に存在しかつ小表面を二分する中心大平面、および小表面間に存在しかつ大表面を二分する中心小平面を画定するガイドワイヤの末端部分を形成するステップ。
および、前記末端部分を前記中心大平面上で湾曲した形状の湾曲部を生ずるよう屈曲させて、前記中心大平面上に存在しかつ前記湾曲部から前記中心軸線に対して0゜を含まない、0゜よりも大きい角度をなして延在するアライメント部分を形成し、対象生体の分岐した脈管内にガイドワイヤを案内し易くするステップ。
単に例として掲げた以下の幾つかの好適な実施例を、添付図面につき説明することにより、本発明をより明瞭に理解できるであろう。
図面を参照して、まず図1〜図7を参照して説明すると、参照符号1により全体を示す本発明によるガイドワイヤは、カテーテル(図示せず)と共に用いられ、カテーテルを対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位まで導くためのものである。この本発明の実施例におけるガイドワイヤ1は、特に対象生体の心血管系内の遠隔部位にアクセスするのに適しており、カテーテル(図示せず)を遠隔部位まで導くものである。しかし、当業者にとっては 、ガイドワイヤ1が対象生体であるヒトもしくは動物の体内の、脈管系もしくはその他の器官系内のあらゆる遠隔部位にアクセスするのに適していることは明らかであろう。例えばガイドワイヤ1は、腎臓系、神経管系、卵管、および、他の管状器官および部位にアクセスするのに適している。
ガイドワイヤ1は、細長いコアワイヤ2を有する。本発明の実施例においては、このコアワイヤはステンレス鋼により形成し、そして長手方向に延びる中心軸線4を画定し、基端部5から末端部6まで延びている。コアワイヤ2の末端部6は、ステンレス鋼材製の球状部分8で終端し、この球状部分は半球状の先導端部を形成し、ガイドワイヤ1を対象生体の脈管系中を先導し内に案内し易く、また、ガイドワイヤ1が前進する脈管系の壁を傷つけたり破裂させたりその他損傷を与えることを回避する。本発明のこの実施例においては、円形の横断面を持つきつく巻かれたヘリカルコイルによって形成し、X線不透過材料、すなわち、プラチナ合金材料で形成したスリーブ9を、球状部分8から基端部の方向に向かって延在させ、コアワイヤ2の部分10で終端させる。。スリーブ9は、コアワイヤ2の末端部6にはんだ付けによって固定し、このはんだが半球状の球状部分8を形成する。したがって、球状部分8の直径はスリーブ9の外径とほぼ一致する。また、スリーブ9は、部分10においてやはりはんだでコアワイヤ2に固定する。
本発明のこの実施例においては、コアワイヤ2は円形横断面を有し、減少した円形横断面を有する部分15に向けて三つの段階のテーパ段11,12,13のテーパを設ける。コアワイヤ2の末端部分16は部分15から球状部分8にかけて延びており、また、1対の小表面20,21によって連結される1対の大表面18,19を画定する長方形横断面を有する。大表面18,19相互は部分15から球状部分8に向かって互いに収斂するとともに、小表面20,21相互は部分15から球状部分8に向かって互いに拡開する。末端部分16はまた、大表面18,19の間に位置し、小表面20,21を二等分する中心大平面24を仮想的に画定する(図3参照)。仮想的な中心小平面25も、同様に末端部分16によって画定され、小表面20,21の間にあり、大表面18,19をそれぞれ二等分する。
アライメント部分27は、ガイドワイヤ1が対象生体の脈管系を通るにあたって内に押し通すとき、分岐血管にガイドワイヤ1の末端部6の整列を容易に行えるようにするために末端部分16に予め形成する。アライメント部分27は、中心大平面24上で末端部分16を屈曲することによって湾曲部分28を形成し、アライメント部分27はこの湾曲部分28から延びるようにする。したがって、湾曲部分28およびアライメント部分27は末端部分16の残りの部分とともに、すべて中心大平面24上に存在する。本発明のこの実施例においては、アライメント部分27はコアワイヤ2から中心軸線4に対して約90゜の角度θをなして延びているが、アライメント部分27はコアワイヤ2から中心軸線4に対して任意の所要角度θを取ることができ、例えば、角度θは、30°,45°,60°または、その他の所要の角度で延びるようにすることができる。
本発明のこの実施例においては、末端部分16をステンレス鋼製とし、コアワイヤ2を形成するステンレス鋼と同一のピースから形成する。
末端部分16を有するコアワイヤ2の形成は以下のようにして行う。まず最初に、コアワイヤ2に、テーパ段11,12,13を形成する整形を行う。末端部分16は、最初は、部分15の直径と同じ直径で形成されている。つぎに、所要曲率の湾曲部を、末端部分16に形成し、このことにより、最終的にアライメント部分27および末端部分16の湾曲部分28を生ずる。末端部分16に湾曲部を形成した後、末端部6に向かって互いに収斂する大表面18,19および末端部6に向かって互いに拡開する小表面20,21は末端部6に向けて広がるを有する長方形横断面に整形する。末端部分16の形成が終わった後、スリーブ9を末端部分16上に挿通し、そしてコアワイヤ2にそって部分10まで通過させる。つぎに、スリーブ9を末端部分16の末端部6にはんだ付けし、球状部分8を形成し、またスリーブのもう一端は部分10においてコアワイヤ2にはんだ付けする。
末端部分16の湾曲部の成形は任意の適当な方法によっておこなうことができる。たとえば適切に整形したジグの周りに整形末端部分16を屈曲させることにより、適切に成形された治具周辺で湾曲部を形成できる。末端部分16を長方形横断面を持つように成形することは、任意の適切な方法によって行うことができ、例えば、適切なプレスツール内でプレス加工する、もしくはカムローラを使用して成形できる。
代案として、末端部分16は、コアワイヤ2とは別個に成形することもでき、例えば平坦な素材から適切に湾曲した帯状体を切削することによって、またはレーザー、プレスツールもしくは電気化学的エッチングを使用し、末端部分16を適切な長方形横断面を有するように整形することができる。このように形成した末端部分16は、コアワイヤ2に、はんだ付け、ロウ付け、溶接、または別の方法で固定する。
代案として、末端部分16がコアワイヤ2に一体に形成されている場合、オフセットローラを使用してテーパ部分および湾曲部を1回のプレス作業で形成することもできる。
本発明の図示の実施例においては、コアワイヤ2のステンレス鋼材料を選択し、末端部分16の寸法および形状は、末端部分16の長方形横断面が中心小平面25内での末端部分16の手操作により曲げて末端部分16に2度の湾曲自由度、すなわち、中心大平面24内での末端部分16の湾曲部分28が形成する湾曲および中心小平面25内での末端部分16の湾曲を生ずることができる寸法および形状とする。末端部分16を中心小平面25において手動で屈曲可能にすることによって、外科医はガイドワイヤ2を対象生体の体内に挿入する前に末端部分16を手操作で屈曲することができる。ここにおいてアライメント部分27の全部もしくは一部が中心大平面24および中心小平面25において屈曲可能であるようにすることで、ガイドワイヤ1が対象生体の脈管系に前進させるに当たり、末端部6を分岐血管に容易に整列することができるようになる。
図1〜7では、ガイドワイヤ1は末端部分16が中心大平面24において屈曲した状態に描き、したがって、アライメント部分27は中心軸線4に対して角度θが90°の状態で延びている。しかし、一組のガイドワイヤを設け、一組のセットにおけるそれぞれのガイドワイヤには、中心軸線に対して90°までの異なる角度θをなして延びているようなアライメント部分27を設けることもできる。角度θの代表的な値としては、30°,45°,60度、ならびに90°がある。
使用にあたり、対象生体の体内のアクセスすべき脈管系もしくはその他の器官系に基づいて、中心大平面24においてアライメント部分27が中心軸線4に対して望ましい角度θで屈曲した末端部分16を有するガイドワイヤ1を選択する。そうするのが適切であれば、末端部分16およびアライメント部分27に対して、中心大平面24および中心小平面25において湾曲を付与するため、外科医もしくは医療補助員が末端部分16を中心小平面25において手で屈曲する。末端部分16を中心小平面25において屈曲し、望ましい湾曲度であれば、ガイドワイヤ1は使用準備が整っていることになる。この状態でガイドワイヤ1を従来と同じ方法で対象生体の脈管系内に押し進める。ガイドワイヤ1の末端部6がガイドワイヤ1の進むべき分岐脈管に達したとき、ガイドワイヤ1の基端部5を回転させることによってガイドワイヤ1を回転させ、アライメント部分27を分岐した血管に整列させる。つぎに、ガイドワイヤ1を脈管系内にさらに押し進めることにより、ガイドワイヤ1の末端部6を分岐脈管内に押し進めることができ、またガイドワイヤを脈管系内にさらに押し進めることにより、ガイドワイヤ1は分岐脈管を通過することができる。
つぎに、図8および図9を参照して説明すると、ここでは本発明の他の実施例におけるガイドワイヤの一部を参照符号30で示す。ガイドワイヤ30はガイドワイヤ1とほぼ類似しており、そしてそれらの類似した構成要素は同一参照符号によって示す。ガイドワイヤ30およびガイドワイヤ1の主な相違点は、ガイドワイヤ30の末端部分16の湾曲部分28の屈曲が、ガイドワイヤ1の末端部分16の湾曲部分28の屈曲に比べ、鋭くないという点である。それ以外の点においてはガイドワイヤ30はガイドワイヤ1と類似しており、その使用方法も同じく類似している。
つぎに、図10を参照して説明すると、ここでは本発明のさらに他の実施例におけるガイドワイヤの一部を参照符号40で示す。ガイドワイヤ40はガイドワイヤ1と実質的に類似している。そしてそれらの類似した構成要素は同一参照符号によって識別示す。しかしながら、本発明のこの実施例においては、ガイドワイヤ40の末端部分16の半分のみを図10に示す。末端部分16は、中心大平面24に沿って二分され表示されている。末端部分16のもう半分は、図示の部分と鏡像関係にある。本発明のこの実施例においては、細長い補強プレート41の形式の補強材によって生ずる補強手段が、末端部分16の各大表面18,19に沿って延在し、末端部分16の柱強度を向上させ、また、中心小平面25における末端部分16の不慮の屈曲を最小限に抑える。補強プレート41は大表面18,19に沿って存在し、湾曲部分28よりも手前から末端部分16の中心小平面25と一致する。補強プレート41は、末端部分16に対して一体的に形成するか、または個別に形成し、末端部分16にはんだ付けもしくはロウ付けする。補強プレート41を設けることの効果は、補強プレート41が中心小平面25上にあることによって、ガイドワイヤ1を対象生体の脈管系内に挿入し進ませるときに、中心小平面25における曲げまたはよじれに対する末端部分16の剛性を高める作用をする。実際、一般には補強プレート41を、外科医もしくは医療補助員が末端部分16を中心小平面において手で屈曲させやすいような材料、および寸法にして形成することができ、この結果、末端部分16は、中心大平面24および中心小平面25の両方で屈曲可能で、その中心小平面における屈曲は、末端部6に隣接する位置で、アライメント部分27にコークスクリュー型の作用を付与する。中心小平面25における末端部分16の屈曲は、外科医もしくは医療補助員が装置を使用する前に手で行うのが一般的であるが、ガイドワイヤの製造中に末端部分を中心小平面25内で曲げを付与しておくこともできる。
つぎに、図11〜図14を参照して説明すると、ここでは本発明のさらにまた他の実施例におけるガイドワイヤの一部を参照符号50で示す。ガイドワイヤ50はガイドワイヤ1とほぼ類似している。そして、それらの類似した構成要素は同一参照符号によって識別する。ガイドワイヤ50およびガイドワイヤ1の主な相違点は、末端部分16に関する相違である。本発明のこの実施例においては、末端部分16は、ガイドワイヤ1のようにテーパ付けするというよりむしろ、ほぼ平坦である。初期テーパ部分51は、部分15から比較的平坦な末端部分16までコアワイヤ2に急激なテーパを付ける。
その他の点においては、ガイドワイヤ50は、ガイドワイヤ1と類似している。
図1〜14につき説明したガイドワイヤのコアワイヤ、末端部分、球状部分およびスリーブは、特別な材料で形成すると記載してきたが、コアワイヤ、末端部分、球状部分およびスリーブはその他の望ましいもしくは適当な材料から形成することもでき、また場合によっては、コアワイヤを、ニッケル‐チタン合金、もしくはポリマー材料、もしくはプラスチック素材であることができることを想定している。またスリーブは、プラスチック材料で形成したり、またはスリーブの一部をプラスチック材料にすることもできる。スリーブをプラスチック材料で形成する場合には、スリーブは管状スリーブとして形成することができる。
また、スリーブをX線不透過性材料から形成する代わりに、ガイドワイヤの末端部に隣接するガイドワイヤの一部をX線不透過材料で形成することができ、球状部分は、個別にX線不透過性材料、例えばプラチナ合金から形成し、末端部6においてコアワイヤ2に、そしてスリーブにロウ付けすることもできる。
言うまでもなく、末端部分を、X線不透性材料で形成してもよい。
末端部分を長方形横断面にすると記載したが、この末端部分の横断面は厳密に長方形である必要はない。例えば、小表面が凸状であってもよい。
ガイドワイヤの末端部の球状部分が、スリーブをコアワイヤにはんだ付けする際のはんだによって形成すると記載したが、球状部分はその他の任意の材料によって形成してもよい。例えば、スリーブをコアワイヤにロウ付けや溶接する際に使用される材料や、スリーブをコアワイヤに接着する際に使用する接着剤でによって形成してもよい。代案として、球状部分は、個別に形成し、コアワイヤおよびスリーブに、任意の適切な接着手段によって接合してもよい。たとえば、はんだ付け、溶接、ロウ付け、適切な接着剤による接着、等によることができる。
上述したように、末端部分はコアワイヤの材料から形成することができ、もしくは末端部分をコアワイヤとは別個に形成し、形成後に適切に接合することができる。末端部分を別個に形成し、その後コアワイヤに接合するとき、末端部分に使用する材料はコアワイヤの材料と同じもしくは異なるものとすることができる。
カテーテルに使用する本発明によるガイドワイヤの一部切除した側面図である 図1に示したガイドワイヤの部分的に一部切除した平面図である。 図1に示したガイドワイヤの部分拡大図である。 図1に示したガイドワイヤの部分斜視図である。 図4に示したガイドワイヤの部分平面図である。 図4に示したガイドワイヤの部分側面図である。 図4に示したガイドワイヤの部分端面図である。 本発明の他の実施例におけるガイドワイヤの部分斜視図である。 図8に示したガイドワイヤの部分平面図である。 本発明の他の実施例におけるガイドワイヤの部分斜視図である。 本発明の他の実施例におけるガイドワイヤの図4に類似する部分斜視図である。 図11に示すガイドワイヤの部分平面図である。 図11に示すガイドワイヤの部分側面図である。 図11に示すガイドワイヤの部分端面図である。

Claims (19)

  1. 対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位にアクセスするよう外科手術もしくは他の処置に使用する細長いガイドワイヤであって、長手方向に延びる中心軸線を画定し、遠隔部位にアクセスする末端部と、この末端部から離れている基端部との間で軸線方向に延在し、前記末端部に隣接するガイドワイヤの末端部分は、1対の互いに離れる大表面、およびこれら大表面間に延在する1対の小表面を画定するほぼ長方形横断面を有し、前記末端部分は、さらに、大表面間に存在しかつ小表面を二分する中心大平面、および小表面間に存在しかつ大表面を二分する中心小平面を画定する該ガイドワイヤにおいて、前記末端部分を前記中心大平面上で湾曲した形状の湾曲部を生ずるよう屈曲させて、前記中心大平面上に存在しかつ前記湾曲部から前記中心軸線に対して0゜を含まない、0゜よりも大きい角度をなして延在するアライメント部分を形成し、対象生体の分岐した脈管内にガイドワイヤを案内し易くしたことを特徴とするガイドワイヤ。
  2. 請求項1に記載のガイドワイヤにおいて、前記アライメント部分を、中心軸に対して30°〜90°の角度をなして延在する構成としたガイドワイヤ。
  3. 請求項1または2に記載のガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤの末端部分を、屈曲による末端部分の湾曲形状を保持または維持する材料または寸法で形成したガイドワイヤ。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤの末端部分を中心小平面上で屈曲可能にし、それによって、対象生体の分岐した脈管内にガイドワイヤを案内し易くするために、前記アライメント部分の少なくとも一部を中心大平面から曲げ出す前記末端部分の屈曲を容易にしたガイドワイヤ。
  5. 請求項4に記載のガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤの末端部分を、中心小平面上における末端部分の手操作屈曲が容易となる材料または寸法で形成したガイドワイヤ。
  6. 請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤの末端部分の大表面相互が、末端部に向かって互いに収斂する構成としたガイドワイヤ。
  7. 請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤの末端部分の小表面相互が、末端部に向かって互いに拡開する構成としたガイドワイヤ。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のガイドワイヤにおいて、前記中心小平面上での末端部分の屈曲を最小にするために、前記ガイドワイヤの末端部分に、補強手段を設けたガイドワイヤ。
  9. 請求項8に記載のガイドワイヤにおいて、前記補強手段を、前記ガイドワイヤの末端部分の少なくとも一部に沿って前記末端部分の基端部から延在させたガイドワイヤ。
  10. 請求項8または9のうちいずれかに記載のガイドワイヤにおいて、前記補強手段を、前記アライメント部分の少なくとも一部に沿って延在させたガイドワイヤ。
  11. 請求項1〜10のうちいずれか一項に記載のガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤを、基端部から末端部分にかけて延びる細長いコアワイヤを有し、このコアワイヤを前記末端部分で終端する構成としたガイドワイヤ。
  12. 請求項11に記載のガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤの末端部分を、前記コアワイヤによって形成したガイドワイヤ。
  13. 請求項11に記載のガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤの末端部分を、前記コアワイヤとは個別に形成して、前記コアワイヤに固定したガイドワイヤ。
  14. 請求項11〜13のうちいずれか一項に記載のガイドワイヤにおいて、脈管に傷をつけることなくガイドワイヤを対象生体の脈管内に案内し易くするために、前記ガイドワイヤの末端部分を、ガイドワイヤの末端部の球状部分で終端させたガイドワイヤ。
  15. 請求項14のうちいずれか一項に記載のガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤは、前記球状部分から基端部方向に延びるスリーブを有するものとし、また前記コアワイヤをスリーブ内に貫通させたガイドワイヤ。
  16. 請求項15のうちいずれか一項に記載のガイドワイヤにおいて、前記スリーブの末端部を、X線不透過性材料で形成したガイドワイヤ。
  17. 外科的もしくはその他の処置で、対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位にアクセスするために用いられるカテーテルと細長いガイドワイヤとの組立体において、前記細長いガイドワイヤを、請求項1〜16のうちいずれか一項に記載のガイドワイヤとしたカテーテル組立体。
  18. 外科的もしくは他の処置で、対象生体であるヒトもしくは動物の体内の遠隔部位にアクセスするために使用する細長いガイドワイヤを形成する方法において、
    1対の互いに離れる大表面、およびこれら大表面間に延在する1対の小表面を画定するほぼ長方形横断面を有し、前記末端部分は、さらに、大表面間に存在しかつ小表面を二分する中心大平面、および小表面間に存在しかつ大表面を二分する中心小平面を画定するガイドワイヤの末端部分を形成するステップと、
    前記末端部分を前記中心大平面上で湾曲した形状の湾曲部を生ずるよう屈曲させて、前記中心大平面上に存在しかつ前記湾曲部から前記中心軸線に対して0゜を含まない、0゜よりも大きい角度をなして延在するアライメント部分を形成し、対象生体の分岐した脈管内にガイドワイヤを案内し易くするステップと
    よりなることを特徴とするガイドワイヤ形成方法。
  19. 請求項18のいずれかに記載の方法において、前記アライメント部分を、中心軸線に対して30°〜90°の範囲の角度をなして延在させる方法。
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